予算特別委員会速記録第五号

○門脇副委員長 続いて、星ひろ子委員の発言を許します。
   〔門脇副委員長退席、委員長着席〕

○星委員 猪瀬知事は、新銀行東京の今後のあり方について、リハビリ状態にあり、再生に向けて道半ば、新たな提携先などを含め、さまざまな可能性も考えられるが、その前提として、新銀行東京の企業価値を高めていく必要があると述べられています。
 昨年出された中期経営計画によれば、中小事業者支援だけではなく、社会貢献を目指し、地域支援銀行、政策支援銀行を掲げていますが、一年経過し、どのような状況になっているのかお伺いをいたします。

○中西産業労働局長 新銀行東京は、中期経営計画におきまして、地域支援銀行、政策支援銀行の二大看板により、社会貢献フェーズを強く意識するとしております。
 まず、地域支援につきましては、中小企業を初めとした地域のお客様のニーズにこたえていくとしており、これまで中小企業向け与信残高を着実に伸ばしております。
 また、政策支援につきましては、都の政策を金融面からサポートするビジネス活動を強化するとしており、公共工事を受注した企業の資金繰りの支援や、官民連携インフラファンドへの出資などを通じて、都の政策との連携に取り組んでおります。
 なお、中期経営計画は、安定した黒字体質の継続に向けて足元を固めていくことが基本的な考え方であると認識しております。

○星委員 地域支援銀行として、新銀行東京はどのように地域とかかわっているのか、余り見えてきません。また、新銀行東京が公表している経営状況に関する資料はホームページでも公開されていますが、都民にとってはわかりにくいものです。
 例えば、民間の銀行や信用金庫では、その企業の特色や経営状況についても工夫をし、わかりやすく公開をしています。
 新銀行東京は都民の税金で設立された銀行であり、経営状況や経営理念についても、都民に見える銀行として求められていると考えます。もっと都民にわかりやすい資料として公開していくべきではないか、見解をお伺いします。

○中西産業労働局長 銀行における業務及び財産に関する説明書類については、銀行法等の規定によりまして、その記載事項や方法等が定められております。
 これまでも新銀行東京は、こうした規定に基づきディスクロージャー誌を年二回公表するほか、決算短信や決算説明資料を任意に四半期ごとに公表するなど、ホームページなどを通じまして必要な情報を適時適切に開示しております。
 また、ディスクロージャー誌にグラフを用いて主要な経営指標をビジュアル化するなど工夫を凝らしております。
 都といたしましては、引き続き情報開示も含めた新銀行東京の経営の監視に努めてまいります。

○星委員 次に、高齢者の住まいについてお伺いをします。
 都内の高齢者向け住宅の一つとしてシルバーピアがあります。シルバーピアは、都営住宅や区市町村営住宅などの公的賃貸住宅に、地元市がワーデンという管理人やLSAという生活援助員を配置し、高齢居住者に対し安否確認などのサービスを行うものです。
 私は、都営シルバーピアにお住まいの方々から訴えをいただきました。内容は、ワーデン常駐ということで安心し、入居したにもかかわらず、ワーデンが何らかの事情で退去し、この数年間補充されず、派遣のLSAが週二回訪問してくるだけになっている。団地にお住まいの方の高齢化は進行しており、住みなれた場所で暮らしていきたいと考えているが、いつ何どき、だれにもみとられず孤独死に至ってしまうのかと大きな不安であるというものでした。
 このシルバーピアは、もともとワーデン用の住戸が整備されており、これを有効に使っていくべきと考えます。
 現在、都は、サービスつき高齢者住宅や都市型軽費老人ホームなどを進めようとしています。多様な住まいのあり方が模索されている中で、早くから取り組んできたシルバーピアについてはこのような問題が出てきており、見守りの方法も今の時代に合ったものにしていく必要があると考えます。
 住み込みのワーデンが難しいのならば、チームによる見守りや相談事業を実施することで対応も可能になり、シルバーピアを中心として、さらに面的な見守り体制ができるのではないかと考えます。
 そこで、ワーデンが退去した住戸について、地元自治体から安否確認や見守りの拠点として使いたいという要望がある場合、こうした使い方ができるようにすべきと提案をしたいと思いますけれども、見解をお伺いします。

○飯尾都市整備局長 都営住宅のシルバーピアでは、事業の実施主体である地元自治体との協議に基づきまして、都が住宅を整備し、地元自治体がワーデンや生活援助員を配置して、高齢居住者にサービスの提供を行っております。こうした住戸の使い方については、地元自治体が対応すべきと考えております。

○星委員 地元自治体が対応すべきであることは承知しております。
 都がオーナーとして今後状況を確認し、場合によっては協議に応じるよう要望いたして、次の質問に移ります。
 老朽化した都有施設が整理統合されるなどで、使い道のなくなる都有地が出てきています。これまでも所在自治体と協議し、特別養護老人ホームなど必要な福祉施設などに活用されています。
 ことし二月に出された行政監査報告書には、未利用地の利活用について述べられていますが、売却ではなく極力活用すべきです。
 高齢者、障害者、児童のための施設など福祉インフラを整備するためには、どこにどのような都有地があるのか、区市町村が把握する必要があります。情報提供を積極的に実施すべきですが、どのようにしているのかお伺いをいたします。

○中井財務局長 都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業では、福祉施設の整備促進のため、都有地の貸付料を五〇%減額して施設運営事業者に貸し付けをしておりましたが、平成二十二年度からは区市町村が速やかに具体的な検討ができるよう、貸付時期等の諸条件を明確にした上で情報提供するなど、整備促進の支援をさらに強化しているところでございます。
 今後とも、福祉保健局と連携し、区市町村に対する未利用都有地の情報提供を、引き続き積極的に行ってまいります。

○星委員 福祉インフラ整備事業で整備した福祉施設について、現在までの状況をお伺いいたします。

○川澄福祉保健局長 都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業は、平成十五年度に事業を開始いたしました。
 その実績は、平成二十二年度までの八年間で、高齢者施設が八施設、障害者施設が五施設、計十三施設でございました。
 平成二十二年度からは、改めて未利用都有地の活用を区市町村に積極的に働きかけた結果、平成二十三年度は十施設、平成二十四年度は十一施設で、その内訳は高齢者施設が十七施設、障害者施設が一施設、保育所が三施設となっております。

○星委員 都有地の活用は福祉目的ばかりではありません。
 例えば、八王子市にある、とうきょう元気農場は都有地を活用しています。農場で生産した東京産野菜を都心の学校給食に供給することで都内の地産地消を拡大する取り組みです。学校と農場をつなぎ、子どもたちが農業体験する機会も設けています。その地域のまちづくりに合った事業を展開し、必要なものを整備するという観点で、自治体とぜひ協議していただきたいと思います。
 防災や緑化の観点から、万年塀やブロック塀を生け垣、フェンスにかえる取り組みが進められております。学校についても進んでいますが、実現できていない例もあります。
 国分寺高校東通りは、狭く一方通行の道です。小中学校も近くにあり、通過車両も通勤、通学の自転車も多く、PTAが危険箇所に挙げています。
 二〇〇六年、国分寺高校東通り周辺地区交通安全まちづくり協議会が発足し、速度抑制を目的とした社会実験を行い、ラバーポールを設置しましたが、改善は見られませんでした。地域住民は、歩行者が車を回避できる場所をつくることを求めています。
 世田谷区では、都立高校のグラウンドを削り歩道を広げた事例があり、しかもグラウンド側の木を生かして、歩道に大きな木を取り込む形で整備しています。このように、地域とともにまちづくりを進めるべきだと考えます。
 国分寺高校も万年塀を取り払い、セットバックし緑化を進めることについての見解をお伺いいたします。

○比留間教育長 都立国分寺高校東側の道路は、延長約六百メートルの国分寺市道であり、国分寺高校と約百三十メートル接しております。高校の敷地が約一・六メートル道路面より高いため、道路に接する部分は擁壁となっております。
 この擁壁は平成元年に設置したものでありまして、その際、都は国分寺市と協議し、〇・四メートル程度のセットバックを行い、植栽整備も実施をいたしました。
 その後、平成十一年に高校の校舎改築を行う際、市と協議の上、擁壁については現況のまま残すこととした経緯がございます。
 この市道の整備につきましては、道路管理者である市において検討すべき課題であると考えております。

○星委員 道路管理者は市でありますけれども、近隣住民は都民でございます。相手方は都立高校です。そのことを申し添えて、次の質問に移ります。
 国交省は、河川整備計画に八ッ場ダムを位置づけようとしています。八ッ場ダムの基本計画は一九八六年にでき、その後、三度変更。二〇〇四年、二度目の変更の際に、六都県の合同調査チームは、完成がおくれた場合、ダム参加が不要になることも想定されるため、二〇一〇年度の完成を強く要望しています。また、二〇〇八年の変更には、都として予定どおりの完成や事業費の増額がないよう強く求めており、現在の基本計画は二〇一五年度完成、事業費四千六百億円です。
 ところが、周辺工事や用地買収のおくれで二〇一五年度完成は不可能となっています。国交省の報告からも、すぐに着手したとしても完成が二〇二〇年になることや、事業費が増額されることがわかり、今の基本計画が実行できないことは明らかになっています。
 基本計画見直しについて、見解をお伺いいたします。

○飯尾都市整備局長 八ッ場ダムは、将来にわたる東京の安定給水と首都圏全体の洪水被害の危険性を低減するために必要不可欠な施設でございます。
 共同事業者である一都五県の意思を全く無視して、ダム本体工事を一方的に中止したのは国でございまして、あらゆる手段を講じてコスト縮減と工事のおくれを取り戻すことが国の責務でございます。
 現時点で、基本計画の策定主体である国から、工期や事業費についての相談は受けておりません。

○星委員 最後に、食の安全についてお伺いします。
 安倍総理は、懸案のTPP交渉に参加することを表明しましたが、農業者などからは根強い反対があります。消費者からも、遺伝子組みかえ食品について、食の安心・安全が脅かされるのではないかといった懸念の声が聞こえてきます。
 そこで、都は市場に流通する遺伝子組みかえ食品の安全に関して、現在どのような取り組みをしているのかお伺いをいたします。

○川澄福祉保健局長 遺伝子組みかえ食品につきましては、食品衛生法に基づき、国の食品安全委員会が安全性審査を行い、現在、大豆やトウモロコシ等、八作物、二百十七品種について輸入や販売が認められております。販売に当たりましては、食品衛生法及びJAS法により、遺伝子組みかえ食品を含む旨の表示が義務づけられております。
 都では毎年度、都内に流通する食品を対象に、遺伝子組みかえ食品の表示確認や安全性未審査の遺伝子組みかえ食品の混入などについて調査をしているところでございます。平成十三年度からこれまでに二千七百八十二検体を調査し、不適正なものは認められておりません。

○星委員 遺伝子組みかえ食品については、現在、都としても検査等を確実に行う仕組みにより対応しているとのことですが、都内の農業においても遺伝子組みかえ導入に厳しい栽培指針や指導基準を策定し、実際に遺伝子組みかえ作物を栽培している農家がないことを高く評価するものです。
 石原前知事は、食の安全について強い関心を寄せ、冷凍食品の原料原産地表示を国に先駆けて実施し、遺伝子組みかえに対しても慎重な姿勢を表明しておりましたが、猪瀬知事はどう感じていらっしゃるのか関心を持っております。
 TPPの交渉次第では、遺伝子組みかえ技術を使った輸入農産物の増加が心配をされます。今後とも、遺伝子組みかえ食品の検査や監視を確実に実施していただくということを要望いたしまして、私の質問を終わりにいたします。

○斉藤委員長 以上で、星ひろ子委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第一号議案から第二十七号議案までに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 なお、あしたは午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時四十二分散会

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