予算特別委員会速記録第三号

○斉藤委員長 次に、中屋文孝委員の発言を許します。
   〔委員長退席、村上副委員長着席〕

○中屋委員 自民党の中屋文孝でございます。限られた時間でございますので、知事並びに局長の皆様方には、前向きなご答弁をいただきますようご協力をいただきたいと思います。
 初めに、観光について伺ってまいります。
 今、旅行市場では、外国人旅行者の誘致をめぐる国際的な都市間競争が激しさを増しております。特に、アジアにおける競争は熾烈となっております。
 しかし、我が国の外国人旅行者の受け入れ数は、過去最多の八百六十一万人となった平成二十二年でさえも、世界第三十位という低い水準にとどまっております。アジアに限って見ても、シンガポールや韓国を下回る第八位に甘んじております。
 我が国が激しい旅行者誘致競争を勝ち抜いていくためには、あらゆる知恵と工夫を凝らし、外国人旅行者誘致に戦略的に取り組んでいかなければなりません。
 その際、観光の目的が単に旅行者の数をふやしていくというだけでは、さらなる発展が期待はできません。東京ならではのホスピタリティー、すなわち、おもてなしの心により訪れた人を喜ばせ、楽しませ、満足させて、再び訪れたいという気持ちにさせる魅力ある観光を創造していくことが重要であります。
 さて、今、観光産業振興を図る上でとりわけ注目されている取り組みの一つが、MICEの誘致であります。
 MICEは、国際会議を初め、展示会や見本市、企業系会議などを総称するもので、海外の諸都市では、こうしたMICEの誘致に大変に力を入れております。
 そこで、MICEの誘致が観光産業を振興する上でなぜ重視されているのか、その理由について都の認識をお伺いいたします。

○中西産業労働局長 MICEは、主にビジネスを目的として開催されるものでございますが、宿泊や会議施設だけでなく、飲食、ショッピング、レジャーなど、幅広い観光関連分野で開催都市に経済波及効果をもたらします。
 観光庁によりますと、国内で一万人規模の国際会議が開催された場合、経済波及効果は約三十八億円とされております。また、MICEは、一度に多くの参加者に東京を体感していただくとともに、東京の魅力が海外に広く発信される機会でもございます。さらに、東京に魅力を感じた人々が再び観光客として訪れるなどの継続的な誘客効果も期待できます。
 こうしたことから、MICEの誘致は東京の観光産業を振興する上で重要な意義を有するものと認識しております。

○中屋委員 やはり東京もMICE誘致を一層進め、激しい都市間競争を勝ち抜かなければならないと強く感じます。
 折しも昨年の十月、IMFと世界銀行の年次総会が東京で開催をされました。四十八年ぶり、二回目の東京開催となるこの国際会議は、世界でも枢要なMICEの一つであり、東京を訪れた公式参加者数は一万一千人を超えるなど、規模も大きく、その受け入れに都も大いに力を尽くしたと聞いておりますが、都は、IMF、世界銀行の年次総会の開催都市としてどのように取り組み、観光の視点からどのように東京をアピールしたのかお伺いをいたします。

○中西産業労働局長 IMFと世界銀行の総会では、都は開催都市として会議運営を支援するほか、参加者が東京の魅力やホスピタリティーを体感できるよう、さまざまな取り組みを行いました。
 例えば、外国人に人気の高い浅草や築地などをめぐるバスツアーに加え、すぐれた技術力を持つ中小企業の見学会なども実施いたしました。また、着つけ、生け花等の体験プログラムなど、参加者に我が国の伝統的な文化を堪能していただく機会を提供いたしますとともに、参加者が都内を自由に散策できるよう、民間鉄道事業者と連携し、交通フリーパスを発行したところでございます。
 一方、会場周辺地域の自発的な取り組みといたしまして、銀座や日本橋では画廊めぐりや人力車乗車体験など、多くの観光イベントが開催されました。東京のこうしたきめ細かなおもてなしの心について、参加者や主催者から高い評価を得ることができたと考えております。

○中屋委員 実は、このIMFと世界銀行の年次総会は、急遽、東京での開催が決定し、通常よりも短い期間で準備せざるを得なかったそうであります。しかし、都を含めた関係者の努力によってすばらしい運営がなされ、参加者や主催者から多数の感謝、称賛の声が上がったと私も聞いております。
 今回の取り組みは、開催都市としての機能やホスピタリティーにおける東京のレベルの高さを物語っており、まさに都市のプレゼンスを高める取り組みといえるのではないかと思います。答弁にあったように、円滑な会議運営はいうまでもなく、きめ細かいさまざまなサービス、対応を提供できるということが海外の方々にとっての東京の大きな魅力となり、再び訪れていただくきっかけになるのだと思います。
 また、今回のIMFで、都庁各局や区市町村が一丸となって取り組んだことも忘れてはなりません。今後も都庁各局や区市町村が縦割りの壁を打ち破って、しっかりと連携をして東京のホスピタリティーを発揮してほしいと思います。
 さて、MICEの誘致、開催についてでありますけれども、アジアではシンガポール、ソウルなどが特に力を入れております。東京の強力な競合都市になっていると聞いておりますが、そこで、東京の競合都市におけるMICE開催の実績について、東京との比較を踏まえてお伺いいたします。

○中西産業労働局長 国際会議に関する統計調査を行う国際的な機関でございますUIAによると、都市別の国際会議開催件数で、東京は平成十九年に世界十一位の百三十五件でございましたが、平成二十三年には世界七位の百五十三件となり、件数はふえ、順位も上昇しております。
 一方、平成十九年に東京と同順位でありましたソウルは、平成二十三年には世界五位の二百三十二件となっており、東京の開催実績を大きく上回っています。
 さらに、シンガポールについては、同じ期間に四百九十件から九百十九件と件数が大幅に増加しており、世界一位の座を維持し続けております。

○中屋委員 アジアでは、MICE誘致に力を入れているソウルが既に東京の実績を追い抜いており、また、以前からこの分野において優位にあるシンガポールは、東京をはるかにしのぐ実績を上げているということであります。
 確かに国際会議の開催数は一つの例にすぎないかもしれませんが、しかし、シンガポールにおける圧倒的な開催件数の多さは、今日のシンガポールの勢いを示すものでもあり、そして、その要因としては統合型リゾート施設、いわゆるIRと呼ばれる国際観光拠点の存在が大きいのではないかと思います。
 東京がMICE誘致を進めるためには、国際観光拠点としてのIRを整備し、アフターコンベンションの機能を強化していくことも一つの方策であります。
 IRの建設に当たっては、ビジネス街や空港などの国際交通機関との緊密性、IR周辺の都市の人口規模やスケールメリットを生み出すための広大な用地が必要だといわれております。東京においてこのような立地条件を満たす地域の一つは、間違いなく臨海副都心ではないかと考えます。
 先日の本会議における我が党の代表質問でも、臨海副都心の戦略上の重要性については指摘をしたところであります。
 そこで、臨海副都心は国際的な観光拠点になり得るエリアとして具体的にどのような魅力があるのか、都の考えを伺います。

○多羅尾港湾局長 臨海副都心は、羽田、成田空港や都心から好位置にあり、東京ビッグサイトやホテル、商業施設など、既に一定のMICE、国際観光機能が集積しています。
 最近では、ゲートブリッジ、スカイツリーなどを望む良好な眺望や、日本に初上陸したブランドが出店する新たな大型商業施設の開業で一層にぎわっております。
 さらに、災害に強い都市インフラも整備され、開発可能な用地もまとまって存在するなど、日本のさらなる成長を目指す戦略拠点にふさわしい機能を持つ、ポテンシャルの高い地域であると考えております。

○中屋委員 臨海副都心は、今のご答弁でも明らかなように、国際観光拠点として発展する可能性、将来性が群を抜いて高い地域であるということです。そのために臨海副都心においては、この地域の魅力を最大限に生かしていくべきだと考えます。
 今後の臨海副都心における開発の方向性について、どのように考えているのかを改めて伺います。

○多羅尾港湾局長 臨海副都心の開発に当たっては、東京ビッグサイトと連携、補完するMICE施設と集客力のある国際観光資源を誘致し、都市間競争を勝ち抜く複合的MICE拠点の実現を目指してまいります。
 特に、今後開発予定の青海地区北側には約十四ヘクタールのまとまった土地が存在し、この土地を有効に活用して発展につなげることが重要でございます。
 そのため、従来のような区画ごとの募集だけでなく、民間の創意工夫をより一層生かせるよう、まとまった区画を一体的に開発する進出事業者の誘致も検討してまいります。

○中屋委員 今お話のあった都市間競争を勝ち抜けるような複合的なMICE拠点として成長していくためには、アフターコンベンションでの観光も重要な要素となります。
 特に、世界各地を観光する目的として、その国の文化に触れることは大きな楽しみであり、観光の王道ともいえます。海外からの来訪者が、日本の伝統文化、芸術に触れることで、異文化を楽しむとともに、日本文化を理解するきっかけともなり、人々の交流が促進をされます。
 臨海副都心開発に当たっては、伝統文化という日本らしさ、日本ならではのものを味わえる観光資源の誘致にも取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○多羅尾港湾局長 京都や奈良などの古都が海外からの観光客に人気なことでも明らかなように、日本独自の伝統文化は魅力的な観光資源でございます。
 今後、民間の創意工夫を生かし、日本ならではの文化に親しめる施設を含め、さまざまな観点から臨海副都心の国際観光拠点化を検討してまいります。

○中屋委員 複合的なMICE拠点化の取り組みについても、しっかりと検討を進めていただきたいと思います。
 ところで、私はこうした複合的なMICE拠点には、国際的な集客力を持つ観光資源が不可欠だと思います。そして、その重要な要素の一つがカジノではないかと考えております。MICEに伴う旅行客は、その旅行先の洗練された遊びを楽しむことが多いという。それゆえに、海外諸都市では、外国人旅行者を楽しませるさまざまな取り組みを行っており、カジノもまたその有力な手段となっております。
 既にカジノは、世界の百を超える国々において導入されております。アジアにおいては、特にシンガポールやマカオなどのカジノが知られています。世界のカジノを運営する事業者の間では、今後の成長が見込めるエリアとして東アジアに注目が集まっており、その中で最も期待されているのが東京であります。
 残念なことではありますが、我が国ではカジノというと、まずは賭博という意識が強く働いて、マイナスイメージばかりを抱きがちでありますが、また、実際に課題があることも事実として認識をしなければなりません。
 そこで、まず、カジノというものが社会や経済にどのような影響を与えるものか、マイナス面だけでなく、プラスの面も含めて認識を伺います。

○前田知事本局長 海外における事例から、何らの対策もとらないままカジノを導入した場合、いわゆるギャンブル依存症者の増加の懸念や青少年育成への影響、犯罪の発生や風紀の乱れなどによるカジノ周辺の生活環境の悪化などの影響が発生する可能性があると考えております。
 その一方で、カジノは世界の多くの国々で合法化されている有力な観光資源でありまして、都市の魅力を高め、旅行者の増加を促すことにより、経済波及効果や雇用創出効果をもたらし、地域経済の活性化が期待できる事業であります。
 カジノにおけます懸念については、現在実施している多くの国々では適切な対策がとられていると認識しております。

○中屋委員 今の答弁にありました認識というのは、基本的には世界共通のカジノに対する認識で、カジノのマイナス面を軽減するためにさまざまな対策を実施しております。
 例えば、シンガポールではカジノ解禁に当たり、いわゆるカジノ依存症を最大の問題として懸念をしておりました。その対策として、カウンセリングや医学的治療などのほか、予防策も講じて国民の理解を得たわけです。
 こうしたマイナス面を取り除き、プラス面を大きく伸ばしていくためにも、まずはしっかりとした法整備を進めることが重要であります。
 そこで、カジノ関連の法整備に関する最近の国の検討状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

○前田知事本局長 国におきましては、この数年、超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟、いわゆるIR議連が、カジノの合法化に向けて議員立法による法律案の国会提出と成立を目指しまして、案文を作成して各政党で検討を行ってきたところであると聞いております。
 これまでのところ、法律案は国会へ上程されておりませんが、都としては引き続き国の動向を注視してまいります。

○中屋委員 折しも、先週の三月八日に開催された衆議院予算委員会の答弁において、安倍総理は野党からのカジノ合法化検討提案に対して、カジノ合法化にはさまざまな課題もあるが、そのような課題をどのように克服していくべきかということもよく議論をしながら、前向きにカジノ合法化に向けた研究をすべきという趣旨の発言がなされました。都議会自民党としても、積極的に働きかけを行い、しっかりと法整備を進めていきたいと考えております。
 繰り返しますが、東京はアジアの中でも魅力ある都市の一つで、世界的に見てもこれだけ可能性の高い地域はほかにはないと思います。にもかかわらず、日本では有望な産業育成をする際に、殊さらに一極集中論を持ち出し、東京誘致を阻止する動きが出ますが、そうした動きは将来性ある産業の芽を摘むだけでなく、国家的な損失であるということに気づくべきであります。
 ここで、知事に一番重要なことをお伺いしたいと思います。知事は、この東京へのカジノ誘致について、率直にどのようなお考えをお持ちで、どのように進めていくかということをお伺いしたいと思います。

○猪瀬知事 先ほど中屋委員が賭博とカジノというふうに、ちょっと並列的に並べたけれども、もちろん本意ではないんだが、説明するためですが、カジノと賭博と並列して考えることが、これは日本だけです、それは。カジノがないのは不自然なんです。
 皆さんも、ご夫婦でおしゃれをして行く場所、そういう社交場、そういうものが、日本、東京にないんです。結婚式のときだけおしゃれをしたってしようがないんです。子どものディズニーランドがある。しかし、大人の社交場がない。
 カジノは、既に今あるカジノをごらんになるとおわかりになると思います。ベガスにしろ、シンガポールにしろ、マカオにしろ、ある一定のエリア、だけど大人のディズニーランドみたいに劇場もあれば、映画館もあれば、そしてパーティーもやっている。そしてカジノがある。
 こういう世界がなければ、せっかく世界からお客さんが来たって、別に浅草寺に行って、それでどこに行ってというんじゃだめなの。浅草寺もいいんだけどね。いや、それだけじゃだめだ。浅草寺に行って、夜はカジノに行って、そこでシャンパン飲みながら楽しい会話がある。これが文化なんです。それが、まさに東京の都市の魅力を高めるんです。
 二〇〇一年、平成十三年の政府税制調査会基礎問題小委員会で僕は提言している。カジノ・ゲーミング法、ゲームですからね、カジノ・ゲーミング法と税。レジャーを含む産業、まあ産業のソフト化の中で、レジャーを含む産業の課税ベースがまずふえる。税収が入りますよ、都税収入が。さらに、非合法カジノによるブラックマーケット化、今あるんです。非合法カジノがブラックマーケットになっている。それを防止する。それから、今、課税ベースといいましたが、地方の独自財源がここから捻出できる。そして、公営ギャンブルの収益の使途の見直しもできる。
 こういうことで、ある意味ではいいことだらけなんだが、こうしたメリットを、もう既に十年以上前に提言していて、先ほどいいましたように国会議員が議員立法をつくって、ほぼできて出す寸前まで行っていた。だれがつぶしたかよく考えてみてください。つぶした人がいるわけです、これは。
 それは、やっぱりある一定の利益をそのカジノによって失われる人たちですよ。そして、とにかくそれについてはよく考えていただいて、これは国会議員が、むしろこれは議員立法的なんです、政府提出法案よりも。
 ですから、皆さんが国会議員に、もう一回、引っ込めたのをもう一回出してくれと、絶対そういうふうにやってくださいよ。共産党以外は皆さん賛成すると思うんだが、ぜひ国会議員にもう一回働きかけて、もう一回議員立法でやってくださいと。
 これは国会で通さないと、刑法の問題ですから都議会じゃ無理なんです。ですから、皆さんのそれぞれの所属する政党できちんと話して、もう一回やっていただきたいということをぜひお願いいたします。

○中屋委員 大変、知事から前向きなご答弁をいただきまして、満足であります。まさに、事実上の東京カジノ誘致に向けたスタートというようなご答弁ということで受けとめをさせていただきました。
 海外からの来訪者がふえれば、きっと国内の他県への旅行者も増加をします。東北の復興にも貢献をできるものと考えております。そうした観点からも、我が党は一日も早い法整備に、知事とともに力を注いでいきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、宝くじについて伺います。
 宝くじの売り上げは地方自治体の貴重な収入源であり、現在、さまざまな分野の公共事業に活用されております。平成二十五年度予算においても、宝くじ収入は六百六十五億円が計上されており、厳しい財政環境の中にあって、極めて貴重な財源の一つとなっております。
 私は、これまでも宝くじの売り上げ向上のために魅力ある商品を積極的に展開すべきだと指摘してまいりました。最近では一等賞金が高額のジャンボくじなども発売されておりますが、商品の魅力向上に向けて着実に取り組んでいるということかと思いますけれども、これからもますます売り上げをふやしていくためには途切れない努力が必要であります。
 前回質問した際には、インターネットによる販売の必要性なども指摘をしましたけれども、こうした購入者の利便性向上も早期に実現することが求められます。
 昨日は、久々の数字選択式宝くじにおける新商品であるロト7が発売されるとのニュースがありました。新商品を出すことは、宝くじファンのニーズをとらえた対応ということで大変明るい話題ではありますが、これを着実に売り上げ増に結びつけていかなければなりません。
 そこで伺いますけれども、今後、このロト7も含めて、宝くじの販売をどのように盛り上げていこうとしているのか、お伺いをいたします。

○中井財務局長 宝くじの販売については、全国の販売自治体で構成する協議会で新商品の展開や販路拡大に取り組んでおりますが、ロト7については、十三年ぶりの新商品として、一等賞金四億円、キャリーオーバー時八億円といった、非常に高額の当せん金が魅力のくじとして、この四月から発売するものでございます。
 委員ご指摘のとおり、着実に売り上げにつなげていくことが大切であり、新しいCMキャラクターを投入した広報宣伝や、ツイッターなども活用して話題づくりに取り組んでまいります。
 また、高額当せん金のくじだけでなく、当たりやすさを考慮したくじの発売や、アニメキャラクターなど魅力ある券面デザインのくじなど、さまざまな商品を展開してまいります。
 さらに、委員に前回ご指摘をいただきましたインターネット販売につきましては、平成二十六年一月から販売を開始し、購入者の利便性の向上を図ることで売り上げ増につなげてまいります。

○中屋委員 ぜひ継続的な工夫を行って、売り上げ増に結びつけていただきたいと思います。
 一方で、宝くじの収益金が何に使われているのかということも非常に重要であると考えます。最近では宝くじのCMをたくさん目にすることがふえたように感じますが、多くの都民は、実際の収益金が何に使われたかについては知らないという場合が多いのではないでしょうか。
 もちろん、各販売自治体の方でそれなりの情報提供はやっておられるのかとは思いますけれども、テレビCMなども活用して宝くじの収益金の使途をわかりやすく明示することで、宝くじのイメージアップを図ることも重要ではないかと思います。
 今後、だれもが接するような媒体を使って、広く収益金の使途について示していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○中井財務局長 広く都民に対して収益金の充当先をPRしていくことは、非常に重要でございます。
 これまでも、宝くじのマスコット、クーちゃんを活用した広報を行ってまいりましたが、今後は、よりわかりやすく積極的な広報を展開することが必要と考えております。
 都においては、認証保育所事業など少子化対策に収益金の六割を充当しており、宝くじのオフィシャルサイトでその情報を公開しているところでございます。
 ご指摘のテレビCMは、私どもも効果的な媒体であると考えており、今後、子育て支援や緑化といった行政分野の充当先の実例をタレントが映像で紹介するCMなどの作成を検討してまいります。
 こうした取り組みを通じて、宝くじの社会的有用性をさらにPRしてまいります。

○中屋委員 宝くじの販売は全国で行われておりますが、全国自治宝くじ事務協議会で販売に関することを取り決めているということでありますけれども、一方で、各地方のくじとしてブロックくじもあります。
 東京都は単独のブロックであるため、東京都宝くじが存在しておりますが、これについては、ある程度東京都の裁量で販売方針を決められるのではないかと思います。もちろん、宝くじの制度上、どのようなくじを販売するかについては、許可権者である総務大臣の了承が必要ということでありますけれども、ある程度裁量を持ってやれる分野については積極的に取り組むべきと考えます。
 都は、今、オリンピック招致に一丸となって取り組んでおります。オリンピック・パラリンピック招致に向けて、宝くじを活用していくことも重要と考えます。
 そこで、オリンピック・パラリンピック招致に向けて、PRの一環として宝くじを活用し、機運を盛り上げるべきと考えますが、見解を伺います。

○中井財務局長 ご指摘のとおり、オリンピック・パラリンピック招致に向け、宝くじを機運盛り上げの有力なツールとして活用していくことが必要と認識しております。
 これまでも宝くじ売り場にオリンピック招致ののぼりを立てるなどの取り組みを行ってまいりましたが、今後は、さらなる取り組みとして、七月の東京都宝くじにおいて、券面デザインにオリンピック・パラリンピック招致のロゴを入れて発売をしてまいります。
 宝くじ券は幅広く流通するものであり、こうした取り組みの積み重ねでオリンピック・パラリンピック招致と宝くじ販売の両方を盛り上げてまいります。

○中屋委員 宝くじ券は、だれもがよく目にするものであります。大変広報効果が高いものだと思います。ぜひうまくPRを行い、オリンピックの機運を盛り上げるとともに、オリンピックの力でまた宝くじのイメージアップも図れると思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 また、オリンピック招致が実現した後にも、例えばスポーツ施設の整備に活用するなど有効に使っていくことが必要ではないかと思います。オリンピックも国民全体の夢をかなえるものでありますし、お互いの相乗効果で、どちらも非常に盛り上がるものではないかと思います。
 そこで、知事に伺います。東京オリンピック・パラリンピックを成功させるためにも、宝くじの収益をスポーツ分野にも有効に活用して機運を盛り上げるとともに、同時に売り上げ増につなげていくことが重要と考えますが、知事のお考えをお答えください。

○猪瀬知事 基本的に、中屋委員のおっしゃる方向で考えています。
 宝くじは、都財政における貴重な財源であり、売り上げ向上に取り組むことはもちろんでありますが、宝くじの社会に貢献するという役割を最大限発揮することが必要であります。
 昨年十月、全国自治宝くじ事務協議会において、オリンピック・パラリンピック招致が実現した際に、開催に向けた協賛くじを発売することに決定しました。
 二〇一七年から二〇二〇年までの四年間にわたり、収益金百億円を大会競技設備の整備に充てるほか、この協賛くじの収益金は、東京だけではなくて、被災地支援の一環として被災三県におけるスポーツ関連施設にも充当します。
 こうした取り組みを実施することで、宝くじの社会貢献性をさらに高め、その意義を広く日本全体に発信していきます。

○中屋委員 知事の肝いりの宝くじをぜひ出していただければというふうに思います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 都は、我が党の代表質問に対し、東京都スポーツ推進計画を策定し、スポーツ実施率七〇%を目標に施策を推進するとしており、大変すばらしいことだと思っております。
 この目標を達成するには、これまでスポーツに縁のなかった人にもスポーツに親しんでもらわなければなりません。そのためには、比較的運動量が少なくて、高齢者や障害者などでも楽しく行えるニュースポーツに取り組んでいただくことが有効ではないかと思います。
 ニュースポーツとは、近年新しく考案された、そして紹介されたスポーツで、だれもが手軽に楽しめ、多くの方に親しまれるようになっております。歴史が浅く、参加人口も多くありませんけれども、スポーツが多様化する中で、ニュースポーツの推進がスポーツ実施率向上に有効と考えます。
 都のニュースポーツへの取り組み状況についてお伺いをいたします。

○細井スポーツ振興局長 スポーツ実施率を向上させるためには、都民がさまざまなスポーツの種目に取り組める機会を提供することが重要でございます。
 都はこれまでも、都民スポレクふれあい大会やスポーツ博覧会東京など数多くのスポーツイベントにおきまして、ニュースポーツなどさまざまな種目を体験できる場を設けてきました。
 また、今週末の十六日土曜日には、立川の国営昭和記念公園でグラウンドゴルフやスポーツチャンバラなどのさまざまなニュースポーツを楽しめるイベント「ニュースポーツEXPO in多摩」を開催いたします。
 さらに、本年五月から十月にかけまして、スポーツ祭東京二〇一三のデモンストレーションとしてのスポーツ行事が開催されます。これは、ニュースポーツを中心に五十七の行事を五十三区市町村、七十八会場で実施いたします。
 これからも、さまざまなイベントの場を活用しましてニュースポーツを紹介し、都民のスポーツ参加を促進してまいります。

○中屋委員 さて、オリンピック種目などメジャーな競技の団体については、JOCや体育協会がその統括を行っておりますけれども、ニュースポーツについては、まだ盤石な体制がとれていないというのが現実であります。
 都民のスポーツ参加を推進するという観点から、都がニュースポーツ団体を育成し、強化していくべきと考えますけれども、所見を伺います。

○細井スポーツ振興局長 ご指摘のとおり、ニュースポーツを推進するためには、その種目団体を統括する組織の体制強化を図ることが重要でございます。
 東京には、ニュースポーツを初めとしたレクリエーション性の高い種目団体を統括する団体として、社団法人東京都レクリエーション協会がございます。
 都はこれまでも、このレクリエーション協会と連携し、先ほど答弁した都民スポレクふれあい大会などのイベントを開催し、都民がニュースポーツに取り組める機会を提供してまいりました。
 今後、新たにシニアスポーツ振興事業を拡大していく中で、レクリエーション協会の体制も強化し、都との一層の連携のもとでニュースポーツの普及推進を図ってまいります。

○中屋委員 ニュースポーツは、多くの方々にとって親しみやすいスポーツであります。ぜひ積極的に推進してもらいたいと思っております。中でも、障害者のスポーツ参加の促進については、さらに詳しくお聞きをしたい。
 一言で障害者といっても、障害の種類、程度はさまざまであります。例えば、生まれながらに障害のある人にとっては、スポーツが気分転換のきっかけになったり、コミュニケーションをとる機会の増大になるとも聞いております。障害者にとってスポーツを行う目的は多様であります。
 都は、それぞれの意向や障害特性に応じてスポーツに取り組める場として障害者スポーツセンターを設置しておりますけれども、センターの取り組み状況についてお伺いいたします。

○細井スポーツ振興局長 都は、障害者スポーツの拠点として、北区に障害者総合スポーツセンターと国立市に多摩障害者スポーツセンターの二施設を設置してございます。
 平成二十三年度の利用状況は、障害者総合スポーツセンターが延べで二十万人、多摩障害者スポーツセンターが延べで十六万人の方にご利用いただいております。
 これらのセンターでは、障害者が気軽にスポーツを楽しめるよう、障害の種類や程度、利用目的に応じたさまざまなスポーツ教室を開催し、初めての利用者に対しては、スタッフが個別に、障害の程度やスポーツを行う目的に合わせ、適した種目や運動メニューの提案、スポーツを行う上での留意点など、きめ細かく助言し、指導を行っているところでございます。

○中屋委員 一人でも多くの障害者に対し、それぞれの意向に沿った支援を行うためには、センターのようなきめ細かな取り組みを身近な地域に広げていくことが必要と思います。
 都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○細井スポーツ振興局長 都では、昨年三月、全国で初めて策定した障害者スポーツ振興計画に基づき、障害のある人が身近な地域でスポーツに親しめる環境整備を進めるため、地域開拓推進事業を実施しております。
 この事業では、地域開拓推進員が区市町村等に出向き、各地域で障害者スポーツ教室等が実施できるよう支援を行っているところでございます。
 例えば、地域スポーツクラブ主催のストレッチ体操教室では、訪問した地域開拓推進員が、下半身に障害のある人に対してはいすなどの補助具を利用することなど、障害の種別や程度に応じた具体的な方法を指導し、障害者スポーツの普及に努めております。
 こうした取り組みにより、今年度は一月末現在で、四十二地域で五十四事業を実施しました。
 今後とも計画的に地域を巡回し、都内全域で実施体制が整うよう努めてまいります。

○中屋委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○村上副委員長 中屋文孝委員の発言は終わりました。

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