予算特別委員会速記録第三号

○村上副委員長 大山とも子委員の発言を許します。
   〔村上副委員長退席、委員長着席〕

○大山委員 杉並区だけでなく、大田区、足立区、渋谷区などでも、保護者が認可保育園増設を求めて不服申請をしました。認可保育園に入れない待機児がふえているもとで、認証保育所や小規模保育所の補完的役割を否定するものではありません。
 しかし、子どもたちが、質のよい保育を受け、豊かに育ってほしいという思いは、保護者だけでなく、社会共通の願いではないでしょうか。
 私は知事に、都民の訴えに真摯に耳を傾け、認可保育園の増設について全力を尽くしていただきたいので質疑をいたします。
 既に明らかにしましたけれども、私たちの調査では、十八区二十四市六町村合計で、ことし四月からの入園のため、認可保育園に五万七千六百五十四人の申し込みがあり、そのうち、入れなかった子は二万二千七十三人でした。区部では、四割以上の子どもたちが認可保育園に入れなかったんです。中には、七割以上が認可保育園に入れなかった区もあります。多摩地域でも、入所決定率は約七二%でした。
 伺いますけれども、知事は、保護者が子どもを認可保育園に入園させたいと要望している理由をどう認識していますか。

○猪瀬知事 保護者は、保育園の保育理念や保育内容、保育環境などのほか、通勤時間、勤務形態に合った開所時間、自宅からの距離、保育料、兄弟で同じ保育園に入りたいなど、さまざまな要素を考慮して保育サービスを選択しています。
 東京は、バスや自転車もありますが、電車通勤を中心に組み立てられた、そういうライフスタイルになっておりますから、そういう意味で、保護者の保育園に対する、自分たちが一番やりやすい方法を選んでいくと。その結果、認可保育所に入りたいという保護者もいれば、認証保育所の方が自分にとっては便利だなと、そういう保護者もいますので、大都市特有の保育ニーズには、認可保育所だけでは必ずしも対応できないというふうに思っています。
 それから、認可保育所を余りつくらないようなことをおっしゃっているけれども、二〇〇九年から二〇一二年までの三年間で、百五十施設をつくって一万七千人ふえているんですね。それから、さらにこの一年で、この四月で、六十一施設つくって五千七百人ふやしているんですね。はい。

○大山委員 保護者は、今、猪瀬知事が答弁されたように、いろいろなことを考慮して、勘案して、それで選択したからこそ認可保育園を望んでいるわけです。東京都社会福祉協議会の調査では、利用希望者の半数が、認可、認証保育所を並行して申し込みつつ、最も希望する保育サービスは認可保育所が八割となっています。各自治体は、認可外の保育への保育料補助を行っていますけれども、保護者の圧倒的多数は認可保育園を求めているんです。
 保護者は、子どもが生まれる前から、認可保育園や認証保育所など、いろいろ見て回ります。認可保育園は、乳幼児が一日の大半の時間を過ごす場であることを考えてつくってありますから、日当たりもなるべくいいところで、園庭もあるし、ベランダもあるし、部屋もそれなりの広さがあります。登園してきたゼロ歳児を保護者から受け入れるための部屋もあります。
 ですからそこでは、保育士や保健師さんなどと保護者も相談したり、いろいろと話したりできるわけです。保護者は、自分の子どもだけでなく、どの子も豊かに育ってほしいと願っているから認可保育園を求めているんです。
 あるお母さんは、安心して預けられる場所がなければ、働き続けることも困難になりますと切実な思いを語ってくれました。
 知事は、記者会見のとき、保育の質を落とさないことが大切といっていましたが、知事のいう保育の質とは、どういうことを指しているんですか。

○猪瀬知事 質の高いサービスというのは、多様な利用者のニーズに的確にこたえる利用者満足度の高いサービスということです。保育サービスでも同じでありますが、質の高い保育サービスとは、保育に携わる者の知識や技術を裏打ちに、事業者が保育内容に創意工夫を凝らし、利用者ニーズにこたえるサービスのことであります。
 皆さんは、まあ大山委員は、いつもおっしゃるのは、保育士の数を持ち出して認可保育所がよいと主張しますが、例えば、保育ママは、子育て経験の豊富な方で研修を受けてお子さんを預かっていますし、それから、認証保育所でも、保育士さんがメーンですが、看護師や保健師さん、あるいは子育て経験豊富な方など、あるいは他の職業でプロであった人など、そういう多様な人材を活用しています。
 保育内容でも、認証保育所は、英語教育やダンスや音楽や工作や、いろんな各園が特色を競い合いながら魅力的なプログラムを用意しております。でも、ここが一番大事なんだが、全施設がゼロ歳児保育と延長保育に取り組んでいます、認証保育園ではね。
 認可保育園だけが保育の担い手ではありません。いいかげん、認可保育所だけがよくて、認可保育以外は全部問題だというふうな不毛な議論では、待機児童問題は解決しません。利用者のニーズにこたえ、満足度が高いかどうかで判断してほしい、そういうふうに思います。
 それから、小規模保育のスマ保もつくりますが、これも千五百万円の開所資金を出して、家賃は五百万円までを上限にして二分の一を補助しますから、保育サービスを一刻も早く待っている保護者にこたえる必要が一番重要だというふうに思っております。

○大山委員 知事ね、今、知事が答弁した保育の質なるものは、国際的にも、国内的にも、長年の保育の質に関する研究の知見からいえば、もう論外ですよ。国際的にも、日本でも、保育の質を支えるものとして共通の認識になっているのは、一つは、施設の面積やどのような設備になっているかなどの物理的環境、二つ目は、子どもに対する保育者の配置や年齢に応じた集団の規模など、三つ目は保育内容、四つ目は、保育者の質、専門性となっています。これらを充実させていくことが、保育の質を向上させていくことになります。
 先ほど知事は、利用者の満足度が高いサービス、それがいいんだといっていましたけれども、それは第三者評価のことをおっしゃっているんですね。第三者評価の評価基準からは、保育の条件に関する調査項目は全く除外されているんです。第三者評価では、質は事業者の自己努力で改善可能な範囲の内容に限定されています。つまり第三者評価は保育条件に関する規制緩和、それは、とりもなおさず保育サービスの一層のコストダウンにつながるわけですけれども、これと初めから抱き合わせになっているんですよ。
 私たちは、先ほどもいいましたけれども、認証保育所や、そして小規模保育所の補完的役割を否定しているわけではありません。そして、先ほどからゼロ歳児保育や延長保育のことをいっていますけれども、認可保育所も、ゼロ歳児保育や延長保育に積極的に取り組んでいますよ。ゼロ歳児保育は、実施する条件のある認可保育園はほとんどが行っており、実施率は約八割です。未実施の認可保育園の多くは、ゼロ歳児保育の制度がなかった時代につくられたために、ゼロ歳児室がないんです。都として、条件整備のための改築への支援を強化すれば、さらに実施率が上がるんです。
 また、延長保育についても、保育士確保が困難な中でも多くの認可園が努力をして八五%が行っています。保育士がきちんとローテーションを組めるよう人材配置の支援を国や都が実施すれば、延長保育も進むんです。
 認証保育所は、年齢別の部屋がないところや職員の休憩室がないことも少なくありません。ゼロ歳児保育や十三時間保育は全施設で実施していますが、しっかりした形で行うには、施設の面でも、人員配置でも、基準も低く運営補助も少な過ぎるんです。中身を充実させていくことこそ必要です。(発言する者あり)まず、保育の質を支えるもの、第一番、施設の面積などの問題です。(発言する者あり)委員長、とめてください。

○斉藤委員長 静粛にお願いします。
 質問者は質問を続けてください。
   〔発言する者あり〕

○斉藤委員長 静粛にお願いします。

○大山委員 知事は、代表質問の答弁で、認証保育所の施設基準は、認可保育所と同等だといいました。しかし、実際の広さの違いは明らかです。
 先ほど配らせていただいたプリントは、二〇一〇年十二月二十一日の東京都児童福祉審議会専門部会に提出された資料です。これを見ていただきますと一目瞭然。認証保育所のゼロ歳児と一歳児は、一人当たり三・三平米未満が五一・九%ですから、過半数を占めています。一方、認可保育園のゼロ歳児室は、一人当たり五・七五平米が平均です。一人当たりの面積が、ゼロ歳児室で五平米以上あるところが八二・四%ですから大多数です。
 知事、伺いますけれども、認可保育園の施設面積の方が、実際ははるかに充実しているという事実をどう認識していますか。

○猪瀬知事 今の面積の話、そのときにまず大事なことは、昨年の四月一日現在の入所児童に占めるゼロ歳児の割合は、認可保育所は七・五%にすぎませんが、これに対して認証保育所は一七・〇%で二倍以上になっています。
 僕自身も子育ての経験があるが、なかなか認可はゼロ歳児を入れてくれません。認証保育所の乳児室、匍匐室の面積基準は認可保育所と同等であるが、これは大事なんだ、年度途中で発生する保育ニーズに柔軟に対応するため、まさに今の数字は弾力的な運用を可能にしていることを示しているんで、しゃくし定規にやったらはね返しちゃうんです、全部。
 だからお話の資料は、平成二十一年十月時点の認証保育所における、まさにこの弾力的な運用の実施状況をあらわしたものであって、認証保育所が、転居や育児休業からの復帰など、まさに都民の保育ニーズにこたえていることを示しているわけです。
 それともう一つは、普通に考えてみて、ワンルームマンションで、東京は駅に少し離れていても七、八万は最低するわけで、皆さんお住まいで、例えば三DKで六十平米でも十五万とか、そのくらいするわけですよ。そういう都心で非常に家賃が高い、しかも電車通勤が大変なときに、しゃくし定規な面積基準だけいっていて、弾力的な運用をしなければ、基準はそれでいいが弾力的にできなければ、はじき飛ばしちゃったらだめなんですよ。五平米あるというのは、逆に入れなかった人が不公平になるわけであって、そこが問題になるんです。
 だから、いかに待機児童を減らしていくかという弾力的運用をどうするかという問題を考えないと、おっしゃるようなことでやっていたら、いつまでたっても待機児童は減りませんよ。
 以上。

○大山委員 知事ね、今、保育の質を支える要素の一つである一人当たりの面積について聞いたんです。結局、知事がいっているのは、弾力的な運用をしているからたくさん入ってるんだ、つまり子どもたちを詰め込んだ方がいいんだ、そういうことですよね。認可保育園の面積がゼロ歳児室で五平米以上のところが八割を超えているのは、かつてあった都基準が、ゼロ歳児は一人当たり五平米以上だったからです。
 そして、今でも多くの自治体は、子どもたちの成長発達や安全を保障するために、その基準で努力しているからなんです。これが多くの保護者のニーズ、都民のニーズ、保育関係者や自治体のニーズなんです。このニーズにこたえることこそ知事に求められていることです。
 保育園は、乳幼児という生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、一日の大半の時間を過ごす重要な場所です。同じゼロ歳児や一歳児でも、一人一人の成長段階はさまざまですし、それぞれに応じた働きかけが必要です。
 国の社会保障審議会が、全国社会福祉協議会に委託して、機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業を行いました。科学的な根拠がないとされてきた子ども一人当たり面積の算定を試みて数値を導き出した点で非常に重要です。
 研究者はもちろん、保育園の園長、保護者の代表、一級建築士、自治体の担当者などが集団的に行った研究です。その中で、諸外国の基準なども比べています。それがこのグラフです。二歳児と三歳以上児は、調査した十四自治体、ストックホルム、イヴリン県、それからパリだとかいろいろありますけれども、十四の自治体のうち最下位です。
 知事に伺いますけれども、知事は、アクションプログラムで、少子高齢社会における都市モデルを構築し、世界に範を示す、こう述べていますけれども、世界的に見たら、日本の面積基準は、世界に範たるどころか、非常に低いといわなければなりません。どう認識しているんですか。

○猪瀬知事 今のそれは、もう一つ、家賃と並べないと意味ないですよ。そんなものは当たり前じゃない、統計なんてそういうものだから。北海道と東京とを比べたってしようがない。外国だって、広い場所と、こことを比べたってしようがない。ニューヨークの都心とアメリカの中西部とを比べたってしようがない。そういうふうな、つまり基本的な統計の根拠がなくてしゃべったってしようがない、こんなもの。

○大山委員 パリだってあるんですよ。都市の比較です。
 東京の子どもたちは、そうしたら、詰め込んでもいい、保育条件悪いところでもいい、保育の質が悪いところでもいい、そういうことじゃないですか。この研究が導き出した結果は、少なくても現行の最低水準以上であることが必要だということなんですよ。
 昨年、保育園の設備運営基準を都条例にするとき、待機児が多い自治体については、ゼロ歳児一人当たり三・三平米の基準から二・五平米に基準を緩和することが大問題になりました。保育関係者はもちろんのこと、実施主体である二十三区長会の代表も反対、特別区議会議長会も、規制緩和による詰め込みでは真の待機児解消にはならないと、国と都に要望しました。子どもたちの発達を保障するために、保育の質を守ることが必要だということが共通した意見なんです。
 東京都と同じに居室面積緩和の特例対象とされた自治体でも、さいたま市は、乳児五平米、二歳未満児三・三平米、川崎市も、横浜市も三・三平米で条例化しました。緩和基準なんか設けていません。待機児が集中している政令市が、詰め込みにつながる狭い居室基準を避け、保育の質や児童の安全面から国基準以上を定めたわけです。知事は、このこともしっかり認識していただきたいと思います。
 面積だけでなく、保育士の配置も、日本は諸外国と比べれば非常に低いレベルです。例えば、イギリスは、ゼロ歳児から二歳未満児は三対一です。二歳、三歳児は四対一です。また諸外国で重視されているのは、年齢に応じた子ども集団の人数にすることが、成長発達、情緒の安定には欠かせないということです。このことの重要性は、多くの研究で明らかにされています。
 東京都に求められていることは、保育の量と質、両方を拡充していくための条件整備をすることです。指摘しておきます。
 知事は、東京は土地が高いとか、土地がないといいますけれども、さっきもおっしゃっていましたけれども、この三年間で、認可保育園を都内で一万七千五百人分、保育園の数でいうと百五十カ所ふやせたんです。やる気になればできるんですよ。東京都社会福祉協議会が、二〇一〇年に行った調査では、認可保育所による受け入れ数の拡大に九割の区市町村が引き続き取り組もうとしています。実際、二〇一一年度、一二年度で百十五カ所の認可保育園を増設しました。
 区市町村のこの頑張りをさらに支援することこそ、東京都に求められていることです。どうですか。

○猪瀬知事 外国とさっきから比べるんだったら、外国の共産党議員の部屋の大きさとあなたの部屋の大きさを比べればいいんだよ、そんなもの。つまり大人の住む部屋の大きさだってそれぞれ違うんだから。韓国だって中国だって、実は、割とマンションの大きさ、日本より大きいんだよ。日本は平均が低いから、たまたま低くなっているわけだよそれは。三・三平米も、今いっているけど、弾力的運用で途中でちゃんと入れてあげられるというところが、やっぱりサービスの本質ですよ。
 それともう一つ、今、大山委員がおっしゃられた平成二十三年四月の待機児童数は、いいですか、認可保育所を一万人以上ふやした。しかし、待機児童数は七千八百五十五人いて、この一年間で一万人、認可保育所をふやしたけど、結局、待機児童は五百九十八人減っただけなんですよ。
 つまり、どんどんどんどんお客さんがふえてきている。だから就学前児童人口が、二〇〇九年から二〇一二年の三年間で二万人ふえている。しかも保育サービスは、三一・二%から三四・六%、三ポイントふえている。だから、そういうことを含めて、この待機児童問題を一刻も早く解消するために認可保育所もふやす、認証保育所もふやす、そして、スマート保育もやる、それから保育ママも頑張ってもらうという形で、いろんな手を打って、それでも、どんどんどんどん女性が働く時代になって、それはいいことだから、できるだけそれを一生懸命助けようと、それが行政の仕事ですから、民間のインセンティブもちゃんと活用してやっているわけです。
 以上です。

○大山委員 だから、認可保育園を圧倒的にふやすために、区市町村を応援するのが重要でしょう。やればできるでしょうということなんですよ。子どもたちが、東京の子どもたちが、お母さんたちの、保護者の要望は、よりよいところで保育してほしい、だから認可保育園を八割要望しているんですよ。
   〔発言する者あり〕

○斉藤委員長 静粛に願います。

○大山委員 そこをちゃんと認識してください。
 土地の確保は、どこの自治体でも苦労しています。だから、認可保育園をつくるのに、さまざまな工夫もしているんです。六十から八十名規模の比較的小規模な認可保育園を設置することで、土地を手に入りやすくしたり、区有地を活用するところは多く見られます。一、二歳児の待機児が多いので、区が区有地を使って、直接一、二歳児の認可保育園を緊急に四カ所整備した自治体もあります。国や都も、みずから所有する国公有地を最大限活用することが強く求められています。
 国家公務員宿舎は、削減計画が出されました。現時点で廃止することを決定した国家公務員宿舎のリストを見ると、都内に百八十五カ所もあります。土地の広さはさまざまですけれども、とりわけ土地の確保が困難な都心区にも六十九カ所あります。これらの土地利用を活用しない手はありません。
 財務省が国会に提出した資料では、国が移転経費を要しない財産については、保育園などに活用する場合は三分の一は時価で売り払い、三分の二は無償貸付とすることになっています。少子化対策、保育園の待機児解消は、国家的な重要課題、緊急課題です。
 認可保育園の整備への国有地の活用について、かつての無償貸与に準ずる対応を求めることが必要ですが、どうですか。

○川澄福祉保健局長 都は、国有地について、待機児童解消に向けた保育所の整備に活用しやすくなるよう、貸付料の減額について、既に国に対し提案要求をしております。

○大山委員 年二回の国への要望ですね。それにとどまらず、さらに詰めた取り組みが求められています。
 財務省のホームページには、どこにどれぐらいの広さの土地があるのか公開されています。保育園での活用を考えれば、五百平米程度以上の土地は、今後、入札を予定している物件というのでは十二件、公用、公共用の取得等要望を受け付ける物件は十六件あります。宿舎跡地のうち半数が活用が可能と仮定して九十三カ所、他の国有地で処分しようとしているものだけでも二十八件、これだけで、合計すると百二十一カ所になります。
 都が区市町村とともに、これらの国有地をよりよい条件で活用させるよう、国に強力に求めることを求めておきます。
 都有地の活用も始まりました。大いに進めるべきと思いますが、どうですか。

○川澄福祉保健局長 都有地の活用につきましては、平成二十二年度から四件公募を行っており、うち三件の事業者が決定しております。今後も財務局と連携し、未利用地の活用を図ってまいります。

○大山委員 未利用都有地の資料が、本委員会の資料32ですね、財務局の分だけでも、五百平米以上の土地が百二十三カ所あります。半分使えたとしてもかなりなものです。
 財務局長に伺いますけれども、例えば、練馬区にある旧練馬高等保育学院の跡地を、現在は警視庁が活用していますが、そろそろ活用を終了するようです。以前、保育学院が廃止された際には、跡地を保育園などで活用したいとの声が多く上がっていました。
 今後、区から改めて保育園整備などのために使いたいという要望が出されたら、どう対応するんでしょうか。

○中井財務局長 現時点では、練馬区の方からそのような要望は聞いておりません。仮定のお話ということになりますので、お答えはできませんが、一般的には、都庁内での利活用の見込みがない場合には、地元区市町村による利用の意向や内容を確認した上で、区市町村への売却や貸し付けを検討していくということになります。

○大山委員 区から要望が出されれば、話し合うということですね。他の都有地についても積極的にお願いします。
 財務局所管以外にも活用可能な都有地がたくさんあります。例えば、私の地元新宿だったら、最近、児童相談センターが移転しましたので、あきました。地下鉄駅の出入り口のところですから、保護者の通勤にも便利です。杉並区には、交通局の旧職員住宅を自立支援センターとして使っていたものが、今はあいています。中野区には、中野警察寮の跡地が、江戸川区には、都営住宅建てかえに伴う未利用地などがあります。私たちが、ちょっと周辺を見回しただけでも次々に出てきます。
 財務局に所管がえされたものだけでなくて、知事、待機児解消という緊急の対策が必要なのですから、知事の権限で、各局が持っている活用可能な土地の情報を集中させ、公開するべきですが、いかがですか。

○川澄福祉保健局長 未利用の都有地につきましては、これからも積極的に活用していきたいと思っておりますので、いろいろ福祉保健局で情報をとっていきたいと思っております。

○大山委員 この都有地活用については、積極的にということで、特養ホームなどでも同じです。活用可能な土地を常に区市町村に明らかにして、活用条件を緩和するべきです。
 現在、都有地は半額で貸し付けることになっていますけれども、例えば、ことし四月にオープンする世田谷区の認可保育園の賃借料は、年額約五百五十万円で、保証金を三十カ月分ですから、約千四百万円を用意しなければなりませんでした。公募して、区が審査し、都も審査して、信頼できるところに貸し出すのですから、保証金は免除するとか、賃貸料は運営費にかかわるものですから、できる限り無償に近づけることが求められています。
 先ほど、年に二回の国への要望を出していると答弁されましたけれども、その要望の中には、国有地の貸付料の減額、現在利用可能な国有地情報だけでなく、将来利用が可能となる国有地情報についても早期に提供することとあります。私もそのとおりだと思います。国にそういっているわけですから、東京都も情報を集中するとともに、より低廉にすること、そして、将来利用可能になる都有地情報も早期に提供すべきです。
 民有地の購入、定期借地も重要です。定期借地については、現在、一時金を補助して、月々の負担を軽減する方策がとられていますが、一時金補助の増額や月々の賃貸料補助を求めておきます。
 知事、今まで示したように、土地はあるんです。あとは、東京都がいかに力を発揮して、認可保育園のために活用できるかなんです。保育に欠ける子を、保育園で保育することは、国と自治体の責任です。仕事に復帰できない、仕事をしたいのに認可保育園に入れない、こういう状況をいつまでも続けることは、社会的にも経済的にも重大な損失です。
 認可保育園を圧倒的にふやしていくためにも、保育士の質の向上を図るためにも、保育士の採用と定着を図ることは欠かせません。多くの保育士が交代勤務しながら休憩時間も十分にとれなかったり、持ち帰りで仕事をする。そして賃金は見合ったものとはなっていない。養成校の学生が保育園に実習に行って、余りの勤務の過酷さに一般企業に就職先を変更することも多いといわれています。
 国は、保育士の処遇改善のために、安心こども基金を今年度補正予算で積み増ししました。都も、保育士の処遇改善に活用することが求められていますが、どう活用するんでしょうか。

○川澄福祉保健局長 都は、国の補正予算に基づき、保育士の処遇改善に要する費用を含めた安心こども基金への積立金を補正予算に計上しております。
 現時点で国が示した考え方によると、保育事業者が保育士等の処遇改善計画を策定し、区市町村に提出し、区市町村は、提出された報告書に基づき補助金を交付する予定となっております。
 今後、国から安心こども基金管理運営要領が示される予定であり、都は要領に基づき、適切に対応してまいります。

○大山委員 ぜひ活用してほしいということと、世界一、生活費がかかる東京なんですから、都としても上乗せすることを初め、保育士の待遇改善を思い切って進めるべきであることを強く求めておきます。
 認可保育園の増設というのは、子どもたちの豊かな成長のためにも、日本の女性のM字型雇用を解消し、女性の労働力を社会に引き出すためにも、なくてはならないものです。また、認可保育園をふやせば、そこで働く職員を圧倒的に雇用することが必要ですから、雇用の拡大にもつながります。中小の建築業者も、直接仕事を受けることができますから、潤うことができます。一石二鳥どころか、一石四鳥、五鳥、そういう効果があるものです。だからこそ予算を大幅にふやすことを惜しんではならないと思います。
 東京の子どもたち、保護者は、ちゃんと豊かな保育を受けたい、そして、条件の整ったところで育ててほしいと思っているわけです。ですから、今、これだけの待機児がいるわけですから、認証保育所だとか小規模も補完的役割として否定はしませんけれども、その底上げをすることこそ、今、求められていることですし、土地がちゃんとあるということも、今、示しました。ですから、国の土地も--東京都の土地は、みずからの土地ですから、ちゃんと情報も出して、そして区市町村と積極的に話し合ってもらいたいと思います。
 認可保育園の増設を中心に据えて、量と質の両方を一緒に拡充していくことは、今、東京都ならできることなんですよね。ですから、その気になればちゃんとできることなんですから、猪瀬知事は、詰め込めばいいとかという話ではなくて、ちゃんと認可保育園を中心にして増設してほしいと思っています。
 そして、この認可保育園の増設を中心に据えることこそ、東京都の役割だということを述べて、質問を終わります。(拍手)

○斉藤委員長 以上で、大山とも子委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定しておりました質疑はすべて終了いたしました。
 なお、あすは、午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時十四分散会

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