予算特別委員会速記録第三号

   午後六時三十五分開議

○谷村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 松葉多美子委員の発言を許します。

○松葉委員 防災対策について質問いたします。
 これまで都議会公明党は、女性の視点に立った防災対策の重要性を訴えてまいりました。この都議会公明党の指摘を受け、東京都の地域防災計画の修正に向けまして、専門委員に女性の防災の専門家を登用したり、また、被災地に派遣された東京都の女性職員のワーキングチームをつくり、計画に反映するなど、東京都に尽力をしていただきました。この間の総務局総合防災部の取り組みを高く評価しております。
 その上で、東京都防災会議について申し上げたいと思います。
 女性の委員は、現在、国の充て職の労働局長が女性になりまして一人いらっしゃるものの、国の人事が変われば、一人もいなくなるという現状であります。一方で、東京都知事が指名、任命をする委員の定数は四十五名ですが、一人も女性がおりません。一月二十三日の復活予算要望の席で、このことを猪瀬知事にお話ししましたところ、猪瀬知事はその場で、女性委員の登用の検討をすると指示を出していただきました。その早い決断、スピードに大変感動いたしました。
 猪瀬知事は、女性が働きやすい環境をつくるなど、都民一人一人が輝く東京をつくっていくとされていますが、このことは、防災対策においても同様だと考えます。
 本定例会には、東京都防災会議条例の改正案が提案をされておりますが、地域防災計画の具体化に当たり、女性の視点が反映されるよう、女性委員の登用を積極的に進めるべきであると思います。できれば、優秀な女性を複数名登用していただきたいと思います。
 東京都防災会議への女性委員の登用と女性の視点を踏まえた防災対策の推進に向けて、知事の見解を伺います。

○猪瀬知事 東日本大震災の際、避難所では、女性用のスペースが確保されず、授乳や着がえができなかった。また、女性だからという理由で食事の用意や片づけを割り振られ、朝五時から夜十時まで、調理室から出られずに、子どもや両親の面倒を見ることができないなどの問題が生じていました。こうした教訓を確実に生かして、女性の視点に立った具体的な対策を実行する必要があります。
 副知事時代に、政府と東京都と民間の事業者と、帰宅困難者対策協議会というのをつくりまして、その座長を務めました。まず早急にやるべきことは、妊産婦等の優先スペースの確保などを盛り込んだ最終報告を取りまとめるとともに、都庁舎に授乳スペースを設けるなど、女性や災害時要援護者の安全を守るための取り組みに着手しています。
 本定例会で、東京都防災会議条例の改正案を提案しております。
 松葉委員のご指摘のとおり、条例施行後は、複数の女性委員を登用し、女性の防災専門家の知見を防災対策に取り入れていくつもりです。こうした取り組みに加えて、実効ある防災対策の推進に向け、東京都防災会議のあり方そのものについても抜本的に見直していきたいと、ご指摘のようなことをちゃんとやりたいと思っております。

○松葉委員 今、知事から、複数名登用するという明快なご答弁がございました。今、四十七都道府県、また区市町村、全国、地方防災会議がございますけれども、その地方防災会議の模範となる東京都防災会議の体制を期待いたしております。
 帰宅困難者対策につきましても、公明党は、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の五都県の女性議員で連絡協議会を設け、提言をまとめまして、官房長官にも申し入れをしてまいりました。
 課題なのは、仕事先、外出先からの家族への連絡方法や、とりわけ、妊娠中の女性や乳幼児を連れた方には、一時滞在施設の受け入れや帰宅支援まで特別な配慮が必要だということであります。
 都は、こうしたさまざまな不安を解消するため、女性の視点に立ったきめ細やかな帰宅困難者対策を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○笠井総務局長 帰宅困難者対策実施計画では、高齢者や障害者に加え、女性に対するきめ細やかな配慮が必要との考えをお示しいたしました。
 お話の家族との安否確認につきましては、ツイッターや災害用伝言板など、複数の安否確認手段の確保を周知していくとともに、都立施設を活用した一時滞在施設では、多様な連絡手段が利用できるよう、Wi-Fiや特設公衆電話を設置してまいります。
 また、妊産婦を初め災害時要援護者への配慮といたしましては、一時滞在施設における優先スペースの確保を経済団体などに働きかけるとともに、バス、タクシーによる帰宅支援体制を国と連携して整備してまいります。
 今後とも、被災者の視点に立ったきめ細やかな帰宅困難者対策を推進してまいります。

○松葉委員 また、帰宅困難者対策条例では、事業所は、従業員の一斉帰宅の抑制や、従業員が施設内に待機するための三日分の食料等の備蓄に努めることとしております。とはいえ、子どもが安全に保護されていることを保護者が確認をすることができなければ、どんな無理をしても子どもを迎えに行くのが親の心でもあります。
 そうした観点から、昨年五月の防災対策特別委員会で私は、児童生徒を校内で保護する体制について質問いたしました。その際、公立小中学校における児童生徒の食料備蓄と連絡体制の整備について、都教育委員会から区市町村教育委員会への働きかけを行うとありましたが、その後の働きかけの状況と成果について伺います。

○比留間教育長 都教育委員会は、本年四月の帰宅困難者対策条例施行に向け、公立小中学校の児童生徒を校内で保護する場合の食料等の備蓄や連絡体制の確保について、区市町村教育委員会に対し、積極的に働きかけてまいりました。
 その結果、食料等の備蓄につきましては、児童生徒用の備蓄の確保や避難所の備蓄等の活用により、島しょを除く都内五十三区市町村において、災害時に児童生徒に円滑に提供できる体制が整備されたところです。
 また、連絡体制につきましては、四十七区市町村で、災害時でもつながりやすい無線通信や災害時優先電話などが既に導入されており、平成二十五年度中には、すべての区市町村において、複数の通信手段による連絡体制が確保される予定でございます。

○松葉委員 ぜひとも、しっかりとした体制、お願いいたします。
 防災対策として、木造住宅密集地域対策について伺いたいと思います。
 まず、地域密着型集会についてであります。
 先月初旬、私の地元杉並区の方南町、和泉町の方々を対象といたしました都主催の地域密着型集会が開催され、私も出席をいたしました。当日は、土曜日の午前中にもかかわらず、多くの方々がお越しになり、防災に対する地域の関心の高さや、また危機感というのがおありだということを改めて実感をいたしました。
 関心の高さ、非常にあったわけでございますが、集会の講師の方は、阪神・淡路大震災の当時、神戸市の消防士だった方であります。実体験ほど心を打つものはありません。赤裸々に、消防士として、なすすべがなかったといったことも語られ、震災の惨状、そして、自助、共助の大事さ、また、今自分たちに何ができるか等を伝えてくださいました。
 こうした集会は、地域住民に震災発生時の対処法や、地域の防災面の弱点に気づいてもらう貴重な機会でもあります。当日、都はアンケートもとられておりましたが、参加者の皆さんの貴重な意見も、今後、施策に反映させていくべきであると思います。
 そこで、地域密着型集会の今後の取り組みについて伺います。

○飯尾都市整備局長 地域密着型集会は、都が地元住民に震災の怖さや災害に対する備えの重要性を伝えるとともに、地域の課題や不燃化の取り組みに対する意見や要望などを直接聞く場と位置づけております。こうした集会は、地元区からの要望も踏まえ、地域危険度が高いなど防災面での課題を抱える地区ごとに開催をしているものでございます。
 来年度も、新たな地区への展開を図ることとしておりまして、より多くの地元住民の方々の機運を高め、不燃化特区の取り組みへつなげてまいります。

○松葉委員 次に、不燃化特区について伺います。
 阿佐ヶ谷や高円寺、方南町を初めとする地域は、住民同士のつながりが深く、また人情味にあふれる大変魅力的な地域でございます。ただ、防災という観点からいいますと、木造家屋が多く建ち並んでいるという、それは弱点でもあります。こうした地域の安全性を高めていくには、再開発や道路の整備も重要ですが、地域の魅力である住民同士のつながりを保てるように、大きくまち並みが変わる事業よりも、住民みずからの建てかえを促すことで、より不燃化の高いまちとする取り組みを促進していくことが重要であります。
 都は、今後、不燃化特区を五十地区に拡大していくとしております。木密地域の中には、阿佐ヶ谷や高円寺、方南町のように、まち並みを大きく変えるような再開発などの手法にはよらず、今のまち並みを保てるように、不燃性の高い建物に建てかえを促すことを中心に行うことがふさわしい地域もあります。こうした地域であっても、不燃化特区に参入できるよう配慮すべきであります。都の見解を伺います。

○飯尾都市整備局長 不燃化特区では、さまざまな地域の特性に幅広く対応できるよう、コア事業の要件を緩和いたしまして区が取り組みやすい制度といたしました。
 具体的には、区が現地にまちづくりステーションを設置することや、対象家屋を全戸訪問するなど、区が積極的に不燃化を働きかけることもコア事業といたしました。
 お話のような地域におきましても、道路の整備や建物の建てかえなどを行うことによりまして、延焼による焼失がほぼゼロとなる不燃領域率七〇%を目指してまいります。
 今後、現場の実情に応じた制度の活用方法を助言するなど、区の取り組みを促し、不燃化を強力に推進してまいります。

○松葉委員 安全・安心のまちづくりができますように、よろしくお願いいたします。
 次に、アレルギー対策について質問をいたします。
 昨年十二月に、調布市の小学校で、食物アレルギーのある女のお子さんが、お亡くなりになられました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 学校の現場で、子どもの命を失うということは、余りにも悲しいことであり、あってはならないことであると思います。
 昨日、調布市において、児童死亡事故検証委員会の検証結果報告書がまとまりました。私も、約六十ページの報告書を読ませていただきましたが、涙なしでは読めませんでした。
 今回の事故は、女の子が担任に気分が悪いと訴えてからの十四分間における対応が生死の分かれ目になっている、わずかな時間の中で多くの者が夢中になって駆けずり回りながら、無我夢中でできる限りを尽くしている、ある者は二階から三階へ、ある者は二階から一階へ、さらに一階から三階へ、人を呼びに行ったり、AEDをとりにいくなどの対応に追われた、しかし、一人の女の子の命を守れなかった、これは事実である、というふうにあります。
 東京都としても、二度とこうした悲劇を繰り返さないという強い決意を持ち、再発防止策の検討を急がなければいけないというふうに思います。
 そもそも、アレルギー疾患は、国民の三人に一人以上が罹患している国民病であります。花粉症や鼻炎、アトピー性皮膚炎などで、多くの人の生活の質を落としています。加えて、気管支ぜんそくや食物アレルギーのアナフィラキシーショックのように、緊急の対応を要する疾患があります。
 都議会公明党は、そうしたことから、アレルギー対策について、本会議においても、予算特別委員会においても、文教委員会、厚生委員会においても、たび重ねて取り上げてきました。
 専門医による医療提供のために、都立小児総合医療センターにアレルギー科の設置を提案し、小児総合医療センター開設とともに設置もされました。
 また、学校や保育園での食物アレルギー対策についても、アナフィラキシーショックの対応のため、教職員への研修の重要性も指摘してきました。
 文部科学省が二〇〇四年から二〇〇五年に児童生徒約千二百八十万人に行った調査では、食物アレルギーを持つ割合は二・六%、アナフィラキシーは〇・一四%、この割合は一クラスに一人の割合で食物アレルギーやアナフィラキシーを持つ児童生徒がいることになります。
 そうした中、文部科学省の監修による学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインが二〇〇八年につくられ、全公立小中学校に配布されました。同年、二〇〇八年第四回定例会本会議で、我が党の議員が、取り組みの遅さを指摘したときに、当時の大原教育長は、全教職員がアドレナリン注射を処方された児童生徒を把握し、緊急時の対応方法を理解しておくことが必要ですと答弁をされました。
 私も、アレルギー専門医の研修を受け、アドレナリン自己注射、いわゆるエピペンの模擬注射練習を行いましたが、実際に訓練をしていないと、いざのとき対応することはできないと実感をしております。
 都議会公明党は、たび重ねて、アレルギー専門医による教職員への研修会の実施を要望してきましたが、改めて伺いますが、どの学校においても、アレルギー疾患のある児童生徒にきちんと対応できるように、クラス担任を初め、すべての教職員がアレルギー疾患に対する正しい知識や適切な処置方法を身につけることが重要であります。
 都教委のこれまでの取り組みの実績と今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○比留間教育長 都教育委員会では、多くの教職員にアレルギー疾患に対する対応能力をつけさせるため、都内公立学校の教職員等を対象に、アレルギー全般の基礎知識、アドレナリン自己注射薬の使用方法等を含めた緊急時の対応を内容とする研修を実施してまいりました。この研修は、平成二十一年度以降、毎年実施しており、計十四回、延べ四千名が受講をしております。
 また、今年度から、教職員が参加しやすい環境を整えるために、学校単位で校内研修を行う際には、講師の派遣を医師会に依頼をしております。
 さらに、来年度には、自己注射薬を携帯する児童生徒の学級担任に対して、悉皆研修を実施してまいります。

○松葉委員 悉皆研修を学級担任に対して行っていくということでございましたが、悉皆研修というのは、必ず受けなければいけない研修というふうに認識をしておりますが、よろしいでしょうか。--早期に研修を行っていただきたいというふうに思います。
 小児アレルギー、とりわけ食物アレルギーの臨床及び臨床研究では日本を代表する医師である国立病院機構相模原病院臨床研究センターの海老澤元宏アレルギー性疾患研究部長は、こういうふうにおっしゃっています。誤食さえ避けられればよかったという短絡的な結論は避けなければならない、ヒューマンエラーは必ず起こる、不幸な事故から学ぶことが第一であると、こういうふうにいわれております。
 そうした意味からも、保護者、学校、救急、医療機関との連携のあり方など、実際にアナフィラキシーショックが発生した場合に、各学校で即応できる体制づくりが必要だと思いますけれども、都教育委員会の今後の取り組みについて伺います。

○比留間教育長 主に食物アレルギーなどが原因となるアナフィラキシーショックは、血圧が低下して意識の低下や脱力等を来す症状であり、その初期症状のうちに対応する必要がございます。
 都教育委員会は、これまで、区市町村教育委員会に対し、アレルギー疾患のある児童生徒の実態調査をするとともに、文部科学省監修による、学校におけるアレルギー疾患に対するガイドラインに示された緊急時の対応について周知をしてまいりました。
 今後は、アナフィラキシー症状発症時の対応能力を高めるために、医師などの専門家の助言も受け、学校における救急体制のあり方を早急に検討してまいります。

○松葉委員 重ねて申し上げますが、二度とこうした悲劇を起こさないという強い決意を持ち、具体的な対策を早急に進めていただきたいと思います。
 また、保育所の対応についても伺いたいと思います。
 福祉保健局では、食物アレルギー対応ガイドブックを二〇一〇年に作成をしております。これにはDVDがついております。アナフィラキシーショックが起こったときの対応例といったものも収録し、また、エピペンの使い方について、準備から片づけまでの手順の説明もしており、非常にわかりやすいものになっております。
 これまでも福祉保健局は、保育園の職員に対して、食物アレルギー緊急時対応研修を実施してきておりますが、これまでの実績について伺います。
 また、小規模を含むすべての保育サービスに従事する職員についても、対象に含めていただきたい。また、研修教材についても、さらに工夫を重ねるなど、研修の充実が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○川澄福祉保健局長 お話のように、都では、平成二十一年度に、食物アレルギーを持つ子どもに対する日常生活の配慮や緊急対応などをまとめたガイドブックとDVDを作成し、認可保育所や認証保育所等に配布をいたしました。
 これらの教材を活用し、平成二十二年度から、保育所等の職員を対象に、食物アレルギーを持つ子どもの情報を関係者で共有する方法や、アナフィラキシー症状を起こした際の緊急時対応などを実践的に習得できる研修を実施し、これまでの三年間で、延べ千五百九十人が受講しております。
 今後は、研修の対象を、小規模保育を含むすべての保育サービスに従事する職員に広げ、研修回数を拡充するほか、緊急時の対応をわかりやすく示したリーフレットを作成するなど、都が実施する研修を充実いたします。
 また、施設での訓練用シナリオを新たに作成するとともに、健康安全研究センターで保有する練習用エピペンの貸出本数をふやすなど、施設みずからが実施する研修への支援についても強化してまいります。

○松葉委員 非常に重要な答弁だったというふうに思います。小規模保育を含むすべての保育サービスに従事する職員に研修を広げるということ、そして、また、緊急時の対応をわかりやすく示したリーフレットを作成、また、施設での訓練用のシナリオを新たにつくる、また、練習用のエピペンの貸出本数をふやすといった具体策でございますけれども、ぜひとも、そうした福祉保健局の取り組みも踏まえまして、教育長、また、幼稚園や私学といった生活文化局、また、救急搬送を担っておられます東京消防庁、そして、都立小児総合医療センターのアレルギー科など、関係局、関係機関が連携をとっていただき、食物アレルギー対策を進めていただきたいと強く要望をいたします。
 次に、保育サービスの拡充について質問いたします。
 東京都の人口密度は、全国平均の約二十倍であります。地価は全国一。そして、利用を希望する保護者の方々の働き方もさまざまであります。こうした東京の特性を踏まえて、保育サービスを整備していく必要があります。
 昨日の我が党の東村議員の質疑の中で、都は、認可保育所の整備を積極的にふやしていることが明らかになりました。その上で、認可保育所だけでは、東京都の保育ニーズに対応することはできません。
 杉並区も、さまざまな保育サービスを組み合わせて、待機児童を解消するための緊急プランを実施するとしております。このさまざまな保育サービスを活用し、地域の実情に応じて保育の拡充を図る区市町村をしっかりと後押ししていくことが重要であります。見解を伺います。

○川澄福祉保健局長 都はこれまでも、国の安心こども基金の活用に加え、事業者と区市町村の負担軽減や、未利用都有地の貸し付けなど、独自の支援策を通じて、認可保育所、認証保育所、家庭的保育、定期利用保育などを組み合わせ、地域の特性に応じて保育サービスの整備拡充を図る区市町村を支援してまいりました。
 こうした取り組みにより、二十四年四月時点の保育サービスの利用児童数は、前年に比べ一万人以上増加しております。
 さらに、本年四月には、認可保育所は六十一カ所、認証保育所は四十四カ所、増加する見込みでございます。
 来年度は、小規模保育制度を新たに創設し、待機児童解消に向けた区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。

○松葉委員 ただいまの答弁にあるとおり、東京都は、あらゆる保育サービスを設置促進するメニューを用意しておりますが、このメニューの中で、特に多様な働き方に着目した制度が定期利用保育であります。
 保育サービスの利用を希望する方々が、必ずしもフルタイムで働いておられる方とは限りません。子どもが小さいうちは、できるだけ自分の手元で育てたいけれども、経済的な事情もあって週何回かアルバイト、また、パートタイム労働をしたい、そうした方もいらっしゃいます。そうした方々が安心して働くには、一時保育とは異なり継続した利用が可能で、料金も認可保育所と均衡した設定の定期利用保育が非常に適していると思います。
 定期利用保育事業のこれまでの実績と、今年度の実施見込みを伺います。

○川澄福祉保健局長 定期利用保育事業の実績は、事業を開始した平成二十二年度は、二区市、五施設、延べ利用児童数は三千九百五十九人でした。今年度は、二十一区市、八十六施設、十五万二千人程度となる見込みであり、着実に増加をしております。

○松葉委員 保育施設は、待機児童対策はもとより、保育施設に子どもを預けないで在宅で子育てをする家庭も含めた、地域のすべての子育て家庭を支援するという重要な役割も担っている施設であります。
 どんなに子どもがかわいくても、育児疲れや育児ストレスを感じることはあります。冠婚葬祭や、保護者や兄弟が病気になったりといった突発的な出来事で、子どもを預ける必要が出てくることもあります。
 こうした在宅子育て家庭のニーズにも、積極的にこたえるために、保育施設の空きスペースを活用した一時預かり事業の拡充も必要であると考えます。所見を伺います。

○川澄福祉保健局長 一時預かり事業には、専用のスペースが必要な国制度と、認可保育所や認証保育所などのあいている保育スペース等を活用する都独自の制度がございます。今年度は、両制度合わせて、五十二区市町、七百七十施設で、延べ約四十五万人の利用が見込まれております。
 引き続き、在宅で子育てをする家庭への支援を充実するため、本事業の拡充を区市町村に強く働きかけてまいります。

○松葉委員 待機児童対策は、ハード面のみならず情報提供などのソフト面を含めて、総合的に取り組む必要があると考えております。三月一日に、猪瀬知事は杉並区長との面談の中でも、多様な保育施設の情報が、保護者に見やすく、わかりやすく提供されることが必要であるといった話題も出たと伺っております。
 区といたしましても、杉並区議会公明党の提案により、保育コンシェルジュというのを設置することになりました。これによりまして、保護者の就労状態に適した各種の保育サービスがどういったことなのかということを結びつけていくということが可能になるわけであります。
 また、質の確保という観点から申し上げますと、認可外の保育サービスの従事者にも研修をしていくことは重要であります。先ほどアレルギー対策の中でも、すべての保育サービスに従事する職員に研修をするという答弁もありましたけれども、こうした取り組みについて、今後も、福祉保健局にはお願いをしたいというふうに思います。
 待機児童解消のためには、地域の実情に応じた保育サービスの拡充策が必要であります。その筆頭は東京都認証保育所であり、私の地元でも、杉並区保育室という制度があります。国は、こうした自治体の先駆的な取り組みを理解し、支援しようとしていません。
 都市部共通の問題である保育の待機児童対策が大きな社会問題化をしている今、知事には、ぜひ国に強力に働きかけていただきたいと考えておりますが、知事の所見を伺います。

○猪瀬知事 杉並区に保育コンシェルジュができるのは、いいことだと思います。
 東京都独自の認証保育所は、待機児童の九割以上を占める三歳未満の低年齢児を中心に受け入れ、育児休業明けなど、年度途中の保育ニーズにも柔軟に対応しています。
 平成十三年の創設以来、多くの都民の支持を得て、今や認証保育所は六百六十六カ所、定員は二万人を超えるまでになりました。ちなみに、四年前、四百四十八カ所で一万三千人台ですから、この四年間でかなりふやしているんです。
 しかし、厚生労働省は、松葉委員のおっしゃるとおり、こうした認証保育所の実績を無視してかたくなに認めようとしない。
 全国一律の認可保育所の制度だけでは大都市特有の待機児童問題は解決しません。そのためにも、今回は、東京スマート保育を開始するほか、事業所内の保育は社員のためのみだったんだけれども、地域の児童も受け入れる事業所内保育を新たに支援します。
 現在、保育の実施主体である区市町村は、さまざまな保育サービスを組み合わせながら、それぞれ知恵を絞り、創意工夫を凝らして待機児童対策に取り組んでいます。
 東京都は、今後とも、認証保育所を初めとする東京独自のさまざまな取り組み、いろいろ組み合わせていって、これ厚生労働省だけじゃなくて、内閣府もあれば、文部科学省もある、そういう国の硬直した縦割りに対して、きちんというべきことをいっていきます。
 それから、どうしても国会議員というのは全国から集まってきますから、都市部の国会議員は少ないんです。ですから、こういう都市部の深刻な問題について、結局、国は、今までの制度のまま、かたくなに融通がきかない体制になっているということもあると思いますから、とにかく東京は、きちんと影響力を与える形で、東京モデルをさらに積極的に説明し、あるいは強く働きかけていきます。

○松葉委員 今、猪瀬知事から、力強いご答弁をいただきました。
 子どもを安心して産み育てることができる、そうした東京ができますように、猪瀬知事のさらなる力強いリーダーシップ、よろしくお願いいたします。
 最後に、善福寺川の整備についてお伺いいたします。
 二〇〇五年九月四日に発生した一時間に一一二ミリという集中豪雨、これは、私の地元の杉並区におきましても、善福寺川、神田川、妙正寺川があふれまして、甚大な被害がございました。
 私も、川があふれそうだという一報がございまして、すぐに現地に向かいました。住民の方々と一緒に救援活動をさせていただきまして、翌日からは、被災者の方のお見舞いに上がらせていただきましたけれども、ランドセルも制服も家電製品も、すべてもう何もかもが水浸しになっておりまして、どこにどう怒りをぶつけていいかわからないといった、その怒りを、また絶望感を、私は全身で受けとめさせていただきました。
 そうした中、東京都は、直ちに河川激甚災害対策特別緊急事業に着手をされ、この善福寺川でございますが、あわせて、環七通りより済美橋までの約一キロメートルの護岸整備を実施されてきました。これにより、善福寺川の治水安全度が格段に向上してきていることを、高く評価するものであります。
 この間、建設局の河川部の皆さん、そして、内水被害もございましたので、下水道局の職員の皆さん、大変に被災者の皆様のために力を尽くしていただいたことを、私は忘れることはできません。
 しかし、この二〇〇五年の集中豪雨の水害では、善福寺川の中流域から上流域の広い範囲にわたり被害が発生をいたしておりまして、一刻も早く地域住民が安全で安心な暮らしができるように、中流域から上流域の水害の解消に向けた河川整備を進めていただかなければなりません。
 二〇一二年度からは、済美橋より上流の護岸整備とともに、善福寺川調節池の搬入路工事や準備工事に着手したと聞いております。
 私はこれまでも、一般質問や予算特別委員会で、たびたび善福寺川の河川整備について取り上げてまいりました。今回で八回目となりますが、まず、善福寺川の今後の整備について伺います。

○村尾東京都技監 善福寺川では、一時間に五〇ミリの降雨に対応するため、河道の整備に加え、水害の早期軽減を目指し調節池を設置するなど、効率的、効果的に整備を進めております。
 平成二十五年度は、これまで進めてきた環七通りから済美橋の区間に引き続き、済美橋上流及び宮下橋上流の二つの区間で、合わせて二百メートルの護岸整備と、二枚橋のかけかえ工事に着手いたします。
 また、神通橋付近に設置する善福寺川調節池につきましても、二十七年度末の完成を目指し、地下の本体工事に着手いたします。
 この調節池の取水開始により、下流の未整備区間の治水安全度が向上するとともに、さらに上流におきましても、河道整備の新規着手が可能となります。

○松葉委員 善福寺川調節池の本体工事にも着手するということでありますので、引き続き護岸整備とともに、着実に調節池事業を推進していただきたいと思います。
 都で昨年策定いたしました中小河川における今後の整備のあり方についての新たな整備方針で、目標とすべき整備水準の引き上げや効果的な対策を示したことを、高く評価するものであります。
 そこで、この新たな整備方針に基づき、現在進めている整備を含め、今後、善福寺川を含む神田川流域の取り組みについて伺います。

○村尾東京都技監 新たな整備方針の中で、目標整備水準をこれまでの時間最大五〇ミリから、区部と多摩の降雨特性の違いを踏まえまして、区部では時間最大七五ミリ、多摩では六五ミリに引き上げました。
 この整備方針では、時間五〇ミリレベルまでの対策は河道整備で、これを超える部分につきましては調節池で対応することを基本とし、新たな効果的な対策を講じていくことを示しております。
 このため、現在進めている時間五〇ミリに対応する整備を着実に進めるとともに、平成二十五年度は、新たな整備水準に対応するため、善福寺川を含む神田川流域などにおきまして、時間一〇〇ミリの局地的かつ短時間の集中豪雨にも大きな効果を発揮する広域調節池の整備など、具体的な検討に着手いたします。
 今後とも、中小河川の整備に全力で取り組み、高度防災都市東京の実現を目指してまいります。

○谷村副委員長 松葉多美子委員の発言は終わりました。(拍手)

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