予算特別委員会速記録第四号

○村上副委員長 原田大委員の発言を許します。
   〔村上副委員長退席、委員長着席〕

○原田委員 人の行き来こそが都市の活力の源です。ゆえに交通政策は都市にとって重要な政策であります。現在、東京では、自転車利用促進に向けての機運が高まるなど、新しい芽も出てきておりまして、東京の交通政策全体について構想することが重要な時期に来ているといえます。
 まず、バス事業について質問します。
 都のバス事業は、東電株からの配当収入がなくなったことにより、二十三年度決算では十八億円の大幅赤字となりました。そうした中、東京都交通局経営計画二〇一三が策定され、三年後の平成二十七年には経常収支の均衡を目指すとしております。
 土地活用を進める等の方針も聞いておりますが、本業以外の収入に依存する形では、東電株配当収入がなくなったときの二の舞になりかねません。
 そこで、どのような方法で収支改善を目指していくのか伺います。

○中村交通局長 都営バス事業においては、配当収入が減少したことなどから、お話のように厳しい経営状況にございます。
 このため、路線、ダイヤの見直しや、さまざまな媒体を活用した路線のPRを行うなど増収に努めますとともに、バス車両の延命化や、備品、消耗品の節減など、徹底した支出削減に取り組み、着実に赤字幅の縮小に努めてまいりました。
 今後も、これまでの取り組みに加え、営業所の建てかえ等に伴う資産の利活用により増収を図るなど収支改善への取り組みを着実に進めまして、新しい経営計画の最終年度である平成二十七年度には、経常収支の均衡を図ってまいります。

○原田委員 安全運行に支障を来さないような形、あるいは沿線利用者に悪影響のないような形に留意しながら取り組みを進めていただきたいと思います。
 本業でできる前向きな取り組みの一つに車両の活用があります。
 これまで都営バスでは、環境対応を促進するために、電気を充電しながら走行する次世代の非接触式給電バスの実験などにも協力をしてきました。
 電気バス事業はまだ実証段階ではありますが、実証事業においても課題となるのは車両価格の高さだと聞いています。しかし、その価格の高さには、電気バスの量産車がないために、新品のディーゼルバスを購入して電気自動車に仕立てているという事情もあるようです。
 都においては、最近では排出ガス規制非適合車をスクラップにして売却していますが、今年度で非適合車がなくなることから、車両を再活用する道も見えてきます。都における利用期間の延長、売却の再開などが考えられる中、売却の再開に当たっては、電気バスに改造するベース車両として活用し、各地での導入に向けた取り組みを支援するなど、新しい活用法も考えられます。
 そこで、交通局における今後の環境技術開発への取り組みについて伺います。また、大型電気バスの製造をする事業者が都営バスの廃車を購入できるとよいと考えますが、所見を伺います。

○中村交通局長 交通局では、環境対策の推進を経営方針の一つとして位置づけ、これまでも国や関係各局と連携し、次世代の低公害バスの実証運行を行うなど、新たな環境技術開発に積極的に協力してまいりました。今後も、こうした次世代低公害車の実用化に向けた取り組みに協力してまいります。
 また、これまで都営バスの廃車車両は排出ガス規制に適合していなかったことなどから、原則としてスクラップにし、資源として利用できるよう売却してまいりました。
 今後、廃車する車両につきましては、すべて排出ガス規制に適合することから、基本的に中古車両として売却し、有効活用を図っていくこととしております。

○原田委員 さまざまな活用を図っていただきたいと思います。
 さて、自転車についてお伺いしますけれども、今般、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例、いわゆる自転車条例が提出されました。今回の条例は、青少年・治安対策本部が主管となって作成されたことから、自転車の安全利用促進のための条例というつくりになっています。
 しかし、本来であれば、自転車の有効活用には、まちづくり、都市計画、道路整備、環境、健康、交通管理など、さまざまな取り組みが必要です。そして、これらの取り組みが総合的に機能して初めて自転車の安全利用も達成されるものであります。
 これらの施策を進めていくに当たり、自転車の位置づけや利活用目的の明確化が必要です。これがないままに、総花的に自転車施策を進めても効果は上がりません。しかしながら、東京都では、自転車の交通手段としての位置づけが明確でない、あるいは適切でない状況です。
 まず、自転車を主要な代表交通としてとらえるのか、端末交通としてとらえるのかについてです。
 これまで駅前放置自転車問題の印象が強かったからか、自転車は鉄道等を代表交通として利用する人が、家から最寄り駅まで利用する端末交通ととらえられてきた面があります。
 しかし、データは別の姿を映し出しています。このグラフをごらんください。平成二十年に行われた第五回東京都市圏パーソントリップ調査によれば、東京都では約八割の自転車利用者が直接目的地まで自転車を利用しており、鉄道駅までの利用は全体の約二割にとどまっています。過去のパーソントリップ調査でも国勢調査でも同様の傾向が見られます。
 次のグラフをごらんください。東京都における代表交通手段の分担率です。代表交通手段の全体の中でも、もちろん鉄道は多いんですけれども、東京都全体では一五・五%が自転車を代表交通手段としており、乗用車の一四・三%を上回って、鉄道、徒歩に次ぐ主要な交通手段となっています。したがって、自転車は東京の主要な代表交通手段と見るべきでありまして、単に端末交通手段とのみイメージするのは実態に即しているとはいえません。
 また、昨今、自転車利用への関心が高まっていますが、特に大震災後の関心の高まりは、公共交通機関の麻痺や激しい道路渋滞などの経験を反映して、公共交通機関の利用や自家用乗用車の利用からシフトしているものと考えられます。
 今回の条例案は、自転車利用全般を網羅するつくりになっており、結果として、これまで余り着目されてこなかった代表交通手段としての自転車という考え方も一部包含していると考えます。
 そこで、自転車の利用実態等についてどのように認識しているのか、そして、どのような調査等を踏まえて作成作業したのか伺います。また今後、詳細な安全利用対策を講じていくためには、事故の傾向や、その時々の利用実態等の把握と分析が必要と考えますが、あわせて見解を伺います。

○樋口青少年・治安対策本部長 自転車は、通勤通学や買い物など、さまざまな用途に利用されている一方で、違法な放置のほか、ルールに違反する危険で無謀な運転が問題となっていると認識しております。
 自転車の安全利用を促進するためには、まず、交通事故実態の把握が重要であり、自転車に関する交通事故の統計を分析し、また、都民の自転車利用の目的や頻度等の調査も参考として、条例案を作成いたしました。
 安全利用対策をより効果的なものにするためには、引き続き事故分析を行うとともに、どの地域で自転車が多く利用され、また、どのような利用が放置につながっているかなど、そのような利用実態を把握することも重要であり、今後とも、各種調査を踏まえ、自転車の安全利用対策に取り組んでまいります。

○原田委員 ぜひデータの映し出す姿というものをしっかりと真正面から受けとめて、これからも取り組みを進めていただきたいと思います。
 代表交通手段としての自転車の安全利用を促進するためには、道路空間の中に車道、歩道と分離された自転車走行空間を整備することが最も効果的であります。つまり、こうした利用者の望む自転車施策は、自動車と共有した、あるいは自転車専用の幹線道路網の整備でありまして、その沿道での施設整備等であろうと考えられます。
 将来的には、昔の一里塚や宿場町じゃありませんけれども、自転車版道の駅、あるいは、それに相当するような役割を果たす民間商業施設等が街道沿いに設置されれば、自転車利用者にとっての利便性が向上するだけではなく、鉄道がない地域の発展にも寄与するものと考えるところであります。
 さて、本来自転車には、東京においてどのような暮らしを目指すのかを想定して、どのような都市をつくっていくのかの計画をつくり、そのためにどのような交通体系が必要か具体的に考える中で、明確な位置づけが与えられるべきであります。しかしながら、これまでの東京の都市整備では、自転車に明確な位置づけが与えられてきませんでした。
 東京における本格的な市街地整備は、関東大震災からの震災復興事業に始まるわけでありますけれども、震災復興計画、そして戦後の戦災復興計画と続く中で、これが東京の高度成長に、日本の高度成長につながってきたわけであります。その中で道路に関していえば、まず自動車交通の混雑緩和が一番の課題に掲げられてきたところであります。
 しかし、その後、時代は変化しており、もはや震災復興の時代でも戦災復興の時代でもなく、高度成長の時代でもありません。かつての高度成長の時代は、故郷ににしきを飾ることが田舎から出てきた方々の夢でありまして、そして、そのためには、東京は経済発展の場、ウサギ小屋ともやゆされたような家に住み、あるいは猛烈な通勤ラッシュにさいなまれながらも、経済発展、都市全体の発展を第一としてきたわけであります。
 しかし、今はそういう時代ではありません。東京をふるさととして暮らす人も大勢おり、生活の場として、いかに潤いのある、そして人間の感性に寄り添ったこのまちをつくっていけるか、そのことが本当にこれからの東京にとって重要な課題なのだと思います。
 そうした中で、まさにヒューマンスケールの交通手段である自転車の利用実態をきちんととらえ、活用を図っていくことは、人間が暮らしていて心地よい都市をつくっていく嚆矢となると考えるのであります。
 そこで、東京において、時代の転換点に際し、交通政策をどう具体的な形にしていくのか伺います。

○飯尾都市整備局長 自転車は環境負荷が少なく、都市における有効な移動手段の一つであり、その安全な走行空間を確保していくことは重要でございます。
 東京では、都市機能の急速な集積に道路空間の確保がいまだ追いついていないため、自転車が安全に走行するための空間が決定的に不足しております。
 都はこれまで、既定の都市計画道路の幅員の中で、自転車、歩行者の安全で快適な通行の確保に努めてまいりました。
 こうした取り組みを進めるとともに、三環状道路の整備を促進し、都心への自動車の流入を大幅に減少させ、慢性的な渋滞が発生している現在の道路環境を変え、道路利用の可能性を広げてまいります。

○原田委員 ぜひ、発想をいろいろ変えて、この道路利用の可能性を広げていただきたいと思うところであります。
 これまでのこの東京には二つの誤解、あるいはイメージ先行の思い込みといったものがあると思います。一つは、先述したように、自転車は端末交通だという考え方であります。もう一つの誤認は、端末交通としての自転車に対する取り組みは、区市町村レベルで足りるという考え方であります。もちろん、区市町村の果たすべき役割は大きいですが、実際には、より広域的なとらえ方をする必要があるのであります。
 こちらの地図をごらんください。北区の地図です。ピンクの円は駅から徒歩十分圏ですが、北区はその面積の約八割が徒歩十分圏内であります。つまり、鉄道駅へのアクセスは徒歩で十分でありまして、自転車を利用する必要性は薄いということに、端末交通としてとらえればなってしまいます。
 しかし、例えば赤羽駅などは常に放置自転車が多い駅です。自転車が端末交通であるとすれば、これは周辺区から都心へのアクセスが便利な赤羽駅に集まっているということになります。放置自転車について、それがどこからのものかはデータがないのでわかりませんけれども、区営駐輪場の利用者数を見ますと、実際、北区外の方の利用がかなり多いのであります。
 赤羽駅西口では約四割が区外利用者、そしてまた、田端駅では実に約九割の利用者が区外の方なのであります。つまり、区の領域を超えた広域的な取り組みが本来必要であったということになります。
 昨今、東京駅付近の放置自転車も問題になっておりますけれども、鉄道と自転車との関係でも諸外国ではさまざまな取り組みがあります。
 例えば、アムステルダム中央駅では、東京でいえば東京駅の八重洲口に当たるようなところに、市が四階建ての数千台規模の自転車駐輪場を建設しました。こちらがその写真です。
 また、フライブルクでは、フライブルク駅と駐輪場、駐車場、路面電車の駅等が一つのビルでつながった交通結節点となる施設が建設されています。こちらがその写真です。このビルの中には、自転車店、旅行会社、交通情報センター等も入居し、貸しロッカーもあります。
 また、そもそも放置自転車といういい方は、あたかも自転車利用者にのみ問題があるようないい方になっておりますけれども、放置自転車が発生するのは、裏を返せば、行政が本来の自転車需要にこたえる政策展開をしてこなかったからともいえるのでありまして、東京には確かな自転車需要が存在するのでありますから、民間の発想でいえば、目に見える需要があるのだから、それにはこたえるチャンスがあるということになります。
 鉄道と自転車を含むほかの交通機関の連携という観点でも、まだまだできることはたくさんあります。意識の変革が重要であります。
 最初に述べたように、自転車の有効活用には、まちづくり、都市計画、道路整備、環境、健康、交通管理などのさまざまな取り組みが必要です。今回の自転車条例の所管は青少年・治安対策本部ですが、交通政策のすべてを青少年・治安対策本部が担っているわけではありません。この限界、弊害から、自転車を東京における新たな交通手段として位置づけようとしながら、生かし切れておらず、大変もったいないことであります。
 また、交通政策というと、現在はその大部分を都市整備局が担当していますけれども、これもすべてではなく、事業によって、青少年・治安対策本部はもちろんのこと、交通局、建設局、警視庁などに分かれています。少なくとも、交通政策体系の中にあって、自転車の安全利用、都市づくり、道路整備などすべてを含めて実施できる組織体制があってしかるべきと思います。
 こうした組織の設置は、欧米諸国においても自転車施策を進めていく上で有効と考えられています。
 そこで、都の交通政策全体を担う部署の設置が必要と考えますが、所見を伺います。

○笠井総務局長 都では、その時々の行政課題に応じて、適宜適切な組織の見直しを行い、常に効果的、効率的な執行体制の確保に努めております。
 今日の交通政策の展開におきましては、自転車の安全で適正な利用のさらなる促進のほか、地下鉄改革ですとか、羽田空港のさらなる国際化ですとか、三環状道路の整備など、東京の国際競争力を高めるための多岐にわたる重要かつ困難な課題が山積しております。
 交通政策にかかわる組織につきましては、委員お話しの点も含め、このような諸状況を十分踏まえた上で、直面する課題に迅速かつ的確に対応できるよう、効率的な執行体制の確保に努めていきたいと思っております。

○原田委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ロンドンでは、ロンドンの交通のすべてを担うロンドン交通局が設置され、それまで各分野に分散していた施策を統合して、交通政策が展開されています。市の企画部門と現業部門が統合されまして、また市営、国営、民営を問わず、またバス、鉄道、地下鉄、タクシー、路面電車、船舶といった種類を問わず、ロンドン交通局が担当しています。また歩行者、自転車、自家用車等についても責任を負っています。
 今回は主にバスと自転車について取り上げてきましたけれども、例えば排ガスのきれいな車両の導入は自転車利用の促進にもなるわけでありますし、自転車走行空間の整備を考える際も、バスとの連携やすみ分けを考えながら整備計画を立てることが、都内の交通体系全体の利便性の向上につながるわけであります。
 地下鉄ももちろん重要な課題ではあると思いますが、地上、水上も含めた東京全体の交通体系をどうしていくのかを構想していくことが大切であります。
 また、自転車に限っても、例えばロンドンでは市長主導のもとでロンドンの自転車革命という大きな構想が立てられ、それに基づいて各種施策が展開されています。
 今後、東京のあるべき姿に即した、東京全体の交通体系の構想を描いていくためには、知事の強いリーダーシップが期待されるところであります。
 東京でも東京全体の交通政策体系を構想していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。

○猪瀬知事 おっしゃるように、アムステルダムの駅の、四階建て、いいですね、あれね。ただ、平らなんですよ。ロンドンもそうだけど、コペンハーゲンもみんな自転車のところは平らで、東京はすごい起伏があって、ロンドンのボリス・ジョンソン市長に去年の夏、会ったときに話したんだけれども、パリもそうだけど、平らだから自転車がレンタル経営できると、例えばね。パリはやった。
 ボリス・ジョンソンがちょっと自慢したのは、パリのまねしてやったわけだけど、パリは自転車が盗まれるけど、ロンドンは一年で十三台しか盗まれなかったと自慢していたんだけどね。そういうことを政策的にできなくはないが、やっぱり僕は自分で走っていてわかるんだけど、坂だらけなんだよ、東京は。お台場だと走りやすいんだけどね。
 そういうこともあって、本当はもう少し平らだったら、自転車のやり方はあると思う。ただ、東京ではちょっと無理かもしれない。
 それから、先ほどの図で移動の内訳って書いてあるけど、七七・七%って、これ、スーパーへ行くのも全部目的に入っているでしょう。だから、このデータは余りよくないな。
 それで、総合的な交通体系ということで申し述べるならば、やっぱり東京は鉄道で発達した。そういう鉄道がどんどんどんどん伸びることによって人口吸収していくという形での独特の展開ですから、ロンドンとかパリは外側にグリーンベルトがあって、それ以上発展しないようになってるからね。そこはちょっと、若干違うところがあるということは念頭に置きながら、今週土曜日の三月十六日に、東京メトロ副都心線と東急東横線が相互直通運転が始まったりと、それから、もちろん、地下鉄の九段下の駅の壁が取れるんだが、そういう一元化も一つの総合交通体系の大きな流れの中で考えていくというふうに思っています。
 それから、駅のバリアフリー化なんかもちゃんとやっていかなきゃいけないから、そういう意味じゃ、都営地下鉄の場合は、百三駅あるうち全部エレベーターできているんだけど、メトロはそうじゃない。そういうことも含めて、要するに利用者に使いやすい交通網というものをもう一回きちんと見ていくということですね。
 それから、もちろん、いつもいってることだが、環状道路ができないと交通渋滞がどうしても出てきちゃうので、そういうものと鉄道と、それから道路の環状線と、それから空港と港湾と、総合交通体系としてはね。羽田が国際空港になっていくと。で、空港容量をより広げていく。
 それから、あと、港湾の場合は、中央防波堤外側にコンテナターミナルの整備を進めると。そういう意味で総合交通体系、いろんな意味で、それは都市の根幹ですね。
 東京の場合は、そういう自転車の場合、ちょっとね。僕も、だから自転車はいいんですけれども、やっぱりある程度近隣の交通として、東京駅の前だって、本来だったら丸ビルが下に駐車場と一緒に駐輪場をつくるべきだと思いますよ。車は、建物をつくった場合には附置義務がある。自転車はないんだよね。だから、こういうところからきちんと見直していかなきゃいけない。その建物をつくった人間に責任があるんだから、本当は。
 ただ、逆にいうと、空きビルとかビルの屋上とかって、新しいビジネスになりますから、それは民間の力で解決していくと。しかし、今いったような自転車置き場なんかを、先ほどのアムステルダムの駅みたいな形で、やっぱり何らかの形でやらなきゃいけないことは事実ですよ、これは。
 そういうことで、自転車と鉄道、それからバス、地下鉄、港湾、空港、全体の交通体系、これからじっくり、地下鉄一元化もきちんとありますので、総合的な政策をきちんと打ち出して、なぜそこが必要かということをやっていこうと思っています。
 陸海空と一体となった総合的な施策を考えていく。そういうことで東京のにぎわいをより実質のあるものにして輝く都市に変えていくつもりであります。

○原田委員 ぜひ、この総合的な計画、しっかりとつくっていただきたいと思います。
 議論を深めるのはこれから別の機会にしますけれども、東京でも墨東地域は平らなわけでございますし、また、買い物までの利用がある、これがまさに重要なところでありまして、駅まで行くのが端末交通という考え方なんですが、駅までがすべてじゃない。地域内で、駅じゃない目的地はたくさんある。そこに向けての道路整備をしていく必要があるということでございますので、また今後、いろいろとこの自転車については議論を深めていきたいと思っております。
 次に、環境エネルギー政策について質問します。
 まずは、太陽光についてです。
 都が来年度開発するソーラー屋根台帳は、太陽光発電の導入ポテンシャルをホームページ上の地図に表示するものであるとのことですが、既に民間事業者による販売促進のための見積もりサイトの中でも、衛星写真を活用した発電量のシミュレーションコーナーはあります。つまり、個人レベルでは、見える化は既にある程度実現されているわけであります。
 今回のソーラー屋根台帳は、こうした既存の民間事業者のサービスと何が違い、どのような特徴があるのか伺います。

○大野環境局長 民間の事業者から現在提供されているサービスですが、これは建物ごとに屋根面積などの条件を設定する必要があるものでありまして、また、その周辺の状況を考慮しないで機械的に導入ポテンシャルを試算するものでございます。
 都内には多数の建物が立地しておりまして、その屋根を活用することが必要なわけですけれども、逆に、建物が密集しているために屋根に日陰が発生する可能性がございまして、建物の所有者にとっては、この点が設置を検討する際の不確定要因となっております。
 そこで、来年度開発するソーラー屋根台帳は、隣接する建物による日陰の影響なども反映して導入ポテンシャルを把握することのできる精度の高いものにしてまいります。
 また、ホームページの地図上で、建物ごとの太陽光発電導入の適否を色分けして一目でわかるように表示するとともに、建物の屋根にカーソルを合わせるだけで導入可能容量や予想発電量がわかる利便性の高いものにしてまいります。
 これを活用して、区市町村や事業者による普及に向けた取り組みを促進してまいります。

○原田委員 ソーラー屋根台帳は、こうしてきちんと台帳として整備していただいて、そこから得られる情報を今後の都の施策に還元してこそ、エネルギー施策全体のさらなる充実が図られると思いますので、今後の活用に期待するところであります。
 次に、地熱ですけれども、八丈島における地熱発電の拡大方針が示されました。地熱発電の拡大はかねてより私も主張してきましたので、今回の取り組みには期待をするところであります。
 地熱発電を進めていくためには、その課題もきちんととらえることが必要です。地熱発電には開発コストの問題や臭気対策など、さまざまな課題がありますし、電力の安定供給を確保するためには、ほかの発電手段の準備等、電力の供給体制全般について考える必要があります。また、その際、電力の安定供給に関して最終的に責任を負う電力事業者が過度な負担を背負うことになってしまうと、安定供給体制が保たれないということになりかねません。
 そこで、今回の計画において、都、八丈町、電力事業者等のそれぞれにどのようなメリットがあり、デメリットがあると想定されるのか伺います。また、どこかに負担が偏ることにならないか伺います。

○大野環境局長 今回のプロジェクトは、都にとっては東京全体の再生可能エネルギーの利用拡大に資するものでございまして、同時に、電力エネルギー改革の一環として位置づけられるものでございます。
 また、八丈町にとっては、島のエネルギー自給率が大幅に高まるとともに、観光振興に寄与することも期待されます。
 課題として挙げられております臭気につきましては、最新の方式を用いて対策を確実に行ってまいります。
 さらに、現在、島の電力供給を担っております東京電力にとっては、発電量の四分の三を占めるディーゼル発電の燃料費が大幅に削減されるという大変大きなメリットがございます。
 電力の安定供給の確保に関しましても、東京電力もメンバーとなっている今回のプロジェクトの検討委員会の中で十分に調整を進めてまいります。

○原田委員 八丈島の取り組みは、八丈島だけで終わるのではなく、ほかの島や東北地方など、地熱のポテンシャルが豊かな地域における自然エネルギー導入のモデルにもなる事業とすべきであります。
 そのためには、これは地熱に限ったことではありませんけれども、電力のみにとらわれず、エネルギー全体、あるいは地域全体を考えることも必要です。例えば、自動車や漁船も電気や燃料電池で動くようにするとか、あるいは電気を大量に必要とする産業を誘致することなども考えられます。
 また、島のエネルギー自給率を高めるという考え方でいえば、都内外のほかの島へも展開できるモデルとする必要があるでしょうし、東北などへの展開を考えた場合、寒冷地ですので、熱利用をより重視したモデルも想定されるわけであります。
 今回のプロジェクトは、八丈島独自の取り組みを行うのも、それはそれでいいと思いますけれども、ほかの島や、また東北など、ほかの地域にも展開し得る取り組みにしていくべきと考えますが、所見を伺います。

○大野環境局長 今回のプロジェクトは、地熱発電によって島という一つの地域全体をほぼ賄い、電力の地産地消を図る先駆的な取り組みでございます。これを着実に実現することで、他の島しょ地域における自然エネルギー導入のモデルとしてまいります。
 また、今回のプロジェクトは、限られた地域の中で送電網が完結している島の特性を踏まえたものでございますので、お話のような、東北のような大規模な送電網を有する地域とは状況が大きく異なりますが、いずれにしましても、今後、全国的な普及拡大が期待されております地熱発電を事業化する点でも先駆的な取り組みであると考えております。

○原田委員 少なくともほかの島にもモデルになるようなということでございますので、本当にこれはしっかりと進めていただきたいというふうに思うものでございます。
 こうした太陽光や地熱といった再生可能エネルギーは、国内で調達、開発可能なエネルギー源でありまして、エネルギー資源に恵まれない我が国にとって、その開発は極めて重要なミッションといえます。
 そうした中、国内では固定価格買い取り制度の施行などで再生可能エネルギー普及に欠かせない安定的なキャッシュ・フローが期待できる環境が整いつつあるといわれています。しかし、実態としては、発電所の新設や新規事業者の起業に当たっては、過去の運用成績であるトラックレコードがないことで金融機関からの融資が得られないなど、資金調達に苦労する場面も多いようであります。
 こうした中で、今年度、都が立ち上げたインフラファンドは、新規事業者などに対してリスクマネーを供給する取り組みとして、大変意義のある事業と認識しております。
 まず、改めて、都が推し進めるファンド事業の概要とこれまでの取り組み、今後の見通しを伺います。

○前田知事本局長 二年前の東日本大震災により、首都圏の電力事情は激変しました。東京電力による、それまで確実と考えられていました電力供給体制が崩れ、国も電力の安定供給に確たる見通しを持てず、危機的な状況に陥りました。
 こうした中で、都は、発電事業者に対して投融資を行う官民連携インフラファンドを立ち上げまして、電力の安定供給能力全体の底上げ、新電力事業者の育成、再生可能エネルギーの実現可能性の早期の実証を行うこととしたものでございます。
 これまで、都は、ファンドの運営や投資判断などを行うファンド運営事業者を公募、選定の上、昨年十月に千葉県袖ケ浦市のガス火力発電事業など、また、ことしの一月に熊本県芦北町の太陽光発電所に対する投融資を実行したところでございます。
 今後とも、首都圏を中心に全国を視野に入れつつ、火力発電所や太陽光を初めとした再生可能エネルギー発電に対する投融資や、着実なファンド運営に努めることで、首都東京におけるエネルギー施策の一翼を担っていきたいと考えております。

○原田委員 一方で、ファンドの運営は高い専門性が求められるなど、行政のみで業務を遂行することは極めてリスクが高いことから、都は専門の事業者にファンド運営を託しているところであります。
 新しい仕組みであるがゆえに、政策目的に対する理解を深めていく必要があると思いますが、ファンド運営を民間事業者に任せた本ファンドの仕組みの特徴について伺います。

○前田知事本局長 都が組成いたしました二つのファンドは、投資運用に精通した専門の民間事業者二者にそれぞれのファンド運営を託す一方で、東京都はみずから民間資金の呼び水として三十億円をファンドに出資する、いわゆる投資家としての役割に徹するなど、東京都のリスクを必要最小限に限定できる仕組みを採用しております。
 ファンドは、さまざまな投融資先を選定、組み合わせることにより、ファンド全体のリスク低減を図るという経済合理性原則に基づいた投資行動、これは大事ですけれども、これが求められるものであります。
 今後とも、本インフラファンドの提唱者であり、また、出資する一組合員として、本ファンドに求められる目的、趣旨を達成すべく取り組んでまいりたいと思います。

○原田委員 これまでの都の説明では、今も呼び水とありましたけど、都の三十億円を呼び水にして、民間からの出資や融資を加えると、最終的な事業費は二千億円程度を見込む、大規模なスケールの事業展開とのことでありました。このスケールと再生可能エネルギーの開発適地を勘案すれば、ファンドによる投融資の対象は、全国をベースに展開する必然性が出てくるはずであります。
 さらにいえば、固定価格買い取り制度では、再生可能エネルギーの買い取り費用はサーチャージとして各電力会社の電力料金に上乗せされることから、全国的にバランスよく再生可能エネルギー発電を展開させた方が、負担の面からも均衡が図れる制度となっております。
 また、都は、一出資者としてリスクを最小限にする戦略をとった以上、具体的な投資行動について個々に指示を出せるものではありません。また、ここ、局長も重要とおっしゃいましたけれども、ファンドは経済合理性に基づいた投資判断で運用されるものでありまして、都がこの経済合理性に反する政策誘導を行おうとすれば、出資者が集まらずにファンドが成り立たなくなってしまい、逆に、都もファンドに出資した目的を果たせなくなるということになってしまいます。
 来年度も引き続き、ファンドを通じた投融資を行っていくことになると思いますけれども、制度の特質をよく理解した上で、さらには日本のエネルギー政策の全体像を含めた幅広い観点から、この制度を考えるべきことを申し述べておきます。
 次に、十条のまちづくりについて質問します。
 今回、埼京線の西側が、鉄道立体化が想定される区間とほぼ同じ範囲で、不燃化特区の先行実施地区に選定されました。これにより、埼京線の西側でもさまざまなまちづくりが動き出すことになります。このような動きがある中、十条駅付近の鉄道立体化についても着実に検討を進めてもらいたいと思います。
 そこで、鉄道立体化について、今後の取り組みを伺います。

○村尾東京都技監 JR埼京線十条駅付近は踏切が六カ所あり、都市計画道路補助第八五号線と交差するなど、鉄道立体化の検討を進める必要がある区間と認識しております。
 都は、現在、事業範囲や構造形式などの調査を実施しており、平成二十五年度も引き続き検討を行ってまいります。
 また、地元北区は、昨年十月に、駅前広場を含む十条駅西口の再開発を都市計画決定するとともに、周辺の道路整備の検討を行うなど、十条地区のまちづくりに取り組んでおります。
 今後とも、地元のまちづくりへの取り組み状況も見据え、区や鉄道事業者と連携して、鉄道立体化について検討してまいります。

○原田委員 この話の中にも出てまいりました十条駅西地区が、不燃化特区の先行実施地区に選定されました。この中で、民間施行の駅西口再開発がコア事業として位置づけられました。これにより、より一層さまざまな主体と連携するとともに、地域のポテンシャルを生かした取り組みが求められることとなったわけです。
 そこで、十条駅西地区の取り組みの内容及び今後どのように取り組みを進めていくのか伺います。

○飯尾都市整備局長 現在、都と北区が連携を図りながら、十条駅西地区で先行実施地区の整備プログラムの作成を進めております。その中で、駅前の再開発事業をコア事業に位置づけ、駅前広場の整備など、防災上も有効なオープンスペースを確保することとしております。
 また、まちづくりコンサルタントや専門家の派遣、建てかえ時の設計費の一部助成など、きめ細かな対応により、まちづくりや不燃化建てかえを促すこととしております。
 都は、こうした取り組みを支援し、不燃化を強力に推進してまいります。

○原田委員 引き続き、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、スポーツ振興政策、スポーツ交流政策についてお伺いをいたします。
 先日、私の地元北区にあります障害者総合スポーツセンターで開催された障害者スポーツのイベント、チャレスポTOKYOに行ってきました。私の行った時間には、ちょうど体育館で、ロンドン・オリンピック銅メダルの竹下佳江さんによるバレーボール体験が行われておりまして、本当に輪が幾つもできていて、健常者、障害者が一緒になってバレーボールを楽しんでいたところであります。
 また、そのほかにも、会場内では、サウンドテーブルテニスなど、だれにでもすぐにできる障害者スポーツ、あるいはターゲットバードゴルフという、バドミントンのような羽根がついたボールをゴルフクラブで打つ新しい競技ですけれども、私も挑戦しましたけれども、ついつい熱中してしまいました。難しかったのですけれども楽しかったところであります。
 こうした、障害者と健常者が一緒にスポーツを体験し、交流できるというのは、障害者スポーツイベントならではでありまして、今後も続けていただきたいと思います。
 また、障害者と健常者だけではなくて、地域的な交流もあります。被災地とのスポーツ交流であります。
 都が実施している、被災地から子どもたちを招待し、交流する、スポーツ交流事業が、北区でも昨年の夏、開催されました。少年野球を通じた交流事業でありましたけれども、参加した子どもたちは笑顔にあふれ、私もその姿に励まされた思いであります。
 陸前高田から来た子どもでございますけれども、ふだんは震災復興事業でグラウンドが使えないと、畑でキャッチボールをしていると、広いグラウンドでできてよかったと、こんな感想もいっておられたところです。本当に喜んでもらえたんだなというふうに、この事業の有効性を実感したところでございます。
 そこで、あわせてお伺いしますけれども、障害者と健常者が一緒に交流するスポーツ事業、そしてまた、被災地とのスポーツ交流事業、まさに、こうしたスポーツの力そのものに着目したスポーツ交流事業に、しっかりと継続的に取り組んでいかなくてはならないと思いますけれども、これまでの成果と取り組みについてお伺いをいたします。

○細井スポーツ振興局長 チャレスポTOKYOは、今年度初めて開催した障害者スポーツのイベントでございまして、より多くの人に参加いただけるよう、大規模に企画をいたしました。
 このイベントでは、障害の有無や年齢、体力を問わず、気軽に楽しめる種目を約二十種類用意し、アスリートと参加者が一緒にスポーツ体験できる場を設けました。その効果もあり、障害のある人もない人も、また、子どもたちも多数来場し、互いに交流する機会が生まれました。
 今後も、こうしたイベントを通じ、障害の有無にかかわらず参加しやすいよう工夫を凝らしながら、障害者スポーツの普及を促進してまいります。
 また、スポーツを通じた被災地支援として、都は、被災地から子どもたちを招待し、東京の子どもたちと野球等の試合、合同練習などを行い、被災地と都内各地区の交流を深めるスポーツ交流事業を行っております。
 さらに、東京で行われる国際スポーツ大会へ招待し、参加選手との交流や観戦をしてもらう観戦招待事業、被災地へアスリートを派遣し、スポーツ教室等で交流するアスリート派遣事業など、幅広く取り組んでおります。
 これら一連の事業を通じ、被災地の子どもたちに大きな感動と勇気を与えるとともに、こうした交流が、かけがえのない心の財産になったと認識しております。
 今後も、こうしたスポーツの力を最大限発揮しながら、被災地支援を着実に実施してまいります。

○斉藤委員長 以上で、原田大委員の発言は終わりました。(拍手)

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