予算特別委員会速記録第五号

○谷村副委員長 大山とも子委員の発言を許します。
   〔谷村副委員長退席、門脇副委員長着席〕

○大山委員 私は、若者雇用支援を中心に質疑をいたします。
 若者の就職は依然として厳しい状況が続いています。正規雇用で安定した仕事があり、賃金も上昇していくことによって、結婚、出産、住宅の購入などの将来の生活設計ができます。
 ところが、非正規雇用で賃金が低いし、上がっていかない、さらには就職もできないということでは、日本の社会はますます少子化が進み、税収増も見込めません。若者が安定して雇用されることは、本人だけでなく、日本社会にとっても極めて重要なことです。
 知事に伺いますが、非正規雇用の若者の多くは、正規雇用の仕事につこうと思っても抜け出せない現状が広がっています。知事、意欲ある若者が仕事につくこともできず、生活もままならない、その実態と要因をどう認識していますか。

○猪瀬知事 民間調査機関の調査によれば、三百人未満の中小企業のことし三月卒業予定者の大卒求人倍率は三倍を超えています。その一方で、五十社、百社応募しても正社員になれない若者がいる。若者の雇用については、こうしたミスマッチが存在するところに問題があるのではないかと認識しています。
 このため、東京都は、平成十六年度に東京しごとセンターを開設し、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を実施しています。平成二十五年一月までに約二万九千人の若者の就業を実現しました。
 また、やむなく非正規で雇用された方々に対しても、研修と就労体験を組み合わせた就職支援など、安定的な雇用に向けた切れ目のないさまざまな対策を講じています。
 非正規労働者の増加は、経済のグローバル化の進展や長引く景気低迷のみならず、労働に対する価値観の多様化がもたらしたものと思っています。昨年八月以降、改正労働契約法が順次施行され、企業における正規雇用へのルール化などが図られてきました。これらの制度を、まず厚生労働省が適切に運用することにより対処すべきであります。

○大山委員 三百人未満の中小企業にはなかなか行かないんだというようなこと、それから大卒求人は三倍超えているんだということなんですけれども、若者は決して選んでいるわけではないんですよね。
 若年アルバイト勤務者アンケートというのが、かつて中小企業白書に載っていまして、そこでは、正社員として勤務を希望する企業規模として、二十から三十四歳までの各年齢層とも、断然トップが、大企業でも中小企業でも問わないという回答が六割前後を占めています。非正規労働者は、正規社員として働くことができれば、企業規模にはこだわりはないということなんですね。
 雇用・就業対策審議会の部会では、部会長さんは、学生たちもみんな大企業は難しい、中小企業がいいと知っています。でも、どの会社がよいかわからないから決められない。他の委員も、中小企業に応募しにくくなっているのは、情報を知らないことが大きいと発言しています。
 非正規雇用の増加と低賃金は、経済のグローバル化などがもたらしたと答弁されましたけれども、グローバル化の中でも、EU有期労働指令は、正規雇用が、これまでも、これからも原則だということを宣言しています。賃金も同様で、日本は一九九七年からの十四年間に、働く人の所得が八八%に減少しましたが、同時期に欧米諸国では、アメリカ一七八%、イギリス一九〇%などと軒並み増加しています。
 経済がグローバル化する中、欧米での流れとは逆に、日本が雇用のルールを相次いで改悪し、非正規雇用や低賃金化を進めたことが国内消費を冷え込ませ、日本を世界でも、経済先進国の中でも、例外的な長期の景気低迷をつくり出してきたわけです。
 改正労働契約法についてもお話がありましたけれども、今回の労働契約法の改正は、非正規雇用労働者の待遇を改善するには極めて不十分なものです。そもそも、有期雇用そのものを規制するものではない上、正規雇用化どころか、上限の五年間の前に職を失うことになりかねないなどという問題をはらみ、均等待遇の問題についても実効性に欠けるものです。したがって、国任せにするのではなく、都としても必要な手だてをとるべきです。
 雇用就業対策で東京都が行うべきは、中小企業の雇用の創出と職業訓練及び賃上げへの取り組みです。
 職業訓練についてただします。
 都の第九次職業能力開発計画では、完全失業率が高く、医療、福祉、環境などの分野を支え得る人材の確保が急務となっていること、ものづくり産業を初めとした企業現場では、従業員の高齢化に伴う技能継承のための人材育成、確保が課題になっていること、そして求職者や在職者に対しては、技術の進展に見合った職業能力開発を支援することが必要だとしています。
 都は、職業訓練の重要性についてどのように認識していますか。

○中西産業労働局長 厳しい雇用情勢が続く中、職業訓練の重要性は当然のことと認識しております。
 昨年三月に策定いたしました第九次東京都職業能力開発計画では、基本的方向性といたしまして、東京の産業の成長を支える人材の育成・確保の促進、セーフティーネットを強化し雇用の安定と質の向上を図る職業能力開発の推進、効果的・効率的な職業能力開発の推進を挙げております。
 平成二十五年度は、公共職業訓練の内容の充実を図り、求職者向けの職業訓練は一万七千人規模、在職者向けの訓練は一万九千人規模で実施いたします。

○大山委員 二〇〇五年にOECD諸国の教育担当省の幹部職員がコペンハーゲンに集まりました。何をするためかというと、今後数年間における教育分野での最も重要な政策上の優先事項を明らかにすることを求められたので、二日間の議論をして出した答えは、職業教育訓練だったんです。
 その中で、職業訓練が最も重要な政策課題となった理由として、労働コストの面においては発展途上国と競争はできないので、提供する物やサービスの質において競争する必要があり、そのためには高いスキルを持った労働力が必要だということ、そして、職業教育訓練は、必要なスキルや資格を身につけられるようにし、労働市場に円滑に移行させることを確かなものにする上で適切な手段であるということを挙げています。その上で、職業訓練の制約として、職場訓練の場の不足と訓練指導員の不足、学校における職業訓練の弱体化などを指摘しています。
 ヨーロッパでは、日本より先行して若者の失業問題が噴出し、こうした報告を受けて職業教育訓練の位置づけを大幅に強めたものです。OECDのこれらの報告にも学び、日本でも、東京でも、非正規労働者が急速に増大しているときに、職業教育訓練をしっかり位置づけることが必要です。
 大企業を中心に正規労働者を削減し、非正規労働者に置きかえることが急速に進められた結果、学校卒業後に正社員として働く機会に恵まれなかった労働者は膨大な数に上ります。非正規労働につくしかなかった労働者の多くは、企業からの教育も十分受けられず、技術を身につける機会もなかなか得られないからです。
 具体的に見ていきます。東京都の職業訓練校の就職率は、施設内訓練の一年間、二年間などの長期の訓練生の就職率は高く、二〇一〇年度の職業能力開発センター全体で、二年訓練生は九三%、一年訓練生は七八%、六カ月訓練生は七〇%など、高い就職率を示しています。
 一方、二カ月訓練生は三四%となっていますから、長期の訓練で技術などをしっかり身につけ、資格なども取れば雇用につながるということは明確ではないでしょうか。
 一年、二年の訓練期間の科目の定員をふやすことが求められていますが、どうですか。

○中西産業労働局長 職業訓練の各科目の定員は、各分野の求人の動向や民間における同種の訓練機関との役割分担などを考慮した上で決定しております。一年、また二年の訓練もこうした考えに基づいて決定しており、現在の各科目の定員は妥当なものと考えております。

○大山委員 そんなことをおっしゃいますけれども、東京都は、六カ月以上の訓練を修了した生徒を対象に、修了翌年度と三年後の実態調査を行っています。この調査報告書には、訓練期間にかかわらず常雇、フルタイムが最も多いが、その割合は、訓練期間が長いほど多くなり、六カ月では五〇・五%、一年では六七・六%、二年では八八%となると、みずから分析しているんです。長期訓練こそ必要だということは明白です。
 それにもかかわらず、一年、二年の訓練規模は縮小してきたではありませんか。民間との役割分担といいますが、何より、若者が正規雇用で働くことができるようにすることを基本に据えて進めるべきです。それが都としての重要な役割ではありませんか。
 一方、東京都は、民間の専門学校に委託して、派遣、パート、アルバイトなどとして長期間働いてきた方を対象に、正規雇用を目指して三カ月間の訓練を行うものがあります。この委託訓練の定員及び応募者数、入学者数、修了者数、正規そして非正規別の就職者数の実績はどうなっていますか。

○中西産業労働局長 お話の訓練は、非正規労働者向け委託訓練だと思いますけれども、平成二十三年度の状況を見ますと、定員が四百二十名、応募者が二百七十二名、訓練修了者が百六十二名、転職者は七十七名でございまして、そのうち正規雇用への転職は二十五名となっております。
 企業内でのキャリア形成の機会が乏しい非正規労働者のキャリアアップに効果を上げているものの、厳しい雇用情勢の中、正規雇用への転職が伸び悩んでおります。このため、平成二十四年度からは、新たに民間企業に委託をいたしまして、就職のサポート支援を手厚くしましたほか、求人先の企業での職場実習を取り入れるなど、工夫を行っております。

○大山委員 正規雇用を目指す非正規労働者に対して、正規雇用化を支援する職業訓練ということなのに、非正規雇用から正規雇用に就職できたのは、修了者百六十二人のうち二十五人、一五%にすぎません。目的を十分果たしていないといわざるを得ません。
 答弁を伺いましたら、課題があるなということは感じていらっしゃるんだと思いますけれども、都の職業訓練で正規雇用された人の割合を出してもらいましたら、都立の訓練校で受けた人が正規雇用七〇%前後に対して、委託訓練は二一から五一%です。
 さらに、民間委託訓練の問題点については、東京都雇用・就業対策審議会の部会の中で、就職の支援体制が十分でない、コストが下がっている割に、就職率もそれに比例して下がっている、こう東京都自身が説明しているではありませんか。
 先ほど、一万七千人規模といいましたけれども、その七〇%が委託訓練です。本気でやろうというのだったら、非正規労働者が安心して職業訓練を受けられるようにすることです。仕事をやめても、一、二年学校に通うことができるようにするためには、いわゆるワーキングプアの状態ですから、正規雇用になりたいという方が思い切って職業訓練を受けようと決意できるようにするためには、住宅と生活費の手当てが不可欠です。アパート借り上げなども含めて、住宅の心配をせず、生活費も支給するようにして、正規雇用に移行できるようにするべきです。
 東京都は、将来を見据えて、若者に積極的に投資することです。一、二年の教育訓練として、職業訓練として、職業能力開発センターできちんと位置づけて実施するべきことを強く申し述べておくものです。
 東京都は、短期の職業訓練は無料ですけれども、一年以上の訓練は有料になっています。多くの方が、貯金もほとんどなくて、生活するためには非正規で働き続けなければならない中で訓練を受けるわけですから、授業料は無料にすべきですが、どうですか。

○中西産業労働局長 一年以上の長期間にわたる普通課程の職業訓練につきましては、受益者負担の観点に立ちまして、授業料を有料といたしております。これは、多くの都民の方が、このような訓練、学習の内容につきましては、通常、自己負担によりまして、民間教育機関を利用して能力開発に努めている実態があること、また、関東の近県ではすべて有料となっていると、こうした状況からも適正なものと考えております。
 なお、経済的困窮者等に対しましては、授業料の減免措置を行っております。また、失業者などの求職者には、早期就職のために、さまざまな科目の短期課程の訓練を無料で実施しております。
 また、先ほど、施設内訓練は非常に就職率が高くて、民間委託訓練は就職率が低いというお話がございましたが、施設内訓練につきましてはものづくり系を中心に、民間委託訓練は事務系を中心に実施しておりまして、求人がどうしても、ものづくり系の企業が多いという状況はございます。しかしながら、求職者のニーズはどちらかというと事務系職種に対するニーズが強く、こうしたニーズに適切に対応するためにも、私どもといたしましては、民間を有効に活用して、事務系職種に対する民間委託訓練を実施することが合理的というふうに考えております。

○大山委員 きちんと正規で雇用されたいと思って入学してくるのに、だって、入学のパンフレットにちゃんと正規を目指してと書いてあるんですよ。それなのに、一五%しか就職できないわけでしょう。
 授業料の話ですけれども、もともとは東京都も、求職者に対する職業訓練は無料にして、職業の安定、働く人たちの地位向上を図ってきたではありませんか。今は、本当に深刻な状況になっているわけですから、職業の安定、これをきちんと東京都が責任を持たなきゃいけないわけですよ。
 国の委託訓練は、一年から二年のものでも無料ではありませんか。国だって無料なんですよ。他県だって、福岡県は短期も、それから普通課程も無料です。東京都も無料にすることが求められているんです。
 東京都の授業料減免、さっきおっしゃいましたけれども、これも調べました。対象者は、生活保護世帯か、障害者手帳を持っている方、そして非課税世帯です。単身だったら、給与収入が百万円を一円でも超えてしまえば、住民税が課税されます。ですから、月額九万円程度の収入でも減免は受けられないんです。減免制度の拡充は、すぐにでも実施するように要望しておきます。
 また、短期委託訓練については、先ほどの質疑で明らかになったとおりです。
 科目の充実も必要です。今後、成長が見込まれる分野であります介護、福祉、子育て、環境、農業、造園、震災、老朽化施設対策及び被災地での復旧、復興支援の上からも建築土木など、職業訓練科目の拡充が求められますが、どうですか。

○中西産業労働局長 職業訓練の科目の設定は、成長が見込まれるなどの産業の動向のほか、求職者の状況や実際の求人の動向などについても勘案して、適宜見直しを行ってきております。
 具体的に申し上げますと、雇用動向の変化により求人が期待されます介護サービスやIT技術などの分野で新たに科目を設けてきたほか、近年では、建築関係の科目を拡充しております。また、太陽光発電機器の設置をカリキュラムに加えるなど、訓練内容の充実を図ってきております。

○大山委員 ぜひ、拡充をお願いします。
 職業訓練の質の向上のためには、指導員が常に専門性を磨き、最先端の知見を生徒に教育訓練できるように、東京都には条件整備することが求められています。訓練校の指導員の方々は、生徒が技術を身につけて、正規社員として就職してもらおうと、一生懸命頑張っているわけです。しかし、技術の革新は速く、指導員は常にその専門分野の最新の知見、技術を得ることが必要です。そのためには、指導員の研修、養成は欠かせません。
 職業訓練校の職業教育訓練カリキュラムの開発、作成における専門的な知識の継承、指導員の若手育成は、どのようにされていますか。

○中西産業労働局長 職業訓練指導員は、指導員免許を取得している訓練の専門家であり、訓練内容やその進め方について、十分な知識とノウハウを持っております。
 こうした中、指導員は専門分野別に二十一のグループに分かれ、訓練技術検討会を年に七回程度行うなど、指導の技法についてのレベルアップや専門知識の継承を図っております。
 また、若手の指導員につきましては、その能力を高めるため、OJTに加え、新任研修や指導技法研修など、段階に応じた体系的な各種研修を実施いたしますとともに、民間企業や職業能力開発総合大学校に派遣するなど、その育成に努めているところでございます。

○大山委員 研修の保障は重要で、通り一遍のものであってはならないと思います。
 OECDの先ほどの報告では、職業訓練機関が指導員を十分に採用して、指導員が現代の産業界のニーズに精通している状況を確保することが必要だと述べています。そのために、指導員が産業界で相当の時間を過ごせるようにすることなども含めて勧告しています。
 東京都も、より充実した訓練にしていくために、このレベルの研修、研究を指導員に保障することが求められています。東京都は訓練校の定員を縮小したこともあり、かつては一つの科に二人から三人、指導員がいるというのが普通だったわけですが、今は多くの科の指導員が一人ずつという状況になっていますから、とても産業界に指導員が一定期間行けるような状態ではありません。OECDの勧告にあるように、指導員の増員をすることが求められているんじゃないでしょうか。
 局長さん、いかがでしょうか。

○中西産業労働局長 職業能力開発センターの職員等の体制につきましては、訓練内容や科目配置等に応じまして、必要な人員を適切に配置しております。
 なお、少数精鋭の中で資質向上を図るために、先ほども申し上げましたが、民間企業や職業能力の専門大学校などに派遣するなど、人材育成に力を尽くしているところでございます。

○大山委員 各科一人では、本当に研修に行こうったって、講師の先生にお願いするとかということにしかならないわけですよね。きちんと人員配置をするというのは、研修時間も含めた人員配置にしなきゃいけないわけですよね。
 東京都雇用・就業対策審議会の部会で、副部会長さんも、指導することや職業訓練という人材育成については、どういう段階でどういう能力開発が必要かというプログラムなどをつくる能力は一朝一夕にはできないんだからと、指導員の人材育成の重要性を発言しているではありませんか。きちんと受けとめることが、都には求められています。
 これまで指摘してきた都立職業訓練校で行う訓練の拡充、指導内容の拡充をする上で大きな問題は、東京都がこの間、職業訓練校の統廃合を進め、十七校から十四校に縮小し、東京都みずからが行う職業訓練を縮小してきたことです。さらにもう一校、廃校しようとしています。一九九九年度には、都立訓練校での募集定員は七千六百三人でしたが、今年度は四千七百八十五人に縮小してしまいました。また、二百四十人いた正規の指導員が百五十二人、再任用を含めても百七十一人になってしまいました。職業訓練の拡充とは逆行ではないでしょうか。
 そのために、職業訓練を受けたいと思って希望しても、倍率が二倍、三倍、高いところは六倍にもなります。正規雇用を目指そうと意欲を持ってせっかく応募したのに、訓練さえも受けられない。それは理不尽だといわざるを得ないです。
 非正規労働者がこれだけふえてしまっているときに、職業教育訓練は多くの場合において、資格を欠く者に必要なスキルを提供し、そして、彼らを労働市場に円滑に移行させることを確かなものにする上で適切な手段であることというOECDの報告を具体化することが東京都に求められていることを厳しく申し述べるものです。
 次に、若者が働く職場の過酷な雇用環境についてです。
 昨年から開かれていた東京都雇用・就業対策審議会の部会では、いわゆるブラック企業への対応が議論になり、残業代を払わず長時間労働をさせる、いじめや嫌がらせを行って仕事をやめさせるなどの違法行為が問題にされました。東京都は、違法行為も辞さず、会社の利益のために若者を使い捨てにする、いわゆるブラック企業の問題について、どう認識し、どう対応するんですか。

○中西産業労働局長 企業が労働関係法令を遵守することは当然の責務でございまして、法令に基づく指導や取り締まりにつきましては、国の責任において実施することとなってございます。
 いわゆるブラック企業につきましては、明確な定義づけはされておりませんが、都は労働相談情報センターにおいて年間五万件を超える労働相談を受け、解雇、退職、職場の嫌がらせを初めとした労働問題に対し、解決に向けたアドバイスを行っております。加えまして、事業主等に対し、セミナーや冊子の配布等を通じまして、広く法令の周知とその遵守を促しております。
 なお、先ほど、東京都がこの間、職業訓練施策を後退させてきたというようなご指摘がございましたが、都が進めております職業能力開発センターの再編整備は、老朽化いたしました施設の改築に合わせ、施設を統合し大規模化することで機能を拡充しているものでございます。
 また、産業界の人材ニーズに対しまして、民間との役割分担を踏まえた上で、民間委託を効果的に活用して多様な訓練科目を実施するほか、急激な雇用情勢の変動等にも対応して弾力的に訓練規模を設定しております。平成二十五年度は一万七千名規模の実施を予定しており、リーマンショックのあった平成二十年度に比べ、おおよそ倍増させております。

○大山委員 今、ブラック企業のことを聞いたんです。しかし、職業訓練校を拡充したと。さっき、学校を減らし、そして、定員だって七千六百三人から四千七百八十五人ですよ。そして先生たちはどうですか。指導員の先生を、二百四十人いたのに百五十二人ですよ。職業訓練をするというのは、指導員の先生が訓練をするんですから、どうして指導員の先生を減らして拡充したなんていうことがいえるんでしょうか。
 ブラック企業のことに戻ります。ブラック企業について、審議会の委員からは、東京都労働相談情報センターについて、相談件数をもっとふやすような広報活動に力を入れること、相談員をふやすこと、経営者が集まる会議での法令遵守のための取り組みを行うなど、より草の根に広がっていくような努力をしてほしいという要望が出されていました。
 労働相談情報センターは、確かに年間五万件以上の労働相談を受けたり、労働知識の普及啓発など重要な施策を行っていますが、この十三年間で二カ所も減らし、さらにもう一カ所減らそうとしています。職員定数も、三十四人も減らしました。
 厳しい雇用情勢、過酷な労働環境が社会問題になっている中、ますますその役割に期待が寄せられているわけですから、これ以上機能を弱めることは許されません。統廃合計画は、当然、中止するべきであり、逆にその機能を拡充するよう強く求めておきます。
 若者の正規雇用を確保し、賃金を底上げすることは、何より日本の将来にとって不可欠なことです。だからこそ、国任せにするのではなく、都としてできること、そしてやらなければならないことを、思い切って予算も人もつけてやることが必要です。東京都は、中小企業の雇用創出、職業訓練など若者の雇用就業対策にかかわる大きな仕事を行っています。ここに予算を思い切って振り向けていけば、経済の活性化、そして社会保障の持続、少子化の打破へ重要な役割を果たすことができます。
 ことし二月に出した東京都雇用・就業対策審議会の答申では、現状認識としても、厳しさが続く若年者の就業環境として、就職も進学もしなかった場合、その後も職業能力開発の機会に恵まれず、不安定な状態から抜け出しにくくなると懸念を示し、このことは、若年者本人にとって社会的にも経済的にも自立が困難となるだけでなく、所得格差の拡大や若年層の未婚率の増加にもつながるなど、社会全体から見ても、社会保障や次世代育成など、さまざまな面での損失が大きいと認識を示しています。
 さらに、正規雇用以外の雇用形態で働く若年者は、安定した就業を求め、正規雇用を希望する者が多いとしています。
 知事は、この答申で示された認識をきちんと踏まえ、都の雇用就業対策を進めていただきたいということを述べて、私の質問を終わります。(拍手)

○門脇副委員長 大山とも子委員の発言は終わりました。

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