予算特別委員会速記録第二号

   午後六時十五分開議

○谷村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 東村邦浩理事の発言を許します。

○東村委員 それでは、初めに、知事の都政運営について質問いたします。
 施政方針表明で、知事は、東京の生きた現場から霞が関の壁を打ち破り、東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開するということで、具体的にこの施政方針演説の中で、都が率先する電力改革システムや東京スマート保育、さらには上下水道の国際展開、こういったことを具体策として、新しい東京モデルという形で取り上げられておりました。そして、この東京モデルによって日本全体に改革のうねりを起こすと。その先には一人一人が輝く社会の実現があると。そして、人々や企業が自分の個性と才覚を最大限に発揮できる環境を整える、これが一つと、もう一つは、強い人が弱い人を助け、余裕のある人がない人を助ける。そして三つ目には、若者と高齢者が知恵と情報を伝え合う、この三つのきずなを張りめぐらせることで、東京を世界一の都市へと押し上げていくと、こういうことを施政方針表明で述べられました。
 確かに、これは本当にすばらしいことなんですが、では、従来の日本の官僚、そして東京の行政がこのことを目指さなかったのかといえば、私は、実現したかどうかは別にして、目指したと思います。
 そこで、東京電力の問題や地下鉄の一元化、さらにはケアつき住まいなど、大変重要な問題に取り組まれておりますが、知事は、一国の予算に匹敵する規模を持っているこの首都東京を、どういった東京、またどういった社会にしていきたいのか、まず冒頭伺いたいと思います。

○猪瀬知事 先日、オリンピックの評価の委員に東京をどう説明したらいいかというふうに考えまして、ディスカバー・トゥモローということが今回の招致の掲げたテーマですけれども、具体的にヨーロッパ社会とどこが近代化で違うのか。ヨーロッパモデルというのは近代社会のモデルです。しかし、東京は別のモデルをつくってきた唯一の、違う世界における近代をつくった。したがって、あえてサミュエル・ハンチントンまで持ち出しました。ハーバード大学の有名な教授ですけれども、世界には七つの文明圏があると。その一つが、東京は中国や韓国と別の文明圏であると。そういうことで、西洋でもなく東洋でもない、同時に西洋でもあり東洋でもあるような一つの文明社会であると。そこで先進国としての東京というものがある。最も洗練された文化を持っている。これを、例えばイスラム圏初とかいう場合に、イスタンブールが強いわけですけれども、日本も一つの文明圏ですよと。その中の東京が中心ですよという説明をしました。まずはそういう話から始めて評価委員に説明する、アイデンティティーとは何かということですから。
 そして、東京が、話はもとに戻りますが、東京というのは、唯一、アメリカはユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカだけど、日本はユナイテッド・ミニストリーズ・オブ・ジャパンだから、だけど東京はステートだよと。東京国がしっかりしていればその縦割り社会を超えられると、そういうふうに確信して、石原前知事も東京から日本を変えるといいましたが、僕は全くそこは同じ考えでありまして、やり方は少し違うかもしれないが、東京からこの国を変えると、そういうつもりで都知事になる決意をしたわけです。
 そして、東京は日本の心臓ですから、東京で新しい政策を展開して日本全体を変えると。霞が関はなかなか変わりません。小泉首相が政権をとっているときでも、道路公団民営化、郵政民営化をやりましたが、いろんなやらなきゃならないこと、大きな政権党で五年やっても、幾つかできることがあるということです。その後、毎年政権がかわっていますから、何もできませんでした。
 今回は自公政権に期待しています。安倍首相もセカンドチャンスだと、本当にそういって、二度目の失敗はしないということで期待しています。
 そこで、国と東京都は、きちんと話し合うべきところは話し合って、一緒にやれるところは一緒にやりたいと、こういうふうに思っています。
 そして、おっしゃられたように、一人一人が輝く社会とおっしゃってくださいましたが、そのためには、個人や企業がみずからの個性や才覚を最大限発揮できる環境を整えなければいけないと、こう思っています。
 話は東京都に戻ります。来年度の予算で、全国に先駆けて、六人から十九人という、今の保育制度のはざまを埋める新しい小規模スマート保育を打ち出しました。
 この保育所の問題にしても、今回条例で提案しています放置自転車の問題にしても、裏を返せば、行列をつくっているところには、そこはニーズがあるんだから、もしこれ民間だったら、これはお客さんがいっぱいいるということですから、それに対応をきちんとできていないのは、やっぱり行政としては非常によくない。だからやらなきゃいけないと思っています。
 そして、東京には、マンションの空き部屋とか、ビルの空きテナントとか、自転車でもビルの屋上に置いたら、スペースがいっぱい使えるんです。そういうところに眠っている資源がたくさんあると。小規模保育も、ちょっとした空き家を使えばできるじゃないかと。こうした資源を有効に使いながら、民間の知恵と工夫、力を最大限に引き出すことで、問題の解決につなげていき、そしてその結果、新しい富が生まれ、福祉や医療や教育などに振り向けられて人々を支える、そういう流れをつくっていきたい。
 原発の国会事故調で、単線路線のエリートという言葉が出てきた。これが事故を起こしたと。これは日本の病気です、単線路線というのは。役所もそうです。単線路線です。皆さんはセカンドチャンスが常になければならない厳しい社会にいるけど、一つの会社にずっといる単線路線だと、責任をとるような自覚がなくなってくるところがある。そして学校で、全部、就職でも横並び、で定年。そうしたら、一度レールから外れたら戻れない。だからセカンドチャンスのある、そういう社会をつくりたい。そういうふうに変えていかなきゃいけない、こういうふうに思っています。
 最初にちょっと日本の近代社会について触れましたが、改革を進めるときには、少なくとも百五十年ぐらいの日本の近代というものがどんなことが起きてきたかということを、歴史意識を持つ必要があると思っています。百五十年ぐらいの時間軸、それから地球の中での空間の軸、どこにいるか、時間と空間の中でどこにいるかということを、そういう意識をきちんと持って、どういう社会を目指せばいいのか、まずそれが前提になると僕は思っています。
 あとはまた、いろいろとこれから述べさせていただきますが、常にファクトを積み重ねながら、具体的に改革を進めていきたいと思っています。

○東村委員 かなりとうとうと述べていただきましたけれども、私が一番聞きたかった核心の部分はもう少し議論が必要かなと思いますので、ここでまた議論すると時間を費やしますので、また改めて議論したいと思いますが、次に、都市外交、近年、相次いで近隣諸国との領土、主権をめぐる問題が起きております。これは、まさに日本のあしき伝統といわれてきた戦略なき外交、これが露呈した出来事だと私は思っております。
 国家間の外交というのは、まさに国益と国益がぶつかり、時には経済分野において利害と利害がぶつかる、これはやはり避けては通れないと思います。しかしながら、都市外交というのは、さまざまな分野で、国益や利害とは別次元で、例えば国家間の良好な関係も築いていけるんではないかと、こう思っております。
 東京は、千三百万人の人口を有して、先ほどもいいましたが、十二兆円という財政規模を有しております。この東京の影響力というのはまさに国家レベルでありまして、東京がリードをして、国益や利害を超えた芸術、文化、スポーツ、また学術、こういったさまざまな分野で活発に交流する意義は大変大きいと思います。
 そういった観点から、世界都市東京が目指す都市外交ビジョン、これについて、ぜひとも知事が発信していくべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○猪瀬知事 長くなりましたので、短くいたします。
 世界の人口の半数が都市に集中している都市の世紀であります。したがって、国と国とが向き合うということもあるが、都市と都市とが向き合うということが重要で、さまざまな課題解決においてのノウハウを交換していく。例えば、ジャカルタや台北とは、インフルエンザなどの感染症の発生状況について、情報を共有する体制を構築しております。
 また、先月、中国の北京に対して、大気汚染が深刻化している状況を踏まえて、まずは、北京の市長がかわりましたので親書を送りまして、それから、環境局、事務方から、具体的に大気汚染改善に向けた協力の申し出を改めてしております。
 こうした課題解決に向けた取り組みと同時に、世界の人々と相互理解を深めるため、文化やスポーツなどの分野で交流を深める意義も大きいと思います。
 東京都では、ソウル、台北が参加した、これまで十回を数えるアジア舞台芸術祭や、ベルリンやパリ、サンパウロなどが参加した過去四回に及ぶ東京国際ユースサッカー大会などの開催により、互いの信頼関係や友好関係を深めてきました。
 今後も、都市外交において課題解決に向けた取り組みを進め、都市間の交流を積み重ねることによって、国とは別の立場から国際社会に貢献するとともに、東京の国際的プレゼンスを高め、輝く世界の都市へ押し上げていきたいと、こう思っております。

○東村委員 大変ポイントとなる、国とは別の立場から交流を積み重ねて、さまざまな課題を解決して、国際社会に貢献することによって東京のプレゼンスを高めていくという話がありました。
 ところで、今おっしゃった北京に親書を渡したと。これはレスポンスはあったんですか。

○猪瀬知事 一月下旬に出して、その後、旧正月になって、それで旧正月が二月中旬ぐらいまでありましたので、その後、まだレスポンスは確認しておりません。

○東村委員 しっかりその辺のところを、また今後、レスポンスがあった段階で、次なるステップに進んでいければと思っております。
 次いで、平成二十五年度の東京都の予算について質問したいと思います。
 平成二十五年度の予算、特徴は、九年連続で投資的経費が増額をしている。八千六百六十三億円、これはまさに我が党が、防災、減災の観点から首都東京を着実にインフラ整備していかなきゃいけない、さらに国際競争力の向上もさせていかなきゃいけない、そしてその結果、景気に影響を与えていかなきゃいけないといった、こういった我が党の主張が取り入れられた予算であると考えております。大変評価をしております。
 ただ、これから課題は、この予算が適切に執行されるということなんです。現在の公共工事の状況を見ますと、建設業に従事する職人さんが十年連続減少して、十年間で百万人減っています。さらには、被災地では、震災復興の本格化に伴って、労務費や資材価格が大変高騰してきている。このことが日本全体の労務費、資材価格への影響を及ぼしているという、大変懸念しておりまして、契約後、施工していく中で、中小の業者さんは、果たして対応できるのか、この価格の上昇に自分たちは対応できるのかということを大変不安がっておりまして、場合によってはこの契約を断念しなきゃいけないかもしれない、こういうことも、ちまたでうわさが流れています。そうなれば、首都東京の防災というものは守れないわけであって、また景気も、せっかく期待感がある中で、これが実体経済が伴わないという話になります。
 そこで、このような価格の上昇による影響などのリスク、これを受注者に負わせてはいけない。都は発注に際してこういった状況に適切に対応すべきだと思いますが、財務局長、いかがでしょうか。

○中井財務局長 公共工事の発注に当たっては、建設資材等の市場動向を反映した単価による積算を行うことや、適正な価格と良好な品質の確保という視点から、適切に入札契約制度を運用していくことが重要と考えております。
 このため、積算に用いる単価については、四半期ごとの定期的な改正を行うとともに、主要資材の価格調査を毎月行い、一定の価格変動があった場合には、その都度改正を行うこととし、改正サイクルの短縮を図っております。
 また、契約後に賃金または工事資材等、物価の著しい変動があり、受注者から契約金額の増額が請求された場合には、工事請負契約書のいわゆる全体スライド条項に基づき対応してまいります。
 公共工事を取り巻く現下の状況を十分に踏まえ、事業者が安心して都の工事を受注できるよう、入札契約制度の迅速かつ適切な運用に努めてまいります。

○東村委員 今、全体スライド条項に基づいて対応していくという話があったんですが、過去に全体スライド条項を適用された事例は一件もありません。ある意味で、こういう大変厳しいときだからこそ、条例にあるから大丈夫だじゃなくて、それを適用するということがやはり大事なわけでありまして、適切な対応をお願いしたいと思います。
 その上で、二十五年度予算、ある意味で、今まで我が党が一貫して提案してきました新公会計制度の事務事業評価、こういったことを取り入れながら、むだな財政を削減して、必要なところにお金を回している一つの特徴があるわけであります。
 この新公会計制度の効果というのは、知事もご存じだと思いますが、マクロ的な側面では、隠れ借金といわれた一兆円の隠れ借金を解消して、そして、減価償却の考え方を取り入れて、社会資本整備の基金を積み立ててきました。
 石原知事が平成十一年度就任されたときに八百六十九億しかなかった活用可能な基金、これが平成二十年度には一兆五千七百四十三億円まで基金が積み立てられるまでになりました。その後、税収減少に対しても、この基金を取り崩して東京都は対応してきたわけであります。
 現在、平成二十五年度は八千七百四十一億円、前年比で三百七十二億円ふえているわけですけれども、他方、ミクロの事務事業評価においても、導入後、毎年二百億を超える財源を確保してきました。本年度も、平成二十五年度予算において約二百三十億の財源を確保している。これは全部新公会計制度の力ではありませんけれども、この考え方を活用しながら取り入れてきた。
 この導入は、当初、平成十三年に石原知事が、機能するバランスシートというのを、現行の官庁会計の決算を組み替える方式でやられたんです。ただ、これは作成に時間がかかって正確性に欠けるし、また、事務事業評価に役に立たない。いわゆる現行の官庁会計を組み替えてやるものですから、一々そのためにつくりかえなきゃいけない、こういう欠点がありました。
 そこで、私は、平成十四年三月の予算委員会で、複式簿記・発生主義会計の導入を訴えて、知事は、会計の発想を変えることが急務だということで、その二カ月後、五月に記者会見で導入を表明しました。
 その後、東京都の事例が全国に広がりまして、大阪や愛知、新潟、そして市部では町田市に広がったわけですけれども、まだまだ全国の自治体でこの東京都方式というのは普及しておらず、総務省の改訂モデルであるこの官庁会計の決算の組み替え方式、まだ石原知事が最初に導入した機能するバランスシートのレベルなんです。かつて東京が通ったレベルで全国の自治体は安穏としている。したがって、当然これはつくっても、事務事業評価に全く役に立ちません。これが今、全国の八割の自治体の状況です。
 そこで、都が全国のリーダーとしてしっかりと牽引すべきだと思いますが、この新公会計制度の意義と普及における都の役割について、知事の見解を伺いたいと思います。

○猪瀬知事 先ほどちょっと質問で、北京のレスポンスの件ですが、旧正月の後、今、全人代なので、その後、きちんと確認しますから。
 おっしゃられたことはごもっともなことで、まず、官であれ民であれ、独立した事業体にとって、企業会計の手法に基づく財務諸表は経営に不可欠なツールであります。
 東京都は、平成十八年に全国に先駆けて新公会計制度を導入した。こういう正確なストック情報やコスト情報に基づいて財務諸表を作成し、事業評価や予算編成等に活用してきました。おっしゃられるとおりです。
 この取り組みは、国や全国自治体に大きな影響を与え、決算数値の組み替えではあるが、大半の自治体は財務諸表を作成するようになり、東京都と同様の制度を採用する自治体も、大阪府など七つに拡大している。昨年度、財務省も、東京都の事例を参考に、会計処理一件ごとに仕訳を行うシステムを導入しました。
 しかし、問題は、おっしゃるように、全国標準となる会計基準がなくて、複式簿記の導入に係るコストや作業負担の軽減といった環境整備も進んでいないことであります。本来、総務省がこれを解決すべきものでありますが、僕も二〇〇七年のときに地方分権委員になりまして、この問題、総務省とかなり話もしましたが、総務省はちょっと変な人に頼んじゃったんですよね、ご存じのように。それで変な形のものができちゃって、標準化しにくくなっちゃった。
 そういうことで、出だしでちょっと間違えちゃったところがあるんです。だから、総務省も、一たんそれでかじを切っちゃったものだから戻せなくなっちゃっている。そういうことがあります。
 もちろん、僕、道路公団民営化のときも、いかに特殊な会計かというのは、ああいう公団の、よくわかっていますので、そういう意味で、東京都はよくここまでやってきたと思っています。それは、東村さんみたいにそういう人もいるし、それから、石原知事もぱっと取り入れたし、これは非常によかったです。
 その上で、総務省の動きを待っていたらしようがないので、大阪府とか、いろいろと連携した取り組みを進めて、東京以外の地区でもセミナーとか研修会を開催して、東京都方式を導入する自治体の具体的実例を紹介して、全国に向けて東京都方式の有効性を発信していくということです。
 また、制度導入に当たって、固定資産台帳の整備が実務上最大のネックとなっています。このため、台帳整備を適切かつ効率的に進めるための指針である基本手順、今、案です。基本手順案を昨年全国で初めてつくって発表しました。
 今後、専門家や他の自治体の意見を反映させるなど一層充実させて、全国自治体への普及に活用していきます。
 こうした取り組みを通じ、今後とも、日本全体の公会計制度改革、東京が使命感を持って全国を牽引していくということでやろうと思っています。

○東村委員 猪瀬知事、総務省の変な人がかかわったのはよくご存じで、そのとおりなんです。あそこの部分で国はおかしくなってしまったんです。
 まさに全国を牽引していただきたいと思うんですが、実は会計管理局も本当に頑張っていまして、何とか全国を牽引しようということで、新公会計制度普及促進連絡会議というのを立ち上げてきました。それで、大阪府や愛知県、新潟県、町田市を巻き込んで、これを全国に研修をしたり情報発信したりして、一生懸命、会計管理局も頑張ってくれています。
 そこで、今までの成果と、さらなる今後の取り組みについて、会計管理局長の見解を伺いたいと思います。

○松田会計管理局長 お話の連絡会議でございますが、これは、都と同様の新公会計制度を導入する先行の五団体が、全国への普及を目的として設置したものでございます。
 昨年の春には、連絡会議のホームページを開設し、秋には、五団体の多様な導入、活用事例を発表する実践的なセミナーを東京で開催いたしまして、全国各地の約百の自治体からの参加を得ました。実施結果は報告書に取りまとめ、制度の最新の到達点を全国に向け発信をいたしました。
 今後は、この間の取り組みの成果を踏まえまして、東京以外の地区でも実践的なセミナーや研修会を実施するほか、決算組み替え方式に比べた東京都方式の優位性を説明するため、構成団体の実例をもとにしたパンフレットを作成いたします。
 さらに、導入から活用までのスケジュールやコストを明示したロードマップの策定、会計基準等を共同で研究する部会の設置などの取り組みを、新たに加わった江戸川区や大阪市を含めました七団体が連携して実施をいたしまして、全国への普及に一層努めてまいります。

○東村委員 今後も大変でしょうけれども、頑張っていただきたいと思います。知事、本当に会計管理局はかなり頑張っていますので、またいろんな意味で激励をしてあげてほしいと思います。
 次いで、被災地支援について質問したいと思います。
 昨日で、東日本大震災発災後二年がたちました。しかしながら、被災地の人たちから聞こえてくる声は、口でいろんなお悔みやいろんな激励をしてくれるのも大事かもしれないけれども、やはり実効性ある被災地の復興、復旧を政治の力で推し進めてもらいたい、これを強くいわれております。
 特に福島県は、地震、津波、原発事故、そして風評被害という四つの災害と闘っています。代表質問でも、知事は我が党の代表質問に対して、復興への道のりは険しく、息の長い支援の取り組みが必要だとおっしゃってくださいました。これは非常に、聞いていた福島の人たちは、本当に心にしみたといっていました。この気持ちを全都の職員が忘れないで、これからも被災地への支援をお願いしたいと思います。
 そこで、福島県が今取り組んでいる復旧、復興策の柱の一つに、再生可能エネルギーの発電所の建設、そしてそれに伴う誘致や育成、集積といった、こういった事業に、今力を入れています。これは、福島県の地域経済の活性化や雇用の創出にもつながる。
 ただ、再生可能エネルギーの導入時点で莫大なコストがかかるということと、発電所を新設する場合には、過去の実績がないから金融機関がお金をなかなか融資してくれない、こういった問題があります。
 福島県でも、何とかこれを打破しようということで、資金調達の手法を検討しておりまして、地元の金融機関とファンドに関する研究をやったり、初期投資に対して、事業者に直接的、間接的な財政支援ができないか、こういったことを今検討しております。
 そういう中で、東京都はいち早く官民インフラファンドを立ち上げまして、国内各地の発電事業を投融資先として投融資を、既に二つ実行しました。一つは千葉県袖ケ浦市の天然ガス発電所、もう一つは熊本県芦北町の太陽光発電所。こういった都のインフラファンドで得られた知見、経験、ノウハウ、これを福島県とぜひとも共有していただいて、都が出資をするファンドの投融資先の一つに、福島県内の発電所も一つの選択として働きかけるなど、福島が取り組む震災復興支援にぜひとも力を入れていただきたい。このように考えるんですが、いかがでしょうか。

○前田知事本局長 都における官民連携インフラファンドは、東日本大震災の復興支援を念頭に、石原前知事の提唱により検討が開始されまして、民間資金を活用したインフラ投資のモデル事業として、今年度創設されました。その規模は、都が三十億円を出資し、民間の出資と合わせて四百億円程度を見込んでいます。
 現在、都は、お話のように、ファンドを通じて発電事業への投融資を行うことで、電力の安定供給や再生可能エネルギー発電の実現可能性の早期検証などに取り組んでおります。この取り組みにつきましては、既に九都県市首脳会議や関東地方知事会の場において、事業の進捗に応じ、ノウハウの提供を初めとした情報の共有化を図ってきたところであります。
 お話しいただきました福島県におけるファンド活用の検討に対する支援につきましては、同県が進めております復興事業の重点プロジェクトであります再生可能エネルギーの普及拡大に貢献するものと、このように考えております。
 都といたしましても、再生可能エネルギーを軸といたしました福島県による復興事業に積極的に協力する観点から、都がこれまで蓄え、培ったファンドのノウハウを福島県に提供するとともに、同県の再生可能エネルギープロジェクトに関する情報をファンド事業者に提供するなど、福島県の支援につながる最善の取り組みを行っていきたいと、このように考えております。

○東村委員 福島県の内堀副知事は知事の後輩だと聞いておりますけれども、内堀副知事と連携をとらせていただきましたら、ぜひともこれ、決まったら早速、東京都と連携をとってやらせていただきたいと、こういう話もされていましたので、局長、ぜひとも福島と連携をとって、お願いをしたいと思います。
 次いで、被災地応援ツアーについて質問したいと思います。
 これは、復興後間もなく福島に入ったときに、福島にいらっしゃった商工会議所の副会頭の渡邉さんから、ボランティアできなくてもいいから、とにかく、あの段階でですよ、あの段階で、福島に一人でも多くの人に来てほしいといわれて、被災地応援ツアーを当時の石原知事に要請しました。
 石原知事は、福島だけじゃなくて、岩手も宮城もやろうということで進めたんですが、結局、一年目はほとんど岩手と宮城に行ってしまった。福島が素通りだったということで、二年目、福島を限定して被災地応援ツアー二万泊をこの二十四年度組んでいただきました。ふたをあけたら、この二万泊分が連休明けにはもうほとんど完売していたと。それで、新たに追加で二万泊分を計上していただいた。さらに、ことしは、猪瀬知事の肝いりもあって、福島限定でまた二万泊分、予算を計上したと。これは大変評価をしております。
 ことしは実は、福島市で東北六魂祭が開催される年なんです。青森のねぶた祭りや仙台の七夕まつり、各県の代表的な祭りが福島市に一堂に会する東北六魂祭というのが、鎮魂と復興を願って開催される年でもあります。
 また、NHKの大河ドラマで「八重の桜」が、会津地方を中心にロケ地が使われていて、福島にとっても、多くの人を呼ぶ絶好の機会なんですが、現地の観光協会から一ついわれました。使われる旅館がどうしても毎回毎回決まってきていると。いろんな旅館があって、もっともっとすそ野を広げてほしいんだと。恩恵をこうむるところとこうむらないところが、やっぱり差が出てきてしまっているという、こういう話がありました。
 そこで、県の観光協会と連携して、今まで利用されなかった宿泊施設が利用されるような被災地応援ツアーの仕組みをぜひとも考えてもらいたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。

○中西産業労働局長 都はこれまで、被災地応援ツアーの事業を通じて、福島県内の各地に広く都民が訪れるよう、旅行事業者と地元の観光協会との情報交換会を設定するなど、県内の宿泊施設等をきめ細かく紹介してまいりました。
 新年度は、こうした取り組みに加えまして、福島県や地元の観光協会との連携により、取扱旅行事業者に対して定期的にメールを発信し、これまで余り知られていなかった地域の魅力や宿泊施設の情報を提供するなど、多彩な旅行商品をつくるための取り組みを強化してまいります。
 今後も、さまざまな機会を通じて広く福島県の魅力をPRし、効果的に事業が実施されるよう努めてまいります。

○東村委員 ぜひとも、本当に幅広く、すべての人が恩恵をこうむれるようにお願いをしたいと思います。
 もう一つ、福島から感謝されているのが風評被害対策で、我が党が提案して実現していただいた福島での農作物の検査体制、これを、市場の小売業者や仲卸業者が日帰りバスツアーで現地に行って、この状況を見て、食の安全を自分の目で確認して消費者の方にアピールする、このツアーなんですけれども、これは非常に好評で、昨年の十月、十一月、二百四十七名の方が現地に行っていただいて、それで、自分がこれはよかったと、そして消費者の方にもちゃんと話せるという人は、のぼりやステッカーを自分の小売店に張っているんです。こういったことを今東京都の中央卸売市場は、あの大変な中、やってくれました。
 ところが、実は水産物に関しては、十三品目以外は依然として出漁が自粛されて、出荷されていない状況なんですが、少なくとも十三品目に関しては、もう安全だというのが確認をされております。しかしながら、福島という一点で、なかなか十三品目も受け入れてもらえない。
 そこで、ぜひとも同じようなスキームで、今度は水産物についても行っていただけないか、このように願うわけですが、市場長、どうでしょうか。

○塚本中央卸売市場長 青果物におきましては、小売業者を中心に多くの市場関係者が研修会に参加していただきまして、実施後、その成果を場内で報告するとともに、被災地支援のステッカーやのぼりを配布しまして、都内全域で風評被害の解消に努めております。
 水産物につきましても、理事ご指摘の趣旨を踏まえまして、受け入れ側である被災産地と十分に協議しながら、研修に適した出荷物や漁港、時期などを選定の上、築地市場や足立市場、大田市場における水産事業者の協力を得て、青果物と同様に研修会を実施してまいります。

○東村委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。
 まだまだ被災地については何点か聞きたいことがあるんですが、時間の都合で、これで被災地支援については終わりたいと思います。
 次いで、防災対策について何点か伺いたいと思います。
 まさに東日本大震災以来、インフラの防災、減災対策は、もう待ったなしでありまして、その中でインフラの老朽化対策も忘れてはならない対策であります。
 公明党は、重点政策にインフラの長寿命化というのをうたっておりまして、昨年十二月に、昭和六年に隅田川に架設された吾妻橋の長寿命化工事を視察してまいりました。これまで築いてきた社会資本を健全な状態で後世に伝えていく、生かしていく、こういった観点から、橋の長寿命化は大変に重要であります。
 そこで改めて、都民にわかりやすい橋の長寿命化、これについて、かけかえ事業とどう違うのか、そして、この長寿命化によって見込まれる効果はどういったものがあるのか、これについて東京都の技監に説明を求めたいと思います。

○村尾東京都技監 吾妻橋など隅田川にかかる著名橋の多くは、関東大震災の復興事業により、帝都の復興と繁栄を支える幹線道路のかなめとして、また、近代都市東京を体現する象徴としてかけられたものでございます。
 さらに、戦後は、幹線道路の整備に伴い多数の橋梁がかけられ、東京の道路ネットワークの中核として機能してまいりました。
 現在、これらの橋梁は高齢化が進み、近い将来、一斉にかけかえ時期を迎えることから、このピークを分散化するため、損傷状況を予測し、最新技術を活用した対策を施すことで、百年以上延命させる長寿命化事業を進めております。
 長寿命化の工事は、かけかえ工事に比べまして、仮橋が不要となるということで工事規模が小さくできることなどから、事業費の縮減と工事期間の短縮が図られまして、円滑な交通の流れが確保できるものでございます。
 今後とも、橋梁の長寿命化や幹線道路整備などにより、質の高い道路ストックを将来世代に引き継ぎ、活力ある首都東京を実現してまいります。

○東村委員 今、事業費の縮減と工期の短縮という話がありました。実は私の地元の八王子市に松枝橋というのがありまして、総事業費が、かけかえ工事のために四十億かかります。それから、事業着手が平成十九年十月で、まだできておりませんで、完成予定が早くて平成三十一年度、つまり十二年間かかるんです。今、技監がおっしゃったように、仮橋の問題が最大の課題なんです。仮橋の場合も土地の収用が伴ってくるという。したがって、長寿命化というのは、そういった仮橋をつくらなくて済む分、工期も短くて、また土地の収用も要らないし、事業費も縮減できる。ぜひとも東京都においては、この長寿命化を積極的に進めていただきたいと思います。
 次いで、液状化対策について質問したいと思います。
 代表質問で、沿道建築物の建物の耐震化の質問や不燃化特区の質問をしましたので、今回は液状化に絞って質問したいと思いますが、液状化予測図というのは昭和六十一年度に作成され、東日本大震災で、液状化が起きるといわれたところ以外で液状化が起きたために、これは見直しをしなきゃいけないということで、見直しの作業に入り、本年三月には新たな液状化予測図が公表されると聞いております。
 そうなった場合、さっきもいいましたように、今まで起きないといわれていたところで起きてくる可能性が出てくるわけですから、新たな液状化予測図が出た場合、恐らく多くの住民は不安になると思うんです。東京都に問い合わせが殺到するんじゃないかと思います。
 公明党は、こういったことを東日本大震災直後の平成二十三年第二回定例会で、提案、課題としてこういうことが起きるよということを申し上げまして、液状化予測図の見直しとともに相談窓口の設置、それから専門的な液状化対策アドバイザーの派遣、これをやるべきだということをいち早く提案してまいりました。
 そこで、こういった新しい液状化予測図が発表されたときの説明責任を果たすべき体制整備、これについて、まず東京都技監にお聞きしたいと思いますし、また、相談窓口の設置や液状化対策アドバイザー制度の創設、これについては都市整備局長の見解を求めたいと思います。

○村尾東京都技監 液状化予測図は、公共施設や民間建築物などの液状化対策を検討する上で基礎となる重要な資料でございます。新たな予測図は、ホームページ上で住所による検索を可能とするとともに、予測に用いた地盤の解析データや地形の変遷に関する図面、さらには液状化履歴図も閲覧できるようにいたします。
 また、都民からの問い合わせに対しましては、東京都土木技術支援・人材育成センター内に相談体制を整えるとともに、民間建築物の液状化対策を所管する都市整備局とも連携してまいります。
 こうした取り組みにより、液状化に関する情報を幅広く速やかに発信するとともに、都民に対し、丁寧な対応を行ってまいります。

○飯尾都市整備局長 都民みずからが液状化による建物被害に備えていくために、都は来年度早々に、地盤の状況や対策工法などについて相談できる体制を整備することにいたしました。
 具体的には、区市等と連携いたしまして、行政の窓口において、地盤調査データなどを活用いたしまして、都民からの相談に適切に対応してまいります。さらに、地盤や建築の知識を有する専門家によるアドバイザー制度を創設いたします。
 こうしたことを通じて、都民が安心して液状化に備えることができるよう取り組んでまいります。

○東村委員 液状化対策アドバイザーの派遣と相談窓口の設置、これは大変ありがたい話なんですが、実はもう一つやっておかなきゃいけないことがございまして、東京都の防災都市づくり推進計画というのが、これはご存じのように、二十八の整備地域を指定しているわけなんですが、特に木造住宅密集地域の中で震災時に甚大な被害が想定される地域、(パネルを示す)皆さんに資料を配りましたけれども、青の斜線で囲ったところが二十八の指定整備地域なんです。その下が実は現在の液状化予測図なんです。
 これを見て大体わかると思うんですが、大田区、それから区部の東部、ピンク色のところと青い斜線が重なっている部分があります。これがまさに木密地域で大変危険な地域であるとともに、液状化もすると。さらに今回見直しをすると、このピンク色の地域は、当然、さっきの話じゃないですけれども、ふえるわけなんです。そうなると、木密地域の甚大な被害が予想される地域と、それから液状化の地域、これは一緒に対策をした方がいいわけであって、別々にやるとまた莫大な予算がかかるんです。
 そこで、東京都は木密地域不燃化十年プロジェクトというのをやります。これは、コア事業として面的整備をやるわけです。
 具体的にいいますと、建物があったら、建物は一回更地にして除去して、土地だけになるんです。ここで本当は液状化対策をやっちゃえばいいんです。そして、その上で不燃化の対策を、建物を建てていけば、液状化対策もあわせてできることになるんですけれども、ぜひともそういった対策を東京都として進めてもらいたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。

○飯尾都市整備局長 不燃化特区のコア事業でございますけれども、各区から防災街区整備事業や市街地再開発事業などの事業も提案されております。このような事業の中で、大規模建築物を整備するような場合には、液状化対策等も考慮した構造を採用することといたしておりまして、それぞれの事業の補助制度を活用して支援をしていくことにしております。
 また、建物の建てかえなどに際しまして、区と連携して適切な情報の提供に努め、都民が安心して暮らせるまちの実現を目指してまいります。

○東村委員 今、局長の話を聞くと、建物を液状化に強い建物に変えていくための補助は使えるけれども、面的整備の補助にはだめよと、はっきりいうとそういう話ですよね。
 ただ、国土交通省もこの問題、実は太田大臣、かなり大きな課題だと認識していまして、面的な整備もこれから恐らく大きな検討課題に上がってくると思います。私は、東京都がいつまでも、自分がやれることだけをやるという発想ではなくて、こういった複合的な問題に、さっき知事がいっていました、積極的に東京ならではで取り組んでいく必要があるんじゃないかと思うんで、今後検討をお願いしたいと要望しておきたいと思います。
 次に、保育政策について質問いたします。
 二月二十七日の東京新聞に、都が認可保育所に消極的だ、こういう記事が大きく出ました。私の認識としては、都は認可保育所も決して手を抜いていない、認可保育所もしっかりと力を入れて、保育サービスの拡充に努めてきたと、このように考えていたので、いささかびっくりしました。
 都が支援するのは、認可保育所の中の特に民間の認可保育所、私立の認可保育所。公立保育所は区や市が一般財源でやるわけですから。
 こういったところで改めて伺いたいんですが、これまでの三年間の実績として、認可保育所の整備がどのくらい進んだのか、これについて福祉保健局長に確認したいと思います。

○川澄福祉保健局長 平成二十一年四月からの三カ年で、認可保育所は百五十施設、利用児童数は約一万七千人分増加しております。
 本年四月には、さらに六十一施設増加し、定員は、新設分として五千七百人程度ふえる見通しでございます。また、既存施設の増築などによる増加も見込まれております。

○東村委員 平成二十四年度において、前年と比べて六十一施設、五千七百人程度、これまで三カ年の平均よりもふえているんです。つまり、この数字だけ見ても、東京都は認可保育所に消極的ではなく、むしろ私は積極的に取り組んできたと思っています。
 これだけ認可保育所をふやしているにもかかわらず、依然として七千人を超える待機児童が存在しているといわれております。
 その理由は何なのか、どこに原因があると東京都は考えておるのか、説明をお願いしたいと思います。

○川澄福祉保健局長 平成二十三年四月の待機児童数は七千八百五十五人であり、この解消を図るため、区市町村は、認可保育所を初め多様な保育サービスを拡充し、利用児童数は一万人分以上増加いたしました。しかし、平成二十四年四月の待機児童数は、前年と比べ五百九十八人の減少にとどまっております。
 平成二十一年度からの三年間の状況を見ますと、就学前児童人口は、五十九万四千人から六十一万五千人と約二万人ふえております。また、経済情勢の悪化等に伴い、女性の就業希望が高まっております。このため、就学前児童人口に占める保育サービスを利用する児童の割合は、三一・二%から三四・六%と三ポイント以上ふえており、こうした保育ニーズ全体の増加が、待機児童が減少しない原因であると考えております。

○東村委員 一つは、就学前児童人口が二万人、三年間でふえたと、さらには女性の就業希望が経済情勢の悪化に伴ってふえてきたと、したがって利用児童割合が三ポイント増加していると。確かに、認可保育所だけじゃなくて、多様な認証保育所も含めて一万人ふやしたけれども、結局は追いついていないと。まさに今、潜在的な保育ニーズが顕在化してきているという大きな流れにあると思います。
 需要が供給を上回るというイタチごっこがまさに続いているわけでありますが、そうはいっても、東京都は、これをやっぱり手をこまねいて見ているわけにはいかないと思います。積極的に増設に向けて取り組む必要があると思いますが、来年度、平成二十五年度、認可保育所の増設に向けた取り組みとその見込みについて伺いたいと思います。

○川澄福祉保健局長 都は、認可保育所の増設に向け、国の安心こども基金を活用した施設整備費や賃貸物件の改修費等に対する補助に加え、都独自に、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減する支援策を実施しております。
 さらに、未利用の都有地を保育所用地として減額して貸し付けるほか、保育所用地の定期借地に要する費用への補助などを実施し、地価の高い都市部での整備に努めております。
 平成二十五年度の認可保育所整備数は、五十施設以上を見込んでおり、都は、今後も保育サービス拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。

○東村委員 まさに平成二十五年度も五十施設以上を新たに整備していくと。私の調査では、認証保育所も四十カ所ぐらい整備していくと。合わせて九十カ所ぐらいやると。これだけやればと思うかもしれませんが、これから二十五年四月の状況を見ながら、万が一、この待機児童が解消されていないのであれば、やはり積極的なさらなる支援策も手を打っていかなきゃいけない、このように考えておりますので、ぜひともそこのところをよろしくお願いしたいと思います。
 次に、救急医療体制について質問したいと思います。
 昨年の予算特別委員会におきまして、休日・全夜間診療事業の実態を取り上げました。通年、固定で、内科、外科系は一ベッド当たり五百三十五万円の補助が出て、小児科については一千五百七十五万円の一ベッド当たり補助が出ている。
 ただ、グラフを見せて、表を見せて、病院によって受け入れ実績に余りにも差が激しい。特に、大きいからといって受け入れが多いというわけではなくて、比較的規模の小さいところでも、必死になって受け入れている二次救急医療機関がありました。
 そこで、こういった病院の規模と受け入れ実績を考慮した支援策に変えていく必要があるんじゃないかと、努力しているところが報われるような仕組みに変えるべきじゃないかということを提案させていただきました。
 局長は、救急医療対策協議会にこのことを諮問しますと、そして、直ちにこの小委員会においてあり方検討会を開いていただき、この一月二十九日に中間まとめを取りまとめていただきました。これは大変評価をしております。このまとめは、社会構造変化に対応する救急医療体制のあり方というまとめでありまして、さきの我が党の代表質問でも、この三月に最終報告が間もなく出ると、こういう話がありました。
 この中間まとめにおきましては、引き続き、当然、通年、固定による診療体制と空床は確保する、その上で、救急患者の受け入れ人員と救急医療に要する体制確保を評価して、確保病床の考え方を改めて見直すと、こうあります。
 そこで、この見直しの方向性、これについて都の答弁を求めたいと思います。

○川澄福祉保健局長 救急医療対策協議会では、休日・全夜間診療事業の確保病床の考え方について、現在の二床または三床の二段階から多段階に変更すること、その際には単に救急車の受け入れ実績に比例したものとせず、医療機関の病床規模や地域の実情等を勘案すること、救急医療機関の受け入れ実績以外にも、東京ルールの対象患者の受け入れや救急隊の要請に対する受け入れ率など、救急医療機関の努力を評価する指標を設定することなどが検討されております。
 都としては、今後、協議会からの答申や、診療報酬制度等との整合性も踏まえながら、関係機関とも十分協議し、本事業の見直しについて検討してまいります。

○東村委員 ぜひとも今いった話を、さらにこれから都のレベルで一年かけてやるというのではなくて、スピード感を持って、なるたけ早くやっていただきたいと思うんです。これはやっていただければ、必死になって頑張っている現場の二次救急医療機関の励みになります、間違いなく。そうしたら、さらにこの受け入れ体制が充実をすることは間違いありません。ぜひともお願いをしたいと思います。
 もう一つ、今回の中間まとめの中で東京ルールのことが記載をされていました。
 そもそも東京ルールは、迅速で適切な医療を確保するために策定されたルールなんですが、課題があります。それは、救急隊が観察の結果、重症と判断した場合は救急救命センターに搬送される。当たり前の話です。ただ、家族の意向や救急隊指導医
 わかりやすいグラフで説明したいと思います。これは平成二十三年度の実態調査、重症だった人が九百七十二人います。この中で、今いった家族の意向や救急隊指導医の助言で二次救急医療機関に搬送される方が三百三十九人いる。
 ところが、その三百三十九人のうちの約一割、三十七人は、選定困難事例に当たっている。選定困難とはどういうことかといいますと、六カ所以上の医療機関の受け入れ申請を行った、さらには、選定開始から二十分以上経過しても受け入れ先が決まらない事例、どっちかに該当した場合には選定困難事例に入れられているんです。つまり長時間の、表現はよくないんですけれども、たらい回しという、この事例に当たっているわけなんです。
 こういった人たちも、やはり東京都は、東京ルールの対象外だからと簡単に切り捨てるのではなくて、こういった人こそ、東京ルールを適用して対応すべきじゃないかと思うんですが、局長、いかがですか。

○川澄福祉保健局長 お話のとおり、現在の東京ルールに基づく搬送調整では、救急隊の観察結果が中等症以下の患者を対象としております。そのため、重症と判断された患者は、家族の意向や救急隊指導医の助言などにより二次救急医療機関に搬送することになっても、東京ルールの対象にならず、搬送先医療機関の選定に時間を要することがございます。
 このため、都では、こうした救急患者を一刻も早く医療機関に搬送できるよう、昨年十月から東京ルールの対象者を拡大した試行事業を実施しているところでございます。
 今後、救急医療体制の一層の充実に向け、試行事業の状況を改めて調査分析した上で、全都での本格実施を目指してまいります。

○東村委員 こういった人たちに対しても東京ルールを適用していくと、こういうお話ですので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次いで、高齢者のケアつき住宅について質問したいと思います。
 このケアつき住まい、いろんな定義がありますけれども、一つは住みなれた地域で生活をできるということ。それから適切な家賃で入居できると。そして、緊急時の対応や安否確認などの機能を持っていると。さらには介護や医療のサービスが利用できると。こういうケアつき住まい、このニーズは実は物すごくたくさんありまして、我が党は他に先駆けてこの問題を取り上げてきました。住宅施策と福祉施策を連携させた総合的な高齢者の住宅施策を推進するべきだということをずっと提案してまいりました。
 そこでまず、福祉保健局が行っている医療・介護連携型高齢者賃貸住宅、これについて質問したいと思います。
 この事業は、これはまさに国に先駆けて、平成二十一年度よりモデル事業として開始した事業でありまして、現在四年目です。知事が二年間で一万戸といっている、その四年ですから、四年やればもっとふえているかと、こう私も考えていたんですけど、意外に、現在十一施設しかやっていない。しかもこれ、二十五年、二十六年の運用開始分も入れてです。だから、来年度、再来年度の運用開始分も入れて十一しか進んでいない。単身用が三百四十六戸、世帯用が五十四戸、合わせて四百戸。
 これ実は、事業者の人に、私、いろんな話を聞いてきました。課題があるんです。その一、抵当権の問題。事業者が医療法人や社会福祉法人の場合、お金に余り余裕はありません。そこで、オーナー型という整備手法をとるんです。このオーナー型というのは、地主さんが建物を建てて、そして運営事業者に貸すという、こういう仕組みです。
 ところが、農家を除いて、抵当権のついていない土地というのは余りないんです、都や国の土地以外には。農家の場合は相続税対策でなかなか手放さないというのがあります。したがって、なかなか土地が確保しにくい。
 これを調べていってびっくりしたのは、国は、国交省です、十年以上事業を継続するということで、抵当権がついている土地、建物も補助対象にするとしているんです。東京都はといったら、事業者はいっていました。東京都の方がかたいんですと。高齢者施設において特養、老健の整備において、土地、建物に抵当権が設定されているときは、原則としてこれを認めないと、これを準用して抵当権の設定がある土地はだめですよと東京都が排除して、国が硬直じゃなくて都が硬直しているんです。
 私はまさに、国が、十年間事業を継続するということで、抵当権があってもいいですよといっているような状況なんですから、都もこういった条件をつけて、抵当権がついている土地、建物も補助対象とすべきだと思うんですが、局長、いかがでしょうか。

○川澄福祉保健局長 都におきましては、社会福祉法人が社会福祉施設等を整備する際、安定的かつ継続的な運営を担保するため、補助金の対象となる土地、建物に抵当権が設定されている場合には、原則として補助対象外としてまいりました。医療と介護のサービス機能を付加したサービスつき高齢者住宅モデル事業でも、同様の取り扱いとしております。
 しかしながら、お話のように、国はサービスつき高齢者向け住宅について、抵当権が設定されている土地、建物での整備も、十年以上の事業継続を要件に補助の対象としております。また、福祉サービスの分野でも、サービスによっては、社会福祉法人以外の民間事業者の参入が認められ、オーナー型による整備も進められております。
 こうした状況を踏まえ、今後、モデル事業の詳細な検証の中で、抵当権の取り扱いについても検討してまいります。

○東村委員 モデル事業の検証の中で検討していくということなんですけれども、もう一つ聞いてから話したいと思いますが、課題のその二で保証金の問題があるんです。
 これも、整備手法がオーナー型のために補助金はすべて地主さんに入る。確かにその分、運営事業者の賃料は軽減されることになるんですが、どうしても地主さんは、運営事業者が逃げるんじゃないかと心配をされて、弁護士さんを入れて、建設協力金や高い保証金を要求されます。これによって、実は事業を断念した事業者、医療法人や社会福祉法人もいるんです。私、知っているんですが、いるんです。
 実例でいいますと、この方は用意されたんですが、賃料の十カ月、保証金を要求されて二千万、医療法人は用意したそうです。この二千万調達するのに本当に大変だったと、でも何とかしなきゃいけないと思って二千万調達したと。
 都はよく、これは民民の関係だから、保証金や建設協力金には手を出せないといわれるんですけれども、少なくとも東京都が多額の補助金を入れているわけです。当然、運営事業者も審査して、継続性があるからそのところに補助金を入れるわけでしょう。だったら、都がこういった高い保証金や建設協力金に、一定の何らかの形で制約を設けたり条件をつけて、運営事業者が入れる仕組みというのはやっぱり考えていくべきじゃないかと思うんです。
 そうしないと、この問題、二つ引っかかっているだけでなかなか進まない。現に四年間かけて十一しか進んでいないというのが、まさに論より証拠だと思います。いかがでしょうか。

○川澄福祉保健局長 民間同士の賃貸借契約は、契約自由の原則により、民法、借地借家法等の法令の強行法規に抵触しない限り有効であり、その内容については、行政が規制することは適当でないというふうにされております。
 そのため、建設協力金や保証金などの取り扱いについて、行政が一律に基準を定め、制約することは困難でありますが、お話のように、実際にモデル事業で選定した案件の中でも、保証金の取り扱いがそれぞれ異なっていることは承知しております。
 医療と介護が効果的に提供される高齢者向け住まいの整備は重要であるというふうに認識しており、今後、モデル事業の詳細な検証を行う中で、こうした保証金等の取り扱いについても、関係団体からの情報収集も行いながら、十分に検討してまいります。

○東村委員 モデル事業の検証の中で、抵当権の問題も保証金の問題も検討していくというのは、一歩前進で大変ありがたい話なんですが、モデル事業の検証を一年かけてやられたら、結局、二十五年度は検証で終わってしまうわけなんです。結局、残されたのはあと一年しかないという。二年間で一万戸というのは、まさに絵にかいたもちになっていくんじゃないかと私は大変危惧をしています。ぜひともそこのところを、局長、重々にお願いをしたいと思います。
 次いで、ケアつき住まいの供給策。知事が六千戸から一万戸やるということで、都市整備局は即座にこれに反応して、近隣居住推進型と医療・介護サービス確保型、この二つに、従来の都の補助額の割り増しや区市町村分の肩がわり、さらには、医療・介護サービス確保型については、連携を条件に都が国と同額を補助する、こういった仕組みをつくったのは大変評価をします。
 しかしながら、一万戸という目標を掲げて進むためには、もっともっと私は踏み込んだ取り組みをしていかなきゃいけないと思っております。その一例を提案させていただきたいと思います。
 (パネルを示す)今、現行制度でも、実は家賃補助というのがあるんです。今、四万円家賃補助があります。これは全体で四万円。ここですね。国、都、区市で家賃補助が四万円。これは実は二十年間実施しなきゃいけない。区市にとって二十年間の家賃補助というのは実は大きな負担になっていまして、実施している区市は十区と三市しかありません。
 これを単純に、国は相手にしないで都と区市の分だけ、これは、四万円のうち五五%ですから二万二千円、この十二カ月の二十年分を計算したら五百二十八万円、この五百二十八万円をそっくりそのまま整備費に持ってくれば、この補助率は大幅にアップするんです。東京都は、単年度では懐は痛むかもしれませんが、二十年というランニングを考えれば同じなんです。これは実は新公会計の発想なんです。
 五百二十八万のうち都の負担分だけでも二百六十四万円。区市の担当者に話を聞くと、せっかく区市の分を、二七・五%を肩がわりしてもらって、また区市のこの分、負担するのかという話になる、区市の分もなくしてしまえば、区市はもう文句をいいません。都の五百二十八万の半分の二百六十四万円だけでもここに負担をしてあげれば、随分補助率がアップするわけなんです。
 こういったことを、ランニングコストからイニシャルコストに変える。つまり、家賃補助という毎年の補助から一気に整備費補助に変える、こういうスキームをやることによって、二年間でやるという考えがあるのであれば、加速はするんじゃないかと私は思うんです。
 今まで東京都が考えている二つのスキームにこういったスキームなんかも入れて、事業者や区市町村の声に耳を傾けて、新たな支援策を適宜施策化していく必要があると思いますが、局長、いかがでしょうか。

○飯尾都市整備局長 都はこのたび、ケアつき住まいの整備目標を一万戸に引き上げまして、そのための促進策といたしまして、国、都及び区市町村の三者による整備費補助の都の負担分を引き上げること、また、医療、介護施設との連携を要件に、国の直接補助に同額分の都費を加算する制度の拡充を図ることといたしました。
 今後、都は、区市町村等と連携し、今回拡充した支援策を活用して、新たな整備目標の達成に向け、全力で取り組んでまいります。
 施策を進めていく中で、お話のように、さまざまなアイデアを動員し、必要な整備促進方策について検討してまいります。

○東村委員 ぜひとも、いろんなスキームを考えていかなければ、私は二年間で一万戸というのは、そんな簡単にいくものではないと思います。
 高齢者のサービスつき住宅について、最後の部分で、今いったさまざまな課題、そして新たな提案をお聞きになって、猪瀬知事の一万戸に向けての決意を伺いたいと思います。

○猪瀬知事 高齢者が安心して人生を過ごせる住まいの整備にスピード感を持って取り組むために、ケアつき住まいを二年後に一万戸整備する、こういう新たな目標を設定した、これが非常に重大なことなんです。
 今まで四千五百戸ぐらいできましたから、このカーブをぐっと上げていけばいいわけですから。そもそも、これを提案したのは平成二十一年、副知事の時代に、少子高齢化時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトと、福祉と住宅と分かれているから、これを一つにできるだろうということで、結局、それが立ち上がって、住宅施策と福祉施策が融合した取り組みが、東京の特性を踏まえた東京モデルとして誕生したと。後で国交省がサービスつき住宅と、こういうことで、やっぱり東京モデルができたから、霞が関というのは、どこかでやらないと踏み出せないんです。
 そういうモデルを出して引っ張り出して、そしてさらに、ケアつき住まいに、今度は国交省のサービスつき住宅の補助金ものせるということで、さらにこれから区市町村の負担軽減を含めた新たな支援策を提案しているところでありまして、今後、目標達成に向け、取り組みを促進していきます。

○東村委員 確かに東京都が先に踏み込んだかもしれませんけれども、後からやったところの方がより弾力的な仕組みをつくっているという状況は、やっぱり都としてもこれは変えていかなきゃいけないと思いますので、スピード感を持つという知事であるならば、その部分を、号令をかけてでも変えていっていただきたいと思います。
 次いで、風疹対策について質問したいと思います。
 全国的に風疹が大流行しておりまして、都内でも多数の患者が発生しております。
 風疹の症状ですが、多くの場合、かかった本人は軽症、妊婦、特に妊娠初期の女性が感染すると、胎児が白内障や先天性の心疾患、さらには難聴といった症状が発症する先天性風疹症候群になることがあり、本当にこれは注意が必要であります。
 そこでまず、現在の流行状況とその背景について説明を求めたいと思います。

○川澄福祉保健局長 今回の風疹の流行は、昨年春から近畿地方で始まり、都内でも、昨年六月第一週に四人であった患者報告数が、七月第一週に三十八人に急増いたしました。その後も流行は続いており、ことし二月には、第一週は四十一人、第二週は九十人、第三週は百二人、第四週は百三十三人と、報告数はさらに増加し、直近の三月第一週も百二十一人となっております。
 昨年七月からことし二月末までに報告された約千百人の患者の内訳を見ますと、男性が全体の約八割であり、最も多いのは三十五歳から三十九歳でございます。一方、女性は二十歳代が多くなっております。
 この年代の男性に患者が多い背景としては、平成七年四月まで男性が風疹の定期予防接種の対象となっていなかったことなどが考えられます。

○東村委員 まさに今回の風疹は、定期予防接種の機会がなかった成人男性を中心に流行が広まっていると、このように今答弁がありました。
 本来、風疹の対応は、国が予防接種体制を整えなければならないんですが、今のところまだまだ体制を整える気配がありません。
 特に、今回のように二十代、三十代といった比較的若い世代の人たちが大変感染しているという状況を考えた場合、定期予防接種に加え、先天性風疹症候群の予防に向けた緊急的な対策がとられなければ、これはちょっと大変なことになるだろうなと私は考えております。
 そこで、この緊急対策、ぜひとも都がやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○川澄福祉保健局長 現在、都内では、風疹の患者が急増しており、免疫を持たない妊婦の感染による先天性風疹症候群の発生が危惧されるところでございます。
 このため、都は都民に対し、風疹の感染予防に関する普及啓発に努めるとともに、緊急対策として、包括補助事業を活用し、ワクチン接種に取り組む区市町村を支援してまいります。
 また、国に対しては、現在の流行状況を踏まえ、定期予防接種の機会のなかった年齢層への対応など、必要な措置を講じるよう提案要求してまいります。

○東村委員 今、局長から、緊急対策として、包括補助を活用してワクチン接種に取り組む区市町村を支援すると、こういう話がありました。ぜひとも今いった情報をいち早く区市町村に伝えてあげていただきたいと思います。そして、子どもたちの将来を守るために、取り返しがつかないようにならないように、早目早目の対策をお願いしたいと思います。
 次いで、多摩地域のものづくりについて質問したいと思います。
 多摩地域は、意外に知られていないんですが、製品製造出荷額、これは工業統計調査によるんですけれども、四・七兆円です。これに対して区部は三・五兆円。実は区部の方が多いと思われがちなんですが、多摩地域の方が四・七兆円で多いんです。
 特に、製品開発力の高い企業がたくさんあります。私の地元八王子市も、多摩地域の約二〇%を占める千二百五十四社のものづくり中小企業が集積しております。
 例えば、F1レースの車に使われるギア、この加工を行っている日本でも珍しい会社が八王子にありまして、高い精度のギアをつくり上げるすぐれた技術力が評価されて、業績力が大変に今伸びている、アップしている。昨年度には、八王子市内で工場を移転、新設をしたわけであります。
 そういう中において、先ほどの製品製造出荷額も、年度比較をすると、二十一年から二十二年にかけて、都内全体では三%しか伸びていないのにかかわらず、八王子は実は一〇%伸びています。そういった意味で、八王子は、高い製品開発力を持った中小のものづくりが集積している地域だといえます。
 そこで、さらにこの競争力を高めていくためには、こういった中小企業が、成長分野で技術開発を促進していくことが大変重要でありまして、東京は、首都独自の大都市特有の課題、高齢化の問題や環境、防災、こういった課題を抱えています。この解決に向けて、新たな製品や技術の開発が大変今期待されているところなんですが、この大都市のさまざまな問題に関するすぐれた研究成果は、実は都内の大学に、知られていない部分も含まれて数多く蓄積されています。そういった意味で、こういった高い技術を持っている企業が大学や研究機関とマッチングしていけば、いろんな意味でどんどんどんどん製品の開発が進んでいくわけです。
 実は、これはまた八王子の会社で申しわけないんですが、東京都の老人総合研究所の高齢者の適切な運動量の理論研究、これを活用して、介護予防のためのトレーニング機器を開発しました。これが、昨年のベンチャー技術大賞の特別賞で表彰されたわけであります。こういったことが新たに出始めてきています。ただ、まだまだ少なく、中小企業にとって、実は大学や研究機関は敷居が高いというのが現実であります。
 そこで、我が党の代表質問でも取り上げましたが、大学と連携した製品開発への支援、連携イノベーション促進プログラムを東京都は新たに実施すると答弁されました。
 その具体策について説明を求めたいと思います。

○中西産業労働局長 高い技術力を持つ中小企業が、今後成長の見込める分野で大学等と連携し、先端の研究成果を活用して製品開発を進めていくことは重要でございます。このため、都は新年度から、連携イノベーション促進プログラムを開始いたします。
 本事業では、都市課題の解決に役立つ技術開発テーマを具体的に示す課題マップを東京都として作成をいたしまして、これに沿って、中小企業が大学や研究機関等と連携して製品開発を行う場合、経費の三分の二について三千万円を限度に助成を行います。
 本事業では、環境・エネルギー、防災、医療・福祉など幅広い分野を対象に、課題マップを毎年度更新し、最新の課題を取りまとめ、技術や市場の状況に即した的確な対応の方向性を示します。
 これにより、成長分野における中小企業の技術開発をより一層促進してまいります。

○東村委員 今、課題マップを毎年度更新しながら、喫緊の課題を集約することで的確に対応すると。これは、毎年度更新していただくということが非常に重要でありまして、そのときのニーズに合った課題マップをつくらないと何の意味もないわけでありまして、ぜひともそこをよろしくお願いしたいと思います。
 その上で、この産学公連携、非常に大事なんですが、やっぱり拠点が必要なんですね。これは、それぞれが個々違うベクトルに向かってちゃいけないわけでありまして、みんなそこに集約できる拠点が必要で、交流拠点の整備というのが必要になってまいります。そこの交流拠点について、どのような施設を整備するかというよりは、むしろどういった役割をその交流拠点が果たしていくのかが、これからの、八王子のみならず多摩の産業の未来にとって大変重要になってまいります。
 私の地元八王子は、首都圏産業活性化協会という経産省の協会があります。これは、ものづくりを支援しています。通称TAMA協と呼んでおります。さらには、サイバーシルクロードといった支援機関もあります。また、市の先端技術センターもあります。しかしながら、これは今ばらばらの状態です。
 こういったところが産学公連携とさらに一体となって、一つの拠点に集積されることは、本当にこれから大きな課題になってまいりまして、ぜひともこれを都が後押しをしてもらいたいと思います。企業同士の交流はもちろん、こういった支援機関が力を合わせて、多摩のものづくりの活性化に寄与できる、こういった拠点整備を今求められているところであります。
 そこで、この産業交流拠点の整備に当たって、企業間の交流や産学公連携のさらに強固な連携を深めていくための機能、そして現在の進捗状況とあわせて、産業労働局長に伺いたいと思います。

○中西産業労働局長 都が八王子市に整備を予定しております産業交流拠点については、ご指摘のとおり、多摩地域の中小企業が互いに交流し、研究機関や大学等と産学公の連携を促進する中心的な役割を果たしていくことが必要でございます。
 そのため、拠点の整備に当たりましては、商談会やセミナーなどを通じ企業同士が交流する場や、中小企業と研究機関等が連携して活動できる環境づくりを行うことを念頭に置いております。
 本年度は、企業等からの具体的なニーズや施設利用のあり方などに関する調査を行っておりまして、三月末を目途に結果を取りまとめる予定でございます。
 今後、産業交流拠点が期待される機能を十分に発揮し、多摩地域の中小企業相互の交流や産学公の連携を着実に実現できるよう、整備に向けた具体的な検討を行ってまいります。

○東村委員 調査の結果を三月末を目途に取りまとめて、今後整備に向けた具体的な検討を行っていくという、多摩地域のものづくりにとって大変有意義な答弁をいただきました。ぜひともこれを一日も早く実現をしていただきたいと思います。
 次いで、このものづくりを支える、いわゆる流通、その柱となる高速道路について質問をしたいと思います。
 (パネルを示す)首都圏を環状に走る圏央道でございますが、平成二十五年度、来年三月には、実は東名高速道路につながります。いよいよ待望の東名高速道路につながります。さらに、この土地の取得の問題があるんですけれども、最短で二十六年度に東名高速につながる。
 そういったときに、東名高速から走ってきた車が、圏央道を使わないで、従来のように首都高に入ってから東北道に行く、こういったことをした場合、また交通量は減らないで、圏央道をつくった意味がない。その原因は料金なんです。料金が、圏央道を使った方が今の想定でいくと高くなるから、みんな安い中に入ってくる。
 こういったことを解消するためのロードプライシング、首都圏の高速道路の料金体系を、一周する前、もう東名から東北につながった段階で検討すべきだと私は思っております。
 このことは多摩地域のものづくりにとっても大変重要で、さっきいった産業交流拠点が八王子にできて、使えるのは、中に入る道か圏央道。中に入ってしまったら、また渋滞に巻き込まれて、時は金なりじゃありませんけれども、経済的損失は大きい。
 したがって、知事もかかわってこられたと思いますが、本来、道路公団の分割のときに、私はこの圏央道の内側は一つの高速道路会社にしておくべきだったんじゃないかと思うんですね。そのことが、いろんな意味でのさまざまな対策を組むことができる。
 特に、中央道を見てください。緑で書きましたけれども、この中でひときわ、首都圏の中に、東京の中に、中央道が永福まで入り込んでいます。こんなばかなことはないわけでありまして、本来、中央道は八王子から先でとまっておいてもらうのが一番よかったんです。でも、これだけが残された。なぜか。ドル箱路線だからなんです。中日本高速道路株式会社にとって、中央道のこの八王子―永福間を手放したら経営が成り立たない。ドル箱路線だから残したんです。そこで、この料金体系とともに、渋滞を緩和するためにはこの問題も取り上げていかなきゃいけない。
 実は朝夕、特定の時間ですけれども、永福の料金所と三鷹料金所を起因として大渋滞が起きています。これは多くの人が認めているところでありますけれども、そもそも高速道路をつくって、単純な発想ですよ、高速道路の上に料金所をつくる。渋滞が起きるに決まっているわけでありまして、ETCができたからいいじゃないかというかもしれません。百キロで走っていた車が二十キロになったら、間違いなく渋滞をします。
 こういった渋滞の要因になっている高速道路上の料金所、私はこれは撤廃すべきだと思っているんです。そういう話をすると、ETCつけている人はいいかもしれぬけど、現金の人はどうするんだと。今、現金の人も、いわゆる専用のパーソナルカードってあるんです。これは、実は今ETCに既につけられるんですが、余り知られていないんです。現金の人もパーソナルカードを取得して、いわゆるプリペイドカードみたいなものです。デポジット制で料金が落ちていく。こういうやり方があるので、今、首都高がおりるときにETCで料金をはかっています。こういった仕組みをつくれば、高速道路のど真ん中に料金所をつくる必要はないんです。
 実は、こういったのがこの圏央道の内側のエリアに全部で十八もあります。こういった問題を、ぜひとも地下鉄の一元化、利用者の立場に立って、まさにあの壁を取っ払うといった知事の発想で、また道路公団の民営化に取り組んできた知事として、さらには首都高の大株主である東京都の知事として、経営の観点ではなく、利用者の観点から、この高速道路の料金体系の見直しと高速道路上の料金所の撤廃を国や高速道路会社に働きかけていただきたい、このように思うんですが、いかがでしょうか。

○猪瀬知事 先に料金体系の話をしますとね、厚木と圏央道がつながって、ただ八王子まで開通するのは二〇一四年ですから、二〇一四年度、つまり厚木のところは一部できるけど、八王子の下の方の(東村委員「来年三月」と呼ぶ)二〇一四年、そうそう。それと、後そこからずっと圏央道で関越の方に行って、関越の手前のところでまたつながっていない。関越を過ぎて東北道に行くところも、東北道の手前ね、ごめんなさい、鶴ヶ島まではつながっているけど、そこから先が全部つながっていない。(東村委員「今、北本までつながっているんです」と呼ぶ)そこから先、東北道につながっていない。東北道から常磐道へもつながっていない。これはまだもう一、二年待つわけ。
 そういう流れの中で、当然、首都高を通って常磐道でつくばの方に抜けたり、東北道に抜けたりするのと、圏央道を通って、どっちが時間的に得かというものと、それと料金の問題と二つ重ね合せて考えて、もちろん利用者は得する方を選ぶわけですから、インセンティブとして、都心に入ってこないようなインセンティブを料金体系として、利用者にとってリーズナブルであるというふうな料金体系をきちんと考えていくということが必要になってくるということですね。
 それはおっしゃるとおりで、そういうふうに進めていくということで、これは国交省と、あとほかの九都県市もありますから、そういう話し合いも進めていくんですが、基本的には、とにかく都心に入らないように、できるだけ工夫をするということに尽きるということですね。
 あとは、先ほど永福町の料金所の話ですが、これは民営化委員会で、そのときの値段を下げているんですよ、八王子と永福の間の値段はかなり。ただ、首都高速会社とそれから中会社の方は、要するに出資が違うので、やっぱり首都高速は東京都が出資していたりして、それでそこと要するに道路公団系と一緒にすることはできなかった、これは。
 だから、そういうことはそういうことでして、ただし、利用者にとって一番メリットがある方法を考えていくことは非常に重要であるということで、あとETCは、今のプリペイドカードを含めて実質ほとんどついていますよね。ですから、現金車もほとんどなくなってきていることは事実ですが、ただ、全く料金所がないということは無理なところがあって、出口のところで幾らピッと鳴るとしても、やっぱりどこかでとらないとならないところはあるんですね。
 そういうことで、永福町の問題は、朝夕渋滞があるというが、基本的に料金所はなくてもあっても渋滞はあるんです。(「いっていることが違うじゃないか」と呼ぶ者あり)それはそうなの、それはデータとしてはね。そういうことなので、おっしゃることはよくわかるから、リーズナブルに、できるだけしていきたい。
 一番のあれは、都心にとにかくでっかい車が入ってこないようにするということですよ、外側を回った方が得だというふうに判断してもらうということが一番重要です。

○東村委員 実は、きのう国土交通省、太田大臣とこの話をしてきました。大臣は、非常にこれは大事な話だから、今データがあるといって、道路局もそういっていましたけど、実はそうじゃないということもわかりましたので、まず、実態がどうなっているかということを、現場を見に行くといっていました。見た上で、やり方はいろいろあるけれども、これは検討していくという話をしていましたので、ぜひとも知事の方でも研究して、利用者の側に立った体制を整えてもらいたい、このように思います。
 最後に、観光振興について質問したいと思います。
 観光振興のポイントは外国人の誘致、これが私は最大のポイントだと思います。皆様ご存じだと思いますが、ジャパン・ガイド・ドットコムという日本の魅力を発信する観光情報サイトが非常に海外で好評で、月間六百万件のアクセスがあると。このいいところは、日本人が知ってほしいという感覚よりも、海外の人が知りたいという感覚で、どんどんどんどん紹介をしている。
 例えば猿の入浴シーンなんて、だれも日本人は余り見たいと思わないんですけど、これが物すごいヒットで、これを見たいために、わざわざ日本に来るという外国人の観光客もいるくらいでありまして、今東京も、「GO TOKYO」という観光サイトを立ち上げておりますけれども、ぜひとも、日本人の感覚でやるんじゃなくて、外国人をこの「GO TOKYO」、観光財団の中に参加してもらって、臨時的でもいいです、雇って、外国人の感性で、この「GO TOKYO」を新しい組織として立ち上げていったらどうかと、このように思うんですけど、いかがでしょうか。

○中西産業労働局長 海外向けの観光情報の発信に当たりまして、外国人の興味を引く情報を効果的に提供していくことが重要でございます。そのため、東京観光財団が運営する観光公式サイトでは、英語、中国語、ハングル及び欧州系言語の四つのパターンそれぞれに外国人デザイナーを活用いたしまして、各国の人々の関心を引くよう、異なる構成やデザインでページを制作しております。
 また、東京のトピックスを紹介いたします東京発見という特集記事を掲載いたしまして、言語ごとに、文筆業などに携わる東京在住の外国人の方に執筆をお願いしております。
 今後、海外の人々にとってさらに魅力的なサイトとするため、財団に検討組織を立ち上げ、外国人の方にも参加していただくことにより、外国人の視点を取り入れたサイトの運営を進めてまいります。

○東村委員 まさに今、外国人にも参加していただいて立ち上げていくと、こういう話がありましたので、お願いをしたいと思います。
 もう一つ、日本食です。この日本食は、いよいよユネスコの無形文化遺産に登録しようということで日本国も動き出しました。今、世界じゅうで日本食のブームが起きています。健康ブームと相まって、日本食のブームが起きております。日本政府観光局が調査した状況によりますと、来日に当たって期待する日本の食事は、まさにトップクラスだといわれています。
 そこで、オリンピック・パラリンピック招致に向けても、この日本食の魅力を海外に発信していくことが大事だと思いますので、ぜひとも日本食を活用した外国人旅行者の誘致政策、これについて東京都は取り組んでもらいたいと思います。どうでしょうか。

○中西産業労働局長 東京は、多種多様な飲食店が集積するなど食の魅力にあふれており、都はこれを貴重な観光資源として、さまざまな機会を通じPRを行っております。
 例えば、海外の旅行会社やメディアを東京に招いた際に、すしを握る体験や、しにせの和食店での食事を行程に入れたツアーなどを実施しております。また、国際会議の参加者向けに、築地市場の見学会や和菓子の試食会を開くなど、日本の食文化に触れる機会を積極的に提供しております。さらに東京の観光公式サイトでは、都内で楽しめる多彩な食文化を多言語で世界に発信しています。
 今後は、旅行事業者等への働きかけを通じて、食の魅力を取り入れた旅行商品を数多く開発できるよう、東京の豊かな食を生かした観光振興の取り組みを推進してまいります。

○東村委員 最後に、高尾山。
 この高尾山は、ミシュランガイドで三つ星でありまして、年間三百万人が訪れています。
 東京都もトイレを改築してくれました。ありがとうございました。三十二から八十九になりました。
 しかも、頂上に高尾ビジターセンターがあるんですが、これがちょっと、老朽化と、収容人数が足りない、展示物も陳腐化、レクチャールームが狭くて子どもたちが収容されない、こういった課題があります。
 そこで、今年度から改築をするということなんですが、ぜひとも、外国人を含む多様な登山客のニーズにこたえる機能を強化してもらいたいと思います。
 環境局長、いかがでしょうか。

○大野環境局長 観光拠点である高尾ビジターセンターにつきましては、都は、平成二十五年度、二十六年度の二回にわたり増改築をしていきます。
 具体的には、自然教室やビデオ上映などを行うレクチャールームを別棟として整備し、収容人数をこれまでの三倍にふやすことで、子どもたちの遠足や外国人団体客など団体利用のニーズに着実に対応してまいります。
 また、本館の改築に伴い、展示空間を一・五倍にふやし、四季折々の新鮮な情報発信を外国語も含めて行うとともに、高尾の自然を体感する自然教室を充実させ、初めての方はもちろん、リピーターや外国人など多くの方々に、高尾山の自然について学べるようにしてまいります。

○谷村副委員長 東村邦浩理事の発言は終わりました。(拍手)

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