予算特別委員会速記録第四号

   午後三時二十五分開議

○門脇副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 今村るか委員の発言を許します。

○今村委員 強者が弱者を、余裕のある人がない人を助ける、健常者が障害のある人を助け、女性が働きやすい職場をつくる、互いに助け合う東京をみんなでつくろう、これは猪瀬知事の選挙公報などに記載された知事選に臨む基本姿勢です。
 私はこの猪瀬知事の基本姿勢に、みずからの人に優しい都政を目指す基本理念との一致を見、石原前知事の施政をただただコピーするのではなく、猪瀬カラーを表明したものと理解をいたしました。
 また、ライフワークでもある既得権益との徹底した戦いで見せる力強さ、副知事としての多くの実績と人柄も踏まえ、ともに都政を進めてまいります。
 さて、猪瀬知事を先頭に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたIOC評価委員視察では、皆さん本当にすばらしいお働きをなさり、ご苦労さまでした。すばらしいプレゼンテーションであったと考えます。
 いよいよ九月の開催地決定に向け、最終盤のアピールに向かっていくわけですが、猪瀬知事にはそのすばらしい政治姿勢を具現化する夢を、東京はその持てる力をすべての人の夢が実現するサポートを目指す都市であるというメッセージを、東京オリンピックは、これまでのオリンピックの中で世界一夢があふれる大会になることを、最後の最後まであらゆる機会を通じて都民に、全国に、そして全世界にアピールし続けてほしいと考えます。もちろん、私も全力で応援をしてまいります。
 さて、前民主党政権は、むだな公共事業から人への投資を重視する基本理念を示し、チルドレンファーストとして、何よりも子どもと子育て、教育を支援する取り組みを進めました。それは、人口では二〇%も占めない児童だが、我が国の将来は一〇〇%彼ら次第だからといえるからです。
 すばらしい言葉ですが、これは民主党のオリジナルでも、私のオリジナルでもありません。ご承知の方もいるでしょうが、これはイギリスのブレア政権で、子ども大蔵大臣と呼ばれたブラウン大蔵大臣による予算教書の言葉です。
 オリンピック・パラリンピックが平和の、スポーツの、夢の祭典ならば、開催地を目指す東京も、子どもの夢と育ちを全力でサポートする都市東京でなければなりません。
 今回の質疑は、オリンピック・パラリンピック招致、開催実現に向け、東京の総力をすべての人の夢サポートにとして関連づけて質疑を行いますので、知事を初め理事者の皆様もそのつもりでお聞きいただき、前向きなご答弁をくださるようお願いをいたします。
 まず初めに、子どもたちの中でも特に特別なサポートを必要とするのは、社会的に最も弱い、親が養育できない、養育する気を持たない、養育することを許されない社会的養護にゆだねられている子どもたちです。私は、都議会に当選してから議会でも何度も取り上げ、都の取り組みを促してまいりました。
 日本の社会的養護は長らく政策的に放置されたような状況で、民主党政権下でようやく施設基準などの見直しが行われ、豊かな社会とのギャップを埋めていこうと進み出したところです。
 現在、社会的養護のうち九割が乳児院や児童養護施設で生活し、一割が里親やファミリーホームでありますが、これを今後十数年かけておおむね三分の一が里親、ファミリーホーム、おおむね三分の一がグループホーム、おおむね三分の一が本体施設という姿に変えていくとしております。大規模施設ケアから家庭的ケアに充実していく方向が示されています。
 そこで、まず、都における家庭的養護、里親やファミリーホーム、グループホームの推進に当たっての整備目標とその進捗状況について伺います。

○川澄福祉保健局長 都は、平成二十一年度に策定した次世代育成支援東京都後期行動計画において、平成二十六年度までに社会的養護全体に占める家庭的養護の割合を三五%にまで拡充することを定め、養育家庭への委託やグループホームの設置を進めております。
 その結果、家庭的養護の割合は、平成二十一年度の二七・四%から二十二年度は二八・七%、二十三年度は二九・六%へと増加しており、取り組みは着実に進んでおります。

○今村委員 次に、家庭的養護のうち養育家庭及びファミリーホーム委託児童数と養子縁組里親委託数を伺い、あわせて里親制度推進のための取り組みについて伺います。

○川澄福祉保健局長 平成二十五年一月末現在、養育家庭及びファミリーホーム委託児童数は四百三十四人、養子縁組里親の委託児童数は十八人となっております。
 都は、里親制度を広く都民に周知し、理解を促進するとともに、養育家庭等の登録数をふやすため、十月、十一月の里親月間を中心に、区市町村等と連携しながら、体験発表会の開催やホームページ、広報紙、テレビ、雑誌等を活用した普及啓発などを実施しております。
 また、児童を養育している里親に対しては、児童相談所による家庭訪問や心理面接の実施などに加え、民間団体を活用して定期的な巡回訪問や、夜間、休日の相談を実施するなど、きめ細かな支援を行ってまいります。

○今村委員 また、児童養護施設、自立支援ホームの子どもたちへの自立支援に向けた取り組みをどのように進めていくのか伺います。

○川澄福祉保健局長 児童養護施設等では、児童が就労し、社会の中で自立した生活が送れるよう、入所児童に対し、就労相談や就労先の選定などを行い支援しております。
 都は、児童の就労支援を一層強化するため、今年度から児童養護施設に自立支援コーディネーターを配置し、施設職員に助言を行うとともに、就職準備セミナーや就労体験を行うNPO、企業などとの連携を進めております。
 また、来年度から、自立援助ホームに児童福祉の実務経験者をジョブトレーナーとして配置し、児童の特性を踏まえた支援計画を作成した上で、就労先の企業に対し、指導方法の助言や児童に対する作業手順の説明を行うなど、児童の就労定着を促進してまいります。

○今村委員 さらに、施設職員の専門性向上、親子関係の再構築支援の充実など、ケアの質向上に関する施設の取り組みは大変重要です。
 そこで、都の支援について伺います。

○川澄福祉保健局長 児童養護施設では、職員の専門性の向上を図るため、児童心理や発達障害などに関して、各施設が独自に研修を実施するほか、外部団体が行う研修に職員派遣などを行っております。
 また、親子関係を再構築し、児童が早期に家庭復帰できるよう、保護者に対する相談援助を行うとともに、入所児童一人一人の状態に合わせた支援、虐待を受けた児童に対する心理療法の実施など、きめ細かい取り組みを進めております。
 都は、こうしたケアの質の向上に向けた施設の取り組みをサービス推進費等により支援しております。

○今村委員 ケアのよしあしは当事者の声でしか判断できないものです。社会的養護にゆだねられている子どもたちの小さな声をしっかり聞くことから取り組みをさらに進めてほしいと願います。
 現政府は来年度予算案で、ことし八月から生活扶助基準額を引き下げ、三年間で段階的に約六百七十億円削減を決定しています。受給額が減少する生活保護世帯は九六%、平均六・五%減少するといわれ、特に子育て世帯の削減幅は最大一〇%と大きく、さらなる子どもの貧困と世代を超えた貧困の連鎖につながりかねません。保護基準見直しは、他の三十九制度に影響するといわれ、特にボーダーライン層への影響を考えなくてはなりません。
 市区町村では、生活扶助基準を超えても、一定の低所得者を対象として、市区町村独自の就学援助を実施しています。その対象基準は市区町村によってばらつきがありますが、いずれも生活扶助基準額を基礎として、一定の倍率を乗じた所得額を用いているため、現状のままでは収入が変わらないにもかかわらず、基準の引き下げによってセーフティーネットの対象から外れてしまいます。
 広域自治体である都は、多摩、区部、島しょにおいて、このような悪影響が出ないように努めるべきと考えます。
 そこで、生活保護基準引き下げによる就学援助への影響に対する都の認識と対応を伺います。

○比留間教育長 就学援助は、学校教育法により、区市町村にその実施が義務づけられており、要保護者に対しては国庫補助事業として、準要保護者に対しては、区市町村が一般財源で賄うべき単独事業として実施をされております。
 したがいまして、準要保護者に対する就学援助につきましては、区市町村が認定基準のあり方を含めて、その権限と責任において適切に実施するものと考えております。

○今村委員 子どもは親を選べない、だから、すべての子どもたちに平等なライフチャンスを保障することは政治の責任です。市区町村の取り組みをぜひ注視していただきたいと要望しておきます。
 子育て支援については、既に今委員会でも何度も取り上げられておりますので、私からも、東京の子育て世代の保育ニーズに的確に対応し、充実した制度となるよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
 障害児者問題についてであります。
 オリンピックとともにパラリンピック招致を目指す東京は、障害のある方々へのサポートも十分になされなければなりません。さきのオリンピック・パラリンピック開催都市であるロンドンの招致計画、ロンドンプランにも書かれているソーシャルインクルージョンについては、私は東京も進めるべきだと考えます。そこで、障害児者にかかわることについてお聞きをします。
 まず、障害者雇用率についてです。
 障害者の雇用の促進等に関する法律で定められている法定雇用率を達成してない都道府県教育委員会は、二〇〇八年の三十七から二〇一二年にはわずか六委員会のみとなりました。都教委はその中の一つです。都教委のこの間の雇用率は、法定の二・〇%を満たすことなく、直近で一・六九%で、不足数は百三十三人と全国で一番多く、適正実施勧告を五回も受け、不名誉なことばかりで大変残念です。そのため、今回は厳しく指摘をせざるを得ません。
 また、この四月からは法定雇用率がさらに引き上げられることが決定しており、折しも本日、国の審議会で精神障害者の雇用義務づけがなされるのかなされないのかが決まります。私がこの問題を予算特別委員会で取り上げるのも、これで三回目となります。
 そこで、都教委はあらゆる方策を講じて法定雇用率を早期に達成すべきですが、どのように達成するのか、教育長には重大な決意を持って答弁をしていただきたいと願います。

○比留間教育長 都教育委員会は、これまで法定雇用率の達成に向け、教員採用選考における受験時間の延長や手話通訳の配置、事務補助員制度の設置など、障害者雇用の拡大に努めてまいりましたが、今回、東京労働局から適正実施勧告を受けたことにつきましては重く受けとめております。
 この勧告を踏まえ、今後の取り組みとして、受験者への周知をさらに充実して採用選考の受験を促進するとともに、区市町村教育委員会とも連携して、障害のある教員の採用を可能な限り拡大してまいります。
 また、事務補助員制度を活用して、都立学校の環境整備業務など新たな職場を設置するとともに、精神障害者の雇用方策を検討していきます。
 こうした取り組みを積極的に進め、法定雇用率の早期達成に努めてまいります。

○今村委員 ぜひ、前向きな答弁をいただきましたので、実施を期待いたしているところでございます。
 次に、前民主党政権下で障害のある方々の当事者参加を経て、障害者自立支援法から、この四月、障害者総合支援法に変わり、順次施行されます。
 そこで、二〇一三年四月から障害の範囲に難病などが加えられます。市区町村はそのための準備を進めていますが、都は市区町村を支援するためにどのように取り組んでいるのかを伺います。

○川澄福祉保健局長 平成二十五年四月から難病等の方が障害福祉サービス等の対象となることに伴い、区市町村では、対象者の確認や障害程度区分の認定などの手続を行うことになります。
 都は、これらの業務を区市町村が円滑に実施できるよう、対象となる疾病の範囲などについて説明会を実施するほか、審査等に必要になる診断書や意見書を記載する際の留意点を医療機関に周知しております。
 今後とも、制度の円滑な導入に向け、区市町村を支援してまいります。

○今村委員 また、障害者総合支援法において、意思疎通支援について都道府県の役割が強化をされましたが、都はどのように対応するのか伺います。

○川澄福祉保健局長 本年四月から施行される障害者総合支援法では、手話通訳や要約筆記などの意思疎通支援について、区市町村と都道府県の役割が改めて定められ、特に専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成または派遣等が都道府県の役割となりました。
 現在、手話通訳者等について、都が人材養成を、区市町村が派遣を実施しているところでございます。そのほかに、都は特に専門性の高い盲ろう者通訳、介助者の派遣を行っております。
 今後、意思疎通支援を行う者の派遣に係るガイドラインが示される予定であり、都はその内容も参考にし、区市町村における事業実施状況を踏まえながら、対応を検討してまいります。

○今村委員 さらに、重度訪問介護の対象拡大やグループホームとケアホームの一体化などが二〇一四年四月から施行される事項がありますが、都はどのように対応をしていくのか伺います。

○川澄福祉保健局長 お話のありました重度訪問介護の対象拡大など、平成二十六年四月に施行される事項につきましては、現在、その詳細が明らかになっておりません。
 制度を円滑に実施するためには、サービスを利用する障害者や家族に周知を図るとともに、区市町村や事業者が準備するための期間を十分に確保することが必要でございます。
 このため、都は国に対し、早期に具体的内容を提示するよう提案要求を行っており、引き続き国に働きかけてまいります。

○今村委員 次に、すべての小中学校に在籍しているという特別なニーズのある子どもたち、特に発達障害児の支援について伺います。
 私は、在籍する地域の学校で特別なニーズや配慮が必要な発達障害児の児童生徒も、その子どもに合った支援や配慮が受けられることが重要と考えます。都は、特別支援教育推進計画第三次実施計画で、自閉症・情緒障害学級や特別支援教室による発達障害の子どもへの重層的な支援体制を整備するとしています。
 一人一人に合った支援体制が都内全市区町村で早期に整備されるよう、計画の着実な実施に努めるべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○比留間教育長 都教育委員会は、特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、発達障害が重い子どもに対する固定制の自閉症・情緒障害学級の設置と、障害が軽い子どもに対するすべての小中学校に置く特別支援教室への巡回指導により、障害に応じた支援体制の構築に取り組んでおります。
 自閉症・情緒障害学級の計画的な設置促進に向けては、発達障害が重い子どもに対する適切な教育課程の研究開発が必要なため、平成二十三年度からの三カ年で教育課程の実践研究に取り組んでおります。
 また、特別支援教室については、本年度から三カ年でモデル事業を実施しており、その成果を踏まえ、平成二十八年度から小学校で順次導入を進めてまいります。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携して、発達障害の子どもへの重層的な支援に努めてまいります。

○今村委員 発達障害を持つお子さんを育てている親は、まさに、今も大変な苦労をしながら地域の学校で教育を受け、また生活の指導をしております。ぜひ、学校や教職員の皆さんと一緒にしっかりと支えていただきますように改めてお願いをさせていただきます。
 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催前年、二〇一九年にラグビーワールドカップが日本で開催されます。ラグビー世界一を決定する世界が注目をするビッグイベントであり、東京オリンピック・パラリンピック開催のためにも必ず成功させなければなりません。
 大会会場はもちろんのこと、参加各国キャンプ地誘致などは来年三月までの申し込みと聞いています。東京オリンピック招致の機運を盛り上げるために都の取り組みを期待するところですが、しかし、残念ながら、来年度予算にラグビーワールドカップに関する予算は計上されておりません。都並びに市区町村の現状と今後の取り組みについて伺います。

○細井スポーツ振興局長 ラグビーワールドカップ二〇一九は、現在、都が招致を目指しております二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の前年に日本で開催されます重要な国際スポーツ大会と認識しております。その会場として、国立霞ヶ丘競技場が候補の一つとされておりますが、国内で予選、決勝を含めて四十八試合を予定しております。このラグビーワールドカップの開催希望自治体に関する具体的なガイドラインは、ことし五月末までに大会組織委員会から示されると聞いております。
 今後、このガイドライン等を踏まえまして、都内区市町村の取り組み状況について情報収集するとともに、都の取り組みについても検討してまいります。

○今村委員 ぜひ、ラグビーをなさっている方、また、スポーツ観戦を楽しみにしている方たちのためにも、機運を盛り上げるために前向きな検討をお願いをしておきたいと思います。
 それでは、多摩都市インフラ更新の財源確保についてお伺いをしたいと思います。
 高度成長期、特に半世紀前の東京オリンピック期に集中的に整備された都市インフラ、それらが寿命、更新期を迎えています。都も不断の努力を重ねられてきましたが、中央自動車道トンネル事故でのマスコミ報道などにより、都民の関心も上がっています。
 道路、橋梁、上下水道設備など、さまざまな、そして膨大な数の都の都市インフラの延命、更新には、莫大なコストを要することは想像にかたくありません。しかし、こうした都市の問題解決策をきちんと示すことは、東京オリンピック招致に向け、東京の持つ都市の力をアピールすることにつながると考えます。
 まず、都は、多摩を初め今後の都市インフラ更新などのための財源確保策をどのように考えているのか伺います。

○中井財務局長 成熟した都市東京における社会資本ストックの老朽化対策など都市インフラの更新は、これからの都政にとってますます重要となる課題であり、都財政を取り巻く環境がどのような状況にあっても、着実に進めていかなければならないことであります。
 都はこれまでも、財政健全化の取り組みを通じて培ってきた都債の発行余力や基金などを活用しながら事業を推進してまいりました。
 今後とも、都民の安全・安心を守り、都市機能の維持向上に資する都市インフラの更新などを戦略的かつ計画的に進めるべく、さまざまな工夫を凝らして必要な財源を確保してまいります。

○今村委員 都市のインフラ問題だけではなく、今後の人口半減社会への移行過程で超急速な高齢化の波が押し寄せる多摩地域のベッドタウンや大規模団地などの少子高齢化は、深刻の度合いを深めています。大都市内部においても限界集落が発生する状況です。
 世界にも例のないスピードで超高齢社会化、人口減少に進む東京、特に多摩地域の持続可能な成熟した都市の未来像と、そのプロセスをオリンピック招致でも武器にしてアピールしていただきたいとの希望も込め、多摩の未来像の実現に向けた取り組み、決意を伺います。

○笠井総務局長 東京都区市町村別人口の予測などによりますと、多摩地域の人口は、現在四百十九万人でありますが、区部に先行して減少いたしまして、二〇三〇年には四百万人を切る三百九十九万人、二〇五〇年には三百六十六万人、そして二一〇〇年には、現在の約六割となる二百五十万人まで減少することが見込まれております。
 また、六十五歳以上の高齢者の割合、高齢化率についても、現在の約二〇%から二〇三〇年には二八%、二〇五〇年には約三七%、二一〇〇年には全体の五割近くとなる約四五%と増加の一途をたどってまいります。
 このような状況変化に早期に備えるため、これまでの右肩上がりの成長拡大から、活力ある都市の成熟、持続へと発想を転換し、都のみならず、多摩の市町村、民間企業やNPOなどの活動指針にもなる新たな多摩のビジョンを策定することとしたわけでございます。
 今後、持続可能な、魅力にあふれ、活力に満ち、安全・安心が確保された多摩という目指すべき姿の実現のため、庁内はもとより、市町村、民間企業など多様な主体と一丸となって、早急に施策の具体化に向け取り組んでまいります。

○今村委員 次に、知事に伺います。
 今、それぞれの局長からしっかりとした力強い財源の確保策、そしてまた、ビジョンに基づいた計画の実施についての答弁をいただきました。厳しい環境下にもかかわらず、都民生活を守るために必要なまちづくりのコストは絶対に必要です。三十年、五十年という中長期的な視野を持ち、財源確保策を講じなければならないと私は考えます。
 知事が日ごろから強調されているファクトを積み重ね、トータルな現状把握と具体策、総コスト、財源調達策の検討を行い、知事の目指す多摩も含めた東京の都市像をどのように実現していくのか、知事の所見と決意を伺います。

○猪瀬知事 世界に前例のない急速な少子高齢化や激しさを増すグローバル化など、大きな構造変化を見据えながら都市を経営していくことは重要であります。
 僕は「ミカドの肖像」、「土地の神話」の著者として、常に時間軸と空間軸を持って東京の過去と将来を考えています。
 例えば、多摩ニュータウンの話ですね。一九六四年の東京オリンピックの翌年に都市計画決定がなされ、そしてまたその翌年に開発が始まった。高度経済成長期の東京では、都心を中心に地価が高騰して、多摩地域でも無秩序な開発、スプロール化が進行していた時期で、多くの人々が居住環境のよい宅地、住宅を求めて、あこがれの大規模団地に住もうと移り住んだわけです。
 五十年近くが経過して、この地域での住民の高齢化、あるいは人口の伸び悩み、一方で、区部の特に海に近いところ、新たなマンション開発、若い世帯が都心回帰を始めている。これは、繰り返し繰り返しこの構造は続いているわけでありまして、戦前も大正十四年に山手線が田園地帯を環状線として走るようになって、そこで新宿や渋谷や池袋でターミナルステーションができるようになって、その当時は、それでサラリーマンが山の手に移り住む。
 それから今度は、今の多摩ニュータウンの問題を考えると、横浜線が複線になったのが一九八八年ですから、そこで山手線よりずっと大きな環状線ができ上がっていく。そして、京王線が橋本のところで横浜線と接続したのが一九九〇年ですね。
 それから、多摩モノレールが、多摩センターが開業したのが、あそこの駅につながったのが二〇〇〇年ですから、まだ一つの大きな動きのうねりが続いていることは確かでありまして、それからもちろん大江戸線が湾岸地区にずっとつながって、新しい山手線のかわりの環状線になっている。これ、山手線に対して川の手線というふうに考えられるんですね。
 そういうさまざまな環状線ができる中で、都市はまさに生きている。その構造変化、今までこういう繰り返してきた構造変化というものを、ちゃんと歴史的な経緯を踏まえていく、今後三十年あるいは五十年という長いスパンでその過去を見ながら。ただ、財源というのは、見通しを立てるべきというお話があったが、都税収入というのは経済情勢によって、歳入の根幹とする--東京都は財源の長期の見通しを立てることは余りやらない、それは無理ですから。
 ただ、ある程度、十年後を見据えてリアルな取り組みを一つずつ重ねていくということで、それは首都東京を預かる者としての責務だと思ってますから、東京は、まずは「二〇二〇年の東京」を構え、「二〇二〇年の東京」という目標をつくって、それを構えてオリンピック・パラリンピック競技大会の開催を目指すと、まずそこに一つ東京の姿が明確に形づくられています。
 さらに、その中で、この長期ビジョンで描く都市像を着実に実現を図るために、三カ年のアクションプログラムを策定して、この事業費総額は二兆七千億円というふうにはっきり明示していますが、二十五年度の事業費は全額既に予算計上しています。
 現実的なタイムスパンの中で戦略的な政策を展開していくことで、選挙で都民の皆様にお約束した一人一人が輝く社会、これを確実に実現させていく。大きな展望は、過去の流れを見ながら考え、ある程度目に見えるところで具体的な予算を計上すると、こういうことであります。

○今村委員 多摩についてもよく詳しくご存じの知事からの答弁をいただいたわけでありますけれども、確かに財源については、しっかりとした計画というのは立てにくいというふうに思いますが、知事と同じく、また局長とも私は気持ちは同じだというふうに考えています。しっかりとした取り組みを、さらに今後も着実に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、防災について、オリンピック・パラリンピック招致活動においても、東京の高い防災、災害に対する取り組みは評価をされています。私は、その一翼を担う消防団の活動について、とりわけ多摩の消防団に対して都の財政的支援を本会議場で求めてまいりました。次年度予算に装備に対する支援がなされることは高く評価をいたします。
 あの東日本大震災において、二百五十四名ものとうとい消防団員の命が失われました。私は、きょう、この胸に陸前高田市の瓦れきでつくられた、そしてまた仮設住宅でその瓦れきを集めて、その女性たちが自分たちの仕事としてつくっているこの瓦れきホルダーをつけて質問をさせていただいております。
 そこで、消防団の装備、支援については、例えばGPSつき救命胴衣や身元確認用のタグ、新型インフルエンザなどの場合のワクチンの優先接種などの支援を求める声があります。私は、こうした人命にかかわるような装備や支援が重要と考えますが、都の所見を伺います。

○笠井総務局長 発災時の初期消火や救援活動などにおきまして、消防団が効果的な活動を行うためにも、まずは団員の命を守るための装備品を確保する必要がございます。
 このため、都は、特別区消防団の装備の充実に加え、来年度、多摩・島しょ地域の消防団の資器材整備に対する補助を新たに行ってまいります。
 お話の命にかかわる装備品については、まずは足場の悪い災害現場での救助活動に必要な最新の靴の配備を進めていきたいと思っております。

○今村委員 大変大きなまさに一歩だと思いますし、私も消防団員として、靴のみならず、防災靴のひもでさえ決しておろそかにしてはならないということを忘れずに、しっかりとともに活動を進めてまいりたいというふうに思います。感謝を申し上げます。
 次に、消防少年団員の増員がなされるとのことですけれども、消防少年団の活動は十五歳まで、消防団の活動は十八歳から、この間の十五歳から十八歳までの防災人づくりを消防少年団の活動で充実強化する必要があると考えます。消防少年団の充実強化策について伺います。

○北村消防総監 消防少年団を卒団した方には、引き続き地域防災の担い手として活躍していただくことが重要であります。
 消防少年団では、卒団後もこれまでの経験を生かし、指導者として参画できる体制を整えており、東京消防庁は、十五歳から十八歳までの指導者を対象とした研修会を開催するなどの側面的な支援を実施しております。
 今後は、関係機関と連携して、消防少年団の充実強化に向けた検討会を設置し、入団促進を初め、指導体制や活動のあり方などの検討を進めてまいります。

○今村委員 ただいま総監から、入団促進を初め指導体制や活動のあり方などについて、今後、検討を進めていくという答弁をいただきました。その活動のあり方の中には、今私が質疑をいたしました十五歳から十八歳までのいわゆる子どもたち、高校生の世代の活動の場も入っているというふうに理解をしてよろしいでしょうか、総監。--よろしいですね。では、そのように理解をさせていただきます。
 最後に、知事にお伺いをいたします。
 IOC評価委員の受け入れを成功裏に終え、招致獲得に向け一歩前進したと考えます。しかし、オリンピック・パラリンピックは、一つの都市の姿をも変革する力を持った世界最大の祭典であり、その開催そのものが最終目的ではなく、次世代にオリンピック・パラリンピックを通じ、何を伝え、何を残すことができるのかが重要なことではないでしょうか。
 そこで、オリンピックを好機として、被災地を初め、都内、国内の子どもはもちろんのこと、東京の力を世界じゅうの子どもたちの夢をはぐくむことに大いに活用することを世界じゅうにアピールすべきと考えます。
 都内外で個人、法人スポンサーを募り、スポーツを通じ、世界じゅうの子どもたちの育ちと夢のサポートを目的とする基金をつくるぐらいの大きな夢があってもいいのではないかと考えます。
 私は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致、開催実現に向け、世界じゅうの子どもたちに大きな夢と希望を与えることを目指すべきと考えます。猪瀬知事のアイデアとリーダーシップに期待をし、所見を伺います。

○猪瀬知事 スポーツは、我々みんなに勇気や希望を与えてくれる、そういう前向きな力を持っています。
 僕自身も、昨年の二月二十六日の東京マラソンは、その一年前に家の周りを三百メートル走って、それからこつこつこつこつとやって、そして四十二・一九五にチャレンジして、初完走して、そういうことで、その感動というのはやっぱり、一人一人がそういう感動を持つことによって、子どもたちにもその感動を伝えられるし、子どもたちがそういう感動を持つことによって、我々が夢を与え、また子どもたちがそれを感じて、二〇二〇年にもし本当にオリンピック・パラリンピックが開かれたら、アスリートたちの、本当に目の当たりに世界一の人たちが集まる、これを見ることができる。あるいは、車いすテニスを初めいろんな人たちを見ることができる。こんなすばらしいことを子どもたちに残すことができるということはとても大事なことです。
 それから、先ほど消防少年団の話も出ましたが、消防少年団は三千人だったのを二倍の六千人にすると。これも、つまり、消防少年団も含めてお手伝いをするボランティアですね。そういうボランティアもまた、この東京オリンピック・パラリンピックに向けて、いろんな子どもたちがそのお手伝いに参加することによって、もちろん外国の人とも接しながら、いろんなお手伝いをして、それが必ずや、そういうボランティアの経験を含めてレガシーとして残る、間違いなく残る。その経験は非常に大きな財産になると思います。
 また、東日本大震災から復興した日本で開催する姿を世界に発信することで、困難に直面した世界じゅうの子どもたちに夢と希望を与えることにもつながります。
 その目標を実現するためには、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致を全力を挙げてかち取っていきたい、そういう決意であります。

○門脇副委員長 今村るか委員の発言は終わりました。(拍手)

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