予算特別委員会速記録第三号

○村上副委員長 中山信行委員の発言を許します。
   〔村上副委員長退席、谷村副委員長着席〕

○中山委員 初めに、食の安全、新市場整備について質問いたします。
 築地市場は敷地が狭く、荷置き、荷さばき、積み込みのスペースが大幅に不足。しかも、夜半の限られた時間帯に搬入、搬出、場内運搬や買い出し入れの車両が複雑な動線を描き、煩雑に行き交っています。
 築地の市場としての機能は、卸、仲卸などの場内業者だけでなく、市場内外の配送業者の活躍もあって維持されているものと考えます。
 まず、その現状をご報告願います。

○塚本中央卸売市場長 築地市場においては、取引にかかわる卸売業者、仲卸業者や、これらを補完する関連事業者など許可を受けた場内業者のほか、ご指摘のとおり、場内業者から発注を受け、場内から他市場や小売店への配送等を行う許可を受けていない市場にかかわる業者がおり、あわせて市場流通を担っております。
 これらの市場にかかわる業者の実情については、場内業者と同様、入場車両の登録や関係団体への加入がなされているものの、業務実態を都に報告する義務はなく、市場流通以外の業務を行うものもあるなど、市場における事業展開の程度はさまざまでございます。

○中山委員 つまり、場内業者は都から直接に業務許可。都が責任を持って豊洲へ移転。それに対し、場外業者は場内業者との民民契約であり、基本的には自助努力で移転というわけでございます。
 しかし、都がその業務実態を把握していないとはいえ、場外業者も量販店や業務関係筋への配送など、築地市場を支える重要な役割を果たしていることに変わりはありません。
 豊洲新市場が所期の目的を果たすためには、場内業者以外の業者も安心して移転できるよう支援すべきであります。見解を伺います。

○塚本中央卸売市場長 都が実施しておりますさまざまな支援のうち、個々の業者に対しては、移転への理解促進と不安解消のための相談窓口として移転サポート相談室を設置し、ご指摘の市場にかかわる業者の方々についても区別することなく移転等の相談に応じ、新市場に関する情報を提供しております。
 また、都は昨年一月に、卸、仲卸、関連事業者等を対象とする移転支援策を発表いたしましたが、許可業者のほか、業界団体に対しても、これらに準じた支援を検討することとしております。
 今後は、市場運営に必要な事業者が開場時期に円滑に豊洲新市場に移転できるよう、該当する関係団体とも協議しながら調整してまいります。

○中山委員 許可業者以外にも支援を検討するという大事な答弁でございました。
 これまでは、こうした議論が後回しにされてきました。しかし、今後はすべての業者が安心して移転できるよう、議会としても力を注ぎ、都にも万全な対策を求めたいと思います。
 築地市場の物流動線が錯綜している原因は、施設整備がトラック物流ではなく鉄道物流を想定したものであったからであります。移転後は敷地も広がり、最新の物流システムにかなうものと期待しておりますが、もともとこの点の改善を目指して豊洲に移転するのですから、物流は築地時代よりもはるかによくなって当然であります。
 場内やアクセス道路における渋滞回避はもちろんのこと、荷さばき場が混雑して使えないといったことでは困ります。見通しを明らかにしていただきたいと思います。

○塚本中央卸売市場長 豊洲新市場の施設計画におきましては、広大な敷地に十分な駐車場や荷さばきスペースを確保し、商品の仕分けや荷の積み込みが行いやすいようにしたほか、各街区には外周道路を効果的に配置し、搬出入車両の錯綜を解消するなど施設面での物流の改善を図っております。
 また、情報技術を活用して車両の入退場管理を行うとともに、卸売業者の入荷情報などをもとに搬入車両の誘導を行うなどの対応も図ることとしております。
 このため、豊洲新市場では場内の道路が渋滞することなく、市場利用者が場内で荷物の積み込み作業を安心して効率的に行うことができると考えております。
 今後とも、引き続き市場業界と十分な協議、調整を行いつつ、豊洲新市場における効率的な物流の実現に努めてまいります。

○中山委員 開場時までにすべての準備が順調に整うよう、物流についても市場業界と検討する組織を立ち上げ、綿密な協議を行うべきです。
 加えて、市場業界の協力を得て、開場前に場内物流の予行演習を行うなど、円滑な移転に向け十分に配慮していくよう要望します。
 築地市場の豊洲移転は、いまだかつて経験したことのないスケールの大きな卸売市場の移転であり、世紀の大事業であります。後世のためにも必ず成功させなければなりません。
 豊洲新市場への移転に向けて、猪瀬知事の決意をお伺いしたいと思います。

○猪瀬知事 東京は世界のあらゆる食が集まり、しかも、それらがおいしく味わえる、ほかに例を見ない都市であり、それを支える拠点が、現在は築地市場であります。
 ミシュランの星の数、レストラン、パリより東京の方が多いんですから。ただ、パリにはランジス市場という、でっかい、二百ヘクタールぐらいのがあるんですね。マドリードにもメルカマドリード市場、大体築地の十倍ぐらいの市場、豊洲の四、五倍ですね。
 そういう市場があって、しかも、例えば築地ではマグロを板の上に載せてやっていますけれども、パリの市場はガラスの中で零度から一度に気温が保たれていて、競りは、そこに入って番号をメモして、出てきてからやるんですね。そういうようなことで、新しい時代に即したものにしていかなければいけない。
 そういうことで、都市間競争を勝ち抜いていく上で重要な魅力の一つである食の充実が東京の魅力をさらに高める。そのためには、世界に誇れる卸売市場がなければだめだということになります。
 築地は、ご存じのように老朽化が著しくて、トラック輸送の物流にも対応していない。鉄道仕様でできていますから、顧客ニーズに対応可能な新たな施設、あそこで施設整備をするのは困難で、このまま手をこまねいていれば、世界と戦うどころか、国内の食の流通そのものにも対応できなくなるおそれがあります。
 このため、多様な食文化を力強く支え、その魅力を幅広く発信する、世界に誇れる卸売市場として豊洲新市場を着実に整備していきます。

○中山委員 知事、ぜひ一緒に頑張りたいと思います。
 次は、水道水の安定供給であります。
 足立区では、江北給水所の整備が進められてきました。しかし、現在は諸般の事情により、工事の一時中断を余儀なくされております。給水所は水道の安定供給に役立つだけでなく、震災時には大切な給水拠点となるものであり、早期の完成が待ち望まれております。
 そこで、工事再開に向けた取り組みを伺います。

○増子水道局長 現在、足立区西部地域には、葛飾区にある金町浄水場から直接給水しておりますが、この地域の給水の安定性を向上させるため、五万立方メートルの配水池を有する江北給水所を建設中であります。
 これまで、掘削、土どめ工事を行ってまいりましたが、昨年三月、本工事の影響によりまして、隣接する環状七号線側道部で陥没が発生いたしました。このため、工事を一時中断しております。
 今後、給水所整備工事を安全に再開できるように、先行して地盤改良工事を行う予定であり、関係機関との調整が整い次第、地元町会や近隣住民に周知の上、速やかに工事に着手いたします。
 平成二十八年度の完成を目指して整備を進めてまいります。

○中山委員 ぜひ、おいしい水の安定供給のために、周辺への対策を万全に講じた上で、早期の再開を実現していただきたいと思います。
 江北給水所は、都道環状七号線と鉄道駅の連結点に位置し、好立地に恵まれ、配水池上部などの敷地内スペースの有効活用に熱い期待が集まっております。計画の立案に当たっては、集客が見込める、にぎわいのある施設誘致を求める地元の声を反映させるべきです。所見を伺います。

○増子水道局長 江北給水所用地は、交通至便の好立地であることから、さまざまな用途での活用が検討可能であります。
 このため、本件用地の活用につきましては、今後の工事の進捗状況や、事業化時点における社会経済状況を踏まえ、配水池上部という事業上の制約、立地特性等を総合的に勘案し、地元の意見も考慮しながら検討してまいります。

○中山委員 都政全体の政策効果や地元の意見を考慮し、検討を進めていただくことを重ねて要望させていただきます。
 次いで、スポーツ振興についてお伺いいたします。
 国体の本大会が、あと半年余りに迫っております。これまでのところ、区市町村の協力を得て、ジュニアアスリートの育成は順調とのことでございます。
 東京都ジュニア強化選手には、私の地元足立区からも四十二名の小中学生が認定されており、全国大会での準優勝や三位入賞など、着実に成果が上がっております。
 先日も、足立区の少年サッカーチームが城東ブロックで優勝。余りの感激に関係者が新聞を作成されました。これが実物でございます。そして、その一面を拡大したものがこちらでございます。データや表ではございませんで、申しわけございませんけれども、アジアで優勝したわけではありません。東京の城東ブロックで優勝しただけで、この感激でございます。
 実は、足立区サッカー協会の皆さんは、先ほどの江北給水所の配水池上部に、足立区で初の少年サッカーの専用グラウンドの設置を熱望しております。
 私が申し上げたいことは、このように地元の子どもたちがさまざまなスポーツで上位入賞すると、地域は大いに盛り上がり、活気づくということであります。まさしくジュニアアスリート育成事業を通じた都政全体の政策効果への貢献大であります。スポーツ祭東京二〇一三においても、東京の選手が活躍すれば、都民に感動と元気を与え、スポーツ熱が一層高まります。
 そこで、これまでの都の取り組みがもたらした競技成果などを明らかにしていただきたいと思います。

○細井スポーツ振興局長 都はこれまで、スポーツ祭東京二〇一三における国民体育大会での総合優勝を目指しまして、東京都選手をジュニア世代から発掘、育成、強化する競技力向上施策を総合的に推進してまいりました。
 その結果、昨年の、ぎふ清流国体には、都が認定したジュニア強化選手三十九名が入賞したほか、ジュニアアスリート発掘・育成事業において育成した選手からは、育成開始後、わずか一年半で優勝者を輩出しております。
 さらに、ロンドン・オリンピックで水泳競技に出場した渡部香生子選手を初めとして、国際大会においても大きな成果を上げているところでございます。

○中山委員 一層の活躍を期待したいと思います。
 多くの子どもたちがスポーツで才能を開花させ、トップアスリートとして国際舞台で活躍していく姿は、都民の郷土意識を自然にはぐくむとともに、世界に向け、スポーツ都市としての東京を強く印象づけるものと考えます。
 ロンドン・オリンピックでの好成績は、日本人のチーム競技における団結力や、科学的な情報分析力の大きさを物語りました。体格には恵まれなくても、日本人には別の種類のスポーツ才能があるといえます。
 都は今後、三年後のリオデジャネイロ、七年後の東京オリンピックなど国際舞台での活躍を見据え、さらなる競技力の向上を目指すべきです。スポーツ振興局長の抱負を伺います。

○細井スポーツ振興局長 今日、国際大会で勝ち抜いていくためには、医学的、科学的な情報を積極的に取り入れて試合に臨むことが不可欠となっております。
 このため、都内の大学機関などが有する最新の知見や技術を活用するとともに、大会現場でのより実戦的な戦略分析などを行うテクニカルサポート事業などにも力を入れていくことが重要と考えております。
 また、ジュニアアスリート発掘・育成事業に関しては、国の総合評価において最上級の評価を得たことから、これまで中学二年生のみだった募集対象を中学一年生からとし、事業規模を拡大してまいります。
 今後、これまでの競技力向上の取り組みで培ったレガシーを生かしながら、国際的な大会を見据えて、さらなる競技力の強化に取り組んでまいります。

○中山委員 最上級の評価をかち取ったとは、すごいですよね。
 ご答弁でありました医学的、科学的なサポートは、体罰などといったものとは対極にあり、世界に誇れる取り組みであります。
 ぜひとも、この機会にスポーツ都市東京の礎を築いてもらいたいと思います。
 次いで、都営住宅について伺います。
 高齢化は、今日、広く社会全般に通じる課題ですが、とりわけ都営住宅では、その傾向が強まっております。現在の都営住宅内の年齢別の居住者バランスは、住宅セーフティーネットとしての社会的使命を果たしてきたことに伴う、やむを得ない結果であるとはいえ、ある意味、人為的操作の結果でもあります。都は、管理運営者として、その結果に伴う影響を最小限にとどめる責任を負うものと考えます。
 例えば、望ましい避難誘導のあり方としては、震災発生時にあっても、都営住宅に集中する高齢者や障害者が安心して団地内で居住し続けられるよう、環境を整えるべきであります。周辺地域が避難計画を立案する上でも、大事な前提条件となります。
 一方、首都直下型地震にあっては、都内各地のエレベーターの復旧が相当程度おくれることが見込まれております。高齢者や障害者の占有率が高い都営住宅においてエレベーターが使えなくなる場合、自治会などが自主的に備蓄している水や食料、簡易トイレなどのほか、負傷者を運ぶための担架や扉をこじあける救助用器具などを階段で迅速に高層階へ運び上げることは大変困難であります。
 一刻を争う事態も想定されます。共助が迅速に実践されるためには、当然、団地内の共用部分などで防災用物資の備蓄箇所をふやすことが望ましい。集合住宅の建物内に備蓄スペースの設置を求める自治体の動きも強まっております。管理者である都は、備蓄スペースを団地敷地内だけでなく高層階などの建物内にも確保するべきであります。見解を伺います。

○飯尾都市整備局長 防災用物資の備蓄スペースにつきましては、条例等により、建物の建築時などに設置を義務づけている自治体もございまして、都営住宅の建てかえに当たりましては、条例等の規定に基づき設置をしております。
 今後、ご指摘を踏まえまして、義務づけのない自治体における都営住宅の建てかえに際しましても、共用部における設計上の工夫などを図りながら、救助用器具など防災用物資を備えるスペースを住棟内に確保することについて検討を進めてまいります。

○中山委員 ぜひ、都内全体の広がりをよろしくお願いしたいと思います。
 近年、体調の急変に備え、自動体外式除細動器、いわゆるAEDの設置を図る取り組みが広がっており、都営住宅においても、その設置を望む声が強まっております。しかし、課題は、費用負担と適切なメンテナンスにあります。
 他県市では、民間事業者の参画を得て、AEDを飲料などの自動販売機に組み合わせるなどして、こうした課題を解決している事例があると聞いております。
 そこで、都営住宅においても同様の工夫に取り組むなどして、AEDの設置を進めるべきと考えますが、見解を明らかにしていただきたいと思います。

○飯尾都市整備局長 AEDの設置は、地域住民の安全・安心の向上に有意義でございまして、都営住宅においても、団地自治会がAEDを設置する場合には、団地の管理上支障がない範囲で承認をしてまいります。
 お話の民間事業者が自動販売機と組み合わせてAEDを設置している他県市の事例なども参考にさせていただきながら、都営住宅におけるAEDの設置について検討を進めてまいります。

○中山委員 ぜひ、迅速な実現をお願いしたいと思います。
 孤独死を防ぐ見守りなどの安否確認の推進は、高齢者や障害者の安心・安全を確保する上で重要であります。
 都は、過去の不幸な事件の再発を防止するため、適切な安否確認の体制を講じつつあるものと伺っております。
 しかし、いまだ悩ましい課題は、個人情報の壁であります。抜本的には国が法制度を実際の国民利益にかなうよう改善するべきものと考えますが、それが整うまでの間も、都は日々迫りくる現実の要請にこたえなければなりません。
 そこで、都は今後、都営住宅において、区市町村の福祉関係職員との共同を進めて、安否確認を行う上で必要な情報を実質的に共有すべきと考えます。
 都の今後の安否確認の取り組み内容を伺うとともに、あわせて、孤独死などを防ぐための団地内コミュニティの促進策について見解を求めます。

○飯尾都市整備局長 都では、二十四時間三百六十五日対応できる緊急時の連絡体制を整備いたしまして、居住者に対しまして、広報紙や団地内の掲示により周知をしてまいりました。
 また、安否確認に当たりましては、迅速に入室することといたしましたほか、地元自治体と一体となって行動できるよう、緊急時の情報の共有化に向けた協定の締結を始めたところでございまして、今後、この取り組みを拡大してまいります。
 さらに、現在、団地自治会による見守り活動等の事例を収集しているところでございます。今後、自治会等に情報提供し、居住者の助け合いなどコミュニティ活動が進んでいくよう支援してまいります。

○中山委員 コミュニティの形成は、コミュニケーションの成立が前提でありますが、聴覚に障害のある居住者だけでなく、日本語を理解できないと称する外国人もふえております。自治会から依頼があった場合には、外国語通訳者や手話通訳士などを現地に派遣するなどの支援を強化すべきと要望させていただきます。
 都営住宅の居住者の高齢化がこのまま進行していくと、自治会活動の担い手が不足し、コミュニティ活動が困難に陥ると危惧しております。
 そこで、都は、少子化対策という社会的課題にこたえるためにも、また団地コミュニティの活性化を図る上でも、若い子育て世帯の入居を一層促進するべきであります。拡大の意向を伺います。

○飯尾都市整備局長 少子高齢化が進行する中で、都営住宅におきまして、子育て世帯など若い世代の入居を図るとともに、コミュニティの活性化を図ることが重要と考えております。
 これまでも、入居者の募集に当たりまして、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度や、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施してきたところでございます。
 今後、事業全体について、これまで以上に工夫を行って空き住戸の確保を進めまして、子育て世帯につきましても募集戸数の拡大を図り、若い世代の入居をさらに促進してまいります。

○中山委員 ぜひ、二十五年度での拡大をよろしくお願いしたいと思います。
 次いで、障害者施策に移ります。
 まず、パーキングパーミットの推進であります。
 パーキングパーミットは、障害者専用スペースに駐車される方が、その制度に正しく準拠した利用者であることを、みずから周囲の人にわかりやすく表明するための制度であります。
 私は、平成二十二年十一月、都議会公明党の一員として佐賀県庁を訪れ、その取り組み模様を視察しました。都議会公明党は、その前後で議会提案を重ね、都は、昨年の第四回定例会の我が党の代表質問に、実態調査の結果を踏まえ、駐車スペースの管理者向けのガイドラインの策定を検討すると答えております。その具体的な内容をお伺いします。

○川澄福祉保健局長 都は、障害者用駐車区画の適正利用を推進するため、来年度、施設管理者向けのガイドラインを策定いたします。
 ガイドラインでは、施設管理者が対策を講じる際に参考となるよう、区画の法令上の整備基準や、施設の規模や管理形態に応じた効果的な対策事例を取りまとめることとしております。
 具体的な対策事例では、昨年行った調査で効果があるとされた、目立つ色による区画の塗装、利用対象者を明示した看板の設置、警備員、誘導員の配置などの実施例を掲載いたします。
 また、内部障害者や難病患者なども含め、必要な方が当該区画を円滑に利用できるよう、対象車両を識別する方策についても盛り込む予定でございます。

○中山委員 今のご答弁にありましたとおり、周囲の人から見てわかりやすい識別方法が大切であります。識別マークそれ自体は、障害の種別や歴史的経緯に応じ、さまざまであります。当面は、愛着のあるそれぞれのマークを継続して使用する方法でも構わないものと考えます。
 問題は、そうした識別表示を掲示する台座であります。(実物を示す)これが佐賀県で使っているものであります。男性用と女性用かもしれませんけれども、こういったものでございます。これが佐賀県で使っているものでございますが、この台座の色や形、掲示方法さえ統一しておけば、遠くから見ても一目でパーキングパーミットとわかります。例えば、こういったものを用意してくっつけておくと、(実物を示す)これはヘルプカードですけれども、その中にハート・プラスマークを入れたっていいし、それぞれの団体のいろいろなものを掲げても構わないと思います。
 都は、識別表示を掲示する位置、形状等の方式をわかりやすく統一すべきと考えますが、見解を伺います。

○川澄福祉保健局長 施設管理者や駐車場利用者に、障害者用駐車区画の対象車両であることを示す手法として、ガイドラインには、標章の掲示などを記載する予定であります。
 掲示に当たっては、車外から見やすく識別しやすくすることが重要であり、お話のとおり、掲示する位置や形状などの表示方式を定めることが効果的であります。
 今後、車のダッシュボード上への掲示やバックミラーへのつり下げなど、表示方式について検討し、ガイドラインには標準的な方法を盛り込んでまいります。

○中山委員 佐賀の県立施設を視察した際、たまたま障害者専用スペースに駐車されたご年配のご夫妻と出会いました。視察団の全員が熱いまなざしを注ぐ中、ご夫妻は、ちゃんとこの標識をルームミラーに掲げて降車されました。
 佐賀県は、私の父のふるさとでございます。さすが、すばらしい県民性だなと少々誇り高く感じた次第であります。
 オリンピック・パラリンピックの日本招致が実現した際には、猪瀬知事、東京じゅうでこのパーキングパーミットを推進して、都民の高い精神性を世界に示していくことを提案いたします。ぜひ、よろしくお願いいたします。
 続いては、障害者向けの職業訓練であります。
 障害者の就労においては、正式採用につながる中間的雇用などの就労体験が効果的であります。働く意欲と自信が深まります。
 しかし、障害者の法定雇用率の引き上げを目前に控えながら、いまだ職場体験実習の機会は不足しております。
 都は今後、そうした機会の充実を目指し、協力企業へのインセンティブを一層強化すべきであります。来年度の取り組みを伺います。

○中西産業労働局長 都は、東京しごと財団を通じまして、職場体験実習を実施する企業の開拓や、障害者就労支援機関への紹介などを行ってまいりました。
 新年度は、企業の開拓や、業務の選定等についての助言を行います障害者雇用支援アドバイザーを増員いたします。また、実習を受け入れる中小企業に対し、受け入れに必要な諸経費の支援を新たに行うことにより、実習先をふやしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、障害者雇用を一層促進してまいります。

○中山委員 受け入れに伴う諸経費の支援を新たに開始するということで、大きく企業に対して働きかけができるものと期待しております。
 平成十九年の第二回定例会で、私は、精神障害者や発達障害者向けの職業訓練に取り組む埼玉県所沢市の国立職業リハビリテーションセンターの活動を紹介させていただきました。今般、そうした働きかけが実り、都は来年度、小平市にある東京障害者職業能力開発校で職域開発科を開設するそうでありますが、精神障害や発達障害向けには、一人一人の障害状況に応じた個別性の強い訓練が必要となります。
 また、城東職業能力開発センター足立校では、知的障害者向けの実務作業科が設置されております。私が平成十九年の予算特別委員会でその必要性を訴え、実現をしていただいたものでございますが、定員を超える応募が続いており、増員を望む声が高まっております。
 都は、精神障害者や発達障害者向けのきめ細かい訓練を実施するとともに、足立校の実務作業科の定員を増加すべきと考えます。見解を伺います。

○中西産業労働局長 都が新年度より開設いたします精神障害者や発達障害者を対象とする職域開発科では、個々の希望や適性に応じた訓練が受講できるようカリキュラムを細分化し、コースや実習を柔軟に選択できる方式を採用いたしました。
 また、精神保健福祉士等が日々の体調の変化に配慮した健康管理や生活指導なども実施いたします。
 加えまして、職場定着支援員を設置し、訓練から就職、職場定着まで一貫した支援を展開してまいります。
 知的障害者を対象といたします足立校の実務作業科につきましては、毎年度定員を超える応募があること等を踏まえまして、新年度は定員を十名から二十名へと拡充いたします。

○中山委員 発達障害者の方が区部から小平市の方に通うということは、なかなか大変なことがあるんではないかと思います。将来的には、ぜひ区部にも設置をお願いしたいと思います。
 また、平成二十七年に城東職業能力開発センターの本校としてリニューアルオープンする現足立校では、若者向けの職業訓練の新メニューの創設もお願いしたいと思います。あわせて要望とさせていただきます。
 それにしても、発達障害という個別性の強い障害に対して、粘り強く職業訓練の機会を準備して、実現していただいたことを評価させていただきたいと思っております。
 次に、教育について質問させていただきます。
 まず、小学校段階での学力向上であります。私は、昨年の第一回定例会の一般質問で、学力向上策の検証と都民へのわかりやすい情報提供を求めました。さまざまな方法をさまざまな学校で取り組んでいるということだけでは、いつまでたってもその前進感が実感できないということであります。
 あれから一年が経過いたしました。その後の都教育委員会の取り組みの成果をお伺いしたいと思います。

○比留間教育長 都教育委員会は、平成二十三年度から、都独自の学力調査において、各教科の到達すべき学力のレベルを示すとともに、区市町村別の正答数分布を教科ごとに公表をしております。
 このことによりまして、各地区や学校においては、学力の定着状況の経年変化の比較や、お話の学力向上策の検証についても具体的に行えるようになりました。
 また、学力向上施策の一環として実施をしております習熟度別少人数指導の指定校では、習熟の程度に応じて指導方法や教材を変えることにより、都が行う調査において正答率が上昇するなどの成果を得ることができました。
 都教育委員会は、今後、習熟度別少人数指導の指定校の取り組みや指導の有効性を新たにリーフレットにまとめ、都内全公立小中学校に配布をしてまいります。

○中山委員 単に習熟度別にクラスを分けただけではだめ。指導方法も習熟度別に工夫しなければならない。当たり前の話でありますが、それが如実に数字としてあらわれた意義は大きいと考えます。しっかりとした取り組みが今後進んでいくものと期待しております。
 私は、足立区立の千寿第二小学校を卒業しました。私のクラスでは、十名ほどが私立中学に進学いたしました。私もその一人でございます。また、地元の公立中学に進んだ同級生も、後に少なからず国内有数大学に合格しております。
 小学校段階での基礎学習は大切であります。しかも、私が母校で恩恵を受けた経験に照らせば、今いる教育人材の有効活用を適切に図るだけで確実に成果は上がるものと考えます。
 二十五年度から、新規事業として学力向上パートナーシップ事業を行うと聞いております。この事業におきましても、効果を検証し、都民にわかりやすい情報提供を行い、確実に学力の向上、底上げを図るべきと考えます。見解を伺います。

○比留間教育長 学力向上パートナーシップ事業は、都教育委員会が区市町村教育委員会と連携して、都内八カ所に中学校一校と近隣の小学校二校程度から成る重点地区を指定し、反復学習の徹底、個人カルテの活用、家庭学習の習慣化など、学習がおくれがちな児童生徒に対する効果的な指導方法の開発等を行うものでございます。重点地区では、学力向上に関する数値目標をそれぞれ設定し、都教育委員会が作成する調査問題を活用して定期的に成果を検証してまいります。
 都教育委員会は、これらの取り組みの成果などを全公立小中学校に普及し、東京都全体の学力の向上、底上げを図ってまいります。また、重点地区による合同の成果報告会を開催するほか、ホームページなどを活用して取り組み内容と成果を紹介するなど、広く都民に情報提供をしてまいります。

○中山委員 ぜひ、学力向上パートナーシップ事業が、足立区など磨けば光る人材が豊富な地域で大きな成果を上げていくことを期待しております。
 教育人材の活用という点では、団塊の世代の大量退職に伴う若手教員の育成が大切であります。そのためには、経験豊富で指導力のある退職教員がペアで学級を担任しながら新人教員の育成を担う、都の学級経営研修事業をぜひとも成功に導かなければなりません。そのため、私は応援の気持ちを込め、育成教員自身による体験談の作成を通し、そのモチベーションの向上と次年度事業への活用を提案しました。
 この体験談をまとめた実践報告書が、現在、小学校に配布されていると聞いておりますが、その活用状況を明らかにしていただきたいと思います。

○比留間教育長 都教育委員会は、平成二十二年度から、小学校の新人教員育成のため、学級経営研修を導入しておりまして、実践報告書は、新人とのコミュニケーションのとり方や二人担任制での分担や連携、新人の自立に向けた一年間の指導方法など、育成教員全員が実際に取り組んだ工夫や成果をまとめたものでございます。
 この報告書は、新たな育成教員に対する研修教材として毎年作成をしており、育成教員のさまざまな実践事例を伝えることにより、指導者としての意識を高め、新人をより効果的に指導育成するために活用をされております。
 また、育成教員自身が、みずからの一年間の取り組みを振り返ることで研修内容の改善に取り組み、指導の質的な向上が図られるなど、学級経営研修の充実に効果を上げているところでございます。

○中山委員 体験談の提案には、育成教員というすばらしいセカンドライフを選択してくださるベテラン教員をふやしたいとの願いもございました。実践報告書などの取り組みを通し、育成教員はどの程度確保されるようになったのかをお伺いします。
 あわせて、今年度の公立小学校の新規採用教員は千八百名にも及びます。都は、あらゆる方法を講じて、より多くの育成教員を確保すべきと考えます。今後の取り組みを伺います。

○比留間教育長 学級経営研修を開始いたしました平成二十二年度当時、約八十人であった育成教員は、現在二百人となっております。
 この研修を円滑に実施するためには、児童への高い指導力に加え、社会経験のない新人を一人前に育てる力のある人材を育成教員として確保する必要がございます。都教育委員会は、意欲と能力がある退職者の活用を図るため、今年度から、定年退職者だけではなく、勧奨退職者なども活用する取り組みを始めております。
 今後は、区市町村教育委員会と連携を密にし、すぐれた人材を指名して、育成教員となるように働きかけてまいります。
 また、募集説明会に、退職予定者だけでなく、退職を数年後に迎える教員も新たに参加をするようにし、育成教員の職の魅力を伝える機会を設けることにより、計画的な増員に取り組んでまいります。

○中山委員 八十名から二百名にふえたということで、大変うれしく思います。育成教員の方々の直接のお話で、ぜひ次の育成教員の候補者をふやしていっていただけるようお願いしたいと思います。
 二十年、三十年、四十年、東京の教育界で働いてきた方々が、自分のノウハウと情熱を一年間に一人ずつ新人教員に注ぎ込んでいく。東京の教壇に自分の分身ともいうべき財産を残していく。そうした取り組みの成功で学力向上を果たしていく。これが本当の行政の教育の取り組み方だと私は思っております。これからもご努力、そしてそのご活躍をお願い申し上げます。
 以上でございます。(拍手)

○谷村副委員長 中山信行委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

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