予算特別委員会速記録第四号

○門脇副委員長 菅東一委員の発言を許します。
   〔門脇副委員長退席、村上副委員長着席〕

○菅委員 それでは初めに、中小企業の海外展開に対する支援について伺います。
 昨年の中小企業白書によりますと、中小企業の海外展開は収益の増加にとどまらず、国内の雇用を伸ばす効果もあるといわれております。
 私の地元板橋区は産業区であり、二十三区の中で出荷額が大田区を抜いて一番と、こういうものづくりの区でありまして、家電、OA機器等の部品メーカーや航空機、自動車等で使用する素材の開発、製造を行う企業など、すぐれた技術を持つ中小企業が数多く存在いたします。
 アジアの新興国の市場が拡大する中で、このような中小企業が新たな販路を求めて海外市場を目指しております。こうした中小企業に対し、都は、相手国の実情に即したきめ細やかな支援を展開することが必要であります。
 そこで、さきの本会議において、中小企業の海外展開に対する我が党の代表質問に対し、各国の貿易実務や技術動向に詳しい専門的人材を確保し、相談体制の充実を図るという答弁をいただきましたが、その具体的な内容を含め、海外販路開拓支援の充実について伺います。

○中西産業労働局長 中小企業が海外市場で効果的に販路の開拓を進めるためには、ご指摘のとおり、国ごとのビジネス環境に応じたきめ細かいサポートを受けるとともに、商談機会の確保を図ることが効果的でございます。
 このため、新年度から、海外における契約手続や国ごとの基準に商品を合致させるための技術上の課題などに関しまして、専門的な相談を行う体制を中小企業振興公社に整備いたします。
 具体的には、各国の法制度等に詳しい貿易アドバイザーや、技術上の高度な知識を持つ技術アドバイザーを配置いたします。また、新たな取引先の開拓に有効な海外展示会への出展に対する支援を強化いたしますため、支援対象となる展示会の回数を倍増してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、中小企業の海外市場への進出を一層強力に支援してまいります。

○菅委員 海外での事業展開には、販路の開拓とともに知的財産の戦略も重要であります。
 これも板橋区の中小企業の例でありますが、体脂肪計などの計測技術をもとに、海外で六百件以上の特許権を取得し、世界百二十カ国以上で自社ブランド製品を販売し、今や押しも押されもしないグローバル企業になっています。
 この企業のように、中小企業が知的財産を武器にして、世界をまたにかけてビジネスを展開していく可能性が開かれております。
 しかし、複数の国や地域での知的財産権を保有する、こういうことになりますと、出願から審査、登録、維持に係る負担は相当重いものになります。世界に通用する技術を持ちながら、知的財産の保護や活用に資金や人手を回せず、その力を十分に発揮できない企業は多いと考えます。
 こうした企業が世界規模で事業展開できるようにするためにも、知的財産の支援を一層充実させていくことが必要と考えますが、これまでの取り組みを踏まえ、今後どのように展開していくのか、知事の所見を伺います。

○猪瀬知事 東京都は、平成十五年、全国に先駆け、中小企業の知的財産の保護や活用に向けた総合的な支援を行う拠点として、知的財産総合センターを既に開設しております。
 知的財産の実務経験が豊富な相談員が窓口で実践的なアドバイスを行うとともに、セミナーの開催による幅広い情報提供により、昨年度の延べ利用数は九千を超え、開設当初から倍増しております。
 また、会社に出向いて知的財産の戦略策定を継続的にサポートする独自の支援策や外国特許出願費用の助成など、海外展開への支援策を実施しています。
 こうした先駆的な東京都の取り組みを参考に、特許庁がようやく重い腰を上げて、八年後の平成二十三年に東京都のセンターに倣った相談窓口を全国に整備したわけです。
 東京都は新年度、海外で頻発する知的財産の訴訟、もうご存じのようにすぐ近くにいろんな国がありますから、その訴訟に対処するために実用新案権の取得経費を助成の対象に追加します。
 また、国際的に広く通用する技術を持つ中小企業の幅広い事業展開を支援するため、複数の国での知的財産権の取得や、維持管理に要する経費を一体的に助成する事業を開始します。
 産業の競争力向上にはすぐれた技術を持つ中小企業が、知的財産を効果的に活用し、海外市場で収益を伸ばしていくことが求められています。中小企業の知的財産の保護と活用を積極的に支援していきます。
 知財国家であり、先進国である日本は知財国家、知財立国の先頭に東京は立たなければいけないと、こういうことであります。

○菅委員 知事の力強い言葉、大変ありがたく拝聴いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、東京都中小企業職業訓練助成制度について伺います。
 また地元の話で恐縮でありますが、板橋区には、印刷業や機械産業などが集積し、数多くの人がものづくりに従事しております。多くは中小企業ですが、事業主の方とお話をいたしますと、従業員教育の重要性は理解しているものの、指導者や経費などの問題もあり、なかなか思うようにいかないということであります。
 国や都には、人材育成を支援するためのさまざまな補助制度がありますが、必要な訓練であるにもかかわらず、内容によっては支給条件に合わず、補助金が受けられないことも生じております。
 例えば、中小企業では従業員が少なく、小規模な訓練とならざるを得ません。また、仕事上必要があって社外で開催される短期間の資格取得講座に参加させようと思っても、既存の制度の対象外となっております。
 都は、二月二十八日の本会議において、従業員二人以上で訓練時間六時間以上の小規模、短時間の訓練も対象とする都独自の助成制度を創設すると答弁をいたしました。これは、中小企業の切実なニーズにこたえるものと大変評価をいたします。
 一方で、さらに社外の資格取得講座への従業員の派遣も助成対象とするなど、より中小企業の声を反映させた制度とすべきと考えますが、見解を伺います。

○中西産業労働局長 お話の社外の資格取得講座につきまして、国のキャリア形成促進助成金では、中小企業のニーズが高い短期の講座等は対象外となっております。
 このため、新年度、都が創設いたします東京都中小企業職業訓練助成制度では、自社内で実施する小規模で短時間の訓練に加え、業界団体等が開催いたします講座への従業員の派遣など、六時間以上の訓練であれば助成対象といたしまして、中小企業の実情に即した仕組みとしております。

○菅委員 一方、今後も厳しい受注競争の中で、規模の大小を問わず中小企業が生き延びていくためには、従業員の実践的な技能のレベルアップが不可欠であります。しかし、機械加工や印刷など大型な機械や設備を必要とする技能講習については、実施できる民間の教育機関はほとんどないと聞いております。
 都は、職業能力開発センターで従業員向けのさまざまな訓練を実施しておりますが、企業の人材ニーズに合わせて内容の充実を図っていくべきと考えます。見解を伺います。

○中西産業労働局長 中小企業が従業員に必要な実技の習得など、人材育成を行うに当たっては、ノウハウや体制が不十分であることが多いのが実情でございます。そのため、都は、職業能力開発センターが持つ機器や設備を有効に活用し、スキルアップを支援してまいりました。
 具体的には、機械、建築等を初め太陽光発電機器の設置や耐震診断など、最近ニーズが高まっている環境、防災関連などの実技講習を実施しております。また、個別企業の要望にきめ細かくこたえるためオーダーメード訓練も実施するなど、支援内容の充実を図ってまいりました。
 さらに、技能士育成の必要性が高まっている実態を踏まえ、新年度から技能検定受験に向けた実技講習を拡充するとともに、印刷作業等のコースを新設いたします。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、中小企業の人材育成を支援してまいります。

○菅委員 実は、私の地元で、来年二月に光学設計、製造に関する国際会議が開催されます。日本の光学発祥の地である板橋の名を、この会議開催を通じて世界に発信しよう、こういうことで区がみずから誘致に取り組み、坂本区長みずからサンクトペテルブルクに乗り込んで開催をかち取った、こういうことであります。
 会議を成功に導くのはもちろんのこと、この機会に会議参加者を対象とした関連企業の見学ツアー、あるいは日本文化を体験する機会の提供など、心のこもったおもてなしを行うことにより、地域の魅力を最大限PRしたいと考えております。
 さて、都ではこれまで、国際会議の誘致に積極的に取り組んでこられました。国際会議の開催は一度に多くの外国人の訪問が見込める上に、海外からの注目度も高いことから、開催都市には大きな経済波及効果や国際的な地位の向上が期待できます。そのため、海外諸都市もその誘致に積極的に取り組んでおり、誘致競争は近年ますますその激しさを増しております。
 国際会議を誘致する際には、国内の関係者が集まって誘致組織を立ち上げるのが一般的でありますが、こうした組織は、財源的な後ろ盾が十分でない、こういうことが多くて、何年にもわたる誘致活動経費が大きな負担であるとお聞きいたします。
 また、東京は海外他都市と比べ、会場費の開催コストが高く、誘致競争においては不利な状況にある、こういうことも聞いております。そのため、こうした誘致活動費や開催経費の負担を軽減する財政面での支援を求める声が多く上がっているところであります。
 より一層の国際会議誘致を図っていくためには、誘致活動を財政面から支える取り組みの充実が必要と考えますが、都における今後の取り組みについて伺います。

○中西産業労働局長 都はこれまで、国際会議の誘致活動を行う国内の誘致組織に対し、広報宣伝などの活動費や会場借り上げなどの開催経費の一部を助成し、その活動を支援してまいりました。
 一方、熾烈な競争を勝ち抜くためには、海外諸都市の取り組みの状況や誘致組織の意向を踏まえ、より効果的な支援の仕組みをつくっていくことが重要でございます。
 こうした観点から、都は新年度より、長期に及ぶ活動を計画的に支援するため、誘致資金を複数年度にわたり助成する制度を開始いたします。また、開催経費の助成についても、一件当たりの助成限度額を一千万円から二千万円に引き上げることといたしました。
 これらの見直しを通じて、誘致活動を財政面から効果的に支援し、国際会議のさらなる誘致を促進してまいります。

○菅委員 国際会議の誘致競争の場における財政面での支援策は、今後ますます重要になってくると思われます。東京が世界における都市間競争を勝ち抜き、経済、文化、観光などさまざまな面で国際的な地位を揺るぎないものとしていくため、今後とも国際会議の誘致に向けた積極的な取り組みを期待いたします。
 次に、東京都健康長寿医療センターについて伺います。
 私は、五年前、この予算特別委員会において、健康長寿医療センターの整備について質問を行い、その中で高齢者の専門医療や老年病に関する研究がさらに充実し、都民のために一層飛躍するようにとお願いをいたしました。早いもので、現在その整備工事も大詰めを迎えており、地元では、六月の新施設のオープンを心待ちにしているところであります。
 この新施設では、これまで以上に質の高い医療が提供されることを期待するところでございますが、まず、移転を契機に、具体的にどのような医療の提供が可能になるのかお尋ねいたします。

○川澄福祉保健局長 本年六月に開設する新施設では、最新の医療機器を導入すること等により、重点医療である血管病、高齢者がん、認知症医療の提供体制の一層の充実を図ってまいります。
 血管病医療では、手術時間を短縮し、患者の体への負担を軽減するため、エックス線透視可能な手術台と高性能の血管撮影装置を配備し、外科手術と血管内治療を同時に行うハイブリッド手術を実施いたします。
 また、緩和ケア病棟や専門相談窓口を開設し、がん治療の初期段階から緩和ケア診療や家族ケアを実施するなど、がん治療体制を充実いたします。
 認知症につきましては、これまでの研究成果を活用して、かかりつけ医等を対象とした研修カリキュラムを作成するなど、都内の認知症疾患医療センターや地域の医療機関の医療体制の向上にも貢献してまいります。

○菅委員 新施設に導入される最新の医療機器も生かして、都における高齢者医療と研究の拠点として、その成果を大いに還元していただくよう改めてお願いを申し上げたいと思います。
 ところで、板橋区の高齢化率は二一・三%であり、東京都平均の二〇・四%よりも大分高くなっております。今後ますます高齢者を支えるための医療ニーズが大きくなる中で、多くの高齢者はできる限り住みなれた自宅や地域で暮らしたいと望んでおります。
 それにこたえるため、地元の医師会、医療機関等がそれぞれの役割分担の中で、懸命の努力により在宅医療を支えているのが現状であります。
 健康長寿医療センターでも、地域の在宅医療の推進に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、所見を伺います。

○川澄福祉保健局長 第二期中期計画案においては、高齢者の在宅療養支援を重点的に取り組む柱の一つに据えており、かかりつけ医の依頼に応じて患者を一時的に受け入れる在宅医療連携病床を確保し、在宅療養を継続する上で必要な病態等の評価を行うこととしております。
 センターでは、六月の新施設開設に先立ち、三月十五日から患者の受け入れを開始し、レントゲンや心電図などの検査を行うとともに、栄養状態などについて医師や看護師、管理栄養士などの多職種チームによる診察、評価を実施し、かかりつけ医に助言してまいります。
 こうした取り組みを通じ、今後も地域の在宅医療を積極的に支援してまいります。

○菅委員 今、局長の答弁を聞いて大変心強く感じました。この新しい試みを一日も早く地域に定着させるとともに、今後も引き続き地域の関係機関と密接な連携を図り、在宅医療を支えるという役割に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 健康長寿医療センターの医療と並ぶもう一つの大きな柱は研究であり、東京都が設置する地方独立行政法人として、都の高齢者施策における重要課題に取り組み、社会的役割を果たしていくことが求められます。
 本定例会の我が党一般質問に対する答弁でも、都における高齢者医療と研究の拠点として、その成果を広く都民に還元していくという言葉がありましたけれども、専門的でわかりにくい研究の内容や成果を都民にわかりやすく説明していく努力も必要であると思いますが、その見解を伺います。

○川澄福祉保健局長 センターでは、老化メカニズムと制御に関する研究、加齢に伴う筋力や筋肉量の減少に関する研究、認知機能低下に関する研究など、専門的な研究を行っております。
 これまで、こうした研究の成果を、バランスのよい食事が老化を防ぐこと、運動の習慣が転倒を予防すること、絵本の読み聞かせなどが認知機能の低下を防ぐことなど、具体的な事例を交えてわかりやすく説明したパンフレット等により、広く普及啓発に努めてまいりました。
 今後も、センターの研究成果について、ホームページへの掲載や公開講座の開催などを通じ、都民に積極的に還元してまいります。

○菅委員 今後も、高齢者医療と研究の拠点として、日本の老年学研究においてリーダーシップを発揮していただく一方、身近な都民への成果の還元にも一層努めていただきたいと要望しておきます。
 これまでの質疑において、健康長寿医療センターが、我が党の声を真摯に受けとめ、高齢者の医療課題に先導的に取り組むとともに、都民に還元する行政的役割を果たすなど、まさに都政を補完するパートナーとして大きな成果を上げていることが確認できました。
 本年四月から、健康長寿医療センターも第二期中期目標期間に入ります。第一期で取り組んできた成果をさらに発展させていくことが重要であると考えます。
 一方、地方独立行政法人制度においては、効率的、効果的な法人運営が求められることから、ともすると地域住民の声が届きにくくなり、住民サービスの提供が低下するのではないかという懸念があることも事実であります。
 今後も、法人が、これまで以上に住民ニーズに応じた質の高いサービスの提供を行っていくことが必要であります。そのためには、設立団体である都が法人の運営に適切に関与していくべきと考えますが、制度を所管している総務局長に見解を伺います。

○笠井総務局長 地方独立行政法人は、設立団体の長である知事及び議会による適切な関与のもと、自主性、自律性を保ちつつ、効率的、効果的な運営を行っております。法人が行う事業は公共性が高く、委員のお話のとおり都政を補完する役割も有しております。
 今後も、都と法人が緊密に連携し、住民ニーズや議会の意見を踏まえ、よりよいサービスが提供できるよう本制度を適切に運用してまいります。

○菅委員 それでは、まちづくりについて二点お尋ねいたします。
 まずは、補助二六号線大山中央地区についてでありますが、板橋区内の補助二六号線は、川越街道の西側の区間が一昨年六月に整備が完了し、交通開放されたことから、東武東上線と川越街道に挟まれた四百十メートルが未整備となっております。
 この区間は、大山駅西側のハッピーロード大山商店街という都内有数の商店街を横切っており、これまで事業化されてこなかったわけであります。しかし、平成二十一年六月に地元協議会が発足し、その後、補助二六号線を含むまちづくりについて勉強会も進んできていると聞いております。
 都は、この区間を特定整備路線にしたことを契機に、さらに地元商店街関係者等と協議を行い、早期の事業着手に努めるべきであります。
 そこで、補助二六号線大山中央地区の事業化に向けた取り組みについて、都の見解を伺います。

○飯尾都市整備局長 本地区では、道路の計画線が地元の商店街を横断することから、都は板橋区と連携し、関係権利者への意向調査や地元のまちづくり勉強会への支援を行っております。
 昨年三月には、地元の協議会が大山駅周辺地区まちづくりマスタープランを区に提言するなど、まちづくりの機運も高まってきております。
 こうした状況を踏まえ、都は昨年六月、延焼遮断帯に位置づけられている補助二六号線を特定整備路線に選定いたしました。
 都は今後とも、道路整備と一体となった沿道まちづくりの検討を積極的に進め、本路線の早期事業化に向けて取り組んでまいります。

○菅委員 ぜひよろしくお願いします。
 次に、木密地域不燃化十年プロジェクトの不燃化特区についてお尋ねいたします。
 先ほどの補助二六号線の整備とともに、既に大谷口上町地区において区が住宅地区改良事業を活用し、補助二六号線から災害拠点病院である日大板橋病院を結ぶ道路の整備や改良住宅の建設、さらに緑地の整備等を行い、防災性の向上を図ってまいりました。
 しかし、大谷口地区には、まだまだ狭い道路や老朽木造住宅が数多く残っており、木密解消に向けた取り組みを加速させていく必要があり、その対策の切り札として、不燃化特区の先行実施地区が指定されたものと理解しております。
 そこで、大谷口地区は、特区としてどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。

○飯尾都市整備局長 現在、都と板橋区が連携を図りながら、大谷口地区で先行実施地区の整備プログラムの作成を進めております。
 その中で、この地区の最大の課題でございます安全な避難路の確保のため、南北方向の主要生活道路の整備をコア事業とし、用地折衝の専門家を派遣する新たな特区の制度を活用することで現場の体制を強化し、取り組みを加速させることといたしております。
 都は、こうした取り組みを支援し、不燃化を強力に推進してまいります。

○菅委員 不燃化特区の取り組みも、特定整備路線の取り組みも、木密地域の防災性を高める非常に重要な施策であります。ぜひスピード感を持って補助二六号線の事業化と大谷口地区の不燃化に取り組んでいただくよう強く要望しておきたいと思います。
 次に、都民にとって身近に起こり得る問題として、下水道管の老朽化に起因する道路陥没についてお尋ねをいたします。
 道路陥没は、先ほどもちょっとお話がありましたように、その規模の大きさにもよりますが、車両や歩行者の通行の支障になるばかりか、下水道を使えない、こういうことにもなりかねません。
 区部では、下水道管に起因する道路陥没が、多いときには年間千件を超えるほど発生していると、こういうことも聞いておりますし、下水道局ではその発生を防止する対策を行っていると思いますが、まず、下水道管に起因する道路陥没の発生原因と、その対策についてお尋ねをしておきます。

○小川下水道局長 下水道管に起因する道路陥没の主な原因は、老朽化や車両通行の衝撃などにより下水道管が破損し、周りの土が管の中に流れ込むことによるものと考えられます。このうち、家庭などからの排水を受けて下水道管につなぐ取りつけ管が原因となる比較的小規模の道路陥没が、発生件数全体の七五%程度を占めております。
 これは、取りつけ管は道路下の比較的浅い位置に埋設されており、車両の振動を受けやすいことに加え、古い取りつけ管の多くが衝撃に弱い陶器製であるためと考えております。このため、より衝撃に強い硬質塩化ビニール管への取りかえを計画的に進め、平成十二年度に千五百件あった下水道管に起因する道路陥没は、最近五カ年の平均で九百件程度に減少しております。
 特に、下水道管の再構築を進めている都心部では、発生件数が八百件から四百件に半減しております。

○菅委員 道路陥没件数が減少し、特に下水道の再構築を進めている都心部では、対策の効果がはっきりとあらわれており、大いに評価できるものだと、こう思います。
 一方、私の地元など都心部より新しく下水道が整備された地域では、下水道管の老朽化に伴う道路陥没は比較的少ないと思われますが、幹線道路も多く、今後、下水道管の老朽化が年数の経過とともに区部全体に広がっていくことを考えますと、区部全域について一層計画的に、かつスピード感を持った対策を行っていくことが重要であると考えます。
 こうしたことを踏まえ、今後、道路陥没対策をどのように進めていくか、お尋ねをいたします。

○小川下水道局長 都心部において再構築を実施することに加えて、その周辺部においても取りつけ管の硬質塩化ビニール管への取りかえを計画的に行うことが重要であり、このたび策定した経営計画二〇一三では、都心部における再構築に加えて、道路陥没の多い五十地区について重点化し、対策を進めることといたしました。
 こうした取り組みを行うことで、計画期間中の三カ年で、これまでより四割スピードアップし、約十二万カ所を実施するなど、対策を強化してまいります。板橋区内では、舟渡地区や双葉町地区を重点地区として優先的に対策を進めてまいります。
 今後とも、取りつけ管の重点対策や下水道管の再構築を着実に進め、お客様の安全・安心の確保に努めてまいります。

○菅委員 板橋区内においても重点地区を定め対策を行っていくと、こういうことでありますので非常に心強く思います。引き続き、取りつけ管の対策などを着実に進めることで、都民が安心して安全に暮らせる東京の実現に貢献していただくよう要望しておきます。
 次に、スポーツ祭東京二〇一三について伺います。
 ことしはスポーツ祭東京二〇一三が開催されますが、その幕あけとなる国民体育大会冬季大会のスケート競技会とアイスホッケー競技会が都内四会場と福島県郡山市で開催され、開始式を初め各競技会場にもたくさんの観客が来場し、盛況のうちに幕を閉じ、さい先のよいスタートを切ったと思います。
 次は、秋の国民体育大会であります。この大会では、陸上やサッカーなど、三十七の正式競技と高等学校野球やビーチバレーなど三つの公開競技において、全国各地から集まったトップアスリートが熱戦を繰り広げるわけでありますが、他にもデモンストレーションとしてのスポーツ行事が実施されます。
 そこでまず、デモンストレーションとしてのスポーツ行事とは何か、改めて伺います。

○細井スポーツ振興局長 デモンストレーションとしてのスポーツ行事、いわゆるデモスポは開催地の都道府県の住民が参加できます国民体育大会公式行事の一つでございます。国体の正式競技が都道府県の代表選手が得点を競うのに対し、デモスポは子どもからお年寄りまで幅広くスポーツに親しみ、スポーツの振興を図ることを目的としております。

○菅委員 スポーツを間近で観戦し、選手の息遣いや足音、躍動感ある動きなどに触れることはスポーツの魅力の一つでありますが、開催地の市民が参加し、多様なスポーツを体験する機会を得るということも大変意義のある取り組みであると思います。
 東京では具体的にどのような種目が行われるのか、伺っておきます。

○細井スポーツ振興局長 都においては、普及が進んで身近でよく見かけるゲートボールやフットサルなどの種目、多摩・島しょの自然や特性を生かして行われるヒルクライムやフィッシングなどの種目、若い層に人気のあるダブルダッチやダーツなどの種目、ローラースポーツや武術太極拳のように、二〇二〇年のオリンピック追加競技の候補となっている種目など、多彩なスポーツ行事を都内各地で実施をいたします。

○菅委員 貴重な自然が残された多摩・島しょの特性を生かした種目や、若い人たちに人気のある種目、オリンピック競技の候補となっている種目などが行われる、これはまさしく東京らしさだと思いますが、このほかにもどのような特色があるのかお尋ねをします。

○細井スポーツ振興局長 都においては、過去最大規模となる五十七行事を五十三区市町村の七十八会場で実施をいたします。このうち、スポーツ吹き矢やガーデンゴルフなど二十五行事は、今回の東京で初めて実施するものでございます。
 また、フォークダンスやユニバーサル駅伝のように、障害のある人もない人も参加できますユニバーサルスポーツが五十七行事のうち、過去最多となる十八行事ございます。

○菅委員 東京では過去最大の規模であるとともに、初めて実施される種目がたくさんあるようなので大いに期待をしたいと思います。
 お話のユニバーサルスポーツは、デモスポの五十七行事のうち十八行事であるということですが、その内容と取り組みについてお尋ねしておきます。

○細井スポーツ振興局長 ユニバーサルスポーツは、年齢や障害の有無などにかかわらず、あらゆる人にとって楽しむことのできるスポーツでございまして、ほとんどの種目が初心者でも参加できます。
 ティーボールなど障害者部門を設けている行事、ブラインドサッカーなど障害のある人とない人が一緒に参加する行事、ウオーキングやラジオ体操など気軽に参加できる行事などを実施いたします。
 都としては、スポーツ祭東京二〇一三の開催を通じて、幅広い都民の方にユニバーサルスポーツに参加していただき、普及拡大の契機としていきたいと思っております。

○菅委員 ユニバーサルスポーツといっても、さまざまなスポーツがあるようであります。これまでのように障害者スポーツの普及を進めることが重要なのはもちろんでありますが、今お聞きしたユニバーサルスポーツのように、障害のある人もない人もともに参加できるスポーツを普及啓発していくことは、スポーツのすそ野を広げていく上で大きな役割を果たす可能性があると私は考えます。
 ユニバーサルスポーツも含め、デモンストレーションとしてのスポーツ行事には気軽に参加できる行事もあるということですが、できるだけ多くの皆さんに参加していただくことが重要であります。
 デモンストレーションとしてのスポーツ行事は、いつ開催され、都民の皆さんはどのようにしたら参加できるのか、お尋ねをいたします。

○細井スポーツ振興局長 これまでデモスポの開催は秋の国体期間中に限られていましたが、東京では期間を大幅に広げまして、五月から十月まで実施することで、より多くの都民がスポーツに親しむ機会としていきます。
 参加に当たっては、区市町村や競技団体に申し込みいただくため、都では二月から各行事の実施要項をホームページで公表するとともに、参加申し込みガイドを作成し、PRをしております。
 今後、多くの行事の中から、都民の方が自分に合った行事を選択し参加できるよう、区市町村及び関係団体と連携し、わかりやすい情報提供に努めてまいります。

○菅委員 デモンストレーションとしてのスポーツ行事は、スポーツ実施率向上にもつながる取り組みであります。
 板橋区では、ウオーキングを実施することになっております。ウオーキングは手軽で幅広い年齢層の人間が参加できる種目なので、多くの人に参加していただくよう、私もPRに努めたいと思います。
 そして、いよいよ秋の大会を迎えます。これまでの開催状況を見ますと、国の所管官庁が、国民体育大会は文部科学省、全国障害者スポーツ大会は厚生労働省と分かれているため、二つの大会をそれぞれ別の大会として開催しているのが現状であります。
 都は、スポーツ祭東京二〇一三を国体と全国障害者スポーツ大会を一体のものとして開催することとしておりますが、その目的や取り組みについて伺います。

○細井スポーツ振興局長 都は、障害のあるなしにかかわらず、すべての人々がスポーツを楽しめる社会の実現を目指し、国体と全国障害者スポーツ大会を、スポーツ祭東京二〇一三という共通愛称のもとで初めて一つのスポーツの祭典として開催いたします。
 このため、国体と全国障害者スポーツ大会をつなぐ三日間にも、広くスポーツを普及させる事業を行い、十七日間の大会期間を通して盛り上げていきます。
 また、先ほど申し上げたとおり、デモンストレーションとしてのスポーツ行事では、ブラインドサッカーなど障害のある人もない人もともに参加できるユニバーサルスポーツを過去最大規模で実施いたします。
 両大会を一つの祭典とする取り組みにより、今後のスポーツ大会のあり方を変える先駆けとなるよう努めてまいります。スポーツ祭東京二〇一三を成功させ、都民のだれもが多様なスポーツを楽しみ、一人一人が輝く都市の実現を目指してまいります。

○菅委員 全国初の試みでもありますし、期待も大きいと思います。本大会の開催まであと六カ月となりました。しっかりと準備をして、スポーツ祭東京二〇一三をぜひとも成功させていただきたいと思います。
 そして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの東京招致をかち取り、その盛り上がりの中で迎えるすばらしい大会となることを確信して、質問を終わります。(拍手)

○村上副委員長 菅東一委員の発言は終わりました。

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