予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議

○宇田川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いをいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 秋田一郎理事の発言を許します。

○秋田委員 平成二十六年予算特別委員会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問します。
 最初に、三点確認させていただきます。
 まず、私たちの権能です。
 一元的な国とは異なり、東京都は二元代表制のもと、議会と知事とは独立、対等の関係にあります。都議会は、東京都の運営の基本的な方針を議決し、その執行を監視し、評価する立場にあるのです。
 第二に、過去の姿です。
 私が初当選したほんの十数年前、東京都はまさに破産寸前、財政再建団体転落の危機にありました。しかし、借金がふえるばかりの国とは異なり、六年間にわたり議会と執行機関が全庁を挙げて、本当に必死に財政再建に取り組み財政再建を果たしたからこそ、オリンピック・パラリンピックを初めとする積極的な施策が可能となったことです。
 第三に、現在の東京の姿です。
 内外の膨大なデータを調べ改めてわかったことは、世界の中での想像以上の東京のプレゼンスの高さと東京の抱える問題です。例えば、東京都市圏のGDPといったおなじみの指標から、世界中を旅した人たちが選ぶ、行ってよかった都市、世界で最もクリエーティブな都市といった指標まで、意外にも東京は世界で一番とされています。
 一方、防災面では、ある指標で災害危険度が世界で一番高いと評価されたり、これまで経験をしたことのない超少子高齢社会になっていくといった深刻な問題も抱えています。
 時は誰にもひとしく連続して刻まれます。過去があるから現在があり、現在があるから未来があるのです。ある日突然、輝かしい未来が開かれるわけではありません。
 私たち政治家の仕事は、未来に向けて、夢や希望をしっかりと形にすることだと思います。
 そこで伺います。
 未来の東京の趨勢を占う二十六年度予算の基本的な考え方を伺います。

○舛添知事 平成二十六年度予算は、大きな時間的な制約がある中で、選挙を通じて都民に訴えてきた政策を具体化するという、率直に申し上げて、大変厳しい条件のもとでの編成でございました。
 今回は、暫定案を基調として編成するとともに、公約実現に向けて即時対応が可能なものにつきましては、予算化を図り、新しい種をまくことができたと考えております。
 この予算を原動力といたしまして、世界一の都市東京の実現に向けて、都議会の皆様方と手を携えながら、力強い新たな一歩を踏み出してまいりたいと思っております。

○秋田委員 経営学の巨人、あのドラッカーは、行政そのものが成果を上げる手順を教えてくれています。
 第一に、行政が機能している分野と機能していない分野を峻別することである。第二に、機能していない分野を廃棄させ、民間に任せることである。第三に、機能している分野には、さらに力を入れることである。
 舛添知事には、ぜひとも、世界一の都市東京の実現に向けて、邁進していただきたいと思います。
 幸い、予算の裏づけとなる税収は、三年連続で増加しているものの、残念ながら手放しで喜べる状況にはありません。
 昨年末の税制改正で、国が地方法人課税の不合理な見直しを断行したからです。その影響は三千億円を超える途方もない金額であります。三千億円があれば何ができるかを、ぜひ皆様にも想像していただきたい。
 東京都の予算でいえば、東京消防庁の年間予算は二千四百億円、他県に目を転じれば、鳥取県などの県や政令指定都市の年間予算がおおむね三千億円程度でございます。
 国が東京から奪っている財源がどれだけ莫大な金額であるかを、ぜひ皆様にも改めて認識をしてほしいと思います。
 そもそも、法人事業税の暫定措置は、税源の偏在是正を目的として、消費税率を改正するまでという約束で導入されたものです。にもかかわらず、今回の見直しは三分の一にとどまり、完全廃止は一〇%になる段階へと先送りされています。
 その上で、国は、今度は、地方消費税を引き上げることにより、東京の財源超過がさらにふえることは看過できないという別の理由をつけて、法人住民税の一部国税化を断行いたしました。
 国が苦しいときに、当時の首相と知事が約束を交わし、苦汁をのんで協力してきたにもかかわらずです。これでは、暫定的強制的という意味で、前者はカツアゲ、恒久的強制的という意味で、後者はみかじめ料だと、断定せざるを得ません。
 そもそも、国が、東京は金が余っているという根拠として使っている財源超過とは、どのような意味を持つのか、伺います。

○中井財務局長 地方交付税の算定では、限られた交付税の総額を全国一千七百を超える団体に配分するために、国が定めた基準に基づいて収入や需要を見積もり、財源の過不足を算定した上で、各団体の交付税の額が決められております。
 この交付税算定には、例えば、実際には三百十七万人にも及ぶ東京の昼間流入人口が七十二万人まで割り落としがなされるなど、大都市の財政需要が適切に反映されていないという問題がございます。
 また、都については、法律の特例により、都と特別区が一つの団体とみなされ、道府県分と大都市分とが合算された上で算定が行われているといったこともございます。
 このように、財源超過額は単なる交付税制度における配分技術上の数字にすぎず、都財政の実態をあらわすものではないといわざるを得ません。
 実際、都が史上最悪の一千六十八億円もの財政赤字を計上した平成十年度のときでさえ、六千億を超える財源超過額が算定されているところでございます。

○秋田委員 財源超過というのは、しょせん交付税算定上のバーチャルな数字にすぎません。
 都政の現実に目を向ければ、東京の高齢者は、二〇一〇年から二〇四〇年までに、山口県などの総人口にも匹敵する百四十四万人増加することが見込まれます。また、待機児童の約四割は都内に集中しており、社会保障関係費は今後ますます増加の一途です。
 そもそも今回の地方消費税の増税分は、全額社会保障関係費に充当されます。増収になるといっても、東京はそれを上回る膨大な財政需要を抱えているわけで、自由に使える財源がふえるわけではありません。
 税収格差の問題は、都市と地方の対立構造で捉えられることが多いわけですが、経済がグローバル化し、国際的な都市間競争が国家の命運を左右する状況の中で、限られた税を国内で奪い合っては日本は、じり貧になるだけです。
 東京は、我が国のGDPの約二割を生み出し、かつ日本最大の消費地であり、東京と地方、そして東京と世界経済は密接不可分な関係にあります。こうした広い視野を持った上でこの問題に対処していかなければ、日本の発展はありません。
 税収の格差だけが着目されますが、そもそも、こうした格差を調整するために地方交付税制度が設けられているはずです。
 地方税に地方交付税などを加えた、地方がみずからの裁量で使用できる、いわゆる一般財源ベースで比較するとどのようになるのか伺います。

○中井財務局長 理事ご質問の一般財源を人口一人当たりで比較いたしますと、都は十七万五千十七円でありまして、都道府県平均の十八万七千三十五円を下回り、全国三十七位という状況にございます。

○秋田委員 税収の偏在は、地方交付税によりうまく調整されているということです。
 我々は、何も、東京だけのことを考えているわけではありません。都市と地方が助け合い、共生していくことが必要なのはいうまでもありません。
 東京は、東日本大震災の復興支援を、他のどの自治体よりも強力に推進してまいりました。また、私が提案した都庁二階の全国観光PRコーナーの設置など、意欲ある地方を積極的に支援しております。
 単に財源を地方に渡すのではなく、真に困っている自治体や、額に汗して懸命に努力している自治体を、具体的な行動で支援していくことが重要ではないのでしょうか。
 地方税はあくまでも受益と負担という関係が重要です。この大原則を逸脱して、道理もなく都民の税金を他の地方に回せば、納税者の信頼感を失墜してしまいます。
 この点、新たに導入される法人住民税の一部国税化にはどのような問題があるのか伺います。

○中井財務局長 この措置には、大きく三点の問題がございます。
 第一に、市町村の基幹税である法人住民税を、税源の偏在是正の手段として国に逆移譲することは、地方の自主財源の拡充という、これまで着実に進めてきた地方分権の針を、大きく逆回しにするということになること。
 第二に、地方税を減じて交付税への依存度が高まれば、地方の自律的な財政運営を阻害するばかりか、昨年六月のいわゆる骨太の方針における、不交付団体を拡大していくという政府の方針に反すること。
 第三は、交付税の総額は、総務省と財務省の折衝により決められることから、そもそも国に税源を逆移譲しても、実際に地方が手にする交付税総額がふえる保証はないという点でございます。
 このように、法人住民税の一部国税化は、決して地方の自立につながるものではないと考えております。

○秋田委員 幾ら地方税を国に渡して交付税の原資をふやしたとしても、国からの拠出が減れば交付税はふえず、要は国のいいようにされるだけです。また、区市町村にも影響が及ぶことから、昨年秋には、都内区市町村のほぼ全ての議会で反対の意見書が議決されています。
 さて、税制改正大綱には、消費税が一〇%の段階で、法人住民税の国税化をさらに進めるとあります。
 ぜひとも知事には、この問題の先頭に立って旗を振っていただかなければなりません。
 今後の税財政の議論に向けて、真の地方自立に資する税財政制度を実現させていくためにも、国の不合理な動きには強力に対抗していくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○舛添知事 真の地方自治とは、自治体がみずからの権限と財源で、額に汗して行財政運営を行い、豊かで活力に満ちた地域社会の実現を目指していくことが基本であると考えております。
 自立した地方が地域の課題に主体的に取り組めるように、国から地方への権限の移譲とあわせ、総体としての地方税源の拡充に取り組んでいかなければならないと考えております。
 その際には、税収をふやす努力が正当に報われるインセンティブの確保や、受益と負担という地方税の応益原則などに配慮した制度設計が重要であります。
 こうした観点に立ちますと、地方税財政制度の改革は進められるべきでありまして、地方分権に逆行する不合理な動きに対しましては、都議会の皆様、区市町村の皆様とも力を合わせ、徹底して対抗していく決意であります。

○秋田委員 知事、この点は本当にしっかりと、一緒に頑張ってまいりたいと思います。
 さて、冒頭に挙げたデータを考察すると、とても重要な事実が浮かび上がります。
 例えば、二〇〇八年と二〇二五年の都市圏GDPランキングの推移を見ると、東京やロンドン、パリなどが高順位を保持する一方、これらの国の二番手以降の都市である大阪、バーミンガム、リヨンは順位を落としております。今挙げた国々は、いずれも中央集権国家です。
 一方で、アメリカの複数の都市が高順位を維持し、ヨーロッパの雄ドイツの主要都市は、上位にランキングされておりません。両国ともに、いわゆる分権国家であり、日本やフランスのような圧倒的な大都市があるのではなく、都市の集合体が総合的に国を潤しています。
 つまり、中央集権国家であれば最大の都市が、分権国家であれば複数の都市が、国家の繁栄を担っているということです。
 すなわち、中央集権国家である日本では、東京が日本経済を牽引する役目を担っており、そのために人やお金が集中するのは、いわば必然です。東京への集中を認めない、都市も地方も平等的に発展すべきだと主張するならば、日本もアメリカやドイツのように分権国家へと転換するべきなのです。
 国の形を変えないまま、霞が関に権力を集中させたままで、東京をいたずらに悪者にし、小手先の手法で税源を移転させるのは、国家を衰退させることでしかないと、あえて指摘をしておきたいと思います。
 さて、この七年近く、我々東京都議会自民党はプロジェクトチームを設け、公共事業の正しいあり方について、二度にわたって報告書をまとめ、都に提言を行ってまいりました。
 現在、建設市場の状況は、大きくさま変わりしていますが、どのような状況下にあっても、必要な公共事業は着実に進めていかなければなりません。
 第四回定例会での我が党の代表質問に対し、入札に参加しやすい環境の整備が重要とし、より適切な入札契約制度の実現を図っていくと答弁がありました。
 そのためには、この変化にしっかりと向き合った、柔軟で積極的な取り組みが必須です。
 そこで、入札契約制度を取り巻く現状を踏まえ、どのような課題認識を持って入札に参加しやすい環境の整備に取り組むのかを伺います。

○中井財務局長 都の入札契約制度は、透明性、競争性、品質の確保という三つの社会的要請に応えていくことを基本としております。
 このような考え方に基づき、過度な低価格競争への対応などのため、この間、低入札価格調査制度の強化や総合評価方式の適用拡大などの制度改革に取り組んでまいりました。
 現在、都の入札においては不調が増加するなど、公共工事を取り巻く状況は、これまでとは大きく変化してきておりますが、ただいま理事ご指摘のとおり、どのような状況においても、都民生活に不可欠な事業は着実に進めていくことが必要であると考えております。
 今後は、これまでの入札契約制度の基本的な考え方を堅持しつつ、建設市場における状況の変化や、その時々の課題への機動的な対応をより重視して、実効性、持続性の高い取り組みを通して、入札に参加しやすい環境の整備に取り組んでまいります。

○秋田委員 今の答弁のとおり、基本的な認識は共有しており、安心はしておりますが、建設市場がいかように変化しても、最適な受注者を選定して契約していくことが、入札契約制度の普遍の役割であり、都が発注する工事の主要な担い手は、都内の中小企業であるという基本的な事実を忘れてはなりません。
 それを踏まえれば、中小企業が積極的に入札に参加するよう意欲を高めることが重要であることは明らかです。
 現在、比較的金額の低い工事についても、建設共同企業体、いわゆるJVを対象に発注していますが、そこでは入札参加企業数が大きく減少していると聞いています。JV基準を見直し、中小企業の活躍の場を広げることは、不調を減少させる効果も期待できます。
 そこで、中小企業の活躍の場を広げるという視点で、建設工事の発注方法の見直しに取り組むべきだと考えますが、所見を伺います。

○中井財務局長 ご指摘のとおり、現在は、比較的金額の低い工事についてもJVを対象として発注しておりますが、そのような工事は入札参加希望者が少なくなってきております。このため、そのような工事については、能力のある中小企業が単独で受注できるようにするなど、基準の見直しを行ってまいります。
 具体的には、これまでJVに向けて発注してきた工事の基準額を引き上げ、大規模な工事に限ってJVの対象とするとともに、企業が単独で入札に参加できる工事の規模と件数を拡大してまいります。

○秋田委員 建設市場にしっかりと向き合った取り組みには、事業者側もしっかりと応えてくれるはずです。
 現在の不調増加の主な原因には、労務費や資材価格の先高感もあります。
 最新の単価で積算を行ってきたこれまでの努力は認めますが、入札契約手続に一定の期間を要するため、現在のような建設費の上昇局面では、予定価格と入札時点での実勢価格との間で乖離が生じてしまいます。
 建設市場の動向を反映した予定価格の設定について、どのように取り組むのかを伺います。

○中井財務局長 予定価格の設定に当たっては、市場の状況に即した単価を用いて、実際の施工条件を反映した積算を行うことが重要であり、引き続き適切に行うよう徹底してまいります。
 これに加え、今後は新たな取り組みとして、積算から入札までの期間が比較的長い大規模な工事案件について、公表期間中に単価改定等があった場合などは、予定価格そのものを修正し、実勢価格に近づけた価格で入札を実施する方向で取り組んでまいります。

○秋田委員 事業者は、これまでバブル崩壊後の長く長く厳しい低迷の時期があるだけに、現在の活況においても将来の不安が払拭できずにいます。
 そのために建設事業者は、将来を担う新たな人材の確保にちゅうちょしているのです。
 都が、建設市場としっかりと向き合い、将来も公共事業にしっかりと取り組んでいくというメッセージを送ることが、今、最も大切なことだと思います。
 そして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック、さらにはその先も、都民の生活や活動を支えるインフラ整備は続くわけです。
 当面の課題解決を図りつつ、同時に長期的な展望を見据え、全庁がまさに一丸となって、よりよい公共調達の実現に向けて取り組むよう要望し、我々もともに尽力していくつもりであることを表明して、次の質問に移ります。
 これより各局の予算についてお尋ねしてまいります。
 最初に、防災について伺います。
 さて、きのうで、東日本大震災から丸三年となりました。改めて、犠牲になられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げます。
 被災地の一日も早い復興と、首都東京の高度防災都市づくりに向け、都議会自民党は引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 発災時の被害を抑制するには、自助、共助の取り組みを強化することが不可欠であります。都民一人一人が意識を持って、具体的に防災に取り組む必要があります。防災意識の向上は、行政が都民の理解を得ながら公助を進めていく上でも大変重要です。
 我が党はこれまでも、都民目線で、都民の行動、生活に即した形でわかりやすくまとめた冊子やパンフレットを作成し、広く都民への周知を図ることなどを求めてきました。
 都は、家庭での防災対策を取りまとめた冊子の検討、作成経費を来年度予算案に盛り込みましたが、この冊子を家庭内できちんと活用させ、都民みずからの備えの強化に生かしていくことが重要と考えます。
 改めて、この防災ブックを作成する意義について、知事の見解を伺います。

○舛添知事 東京を世界一安全・安心な都市にして、都民の生命と財産を守ることが、知事として最大の使命であります。
 私がかつて取り組みました新型インフルエンザ対策では、子供からお年寄りまで国民一人一人の団結によりまして、感染の拡大を防ぐことができました。
 甚大な被害が見込まれる首都直下地震への対応も、私は同様であると考えております。都民一人一人の力を結集させなければ、あす起こるかもしれない大災害に対処できないと思います。
 スイスでは、政府が全戸に、国防の観点から国民の備えをまとめた民間防衛という冊子を配布しております。私はスイスに住んでおりましたから、実際、この冊子をいただきましたけど、この冊子には、効果的な食料備蓄の仕方など具体的な記述がありまして、防災の視点からも大変参考になると考えております。
 今後、こうした冊子も参考にしながら、一家に一冊常備されるような、そういう各家庭における防災指針ともなるような冊子を作成して、それを踏まえた住民参加型の訓練を実施する、そういうことなどを通じまして、都民一人一人の防災活動をさらに活発化させていきたいと考えております。

○秋田委員 防災ブックが家庭内で活用されるよう内容を工夫するとともに、区市町村とも十分に連携協力して、防災ブックを、例えばアプリにするなど、都民目線に立った取り組みを進めていただくことを強く要望しておきたいと思います。
 続いて、大島町の復興について伺います。
 昨年十月の台風により、大島の元町地区において大規模な土砂災害が発生してから、間もなく五カ月となります。
 このたびの災害では、都の砂防施設などが被害の拡大を防いだことや、発災後、直ちに大型土のうを設置し、次の台風に備えるとともに、都道の障害物除去作業を実施し、翌日には全線通行可能としたことなど、これまでの東京都の取り組みを評価したいと思います。
 一方、主要な町道である御神火スカイラインなども甚大な被害を受けており、砂防施設の機能回復、向上だけでなく、道路の復旧も急務となっています。
 そこで、建設局における現在の対応状況と、復旧に向けた今後の取り組みについて伺います。

○横溝建設局長 大島の砂防施設につきましては、応急対策として、堆積工の中にたまった土砂の除去を既に終え、現在は大金沢の堆積工のかさ上げ等を実施しておりまして、ことしの梅雨どきまでに完了させます。
 さらに、学識経験者や国を交えた検討委員会において、斜面の崩壊や土石流を防ぐ砂防堰堤などの整備、また土砂災害に対する危険な区域の見直しなど、ハード、ソフトの両面から検討を進めており、今月中には本格的な復旧対策について取りまとめ、大島町と調整しながら早急に対策を実施してまいります。
 また、道路につきましては、平成二十六年度中に都道において残る一カ所の復旧を完了させるとともに、御神火スカイラインや泉津地区などの町道の早期復旧に向け、引き続き職員を派遣し、大島町への技術的支援を行ってまいります。
 今後とも、町民の安全・安心の確保に向け、スピード感を持って取り組んでまいります。

○秋田委員 災害廃棄物処理支援について伺います。
 都は、昨年十二月から廃畳などの受け入れを開始しており、災害廃棄物の処理は本年十二月までに終了する見込みです。島民生活や観光などにも配慮しながら、東日本大震災時に培ったノウハウを活用し、迅速に処理すべきと考えますが、見解を伺います。

○長谷川環境局長 大島町では、土砂まじりの災害廃棄物が約十一万トン発生しており、このうち島外での処理を要する約三万三千トンについて、都は東日本大震災で蓄積した経験を活用し、関係機関と一体となって迅速な処理を図っております。
 昨年十二月から、腐敗が始まり早急な対応が必要となった廃畳などから優先して島外搬出し、民間処理施設での受け入れを開始しており、本年一月からは、東京二十三区清掃一部事務組合の清掃工場で木くずなどの可燃性廃棄物を、民間処理施設で廃木材や建設混合廃棄物などを受け入れております。
 今後も、大島町と連携しながら迅速に処理を進め、今月中には市街地にある一次仮置き場を解消し、夏の観光シーズン前の六月までには、八カ所ある全ての一次仮置き場を撤去できるようにして、年内に災害廃棄物の処理を終了させてまいります。

○秋田委員 次に、大島の産業の復興について伺います。
 大島で暮らす住民の生活の安定を図るためには、暮らしの基盤となる産業の復興が速やかに進むことが重要です。被災した会社の立て直しや運営に必要な資金をどう確保していくかが課題となっています。また、土砂が堆積した農業施設や、崩壊した林道などの復旧とともに、優良な漁場が被害を受けた水産業の立て直しも重要です。
 島の産業の復興を計画性を持ち効果的に実施するため、東京都としてどのような対応を進めていく考えか所見を伺います。

○塚田産業労働局長 大島町が一日も早い復旧を果たせるよう、都は、発災後直ちに中小企業者向けの災害復旧資金融資を立ち上げました。厳しい被害の実情を踏まえ、融資限度額を大幅に引き上げ、利子や信用保証料を全額補助するなど、手厚い措置を講じております。売り上げの減少等の間接被害に対しても特別融資を実施しており、来年度も支援を継続してまいります。
 また、農林水産業については、直ちに現地の状況調査を行うとともに、国等との調整を図り、今年度補正予算において、農業用貯水池の速やかな復旧支援に加え、山腹崩壊に伴う治山、林道の復旧工事に着手いたしました。
 来年度は、引き続き治山、林道の工事を実施するとともに、漁場の造成にも取り組んでまいります。また、大島町とも緊密に連携しながら、被災された農業者の営農再開に向けた支援を行ってまいります。
 こうした取り組みを精力的に進め、大島町の産業の復興を図ってまいります。

○秋田委員 次に、大島町の復興計画策定への支援についてお尋ねします。
 大島の復興を進めていく上で、被災者の将来設計をも左右する復興計画は極めて重要なものであり、迅速かつ着実に策定される必要があります。
 一方で、大島町には、まちづくりに従事する人材やノウハウなどが不足していることから、策定作業のおくれも懸念されます。
 あくまで町の将来を決めるのは町ですが、都も町の復興計画策定作業を積極的に支援するべきだと考えます。都は、これからどのような支援を行っていくのか伺います。

○中西総務局長 大島町は、被災者の方などの意見等も踏まえながら、復興計画を策定するため、先月、復興計画策定委員会を設置いたしました。本委員会には、町や有識者の委員とともに、都の関係局の部長も委員として参画し、住民の合意形成の進め方などについて検討いたしております。
 また、都におきましては、全庁横断的組織でございます大島災害復興対策連絡調整会議のもとに、復興計画策定等支援ワーキングを設置し、大島町の復興計画策定に対して、組織的、継続的な支援を行うこととしております。
 既に、大島町が先月、住民意向調査を実施した際には、調査票の作成に向けて技術的助言を行うなど、きめ細かく対応しているところでございます。
 今後とも、このワーキングでの取り組みを中心に、大島町の復興計画の策定を積極的に支援してまいります。

○秋田委員 大島復興は、まだ道半ばであります。被災者の方、そして大島町の住民が安心して暮らしていけるよう、全庁を挙げた取り組みが不可欠です。引き続きの取り組みを要望しておきます。
 次に、伊豆・小笠原諸島の防災対策についてお尋ねします。
 昨年発表された南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定によると、伊豆・小笠原諸島では、これまでの想定をはるかに上回る巨大津波が襲い、甚大な被害が発生するとされています。
 巨大津波に対し防潮堤のみで防護することには限界があり、今後は、避難などを含めた対応も考慮すべきと考えます。
 そこで、今後の島しょにおける地震、津波対策について、都の取り組み方針を伺います。

○多羅尾港湾局長 大規模な地震、津波による被害を最小限に抑えるためには、地震、津波の発生頻度や規模別に対策を講じていくことが重要です。このたび、その指針となる基本方針を定めたところでございます。
 具体的には、発生頻度の高い地震、津波に対しては、防潮堤等の構造物で守り切る防災対策を講じてまいります。
 また、発生頻度が少ない最大クラスの地震、津波には、避難施設等により、最低限人命を守ることを目標としていきます。さらに、防潮堤等を津波に対して倒壊しにくい構造に改良し、津波低減効果による減災対策を推進してまいります。

○秋田委員 防災、減災という二段構えの対策が必要ですが、中でも急務は、災害から人命を守ることではないのでしょうか。地震直後、伊豆諸島の各港には短時間で巨大な津波が来ると想定されており、港を利用する人々が高台へ避難することができない場合、いかにして安全な場所に誘導するかが喫緊の課題であります。
 大島の岡田港では津波避難タワーが計画されていますが、その進捗状況及びその他の港における避難タワーの整備について伺います。

○多羅尾港湾局長 岡田港では、現在、津波避難施設の設計を実施しており、来年度から工事に着手し、避難タワーは平成二十七年度に完成する予定でございます。
 他の港については、調査の結果、地震発生から五分後に避難を開始しても、想定される津波到達時間までに高台等への避難が困難な港湾、漁港が、大島、新島、神津島、三宅島の四島に合わせて九港あることが明らかになりました。
 今後、避難タワーの整備に向けて、地元町村や国など関係機関と調整しつつ、地形や利用形態等を調査の上、最適な位置及び規模等を決定し、早期に整備してまいります。

○秋田委員 迅速かつ積極的な取り組みを期待しております。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 特定沿道建築物については、条例対象のうち、七五%を超える建物所有者が診断に着手していると聞きました。
 今後は、診断を終えた建物所有者が、補強設計や改修工事の段階に一層進んでいくと考えられ、都は平成二十七年度までの耐震化完了に向け、取り組みを強化する必要があります。
 国は昨年、耐震改修促進法の改正にあわせて助成制度を拡充しました。
 第四回定例会の代表質問において、東京都は、国が拡充した助成制度を活用し、建物所有者の費用負担を軽減するとの答弁がありましたが、具体的にはどのような内容なのか伺います。

○藤井東京都技監 都は、昨年の耐震改修促進法の改正を受けまして、国が拡充した助成制度を速やかに活用できるよう、耐震改修促進計画の変更に着手いたしまして、本年一月から補強設計や改修工事における建物所有者の負担を軽減しております。
 具体的には、補強設計につきまして、設計費用の最大六分の五であった助成率を、全額の助成が可能とするとともに、改修工事につきましても、延べ床面積五千平方メートルまでは、工事費用の最大六分の五であった助成率を十分の九まで引き上げました。
 こうした助成制度の拡充により、建物所有者の費用負担を軽減いたしまして、耐震化に向けた取り組みを加速してまいります。

○秋田委員 国は法改正で、区分所有建築物の改修工事の決議要件を緩和する制度を創設しました。
 特定沿道建築物の中には、分譲マンションが多く存在しています。診断までは自己負担なく進んでも、改修工事には多額の費用が必要となり、合意形成で苦労していると聞いています。
 都としても、特定緊急輸送道路沿道の分譲マンションについて、改修工事における費用負担の軽減を図っていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○藤井東京都技監 分譲マンションの改修工事を促進するためには、工事費用の負担を軽減するなど、区分所有者の合意形成を支援することが重要でございます。
 このため、分譲マンションにつきましては、今回の助成制度の拡充に加え、来年度から、規模にかかわらず改修工事の助成率を最大十分の九まで引き上げることといたします。
 これにより、改修工事への取り組みが困難であった分譲マンションにつきましても、耐震化を促進いたしまして、震災時でも緊急輸送道路の機能が確保された安全な都市東京を実現してまいります。

○秋田委員 次に、分譲マンションの再生について伺います。
 マンションは、修繕や改修だけでは良好な居住環境の確保が困難な場合もあり、建てかえによって再生を図っていくことも必要です。
 都の調査では、分譲マンションの建てかえ時の平均築年数は、約四十一年とのことです。十年後には、現在の都内分譲マンションの、何と四分の一以上が着工から四十年以上経過する見込みです。
 マンションの建てかえは、多数の区分所有者の合意が必要な上、高齢化や費用負担などの課題があり、なかなか進まないというのが現状です。
 建てかえが円滑に進むよう、都はどのように取り組んでいくのかを伺います。

○藤井東京都技監 建設から年数の経過した分譲マンションの増加に伴い、今後、その建てかえ需要が高まるものと考えられます。
 都はこれまで、建てかえが円滑に進むよう、アドバイザー派遣や工事費助成などの支援を行ってまいりましたが、建てかえが実現したマンションは敷地に余裕があるなど、条件に恵まれていたものが多くございます。
 そのため、来年度からは、単独での建てかえが難しく、隣接地との共同建てかえを行おうとするマンションに対しまして、初期段階での検討費用を支援するモデル事業を新たに実施いたします。
 さらに、建てかえにかかわる規制緩和や開発事業者等への敷地売却制度の創設など、国の法改正の動向を見定めつつ、都といたしまして、建てかえなどを円滑に進めるための新たな方策について検討してまいります。

○秋田委員 次に、東部低地帯における河川の水門や堤防などの耐震対策について伺います。
 隅田川、荒川、江戸川に囲まれ、地盤の高さが海面より低い、いわゆるゼロメートル地帯が広範囲を占める東部低地帯では、約三百万人の人々が河川の堤防や水門に守られて生活をしております。
 都はこれまで、これら施設の耐震対策を着実に進めてはおりますが、東日本大震災を受けて、現在、安全性のさらなる向上を早期に図るため、新たな計画に基づいた対策を行っております。
 そこで、この計画に示された河川施設の耐震対策について、進捗の状況と今後の見通しを伺います。

○横溝建設局長 都は整備計画に基づき、これまでに隅田川など約九・六キロメートルの地盤改良などによる堤防の補強と、大島川水門など五施設で水門の門柱の耐震性強化などの事業を進めております。
 平成二十六年度は、新たに中川など七河川、約八・九キロメートルの堤防と、竪川水門など五施設の耐震補強工事を実施いたします。これによりまして、計画延長約四十キロメートルの高潮堤防のうち、約三割の区間、また水門など全二十二施設のうち十施設を事業化することとなります。
 さらに、大規模でゲート数が多い上平井水門と今井水門につきましては、平成二十七年度の着工に向け、プロポーザル方式を活用し、工期短縮が図れるよう設計を進めてまいります。
 今後とも、平成三十一年度までの高潮堤防と水門等の耐震対策の完了に向け、事業に邁進してまいります。

○秋田委員 さて、冒頭に申し上げた東京都市圏のGDP世界一などを支えている重要な要素の一つは、実は多岐に広がっている東京の鉄道網だと思います。
 首都圏の鉄道は、カナダの総人口を上回る一日約四千万人もの乗客を、正確かつ安全に輸送し、活発な都市活動を支えています。中でも、新宿駅は一日約三百六十万人と、横浜市の全人口に匹敵する世界一の乗降客数を誇り、ギネスブックにも記載をされております。まさに首都東京を代表する駅であり、駅周辺は業務、商業が高度に集積した、東京の発展を先導する中核拠点となっています。
 新宿駅周辺では、平成二十四年一月に特定都市再生緊急整備地域が指定され、さらに現在、南口において、高速バスターミナルの整備などを初めとした都市基盤整備や駅の東西を結ぶ自由通路の整備が着々と進展しており、駅周辺を再整備するまたとない機会を迎えています。
 そこで、こうした機会を逃さず、世界一のターミナル駅にふさわしい、駅周辺の建てかえと都市基盤が一体となったまちづくりを進めていくべきだと考えますが、都の取り組みを伺います。

○藤井東京都技監 駅周辺におきまして、民間開発と都市基盤の一体的な整備を進め、業務、商業、文化など多様な機能が集積した安全・安心で利用しやすい拠点を形成していくことは重要でございます。
 世界一のターミナルである新宿駅周辺につきましても、駅前広場などにおけるユニバーサルデザインへの対応や、周辺建物と都市基盤との連携、防災機能の一層の充実など、時代に合わせた機能の向上が急務となっております。
 このため、都は、将来を見据え、地元区や関係事業者などと駅を核とした周辺まちづくりや都市基盤のあり方につきまして、検討を進めております。
 今後、検討をさらに深めた上で、駅周辺のまちづくりや基盤整備に関する方針案を取りまとめ、魅力と活力にあふれた新宿の新たな顔づくりに取り組んでまいります。

○秋田委員 次に、知らずに利用されている方もこの中には多いと思いますが、新宿駅周辺の基盤整備の一つである新宿歩行者専用道についてお尋ねします。
 この専用道は、都庁の移転や新宿副都心整備にあわせ、増加する昼間人口に対応するため、京王新線新宿駅から甲州街道の下を通って、都庁舎を経由し、丸ノ内線西新宿駅まで行き、さらに青梅街道の下を経て、丸ノ内線新宿駅まで戻ってくる路線として計画されたと聞いています。
 既に都庁舎までの第一号線が整備をされ、現在、第二号線の整備が進められていますが、この間、財政再建推進プランにより工事が中断しておりました。平成二十一年度に工事が再開され、一部ができたものの、さらに新宿駅西口方面へ整備を進め、ネットワークを完成させる必要がございます。
 そこで、第二号線の整備効果と今後の取り組みについて伺います。

○横溝建設局長 新宿歩行者専用道第二号線につきましては、都庁第一本庁舎から新宿警察署付近までの区間を既に供用しておりまして、残る新宿駅までの区間を整備することにより、新宿副都心地区の地下歩道がループ状につながることとなります。
 これによりまして、甲州街道と青梅街道が地下で結ばれ、JRなどの新宿駅や都庁前駅などの各駅と周辺施設のアクセス性が向上するとともに、副都心地区の回遊性が一段と高まります。
 平成二十六年度は、新宿警察署付近から青梅街道にかかる新都心歩道橋付近までの約百四十メートルの区間について、地下歩道の本体工事に着手をいたします。
 今後とも、新宿地下歩道ネットワークの形成を目指し、誰もが安全で快適に回遊できる歩行者空間を創出してまいります。

○秋田委員 新宿駅は、多摩の皆さんにとっても基点の駅でございますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 そこで、今月発表した新たな多摩のビジョン行動戦略の素案についてお尋ねをします。
 知事も今回の選挙活動を通じ、認識されたと思いますが、東京は広く、かつ地域ごとに多彩な文化や特性を持っており、今後の東京の発展には、こうした東京の多様性を踏まえて個々の地域の発展を図る必要がございます。多摩が直面する課題や地域特性などを踏まえた振興策の推進が多摩の発展、ひいては東京の発展につながります。
 そこで、今回の行動戦略に基づいて、今後の多摩地域の振興にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。

○中西総務局長 このたび発表いたしました行動戦略は、昨年策定した新たな多摩のビジョンで示した目指すべき姿を、都のみならず市町村や民間企業など、多摩の総力を結集して実現するために策定したものでございます。
 こうした考え方のもと、高齢者を支える仕組みづくりや産業集積の維持発展に向けた競争力の強化、交通インフラの整備など、平成二十六年度の事業費で約四千億円に及ぶ都の取り組みを盛り込むほか、市町村や民間等の先進的な取り組みをあわせて、二十の戦略として体系化いたしました。
 今後、目指すべき多摩の姿の実現に向け、多摩島しょ振興推進本部のもとで、全庁を挙げて都事業を推進するとともに、ビジョン連携推進会議で市町村や民間企業と連携して、新たな取り組みについて多面的に検討するなど、多摩振興を積極的に進めてまいります。

○秋田委員 新たな多摩のビジョンで掲げた、活力に満ちた多摩を実現するためには、地域振興の取り組みを広く発信し、多くの人に多摩を訪れてもらい、多摩を知ってもらうことが、まず第一歩となります。今年度実施された、多摩の魅力発信プロジェクトや、スポーツ祭東京二〇一三における地域の魅力を発信する取り組みは、地域に興味を持つ人をふやすという意味で、振興策の種まきといえるものであり、一過性のものとせずに継続して行っていくべきです。
 そこで、今後、東京都はどのように多摩の魅力発信に取り組んでいくのかを伺います。

○中西総務局長 多摩地域が今後も地域の活力を維持していくためには、市町村が主体となって、他の地域に住む人も巻き込みながら地域振興に取り組むことが重要でございます。
 このため、都では、多摩の魅力発信プロジェクトを行動戦略の取り組みの一つに位置づけ、市町村がみずからの区域の外に向けて魅力を発信する取り組みを、継続して支援していくための補助制度を創設することといたしました。
 具体的には、民間情報誌と連携した広報や、繁華街、駅構内などさまざまなエリアで地域の情報を発信する取り組み、民間のノウハウを取り入れた市町村職員の情報発信力強化に向けた取り組みなどを支援してまいります。また、都が本年度、多摩の魅力を発信するために作成したホームページやキャラクターなども活用し、市町村みずからが行う魅力発信の取り組みを強く後押ししてまいります。

○秋田委員 次に、東京の魅力を高め、住まうことの喜びを感じる施策の充実についてお尋ねをします。
 最初に、隅田川を中心とする水辺のにぎわいづくりについてお尋ねをします。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックでは、選手村や競技会場の多くが水辺に位置することになります。ロンドン・オリンピックでは、テムズ川に五輪のシンボルマークの巨大オブジェを登場させたり、あのベッカム選手が聖火を乗せた高速ボートに乗って疾走するなど、世界の注目を浴びました。
 東京のさらなる魅力向上には、下町から東京湾へとつながる隅田川が重要な役割を果たします。隅田川は、江戸時代から多様な文化が花開き、にぎわいあふれる空間であったことから、その活気を取り戻し、世界の人々を魅了するような施策展開が必要と考えます。
 そこで、隅田川を中心とする水辺のにぎわい創出に向けた取り組み状況について伺います。

○横溝建設局長 都はこれまで、隅田川においてスーパー堤防やテラス整備を進め、水辺に親しみやすい環境を整えるとともに、防災船着き場の一般開放、ヘブンアーティストやオープンカフェの誘導を行うなど、規制緩和により水辺の利活用を進めてまいりました。加えて、来週には、川沿いの店から直立する堤防の上まで高床を張り出し、飲食を楽しんでもらう、京都の川床に似たかわてらすが、都内で初めて日本橋川に誕生いたします。
 一方、このような取り組みを進める中で、新たな水辺のあり方検討会を設置し、この検討会からは、にぎわい誘導エリアとして、浅草、築地などの四地区を選び、一、水辺の回遊性を高めること、二、利活用の場として魅力向上させること、三、民間事業者を誘導する仕組みづくりを行うことを重点的に展開していくべきとの提言をいただいてございます。
 これを踏まえまして、平成二十六年度は具体的な事業計画を策定し、にぎわいあふれる水辺の実現を目指してまいります。

○秋田委員 知事がよくご存じのセーヌ川やテムズ川より、よっぽど今の隅田川の方がきれいだと思いますから、しっかりと頑張っていただきたいと思います。
 次に、文化財庭園についてお尋ねをします。
 都立の文化財庭園は九カ所ありますが、このうち浜離宮恩賜庭園は徳川将軍の別邸で、明治時代には皇室の財産となり、戦後、東京都に下賜されたものです。この庭園は、京都の金閣、銀閣など、全国にわずか六カ所しかない、国の特別名勝と特別史跡の両方に指定された文化財の一つでもあり、都市空間に潤いと風格を与え、江戸の文化を発信する貴重な財産です。
 江戸時代に建造された大手門や茶屋は、震災や戦災で焼失したと聞いております。これらの建築物を復元することにより、格式の高い庭園の姿を後世に伝え、東京オリンピック・パラリンピックの開催時に、内外からの多くの来訪者をもてなす、おもてなしの空間としても整備することは意義あると考えますが、所見を伺います。

○横溝建設局長 江戸時代の浜離宮恩賜庭園には、池回りに回遊式庭園の景観を構成する五棟の茶屋のほか、正面入り口の石垣の上には将軍を守るためのやぐらを備えた壮大な大手門が配置されておりましたが、震災や戦災で焼失をいたしました。
 このうち、茶屋群の復元につきましては、これまでに松の茶屋など二棟が完成し、現在、燕の茶屋の工事に取り組んでおります。一方、隆盛をきわめた往時の象徴的な建造物である大手門につきましては、その姿を再現するため、平成二十六年度から新たに基礎調査に着手し、宮内庁などから文献収集や史跡の保護に関する文化庁との調整を進めてまいります。
 今後とも、これらの建造物の復元により、国内外からの多くの来訪者をお迎えし、日本文化の魅力を伝えてまいります。

○秋田委員 東京には明治神宮など歴史のある緑から、多摩・島しょの森林まで、多彩な自然が広がっており、都市公園や街路樹など市街地の緑とともに、本当に大きな魅力となっています。しかし、残念ながら、ある世界の都市ランキングによれば、都心部の緑に関しては二十二位にとどまるなど、緑施策の推進は今後のまちづくりにおける重要な課題となっています。
 また、二〇〇〇年のシドニー大会以降、全てのオリンピック・パラリンピック開催都市が大規模な緑化や生物多様性の保全に取り組んでおり、都の取り組みに世界が注目をしております。
 東京都はこれまで、海の森など都内に千ヘクタールの緑をふやす取り組みに加え、生物多様性の視点に立った施策にも着手していますが、今後、こうした取り組みを一層推進すべきです。
 そこで、今後の東京の緑施策に対する知事の基本認識について伺います。

○舛添知事 今ご指摘のように、緑は、人々に潤いや安らぎを与えるほか、水の浄化、風格ある都市景観の創出など、多くの恩恵をもたらしております。
 東京の自然環境は、多摩・島しょの森林、丘陵地の里山、市街地に残る農地、屋敷林など、地域ごとに独自の顔を持ち、豊かでありますけれども、宅地造成に伴って減少するなど、厳しい状況にさらされております。
 都はこれまで、海の森や都市公園の整備などに重点的に取り組み、良好な緑空間の創出を図ってきており、今後も、こうした緑の量をふやす施策を推進してまいります。あわせて、国際的に意識が高まっております生物多様性の保全という視点を加え、在来種の植栽を推進するなど、緑の質を高める施策にも取り組みたいと考えております。
 緑の保全や森づくりなどにおいて、都民や事業者の参画も得ながら、質、量両面にわたる緑施策に全庁を挙げて取り組み、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい、自然環境と共生する都市を実現していきたいと考えております。

○秋田委員 力強いご答弁ありがとうございました。
 東京都は今年度から、在来植物をふやす江戸のみどり復活事業に取り組んでいますが、オフィスや商業施設などの中には、例えば深川ギャザリアのように、在来種による植栽を大規模に再生している先進的な事例も見られます。在来植物は季節ごとに豊かな表情を持ち、東京の魅力向上に欠かせない要素でもあります。
 都は、在来植物の増加に向け、広く都民や事業者と連携した取り組みを積極的に推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○長谷川環境局長 東京の生き物の生息空間を拡大し、ネットワークを築くためには、行政による取り組みに加え、都民や企業などが取り組む在来植物による緑化を促進することが重要でございます。
 このため、区市町村との連携による江戸のみどり復活事業を一層推進いたしますとともに、来年度から、先駆的に在来種植栽を行っている民間事業者との協働により、実際の植栽地において管理上生ずる課題の解決策を検証いたします。
 また、苗木生産や造園など幅広い関係業界が参画する検討会議を立ち上げ、在来種の本格普及に向けた取り組み方策や効果的な普及啓発策などを多角的に検討してまいります。
 こうして得た知見を、民間企業等の参画を得てフォーラムを開催するなど、広く情報発信し、在来植物による緑化のさらなる促進に努めてまいります。

○秋田委員 都民の皆さん、そして企業の皆さんなどともしっかり連携して取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 東京を世界で一番の環境都市とするためには、地域の実情を踏まえたきめ細かな取り組みが必要です。省エネ対策、資源リサイクルの推進などの環境課題についても、地域からの取り組みをより一層促進する仕組みが必要です。そのためには、地域に一番近い区市町村との連携を、より強固なものにしなければなりません。
 区市町村の皆さんが実施する地域に密着した環境施策への取り組みをどのように支援していくのか、見解を伺います。

○長谷川環境局長 世界一の環境都市の実現に向けては、お話のとおり、地域の多様な主体と密接なつながりのある区市町村との連携を強化することが重要でございます。
 そこで、区市町村が地域の環境課題に継続して取り組めるよう、環境公社に五十億円規模の基金を設け、今後十年間を期間とする新たな財政支援の仕組みを構築いたします。これにより、身近な緑の保全、家庭や中小企業の省エネ対策など地域に根差した取り組みを着実に推進してまいります。
 また、資源リサイクルの推進など広域的課題については、先駆的な取り組みなどの情報の共有化を進めますとともに、アスベスト対策など専門的な課題に対しては、人的、技術的サポートを強化するなど、多面的な支援策を講じてまいります。
 こうした取り組みにより、区市町村が中長期的な視点で着実に環境課題に取り組めるよう、強力に後押ししてまいります。

○秋田委員 次に、産業政策についてお尋ねします。
 最初に、中小企業への支援についてでございます。
 都内の企業数の九九%を占める中小企業を活性化し、東京の将来に向けた発展を図ることは、東京の活力維持に本当に重要なテーマでございます。そのため、事業の新たな展開や拡充などにつながる設備投資を積極的に行うことが必要ですが、中小零細企業では、資金の確保等は容易ではございません。
 我が党は、設備投資の活性化に向け、中小企業の実情に即した踏み込んだ支援を主張してまいりました。
 さきの本会議で、都は設備投資の助成に二百億円の基金創設を明らかにしましたが、その具体的な内容について伺います。

○塚田産業労働局長 都内中小企業がさらなる発展を遂げていくためには、成長分野への参入や付加価値の高いものづくりを目指し、効果的な設備投資を着実に実行していくことが重要であります。
 このため、都は来年度より、成長産業等設備投資特別支援事業を開始いたします。健康、環境・エネルギー、危機管理など五つの成長分野での事業展開や、製品加工の精度、スピードの大幅な向上といった付加価値の高いものづくりに取り組む中小企業を対象に、必要な設備導入に係る経費の二分の一について、一億円を限度に助成いたします。さらに、小規模事業者については、三千万円を限度に助成率を三分の二へ引き上げます。
 こうした支援策を展開することにより、中小企業の成長へ向けた積極的な取り組みを着実に後押ししてまいります。

○秋田委員 次に、都市農業の振興について伺います。
 我が国の食料自給率は先進国の中で最低水準であり、都道府県別でも、東京はわずか一%と、大阪、神奈川の二%よりも低い状況です。
 食料安全保障の観点からも、東京都は農産物の生産体制を強化しなければなりません。東京の農業者が、生産基盤となる農地をしっかりと確保しながら、経営の力を高めていくことができるように、東京都としても着実に支援を行うことが重要と考えます。
 さきの本会議では、知事から、都市農業の振興に向けた意気込みと方向性を示していただきました。その中で、経営力向上や都市農地保全に向けた意欲的な取り組みが明らかにされていますが、これらを具体的にどのように進めていくのかを伺います。

○塚田産業労働局長 都市農業の振興には、経営力の向上と農地保全という二つの面から施策を強化していく必要がございます。
 まず、経営面では、専門家派遣事業等による助言を受けた農業者の取り組みをさらに後押しするため、新たに農業経営サポート事業を開始いたします。具体的には、付加価値向上を図るための加工品開発のほか、販路拡大に向けた飲食店やスーパーとの商談会などに係る経費の二分の一を補助いたします。
 また、農地保全策としては、防災や環境保全など、農地の多面的機能を発揮させる区市の取り組みを促進する都市農地保全支援プロジェクトを新たに開始し、来年度は、災害時の避難場所に活用できる体験農園の整備など、四つの区市が実施する取り組みに対して支援を行ってまいります。

○秋田委員 社会の活力を維持し高めていくためには、これまでにも増して女性の力を発揮する場を確保することが重要です。
 残念ながら、我が国では、企業などにおける役員や管理職に占める女性割合は一一・一%で、三〇%を超える欧米諸国と比べると、女性の力を引き出す余地はまだまだ大きいものと考えます。
 一方で、多くの都内中小企業では、女性の活躍に向け、どう対応したらいいのか模索している状況もあるそうです。また、退職した女性が育児などをしつつ、再就職を目指しスキルアップしようとしても、通学できる距離や時間帯などに制約があるために、その機会は限られてしまいます。
 東京都は、女性の活躍を一層促進していくため、どのように取り組んでいくのか、具体的な施策について伺います。

○塚田産業労働局長 女性が仕事を通じ、能力を十分に発揮するためには、働きやすい環境を整備するとともに、職業訓練を通じて再就職を後押ししていくことが重要であります。
 都は、来年度新たに、中小企業における女性の活躍を推進する提案を募集し、その取り組みに必要な経費助成を行います。
 具体的には、中小企業が実施する職域拡大や管理職登用など、波及効果が高く、他の企業のモデルとなる取り組みに対して年間一千万円を支援いたします。また、中小企業団体等が加入企業に対して行う女性の活躍を促す普及啓発などの取り組みに、年間一千三百万円を支援いたします。あわせて、育児や家事などの制約があっても無理なく受講できるよう、場所や時間を設定した職業訓練を二百六十名規模で開始いたします。
 こうしたさまざまな施策により、女性の活躍を積極的に支援してまいります。

○秋田委員 次に、高齢者の在宅生活を支える取り組みについて伺います。
 東京都内においては、核家族化の進行などにより、単身世帯や夫婦のみ世帯が増加するとともに、地域のつながりも希薄になってしまいました。さらに、何らかの支援が必要な認知症の人は、現在の約二十三万人から、二〇二五年には高齢者人口の約一一%に当たる約三十八万人にも達する見込みです。
 こうした中、高齢者が住みなれた地域で暮らしていくためには、住まい、医療、介護、予防、生活支援の取り組みを連携して進める地域包括ケアシステムの構築が必要です。このシステムの構築に向け、地域包括支援センターの役割はますます重要となりますが、都内のセンターの現状を見ると、区市町村との連携が必ずしもうまくいっていないなどの課題がございます。
 また、次期介護保険制度の改正で予定されている介護予防の大きな見直しなどへの対応もセンターには求められております。
 センターの機能強化については、我が党の政策提言においても強調したところであり、東京都も、来年度から区市町村への新たな支援策を打ち出したことは高く評価しております。
 そこで、新たな支援策の基本的な考え方と内容について伺います。

○川澄福祉保健局長 お話のように、地域包括支援センターは、地域における相談支援の拠点として、地域包括ケアを実現するための中心的な役割を担うことが求められております。
 そのため、都は来年度、地域包括支援センターにおける地域のネットワークづくりや介護予防の取り組みなどの機能を強化する事業を開始し、区市町村を支援することといたしました。
 この事業では、区市町村内のセンターを統括し、困難ケースや地域のネットワーク構築をサポートする機能強化型センターの設置や、介護予防について専門的助言や技術的支援を行う介護予防機能強化支援員のセンターへの配置を支援するとともに、センター職員の資質向上のために研修の充実を図ることとしております。

○秋田委員 次に、地域包括ケアシステムを支える人材確保についてです。
 東京都は、既に、東京都福祉人材センターを設けて、福祉介護人材の就職相談、あっせんなどを行っておりますが、今後の急速な高齢化と生産年齢人口の減少が見込まれる中、将来に向けた人材の安定確保が必要です。
 そこで、介護人材の確保に向けた新たな取り組みについて伺います。

○川澄福祉保健局長 将来に向け、介護人材を安定的に確保できるよう、都は来年度から、新たに、介護の現場を実際に体験し介護業務の魅力ややりがいを理解していただく事業、介護職を希望する学生等を対象に、無料の介護職員初任者研修を開講し資格取得を支援する事業、介護業務を希望する離職者等に、介護施設等を紹介し働きながらの資格取得を支援する事業を実施いたします。
 また、東京都福祉人材センター多摩支所を新たに設置し、多摩地域における福祉人材の紹介、あっせんや人材の定着、離職防止に向けた相談支援の充実を図ることとしております。

○秋田委員 さて、要介護高齢者の多くは、何らかの疾病を抱え医療サービスも欠かせません。住みなれた地域で暮らしていくためには、医療と介護の連携の重要な役割を果たす訪問看護ステーションが重要です。
 しかし、訪問看護ステーションは、比較的小規模な事業者が多く、職員への負担が大きくなっているそうです。
 そこで、訪問看護ステーションの訪問看護師の勤務状況を改善する新たな支援策について伺います。

○川澄福祉保健局長 都はこれまで、訪問看護師の人材を確保し育成するため、育成支援を担う教育ステーションの設置や認定訪問看護師の資格取得支援、管理者や指導者への研修等を実施してまいりました。
 しかし、お話のように、訪問看護ステーションは、小規模な事業者が多く、安定的な人材確保は困難であることや訪問時間以外の周辺業務が多いという実態がございます。
 このため、都は、来年度から新たに、看護師が研修に参加する場合や育児休業等を取得する場合に、代替職員を雇用する経費を支援するとともに、介護報酬や診療報酬の請求などの事務作業を補助するクラークをステーションに派遣するモデル事業を実施することといたしました。
 こうした取り組みにより、訪問看護師の勤務環境を改善し、ステーションの運営を支援してまいります。

○秋田委員 ぜひ、この事業が広く活用されるよう、しっかりPRを行っていただきたいと思います。
 さて、知事、これまで誰も経験したことのない超高齢社会を乗り切るためには、大都市東京における地域包括ケアシステムの実現に向け、知事の強いリーダーシップのもと、さまざまな施策を強力に推進していく必要があると考えますが、知事の決意をぜひお聞かせください。

○舛添知事 今お話しいただきましたように、我が国は世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでおりまして、近い将来、世界のどの国も経験したことのないような超高齢化社会を迎えると思います。
 そのとき高齢者が、たとえ介護が必要な身になっても、可能な限り住みなれた地域で生活できるようにするためには、高齢者のための適切な住まいを整備し、医療や介護、生活支援サービスが日常生活の場で切れ目なく提供できる、そういう地域包括ケアシステムを構築しなければならないと考えております。
 東京には、企業やNPO法人など多様な事業主体が活動しております。また、豊富な経験と知識を持った人材も数多くいます。
 こうした東京の特性を生かし、地域のさまざまな資源を活用しながら、都民が必要とするサービスを提供できる仕組みを構築することが都の役割でありますとともに、私の責務であると考えております。
 今後、自助、共助、公助、この三つの力を組み合わせてさまざまな施策を展開し、高齢者が安心して暮らし続けることができる大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築に向け、全力を尽くしてまいります。

○秋田委員 次に、保育所の整備に関して伺います。
 知事は、待機児童を四年でゼロにするとしていますが、そのためには、より一層、保育サービスの拡充に向けた取り組みを促進していく必要がございます。
 東京都は、先日の我が党の代表質問に対し、これまで行ってきた保育所などの整備費補助にかかわる事業者や区市町村のさらなる負担軽減を図ること、株式会社やNPO法人などさまざまな主体が保育サービスに参入できるよう新たな補助制度を東京都独自に創設するなど、保育サービスの一層の拡充に向けて取り組むとの答弁があり、大いに期待するところでございます。
 その中でも、東京都独自の認証保育所は、大都市特有の保育ニーズに対応する新たなサービスとして、東京都民の厚い信頼を得ております。しかし、残念ながら国はこうした実績を認めず、来年四月から始まる子ども・子育て支援新制度に位置づけておりません。保育ニーズは多様化しており、保護者の切実な思いに応えるには、認可保育所の増設はもちろんのこと、認証保育所も含めた多様なメニューでふやしていかなければなりません。
 そこで、認証保育所への支援について、知事の見解をお願い申し上げます。

○舛添知事 大都市特有の保育ニーズを踏まえ、十三時間開所やゼロ歳児保育などを義務づけた認証保育所は、都の保育施策の大きな柱であります。多様化する都民のニーズに応えて待機児童を解消するためには、認可保育所、認証保育所、家庭的保育など、さまざまな保育サービスを組み合わせながら、拡充していくことが必要であると思っております。お子様を抱えた親にとっては、本当にせっぱ詰まった問題でございます。
 そのため、来年度予算では、認証保育所を含む全ての保育所を対象に、施設整備費の拡充を図るとともに、認証保育所の改修経費も充実を図りました。また、認証保育所から認可保育所への移行を希望する際の支援策も盛り込んでおります。
 お話のように、現時点では、国は認証保育所を新たな制度には位置づけておりません。今後とも、私は認証保育所の制度化について、国と十分協議を行っていきたいと思っております。厚生労働大臣を務めました私であるからこそ、これはきちんとできる課題だと考えております。
 認証保育所は、現在、東京にはなくてはならない重要な保育サービスとなっております。平成二十七年度から始まる新制度においても、都として認証保育所をしっかりと支援してまいります。

○宇田川委員長 秋田理事、挙手を願います。

○秋田委員 本当に力強いご答弁ありがとうございました。現状でも、本当に困っているお父さん、お母さんがたくさんおりますので、知事のこれからの活躍に向けて、我が党もしっかりと一致団結して、一緒に闘ってまいる所存でございます。ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
 さて、一方、保育所は整備費への補助だけで進むものではありません。例えば、環境面での後押しといった観点も必要です。
 そこで私は、あえて、改めて知事や皆さんに伺います。子供の声というのは騒音なのでしょうか。
 誰もそうとは思わないと思います。しかし、現実には、最近、近所の方から苦情が寄せられるケースがふえているそうです。
 確かに、確かに、騒音対策は一義的には区市の業務であり、苦情者と施設側の間に区市の職員が入って問題解決に取り組んでおりますが、中には、新しい保育施設をつくる際に、東京都の条例の基準値を根拠に苦情を申し立て、紛争に発展するケースもあると聞いております。
 東京都はどのような紛争事例を把握しているのか。また、保育園や幼稚園などでの子供の声に対し、東京都条例がどのように適用、運用されているのかを伺います。

○長谷川環境局長 保育園の園庭や学校のグラウンド、公園での子供の声や物音をめぐって、公害審査会での調停や裁判に発展したケースが、都内のほか、神奈川や大阪などでも起きております。具体的には、施設側が隣地住宅の二重窓の費用を負担した事例、施設の利用時間を制限した事例、公園の一部施設の使用を制限する仮処分を受けた事例などがございます。
 環境確保条例では、何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならないと規定しておりまして、子供の声や物音もその規制基準値の対象となっております。
 実際に騒音苦情に対応している区市におきましては、保育園、学校などにおける子供の声や物音への苦情があった際には、現状を確認した上で、必ずしも規制基準を機械的に適用するのではなく、お互いの理解を得ながら、話し合いによる解決が図られるように努めているところでございます。

○秋田委員 多分、昔はこういった問題が、お互いの節度と寛容さの中で解決されてきたんだと思います。もちろん、静かな環境を求めたいという住民の皆さんの気持ちも理解できます。しかし、子供の声が昔より大きくなったわけではありませんし、子供の声を現状のように、工場や建設工事の騒音と一緒に扱っていいものなんでしょうか。子供たちを大切に育てていく環境づくりが、何よりも重要だと思います。
 環境規制のあり方というのは、その時代のニーズを踏まえ、絶えず見直さなければ、私はならないんだと思います。現に、ドイツでは、近年、ベルリン市条例と連邦法で、子供の声を騒音規制の対象から除外していると聞いております。
 東京都は、子供の元気な声や物音を、工場などの騒音と同列に規制している条例を見直し、子供の健やかな発達に配慮した制度にするべきです。所見を伺います。

○長谷川環境局長 成長過程の子供たちの声や物音をむやみに抑制することは、子供の健全な発育を妨げるというご意見がございまして、また、条例の中で一定の基準を示すことにより、騒音苦情の解決の目安になるという考え方もございます。
 貴重なご提言をいただきましたので、苦情者側、保育施設などの施設管理者側、それぞれの視点からバランスをとりながら問題を解決することができるよう、今後、騒音規制の窓口であります区市や施設管理者など関係者のご意見をお聞きし、子供の健全な発育に配慮した制度のあり方について検討してまいります。

○秋田委員 舛添知事、この点は、待機児童を実際にゼロにしていく上で大変重要な問題だと思っておりますので、ぜひともしっかりと環境局さんとも話して、ご協力いただきたいと思います。
 そもそも、子供の声、元気な子供の声というのは、私に限らず、皆さんにとっても、町の活気のシンボルだと思います。未来を担う子供たちのために、できる限り早期に見直しを行うことを、強く強く要請させていただきたいと思います。
 このように、待機児童解消に向けた取り組みをさらに一層加速するためには、福祉保健局による取り組みに加え、各局においても、保育所整備に寄与できる制度、仕組みの効果を遺憾なく発揮することが有効と考えます。ぜひとも局の垣根を取り払い、さまざまな知恵を絞ることを要望しておきます。
 次に、保育の人材について伺います。
 保育所の新設に向け募集をかけても、保育士がなかなか集まらないという相談を、私も事業者から受けることがふえてきました。待機児童解消に向けては、保育士確保も重要な問題です。その確保策として、業務負担の軽減も必要ですが、処遇改善も対策の一つと考えます。
 そこで、処遇改善に対する東京都の取り組みについて伺います。

○川澄福祉保健局長 今年度、国は、民間の認可保育所に勤務する保育士等を対象に、保育所の運営費の一部である民間施設給与等改善費に処遇改善分を加算する臨時特例事業を創設しました。都は、この事業を活用し、認可保育所への補助を実施するとともに、都独自に、認証保育所、小規模保育、家庭的保育などに従事する職員に対しても、一人当たり月額九千円の補助を実施しているところでございます。
 来年度も、引き続きこれらの補助を実施するとともに、就職支援から職場定着までサポートする就職支援コーディネーターを増員し、保育人材の確保、定着に努めてまいります。

○秋田委員 認証保育所などへの東京都独自の支援を初め、保育人材確保の取り組みは大変重要であり、引き続き支援をお願いしたいと思います。
 それから、ちょっと先ほど一点聞き忘れてしまったところがございますので、こちらでお尋ねさせていただきたいと思います。
 中小企業の活性化に向けては、金融面からの支援も欠かせません。中小企業が設備投資を行うに当たって、助成金によるサポートは非常に有効ですが、自己資金の確保など、企業のニーズに応じた金融面からの支援の充実も重要と考えます。
 東京都はさきの本会議で、設備の導入や更新に取り組む事業者向けに、制度融資のメニューを新たに設けるとしています。この新たなメニューでは利用者の負担軽減をどのように図るのか、具体的な取り組みについて伺います。

○塚田産業労働局長 製造用設備の更新や工場の建てかえなど、中小企業の生産性を高めるさまざまな取り組みに対して一体的な支援を行うため、制度融資の新たなメニューとして、設備更新・企業立地促進融資を創設いたします。
 このメニューでは、融資限度額を二億八千万円まで引き上げるとともに、利用者の負担軽減を図るため、貸出金利を最低で一・五%と、制度上最も低い水準に設定いたします。また、都が信用保証料の二分の一を補助し、さらに設備更新については補助率を五分の四とするなど、特に手厚い支援措置を講じます。
 先ほどの助成制度に加えまして、制度融資による金融支援を充実させることにより、都内中小企業の設備更新を強力に後押ししてまいります。

○秋田委員 次に、東京都民の健康増進に欠かせないスポーツ振興についてお尋ねをします。
 東京都は、先日の我が党の代表質問に対して、区市町村のスポーツ施設整備に対する補助制度を創設すると答弁いたしました。
 今後、区市町村が積極的にこの制度を活用し、都民が身近な地域でスポーツを楽しめる環境を充実することを期待しますが、この補助制度の対象となる施設整備の具体的な内容について伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
区市町村に対するスポーツ施設整備費の補助制度は、都民が身近な地域でスポーツを行う場を拡大し、誰もが利用しやすいバリアフリーを促進することで、スポーツを実践する都民をふやすことを目的としております。
 補助事業の具体的な内容といたしましては、まず、体育館やプール、屋外スポーツ施設などの新設や増築など、スポーツを行う場所を拡充する工事費に対して補助いたします。また、あわせまして、障害者や高齢者など誰もが利用しやすい環境を整備するため、出入り口の段差解消や廊下及びトイレなどの手すりの設置など、バリアフリー工事についても工事費を補助いたします。
 この補助制度の創設によりまして、区市町村のスポーツ施設整備の取り組みを一層促進し、都民のスポーツ環境の充実を図ってまいります。

○秋田委員 一方、先日、車椅子バスケットボールのチームが、床に傷がつくとの理由から、地域のスポーツ施設の利用を断られたという話を聞きました。障害者の皆さんがスポーツに取り組もうとしても制限されてしまうという現状がございます。断る理由には、施設面の問題もありますが、障害者の皆さんへの対応方法など、知識の不足も考えられるんだと思います。
 このような問題を解決し、障害者の皆さんが身近な地域でスポーツを楽しめる環境づくりを進めることが重要だと考えますが、東京都の今後の取り組みについて伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
障害者が身近な地域でスポーツを楽しめる環境づくりを進めるためには、区市町村における障害者スポーツへの一層の取り組みが重要でございます。
 このたびのスポーツ施設整備に対する補助制度の実施に際しましては、誰もが利用しやすい施設整備の促進という制度の趣旨を、区市町村に対しまして、説明会の場で周知してまいります。さらに、障害者が気軽にスポーツに親しむ機会をふやすため、区市町村が実施するスポーツ教室などに対しましてノウハウの提供などを積極的に行うとともに、障害者スポーツにかかわる指導者の育成を一層加速させます。
 こうした取り組みを通じまして、障害者を含めた、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しめるスポーツ都市東京を実現してまいります。

○秋田委員 次に、特別支援学校の施設の整備について質問をいたします。
 平成二十五年第四回定例都議会での我が党の代表質問に対し、教育長は、知的障害特別支援学校の教室不足に対応するため、計画的な施設整備に加えて、施設の柔軟な利用のあり方などに関する指針の策定により教育環境を整備すると答弁されました。しかし、一方で、テレビ報道などでも問題を提起された、町田市にある町田の丘学園は、特に過密の状況が厳しく、早急な対応が必要だと考えます。教育長の見解を伺います。

○比留間教育長 都教育委員会は、特別支援教育推進計画に基づき、知的障害特別支援学校の教室数を確保するため、現在、新設六校、増改築十三校などの再編整備を進めているほか、整備までの間に必要な改修を毎年度実施をしております。
 町田の丘学園につきましては、現在三十六の普通教室を特別教室からの転用により確保するなど、過密の状況が著しいことから、校舎を増築することとし、平成三十一年度に完成をする計画でございます。あわせて、校舎増築までの緊急対策として、町田市の協力を得て用地を借り入れ、来年度、仮設校舎を建設して、早急に教育環境の整備を図ってまいります。

○秋田委員 次に、都立特別支援学校の体育館の冷房化について伺います。
 昨年は、東京でも十月に最も遅い真夏日を更新するなど、本当に異常な暑さでございました。猛暑の中、体育館は空気の流れが悪く、熱がこもりやすいといわれており、障害のある子供たちが体育などの教育活動を行う場合には特段の配慮が必要であると考えます。
 東京都は既に、特別支援学校のうち、肢体不自由部門については体育館の冷房化をしておりますが、その整備理由について伺います。

○比留間教育長 肢体不自由特別支援学校の児童生徒の多くは車椅子を使用していることから、体育の授業や運動会を初めとする学校行事など、さまざまな教育活動を体育館で実施をしております。
 肢体不自由特別支援学校では、体温調節や医療的ケアを必要とする重度の児童生徒が増加し、気温の上昇する夏の体育館では、生命にかかわる重大な事故につながるおそれがあるため、体育館の冷房化を行ったところでございます。

○秋田委員 六年後のパラリンピックに向けて、障害のある子供たちが夏場でもスポーツに親しめる環境を整備していくことが急務であると考えます。
 特に、体調管理の難しい子供さんは、肢体不自由部門だけではなく、他の特別支援学校にも在籍をされております。そのような子供たちの健康面を第一に考え、特別支援学校の体育館の冷房化を積極的に図るべきだと考えますが、所見を伺います。

○比留間教育長 ただいまご答弁申し上げましたように、肢体不自由特別支援学校では、児童生徒の障害が重度化し、体調管理に万全を期す必要があることから、先行して体育館の冷房化を行ったところでございます。
 近年、知的障害や視覚、聴覚障害などの特別支援学校の児童生徒につきましても、障害の重度重複化、多様化が進み、こうした児童生徒については、教育活動を体育館で実施する機会がふえておりますことから、特に真夏日や猛暑日における健康状態の急変やパニックなどを防止する必要性が高まっております。また、夏季において安全にスポーツに取り組める環境を整えることで、障害のある人のスポーツの普及拡大につながっていくことも期待ができます。
 こうしたことを踏まえ、特別支援学校における体育館の冷房化について、今後検討してまいります。

○秋田委員 ご存じの方も多いと思いますが、パラリンピックという言葉は日本人がつくった造語だと聞いております。そして、昭和三十九年に初めて愛称として採用されたとも伺っております。ぜひとも、その歴史的な意義に恥じない取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックに向けた教育について伺います。
 現在、ソチ・パラリンピック冬季大会が行われております。世界のトップアスリートが活躍する姿は、若者や子供たちを含めた多くの人々を魅了し、感動を与えております。また、開催都市として運営を支える多くのボランティアが必要で、その素地をつくる教育への期待も大きいものがございます。
 そこで、二〇二〇年の開催に向けてどのような教育を進めていくのか、教育委員会の所見を伺います。

○比留間教育長 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催都市として、スポーツを通じ、国や文化を超えて互いを理解するとともに、オリンピックの理念を踏まえ、世界平和や人類の発展に貢献する教育を進めることが重要でございます。このため、オリンピックの理念や歴史を正しく理解するとともに、我が国の歴史や文化を世界に発信する力や、世界の人々を歓迎するために必要な語学力を高める教育を推進してまいります。
 こうした取り組みを通して、児童生徒が将来日本人らしいおもてなしの心で大会運営やボランティアとして活躍するなど、言葉の壁を乗り越えて世界の人々と友好を深めることができるようにしてまいります。
 今後、都教育委員会は、全ての児童生徒がオリンピック・パラリンピックにかかわる体験を人生の大きな糧としていけるような教育を積極的に展開をしてまいります。

○秋田委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの大会の開催時には、海外から多くの旅行者が東京を訪れることとなります。二〇一二年の世界都市別外国人旅行者は、ロンドンが一千五百五十万人、ニューヨークは一千九十万人、パリは八百七十万人となっており、東京は五百五十六万人と、実はアジアの諸都市にも見劣りをしております。
 外国人旅行者のさらなる増加につなげるためには、受け入れ環境の一層の整備が必要です。
 我が党がさきの定例会でも取り上げた、外国人旅行者がまず目にする表示、標識などの多言語対応の充実が急務であり、官と民が手を携えて取り組みを進めることが必要です。
 そこで、今後の具体的な取り組みについて伺います。

○中村知事本局長 二〇二〇年の大会の開催に向け、外国人旅行者にとって移動しやすく、滞在しやすい環境を整備するためには、ご指摘のとおり、官民一体となった表示、標識等の多言語対応に取り組むことが重要であります。
 そこで、都は、国や約三十の民間団体などと連携し、多言語対応の推進を目的とする協議会を、来週十九日に立ち上げることといたしました。本協議会のもとには、交通、道路、観光サービスの三つの分科会を設置し、主要ターミナル駅、空港、宿泊施設などを対象として、より具体的な検討を進めてまいります。
 また、検討に当たりましては、来年度、表示、標識等のガイドラインを改定し、活用するなど、統一性や視認性の向上を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、外国人旅行者の利便性を高め、東京の国際的なプレゼンスの向上を目指してまいります。

○秋田委員 冒頭にも触れさせていただきましたが、東京は世界中を旅した人たちが選ぶ、行ってよかった都市として一位に選ばれているにもかかわらず、観光客数はそれほどではないということでございます。逆にいえば、まだまだ伸びしろがあるということなんだと思います。
 幸い東京都内には、旅行者を引きつける魅力がありながら十分に生かされていない資源がたくさん存在しております。こうした貴重な資源を観光に役立つように開発をし、その魅力を積極的に発信して旅行者の誘致を図るべきです。
 今後、東京都は地域における観光振興をどのように支援していくのか、所見を伺います。

○塚田産業労働局長 地域の観光振興を進めるためには、地元のさまざまな主体がみずからの発想、創意工夫をより一層発揮し、旅行者の目線に立ってその魅力を高めていくことが重要であります。
 このため、都は、歴史、産業、舟運に加え、新たに食やスポーツなど、その土地ならではの多様な魅力を生かした観光まちづくりに対する支援を実施いたします。また、旅行商品や特産品を開発する取り組みのうち、旅行者の回遊性を高めるため、複数の地域が連携した取り組みに対する支援の上限額を一千万円に倍増いたします。さらに、三千人規模のモニター旅行者を募り、その体験に基づく情報をウエブサイトやSNS等で提供するなど、魅力の発信にも力を入れてまいります。
 こうした取り組みにより、オリンピック・パラリンピックの開催を追い風として、地域の観光振興を効果的に支援し、さらなる旅行者の誘致につなげてまいります。

○秋田委員 私は、一番重要なのは発信力だと思うんです。どんなにいいものを持ち合わせていても、どんなにいい製品をつくっても、どんなにすばらしい観光施設があったとしても、それが知られなくてはどなたも訪れないんだと思います。
 その点、知事におかれましては、語学も堪能でもございます。ぜひ先頭を切って、世界に向けて発信をしていただきたいと存じます。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。
 オリンピック・パラリンピック準備局には、あえて、局を超えた縦横のいわゆる報連相をもっとしっかりとっていただくことを強く要望しておきます。
 さて、ソチ・オリンピックでは、スケートの羽生選手の金メダルを初め、日本中がまさに歓喜の渦に包まれました。一方、大会準備の面では、大会直前まで施設整備のおくれが懸念されておりました。選手に最高の競技環境を提供するため、施設整備は真っ先に取り組むべき課題でございます。
 東京都が整備する大会施設のうち、一部の施設については、早々に設計などに着手する必要があると聞いておりますが、来年度における施設整備への取り組みはどのような内容か伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
全ての競技会場は、大会開催の一年前のテストイベントにあわせて整備する必要がございまして、これから約五年半と非常にタイトな建設スケジュールとなります。
 平成二十六年度は、都が新設整備いたします施設のうち、特に整備が急がれる大規模なアリーナや海洋での工事が必要となる施設などについて、地盤現況調査、基本設計などを実施する予定でございます。その対象となる施設は、有明アリーナ、夢の島ユース・プラザ、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、若洲オリンピックマリーナでございます。
 なお、これらの施設整備を初め、開催準備全般に当たりましては、ただいまご指摘いただきました庁内各局との連携を一層徹底いたしまして、着実に進めてまいります。

○秋田委員 二〇二〇年大会に向け、着実に整備を進めてもらいたいと思います。
 さて、施設整備費も大きな課題です。東京都は、先日の我が党の代表質問に対して、今後、周辺施設の整備が必要になることや、整備に当たってIOCなどとの協議が必要であると答弁をいたしました。これらは、昨今の建設物価の高騰とともに、整備費の増加要因となることが懸念されますが、具体的にどのような内容を想定しているのか伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
立候補ファイルに記載しております会場施設の整備費は、IOC指定の様式に従い、会場施設ごとの工事費を計上したものでございまして、東京都が整備する恒設施設の総工事費は千五百三十八億円となっております。
 今後、施設整備に付随する上下水道や電気、ガスなどのライフラインのほか、大会後の施設利用や、周辺のまちづくりの観点から必要となります連絡デッキなどのアクセス施設など、具体的な施設整備を検討してまいります。
 また、IOCや国際競技連盟との調整の中で想定される競技施設などの配置や規模、仕様などの変更要望への対応のほか、昨今の建設物価高騰による入札不調などが懸念されます。
 これらの変動要素を十分に検証、精査いたしまして、今後の設計業務におきまして、全体の整備費用を見きわめてまいります。

○秋田委員 避け得ない整備費の増加もあることは理解できます。しかし、施設整備の財源は都民の貴重な税金でございます。可能な限り効率的な整備を行うことを求めます。
 続いて、環境対策について伺います。
 二〇二〇年大会は、会期中はもちろん、開催準備から大会後に至るまで、環境と調和したものとすべきでございます。特に、大規模な工事を伴う施設整備に当たっては、環境に十分な配慮が必要と考えますが、東京都の見解を伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
都は、競技施設などの整備に当たりまして、最新の省エネ技術の導入や施設の緑化などを図り、大会期間中はもとより、大会後の後利用の段階でも、環境負荷の小さな施設とすることを目指しております。
 また、法律、条例上は環境アセスメントの対象とならない施設につきましても、独自のアセスメントの方針を策定、実施いたしまして、施設の整備や運営に伴う環境影響を低減する対策を講じてまいります。

○秋田委員 ぜひ、世界に誇れる環境配慮型の会場整備を進めていただきたいと考えます。
 さらに、環境への配慮や大会後の利用に関しては、専門家やスポーツ関係者だけでなく、地元の意向にも耳を傾けることが重要と考えます。例えば、葛西臨海公園のカヌースラローム会場については、自然保護に配慮した計画としてもらいたいという要望が上がっております。こうした会場について、今後どのように計画を具体化していくのか伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
葛西臨海公園に整備を予定しておりますカヌースラローム会場につきまして、地元区を初め、関係者にさまざまなご意見があることは承知しております。
 都はこれまでも、主に環境対策の観点から関係者との話し合いを行ってまいりました。今後は、後利用の観点を含め、地元の意見に最大限配慮いたしまして、都民に親しまれる施設となるよう、整備計画を具体化してまいります。

○秋田委員 これまでの質疑により、オリンピック・パラリンピックの開催に向け、東京都が開催都市として多方面にわたって、大変な重責を担っていることがわかりました。
 オリンピック・パラリンピックは、開催都市、また開催国の姿をも大きく変える力を持った一大ムーブメントでございます。我々はそのことを、六四年大会の経験を通じてよく理解しております。
 知事は、二〇二〇年大会を通じて、この東京、日本に、何を残そうとしているのか、ぜひ知事自身の言葉での見解をお聞かせください。

○舛添知事 先月、吉野議長とともにソチのオリンピック会場を訪ねました。そしてIOCのバッハ会長、それからコーツ副会長並びに数名の幹部と会談しまして、二〇二〇年、確実に東京大会を成功させると、そういうことを約束してまいりました。
 また、アイスホッケーの決勝戦をIOC委員の席で見せていただきまして、そのときに世界各国のIOCの委員の方々、二十数名に当たると思います、親しく言葉を交わすことができました。やっぱりオリンピックというのはすばらしいなと。これだけ世界中の人が集まる、特に今、ウクライナをめぐって、本当にソチのすぐそばですから、ああいう国際情勢の中で、平和の祭典としてのオリンピック・パラリンピックが行われるということのすばらしさ、それは、しっかりと認識してまいりました。
 私は、それとともに、この東京という都市の課題に、二〇二〇年東京大会を契機として全力を挙げて取り組むべきだと。ずっと、きょう秋田理事がおっしゃったように、福祉の問題もあります。それから、さまざまなこの東京が抱えている産業労働の問題もあります。経済の問題もあります。そういう問題を含めて、これを全力を挙げて解決するいい機会が参っている。恐らく、この二〇二〇年がなければ十年、二十年かかる課題を、我々が頑張れば、五、六年で解決することはできる。それは日本全体にとっても非常にいいことだというふうに思っておりますので、ただ単に二〇二〇年ではなくて、さらに二十年後、三十年後、五十年後を目指した東京、ひいては日本の形というのを考えていかないといけないと思っております。
 前回、一九六四年、私は高校一年生で、胸が弾む思いで東京大会を迎えましたけど、青山通りができる、首都高速はできる、そして新幹線が走る。私は本当に、これで戦後が終わったと、そういう明るい気持ちになりました。
 しかし、今日本が直面している課題というのは、二十年にわたるデフレが続いてきた。アベノミクスの成果で、今、やっとその暗いトンネルから抜け出そうとしている。しかし、ただ単なる経済成長ではなくて、成熟した文明社会というのは何なんだろうかと、こういう課題を、私たちは二〇二〇年大会で問いかけられているんだろうというふうに思っております。
 閉会式も一緒に見ました。アイスホッケーというのはヨーロッパやアメリカ、カナダが中心ですから、閉会式では、今度はアジア、アフリカの委員の皆さんと親しく一緒に食事しながら見ていましたけれども、そこで、オリンピック・パラリンピックというのは単にスポーツ競技ではなくて、文明や文化、先ほどおっしゃったように、発信なんですね、文化の。ロシア文明って何なんだろうかと。私はトルストイというのは非常に大好きですけど、伝統的な、トルストイから始まって、現代の作家までずっとロシア文学の紹介がある。それから、チャイコフスキーの白鳥の湖じゃないですけど、バレエというのはロシアは非常に得意ですけれども、そういう音楽からバレエ、それからラフマニノフみたいな、現代の音楽もそこに入ってくる。会場の中に何百台というピアノを並べてやったすばらしいシーンがありました。
 そういうことを見ると、私は、すばらしいこの日本文化、日本文明というのを、二〇二〇年、東京から世界中に発信したいというふうに思っております。
 文明の転換、欧米の文化だけじゃなくて、私たちの日本の文化というのは、文明というのは、自然と共生していく、そういう中で、自然を、先ほど三月十一日の、この三年目に当たる東日本大震災がありましたけど、自然を恐れる、そういうことを含めて、私たち日本人が培ってきた文化のすばらしさというのを、ぜひ、閉会式のプレゼンテーションでしっかり出していきたい。
 もちろん、その過程において、本当におもてなしの心で、日本国民全員が外国から来られた選手やお客さんをもてなす。特に、ソチで買い物しようとしてもロシア語しか通じません。英語のワン、ツー、スリーも全く通じない。これじゃ困りますので、私は、東京都民の皆さん方に、老若男女を問わずしっかりと英会話教室、これは都も支援していきたいと思いますので、七十の手習いでいいんだと思います、やっていただきたいというふうに思っています。
 そういうことで、日本がいかにすばらしいかということを世界に発信するのが、私は二〇二〇年の本当は最大の課題だと。日本文化、日本文明のすばらしさを世界に発信するということをやりたいと思っておりますので、ぜひその点について都議会の皆さん方のご協力を賜り、そして皆さん方と議論を進めながら、前進していきたいと思っております。

○秋田委員 実はこれは、私、個人的なことなんですが、今回四年ぶりに実は復帰しまして、私が浪人中に一番ショックだった出来事というのは、七夕祭りに行ったときなんです。その七夕祭りに子供たちの夢や希望が書いてあるわけですが、恐らく私どもは、高度経済成長時代に幼少期を過ごしました。そのころは、短冊には、例えばプロ野球選手になりたいとか、あるいは大会社の社長になりたいとか、そういったことを書いた記憶がございます。
 しかしながら、残念ながら、私が見たその短冊には、どんなことが書いてあるか。例えば正社員になりたいとか、お父さんの給料が上がってほしいとか、よくいえば現実的、悪くいえば夢も希望もないことばかりでございました。
 それは、どう思うのかというのは人それぞれだと思いますけれども、重要なことは、どんなに物質的に豊かになったとしても、子供さんたちが夢や希望を持てない社会というのは、私はいい社会ではないと思います。そして、その社会をつくったのは、ここにいる私たち大人たちなんですよ。特に我々政治家なんですよ。
 そのためにも、今回のオリンピックは、若い子たち、二十代、三十代、そして十代、子供たちに夢と希望を与えるオリンピックにしなくてはならないんだと思います。
 さらに自説を申し上げさせていただければ、これほど、この国ほど物質的に豊かで、一方で平和な国はないんだと思います。近代オリンピックの理想というのは、平和を追求していくことだと思います。その平和を、ぜひ平和のすばらしさを、先ほどお話が出たウクライナに限らず、世界に向けて、日本から、東京から発信していくことをぜひお願いをさせていただいて、少し早いですが、私の代表質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○宇田川委員長 秋田一郎理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

ページ先頭に戻る