予算特別委員会速記録第四号

○斉藤委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 中谷祐二委員の発言を許します。

○中谷委員 民主党の中谷祐二でございます。
 私からは、都市インフラの老朽化対策について、まずお伺いをいたしたいと思います。
 一日約百十万台の交通量を引き受ける首都高速道路、建設後五十年が経過をいたしております。各設備の老朽化は激しく、昨年十二月、中央高速道路におきまして笹子トンネルの天井崩落事故がございましたが、これを契機に首都高に対する不安を抱いた都民の方も多かったのではないでしょうか。
 首都高の歴史は、まさに東京オリンピック招致の熱気高まる中、昭和三十四年に首都高速道路公団法が施行され、昭和三十九年の東京オリンピックまでに四路線、三十三キロが開通をいたしました。現在は総延長三百十二キロ、路線の五割は築三十年以上でございます。二〇〇九年に確認をされた補修が必要な箇所は約九万七千件、一キロメートル当たり三百件補修が必要であると。現在は対応がなかなか追いつかないというのが状況であります。
 さきの猪瀬知事の施政方針表明の中で、こうしたインフラの老朽化対策に向けた一層の取り組みを国や高速道路会社へ求めていくとのことであり、圏央道、外環道、そしてこの首都高中央環状線の整備を進め、車の流れを変え、都心の交通量を減らし、首都高速の更新維持がしやすい環境を整えるとのことでありますが、以下、何点か東京都と首都高のかかわりに注目をしながら伺いたいと思います。
 まず、平成二十五年度東京都予算案によりますと、首都高速道路の整備に百八十九億円の予算が計上されております。都は、昭和三十四年の事業開始以降、これまで首都高速道路整備事業に対し、出資金や無利子の貸付金を含めまして、どれだけの投入をしてきたのか伺います。

○飯尾都市整備局長 まず、出資につきましては、昭和三十四年度からの総額は、平成二十三年度末時点で二千七百四十九億円でございます。また、無利子貸付につきましては、平成元年度から十九年度まで三千八百七十一億円を実施をいたしておりまして、昨年度末残高は千六百六十三億円となっております。

○中谷委員 トータルをしますと、約六千五百億円でございます。
 首都高の特徴は、当時、用地買収が比較的容易な公共用地、例えば道路であるとか河川の上を中心に建設をしてまいりました。急カーブ区間が多いのと、あとはきめ細かい維持管理が必要であります高架橋やトンネルといった構造が約九五%を占めるという特徴があります。
 首都高の大規模更新のあり方に関する調査研究会の提言によりますと、大規模更新が必要なエリアが約二十キロで、費用が六千八百五十億円、さらに修繕のエリアを加えますと、距離にして三十二キロメートル、トータル約九千億円程度の費用が必要であるとの試算が出ております。
 三環状道路の完成とともに、実は首都高速道路の役目というものも変わってくるのではないかと思います。特に中央環状線よりも内側の都心環状線の果たすべき役割というものは、将来的にはおのずと変わってくるものと思います。圏央道、外環道、そしてこの中央環状線が整備されれば、通過の交通車両が都心に入ることなく、迂回をしてそれぞれの目的地へ行けるわけであります。
 三百十二キロの首都高を、いわゆるスリム化していくことも視野に入れながら、五十年前は増加する一方でありました自動車交通量に実はインフラの整備が追いつかない状況でありましたが、五十年経過をして、若者は自動車離れが進み、そして人口減少社会となり、大規模インフラの将来のあり方そのものを再検討する時代に入っていると思います。
 厚生労働省の将来人口推計調べでは、二〇六〇年には日本の総人口は八千六百七十四万人であります。今よりも四千百三十二万人が減ると。税収が減る、そしてまた料金収入が減る、利用者が減る、縮小した社会での社会資本整備のあり方を再検討しなくてはなりません。
 国土交通省が設置をしました高速道路のあり方検討有識者委員会の取りまとめで、首都高の更新に係る費用の確保について、二つの提言がありました。更新や機能強化による橋梁などの耐用年数の伸びを精査した上で、現行の償還期間、これは四十五年でございますが、これを延長し、これに伴う費用を新たに償還期間の中に組み込むこと。二番目に、償還後において、高速道路の高いサービスレベルを維持するために、償還後の維持管理について継続的に高速道路の利用者に負担を求めることなど、幅広く検討すべきと提言がありました。
 この二つをもう少しかみ砕いて説明を申し上げるならば、八年前に小泉内閣の時代に道路公団を民営化し、首都高速道路株式会社にいたしました。株主構成は、四九%が国土交通大臣、東京都が二六%、以下、神奈川県、埼玉県、横浜市、川崎市、千葉県が株主であります。四十五年後に道路資産を償還する。償還するとは、すなわち金銭の債務を弁済することでありますが、四十五年後では、四十五年間では返し切れないから、改修工事をして資産価値を増したからという理由で返済期間を延ばすというのが、一番目の提言でありました。本来は、建設費を完済して、都などに道路資産を引き継ぎ、無料開放する予定であったはずであります。
 二番目の提言は、高速道路利用者に負担を求める。無料化どころか、料金を払い続け、さらに料金の値上げをしますよということであります。四十五年後に首都高速道路を無料化をするという約束のもとに固定資産税課税をしていないのに、それをほごにすることになります。整合性がとれない。
 四十五年間の、実は計画料金収入というものと、実績値の比較の表があります。平成十八年度の初年度のみ、実は計画値が実績値を上回っておりますが、以降六年間は実績値が計画値を下回る、つまりは当初の予定ほど料金収入が上がっていないというのが実態であります。そしてまた、料金のピークを平成四十二年、今から十七年後に料金のピークを設定しているということ。これは、自動車量も当然減少し、値上げをするしか料金収入を上げるには手法がないといわれても仕方のないことだと思います。
 道路機構とこの首都高速道路が結んでいる協定というのは、五年に一回見直しがあります。したがって、交通量が少ないからといってすぐに料金の見直しをできるという状況にないということも申し上げておきます。
 本年一月二十八日に、首都高速道路株式会社の社長であります菅原社長、東京都の元副知事でございますが、老朽化が進む首都高の大規模な建てかえや修繕を料金収入だけでもし賄うとすれば、一〇%程度の値上げが必要であるとの見通しを示しました。八年前の民営化時に、二〇五〇年までには債務を完済するといったその返済期間の延長もやむなしと主張しております。
 九千億といわれる改修、更新費用の財源を一体どこに求めていくのか。第二位の株主でもある東京都の立場としての見解を伺います。

○飯尾都市整備局長 首都高速道路株式会社は、学識経験者から成る調査研究委員会から受けた提言を踏まえまして、大規模更新、修繕の内容、規模等について、現在社内検討を進めていると聞いております。都としては、同社の検討の推移を見ながら、国など関係機関と連携し、適切に対応してまいります。

○中谷委員 確かに現在は社内検討の最中でありますけれども、東京都の立場は第二位の株主でもあります。東京都もぜひしっかりと連携をして、適切に対応していただきたいと思います。
 四十五年後の料金無料化をほごにして、実は今、年間約二千五百億円程度の首都高の料金収入がありますが、それを改修や更新の費用にもし充てることになれば、八年前に地方税法を改正して、首都高速の道路資産に固定資産税を課税しなくてもよいとした前提条件が崩れることになります。
 課税当局としては、仮に首都高の道路資産に、今、課税をするならば、一体幾らの固定資産税を徴収することができるのか、そしてまたその試算をしているのか、お伺いをいたします。

○新田主税局長 首都高速道路株式会社が管理します高速道路用の資産につきましては、地方税法により、公共の用に供する道路として従前から固定資産税が非課税とされておりますことから、課税した場合の試算は行っておりません。

○中谷委員 平成十四年の民営化推進委員会で、固定資産税の税額に係る試算というものがございました。当時、首都高速道路に係る土地や償却資産の課税標準額の合計は、二兆二千七百九十五億円であります。固定資産税額は三百十九億円。しかし、国鉄民営化の際にJRに適用した特例を講じますと、三十八億円という固定資産税になります。
 平成十四年当時の首都高の総延長は二百八十一キロでありました。その後、地下化構造をした中央環状線の開通などもあり、平成二十四年三月末では総延長が三百十二キロとなりました。現在、道路機構から首都高速道路が借り受けている構築物や土地の道路資産の額は、合計五兆円を超えております。民営化当時と同じように、これを単純に比較して固定資産税の特例を講じても、八十億円という固定資産税課税という数字が推計できるわけであります。
 国鉄がJR民営化したときにも、実は固定資産税を課税をいたしました。都はいわゆる駅ナカ課税についても、今、さらに見直しを進めているところでございます。
 固定資産税は、都にとってみると、毎年一兆二千億円程度税収が上がる、非常にかたい税金であります。租税の基本原則は、公平の原則にあると思います。課税免除は、公益上その他の事由により必要がある場合であって、公平の原則を害することによる弊害よりも課税を免除した方が社会的な公正性が保たれるのであれば、初めて課税免除とするべきであります。
 平成二十三年の第二回の定例会におきまして、当時の主税局長に伺いましたときの答弁は、今後、現行のスキームや道路資産の使用状況などに大きな変化が生じる場合、固定資産税の非課税措置についても改めて検討するべきと考えておりますとの答弁がありました。
 改修、更新費用に九千億円、もし地下化構造を進めるようなことがあれば三兆円とも四兆円ともいわれる工事費の原資を料金収入に求めるのであれば、仮に、公共の用に供する道路であることには変わりはありませんけれども、無料化はせずに償還期間を延長、さらには料金値上げとなれば、主税局長がいう現行のスキームや道路資産の使用状況などに大きな変化が生じる場合に該当するのではありませんでしょうか。
 改めてお伺いをいたしますが、首都高速道路資産への固定資産税課税についての都としての検討はいかがか、お伺いをいたします。

○新田主税局長 委員ご案内のとおり、首都高速道路株式会社が管理する道路資産につきましては、料金の水準が建設費等から見て適正な水準で、一般の有料道路と異なり収益事業と見るべきではないこと、また、料金徴収期間が定められていることから、公共の用に供する道路に該当し、固定資産税が非課税とされております。
 この非課税措置の根拠法でございます日本道路公団等民営化関係法施行法では、その附則第二条におきまして、政府は、この法律の施行後十年以内に、日本道路公団等民営化関係法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとされており、都といたしましては、その政府による検討結果を踏まえて適切に対応してまいります。

○中谷委員 二〇一五年には、首都高の中央環状品川線が開通をします。そして二〇二〇年には、東京オリンピック開催、それまでに外環道の関越練馬ジャンクションから東名世田谷インターの区間が開通予定であります。
 課税をするには、大義とタイミングが必要であると考えます。平成十六年の国会で地方税法を改正し、固定資産税を課することができないとしている。この非課税の期間は、今、局長から説明がありましたとおり、十年間、二〇一五年、平成二十七年度までであります。都内の都市計画道路の事業執行率は約六〇%、事業の優先順位を考慮すれば、首都高をさらに広げるよりも、手をつけるべき都市計画道路整備事業は数多くあると思われます。
 知事は、首都高速道路公団の時代から、その民営化に大きくかかわってまいりました。そして、副知事の時代も、作家の立場で、首都高速の再生に関する有識者会議でも発言をされております。首都直下地震に備えること、また首都高速の老朽化対策を考えなければならないのはそのとおりだが、メンテナンスを含めて料金を上げないとしたら、財源は税金しかなく、その税をどこから持ってくるのかということになる、首都高速の交通量についての資料を見れば、六割が都心とは関係のない通過交通で、これは外環道ができればかなり減ってくると、みずからのブログでも発言をされております。
 高速道路の料金体系の再構築については、一昨日、知事答弁のとおりでございます。道路の決着というテーマで講演をされたときの議事録も読ませていただきました。
 四公団を民営化することで、半期の決算で七百億円近い利益が出たこと。納税額は三百億円以上。日本道路公団だけで国から三千億円もの税金が、一般会計から利子補給金という名目で税金投入されていたこと。高速道路の非常用電話が一機二百五十万円もしたこと。八年前の民営化以来、郵便局のお金でインフラ整備をする時代は完全に終わったこと。知事は、電力改革、周産期医療改革など東京モデルを打ち出し、国を動かしていくのが使命だとも発言をされております。
 ここまで首都高速道路に関しての東京都とのかかわりや大規模更新の際の財源問題、さらには道路資産に関する固定資産税課税に関する課題について質疑をしてまいりました。
 今までのやりとりをお聞きになって、首都高速道路公団時代より、その民営化に大きくかかわってきた猪瀬知事に、改めて老朽化対策が喫緊の課題である首都高のあるべき姿と東京都としてどのように向き合っていくのか、見解をお伺いをいたします。

○猪瀬知事 中谷委員、よく勉強されていますが、「道路の権力」と「道路の決着」、ちゃんと読みましたか。本に書いてあるから詳しくちゃんと、ブログとかじゃなくて読んでもらわないと、あのプロセスは大変だったんです。四十五年で返済というのを区切りをつけたのは、そうでないと、国債の償還は建設国債六十年ですから、六十年、あるいはもっともっと幾らでも伸びていくという形で、国の一般財源から三千億円投入して、そしてずるずるずるずるやっていくという形だったわけです。それを四十五と切ったわけね。これは大変だったんですよ。まあ、その話はもういいでしょう。
 それで、今回二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックありますけれども、招致をしたいんですが、一九六四年に首都高速ができて、この一九六四年にできたときに一号羽田線が一番真っ先にできているわけですけれども、これが老朽化している。ただ、できてから十年ぐらい、それでもう渋滞が始まってますからね。
 あと「二〇〇一年宇宙の旅」という映画ありますけど、スタンリー・キューブリックの。タルコフスキーの「惑星ソラリス」というの見てますか--見ていない。(中谷委員「知事の資料は見ました」と呼ぶ)見た方がいいんだよ、そういうの。ある程度歴史を知らないとだめ。
 タルコフスキーの「惑星ソラリス」の中に出てくる首都高の姿というのは、要するに、未来の世界なんですよ。見た--委員長見ているんだ、偉いな。
 いや、ある程度、これ見ておく必要あるの。未来の都市の姿を描いてるんです。それはつまり、そのときに東京は未来だったわけ、世界の都市から見ると。今、中谷委員おっしゃられたように、九五%は橋梁とトンネルでできている。これはもうモダンワールドなんです。それを最初に東京が実現してるの。
 ただ、その流れで、過程で外環ができなかったりとか、湾岸線はできたけれども、中央環状がなかなかできなかったりとか、そういう形で、最初はよかったけれども、あとの環状道路がうまくいかないがために、都心環状に全部集中すると。こういう状態になって、もう一九七〇年代の初めごろには、都心環状はもうすごい渋滞になっているんです。
 そういうことで、大型車両、つまり当時はコンテナ車なんてないですからね。今コンテナ六メートル、あるいは十二メートルのコンテナが多いですから。そういうものが走っていない状況の中で、今は外環もなく環状道路が整備されていない中でコンテナ車が走ったりとか、ただ経年劣化というだけじゃなくて、車両の大型化、そういうものを含めて老朽化対策が必要で、したがって、三環状でとにかく流して、都心に入るものをどれだけ減らしていくか。
 それからあとは中央環状品川線が湾岸線につながることによって大分変わってきます。ただ、中央環状品川線が湾岸につながるのに、今ちょっと水が出たりして少しおくれちゃう。一刻も早くできれば、一号羽田線の工事もやりやすくなるわけです。
 そういうことで、財政規律を持ち込んだということが一番大事なんです。その財政規律を前提にして、どういうふうな老朽化対策をするかと。これは首都高が会社経営として考える。当然会社経営として考えるんだけれども、それだけではできない場合も考えられるが、ただ、この間の民主党政権みたいに何でもすぐ無料とかやっちゃうと--時の政権ごとにいろんなことをいい出すんですよ。それはやっちゃいけないんです。料金体系に手を突っ込まないでほしい。五十年、四十五年でとにかく切ってある。もちろん、四十五年以降は無料ということじゃないんです。要するに、今までのものを清算するのに四十五年かかって経営して清算するということなの。その後、維持メンテナンス費はかかりますから、これは当然。それは、受益者負担できちんとやるということになります。
 そういうことで、有料、無料といういい方も、いろんないい方、雑駁になっているところあるんだけれども、普通に考えていけばいいんで、まずは四十五年で返済して、返済するという原則を崩さない中できちんと老朽化対策をしていくと。
 以上です。

○中谷委員 ありがとうございます。四十五年間で返済をする。その財政規律を持ち込んだことに意義があるんだという知事のお話でございます。
 ただ、四十五年間では間違いなくこの返済計画は崩れるものだと私は認識をしております。
 平成四十二年に料金収入のピークが三千四百七億円で想定をされております。人口が減り、車が減り、そうした状況下で、もし三千四百七億円の料金収入を上げるとしたら、料金を値上げをするしかありません。
 昨年の一月一日から距離別料金制度を導入して、これは実質値上げになりました。首都高の料金収入は二百億円程度ふえる結果となりました。もし、この四十二年に本当に三千四百七億円という料金収入が上がるという、それだけの交通需要が見込めているというのであれば、その根拠を本来は首都高であり、東京都からも説明を受けたいと思います。
 私は、この四十五年間の計画表は確かにありますけれども、これはなかなか絵にかいたもち、実際は四十五年間では償還し切れないというのが持論としてあることを申し上げておきます。
 続いて、都市インフラの老朽化に関してでありますが、公営企業であります水道事業についてお伺いをいたします。
 都民の安全でおいしい水へのニーズということで高度浄水施設を建設する一方で、高度経済成長期につくった施設の老朽化が進んでおります。そしてまた、東日本大震災を契機に想定される大規模震災などへの対応が求められております。
 水道局の財政状況を見ますと、累積資金収支は平成十一年度末で九十二億円程度ありましたが、平成二十四年度末には五千四百万円と見込まれており、底をつく状況でもあります。料金収入も平成十七年に引き下げて以来、徐々に減り、年間二千九百億円程度で推移をいたしております。
 消費税の増税も本年秋には景気動向を見て、平成二十六年四月からの増税に踏み切るかどうかが判断をされますが、水道料金収入が減収傾向にある中、将来のための投資でもある施設整備の財源などを考慮すると、消費税増税のタイミングで料金の見直しが検討されるのかどうか。また、消費税率の引き上げに対して、どのように対応するのか、あわせて見解をお伺いいたします。

○増子水道局長 水道局では、おおむね三カ年程度の計画期間において必要となる事業を確実に行うことができるよう財政計画を策定し、必要に応じて料金を改定しております。
 今般策定した経営プランにおきましては、平成二十五年度から二十七年度までの三カ年の財政収支が均衡していることから、料金改定を現段階では見込んでおりません。
 消費税につきましては、昨年八月に改正法が成立したものの、いまだ実施に当たっての詳細が国から示されていないため、現行の消費税率で財政計画を策定しております。
 今後、国の動向を踏まえ、法令などに基づき適切に対応してまいります。

○中谷委員 二十七年度までの経営プランでは消費税増税を組み込んでいないとのことでございます。純利益も平成十九年には年間六百八十九億円程度ありましたけれども、平成二十三年度以降は三百三億円となり、近年の料金収入の状況や将来の施設整備の財源などを考慮すると、以前ほどの余裕がありません。
 消費税増税時に増税分の料金改定がなされるものと推察をいたしますが、国の対応を踏まえて対応するのもよろしいのでありますが、都の内部での検討はしっかりと早い時期から検討されたいと申し上げておきます。
 続きまして、大規模浄水場の更新と財源について伺います。
 平成二十五年度には、四半世紀をかけて進めてきた高度浄水施設の整備が完了いたします。
 大規模浄水場は、平成三十年代から集中的に更新時期を迎えます。更新は、試算では全体で約一兆円もの費用がかかる大事業でもあります。
 水道局では、更新のための代替施設整備を目的に、平成十九年度に大規模浄水場更新積立金を創設し、毎年五十億円の積み立てを十年間計画で行っていくとのことでありますが、全体の更新費を賄うには到底足りないのであります。自己財源の確保は評価ができますが。
 そこで、大規模浄水場更新について、国に財源措置を求めていくなど財源をどのようにして確保していくのか見解をお伺いするとともに、更新の手順、代替施設の整備についてもあわせてお伺いをいたします。

○増子水道局長 大規模浄水場などの施設更新による財政需要に備え、経営プランでもお示ししているとおり、更新時期の分散化やコスト縮減を図るとともに、引き続き経営努力を行いながら、企業債の発行抑制による有利子負債の圧縮、更新代替浄水施設整備のための積み立てなどに取り組んでおります。
 なお、国に対しては、引き続き水道施設の再構築を対象とする財政措置を講ずるよう要望を行ってまいります。
 また、施設更新につきましても、経営プランでお示ししているとおり、大規模浄水場の更新時は、工事により浄水施設能力が低下するため、あらかじめ代替となる浄水施設を整備する必要がございます。
 このため、境浄水場と三郷浄水場に代替浄水施設を整備することとしており、これらの施設が完成した後、東村山浄水場と金町浄水場の更新工事に着手いたします。

○中谷委員 現行の国の水道関係補助制度では、更新事業は対象とされておりません。二〇二四年以降に更新需要が集中すると予想されておりますけれども、それに先立って浄水場の代替施設を先行的に整備するための投資を今行っていることは評価ができるところでございます。
 しかし、これも水需要の全体量と地域的な需要の偏在も視野に入れて更新をしていくことが極めて重要であると思います。
 次に、下水道管の再構築についてお伺いをいたします。
 区部の道路の下には約一万六千キロメートルもの下水管が張りめぐらされております。耐用年数は五十年、平成十年から十二年間のこの三年間、実は年間八百件ほどの道路陥没の件数がありました。しかし、その後、再構築整備を進めると、平成二十二年から二十四年の三年間には年間四百件程度の道路陥没の件数となりました。
 そこで、下水道管の再構築の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○小川下水道局長 高度成長期に集中整備した下水道管の老朽化が進んでおります。このため、区部を整備年代により三つのエリアに区分し、その中で整備年代の古い都心部を第一期再構築エリアとして下水道普及概成直後の平成七年度から順次再構築を進めております。
 対策に当たりましては、予防保全型の維持管理による延命化を図りつつ、道路を掘らずに下水を流したままで管の内側から補強する更生工法をこれまで以上に活用するなど、計画的に再構築を進めてまいります。
 これにより、これまでと同程度の事業費で整備ペースを約二倍にアップし、整備年代の古い都心部について、平成四十一年度までに完了を目指します。

○中谷委員 下水を処理する過程では、実は多くの電気エネルギーを消費いたします。
 福島第一原発発電所の事故により、電力の調達コストが上がっております。温室効果ガス削減の観点からも省エネ、再生可能エネルギーの活用は、なお一層の取り組みが求められているところでもあります。
 下水汚泥の焼却による温室効果ガス排出量は、年間で約八十万トンCO2、これは東京都庁全体の排出量の約四割を占めているとのご報告を受けておりますが、下水を処理する過程で大量の下水汚泥が発生をしますけれども、これは実は再生可能な生物由来の有機性のエネルギーであるバイオマスに位置づけることができます。
 バイオマスエネルギーは、二酸化炭素の排出量が極めて少ない自然エネルギーでありまして、今日では新たな各種技術による活用が可能になり、化石燃料にかわる新しいエネルギー源としての期待も大きいところであります。
 島根県の出雲市においては、バイオマスである下水汚泥を原料に水素を製造するプラントによる実証実験が始まっているほか、被災地である岩手県宮古市では、被災復興の一環として間伐材、木質バイオマスでありますが、間伐材から水素、電気、熱を生み出すプラントを建設するという画期的なプロジェクトも立ち上がっているところであります。
 行く行くは下水汚泥などの活用も検討していくとのことでありますが、こうした新たな技術の活用に当たっては、民間企業などのすぐれた技術を取り入れつつ開発を進めていくことが不可欠だと考えますが、下水道局では、下水汚泥をバイオマスとしてどのように利用しているのか、また、バイオマス利用などの新技術の開発に当たり、民間の技術をどのように活用しているのか、お伺いいたします。

○小川下水道局長 下水汚泥のバイオマス利用といたしましては、汚泥の消化ガスを用いた発電事業や汚泥を低酸素状態で蒸し焼きにして発生するガスを発電等に使う汚泥ガス化炉などがございます。
 このようなバイオマス利用など新技術の開発に当たりましては、さまざまな民間企業等と連携し、企業の持つ最先端技術の活用を図るとともに、局の持つノウハウと融合させながら技術開発を進めております。
 具体的には、下水道局が課題を提示し、共同研究者を公募したり、民間企業が入手しにくい下水や汚泥などの実験材料や施設、場所を当局が提供し、共同で研究を行う場合などがございます。
 今後とも、開発ニーズの積極的な発信などにより、民間企業の意欲を高めつつ、すぐれた技術の活用を図ってまいります。

○中谷委員 バイオマス水素というのが究極のエネルギー源であるといわれているのは、水素は燃やせば水を生成するわけであります。
 ぜひとも下水道局におかれては、民間企業と共同して行う技術開発をさらに推進をしていただき、バイオマスから水素を生み出す技術の実用化に向けてご尽力をいただきますようにお願いを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 被災地の取り組みでも申し上げたとおり、バイオマス水素の将来性については大いに期待されているところであります。都においては、以前、水素の燃料電池の研究を国からの委託事業という形で行ったと認識をしております。その後、水素ガスの安全性や操作性、さらに技術革新が進み、民間の自動車メーカーでは、二〇一五年までに水素ガスの燃料電池自動車を市販するところまで技術革新が進んでまいりました。
 水素燃料電池自動車は、環境面でのメリットはもちろんでありますが、仮に、災害時にその発電能力を利用するならば、例えば、バスのような発電容量の大きいものを避難所に配置をして避難所での非常用電源確保としても有用であります。
 そこで、環境局にお尋ねいたしますが、燃料電池自動車の普及を積極的に進めるべきと考えておりますが、現在のところの燃料電池自動車に対する局の認識をお伺いいたします。

○大野環境局長 燃料電池自動車は、燃料の水素と空気中の酸素によりまして発電した電気で走行するものでございまして、走行時に排出ガスやCO2は一切発生しないクリーンな自動車でございます。
 また、燃料電池を使った乗用車は、一度の水素燃料の充てんでガソリン車並みの走行距離を確保できることに加え、災害発生時に家庭への電力供給に用いれば、電気自動車の三倍程度、一週間程度の電気を供給できることになります。燃料電池バスの発電能力はさらに大きいため、避難所に配備すれば数日間電気を供給できます。
 このように、二〇一五年以降に市場導入が見込まれている燃料電池自動車は、低炭素型の交通手段としてだけでなく、災害時における非常用の分散型電源装置としても期待されておりまして、今後、普及を進めていくべきものと考えております。

○中谷委員 ぜひとも非常用分散型電気エネルギーとしての活用を都としても見出していただきたいと思うところでございます。
 最後に、知的財産の件について質問をいたします。
 従来、我が国の企業は技術力で勝負をしてきましたが、技術力のみでは勝てない時代になりました。企業の競争力は、技術力に加えて戦略的なビジネスモデルの構想力が決め手となり、知的財産はその要素として大変重要性が高まっているところでございます。
 TPPとの関連ですが、交渉分野の一つとして知的財産条項も含まれております。二〇一一年時点で我が国の技術貿易収支は二兆円の黒字であります。特許権や意匠権、著作権、そういったものが実施許諾などの取引で二兆円の黒字、そして、これはまだまだ増額の余地があるものと認識しております。
 ビジネス展開によって得た利益を我が国に還元することは極めて有益であります。水道や下水道、そして東京メトロといった海外に進出をする、しっかりサポートするための知財は大変重要であります。
 TPPの問題など、知的財産権の枠組みに関しては、本来は国が行うべき事項ではありますが、特許、実用新案、意匠、商標などは特許庁、著作権は文化庁、不正競争防止法は経産省、まさに縦割り、その仕組みに横ぐしを刺すのも東京都の役目であると認識しております。
 中小企業において、より身近な存在である都に、企業現場のニーズに即したサポート機能を十分に発揮することが求められております。
 知的財産に関する競争が激しくなる中、中小企業の知財部門ともいわれる都の知的財産総合センターにおける今後の取り組みについてお伺いをし、私の質問を終えます。

○中西産業労働局長 東京都知的財産総合センターでは、中小企業の海外での知的財産の権利保護等に関する相談を行うとともに、各種セミナーも開催し、幅広く情報提供を行っております。
 近年、相談対象となる国が多様となっていることから、各国の制度に精通した専門家を配置し、きめ細かい対応を行っております。
 さらに、海外での知的財産権の取得や保護を推進するため、外国特許出願等の経費の助成を実施しており、新年度は海外での知的財産のトラブルに対処するため、実用新案権の取得経費を助成対象に追加いたします。
 こうした取り組みを展開して、海外における中小企業の知的財産の保護を支援してまいります。

○斉藤委員長 以上で、中谷祐二委員の発言は終わりました。(拍手)

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