予算特別委員会速記録第四号

   午後六時四十五分開議

○村上副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 相川博委員の発言を許します。

○相川委員 私ごとで恐縮でございますが、自民党に籍をいただきまして九カ月がたちました。入党した当時に、ある国会議員に顔はもともと自民党だと意味不明のことをいわれておりますけれども、ようやく最近になって自民党の文化になれてきたような気がいたします。今までの私の質問のスタイルを変えまして、自民党らしくやらせていただこうというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 都議会自民党はこれまで、東京の渋滞を解消し、快適で安全な都市を目指すため、首都圏三環状道路を初めとした道路ネットワークの構築に向けて積極的に取り組んでまいりました。しかし、東京の道路を取り巻く現状には課題も多く、とりわけ多摩地域では、高速道路を利用して都心に向かう場合、NEXCOと首都高の間にいまだ料金圏が存在し、中央道と首都高の料金をそれぞれ支払うという問題があります。この問題は、一昨日、公明党の東村理事から大変厳しい、しかし、我々多摩都民には納得のいく、そういうご指摘がありました。
 話がそれますけれども、多摩は水道が一元化をしました。下水道も、不可能な地域を除いてほぼ一元化しています。そのあと、残っている一元化が、実はこの中央道と首都高の問題であります。
 知事には申しわけありませんけれども、多摩都民のほとんどは、地下鉄の一元化にほとんど関心ありません。せいぜい、知事のおっしゃる、あのばかな壁をぶち抜いて、駅の利便性を高めていただく、このことぐらいしか多摩都民は思っておりません。この中央道と首都高の問題、せめて中央道の八王子インターまで首都高に一元化していただく。これが長年にわたる多摩都民の悲願であります。ぜひお願いをしておきたいと思います。
 また、多摩地域における広域的な産業交流の活性化や、防災拠点との相互連絡の強化に資するため、高速道路へのアクセス機能の充実や幹線道路整備が不可欠であります。このような多摩地域における課題を踏まえ、先般、都議会自民党としまして、太田国土交通大臣あてに要望書を提出いたしました。その具体的な要望事項の中から、今回、圏央道八王子西インターチェンジと八王子南バイパスを取り上げたいと思います。
 八王子西インターチェンジは、圏央道の都内区間においては唯一のハーフインターチェンジとなっております。つまり関越道方面への乗りおりができません。そこで、地域の利便性の向上や活性化につなげるため、ETC限定のスマートインターチェンジを整備することによるフル機能化への検討が進んでいます。これはまさに地元の悲願であり、その実現を急ぐべきと考えますが、現在の取り組み状況について伺いたいと思います。

○飯尾都市整備局長 八王子西インターチェンジは、現在、南方向のみのハーフインターチェンジとなっております。
 都は、八王子市の要請を受けまして、多摩地域における広域的な産業交流の活性化などを図る観点から、スマートインターチェンジを活用したフル機能化を国に働きかけてまいりました。
 市は、都や地元などとともに策定した実施計画に基づき、今月中に国に対し、圏央道と八王子市道を連結するために必要な許可申請を行う予定でございます。
 都としては、引き続き必要な協力を行ってまいります。

○相川委員 次に、八王子南バイパスであります。八王子南バイパスは、発展著しい八王子市南部地域の根幹となる幹線道路であり、日野バイパス延伸部や圏央道と一体となることで広域的な産業交流の活性化や都市間連携の強化を図り、道路ネットワークの一翼を形成する重要な路線であります。
 さらに、地震などの災害に備えて、自治体間の広域連携や医療機関への速達性を確保する上でも、本路線の早期整備が求められております。
 そこで、八王子南バイパスの整備状況と今後の取り組みを伺います。

○飯尾都市整備局長 八王子南バイパスは、圏央道高尾山インターチェンジと日野バイパス延伸部を結ぶ、延長約九・六キロメートルの主要な幹線道路でございます。本路線の整備は、八王子市内の国道二〇号線などの混雑緩和に資するとともに、圏央道とのアクセス向上による地域の活性化や防災力の強化に大きく寄与するものでございます。
 本路線のうち、圏央道から町田街道までの約二・六キロメートル区間が既に開通しておりまして、残る区間につきましても国が事業を進めております。
 都としては、引き続き八王子南バイパスの早期整備を国に強く要望してまいります。

○相川委員 この二つの交通インフラは、民主党政権時代の三年三カ月、整備が凍結されたままになっていました。昨年末の衆議院選挙で地元選出の国会議員が返り咲きまして、一気に進展しようとしています。
 都としても、こうした国の動きに呼応して、さらに強力に支援していただくことを要望しておきます。
 さて、冒頭、東京の道路を取り巻く現状には課題も多いと述べましたが、道路の整備には住民の理解と協力を得ながら、時に必要な時間と手続を踏まえながら進めていかなければならないことも、また現実であります。
 近ごろ、渋滞を避け、快適に移動できる身近な交通手段として、自転車の利用が人気を得ています。そこで、これからの道路整備には、自転車が安全で適正に利用されるよう促す観点も必要であると思います。
 先ほど休憩前の原田委員の質問のときに配られました、実はフライブルクの写真に、わずかでありますけれども、私が写っております。あのとき、原田委員と私は同じ目的で一緒にアムステルダム、フライブルク、パリ、ロンドンと自転車を見て、乗ってまいりました。それが皮肉なことに、立場を違えて、多少質問のベクトルは違いますけれども、同じ委員会で同じテーマをやらなければいけない。大変な皮肉を感じております。淡々とやらせていただきます。
 都は、道路整備を積極的に推進するという一方で、このたび自転車安全利用条例を提案しました。我が党の代表質問でも触れましたが、自転車利用が進む半面、危険で無謀な運転や違法な放置など、自転車を取り巻く問題に対処するには、まず自転車利用者の規範意識を高めることが必要です。
 この条例案によって自転車利用者のルール、マナーの改善が期待されるところでございますが、より重要なことは、この条例を踏まえて、具体的にどのような取り組みをするかであります。
 そこで、自転車利用に当たって、交通ルール、マナーの普及に向けた来年度の都の取り組みを伺います。

○樋口青少年・治安対策本部長 提案しております条例案におきましては、自転車利用者が交通ルール等を習得できるよう、安全利用の指針を都が作成することとしておりますが、指針を作成、公表するだけでなく、この指針の内容をわかりやすく伝えるため、学校における交通安全指導に活用できるDVDを新たに作成することや、リーフレットにつきましては、都内すべての小学生、中学生、高校生に配布するものに加え、新たに社内研修等にも活用できる事業者向けも作成するなど、合わせて約三百万枚を配布する、そのような取り組みを考えております。
 また、自転車の交通ルールを疑似体験を通して学べる自転車シミュレーターを活用した安全教室を、来年度は、区市町村等の協力を得て、本年度の二・五倍に当たる百五十回実施するなど、関係者と連携して、社会全体で安全利用に向けた具体的な取り組みを進めてまいります。

○相川委員 条例をきっかけとして社会全体に正しいルール、マナーが広まるよう、都の積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 続いて、最近注目されています東京駅周辺の放置自転車問題について伺います。
 放置自転車対策は、その地域の特性を踏まえる必要があり、地元自治体が積極的に取り組んでいますが、東京駅周辺はいわば首都東京の顔であり、都の取り組みも必要であると考えます。東京都では、現在、東京駅周辺の放置自転車問題の解決に向けた会議を開催中とのことですが、現在の検討状況をお伺いいたします。

○樋口青少年・治安対策本部長 都は、東京駅の周辺における放置自転車問題の解決に向けて、警視庁と協力して、本年一月から、千代田区、中央区、そして、JR東日本などの鉄道事業者、地域商店会などの関係者を集めた対策会議を開催しております。
 この会議では、自転車の放置の実態を分析した上で、駐輪場のさらなる整備や顧客等に対する違法駐輪防止の呼びかけなど、関係者がそれぞれの立場で取り組む事項を、短期的に実現可能なものと中長期的な対応が必要なものに分類して検討しておりますが、本年の夏までに解決に向けた施策を具体的に取りまとめてまいります。

○相川委員 ぜひ、駐輪場の整備というような明確な形で成果を期待しています。
 また、東京駅以外の場所の対策も重要だと思います。すべての地区の問題に東京都が関与していくことは難しいかもしれませんが、知事が施政方針でも述べられたとおり、民間の力をさらに引き出しながら対策を進めることを期待して、次の質問に移ります。
 都民の貴重な水がめである村山、山口貯水池、通称多摩湖、狭山湖について伺います。
 東日本大震災では、福島県にある土で固めた農業用のアースダムが決壊し、八名もの死者、行方不明者が出るなど、アースダムの耐震性の確保が全国的な課題となっています。
 こうした中、水道局では、先進的な取り組みとして、平成九年度から国内で初めてアースダムの強化工事を手がけてきており、高く評価しているところであります。既に山口貯水池、村山下貯水池は工事を完了していますが、残る村山上貯水池は現時点では行われていません。
 まず、村山上貯水池の耐震性について伺います。

○増子水道局長 水道局では、平常時はもとより、震災時などにおきましても可能な限り給水を確保するために、施設の耐震化に取り組んできております。
 村山上貯水池につきましては、平成二十三年度から二十四年度にかけて耐震診断を実施いたしました。この診断に当たりましては、東日本大震災を受けて平成二十四年四月に公表された、首都直下地震等による東京の被害想定で用いた想定地震を対象として実施いたしました。
 その結果、これまでの二つのダムと同様に、貯水機能は損なわれないものの、ダム上部の沈下や斜面の滑りにより変形が生じることが判明いたしました。

○相川委員 村山上貯水池は、羽村堰から取水した多摩川の水を蓄えるために大正十三年に都が初めてつくったダムであり、長きにわたり都民の生活を支えてきた貴重な水がめです。
 ダムの上は東京と埼玉を結ぶ重要な道路であり、多くの車が利用しています。また、都立狭山自然公園内に位置して、四季折々の豊かな自然が残され、多くの人が散策やサイクリングを楽しんでおり、ダム湖百選にも選ばれております。
 これらのことから、村山上貯水池の強化工事を行って、大規模地震の発生時にも被害が生じないよう万全を期すべきと考えます。
 そこで、耐震診断の結果を受けて、今後の整備について伺います。

○増子水道局長 村山上貯水池は、安定給水を確保する上で極めて重要な施設であり、また、ダム上部の管理用通路は一般に開放していることから、地震による被害を最小限にとどめる必要がございます。
 そこで、村山上貯水池につきましても、盛り土をして斜面を緩やかにするなどの強化工事を行うことといたします。平成二十五年度から基本設計に取り組み、平成二十八年度の工事着手を目指してまいります。これにより、強固で高い安全性を備えた都民の貴重な水がめとして次世代に継承してまいります。

○相川委員 大変心強く思います。工事に当たっては、周辺環境に十分配慮して、今後、百年、二百年にわたって安心して使い続けられる水道施設として整備していただくよう要望しておきます。
 次に、多摩四百万都民の安全・安心確保に向けた流域下水道の取り組みについて伺います。
 東日本大震災では、東北地方沿岸部を中心に下水道処理施設が壊滅的な被害を受けております。都では、東日本大震災の教訓や迫り来る首都直下地震の被害想定などから、震災対策に力を入れているところですが、ひとたびこのような地震に見舞われ、下水道の機能が失われるような事態が生じた場合、都民生活への影響ははかり知れません。
 特に水再生センターは、下水や汚泥の処理を二十四時間三百六十五日稼働しなければなりません。震災時において安定した下水処理を確保するために、施設の耐震化の取り組みを加速すべきだと思います。
 そこで、流域下水道の水再生センターにおける耐震化の取り組みについて伺います。

○小川下水道局長 流域下水道の水再生センターの耐震化につきましては、これまで老朽化した設備の更新や高度処理化のスケジュールに合わせ、水処理施設の耐震補強など、震災時における下水道機能を確保する観点から必要な対策を計画的に実施してまいりました。
 今後は、水再生センターの耐震化のスピードアップを図り、想定される最大級の地震動に対し、水をくみ上げる揚水、簡易処理及び消毒など震災時においても必ず確保すべき機能を担う施設について、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック前の平成三十一年度までに対策を完了させます。

○相川委員 長期にわたる稼働停止は都民生活に及ぼす影響が大変大きいと考えますので、しっかりと対応していただきたいと思います。
 多摩地域の流域下水道では、阪神・淡路大震災で下水処理場が被災し、長期にわたって下水の処理機能が停止したことを教訓として、多摩川を挟む二つの水再生センターを連絡管で結ぶという取り組みを進めています。
 この取り組みは、震災時などに一方の水再生センターが被災した際にも、下水や汚泥の処理をバックアップできる画期的で先見性のある取り組みであると評価しております。
 私の地元、八王子水再生センターでは、対岸にある多摩川上流水再生センターと結ぶ連結管が既に稼働していると聞いております。そこで、多摩川上流、それと八王子水再生センター間の連絡管のこれまでの具体的な成果と、流域下水道における連結管の整備の今後の取り組みについて伺います。

○小川下水道局長 連絡管は、震災時のバックアップ機能の確保と施設の更新や維持管理の効率化を目的に整備を進めております。
 多摩川上流と八王子水再生センター間は平成十八年度から稼働しており、東日本大震災における計画停電の際には、汚泥処理機能が停止した八王子水再生センターの汚泥を多摩川上流水再生センターに送ることにより、処理に支障を来すことはございませんでした。
 二本目となる北多摩一号と南多摩水再生センター間については、今年度完了いたします。完成後は、この連絡管を活用し、北多摩一号水再生センターにおいて水処理設備の更新工事に取り組んでまいります。
 また、三本目となる北多摩二号と浅川水再生センター間につきましても、今年度工事に着手しており、平成二十七年度末の完成を目指しております。

○相川委員 今のご答弁で、あの震災の際にも、下水や汚泥を処理するためのバックアップ機能が十分に発揮され、その効果が実証されたわけであります。
 こういう施設が多摩地域に整備されているということは、私たち多摩都民としても大変心強いことであると思います。連結管の整備は先見性のある事業であり、このような施設は、下水道の大切さや防災対策の重要性について理解を得るため、PRに活用すべきだと思います。
 私たち人間は、飲む水に対してはだれでも関心を持っていますけれども、排水とか自分が垂れ流したようなものについては、後は野となれ山となれで、だれも関心を持たないような風潮がありますから、ぜひ下水道の大切さというものを、こういう施設を使って都民に周知を図っていただきたいというふうに思います。
 そこで、連結管を活用したPRの取り組みについて伺います。

○小川下水道局長 今年度、連絡管が完成いたします北多摩一号水再生センターと南多摩水再生センターにおいて、バックアップ機能など連絡管の目的や下水道の震災対策をわかりやすく伝えるためのPR施設の整備を進めております。
 具体的には、深さ三十メートル、直径三・五メートルの連絡管の中を実際に見ていただき、下水道施設のスケールを体感していただくとともに、下水道管の耐震化技術などの展示のほか、映像やパネルにより、下水道の大切さ、連絡管の仕組み、震災対策の取り組みなどについて楽しく学べる工夫を凝らし、広く一般の方々に公開してまいります。
 今後も、さまざまな機会をとらえ下水道事業について理解を深め、防災意識を高めていただけるよう取り組んでまいります。

○相川委員 ぜひ、これからも流域下水道事業の充実発展に取り組んでいただくことをお願いしておきます。
 次に、多摩の魅力発信について伺います。
 先日の定例会一般質問の我が党の林田議員の質問に対して、都は、本年、多摩地域が有するさまざまな魅力を広く内外に発信するイベントを開催していくことを表明いたしました。
 多摩地域は地域ごとにさまざまな特性があり、観光資源や自然など、多摩で生活をしている住民自身でさえ気がついていない魅力も数多くあると思います。多摩東京移管百二十周年という節目の年に合わせて、都がこうした取り組みを行うことは大変有意義なものであると評価します。
 そこで、まず、来年度予算に計上されている多摩の魅力発信事業の概要とその進め方について伺います。

○笠井総務局長 本事業では、ことしの八月に多摩の魅力を総合的に発信する記念イベントを市町村と共同で実施するとともに、新たな多摩のビジョンを題材としたシンポジウムを開催するほか、多摩の魅力を紹介する映像を作成し配信してまいります。また、市町村が主体となって、年間を通じて実施していく地域の魅力を生かしたイベントに対しても、都として支援を行ってまいります。
 記念イベントの開催に当たりましては、市町村はもとより、多摩地域に活動拠点を置く商工会、商工会議所、JAといった経済団体、大学や専門学校などの教育機関や企業、NPOなどの幅広い主体に参画を呼びかけるなど、多様な主体と十分な連携を図りながら進めてまいります。

○相川委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、本年は、多摩東京移管百二十周年のほかにも、スポーツ祭東京二〇一三が開催される大変重要な年でもあります。多摩に全国の注目が集まる一年となり、多摩の魅力を全国に発信する絶好のチャンスであります。この機をとらえ、スポーツ祭東京二〇一三と連携して、多摩の魅力を全国に発信していくべきと考えますが、所見を伺います。

○笠井総務局長 スポーツ祭東京二〇一三の開催期間であります九月二十八日から十月十四日に合わせ、東京を訪れる人々が多摩の魅力を体験できるさまざまな企画を検討してまいります。
 具体的には、トウキョウXとか東京しゃもなど全国的にも有名な多摩の食材を用いた、ご当地グルメの紹介ですとか、高尾山や西多摩の自然を生かした日帰りツアーやトレッキング、こういったものを考えていこうと思っております。
 また、ツイッターなどのソーシャルネットワーキングサービスの活用によって、それぞれのイベントの情報の告知ですとか、インターネットの動画、電車内映像広告などによる観光情報の提供を通して、多摩の魅力を全国的に発信していきたいというふうに思っております。

○相川委員 イベントを続けますけれども、ヘブンアーチストについて伺いたいと思います。
 公園や地下鉄の駅などでジャグリングや楽器演奏を行うヘブンアーチストは、子どもからお年寄りまで幅広い人々が楽しめる身近な庶民の文化イベントとして人気があります。しかしながら、残念なことに、その活動場所というのは区部が中心となっているのが現状であると思います。
 そこで、多摩地域にヘブンアーチストの活動を誘致して、多摩の人々が気軽に文化に触れる機会をふやしていくべきと考えます。
 率直に申し上げて、八王子でヘブンアーチストの公開審査をやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小林生活文化局長 大道芸人に公共空間を開放するヘブンアーチストは、東京を代表する文化イベントとして定着し、被災地での公演など、その活動領域を広げてきております。
 ヘブンアーチストのライセンスの取得を目指して観客の前でわざを競う公開審査は、平成十四年度から十二回、都民広場で開催をしてきました。この公開審査を来年度は、地場野菜の紹介や飲食ブースの出店等と組み合わせた初めてのイベントとして、八王子で開催をするべく、今後、八王子市や地元関係団体等と調整をしてまいります。
 これを契機として、多摩地域における活動拠点をふやすなど、ヘブンアーチストの活動をさらに活性化してまいります。

○相川委員 ちょうど二十年前には、多摩東京移管百周年を祝ったイベント、TAMAらいふ21が開催されました。このTAMAらいふ21というイベントを契機として、多摩の振興は大きく進んだと私は思っております。多摩の魅力発信事業、あるいはヘブンアーチストもそのような契機となって、大きな成果を達成されることを期待しています。
 次に、産業振興について伺います。
 私の地元八王子を含む多摩地域は、高付加価値な製品づくりを行う中小企業が多数存在しており、高度な技術基盤を生かして技術開発や製品の事業化を進め、魅力ある産業集積をつくり上げていくことが重要です。
 多摩地域のものづくりのポテンシャルを最大限に引き出すためには、高い技術力を持った中小企業と、多摩に数多く立地する大学、研究機関との連携をより強固なものにしていくことが重要であります。
 もともとこの地域は、地域の支援機関や金融機関が橋渡し役となり、産学連携や企業間のマッチングが盛んですが、こうした取り組みをさらに活発化させ、多彩な技術を組み合わせることにより、画期的な製品や技術を生み出すことも可能と考えます。
 その多摩において、都は、計測分析やロボットといった分野を対象に、産学公金のネットワークを形成し、そこから生まれる新たな製品開発プロジェクトへの支援を進めていると聞いています。
 こうした成果を着実に積み重ね、多摩地域の発展につながるよう、切れ目ない積極的な支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○中西産業労働局長 多摩地域には、高度な技術を持つ中小企業を初め大学や研究機関が数多くあり、こうした多様な主体の連携を活発にし、産業振興につなげることが重要でございます。
 このため、都は、平成二十一年度より都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業を実施し、産学公金のネットワークをつくり、新製品の共同開発の立ち上げから事業化までを支援してまいりました。
 このネットワークには、現在、七百六十五の企業や団体が参加し、二十七の開発プロジェクトをつくり活動しております。その成果といたしまして、ガソリン車に取りつけ、電気自動車と同じ性能を実現する装置の開発では、大手企業から受注の打診があるなど、事業化が進む事例がふえております。
 新年度は事業化をさらに促進し、成功事例をつくり出し、多摩地域の中小企業振興に結びつけてまいります。

○相川委員 今、答弁があったとおり、産学公金のネットワークにおいて、それぞれがお互いの持つポテンシャルを十分に生かして、イノベーションを引き出し、多摩地域のさらなる産業の活性化につなげていくことができるよう、都のさらなる支援を改めて要望しておきます。
 さて、こうした企業間や産学連携などの産業交流を中心となって支えていくスペース、場の提供についても、都における重要な取り組みであると考えます。
 都は、「二〇二〇年の東京」において、広域的産業交流の中核機能を担う産業交流拠点を八王子市に整備することとしています。
 本定例会の代表質問におきましても、我が党の野島幹事長が要望いたしましたが、多摩地域における産業の発展を下支えしていくためにも、企業、研究機関や大学が一堂に集い、お互いの知恵を出しながら、ものづくりの力を高めていくとともに、その成果をPRすることのできる場を設け、多摩地域の中小企業による製品やサービスの開発を促進していくことが重要なことと思います。
 また、拠点の整備予定地は、JR八王子駅北口の大変便利な地区に面しておりまして、交流の幅としては最好適地であるため、地区全体のまちづくりにも十分に配慮しながら進めていくことも必要だと思います。
 こうしたことから、拠点の整備については、地元八王子市や経済団体からの高い期待が寄せられていますが、これらを踏まえて、都は今後、拠点の整備に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○中西産業労働局長 多摩地域の産業振興を図る上では、産学公の連携を進めるとともに、中小企業の技術力や製品を広く発信することが必要でございます。このため、都は、八王子市に産業交流拠点の整備を予定しております。
 本年度は、拠点の整備に向け、中小企業やその支援機関などに意向調査等を行い、多摩地域の産学公の連携や企業の情報提供に関するニーズ等を把握することとしております。また、拠点の施設規模や効果的な利用のあり方などについても調査し、今月末を目途に結果を取りまとめる予定でございます。
 新年度は、整備の予定地を含めた地区全体のまちづくりの方針や地元市からの提案等も踏まえながら、拠点の着実な整備に向けて、さらに具体的な検討を行ってまいります。

○相川委員 この整備事業は、いってみれば、八王子市の再生の生命線であります。ぜひ力を入れて進めていただくようにお願いをしておきます。
 最後に、スギ花粉発生源対策について伺います。四半世紀、花粉症に悩む者として質問いたしますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 都が十年ごとに行っている花粉症患者の実態調査によりますと、これは古いんですけれども、平成十八年度の調査結果では、島しょ地域を除いた都内のスギ花粉症の推定有病率は二八・二%、つまり、都民約三・五人に一人がスギ花粉症患者であると推定されました。これは七年前の調査ですから、現在はもっとふえていると思います。
 また、平成十二年、これもまた古いんですけれども、旧科学技術庁のスギ花粉症克服に向けた総合研究というのがありまして、これによりますと、スギ花粉症による経済的損失は、医療費並びに薬代などの医療関連費用を直接費、仕事を休んだりした労働損失を間接費に分けると、間接費だけでも二百七十五億円、直接・間接費の合計は何と二千八百六十億円。これは平成十二年の調査ですから、今では優に三千億円を間違いなく超えているものと思います。まさにこれはもう国民病といえると思います。
 私は、十年ほど前に予算特別委員会でこの問題を取り上げました。地元八王子の友人の所有林から朝どりの杉の枝を透明のビニール袋に密閉しまして、この場所で振り回して、大変なひんしゅくを買いましたけれども、とにかく薬も効かないんです。ことしぐらいひどいともう全然だめです。マスクをしても、これもまただめです。もうもとを絶つことしかないと思います。つまり、発生源対策しかないんです。
 東京都は、平成十八年度から、スギ花粉飛散量の削減のために、スギ花粉発生源対策を開始しまして、杉林の伐採と花粉の少ない杉への植えかえを行っています。私の地元八王子でもこうした取り組みが進められておりまして、この事業しかないと大いに期待をしてきました。
 そこで、スギ花粉発生源対策の十年間の計画のうち、これまでの実績について伺います。
 あわせまして、伐採した木材、つまり多摩産材の利用拡大を図ることも表裏一体で進めなければ、発生源対策そのものが進展しないものと思います。
 多摩産材の利用拡大に向けて、どのように取り組まれていくのかもお答えいただきたいと思います。

○中西産業労働局長 スギ花粉発生源対策の事業開始後六年間の実績といたしまして、杉林を花粉の少ない杉に植えかえます主伐事業を約百五十カ所、三百九十ヘクタール実施いたしました。あわせて、伐採した木材を効率的に搬出するための作業道を約五千四百メートル整備し、約七万四千立方メートルの多摩産材を市場に供給いたしました。
 また、多摩産材の利用拡大に向け、都はこれまでも、庁内利用のほか、区市町村に協力を求めてまいりました。例えば八王子市では、道の駅八王子滝山で活用の実績がございます。
 さらに新年度からは、木との触れ合い推進事業を開始し、保育園等が行います床や壁等の内装の木質化や大型木製遊具の整備等を支援するとともに、これらの施設を多摩産材のPRのため効果的に活用してまいります。
 今後とも、スギ花粉発生源対策と多摩産材の利用拡大に積極的に取り組んでまいります。

○相川委員 ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 今、梅が満開になっています。もう間もなく桜も開花をするわけでありますけれども、私たち花粉症の患者は、お花見の季節というのは非常にいい季節だと思うんですが、実は、一番嫌な季節がこの季節であります。ぜひ私の目が黒いうちに、野外で桜の花をめでながら、おいしいお酒が飲める、そんな日を返していただくことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)

○村上副委員長 相川委員の質問は終わりました。

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