予算特別委員会速記録第四号

○斉藤委員長 続きまして、小林健二委員の発言を許します。
   〔委員長退席、谷村副委員長着席〕

○小林委員 初めに、ソーシャルネットワーキングサービスを活用した情報発信についてお伺いをいたします。
 急速な技術革新が進む中、ソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSを活用した情報発信は、行政としても大変重要な取り組みであると思います。
 SNSを活用して何らかの情報を発信している自治体を調べてみました。全国四十七都道府県で、ツイッターを活用している地域は四十三都道府県、フェイスブックを活用している地域は四十二都道府県でありました。また、東京都内六十二の区市町村では、ツイッターは四十四の自治体、フェイスブックは七つの自治体が活用しておりました。
 「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三では、ツイッターなどのSNSを活用し、時代に即した攻めの広報を展開して、直接都民へ情報を提供すると記載されておりますが、私も、大事な視点であると思います。
 そこで、今後、さらなる情報発信力の強化に向けたツイッターの活用について、知事の所見をお伺いします。

○猪瀬知事 知事に就任した昨十二月十八日、全局にツイッターで情報を発信するよう指示しました。十二月二十一日にすべての局で運用を開始しました。
 情報公開ということも含めて、ホームページは待ってるだけですから、お客さん。出前に行かなきゃだめ、ツイッターは出前だと。情報の出前をする、そういうことでスピード感を持ってやるということと、ツイッターというのは百四十字ですから--やってますか。百四十字ですから、短いところで、ちゃんと結論と根拠をいわないと--これ、言葉の力を磨かなきゃできない。これは非常に都庁の職員にとっても意識改革になりますから、大変いいことだと。
 そして、二月十五日に、行政として全国で初めて、ツイッターを運営するツイッタージャパン、ツイッターの日本法人ですね、これと連携協力するための協定を結びました。
 この協定に基づき、四月から、ツイッタージャパンから講師を招き、各局広報担当課長、あるいは担当職員の講習会を開催します。講習会で、キーワードにハッシュタグをつけたり、検索されやすくする方法など、より効果的な情報発信のためのノウハウを習得することができる、こういうことです。
 ツイッター社は、東日本大震災のときに、例の気仙沼の中央公民館、四百四十六人を救いましたが、それはツイッターの世界では非常によく知られた話で、それで、災害時における活用事例ということで、ツイッター社はこのことも世界に発信していますから、そういうことで、この取り組みを通じて、今後、一段と情報発信力を強化していきたい。
 現在、あれからふえまして、各局で四十七アカウント、それから都庁関連で五十八アカウント、合わせて百五アカウント、今あります。できるだけ皆さん、フォローして、そして情報を常に受け取って、あるいはまた、それに対して返してくだされば、より深まるのではないかというふうに思っております。
 なお、世界で五億人がツイッターを利用しています。
 以上です。

○小林委員 ぜひ今後とも、情報の質、そして、わかりやすさを追求して、言葉の力で都政を都民に近づけていっていただきたいと思います。
 私は、かねてより、SNSや携帯端末を活用した情報発信に関心を持っておりまして、特に一昨年の東日本大震災以降、防災の視点からもこれらが生かせないかと考えておりました。
 昨年の第二回定例会で、我が党は、帰宅困難者対策の一つとして、スマートフォンなど携帯端末を活用した東京都独自の専用アプリケーションの作成を提案しました。
 その際、総務局長より前向きな答弁をいただきましたが、現在の進捗状況についてお伺いいたします。

○笠井総務局長 発災時に、都民が冷静かつ適切な行動をとれるよう、行政などが発信する多くの情報の中から必要とする情報を容易に収集できる携帯端末向けのポータルサイトを作成しているところでございます。
 このサイトは、スマートフォンやタブレット端末に対応して、避難所や災害時帰宅支援ステーションの位置を示す防災マップ、災害用伝言板や防災ツイッター、鉄道情報や道路情報など、使用頻度の高いコンテンツを見やすい位置に配置し、利用者が必要な情報に素早くアクセスできるように設計しており、年度内の提供を予定しております。
 今後とも、このポータルサイトを含め、多様な情報提供手段を活用し、災害時に迅速かつ的確に情報を提供してまいります。

○小林委員 年度内には提供できるということですが、今後は、多くの都民の方にこのポータルサイトを活用していただけるよう、ツイッターやチラシなど、さまざまな媒体で広く周知をしていただきたいと思います。
 先ほど、知事のご答弁で、情報の出前という表現を使われておりましたが、ぜひとも今後取り組んでいただきたいと思うことがございます。それは、出前のとり方を広く周知することを検討していただきたいと思います。SNSから情報を得るということは、おそば屋さんから出前をとるように、電話一本でてんぷらそばを注文し、届けてもらうというわけにはいきません。
 先週、警視庁と有識者による警備心理学研究会が実施した首都直下型地震に対する意識調査の結果が新聞報道されましたが、その中で、安否確認の手段として利用を考えるのは、一位は電話が三六%、続いてメールが二九%で、SNSは二・四%でありました。この二・四%という数字、そもそもSNSということがよくわからない、SNSからどんな情報が発信されているのかわからないということもあらわされているのではないかと思います。
 SNSが普及しているとはいえ、そこからどのようにして情報を得たらいいのかわからない方もまだまだ多くいらっしゃると思います。一人でも多くの方に情報提供していくためにも、例えば、都が取り組んでいるSNSの活用方法を都民向けにわかりやすく広報するパンフレットを作成するなどして、情報の出前のとり方を広報していくことにぜひ取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。(発言する者あり)これは答えられないということで……。
 次に、若年性認知症について質問いたします。
 都内の認知症高齢者数は約三十二万人で、六十五歳未満で発症する若年性認知症の方は約四千人と推計されています。
 先日、「明日の記憶」という映画を見ました。七年前の日本映画ですが、広告代理店のやり手の営業マンが若年性アルツハイマー病になり、最後は奥さんのことまでわからなくなってしまうという内容でございますが、大変に多くのことを考えさせられました。
 この映画の主人公のように、若年性認知症は働き盛りに発症することが多く、高齢者とは異なるさまざまな問題があります。政治がどのような支援を行っていけるかということを真剣に考えていくことはもちろんのこと、私は、認知症に対しては、人間の尊厳という一点を根本に据えて考えていかねばならないと思っております。
 都が発行している若年性認知症ハンドブックには、認知症を、脳の疾患により記憶、思考、時間、場所などの感覚、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む認知機能の低下した状態と定義されています。このような状態になった方がいたとしても、どこまでも人間の尊厳を根本にして、その人の命の輝き、そして、今を懸命に生きるその人の大切な人生を応援していく社会にしていかねばならないと思います。
 私たち公明党は、若年性認知症の抱える諸問題の重要性を認識し、今日まで都議会においても繰り返し取り上げてまいりました。国においては、昨年九月に認知症施策推進五か年計画、いわゆるオレンジプランを策定しましたが、若年性認知症施策の強化という点も盛り込まれております。
 都においては、国に先駆けて、平成二十年度に認知症対策推進会議に若年性認知症支援部会を設置して、実態調査や対応策の検討を開始していますが、これらの都の取り組みは、若年性認知症家族会の方も、都は他県に比べて対応が進んでいると評価をされておりました。
 平成二十二年の第二回定例会の我が党の代表質問で、若年性認知症について、都内の相談窓口が極めて少ない状況を指摘し、身近な地域で相談が受けられるような制度を整備すべきと提案をいたしました。この提案を受け、昨年五月に、全国で初めてとなるワンストップの相談窓口として、目黒区に若年性認知症総合支援センターが開設されました。私も昨年、開設間もない支援センターに伺い、スタッフの方から運営状況などもお聞きをしました。
 まだ開設後一年もたっておりませんが、今日までの若年性認知症総合支援センターにおける相談の実績、またその内容についてお伺いいたします。

○川澄福祉保健局長 若年性認知症総合支援センターでは、昨年五月の開設以来、本年二月末までに、百八十六名の方に関する相談を延べ九百三件受け付けております。
 相談者の内訳は、配偶者が約四割で最も多く、次いで居宅介護支援事業所のケアマネジャー、地域包括支援センター、本人の順であり、それぞれ約一割程度となっております。
 また、相談内容は、若年性認知症の人が利用できる介護サービスに関すること、要介護認定など介護保険制度に関すること、障害年金の受給に関すること、再就職など就労に関すること、家族の介護負担の軽減に関することなど多岐にわたっております。

○小林委員 私は先日、若年性認知症家族会の方、また、若年性認知症の方々を専門とするデイサービスを行っている事業者の方と、この問題について意見交換し、今後、行政として取り組んでもらいたい課題に対するご要望もいただいてまいりました。
 まず一点目は、総合支援センターの拡大であります。昨年開設した若年性認知症総合支援センターは、本当によく相談に乗ってくれて助かったとの声をいただきました。その上で、都心に一カ所しかないので、遠方の方が訪問するには多くのご苦労もあり、ぜひ同様の支援センターをもう一カ所、例えば多摩方面に設置してもらいたいとの要望がありました。
 二点目は施設整備であります。これは、地域に認知症高齢者の施設はあるが、入所をお願いしても受け入れてもらえなかったというご家族からの声です。若年性認知症を専門とするような小規模多機能型居宅介護施設やデイサービス、グループホームなど、施設整備を推進してもらいたいという要望でありました。
 三点目は人材育成であります。相談窓口となる地域包括支援センターの担当者やケアマネジャーが、若年性認知症に対する知識や経験が浅く、相談している家族にとって、今一番どのような支援を必要とし、どう対処していけばいいのかという適切な対応がなされていない事例があるため、若年性認知症特有の課題について、現場の実務レベルのアップを図ってもらいたいということであります。
 四点目は就労支援であります。現役で働いている方が早期の段階で若年性認知症の診断が下った場合、勤務先の理解を得て、例えば配置転換を検討してもらうなど、就労継続支援ができないかとの課題であります。多くの問題をクリアしなければなりませんが、初めから無理という発想ではなく、何らかの方策を検討してもらいたいとのことでありました。
 このほかにもさまざま課題はありますが、病状の進行に伴ったそれぞれの段階での支援策の体制が構築されていることが重要であるとのご指摘がありました。
 先ほど、若年性認知症総合支援センターに寄せられた相談状況についてご答弁いただきましたが、今申し上げた課題も含め、今後、相談者の実情に沿ったきめ細かな支援策を検討していくことが非常に大事だと思いますが、所見をお伺いします。

○川澄福祉保健局長 センターには、高齢者を対象とした既存の介護サービスを利用する際の抵抗感や、同じ境遇の方との交流の場がないなど、若年性認知症の方の居場所づくりや社会参加に関する相談が数多く寄せられております。
 そのため、都は現在、医療や介護の専門職、家族会の方などで構成する東京都認知症対策推進会議において、若年性認知症の方の介護や社会参加活動を地域で支援している介護事業者、NPO法人等から意見を聞きながら、居場所づくりを検討するに当たっての論点整理を行っているところでございます。
 若年性認知症の方への支援のあり方は多様であることから、今後、それぞれの論点に沿って支援策を検討してまいります。

○小林委員 私の自宅のご近所に、家族ぐるみでおつき合いさせていただき、大変にお世話になっているご夫婦がいらっしゃいますが、ご主人が若年性認知症であります。この方はホテルマンとして懸命に働いてこられましたが、五年前、五十九歳のときに若年性認知症と診断されました。
 先日、奥様から今までのご苦労をさまざまお聞きをいたしました。あるときは、ご夫婦二人で外出しているとき、一人ではトイレに行けないご主人に連れ添って男性用トイレに入っていく際、はたから見ればご主人は若年性認知症とわからないため、好奇の目に何度もさらされたこと。あるときは、子ども連れの母親がご主人の方を見て、あの人は頭がおかしいから近づいちゃだめよといわれたこと。また、あるときは、あの人認知症なのね、ああはなりたくないわね、ああなったらおしまいねと陰口をいわれたこと。このほかにも、ここではいい尽くせないほど、あまたの心ない言葉を浴びせられ、奥様は日々葛藤し、筆舌に尽くせぬご苦労をされ、どれほどの涙を流されたかわかりません。
 しかし、奥様は、デイサービスの事業者の方との連絡ノートに、次のように記しておりました。毎日毎日、今後のことを悩んで苦しんでいます。とにかく貧乏をしても、パパにとって一番いい結果を出してあげたい。パパの幸せそうな笑顔を見ると、私もハッピーになるんです。将来、少しでも多くの方に、今の経験を生かして、元気と勇気を分けてあげられる自分に成長したいと記し、愛するご主人のために今を懸命に生き抜いておられます。
 若年性認知症の方や、そのご家族が、少しでも安心して希望を持って前に進んでいくためには、社会における若年性認知症への理解、そして温かく包み込んでいく社会の連帯が大切であります。
 そのためにも、都民を初め、先ほど申し上げた地域包括支援センター、サービス事業者など、社会全体に対する若年性認知症の普及啓発にさらに取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。

○川澄福祉保健局長 都は企業等の理解を深めるため、若年性認知症の基礎知識や相談窓口等を掲載したハンドブックを作成し、地域包括支援センターや産業医等に配布をしております。
 また、このハンドブックの内容につきましては、認知症専門のポータルサイト、とうきょう認知症ナビにも掲載し、広く都民に普及啓発をしております。
 来年度は、都が実施する介護職員向け研修に、若年性認知症の人の理解を新たにカリキュラムに盛り込むとともに、東京都医師会が実施する産業医研修におきましても、職場における若年性認知症の対応をテーマに講義を行います。
 また、ハンドブックも改訂する予定でございまして、こうした取り組みを通じて都民や企業の理解の促進を図ってまいります。

○小林委員 先ほど、東京都認知症対策推進会議において論点整理を行い、支援策を検討していくとの答弁がありました。ぜひとも目に見える形の支援策を一つ一つ積み上げていただくよう心からお願いをいたします。
 次に、防災対策について幾つか質問をさせていただきます。
 初めに、都立公園における防災機能についてお伺いします。防災上、公園の果たす役割が新たになったのは関東大震災であるといわれておりますが、主に三つの点から重要性が指摘されたとのことであります。
 一つ目は、関東大震災では、十万人を超える犠牲者のうち、約九割が火災で犠牲になったとの記録が残っておりますが、都市を襲う火災にあって、公園や緑地などが火よけ地として延焼を防ぐ効果があるということ。
 二つ目は、地震直後、当時の東京市の公園や駅前広場などに百六十万人の人々が避難し、避難地として公園の役割が大切であること。
 三つ目に、公園は仮設住宅建設の用地としての役割を果たすこと。
 以上のような点から、都市防災における公園の重要性が新たになったそうであります。この経験を踏まえて、大震災後、復興公園の計画が策定され、公園行政の祖といわれる内務省復興局公園課長の折下吉延氏が指揮して、震災復興三大公園といわれる隅田公園、浜町公園、錦糸公園が整備されました。
 また、日本史の教科書「江戸から東京へ」の中の関東大震災後の復興計画についてとの項目では、市街地には小公園の配置を計画し、五十二の復興小公園が小学校に隣接してつくられた、この小公園は、校庭の補完機能や災害時の避難場所としても利用される計画であったと記されております。
 このような歴史の教訓、知恵から学び、現在、都立公園八十公園のうち六十公園が防災公園に位置づけられておりますが、これからの東京の防災対策を考える上でも、都立公園の防災機能の強化や防災関連施設のさらなる拡充は大変に重要になってくると思います。
 そして、機能の強化とともに、都立公園が防災上果たす役割を都民の皆様が認識し、いざというときに安全・安心の場として機能していくためにも、都立公園を擁する近隣住民の、都立公園を活用した防災訓練が重要であると思います。
 先月、私の地元練馬区にあります都立光が丘公園で、この公園を擁する光が丘地区住民組織連絡協議会の皆様と、公園の指定管理者である東京都公園協会が協力して開催した災害時公園運用防災訓練に参加をしてまいりました。
 光が丘公園の周辺は巨大な団地群で、光が丘地区住民組織連絡協議会は、賃貸住宅の自治会と分譲住宅の管理組合の三十七団体で構成されています。このたびの災害時公園運用防災訓練は、行政が行う公助の救援が届くまでの間、一人でも多くの人命を救うために避難者同士が助け合う共助を目的として行われ、都立公園を活用して、地域の住民組織が主体となって取り組んだ初めての訓練であったと伺いました。
 区や都が実施する総合防災訓練は、役割分担やタイムスケジュールが決められ、指揮命令系統も統一されており、参加者が迷うことなく行動できる訓練という点で意義がありますが、実際に災害が起きた場合、行政の手が入るしばらくの間は指揮命令系統の存在しない混乱状況であり、避難者が行政の援助が届くまでの間、それぞれの役割を果たし、自助、共助を推進していかねばならないとの問題意識を持って取り組まれました。
 訓練内容は、防災かまどベンチの使用訓練、防災トイレの設営訓練、応急救命措置訓練、帰宅困難者対応訓練など多岐にわたっており、大変に意義深いものでありました。住民主体の初めての訓練ということもあり、試行錯誤を重ねての訓練でありましたが、連絡協議会会長を初め、地域住民の方々も、強い防災意識と使命感を持って取り組んでおられました。
 災害時には地域住民が主体的に自助、共助の力を発揮していくことが大切であり、その意味においても、このたび光が丘公園で行われた近隣住民が主体となった防災訓練は、防災公園としての都立公園の役割をさらに高めていく効果があると思います。
 今後、各地の都立公園で、このような地域住民主体の防災訓練に取り組んでいくことが大事であると考えますが、見解を伺います。

○村尾東京都技監 都の地域防災計画におきましては、災害時の避難場所の運営は、基礎的自治体がその責任で行うものとしており、公園管理者は、利用者の安全はもとより、避難、救助、救出の活動拠点となる場を確保する役割を担っております。
 このため、都は、地域住民の自助、共助の意識や災害対応能力の向上を図るため、地域と連携し、都立公園でさまざまな防災訓練を実施しております。
 例えば、舎人公園では、区や地元町会、警察、消防と合同で大規模な訓練を、葛西臨海公園では、水上バスによる帰宅困難者の輸送訓練を実施しております。また、小金井公園におきましても、住民とともに、かまどベンチによる炊き出しや防災トイレの組み立て、AED操作講習などを実施しております。
 今後も、地元区市や警察、消防、地域住民と連携し防災意識の向上に努めてまいります。

○小林委員 ぜひとも今回の光が丘公園の訓練の内容や課題を検証して、住民主体で行う防災訓練の意義というものを広くほかの都立公園の指定管理者にも普及していっていただきたいと思います。
 現在、防災公園と位置づけられている六十の都立公園における防災関連施設も、平成二十五年度にはおおむね整備が完了すると聞いておりますが、これから新たに公園そのものの整備が計画されているものもあります。
 都は、平成二十三年に行った都市計画公園・緑地の整備方針の改定に際し、今後十年間で優先的に整備する公園、緑地を定めましたが、その一つに、地元練馬区において練馬城址公園が選定されております。
 昨年改定になった東京都地域防災計画の中でも、平成三十二年までの十年間で都立公園百七十ヘクタールを開園し、そのうち避難場所などとなる防災公園七十五ヘクタールを整備すると記されておりますが、東日本大震災発災後に本格的に整備に着手される防災公園として関心が高いと思います。
 今後の具体的な整備計画が待たれるところではありますが、新たな防災公園の整備に当たっては、東日本大震災の教訓も踏まえ、防災関連施設の充実や公園までの避難ルートの確保など、地元区や地域住民と連携し、地域のまちづくりと一体となった整備が重要であると考えます。
 そこで、新たに防災機能を備えた公園を整備する場合、地元区や地域住民と綿密に調整を図って整備計画を策定していくべきと考えますが、見解を伺います。

○村尾東京都技監 都は、平成二十三年に都市計画公園・緑地の整備方針を改定し、地震による建物倒壊や火災の危険性の高い地域などの防災の視点をより重視して、今後十年間で優先的に整備する公園、緑地を定め、環状七号線周辺の公園整備などを重点的に進めております。
 整備計画は、地元自治体の意見も踏まえ、東京都公園審議会に諮り、広く都民の意見の募集を行った上で策定しております。
 特に、防災機能を備えた公園におきましては、避難者を円滑に誘導するため、入り口の配置や園路灯の配置など、地元自治体のまちづくりなどとも連携を図っております。
 今後とも、ハード、ソフト両面から都立公園における防災機能の強化に努め、高度防災都市東京の構築に全力で取り組んでまいります。

○小林委員 先ほど触れました光が丘公園の訓練の際、さまざまサポートをされていた光が丘公園サービスセンターの方と、防災上、都立公園の果たす役割について意見交換をさせていただきました。その方は、人が危機に瀕したとき、最後の安全弁は公園であるとおっしゃっておりました。本当に使命感を持って公園管理の任に当たられているのだと大変感銘を受けました。ぜひとも都民の安全・安心を確保する防災公園の整備に一層のご努力をお願いしたいと思います。
 次に、ヘリサインの整備について伺います。
 知事は、さきの施政方針表明で、都内のヘリサインを現在の八百カ所から三カ年で千六百カ所に倍増させると述べられました。東日本大震災の被災地では、津波により多くの人が建物の屋上に孤立する中、ヘリコプターによる空からの救出、救援活動が非常に有効でありました。ヘリサインの整備によって、救出に向かうヘリコプターがみずからの飛行位置を確認し、どの建物が救出対象であるかを判別することができます。
 都議会公明党は、このヘリサインの重要性にかねてより着目し、平成二十一年の予算特別委員会で、東京の区市町村や公立学校などへのヘリサインの拡充を提案いたしました。今回の都の整備拡充の方針は大変に重要なことと認識しておりますが、まず、平成二十五年度のヘリサインの整備方針についてお伺いいたします。

○笠井総務局長 今後、三カ年のヘリサインの重点的な整備に当たりましては、救出、救助活動を効果的に展開する観点から、避難所や一時滞在施設として活用が想定される都立学校や、多くの住民が居住している大規模な都営住宅、傷病者の搬送先となる災害拠点病院などを優先的に整備してまいります。
 来年度は、こうした都立施設などで合わせて百四十施設の整備を予定しております。

○小林委員 ぜひ関係局がしっかりと連携して整備を進めていただきたいと思います。
 また、ヘリサインの整備には区市町村などの協力も必要であります。聞きますと、隣接区でも全く整備されていないところと、すべての小中学校に整備しているところがあるなど、区市町村によって整備数にかなりばらつきがあるようであります。さまざま事情があるとは思いますが、都民の命を守るという意味では、広域自治体である都が積極的に役割を果たしていかなければならないと思います。
 区市町村施設を初め、民間施設も含めた一層のヘリサインの整備に向けて、都は積極的に働きかけていくべきと考えます。見解を伺います。

○笠井総務局長 委員ご指摘のとおり、都内区市町村施設でのヘリサインの整備には偏りがある状況が見受けられます。このため、既に全区市町村に対する文書での整備促進の依頼に加えて、防災担当課長会等の場において直接的な働きかけを実施したところでございます。
 また、東京都住宅供給公社やUR都市機構が有する大規模団地や、鉄道会社、高速道路会社などについても、関係局と連携して働きかけを行っているところでございます。
 こうした取り組みを通じて、都内全域でのヘリサインの整備を進め、発災後に一人でも多くの都民を救出する体制を構築してまいります。

○小林委員 区市町村とよく連携をして、着実な整備推進をお願いいたします。
 次に、消火栓、排水栓を活用した応急給水体制について伺います。
 都は今後、応急給水用資器材を区市町に貸与して、避難所周辺の消火栓、排水栓を活用して応急給水を行える体制を整えていきますが、非常に有効的な取り組みであると思います。私も地元の都政報告会などでこのことをお知らせすると、皆さん大変に関心を示してくださいます。
 しかし、地域の皆さんより、消火栓ってどこにあるんだろうという声をよくお聞きします。ちなみに、練馬区には約七千百、都内全域では約十三万一千の消火栓がありますが、日常生活の中で何げなく見ている、また、特に意識して見ていないがゆえに、いざ消火栓のある場所といってもよくわからないというのが実態であります。
 地域住民にとっては、速やかに応急給水が行える大切な取り組みでもありますので、非常時に確実に役立てるよう細やかなサポートが必要であると思います。今後、貸与された資器材を有効活用するには、地域に設置されている消火栓や排水栓の設置場所を地域住民が知っていくことが重要になります。
 そこで、地域住民への設置場所に関する情報提供を都としても行っていくべきと思いますが、見解を伺います。

○増子水道局長 震災時に地域住民が貸与された資器材を活用し応急給水を行うことは、自助、共助による防災力の向上に不可欠であります。
 消火栓や排水栓の設置場所の情報につきましては、応急給水訓練時などに資器材を貸与する区市町や地域住民に提供してまいります。

○小林委員 次に、下水道事業の省エネルギー化について質問します。
 さまざまな都市機能が集積する東京は、都市活動に伴い多くのエネルギーを必要としており、中でも下水道は、安全で快適な生活環境や良好な水環境を創出するなど重要な役割を担っていますが、その反面、都内の電力の一%を消費しており、省エネルギー対策への積極的な取り組みが課題であります。
 下水道の整備により、隅田川や多摩川などの水質は格段に向上しておりますが、東京湾の赤潮の発生日数は横ばいとも聞いております。下水道局では、東京湾の一層の水質改善のため、富栄養化の一因となる窒素や燐を削減する高度処理の導入を進めていますが、これにはより多くの電力が必要になります。そこで、水質改善と省エネルギーの両立を図った対策を行っていくべきと考えます。
 また、限りあるエネルギーの使用量を削減する省エネルギー対策はもとより、新たにエネルギーをつくり出す創エネルギーの取り組みも重要であります。下水道局においても、創エネルギーに積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 この二点、あわせて見解を伺います。

○小川下水道局長 高度処理は、これまでの処理法より水質改善が図れる一方、電力使用量が三割程度増加する課題がございます。このため、高度処理と比べ除去率は落ちるものの、電力使用量をふやさず、これまでの処理法より窒素を一五%、燐を五〇%程度多く削減できる準高度処理の導入を拡大してまいります。
 既存施設の改造により、早期に導入できる特徴を生かし、平成二十七年度までの間に、準高度処理で一日当たり処理できる下水の量を二倍以上にアップしてまいります。
 一方、高度処理については、電力使用量が少ない効率的な処理法の開発を進めつつ、施設の再構築と合わせて計画的に導入してまいります。
 また、創エネルギーについての取り組みでございますが、創エネルギーについては、汚泥焼却時の廃熱を利用した蒸気発電や消化ガス発電などを実施しております。
 今後、新たな技術として、汚泥焼却時の熱のさらなる有効利用により、運転に必要な電力をみずから発電できるエネルギー自立型の焼却システムを開発し導入してまいります。
 また、水処理施設のふたに太陽光パネルを張りつけるなどの工夫により設置コストを縮減し、森ヶ崎水再生センターなどでメガワット級の太陽光発電を導入してまいります。
 こうした新技術の開発やコスト縮減などの創意工夫を行いつつ、新たなエネルギーの創出に努めてまいります。

○小林委員 最後に、下水道事業の国際展開について伺います。
 知事の施政方針表明においても、下水道の分野で東京発の先進的、具体的な技術で海外に進出しているとの話がありました。現場の創意工夫から生まれた技術、ノウハウを世界に発信し、地球環境の保全や地球環境の改善に貢献することは、日本の国際社会におけるプレゼンスを高めるだけではなく、日本の産業力強化にも大変重要であると思います。
 そこで、時間がありませんので二つお伺いします。
 まず、海外に展開し実績が上がっている下水道技術にはどのようなものがあるのか。
 そしてまた、知事の施政方針でも触れられていましたが、液状化対策の技術なども、地震国である日本の技術を生かし、防災や地震対策の分野でも世界に貢献できる事例として積極的にアピールしていく技術ではないかと思います。
 地盤の液状化対策であるマンホールの浮上を抑制する工法について、今後の国際展開の展望について、以上二点お伺いをいたします。

○小川下水道局長 東京下水道の技術で既に海外展開を行っているものとしましては、水面制御装置やSPR工法などがあり、海外でも高い関心を集めております。
 水面制御装置は、水の流れを活用し、電力などの動力を必要とせず、雨天時に合流式下水道から河川などへ放流されるごみの流出を七割以上除去できる装置で、その製造、設置、販売に関するライセンス契約を、ドイツ、韓国及びアメリカの企業と締結し、既に欧州で十一カ所、韓国で一カ所設置されております。
 また、SPR工法は、道路を掘り返さずに下水を流しながら下水道管を再生する技術で、既にアジア、北米、欧州など海外十三カ国で約七万六千メートルの施工実績があり、拡大が見込まれてございます。
 また、お話の液状化対策の工法は、都の監理団体である東京都下水道サービス株式会社と民間企業が共同開発したフロートレス工法と呼ばれるもので、震災時の液状化現象による水圧をマンホール内に逃して浮上を抑制し、緊急輸送道路などの交通を確保する技術で、既設のマンホールに簡易な工事で設置が可能でございます。
 これまで、東京都で緊急輸送道路など約五百七十キロメートルの施工実績があるほか、全国でも静岡市、鎌倉市などで活用されており、国内でも注目されております。
 海外においても、一昨年に大規模な地震が起きたニュージーランドの企業がこの技術に注目し、昨年十二月、技術指導などを行う契約が締結されました。
 今後も、東京下水道の最先端の技術の海外展開を進め、世界の水環境の改善及び日本の産業力の強化に貢献してまいります。

○谷村副委員長 小林健二委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時十一分休憩

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