予算特別委員会速記録第三号

○門脇副委員長 小宮あんり委員の発言を許します。
   〔門脇副委員長退席、村上副委員長着席〕

○小宮委員 自民党の小宮あんりです。
 都政の場に送り出していただいてから一年と十カ月がたちました。改めて東京の持つ力の大きさや事業の多さを実感しています。この間、都知事は石原知事から猪瀬知事にかわりましたが、東京の抱える課題は変わりません。お子さんを預けたくても、預ける施設が足りない。特別養護老人ホームや認知症グループホームといった施設も足りない。食の安心や安全、防災の観点からも見直されている都市の農業支援など、地方とは違う、東京ならではの課題について、きょうは質問してまいります。
 まず初めに、人に優しいまちづくりの一環として、当選以来取り組んできた電線の地中化について伺います。
 私の住む杉並区の主要な道路は、ほとんどが都道ですが、歩道が狭くて、人と人とがすれ違えないような場所がまだまだたくさんあります。電信柱や電線をなくす無電柱化事業は、歩行空間の確保だけでなく、災害時におけるライフラインの確保にもつながります。一般都民の方にとっては、無電柱化に関心はあるものの、いつ、どこで、どういう順番で無電柱化が進められているのかは意外と知られていません。
 都道においては、センター・コア・エリアと呼ばれる都心部では、平成二十七年度に無電柱化が一〇〇%完了します。災害時の都心部への車両進入禁止ラインとなる環状七号線も、平成三十七年度の一〇〇%無電柱化が計画されています。
 また、さきの震災以降、緊急車両や物資を運ぶ命の道を都は特定緊急輸送道路に指定しましたが、そうした路線や主要駅周辺などの無電柱化も、今後優先的な整備を進めていくとしています。このような無電柱化の優先順位は、東京全体の災害対策を考えるに当たっては大変重要です。
 杉並区の阿佐ケ谷駅を南北に貫く美しいケヤキ並木の中杉通りは、行政の拠点である杉並区役所の西側に接続し、緊急輸送道路に指定された青梅街道にも接続する重要な路線です。この中杉通りは、今から二十五年前に、東京電力とNTTが道の片側だけ地中化しましたが、もう片側はさまざまな課題から地中化されずにきました。
 私はこれまで、ケヤキ並木の保護管理事業が進められている今こそ、保護事業と連携をして、完全無電柱化すべきとの提案と要望を繰り返しいたしてきました。
 昨年十一月の環境・建設委員会において、来年度より無電柱化事業の実施に向けた検討に入るとの答弁をいただき、電柱のない、安全で美しい中杉通りの実現に向けて、まずは大きな一歩を進めることができました。
 そこで、中杉通りの青梅街道から早稲田通りまでの区間における来年度の具体的な取り組みについて伺います。

○村尾東京都技監 現在、アクションプログラム二〇一三に基づきまして無電柱化を推進しており、平成二十七年度までにセンター・コア・エリア内を完了する予定でございます。また、多摩地域や周辺区部におきましても、緊急輸送道路や主要駅周辺などで実施しております。
 中杉通りのお話の区間は、阿佐ケ谷駅の周辺に位置しまして、無電柱化事業の対象でございます。大径木のケヤキ並木の根が四方に張っていることから、掘削に伴う根の保護など、事業化に課題がございました。
 このため、無電柱化の検討をケヤキ並木の保護管理事業と一体的に行い、間伐により生まれる空間や根の育成状況を把握しつつ、地上機器などの設置空間確保を図ることといたしました。
 平成二十五年度には、現況測量及び予備設計を実施いたします。

○小宮委員 中杉通りの完全無電柱化に向けた着実な取り組みをお願いいたします。
 また、優先順位からは外れてしまうけれども、地域の状況から整備すべき都道もあります。現在の技術では無電柱化が難しいとされるそういう都道こそ、歩行空間の確保が必要な狭い都道が多く、道路というインフラのあり方は、まちの発展や商店街の活性化にも大きく影響することですので、技術開発の促進を事業者に促すなど、引き続き積極的な取り組みをお願いしておきます。
 次に、子育て支援について伺います。
 都市においては、働くお母さんが仕事に復帰するためにも、お子さんを預ける施設整備が課題となっています。東京都が国とは異なる基準で始めた認証保育所も、制度創設から十年がたち、現在六百六十六カ所の保育所で二万二千人を超えるお子さんをお預かりしています。
 私も昨年、杉並区の幾つかの認証保育所に足を運び、現場の状況を視察してきました。高円寺の認証保育所は、昭和四十一年から、まずは近所のお子さんを四、五人から預かるということから始め、平成十三年には認証保育所の第二号として登録をされ、現在に至るという大変長い実績のある、しにせの保育所でした。
 園長先生は、アメリカで保育を学んだというその経験を生かして、手と指先の筋肉運動や自己認識のための学習、また、音楽や言語、演技遊びなど、体や脳の学習といったものを実践しておられました。
 保育室には、十年前に自費でカメラを設置され、お子さんの状態というものが親の携帯でいつでも見られるようになっています。また、六カ月の赤ちゃんには、心拍と呼吸を見守るセンサー設備も備えられていて、大変感心をいたしました。
 認証保育所は園庭がなく、狭いスペースで保育をされていて、認可保育所より劣っているという意見や、保育従事者の基準が緩いという意見があるようです。
 一般的に、認可保育所と認証保育所の違いというのは意外と知られていないと思いますので、改めてその基準の差と、あわせて制度開始から十年がたったこの認証保育所への、利用者からの評価について伺います。

○川澄福祉保健局長 認証保育所の施設整備基準は、保育面積を含め認可保育所と同等でございまして、園庭についても認可保育所と同様、同一敷地内ではなく、近隣の公園で代替できることとなっております。
 保育従事職員の配置につきましては、認可保育所は、国の基準により、十割を保育士資格を有する者としております。認証保育所は、保育士等の配置を六割以上とし、保育士を初め、看護師や保健師、子育て経験の豊かな方など、多様な人材を活用しております。
 認証保育所は、認可保育所だけではこたえ切れない大都市ニーズに対応するため、ゼロ歳児保育の実施や十三時間開所を全施設で実施しております。また、各施設においては、英会話教室や音楽学習、運動指導など、特色のある取り組みが行われております。こうした取り組みが広く都民の支持を得て、本年二月一日現在、六百六十六カ所、定員は二万二千人を超えております。
 昨年度実施した福祉サービス第三者評価における利用者調査でも、約九割の方が、一人一人の子どもが大切にされている、家庭と保育所に信頼関係があると回答しているなど、利用者から高く評価されております。

○小宮委員 利用者の評価も高く、認証保育所の施設基準が認可保育所と基本的に変わらないということが確認できました。
 過日、お邪魔した認証保育所においても、短時間勤務で来られる年長の職員さん、この方は、保育士の資格はなくて、過去には全く違う職種についていたという方が再就職していらっしゃったんですけれども、その方を資格のある若い保育士さんが非常に頼りにしておられました。人生の経験も、母親としての経験も豊富なその方は、保育士さんたちにとってはお母さんとして、また、お子さんたちにとってはおばあちゃんとして慕われていました。
 私が視察した、そうした認証保育所では、保育人材の確保が一番の課題であると伺っています。杉並区や足立区、大田区において認可保育園をふやしてほしいという強い要望がありますが、施設をふやすというだけでなく、保育士の質や人数の確保は重要な課題です。
 都としても、かねてからこの保育人材の確保の重要性を認識し、取り組みをしていますが、どのような対応をされてきたか伺います。

○川澄福祉保健局長 都はこれまで、保育所勤務経験者で、現在は勤めていない人を対象に、就職支援研修と就職相談会を一体的に実施するほか、未経験の有資格者を対象に、最新の知識や技術を習得するためのセミナー等を実施し、保育人材の確保に努めてまいりました。
 来年度は、保育団体等と連携し、保育士養成校の新卒者を対象に、職場体験の充実を図るなど、新たな取り組みを開始いたします。
 また、保育士試験の受験者に対して、試験会場で就職相談会等への参加を呼びかけてまいります。
 さらに、保育士有資格者を対象に、就労や離職状況等の調査を実施し、潜在保育士の実態を的確に把握して、今後も保育人材確保に積極的に取り組んでまいります。

○小宮委員 依然として七千人を超える待機児童がいる中、多様な保育の受け皿を用意する必要があります。その一環として、猪瀬都知事はこのたび、国に先駆けて区市町村が取り組む小規模保育を支援することとされ、杉並区でその第一号をというお話があったと聞いております。
 そこで知事に、小規模保育事業の整備を進めるに当たってのお考えを伺います。

○猪瀬知事 大都市特有の保育ニーズには、認可保育所だけでは対応できない。昨年の四月から今度の四月までの間に、六十一施設、認可保育所がふえて、そして五千七百十一人入れるんですが、それでも待機児童はなかなか減らないです。
 いろんなやり方が必要だと思います。だから、東京都独自の認証保育制度、小宮委員おっしゃられたように、保育士の資格も重要だけれども、人生経験、職業経験、母親の経験、そういったものがまた補う形で認証保育所制度もきちっとつくって続けていくんですが、今度は新しく、さらに六人から十九人の--二十人以上と、六人以下は保育ママさんですから、その間のすき間のところが子どもを預かる小規模保育として一番適している可能性があるので、それは空き家があったり、空き室があったり、すぐそこに場所があるじゃないかと。ということで、東京スマート保育と名づけました。略称スマ保ということで覚えやすいかと思うんですが、空き家、空き店舗、そういう既存の資源を有効に活用して、機動的に保育サービスを整備できるということで、何とか待機児童を減らしていきたい。
 来年度からの二カ年、開設経費については一千五百万円まで全額補助します。さらに、賃借料も五百万円を上限に、その二分の一を補助する予算も用意しました。待機児童を解消していくためには、民間の力も活用して、区市町村が地域の実情に応じてさまざまな保育サービスを整備していく必要があります。既に杉並区長から直接、スマ保の第一号をつくりたいという申し出がありましたので、ぜひ他の区市町村も、東京スマート保育を積極的に活用していただきたいと。
 二年間の期間限定というと急いでつくらなきゃならなくなるから、千五百万円すぐ出しますよということで、ぜひ待機児を減らすためのいろんな工夫をさらに考えていきたいと思います。

○小宮委員 杉並区で保育園を営みながら区議会議員を務めていらっしゃる先生からは、今回のスマート保育について、今、知事からもお話ありましたが、二年という時限があり、その後の国の制度の中にこの小規模保育がどう位置づけられるかわからないという中で、東京都には、まずはこの都ならではの認証保育所の整備充実というものも、今後もしっかりと努めていただきたいという現場を知る方の強いご要望もございましたので、ここで私からもお願いをいたしておきます。
 さて、子育てに対する社会のあり方を啓発していくことについて伺います。
 本格的な少子高齢化社会を迎え、労働力人口が減少していく中では、やる気や経験のある女性の活力を生かすことが求められています。しかし、出産や育児で職を離れる女性は多く、女性が安心して育児と仕事を両立できる、そうした職場の環境づくりが必要です。ただ、中小企業では、限られた人材で経営をする中で、そうした環境を単独で整備することは大変難しいのが現状です。
 そこで、東京都が、都内中小企業の仕事と生活との調和、いわゆるワークライフバランスの現状や課題についてどのように認識をしているか、まず伺います。

○中西産業労働局長 だれもが生き生きと働き続けるためには、仕事と生活の両立を図るワークライフバランスの推進が重要でございます。
 一方、少子高齢化がさらに進展する中、女性が出産や育児で離職することなく、能力を発揮できる職場環境の整備や、介護との両立を視野に入れた取り組みも必要でございます。
 都はこれまで、ワークライフバランスについてすぐれた取り組みを実践する中小企業を認定するほか、仕事と育児の両立を進める中小企業に対し、社員の意識啓発や社内のルールづくりなど、推進体制の整備を支援してまいりました。
 しかし、ワークライフバランスの推進に関する社会的機運の醸成は十分とはいえず、経費やノウハウ等の問題から取り組みがおくれている中小企業も多く、実情に即したきめ細かい支援が必要と認識しております。

○小宮委員 育児だけでなく、介護をワークライフバランス取り組みの視野に入れることは非常に評価できます。
 そこで、都が来年度から開始する事業で、今のご答弁にあった課題にどう対応していくのか伺います。

○中西産業労働局長 都は、新年度、ワークライフバランスの推進に取り組む中小企業を総合的に支援いたしますワークライフバランス実践支援事業を開始いたします。
 支援に当たりましては、育児や介護との両立も含め、個々の企業が実情に応じてみずから企画する具体的取り組みを対象に、一社当たり年間で百万円を上限として、二年間、必要な経費を助成いたします。
 また、ノウハウが不足している中小企業を対象に、要請に応じて専門家を派遣し助言を行うことで、その取り組みを後押しいたします。
 さらに、ワークライフバランスについてすぐれた取り組みを行う企業の実例をまとめたDVDを作成し、広く頒布するなど、啓発に努めてまいります。

○小宮委員 人材の確保や継続的な活用は、中小企業の経営にとってもメリットをもたらしますし、ワークライフバランスの推進は社会の活力も向上させます。本事業が多くの企業に活用されるよう、PRも含めて積極的な取り組みをお願いします。
 子育て支援に続いて、高齢者対策について一つ伺っておきたいと思います。
 猪瀬都知事は、高齢者の住まいの一つとして、安否確認等の機能が備わったケアつき住宅の整備目標を六千戸から一万戸へと引き上げました。家族が身近にいない高齢者の単身世帯や夫婦のみの世帯にとっては、そうした住まいの選択肢がふえるということに期待は大きいと思いますが、一万戸という新たな目標を達成することは簡単なことではありません。
 この目標達成のためには、整備する民間事業者や土地の所有者など、広く都民にも、このケアつき住宅のメリットや拡充策をしっかりと働きかけていくことが必要であると思います。都の取り組みについて伺います。

○飯尾都市整備局長 ケアつき住宅は、お話の安否確認のほか、事故、急病等の緊急時に迅速かつ適切なサービスを受けられるなど、高齢者が安全・安心に暮らせる住宅でございます。
 都は、それらのメリットにつきまして、わかりやすいパンフレットを作成するとともに、ホームページやさまざまなツールを活用し、都民に対し、積極的に周知を図ってまいります。
 介護事業者に加え、住宅の整備にかかわる不動産業、建設業に携わる方々や土地所有者等に対しまして説明会を開催するほか、さまざまな機会をとらえ、今回の拡充策も含めた制度全般について広く普及を図り、目標達成に向け取り組んでまいります。

○小宮委員 一万戸、大変高い目標ですが、高齢化対策を一つ一つしっかりと果たしていくことは我々の責務でもあります。ともに知恵を絞ってまいりたいと思いますので、都も目標達成のために努力を重ねていただくようお願いいたします。
 さて、東京港では、先週のIOC評価委員会視察の際、東京ゲートブリッジやレインボーブリッジで五輪をイメージしたライトアップを行い、オリンピック誘致を大いにアピールしました。
 競技会場の一つに予定されている中央防波堤地区には、新たなコンテナふ頭を整備中ですが、物流の拠点である港湾の機能の安全性を維持しながら、東京港の玄関口である本地区の景観をどのように誘導していくのか伺います。

○多羅尾港湾局長 中央防波堤地区の景観を魅力あるものに誘導していくため、東京港中央防波堤地区景観ガイドラインを策定することといたしました。このガイドラインでは、港湾のダイナミックな産業活動を景観の主役として積極的に位置づけ、新しい東京のイメージを演出してまいります。
 例えば、従来、赤と白に塗り分けていたコンテナクレーンの色彩を海や空と調和させるとともに、荷役作業や航空機との安全性に配慮し、視認性が高い鮮やかな青色に誘導してまいります。
 本年夏にはガイドラインの運用を開始し、事業者の協力を求めながら、中央防波堤地区の魅力ある景観の形成に努めてまいります。

○小宮委員 東京港の中でも、先日、視察で訪れた海の森は、ごみの山を美しい森に変えるという、前世紀の負の遺産をプラスの資産に変えるという世界に誇れる事業です。昭和四十八年から昭和六十二年にかけて造成した高さ三十メートルのごみの山を、多くのボランティアが植樹して美しい森へと生まれ変わらせる先例のない事業であります。
 二〇二〇年のオリンピック計画では、この海の森にクロスカントリーコースも設定され、カヌー競技が行われる会場にも面する立地であり、そろそろ一般開放をする時期が近づいているのではないかと思います。
 そこで、現在までの整備状況と、都としていつの開園を目指すのか、また、どのような公園を目指すのか伺います。

○多羅尾港湾局長 海の森は、面積約九十ヘクタールのごみの山を緑の島とする事業であり、現時点で約二十ヘクタールの造成と植樹を終えております。
 今後、森の育成や海辺のエリアの整備になお時間を要しますが、できるだけ早く都民に利用していただくために、まずは平成二十八年度中に四十七ヘクタールで一部開園を目指すこととしてまいります。それまでに森の中の散策や広場でのレクリエーション活動に加え、展示施設による環境学習等が楽しめる場を整備いたします。
 また、運営面では、これまでの植樹などの協働の実績を生かし、企業やNPOと連携する新たな協働事業の仕組みを早期に確立することで、魅力的なイベントの実施を初め、海の森を舞台にした多彩な活動を展開してまいります。

○小宮委員 四年後、平成二十八年度中の開園を楽しみにしています。
 また、平成十六年以来、我が党は日本ボーイスカウト東京連盟からの請願を受け、きょうは連盟の皆さんもお越しになられておりますが、この海の森で青少年のキャンプができるようにとの要望活動を、連盟の皆さんとともに行ってまいりました。
 ボーイスカウト連盟の皆さんにも、これまで苗木づくりや植樹に大変な協力をいただいております。海の森におけるボーイスカウトの活動の可能性について伺います。

○多羅尾港湾局長 これまでもボーイスカウト連盟には、事業の立ち上げの早期から植樹に参加していただくとともに、意見交換を重ねるなど、連携を密にしてまいりました。青少年の育成を図る団体の野外活動は、環境学習にもつながり、海の森のコンセプトに合致しております。そのため、一部開園時から、青少年が安心して十分に活動できるよう、広場などを積極的に整備してまいります。
 今後とも、ボーイスカウト等の青少年の育成を図る活動を、海の森の新たな協働の仕組みの中で生かしていく考えでございます。

○小宮委員 ボーイスカウト連盟の皆さんとも連携をしていただいている、その様子がわかりました。
 海の森という多様な人々の協働によりつくり出された貴重な自然の場を、少年たちの交流の場としてぜひ生かしていただきますように、今後もボーイスカウト連盟との連携を継続していただきたい旨、申し添えておきます。
 さて、ごみの山を美しい森に変えることも大事ですが、ごみを減らす社会づくりに取り組むことも大切です。多くの国民が、日々発生する食品廃棄物に対して、このままではいけないという意識を持っています。しかし、いざスーパーに行くと、なるべく新しい商品から手にしてしまったり、つい買い過ぎてしまう。賞味期限も気になる方が多いのではないでしょうか。
 このたび国は、食品業界を中心とした食品ロス削減のための商習慣検討ワーキングチームを立ち上げて検討を行い、今月五日には中間のまとめが公表されました。今後、新たなルールが正式に決まると思いますが、都としても、都内食品事業者や消費者への普及啓発への取り組みが必要です。
 都の平成二十五年度予算原案においては、新規事業として、事業系食品廃棄物対策事業が掲げられていますが、今後どのような取り組みを展開して食品廃棄物を抑制するのか伺います。

○大野環境局長 中身は問題なくても、ラベルの印字が間違っているとか、缶詰がへこんでいるとか、そういう商品の見ばえの問題でございますとか、それから、賞味期限の前でも早目に販売をやめてしまうというような商習慣がございまして、食品事業者からは、まだ食べられる食品が全国で年間三百万トンから四百万トンも捨てられているという現状がございます。この量は、日本の年間米生産量の約半分にも匹敵する非常に大きな量でございます。
 国の食品リサイクル法では、食品廃棄物の発生量等の報告は大規模事業者に限られておりまして、それも会社単位で行われているために、都道府県別のデータがわからないというような限界がございます。
 このため、都は、今後の新たな施策展開の第一歩といたしまして、来年度、食品事業者に対する調査を実施し、都内の食品廃棄物の排出量やリサイクルの取り組み事例などを調査することといたしました。
 また、法に基づき、リサイクルの取り組みは一定進んできたものの、発生抑制の方はなかなか不十分でございますので、特に東日本大震災以降注目が集まっておりますフードバンクの活動の普及啓発に努めるなど、発生抑制に向けた施策を強化してまいります。

○小宮委員 日本人のもったいないという精神を引き立てて、持続可能な資源循環型社会をこの大都市東京から実現するという気概を持って、食品廃棄物対策を進めていただきたいと思います。
 さて、震災以降は、特に食の安心・安全についても都民の関心が高まり、都市の農業が見直されつつあります。その中で、都市の農地が果たす役割については、これまでの緑の保全という観点だけでなく、目に見える場所で、顔のわかる人がつくる作物を地産地消する、そうした視点や災害の際の避難場所としても期待されています。
 しかし、地価の高い東京で農業を営むご苦労は絶えません。私も都の農業支援を受けて、パイプハウスを建てて生産性を高めている農家や、あるいは減農薬の取り組みを進める農家を視察してまいりましたが、国への税制改正の強い要望や家族経営の限界などといった人の不足、そうした苦労を伺いました。
 都市のように限られた農地や施設で、地方ですと、今、大規模に株式会社が農業経営に参入するといった例もありますが、東京のように、限られたその農地と施設で効率的な農業経営を行うためには、個人の都市農家に対して新たな技術の導入に向けた支援が必要です。都の方針を伺います。

○中西産業労働局長 都はこれまでも、東京都農林総合研究センターにおきまして、花や野菜の新品種開発や収益性を高めるための病害虫防除技術の開発など、さまざまな研究に取り組んでまいりました。
 一方、近年は、他県の大規模農業施設などで、植物の生育環境を制御するシステム等の先駆的技術が実用化されておりますが、小規模な施設が中心でございます東京の農業に導入するには、さらなる改良が必要でございます。
 このため、新年度から、東京農業イノベーションプロジェクトを実施いたしまして、小規模で収益性の高い東京型農業モデルの構築に向け、大学や民間企業等と連携して、生産性の向上や低コスト化等を図る先端的技術の調査研究を進めてまいります。
 こうした取り組みにより、技術革新を図り、新たな農業経営の確立に努めてまいります。

○小宮委員 技術支援だけでなく、やはり必要なのは人材の支援であると思います。
 私が視察をした三軒の農家のうち、一つは、ご家族でふだんはクリ畑を営んでいらっしゃるんですけれども、やはり収穫の時期になると、家族だけでは一気にそのクリを拾い切れないといったようなお話、また、今までは、両親とともに花と野菜をつくってきたけれども、お父さんを亡くされてから、個人で花と、そして野菜と両方営んでいくのはなかなかやはり難しい、後継者難といった課題も抱えているといったお話なども聞いております。
 都内には、定年を迎え、地域で活動をするようになった元気な人材がたくさんいらっしゃいますし、また、土や緑と触れ合える農業をやってみたいという、そうした都民も多くいます。農家にとっても、収穫や草刈りなどの簡単な作業をボランティアで手伝ってもらいたいんだという方や、あるいはトラクターによる整地などの本格的な作業を任せたいという方までおられます。
 こうした都民と農家の要望をつなぐこと、そうしたことは本当に難しいんですが、この都市の農業を支援する上で大変大切であると思います。そこで、この点について都の今後の取り組みを伺います。

○中西産業労働局長 これまで都は、援農ボランティアなど、農業の多様な担い手の育成に努めてまいりました。新年度からは、収穫や草刈りから、より専門的な農作業までを含めたニーズにも幅広くこたえるため、農作業サポーター支援事業を実施いたします。
 具体的には、援農ボランティアの技術力の向上を図るため、ブドウなどの果樹の管理や農業機械の操作など、実践的な技術研修を行ってまいります。また、農作業の請負事業への参入を新たに希望するNPO等を対象といたしまして、作業手順や安全管理等、運営のノウハウを習得できる研修会を開催いたします。
 このような取り組みにより、支援を充実し、多様な担い手の育成を促進してまいります。

○小宮委員 先日、その農家の方から、やはり最近要望が多いなと思うのは、その農地の一角、防災としての機能を備えるためにも、防災井戸を掘りたいというお話がありました。しかしながら、やはり個人で掘るには大変な予算がかかります。そうした農家に対して、都も補助を出せる、そうした制度があるんですが、実は調べてみますと、区に対して前年度に要望が具体的に上がっていないと、その農家に東京都の予算が適用されないというようなこともありますし、やはり各区市町村ごとに農業に対する取り組み方が違っておりますけれども、そうした区市町村、地元自治体とも連携をしながら、この都市の農業をしっかりと進めていっていただきたい、私どもも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 人と人とをつなぐということは、政治や行政の大変重要な役割であります。国はやらないこと、区市町村の力だけではできないこと、都民の生活を支え、日々を安全に豊かにする東京ならではの取り組みを期待するところです。
 きょう、こうして初めての予算委員会で質疑をさせていただく、この質疑に臨むことができたのは、先輩の議員の皆様のご指導と、そして理事者の皆様のご協力、また、都民の皆さんからの多くの貴重なご要望があってこそのことと、この場をおかりして、最後になりましたが感謝を申し上げ、小宮あんりの質問を終わります。

○村上副委員長 小宮委員の発言は終わりました。(拍手)

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