予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議

○斉藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 委員の質疑時間は、答弁時間を含めたものであり、限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 大塚たかあき理事の発言を許します。

○大塚委員 都議会民主党の大塚たかあきでございます。
 猪瀬知事におかれましては、先週のIOCの評価委員会の訪問のご対応でまだお疲れが残っていらっしゃると思いますけれども、きょうから三日間、予算特別委員会が開かれまして、まず冒頭、私から二時間余りの時間を要しまして質疑をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げるとともに、教育長、そしてまた東京都技監、そしてまた関係局長の皆様におかれましても、よろしくお願いを申し上げます。
 昨日三月十一日、あの東日本大震災より二年目を迎え、改めて犠牲となられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、福島原発事故も含め、今なお避難を余儀なくされている方々にまずお見舞いを申し上げます。
 また、被災後も、救出救命活動に、行方不明者の捜索活動に、さらには福島原発の被害拡大阻止に尽力された消防隊、消防団、警察、自衛隊、そして多くのボランティアの方々、市民団体の方々に敬意を表するとともに、世界各国から寄せられた温かいご支援に心よりお礼を申し上げるものであります。
 未曾有の東日本大震災から二年が経過する中で、岩手県、宮城県、そして福島県は、美しいふるさとを取り戻せるよう、懸命に復興に取り組んでおります。
 宮城県や岩手県では、雇用創出のため被災企業の再建や企業誘致の取り組みを進めることや、県民の生活、住宅再建、高台移転事業の推進、被災者や職員の心のケア、瓦れきの処理などを推進することが課題と聞いております。
 十五万人を超える人たちが県内外で避難生活を送る福島県で、避難者の生活再建や除染、生活インフラの整備、県民の健康を長期に見守る取り組み、子どもを安心して産み育てられる環境づくり、風評被害対策などを進めていくとのことです。
 都においては、岩手、宮城、福島の三県に寄り添い、各県の意向にこたえて、復旧、復興を支援し続けていくことを求めますが、まず知事の所見をお伺いをいたします。

○猪瀬知事 東京都は、これまで被災県の要望にこたえ、全国に先駆けて震災瓦れきを受け入れてきました。平成二十三年十一月から今月末までに、宮古市、女川町、石巻市及び大槌町から合計約十万トンの瓦れきを都内に受け入れております。大槌町はもうちょっとだけ残っています。
 それで、来月からは、継続する大槌町のほかに、新たに陸前高田市、釜石市の瓦れき、合計約五万トンをさらに受け入れていく予定であります。
 また、全国の先頭を切って、即戦力となる民間経験者四十七名を採用して、それと別に現役職員と合わせて百二十六名派遣されておりまして、全国第二位の北海道の三十九名と比較しても、群を抜いた派遣数で被災地を支えております。土地区画整理事業や住宅の高台移転など、新たなまちづくりが本格化する中で、専門技術を有する職員の不足、客足の戻らない観光業、相変わらず風評被害が絶えない農水産など、依然として課題が山積しております。
 このため、東京都は、全国自治体の雄として、来年度も復興事業の最前線に百名を超える職員を派遣するつもりでおります。
 引き続き、こうした支援のほか、被災地応援ツアーや都内での特産品販売の実施など、さまざまな分野を通じて、復興に向けて懸命な努力を重ねて、被災地をこれからも最大限支援していきます。

○大塚委員 ただいま知事のご答弁のように、瓦れきの受け入れ処理、そしてまた職員の派遣ということで、都としてはバックアップしていただいて、しっかりと、今おっしゃるように地方自治体の全国の雄として、効果が出るように取り組んでいただきたいとともに、津波による地域の被害が大変大きく、行方不明者の捜索が現在も続いている地域もあります。また、被害の範囲も広いため、復興まちづくりの進捗はこれからです。
 地域により復興状況が変わりゆく中で、各県の要請にこたえて対応をしっかりしていただきたいことを要望しておきます。
 次に、都政運営についてお伺いをしてまいります。
 一月四日の知事査定では、東京都の平成二十五年度予算案のフレームの方向性について協議され、予算の基本的方針として、国や民間を動かし、新たな東京モデルを発信していく取り組みや、都民の安全・安心を守る取り組みに財源を重点的に投入することが確認されるとともに、都債や基金については、猪瀬新知事から、将来を見据え、都債発行額を平成二十四年度予算以下とし、基金残高はふやすよう指示があったと聞いております。
 その後も、都債、基金とも原案発表の一月十八日まで精査され、今回の堅実ともいえる予算案を策定したわけですが、初めての予算査定を行った猪瀬知事の感想と、最初に指示を出した都債発行額の抑制と基金残高の増についての基本的考えをお伺いいたします。

○猪瀬知事 オリンピック・パラリンピック招致と並んで、就任後に真っ先に取り組まなければならなかったのが予算編成であります。就任してすぐ、各事業報告などを並行してすぐやりまして、そして、予算原案まで一カ月しかない中で、ロンドン出張もあり、それから非常にタイトな日程でしたが、一月四日の仕事始め、その日からやって、休日を返上して査定を行いまして、職員ともひざを突き合わせてかなりいろいろ議論しました。
 そして、その結果、公約に掲げた施策をしっかりと盛り込んで、都民の期待にこたえる予算に仕上げることができたというふうに考えております。
 一方、施策展開を支える都税収入は、景気変動の影響を受けやすく、また、増加に転じたとはいえ、依然としてリーマンショック直後の水準にとどまっておりますので、これから少し税収は上向く可能性がありますが、この先、少子高齢化や防災を初め、東京が直面する課題に的確に対処していくためには、財政基盤の強化を図る必要があると考えて、都債発行額を抑制して、基金残高をふやすよう指示を出したものであります。

○大塚委員 猪瀬知事も就任早々で大変だったと思いますけれども、あわせて財務当局のご努力に敬意を表したいと思います。
 次に、都税収入についてでありますけれども、二十五年度予算案における都税収入は、前年度に比べて三・九%増、千六百九億円の増として四兆二千八百四億円を計上しており、特に法人二税については、前年度比一四%、千七百三十億円の増として一兆四千百二十一億円を見込んでおります。
 先日議決した補正予算も明らかなとおり、二十四年度の都税収入は当初予算を千四十億円上回る見込みとなりましたが、都税収入が五年ぶりに増加傾向に転じたことは、民主党政権での成果であったと考えます。
 一方で、我が国の経済成長率は、昨年夏以降、貿易赤字の影響で大きく下がり、十月から十二月期は下げ幅は縮小はしたものの、三四半期連続のマイナスとなっております。海外経済の低迷に伴う輸出の低迷に加えて、燃料輸入の増大や円安が追い打ちをかけており、当面この傾向は変わるように思われません。
 そこで、二十五年度予算案における都税収入の考え方について見解をお伺いいたします。

○新田主税局長 都税収入の見込みに当たりましては、各税目の収入実績をもとに、投資や所得など税収と密接な関連のある各種経済指標や税制改正の動向等を踏まえ算出しております。
 さらに、都税収入の約三割を占め、景気変動の影響を受けやすい法人二税につきましては、算出の精度を高めるため、企業の業種や規模別の収益予測等も勘案し、税収を見込んでおります。
 平成二十五年度の法人二税収入につきましては、復興需要等で持ち直した企業収益が、海外経済減速等の影響はありますものの、非製造業を中心に内需に支えられ、堅調に推移する見通しでありますことから、今年度当初予算対比で一千七百三十億円の増となり、都税総額では一千六百九億円増の四兆二千八百四億円を見込んだものでございます。

○大塚委員 二十五年度予算案では、経済波及効果の高い公共投資に財源を重点的に配分するとして、投資的経費を前年度に比べ一・八%増の八千六百六十三億円とし、九年連続の増としております。
 予算案の概要、いわゆるグリーンブックでは、家庭の創エネ・エネルギーマネジメント促進事業を初め、少子高齢時代にふさわしい新たな住まいの実現、アジアヘッドクオーター特区の推進、あるいは外環や中央環状品川線の整備などによってもたらされる経済波及効果や雇用創出数が示されております。
 こうした猪瀬カラーともいえる事業の効果をなるべく都民にわかりやすく伝えていこうとする試みは評価するとともに、行く行くは経済波及効果や雇用創出数などについても、予算化にあって一つの指標としていただきたいと要望するとともに、こうした都民にわかりやすい説明も今後も拡大していくべきと考えます。
 そこで、予算案に盛り込まれた事業の経済波及効果や雇用創出数を示していくことについて、今回の取り組みのねらいと基本的考え方についてお伺いいたします。

○中井財務局長 予算に計上した経費が景気回復や雇用促進にどのような効果をもたらすかについて、具体的な数値で示すことは、事業に対する都民の理解を深めるとともに、今後の施策推進にも寄与するものと考えております。
 こうした考えのもと、今回の予算では、幾つかの事例について、事業の目的や直接的な効果とは別に、産業連関表等を用いて、経済波及効果や雇用創出数を試算、公表したものでございます。

○大塚委員 今後ともわかりやすい説明に努めていただきたいと思います。
 さて、二十五年度予算案の目的別内訳では、福祉と保健の分野が初めて一兆円を超え、構成比も分野別のトップとなる二二・二%に達しています。これは、施策の充実に加えて、高齢化の進展による影響が大きく、社会保障関係費などの支出は、今後ますます増大するものと考えます。
 私は、福祉と保健の予算の増加によって、財政運営の硬直化を招かないためには、後ほど質問しますが、医療と介護の連携を初め、元気な高齢者がいつまでも元気で過ごせる施策の推進、あるいは高齢者の新たな住まいの実現などにも積極的に取り組んでいく必要があるものと考えます。
 そこで、一兆円を超えた福祉と保健の分析と今後の施策展開に向けた認識について、代表して福祉保健局に伺います。

○川澄福祉保健局長 来年度の福祉と保健の分野の予算は、健康安全研究センターや子供家庭総合センター等の大型施設の整備が終了する中で、一兆円を超える過去最高となっております。
 内訳では、高齢化の進展に伴い、後期高齢者医療負担金や国民健康保険負担金など法定負担金等がふえ、保健政策費は約三百四億円増加しておりますが、その他の分野でも、医療政策費で十八億円、少子社会対策費で四十八億円、障害者施策推進費で百四十億円、それぞれ増加しております。
 予算編成に当たっては、事業評価などを通じて、すべての施策を厳しく検証し、その効率性や実効性の向上に取り組んでおり、来年度予算案でもこうした取り組みを徹底した上で、認知症の早期発見、診断、治療のための新たなシステムの構築や、高齢者のためのケアつき住まいの整備、待機児童の解消に向けた小規模保育の実施など、効果的な新規施策を盛り込みました。
 今後とも、施策のあり方を不断に検証しながら、東京の特性を踏まえた費用対効果の高い福祉、保健、医療施策を展開してまいります。

○大塚委員 二十五年度予算案では、監理団体に対する財政支出額として二千百七十六億円を計上しておりますが、平成十一年度に二千七百四十二億円あった監理団体への財政支出は、石原都政のもと、平成十七年度には千五百五十三億円にまで減っております。しかし、その後は、平成十九年度に二千八十五億円となって以降は、二千億円を下回ることはありません。
 もちろん財政支出だけで一概に論じられるわけではありませんし、監理団体だけの問題ではありません。私たち都議会民主党は、監理団体、報告団体も含めた外郭団体改革として、外部有識者による評価、検証を恒常的に行っていく仕組みが必要であると考えます。
 猪瀬知事は、本会議で、まだ知事になったばかり、これから考えてやりますと答弁をしておりましたが、副知事時代からの思いは当然あるのではないかと推察をいたします。
 そこで、改めて外郭団体の改革に向けた猪瀬知事の見解をお伺いいたします。

○猪瀬知事 外郭団体については、石原知事就任以降、監理団体の数を六十四から三十三に減らして、役員の退職金を全廃するなど、積極的な改革をやってきました。
 これは、ご存じのように国ではやっていない包括外部監査、公認会計士による監査が比較的厳しくきちんとやっているのを見まして、かなりこれできるなというふうに思っていまして、今のところ三十三の監理団体のうち二十一まで来ていますから、これは徹底的にやっていけばいいと思います。
 独自の取り組みとしてやったことで、例えば一つの例として挙げますと、東京都保健医療公社、この間やったばかりですけど、病院事業における未収金処理やコスト分析などを中心に厳しい指摘がありました。
 その後の強力な指導によって、平成二十二年度末で累計一億五千六百万円あった公社六病院の個人未収金を、一年間で約千七百万円削減するなど、これからもっと削減しなきゃいけないが、まず一年間で千七百万円の成果が出たと。そういう効果があらわれてきました。
 また、住宅供給公社では、入居にかかわる保証料の水準や保証業務の一社独占についての指摘を包括外部監査で受けて、二%払っていた保証料を、民間の会社を入れて競争させることで、一・五%に引き下げた。東京公社住宅サービスというのがあるんですが、オリエントコーポレーションという民間の会社が入って、これは僕も現地で確かめました。
 こうした外部のチェックを受けて、外郭団体の持つ技術力や専門性は生かすけれども、さらにこれからも包括外部監査をきちんとやっていきたいというふうに思っています。

○大塚委員 ありがとうございました。
 平成二十五年度予算編成方針では、事業評価については、新たに監査報告を活用した類似事業への横断的な検証に取り組むなど、事業を検証する機能の底上げを図るとしておりました。
 こうした方針の結果、二十五年度予算では、委託経費の見直しや印刷物作成委託の発注方法の見直しなどが図られたようですが、今後とも、類似事業を例示など、横断的な検証がさらに進むよう監査報告を積極的に生かしていくべきであり、そのためにも監査をより一層充実させていくことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○松井監査事務局長 監査結果につきましては、各局が真摯に受けとめ、指摘等の内容を十分に検討した上で、改善策を策定し、事務事業の見直しに反映することが重要でございます。
 お話のように、平成二十五年度予算編成におきまして、事業評価の仕組みに監査結果を活用して事務の見直しが行われたところでございますが、こうした取り組みにより、一層各局において事務事業の見直しが進んでいくものと考えております。
 監査事務局といたしましても、これまで過去の指摘事例を参考に、各局に共通する不適切な処理について検証を行うとともに、重点監査事項を定めるなど、都庁全体の事務事業の改善に資するよう努めてきたところでございます。
 今後とも、監査結果の反映が都の施策の改善につながるよう、より一層充実した精度の高い監査を実施してまいります。

○大塚委員 ありがとうございました。
 大項目三つ目になりますが、スポーツ振興についてお伺いをしてまいります。
 去る三月四日、先ほど冒頭申し上げましたとおり、七日まで、IOCの評価委員会が立候補三都市のうち、最初の都市として東京を訪れ、さきに提出した立候補ファイルの内容や競技会場予定地を詳細に調査をいたしました。
 この調査結果は、七月には取りまとめられ、全IOC委員の手に渡り、その評価がIOC委員の投票行動に反映されることになります。
 九月七日のIOC総会において招致獲得を実現するためには、今回の調査結果で高評価を得ることが必要条件となっております。訪問期間中は、最先端の技術を駆使したプレゼンテーションや心遣いの行き届いたおもてなしなど、まさに東京、日本ならではのホスピタリティーに調査団も感銘を受けたと伺っております。
 そこで、招致の成否に影響するIOC評価委員会の訪問調査に対する対応とその成果について、まさに先頭に立って臨んだ知事の所見をお伺いいたします。

○猪瀬知事 オリンピックの評価委員会に対して、どういうふうにプレゼンテーションするか、いろいろ考えました。前回の挑戦で何が欠けていたかと、そういうところでまず一ついえることは、やっぱりスポーツが好きなんだということを見せる必要があると。いろいろこれは話し合いました。
 もちろん安倍首相がご出席されましたが、この前、東京都だけでやっているように見えたんですね。ですから、今回は政府、そして皇室、東京都、あらゆるスポーツ団体、みんなかかわっているよと。しかも、オリンピックに出場した選手が前面に立つよと。こういうことで、プレゼンテーションの形を大分変えました。
 僕自身も車いすテニスのゴールドメダリストである国枝選手とテニスをやりました。(「よかった」と呼ぶ者あり)ありがとう。結構、体温めるために少し早く行って、一時間ぐらい打ち込んでから本番を迎えまして、スマッシュが決まってよかったと思っていますが、外れる確率五〇%ですからね、僕の場合は。
 我々の持っている持ち味は、もちろんテクノロジー、ハイレベルの安心・安全、すぐれた輸送インフラ、これはもうわかっているんだけれども、しつこくしつこく見せると同時に、パッションを見せなきゃいけないということが今回よくわかりましたので。
 そして、アスリートファーストだと。競技場八キロ圏内にコンパクトにできるんだと。これも会場視察をするときに、一分の狂いもなく会場視察ができると。これは、実際運営能力を感じていただくために必要ですから、それもきちんとやったということで、運営能力もご理解いただいたと思います。
 あともう一つは、やっぱりIOC側が、結局、招致都市、つまり我々とパートナーであるということを理解する。パートナーにふさわしいか。オリンピックというのは、数千億円の、IOCにとっては一大、彼ら自身の事業ですから、組む相手が信用できるかできないか、情熱があるか、運営能力があるか、本気で彼らは確かめに来ていますから、それにこたえるということでやりました。そして、マラソンレースに例えるならば、ロンドンで記者会見をやり、今回の招致で評価委員会の方々にプレゼンさせていただき、そして、これでハーフマラソンで七月のローザンヌ、三十キロ地点だね。そこから四十二・一九五までフィニッシュ、何とか逃げ切りたいというふうに思っています。
 七〇%の支持率というのも、去年の五月ぐらいに四七ですから、七〇%の支持率というのも、マドリードやイスタンブールはもうちょっと高いけど、上昇率からいえば東京が一番ですからね。
 ということで、皆さんと一緒に、都議会の皆さんと一丸となってやりたいと思います。よろしくお願いします。

○大塚委員 今ご答弁、知事からいただきました。私も先週、ずっとテレビで見ている限りでありましたけれども、大変な効果、成果があったということで、今回の評価委員の訪問が、九月七日、この招致がかなうように、我々も努力をしたいということを申し上げておきます。
 続いて、大会開催時のボランティアについてお伺いいたします。
 昨年の知事不在の第四回定例会の私の代表質問におきまして、大会運営の一端を担うボランティアスタッフは、来訪する世界の人々におもてなしをする大事な主人公であると、そしてまた、招致決定後から募集を開始し、育成すべきと提案をいたしました。
 例えば、東京が開催都市に選ばれた直後に、主に中学生を対象に募集を開始し、七年間かけて育てる大会ボランティア育成プログラムを組むことといたします。このプログラムにより、その参加者に選ばれた学生に英語を初め主要な外国語を主体的に学ぶインセンティブを与えられること、中学の時期から自分と社会がつながっているという感覚を強く持たせられること、また、都立高校でも必修科目になっております奉仕の精神を涵養させられることなど、大会ボランティアには子どもたちの将来につながるさまざまな教育的意義を見出せるということができます。
 さらには、募集人数の一定割合を被災地の子ども枠として募集することで、参加する被災地の子どもたちに、未来への希望と活力を与えることもできるのではないでしょうか。
 招致決定後には、このような子どもたちへの教育的意義の面から、被災地の子どもたちへの支援という面、大会ボランティアのプログラムを企画していくべきと考えますが、改めて知事の見解をお伺いいたします。

○猪瀬知事 まさにそれは大塚理事がおっしゃるとおりであります。オリンピック・パラリンピックは、閉塞感に覆われた日本しか知らない子どもたちに、坂の上の雲があるよと、そういう希望を大人が見せる義務があると思っています。
 七年後の大会に参加する機会は、選手や観客だけじゃなくて、ボランティアもまた参加すると。この間のプレゼンテーションで、急遽僕はちょっとつけ加えました。
 東京マラソンで三万六千人のランナーが走る、一万人のボランティアが出る、百七十万人の沿道の観衆がいる。その一万人のボランティアですが、この新宿で、上着からスポーツウエアに着がえて、服を預けるわけですね。そして、フィニッシュ地点のビッグサイトで三万六千人の服が一つも間違いなく、ホテルのクロークのサービスのレベルを超えてできる。こんなホスピタリティーであるボランティアのそういう心がある国は、ほかにはありませんよねということをプレゼンテーションでいいました。
 ボランティアに参加することで、新しい出会いが生まれ--きずなというのはそういうことだと思います。一人一人の荷物を間違えないようにやることによってきずなが生まれてくる。具体的なことだと思います。
 また、その姿を、日本の子どもたちを含めたボランティアがやっている姿を外国の方に見ていただければ、日本の魅力は世界に伝わるでしょう。
 被災地でサッカーをやり、聖火ランナーが走り、被災地の子どもたちもそれを見るだけじゃなくて、みずからボランティアとして参加していただくと。招致が決まれば、大会組織委員会をつくって、多くの子どもたちがボランティアとして参加できる道筋をぜひつくりたいと思います。

○大塚委員 知事、ぜひ、私の今のボランティアに関する質問については、招致が決定したらということだと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、国立競技場の建てかえとその周辺地区の再開発について伺います。
 私たち都議会民主党は、二〇一六年招致のときから、オリンピックスタジアムは晴海の都立競技場を新設するのではなく、国立競技場とすべきと主張し続け、このたびの二〇二〇年大会招致で、当初の要望どおり、国立競技場をオリンピックスタジアムとする招致計画になりました。
 それによって、前回の招致では、晴海地区の都立メーンスタジアムの建設に八百九十八億円程度の経費がかかる予定でしたが、そのような経費もかからず、また、選手にとって好都合の半径八キロメートル以内に競技場が集積したコンパクトなオリンピックも実現できることになりました。
 六年後、新国立競技場が完成すれば、大規模なコンサートや展示会などの商業、文化施設として利用されること、さらには防災避難拠点としての機能もあわせ持てば、都民、国民にとって大変有益な複合施設となり、未来に大きな可能性を持つ施設になることが期待されます。
 さて、一九九〇年以降、オリンピックはスポーツ、文化と並んで、環境もオリンピックムーブメントの三本柱として位置づけられるようになりました。
 国立競技場のある神宮外苑地区は、明治天皇の偉績を顕彰し、後世子孫に長く聖徳を感銘させるための国家的記念事業として建設され、また明治神宮の林苑造成に必要とされる多くの樹木は、全国の役所、学校、団体、個人などから献木の申し込みが殺到し、献木の総数は九万五千五百五十九本に上ったといわれております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けた神宮外苑の再整備を機に、このような歴史的意義を踏まえて、イチョウ並木を初めとする緑豊かな都市環境をさらに保全、強化していくべきと考えますが、環境と緑に配慮した神宮外苑の再整備についての見解をお伺いいたします。

○飯尾都市整備局長 神宮外苑地区は、日本を代表するスポーツ施設が集積しているとともに、風格ある都市景観と樹林による緑豊かな自然環境を有しております。
 新国立競技場の計画が具体化したことを受けまして、こうした地域特性も踏まえ、都は、国立競技場から青山通りにかけた神宮外苑地区一帯について、地区計画案を策定いたしました。
 この中で、緑化等の方針を示し、イチョウ並木を初めとする緑地や歴史的景観等を保全するとともに、歩行者空間等と調和した緑化を積極的に推進し、魅力的な都市環境の創出、強化を図ることとしております。

○大塚委員 あわせて、次にバリアフリー化についてお伺いいたします。
 都議会民主党は、昨年の第三回定例会の代表質問で、当時の石原知事に、東京でパラリンピック競技大会を開催する意義について質問し、知事は、東京のバリアフリー化をさらに進展させるなど、人格と個性を尊重し合う共生社会の実現を大きく加速させる旨を述べられました。
 日本の高い技術力や世界に認められたデザイン力、また、繊細さや気遣いといった精神文化をもとに、日本にしかできないユニバーサルデザインを神宮外苑地区の再開発に反映させ、世界に発信していくべきと考えます。
 神宮外苑の地区計画では、だれもが利用しやすいことや、多くの人が訪れる地区として、ユニバーサルデザインに配慮するなど、バリアフリー化を推進する旨がうたわれておりますが、地区内のバリアフリー化をどのように図っていくのかお伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 新国立競技場の計画は、八万人規模の来場者を予定しておりまして、周辺駅などから安全にアクセスできるよう、競技場周辺においてバリアフリーの歩行者空間や滞留空間を確保する必要がございます。
 このため、地区計画の目標では、立体的な歩行者ネットワークの形成によりまして、高低差のある地形上の課題を解消して、歩行者動線のバリアフリー化を推進することとしております。
 今後、関係者等と連携し、この目標に即した利用しやすく安全・安心な首都東京の新しい拠点としての整備を促進してまいります。

○大塚委員 ありがとうございました。
 それでは、大項目の四番目、まちづくりについてお伺いしてまいりたいと思います。
 日本、東京には世界にない美しい水、美しい空気、高い治安、高い技術力、規律遵守の人間力等、日本人が築いてきた貴重な財産があり、ほかの国が一朝一夕にまねできるものではありません。アドバンテージを持つこのベースの上で、都が強い意思を持って、的を射た政策を実現すれば、世界に標榜する首都の姿を現実のものとできるはずです。
 東京の魅力と競争力を高めるためには、特区における規制緩和、東京全体においては、不燃化、耐震化への集中的な取り組み、道路ネットワークの完成、生活の質を左右する都市の緑創出など、都市の活動を支える基盤を確固たるものにしていくことが欠かせません。
 特に、不燃化、耐震化への集中的な取り組みは、人命は当然のこと、活発な経済活動を行う都市基盤として、不安材料を払拭するためにも、阪神・淡路大震災の教訓として、本格的に着手され、既に完成間近となっているべき事柄です。
 木造密集地域の不燃化特区、緊急輸送道路沿道建築物耐震化においては、さきの代表質問で触れましたので、ここではマンションの耐震化に絞ってお伺いします。
 マンションの耐震化は、一棟でそこに暮らす多くの人命を守ることはもちろん、瓦れきの発生や避難所、仮設住宅ニーズが減り、周辺住民の避難路が閉塞するリスク低減にもつながる重要な課題です。
 そこでまず、昨年度、都が初めて都内すべての分譲及び賃貸マンションを対象に行ったマンション実態調査結果について伺います。正確な数字として、都内のマンションの総数が十三万三千百八十八棟、そのうち旧耐震基準で建てられた棟数が二万四千六百九十四棟と判明したとのことです。
 耐震化の状況などについて尋ねたアンケート調査結果も含んだ都内の全マンションのデータベースができたわけであり、効果的に活用しなければなりません。
 今後の活用方法について、まずお伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 今回の調査によりまして、都内すべてのマンションの所在地、規模、築年数や管理及び耐震化の状況等の施策推進の基礎となる実態を把握いたしました。これらをデータベース化して、区市町村との情報の共有化を進めているところでございます。
 この情報を区市町村と共同で行っております啓発隊活動の事前準備等に活用しております。
 今後、適宜情報を更新いたしまして、管理が不十分なマンションの個別指導や訪問した管理組合の耐震化にかかわる取り組み状況の把握など、都や区市町村が地域の実情に応じた施策を進める際のツールとして活用してまいります。

○大塚委員 都は、平成二十五年度予算案で、昨年から始めたマンション啓発隊の取り組みを、今ご答弁のとおり、今年度の千棟から二千五百棟に拡大することとしております。
 マンションの住民は、個々には耐震性への不安を感じても、自分からいい出しにくいことも多いものと推察され、東京都や区市町村の方が直接出向くことはよいきっかけとなります。啓発隊は、耐震診断や改修、建てかえなどの合意形成が難しい分譲マンションの困難性に着目した有効な取り組みだと理解しております。
 一口に一九八一年以前建築の老朽マンションといっても、立地や居住者の属性などにより、その傾向と対策が違ってきます。私は、できるだけ早い時期に、蓄積した情報を分析し、より早く多くのマンションを耐震化へと促す策を検討する必要があるものと考えます。
 そこで、マンション啓発隊で得られた知見を、今後どのように生かしていくのかお伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 啓発隊が直接訪問し、管理組合等からお話を伺うことによりまして、さまざまな考えを持つ区分所有者間の合意形成の難しさ、専門家によるアドバイスの有効性などが改めて明らかになりました。
 都が直接把握いたしましたこれらの貴重な情報を、区市町村の施策推進の参考となるよう情報提供するとともに、耐震アドバイザー派遣制度を設けていない地元自治体に対し、その設置を働きかけてまいります。
 さらに、管理組合への説明方法や活用資料の工夫を行いまして、来年度の啓発隊活動をより効果的なものとしてまいります。

○大塚委員 一方で、分譲マンションのように所有者が多数にわたるというわけではありませんが、調査では旧耐震の賃貸マンションの九三・二%が診断未実施、そのうち六六・四%が診断実施を検討していないとの結論が出ており、放置できない状況と考えます。
 一万二千八百二棟の旧耐震賃貸マンションの耐震化促進にはどのように取り組むかお伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 都は、賃貸マンションのオーナーが耐震化に取り組みやすい環境を整えるため、東京都防災・建築まちづくりセンターを活用して支援をしております。
 耐震化総合相談窓口を設置するとともに、耐震化の進め方の助言や建てかえと改修の比較等を行うアドバイザー制度により、技術的な支援を行っているところでございます。
 さらに今後、こうした支援の内容につきまして、ダイレクトメールにより個別にお知らせするなどして、耐震化の実施を促してまいります。

○大塚委員 分譲マンションに加えて、賃貸マンションの耐震化の促進もあわせてよろしくお願い申し上げます。
 さて、厳しい国際都市間競争の中で東京が勝ち残っていくためには、海外の資本、技術、人材等を積極的に取り入れる平成の開国を進めなければなりません。
 こうした中、昨年、ソフトの規制緩和が可能となるアジアヘッドクオーター特区と、ハード面での支援措置を進める特定都市再生緊急整備地域のダブル指定を受けたことは、これらの課題解決に効果が期待できる制度、政策であると思います。
 そこで、アジアヘッドクオーター特区についてですが、代表質問の答弁にありました法人税率軽減は、現行の三八%から二八・九%、復興増税終了後は二〇%台半ばになりますが、シンガポールの一七%、香港の一六・五%と比べると乖離は大きく、税の軽減措置だけで海外の都市との競争に勝てる状況ではありません。
 こうした中で、外国企業の誘致に取り組んでいくには、鉄道を初めとする充実した交通インフラや治安のよさなど、東京の総合力をしっかりと世界に発信するとともに、外国企業が円滑にビジネス展開できるよう、国の規制の緩和を進めていくことが重要です。
 とりわけ規制緩和については、この後質問する海上交通に関する不定期航路の規制緩和などがなされたと聞いておりますが、今後も引き続き強力に取り組んでいく必要があるものと考えます。都は、今後、どのような規制緩和を国に提案していくのかお伺いをいたします。

○前田知事本局長 平成二十四年におけます国との協議では、二十六の提案を行い、ビジネスジェットの駐機日数制限の緩和など十五について実現することとなっております。
 平成二十五年、ことしの春の協議では、外国企業が日本で事業活動を始める上で支障となる規制の緩和など、九つの提案を行っております。
 例えば、現在、日本法人を設立する目的で日本に入国する外国企業の就業者は、短期滞在ビザで入国するわけですけれども、適法な在留資格者であることを証明する在留カードの交付を受けることができません。この結果、日本で銀行口座の開設や不動産賃借など、法人設立活動を行う際に支障が生じております。
 こうしたことから、東京都が認定いたします外国企業の就業者が日本法人設立のために入国する際には、在留カードの交付が可能な企業内転勤者向けのビザを付与できることとするなどの提案を行っております。
 このほか、税制の優遇措置についても、外国企業にとり魅力的な内容となるよう国に求めたところでございます。

○大塚委員 アジアヘッドクオーター特区と特定都市再生緊急整備地域の支援方策メニューの中で、一番効果を上げられるのは、私は規制緩和だと考えております。事業活動しやすい環境づくりに向けて、必要な規制緩和を積極的に今後実施していただきたいと思います。
 現在、東京を取り巻く環境は、シンガポールを初めとするアジア諸都市の国際競争力向上に伴い、かつてほどビジネス拠点としての優位性は高くありません。こうした中で、目標でありますアジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点を含む外国企業の五百社誘致は、大変挑戦的な目標と考えます。
 そこで、外国企業誘致について、これまでの取り組みと今後の戦略についてお伺いをいたします。

○前田知事本局長 これまで海外での見本市に参加いたしまして、特区の取り組みをPRするとともに、昨年の十月には、さまざまなサービスをワンストップで行うビジネスコンシェルジュ東京を開設いたしまして、外国企業へのビジネス支援、生活情報の提供などを行ってまいりました。
 来年度は、民間コンサルタントのノウハウや情報を活用いたしまして、外国企業の誘致に取り組んでまいります。具体的には、アジアや日本への進出可能性の高さなどから、誘致対象となる外国企業のリストアップを行います。そのリストアップされた中から、東京進出に関心を示す企業に対しまして、積極的にその企業に係る日本市場の魅力をPRするとともに、投資判断に必要な資料策定等の支援を行いまして、投資の意思決定を働きかけてまいります。
 このほか、税の優遇に加え、法人の設立段階におけます経費の一部の補助を行いまして、誘致のインセンティブといたします。

○大塚委員 都は、従前から、都市再生の制度を活用して、民間プロジェクトに対するインセンティブを付与し、魅力的な都市空間をつくることで国際競争力を強化するため取り組んできたものと認識しております。そうした取り組みを生かして、総合特区との相乗効果を上げていくことができると考えております。
 そこで、今後、総合特区と連携しながら、まちづくりにどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 都は、都市再生特別地区と総合特区の制度をあわせて活用することで、国際競争力の強化に資する民間プロジェクトを誘導しております。
 例えば、大手町・丸の内・有楽町地区では、民間の提案によりまして、外国企業の進出などを支援する総合窓口の設置や、災害時にも事業を継続できる自立分散型エネルギーの導入などの成果が上がっております。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に進めまして、外国企業にとって魅力的な環境を整え、東京をさらに国際競争力のある都市に発展させてまいります。

○大塚委員 総合特区においては、都心へのアクセスにすぐれた羽田空港国際化を最大限活用するため、ビジネスジェットの駐機規制緩和が実現し、その専用CIQ、税関、出入国管理、検疫などの動線確保が実現の方向で検討されており、利便性が高まっていくことを期待しております。
 そこで、次に、羽田空港から海上交通についてお伺いをいたします。
 海側から東京を見ておりますと、東京は江戸時代から海を埋め立ててまちを広げてきたため、運河が縦横に張りめぐらされており、東京は海辺のまちであることに改めて気づきます。
 臨海副都心は海に囲まれており、レインボーブリッジや東京ゲートブリッジなどの美しい姿を見ながら、都心や空港から船で向かうことも東京の大きな魅力の一つです。
 こうした海上交通については、現状では法の規制があり、運航内容によっては許可されない場合があります。
 既に報じられておりますけれども、都などの要望を受け、国が特区法を改正し、海上交通に関する規制を緩和すると聞いております。
 そこでまず、今回の規制緩和は、具体的にはどのような内容なのかお伺いをいたします。

○多羅尾港湾局長 船での旅客輸送については、水上バスのようなダイヤを組んで定時に運航する定期航路事業と、運航時期や発着時期をあらかじめ定めなくてもよい不定期航路事業の二つがございます。
 海上運送法では、不定期航路事業者については、乗り合いでの片道運航を禁止しております。これは、定期航路事業者との競合を避けるため、貸し切り運航とするか、乗り合いの場合は遊覧のみを認めるという趣旨であります。
 今回の規制緩和は、羽田空港と臨海副都心のMICE会場との間の航路について、不定期航路事業者による乗り合いでの片道運航を認めるものでございます。

○大塚委員 臨海副都心のMICE会場と羽田空港とが船で結ばれることは、利便性の向上、東京の魅力を高める上で大変重要です。できるだけ早期に実現していくことが必要と考えます。
 この規制緩和により、いつから運航できるようになり、どのような効果をねらっていくのかお伺いをいたします。

○多羅尾港湾局長 この規制緩和に関する法改正は、今通常国会で審議されるとのことでございます。改正法施行後、総合特区の変更手続などを経た上で、平成二十六年度にも運航可能となる見込みでございます。
 これにより、MICEの開催期間や飛行機の到着時間に合わせた船の運航が可能となり、来訪者の利便性が向上いたします。また、船でMICE会場に向かうという観光要素を加味した交通手段をつくり出すことにより、臨海副都心の魅力がさらに高まると考えております。

○大塚委員 今ご答弁のとおり、まさに臨海副都心の、ひいては東京の魅力が高まることになるわけでありまして、今後もさまざまな手続があるとのことですが、二十六年度開業に向けて、実現に向けて頑張っていただきたいと思います。
 東京港は、日本第一位のコンテナ取扱量を誇る、首都圏四千万人の生活と経済活動に必要な物資を供給する物流拠点であり、国際貿易及び国内海上輸送の中枢港湾であり、空港、道路などと同様、国民生活を支える上で欠くことのできないインフラです。
 しかし、近年は上海、釜山など、アジア諸港がコンテナ取扱量を大きく伸ばす中、東京港を初めとする日本港湾の相対的地位の低下が指摘されております。東京港が世界の主要航路から外れることになれば、首都圏の生活や産業に深刻な影響を及ぼすことから、東京港は川崎港、横浜港との連携のもと、国際競争力の強化に向けた取り組みを進めております。
 平成二十二年八月には、京浜港として国際コンテナ戦略港湾に選定され、国の重点投資の対象となっております。選定から二年半が経過し、東京港は現在もコンテナ貨物取扱量をふやしていると聞いておりますが、船舶の大型化への対応、国際基幹航路を維持拡大するための取り組みを行っていかなければならないと考えます。
 東京港の国際競争力の強化に向けた取り組みによる成果と今後の展開についてお伺いをいたします。

○多羅尾港湾局長 東京港は、国際的地位の低下を食いとめ、首都圏四千万人の生活と産業を支えていくため、北米、欧州と東京港を結ぶ基幹航路やアジア近海航路の維持拡大を図っております。
 これまで京浜三港連携のもと、国際競争力の強化に向け、入港料の一元化やターミナルコストの低減などのサービス向上に努めてまいりました。
 今後、さらなる創意工夫のもと、積極的な貨物集荷策を展開してまいります。
 また、中央防波堤外側新規ターミナルの整備や、既存コンテナふ頭の再編整備を進めていくなど、港湾機能の充実強化を図ることといたしております。

○大塚委員 今ご答弁いただいたように、東京港の国際競争力の強化に向けた取り組みを、さらに今後もしっかり行っていただきたいと思います。
 次に、骨格幹線道路の整備についてお伺いいたします。
 東京の国際競争力を強化し、環境に配慮しつつ、その魅力と活力の向上を図るため、外環道を初めとした首都圏三環状道路の整備を進められております。都心部と臨海部とを結ぶ環状二号線の新橋-虎ノ門区間は、都心に残された最後の未整備区間であり、私も過去委員会などでたびたび取り上げてまいりました。
 立体道路制度が創設されたことで、地元権利者の皆さんの現地に住み続けたいという希望をかなえながら事業化することができ、現在、地域のシンボルとなる虎ノ門ヒルズが地下に環状二号線本線を抱き込む形で一体的に整備されております。
 本区間は、本線を地下に通し、地上部には再開発事業によって道路を整備するものですが、地下本線の整備は、交通円滑化等、東京の魅力と活力向上にも資する事業であり、しっかりと進めていただきたいと考えているところです。
 そこで、新橋-虎ノ門区間の本線トンネル工事の現在の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○村尾東京都技監 環状二号線のうち、現在事業中であります豊洲から虎ノ門までの区間の整備につきましては、防災性の向上や交通の円滑化を図るとともに、臨海部と都心部との連絡を強化する上で極めて重要でございます。
 このうち新橋から虎ノ門までの区間につきましては、トンネル躯体の約八割が完成しており、設備工事、舗装工事などにも着手し、平成二十五年度末の本線交通開放を予定しております。
 今後も、我が国の経済の活性化や国際競争力の強化とともに、高度防災都市東京を実現するため、道路ネットワークの形成に向け、全力で取り組んでまいります。

○大塚委員 本線部分の整備に伴って、順次地上部も工事を進めているわけですが、私はかねてから、この地域の都市再生によるまちづくりは、再開発事業区域だけが新たなまち並みに生まれ変わるのではなく、地元区や隣接する地域の土地所有者の皆さんと有効利用や連続性を持った優良な景観形成を図ることが重要と指摘をしてきました。
 この道路は、いわゆるマッカーサー道路と呼ばれる道路ですが、地元の方でつくる委員会が三月八日まで愛称を募集し、この五月には新しいまちにふさわしい名称が決まることとなっております。
 地上部道路部分は二車線で、歩道は前例にないほど広い幅員です。環境軸推進地区でもあり、後世に残るような緑豊かな街路樹、洗練されたデザイン、そして透水性舗装などの機能面とあわせ、沿道のまちと一体として、にぎわいを創出できる道路空間として活用していくことが望まれております。
 この新橋-虎ノ門間の地上部道路は、どのようなプランで整備を進めていくのかお伺いいたします。

○飯尾都市整備局長 環状二号線の地上部道路は、ゆとりある広い歩道空間を生かして、地域の交流やにぎわいを創出するとともに、豊かな緑を形成するグリーンロードネットワークにふさわしい魅力ある道路として整備してまいります。
 具体的には、街路樹は高木と中木を二列に配置するとともに、日本の四季を感じさせるよう、ゾーンごとに樹木の種類を変化させるなど、質の高い道路を整備する予定でございます。
 この地上部道路については、昨年秋から工事に本格着工しておりまして、平成二十五年度末の供用開始を目指して整備を進めてまいります。

○大塚委員今後も、このような個々の再開発や道路整備にあわせて、まちのにぎわい創出や景観形成、そして豊かな緑を地元の意向を十分踏まえて形成していくことを期待しております。
 そこで、続いて、東京全体の緑ネットワークについて伺います。
 都は、「十年後の東京」計画の策定以降、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させるという目標を掲げ、東京に水と緑を縦横にめぐらせ、まちに潤いを取り戻すとともに、風格のある景観を生み出し、人々が憩い、にぎわう都市空間を実現するためのさまざまな取り組みを進めてきました。
 海外の都市でも、例えばシンガポールは精密機械製造や金融サービス業を主な産業としていますが、シティー・イン・ア・ガーデン、庭園の中にある都市という構想に基づき、戦略的な都市緑化が進められております。
 豊かな緑を都市の中に織り込むことは、都市の魅力を高める要素として欠かせないものであり、積極的に取り組むべき課題であると考えます。
 そこで、首都東京をより魅力的で快適な都市にしていくため、緑のネットワークの形成をどのように進めていくのかお伺いをいたします。

○大野環境局長 近年、都心部で行われている再開発事業には、多様な生物を身近に感じることのできる庭園など、生物多様性に配慮した魅力的な都市空間をつくる先駆的な取り組みが進んでおります。
 今後、東京の魅力を高めていくには、こうした再開発による緑地や都市公園などを中心としまして、地域の生態系にも配慮した緑をつないでいくことが重要でございます。
 このため、都は、公園や街路樹などの新たな緑の創出に加えまして、来年度から公共施設等を活用して、区市町村が行う在来植物の緑化を支援する江戸のみどり復活事業を開始するなど、地域の生態系に配慮した緑のネットワークの形成に取り組んでいくつもりでございます。
 こうした取り組みを通じて、企業、区市町村等と連携しながら、魅力的で快適な都市空間を東京全体に広げてまいりたいと思っております。

○大塚委員 ありがとうございました。
 これまで各局に質疑をしてきたように、東京を魅力と競争力あるグローバル都市としていくためには、都市の再生を進め、国際競争力のある都市とするとともに、世界的にも防災力のある都市として評価されていくことが重要です。
 そこで、今までの質疑をお聞きになった知事に、都市づくりについての所見をお伺いいたします。

○猪瀬知事 まず、都市機能としては、三環状の整備をする、それから東京港の機能強化、さらには羽田空港の国際化を含めた整備、それがハードであり、そういうハードとともにやっぱり魅力的な都市というものをつくっていく必要があります。
 渋谷なんかは、今、新しくリノベーションが始まっていますけれども、民間の資金や考え方も入れながら、映像とかファッションとかクリエイティブ産業、そういうものが入ってくるという、例えば、ニューヨークのブロードウエーとタイムズスクエアの関係のような、そういう情報発信が未来からやってくる、そういうものを取り込んでいく情報発信できるようなまち。そういう意味で、渋谷のようなまちはもう少し新しい世界が生まれるんじゃないかというふうに期待しているんですね。
 それと、今いったハードと今のソフトの部分と、それと不燃化特区ですよ。木造住宅密集地域、これを十二の不燃化特区だったものを今回五十にした。そして、そういう意味で本当に防災の強い、防災に対して強い都市でなければいけない。
 こういうことで都市づくりを進めていくことで、世界における東京のプレゼンスを高め、オリンピック・パラリンピックを迎え、世界一輝く都市にしていきたいと。以上であります。

○大塚委員 ありがとうございました。
 それでは、大項目の五つ目、中央卸売市場についての質問に入ります。
 平成二十五年度の中央卸売市場予算案では、豊洲新市場の施設建設費として百十六億円、債務負担行為として千三百七億円を計上しております。
 豊洲新市場の建設費は、基本設計相当の段階では九百九十億でしたが、一月八日の東京都の発表では、市場施設建設費が千三百億円、旧民間施設整備費が二百三十二億円と大幅にふえております。
 これは、業界要望への対応などで延べ床面積がふえたことなどによるものと考えますが、建設費が増大した理由は何なのか、また、土壌汚染対策費や民間施設整備分なども合わせ、豊洲新市場の総事業費はどの程度になると見込んでおるのか、見解をお伺いします。

○塚本中央卸売市場長 施設建設費の増加理由でございますが、まず、設計に際し業界要望に的確に対応し、施設計画を充実させたことでございます。例えば、物流の円滑化を図るため、ターレ用スロープや売り場通路等を拡充したことや、水産仲卸売り場の空調効率が向上するよう、十分な広さの空調機置き場を売り場の直上階に新設したことなどがございます。
 また、東日本大震災を踏まえ、災害対応力を一層強化するため、建物下の地盤改良や非常用発電設備の能力増強を図ったほか、豊洲地区のまちづくりにも貢献するため、親水護岸と一体となった水際緑地や歩道を充実したことなどが挙げられます。
 豊洲新市場の事業費は、土壌汚染対策費、基盤整備費、用地費のほか、お話の旧民間施設整備分を含む市場施設の建設費を合わせ四千五百億円程度を見込んでおります。

○大塚委員 昨年三月十三日の予算特別委員会で、東京都は、豊洲新市場の使用料やランニングコストについて、実施設計を取りまとめる時期には、市場使用料あり方検討委員会の報告を踏まえ、都と業界のそれぞれの負担の考え方を整理した上で、使用料や光熱水費などのランニングコストを試算し、業界団体に提示していくと答弁しております。
 そこで、市場使用料と光熱水費などのランニングコストについて、いつごろ、どのように業界団体に明示していくのか、見解をお伺いします。

○塚本中央卸売市場長 豊洲新市場の施設計画は、都が業界団体に対し、市場使用料や光熱水費などのおおむねの負担水準を示しつつ、施設の規模や内容について協議、調整を行い、その結果、昨年十一月に業界と合意したものでございます。
 現在、この合意した施設計画に基づき、水産卸売場棟などの主要施設の工事発注用の詳細な設計を取りまとめております。
 光熱水費などの具体的な経費については、この設計で確定する設備仕様等をもとに、改めて試算を行い、市場使用料と合わせたランニングコスト全体の試算額を業界団体に掲示し、理解を得ていきたいと考えております。

○大塚委員 今、いつということは答弁がないわけですが、決まり次第速やかに業界団体にお示しをいただきたいと思います。
 さて、二十五年度の中央卸売市場会計予算案では、土壌汚染対策の工事費八十六億三千九百万円が計上されております。これは、本来であれば今年度中に終了する予定であった土壌汚染対策が延伸したための予算ですが、対策工事延伸の理由は何であるのか、特に予算案の八十六億三千九百万円のうち、処理土量の増加による影響はどの程度なのか、内訳も含めてお伺いいたします。

○塚本中央卸売市場長 土壌汚染対策工事の延伸理由につきましては、工事に際しまして実施した調査の結果により、処理土量が当初の二十八万立方メートルから、今後の調査を行う箇所も含めて約四十一万立方メートルに増加する見込みとなったこと、鋼管矢板等の打ち込みに当たり、当初予定していない箇所における地中障害物の撤去が必要になったことですとか、土壌の掘削に当たり障害となるコンクリート等の撤去量が当初約五万立方メートルから約七万立方メートルに増加する見込みとなったことなどが挙げられます。
 さらに、改正土壌汚染対策法の適用により、盛り土を掘削し仮置きする場合、区域内外へ移動するのに多くの制約を受けることとなったことなどもございます。
 予算案約八十六億円のうち、処理土量の増加によるものは五十五億円であり、その内訳は、汚染土壌の掘削、運搬などが約二十一億円、仮設土壌処理プラントでの処理費が約三十四億円でございます。

○大塚委員 処理土壌が二十八万立米から四十一万立米に増加する見込みであるとの答弁ですが、見込みということは、四十一万立米は確定的な数字ではないのでしょうか。
 また、仮設プラントでの処理土量での処理量が三十四億円とのことですが、平成二十三年三月二十五日に、土壌汚染対策費として東京ガスが七十八億円を負担することで合意したことに関して、東京都はこの七十八億円の数字の根拠として、仮設プラントの経費を処理量の比率などで積算したと答弁しており、この答弁からすると、処理土量の増加は、汚染原因者の負担についても見直す余地があるようにも思われます。
 そこで、土壌汚染対策工事費はこれ以上ふえることはないのか、また、汚染原因者の負担の見直しは考えていないのか、あわせて見解をお伺いします。

○塚本中央卸売市場長 処理土量につきましては、調査結果に基づき確定した土量に、仮設土壌処理プラントの下など、今後調査を実施する箇所について、これまでの調査結果から綿密に推計した土量を加え、四十一万立方メートルになると見込み、必要額を予算に計上しております。
 汚染者負担につきましては、東京ガス株式会社は、既に法令上必要な対策を完了しておりましたが、その後の都の調査により、操業由来汚染が確認されたことから、平成二十三年三月、東京ガスは社会的責任から都の申し出に応じ、土壌汚染対策費の一部負担に合意したものでございます。
 今回、工事に際して実施した調査により、操業由来汚染が新たに確認され、処理土量が増加する見込みとなりました。都は、こうした過去の経緯及び現に操業由来汚染が確認されたことなどを総合的に勘案しまして、今後の対応を検討してまいります。

○大塚委員 さて、東京都は先ほどの答弁で、工事延伸の理由として、一月八日の報道発表資料になかった改正土壌汚染対策法の適用による土壌の移動制限を挙げていましたが、まず基本的なことで、改正土壌汚染対策法の指定区域の指定と解除について確認をいたします。
 指定区域の指定については、東京都は平成二十三年十一月二十八日と二十九日に計三回、土対法に基づく指定区域の指定を告示していますが、このうち二回は汚染が検出されていない区画の指定です。
 一方、指定区域の解除については、私たちは、昨年の予算特別委員会でも、汚染調査の限界を認め、汚染が残置されることを前提とした対策を求めてきましたが、対策工事が終わり、二年間のモニタリングが終了した時点でも、豊洲地区内には指定区域が解除されずに残るものがあると考えます。
 そこで、指定区域の指定や解除の考え方について、それぞれ見解をお伺いします。

○塚本中央卸売市場長 豊洲新市場用地では、お話のように、調査により汚染が確認された区画及び盛り土の仮置きや仮設土壌処理プラント設置など、対策工事に必要な範囲で、汚染のない区画についても指定を受けております。
 この指定区域のうち、自然由来の物質がある区画については、対策工事終了後も指定が残りますが、ガス工場の操業由来による指定区域については、汚染土壌をすべて掘削除去して無害化することから、二年間のモニタリングを実施した上で指定を解除いたします。
 なお、自然由来の物質は、同様の地層がある土地にも含まれ得るものであり、実態としてそのような土地と変わりはございませんが、豊洲新市場用地における都の土壌汚染対策は、ガス工場操業地盤面から下二メートルの土壌を、汚染の有無にかかわらずすべてきれいな土と入れかえることに加え、さらに二・五メートルをきれいな土で盛り土するなど、自然由来についても法の求める対策を上回る二重三重の封じ込めを行うこととしております。
 したがって、指定区域が残ったとしましても、市場用地としての安全性には全く問題ございません。

○大塚委員 土壌汚染の個別の対策に関する質疑は、締めくくり総括にお譲りをいたしますが、積み出し、移動のために汚染のない区画を指定区域に指定したのであれば、土壌の移動制限に伴う期間の延長は、敷地全域を指定区域に指定することなどで対応ができたのではないかと考えます。
 また、改正土壌汚染対策法は、平成二十二年四月一日に施行されており、ことしの一月八日以前の早い段階で、移動制限が生じることはわかっていたはずです。
 そこで、土壌の区域内外への移動の制約の具体的な内容及びその対応についてお伺いをいたします。

○塚本中央卸売市場長 改正土壌汚染対策法により、形質変更時要届け出区域に指定されますと、汚染土壌の拡散防止の観点から、指定区域内の土壌の移動については厳しい規制を受けることとなります。
 例えば、指定区域内にある盛り土は、市場用地外へ搬出はもちろん、市場用地内においても、指定された区域にしか運搬、仮置きができません。このため、五街区及び七街区の盛り土のうち、指定区域にあるものについては、六街区の汚染のない区画に区域指定を受けて仮置きをしております。また、指定区域外のものにつきましては場外に搬出できるため、中央防波堤外側埋立地に搬出し、仮置きをしております。
 このように、汚染がない区画についても、区域の指定を受けたり、指定区域内と区域外の盛り土をきめ細かく区分して掘削し移動させるなど、改正土壌汚染対策法に適合させた上で、操業に由来する汚染土壌の掘削や汚染地下水の処理を確実に進めております。

○大塚委員 また、先ほど都は、工事延伸の理由に、当初予定していなかった地中障害物への対応という答弁をしておりましたが、民間発注の工事では、予期せぬ障害物が出てくるのは日常茶飯事であります。
 ましてや、これだけ規模の大きな工事ですから、殻の処分量が五万立米から七万立米にふえた程度のことは、全体の期間内、予算内におさめていくこともできたのではないかと考えます。
 さらに、新市場予定地では、かつて一万八千本に及ぶくいや地下埋設物が問題となり、その撤去費用についても各地権者と協定書、あるいは財産価格審議会での適正評価などの観点から議論されており、想定外といわれる方が若干違和感があります。
 そこで、地中障害物への対応として、期間が延び、予算がふえた想定外の理由とは何なのかお伺いをいたします。

○塚本中央卸売市場長 都は、建物基礎等の地中障害物の位置や量を東京ガスの昭和三十年代当時の図面をもとに把握し、土壌汚染対策工事の設計を行いました。
 しかし、実際に工事を進めたところ、遮水壁工事において、図面では存在しないはずの場所で基礎やくい等が出現し、鋼管矢板の打ち込みの支障となりました。このため、専用の建設機械を用いて撤去する必要が生じたところでございます。
 また、操業地盤面以下の土壌掘削におきましても、図面にはない基礎やくいなどのほか、電線ケーブルや埋設管などの障害物が出現し、付着している汚染土壌を拡散させないよう、区域指定された区画の中で障害物の撤去、解体や土壌との分別作業を慎重に行う必要がございました。
 こうしたことから、想定外に費用と時間を要することとなったものでございます。

○大塚委員 市場関係最後の質問ですが、築地のまちづくりについてお伺いいたします。
 築地のまちづくりについては、平成二十三年度より、移転後の用地開発に係る調査や移転後の場外市場の動向に関する調査といった基礎的な調査が進められてきました。
 猪瀬知事は、都議会民主党の代表質問に対し、食文化の継承に向けた中央区への取り組みに協力すると答弁しており、これまで築地がはぐくんできた伝統や文化を大切にし、地元の意向も十分に酌み取って、検討を進めていただきたいと思います。
 平成二十五年度予算案では、まちづくりに関する調査費が計上されており、築地のまちづくりがよりよいものとなるよう、大いに期待をしているところです。
 そこで、平成二十五年度の築地のまちづくりについての調査はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 築地市場は、東京駅や銀座などに近接し、二十三ヘクタールという規模を有する貴重な公有地でございます。
 また、複数の幹線道路や地下鉄駅に隣接するなど高い交通利便性や、隅田川、浜離宮庭園の景観など、すぐれた地域特性を有しておりまして、国内外から多くの観光客でにぎわう食文化の拠点としてのブランドも確立しております。
 今後は、これまでの調査結果やこうした立地特性を踏まえ、導入する機能やその可能性など、土地利用に関する基礎的調査を引き続き実施してまいります。

○大塚委員 ぜひとも食文化の継承に向けた視点を忘れずにお願いをいたしたいと思います。
 大きな項目六番目、福祉保健対策に質問を移らせていただきます。
 幾つかテーマがありますけれども、まず、がん対策についてお伺いいたします。
 昨年の第一回定例会で議員提案をしたものの、残念ながら不成立に終わってしまいました東京都がん対策推進条例案については、昨年、厚生委員会の中でご指摘いただいた内容について手直しを行い、今回、再度提案いたしました。
 条例案の詳細については、質疑は厚生委員会にゆだねることといたしますが、がん対策についての全般の幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の予算特別委員会の代表総括質疑で我が会派の門脇議員より、がん対策推進条例を定めている県は、当時上程中のものも含めてどれぐらいあるのか伺ったところ、平成二十四年三月一日時点で十七府県で制定されており、ほかに北海道と宮崎県で条例案が提出されているとのことでした。
 そこでまず、現在では、がん対策推進条例を定めている道府県はどれぐらいあるのかお伺いをします。

○川澄福祉保健局長 平成二十五年三月一日現在で、がん対策に関する条例を制定しているのは、二十四の道府県でございます。

○大塚委員 今ご答弁いただいた二十四道府県ということですので、この一年間で七つの自治体で条例が新たに制定されたわけで、これで四十七都道府県の過半数が条例を制定したことになるわけであります。
 がん対策基本法に基づく基本計画は、都道府県に策定が義務づけられているわけですから、それでもなお多くの道府県が条例を独自に制定しているということは、私たちは各道府県のがん対策の推進に対する強い意思表示だと、こう受けとめており、東京都として独自の条例を制定することは大変意義のあることと考えております。
 ぜひとも各会派の皆様に条例案にご賛同いただけますよう、この場をおかりしてお願いを申し上げておきます。
 さて、国では、がん対策基本法に基づき、平成十九年に策定されたがん対策推進基本計画の見直しが行われ、昨年六月に新たな基本計画が閣議決定されました。
 都は、今年度で計画期間が終了する東京都がん対策推進計画について、国の基本計画も踏まえた改定を現在行っているところです。
 都の推進計画では、全体目標として、がんの七十五歳未満年齢調整死亡率について、具体的な数字目標を掲げていますが、これまでの成果とそれに対する評価についてお伺いをいたします。

○川澄福祉保健局長 都はこれまで、がん対策推進計画に基づき、平成十七年に人口十万人当たり九三・九であったがんの年齢調整死亡率を、平成二十七年までに二〇%減少させることを目標に、がん検診の受診率の向上、高度ながん医療提供体制の整備、地域連携を進めるための東京都医療連携手帳の作成など、総合的ながん対策に取り組んでまいりました。
 その結果、平成二十三年のがんの年齢調整死亡率は八二・四と、平成十七年に比較して一二%以上減少しており、着実に取り組みの成果は上がっていると認識しております。

○大塚委員 国の新たな基本計画では、小児がんやチーム医療など、新たな課題への対応が含まれております。
 医療関係者から見れば、患者が社会生活にスムーズに復帰できること、病院でやれない、社会で生きることを行政にサポートしてほしいと思っていると聞いております。
 患者、家族、周囲の人へのサポートは、コメディカルやそれ以外の関係者が思いを共有して取り組むことが望まれるところです。
 そこで、都の新たな取り組みとしてはどのようなものがあるのかお伺いをいたします。

○川澄福祉保健局長 改定計画では、これまでの施策の成果や、がんを取り巻く状況の変化、都の特性等を十分踏まえながら、予防、早期発見、健康教育の推進、高度ながん医療の総合的な展開、患者、家族の不安の軽減、がん登録と研究の推進を施策の柱と据え、総合的ながん対策を進めることとしております。
 その中では、患者、家族を地域で支える新たな取り組みとして、病院、診療所、薬局等が連携し、地域で安心して緩和ケアを受けられる体制の整備、退院後の療養生活や就労を含めた相談支援の強化、小児がん診療連携ネットワークによる高度な医療の提供や長期フォローアップ体制の構築など、さまざまな施策を盛り込んでおります。

○大塚委員 がん対策は、基本的に予防、早期発見と適切な治療、患者本人やその家族の不安の軽減、がんに関するデータの収集や研究の推進が大きな柱となると考えます。
 がん対策で最も重要なのは予防することであり、特に食生活や運動などの生活習慣の改善が効果的といわれているところです。
 そこで、改定計画におけるがん予防推進のための具体的取り組みについてお伺いをいたします。

○川澄福祉保健局長 次期東京都がん対策推進計画では、がんの予防を施策の柱の一つに据え、食事や運動など、生活習慣に関する取り組みを推進することとしております。
 具体的には、食事はバランスよくとり、野菜や果物不足にならないようにすること、塩分の摂取は最小限にすること、多量の飲酒は避けること、日常生活での適切な量の運動や適正体重の維持が必要なことなど、都民に対してがんの予防に有効な正しい知識の普及を図ってまいります。
 また、都民の一人一人が自分に必要な食事の量や栄養成分を知り、健康的な食生活を実践できるよう、区市町村や関係団体等と連携し、飲食店等における栄養成分表示の普及などの環境づくりを進めてまいります。

○大塚委員 今ご答弁いただいた生活習慣については、私も大分心当たりがあって、大変なところがありますけれども、生活習慣については、実は私は長年たばこを愛用しておりましたが、将来の不安、健康の不安ということで、理由はいろいろありましたけれども、たばこを、昨年暮れに思い立ち、現在、一月二日から禁煙を続けているところであります。
 がんの予防対策として、都の現在の推進計画では、受動喫煙を防ぐことが掲げられており、改定計画でも、当然、受動喫煙の防止が明記されることであります。
 知事も、自分の好みとして、たばこを吸うことをやめないでほしいとお思いになるでしょうが、他人に吸わせようと思っているわけではないだろうと思います。
 そこで、がんの予防対策として、受動喫煙の防止について、愛煙家であります猪瀬知事の認識をお伺いいたします。

○猪瀬知事 無理してやめて、ストレスがたまらないようにした方がいいと思うんです。たばこを吸う人、吸わない人、お互いに迷惑をかけないすみ分けが大事。受動喫煙の防止はそのためのルールであります。
 東京都は、東京都受動喫煙防止ガイドラインというのを定めて、喫煙室の設置による分煙の徹底、飲食店における禁煙、分煙の店頭表示がありますが、それを張るように今進めていますから、受動喫煙防止対策を講じるよう企業や飲食店に働きかけてきました。
 今後とも、こうした取り組みにより受動喫煙防止対策を進めていきます。
 あとは大塚理事おっしゃるとおり、食事と運動ですね。僕は毎日ジョギングをやっていますから、ジョギング、ウオーキングが大事だと思います。全体で免疫力をつけることががんの防止に一番役に立つと思っております。

○大塚委員 貴重なアドバイスをありがとうございました。
 さて、昨年七月から、東京での地域がん登録が開始されました。都民がどの地域でどのようながんにかかっているか、性別や年齢によるがんのかかりやすさ、どのような治療を受けてどれぐらいの生存率か、実態に対応した対策を立てるための唯一の情報源です。
 これがしっかり機能すれば、都のがん対策のエビデンスとして、二次保健医療圏ごとの傾向と対策、さらには市区町村との対策に生かせるような情報提供が期待でき、あるがんのハイリスク群など、特性に対応したきめ細かい対応につなげ、一人でも多くの命を救うための処方せんとなります。
 そこで、地域がん登録の実施状況と課題、今後の対応についてお伺いをいたします。

○川澄福祉保健局長 都は、都立駒込病院内に設置した地域がん登録室において、昨年七月から、患者情報と死亡情報の入力作業を開始いたしました。医療機関からは、昨年一月以降に新たにがんと診断されたがん患者の治療情報を、保健所からは、昨年一月以降の都民の死亡情報を収集し、登録しております。
 精緻ながん登録としていくためには、多くの医療機関から、正確な診断、治療情報を収集するとともに、区市町村の協力を得て、患者の予後状況を把握することが必要であります。このため、がん診療を実施するすべての医療機関の実務担当者を対象に、都独自の研修等を実施するとともに、区市町村への説明を行ってまいりました。
 今後も、実務担当者に対する実践的な内容の研修を継続的に実施し、区市町村の協力も得ながら、地域がん登録の充実と精度向上を図ってまいります。

○大塚委員 次に、救急医療の充実についてお伺いをいたします。
 都は、広尾病院など四つの都立病院に東京都独自の東京ERを設置し、地域の医療機関と連携しながら、初期、二次、三次救急医療を一体的に提供しているところです。
 来年度予算案では、次世代に対応した東京ERの機能強化のための予算が計上されておりますが、具体的にはどのような取り組みを考えているのかお伺いをいたします。

○塚田病院経営本部長 東京ERでは、増加する重症患者や、他の医療機関では対応が困難な合併症患者などを積極的に受け入れていくための予算を計上しております。
 具体的には、墨東病院において進めている感染症対応病棟の改築に合わせ、重症患者への対応として、救命救急特定集中治療病床を六床ふやし十二床にいたしますとともに、脳卒中ケアユニット、いわゆるSCUを新たに六床整備し、救命率の向上とともに治療効果の向上を図ります。
 また、急性脳血管障害などの救急患者の病態を改善するため、二気圧から三気圧程度の環境の中で高濃度の酸素を吸入する高気圧酸素治療室を設置いたします。

○大塚委員 先日の代表質問に対し猪瀬知事は、患者の救急搬送について救急医療の東京ルールを定め、東京消防庁に搬送コーディネーターを配置して、医療機関への迅速な搬送に努めており、来年度はこうした取り組みに加え、ひとり暮らし高齢者など搬送調整に時間を要する患者を受け入れる病院をふやし、救急搬送患者を受けとめる仕組みを強化すると答弁されました。
 都は、高齢化の進展などを踏まえ、昨年七月、救急医療対策協議会に対し、社会構造の変化に対応する都の救急医療体制のあり方について諮問を行っており、年度内には答申が取りまとめられる予定となっております。
 この答申も踏まえ、都は二次救急医療体制の見直しについてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○川澄福祉保健局長 救急医療対策協議会では現在、二次救急医療体制に焦点を当て、休日・全夜間診療事業や東京ルールなどについて、現行事業を検証しながら、継続的かつ安定的な救急医療体制の確保に向けて議論を行っているところでございます。
 今後、協議会からの答申や、診療報酬制度を初めとした医療制度との整合性も踏まえながら、関係機関とも十分協議し、救急医療体制の見直しについて検討してまいります。

○大塚委員 ありがとうございました。
 次に、医療と介護の連携についてです。
 都は、高齢者向けの新たな住まいの整備に向け、平成二十一年度から、東京都医療・介護連携型サービスつき高齢者向け住宅モデル事業を実施しているところです。事業開始以来、これまでに十一件四百戸分が採択され、昨年十二月までに七件二百五十四戸分が運営を開始しております。
 私たちは、このような、高齢者が医療や介護が必要になっても安心して住み続けられる住まいの整備に向けた取り組みは評価をしております。
 そこで、今後、こうした住宅の整備に向けて、モデル事業の検証を行う必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。

○川澄福祉保健局長 これまでモデル事業として選定した十一件は、社会福祉法人と医療法人が連携した事業運営や、区市が所有する公有地を活用した整備、夜間も利用が可能な介護サービスを併設したものなど、それぞれ特色のある高齢者向け住宅となっております。
 今後、関係局とも連携し、医療、介護サービスが効果的に提供される高齢者の住まいの整備に向け、モデル事業の詳細な検証を行ってまいります。

○大塚委員 超高齢社会を支えるためには住宅整備だけでは不十分です。
 元気な高齢者もたくさんおられますので、そうした人材にもっと社会で活躍していただく必要があると考えます。
 これに対して都では、雇用就業形態や労働時間などに対してさまざまなニーズを持つ高齢者を就業につなげるための支援を行っているところです。
 ただし、私たちは、高齢者の就業支援に当たっては、都内中小企業への高齢人材の供給につなげていくものだけではなく、これから超高齢社会を支える担い手として介護サービスへの人材供給なども視野に入れた上で、高齢者の就業支援体制を強化していく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。

○中西産業労働局長 都では、東京しごとセンターにおいて、高齢者に対する就業相談や職業紹介に加え、就職支援講習を実施するなど、きめ細かい就業支援に取り組んでおります。
 このうち就職支援講習では、介護サービス分野も含め、求人ニーズのあるさまざまなコースを設定し、就職する上で必要となる技能や基礎知識を付与しております。また、終了後には合同就職面接会を実施しております。
 新年度は、しごとセンターの相談員を増員するなど、就業相談体制も強化することとしてございます。
 こうした取り組みを通じまして、高齢者の就業を支援してまいります。

○大塚委員 ありがとうございました。
 それでは、大項目七番目、大気汚染対策に質問を移らせていただきます。
 平成二十五年度予算案には、大気汚染健康障害者医療費助成として四十四億三千九百八十五万円が計上されております。
 この制度は、平成十九年八月八日に成立した東京大気汚染訴訟に係る裁判上の和解に基づいて、気管支ぜんそく患者への医療費助成を行うものであり、都が主導して制度の枠組みが決まりました。
 しかし、和解条項では、東京都は、制度の創設後五年を経過した時点で検証の上、本制度の見直しを実施することとなっており、制度の見直し時期は迫っております。
 既に、私たち都議会民主党も含め、東京都議会では、平成二十三年三月十一日、全会一致で、国の責任において大気汚染による健康被害に対する総合的な救済策を検討し、実効性ある対策を講ずるよう強く要請するとした意見書を採択しており、猪瀬新知事におかれましても、国の責任による総合的な救済策に向けて、積極的な取り組みを要望するものです。
 そこでまず、改めて、見直しに対する都の考え方と、見直し内容が決まるまでの間の患者への対応についてお伺いをいたします。

○前田知事本局長 本制度は、お話のように、和解条項に基づきまして、本年八月以降に検証の上、見直しを実施するということとされております。
 見直しに当たりましては、大気汚染対策に責任を持つべき国に対し、健康被害に対する総合的な救済策の創設を求めるほか、都の負担のみでの制度継続はできませんことから、関係者に対し追加拠出への理解も求めながら、さまざまな視点からの検討が必要であると、このように考えております。
 また、患者の方々への対応についてでありますが、見直し内容が決まるまでの間は助成が途切れないよう、二十五年度予算案では現行制度に基づく通年分が計上されております。

○大塚委員 自動車、道路と、ぜんそく発症との因果関係については、環境省が平成二十三年五月二十七日に発表した、局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査結果によれば、学童の調査で関連性が認められるとの記述がありますが、幼児及び成人の調査では関連性があるという一貫した結論は見出せなかったとしております。
 一方、東京都福祉保健局でも、制度見直しに資するためにという名目で、平成二十四年三月に、東京都大気汚染医療費助成制度の運用状況及び大気汚染物質と健康影響に関する調査研究報告書を公表しております。
 猪瀬知事は、ファクトやエビデンス、いわゆる事実や証拠ということをいわれますが、東京都の調査では、自動車排出ガスと、ぜんそくとの因果関係についてどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○川澄福祉保健局長 この調査では、自動車排出ガスによる、ぜんそくへの健康影響を検討するため、成人を対象に、居住地から主要幹線道路までの距離とぜんそくとの関連を調べる疫学調査と、動物に自動車排出ガスを暴露させ、ぜんそくの発症や悪化との関連を調べる実験を行いました。
 今回、都が成人を対象に行った疫学調査や動物実験からは、自動車排出ガスとぜんそくとの関連性を結論づけることはできませんでした。

○大塚委員 ことし八月以降、制度見直しに向けた検討が始まると思いますが、医療費助成にとどまることなく、ぜんそくにかからない、発作を起こさないための総合的な支援を、これまで以上にさらに充実させるなど、さまざまな観点からの検討を要望しておきます。
 大気汚染対策では、粒子状物質、いわゆるPM二・五の削減も重要であります。
 既に、東京都は、平成十三年度から大気中のPM二・五を測定しており、当初四カ所であった測定箇所を、平成二十二年度から平成二十四年度の三年間で、都内七十八のすべての測定局でPM二・五を測定できるようにしております。
 PM二・五の環境基準は、平成二十一年九月に設けられましたが、東京都の測定結果では、一般環境大気測定局の達成率は一三%と極めて低い水準です。
 東京都が平成二十三年七月二十日に発表した、微小粒子状物質検討会報告書では、ディーゼル車規制など、これまで実施してきた対策を継続しても、平成二十八年度のPM二・五濃度は環境基準を上回ると推計されることから、既存の対策に加え、新たな対策または対策の強化が必要であるとしており、都内の対策として、PM二・五の寄与割合の約三分の二を占める二次生成粒子に着目した対策を推進すべきであるとして、例えば、VOCの総量をさらに削減することに加え、粒子生成能の高い物質の削減に着目する必要があるとしております。
 また、効果的な対策が行われていない船舶、新たに確認された発生源である野焼きやたばこの煙など、多様な発生源に対するきめ細かな対策を推進していくべきだとしております。
 そこで、PM二・五削減に向けた、都内における今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○大野環境局長 都が進めてまいりましたディーゼル車対策や廃棄物の焼却炉対策などは、PM二・五の削減に大きく寄与しておりまして、都内の濃度はこの十年間で約五五%減少しております。
 この結果、平成二十三年度の測定結果では、一般環境大気測定局の年平均値で一立方メートル当たり一五・七マイクログラムとなっておりまして、環境基準の一五マイクログラムまでもう少しというところまで来ております。
 また、都内大気中のPM二・五の発生源の割合ですが、平成二十年度の推計によりますと、都外に由来するものが半分以上でございまして、都内の工場、自動車、船舶などの人為的な発生源の割合は一割程度にまで小さくなっております。
 また、大気中で二次的に生成される有機粒子など、発生地域が特定できないものが約三分の一となっております。
 この二次生成有機粒子を削減するためには、原因となる揮発性有機化合物、いわゆるVOCの削減が重要であることから、都内におきましても、これまでの低VOC塗装の普及などに加えまして、平成二十三年度からは、揮発しやすい夏の対策を重点的に実施しております。
 今後も、これらの対策を着実に推進しまして、PM二・五の一層の削減を図ってまいります。

○大塚委員 ただいま答弁にもありましたが、微小粒子状物質検討会報告書によると、都内を浮遊するPM二・五のうち、都内で発生したものは一四・八%、不明分が三二・七%ありますが、都外から流入したものが半分以上を占めております。これは平成二十年時点の数字ですが、PM二・五は、近隣自治体のみならず、遠く海外などからも飛んできており、中国、北京市などの状況を見れば、今後、ますますその割合が高くなるものと考えております。
 報告書では、広域対策として、都内のPM二・五の寄与割合が三四・四%を占める関東六県などとの連携を図ることが重要であるとして、都の呼びかけによる検討の場の設置などを求めております。
 ことしになって、海外のPM二・五が、現在、都民の関心を呼び、都は二月七日に、北京市あてに、東京都環境局に蓄積された大気汚染改善のためのさまざまな技術やノウハウをいつでも提供する旨の文書を送っております。
 そこで、東京都として、都外からのPM二・五の削減に向けてどのように取り組んでいくのか、また、北京市に対して技術協力が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○大野環境局長 PM二・五のより一層の削減には、広域的な対策が必要でありますので、都は国に対して、総合的かつ広域的な対策を求めております。
 また、昨年六月には、近隣の県、市とともに情報共有を図る連絡会を設置いたしました。昨年夏には、PM二・五の削減に寄与するVOC対策を合同で実施したところでございます。
 一方、北京市に対しては、具体的な技術協力の内容として、自動車排気ガス対策や工場等のばい煙対策、温室効果ガスの排出総量削減義務と排出量取引制度を示しまして、二月七日に送付しております。
 今後も積極的に技術協力をしてまいります。

○大塚委員 「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラムでも、二十五年度は、欧米の効果的なPM二・五対策やアジアの発生源の実態などを調査するとしており、ぜひとも積極的な取り組みをお願いいたします。
 次に、大項目八番、教育施策に質問を移らせていただきます。
 今日、若者が学校から社会へ移行するに当たり、求職者と求人企業のミスマッチなどを初めとする社会環境の変化と、勤労観、職業観の確立のおくれといった若者自身の課題があることから、キャリア教育や職業教育の学校教育における重要度は高まっております。
 そうした中、専門的な技術、技能を持つ人材の輩出を目的とする専門高校が果たす役割は今後ますます重要になると考え、都立専門高校をさらに発展させる必要があると考えます。
 現在、都立専門高校では、工業科を出た後、技能五輪国際大会で金メダルを受賞した卒業生や、そのほか、農業、福祉、科学技術など、さまざまな分野において社会で活躍されている人材を輩出しています。
 一方、昨年二月に出された都立高校改革推進計画第一次実施計画では、専門高校の改善として掲げられている課題の一つに、生徒の基礎学力不足を起因として、十分な専門教育を実施できていない面があるとされております。
 学力の底上げを図りながら、生徒一人一人に専門的な知識、技術、技能を確実に習得させるために、都教育委員会はどのように取り組むか、まず見解をお伺いします。

○比留間教育長 専門高校では、基礎学力を土台に、専門的な技術、技能を身につけさせ、社会で通用する実践力ある人材を育成していくことが必要であります。
 このため、習熟度別授業の実施などにより、生徒一人一人にきめ細かい指導を行って、基礎学力の定着を図るとともに、少人数グループによる実習などを通じ、専門的な技術、技能に関する基礎、基本の徹底と、生徒の学習意欲の向上を図ってまいりました。
 今後、これらの取り組みを継続するとともに、専門高校生に習得させる知識や技術、技能の水準を専門学科ごとに明確にした上で、各学校において組織的な指導を行い、有用な資格の取得を促進するなど、職業的自立に必要な力を確実に習得させてまいります。

○大塚委員 生徒一人一人にきめ細かい指導を行って基礎学力の定着を図る取り組みは、将来のスペシャリストを輩出する上で大切なため、しっかりと取り組んでいただくようお願いをいたします。
 また、学力だけでなく、学ぶ意欲や目的意識の強い人材を当初から確保することも重要と考えますが、都教育委員会はどのような入学者選抜のあり方を考えているのか、見解をお伺いいたします。

○比留間教育長 専門高校においては、学ぶ内容が将来の職業選択に結びつくことから、学力だけではなく、専門科目を学ぶ意欲や適性等のある入学者を選抜することが大切であります。
 このため、都教育委員会は、専門高校については、募集人員の原則三割まで、中学校長の推薦に基づき選抜できるようにしております。
 さらに今年度から、専門科目を学ぶ意欲や適性を見るため、作図や立体模型の製作など実技検査、または作文等を全校で実施するよう改善をいたしました。
 また、一般選抜におきましても、専門高校の約半数で、基礎学力を見るため、学力検査は国語、数学、英語の三教科で実施するとともに、学ぶ意欲や目的意識を見るため、面接を行って選抜をしております。
 今後も、専門高校に一層適した選抜となるよう、必要な改善を図ってまいります。

○大塚委員 ありがとうございます。
 若年労働市場の不安定化と劣悪化が進み、普通科高校卒業生より専門高校の卒業生の方が相対的に安定した仕事につけているということが調査で明らかになっているようです。
 一方、学生が専門高校で学んだ分野の内容を生かした希望の仕事につけないケースや、希望の職につく割合において、学科間にも差が生じているという状況もあるため、企業と生徒が求めるニーズを明確にし、学科のあり方に反映させる必要があると考えます。
 そこで、企業や生徒などのニーズに応じた学科のあり方についてどのように検討を進めていくか、見解を伺います。

○比留間教育長 産業構造の変化や知識基盤社会の到来などにより、専門高校には、地域産業を担う人材の育成とともに、将来の専門的職業人として活躍できる人材の育成が求められるなど、職業教育のニーズは変化をしております。
 これまで都教育委員会は、科学技術に関する将来のスペシャリストの育成を目指す科学技術高校や、工業科と商業科双方の知識や技術を総合的に学ぶ産業高校を設置するなど、社会の変化にこたえる学校づくりを推進してまいりました。
 また、今後、高卒求人状況の変化など産業の動向、専門高校に対する企業の要望や都民の意識に関する実態調査を行い、その結果を踏まえて、企業や生徒のニーズに応じた学科の改編や新たな学科の設置などについて、規模の見直しを含めて検討してまいります。

○大塚委員 都立専門高校では、都立六郷工科高等学校などを初め、幾つかの学校で、企業と学校とが一体になって生徒を育成するデュアルシステムを取り入れております。高校の実習の一環として、企業で数カ月間働く訓練を行い、卒業単位の一部として認めていくという、働くことが学びになる仕組みであり、東京版のデュアルシステムといわれております。
 しかし、生徒だけではなく、教員も企業の現場を把握することが重要であり、その現場で学んだことを指導に生かしていかなければならないと考えますが、見解を伺います。

○比留間教育長 専門高校の教員が、企業の現場の実情や高校教育に対する企業のニーズを理解することは、教員の指導の幅を広げ、生徒に効果的な指導を行うために重要であります。
 このため、都教育委員会は今年度から、専門高校の教員が企業訪問を充実するよう取り組みを行っております。企業訪問を行った教員は、現場の責任者などと意見交換を行い、技術動向や企業が求める人材などについて把握し、その成果を日ごろの指導に生かすよう努めております。
 今後さらに、デュアルシステムを導入している工業高校五校の教員を企業に派遣して、実際に活用されている技術を企業の技術者から直接学ぶ研修プログラムを導入するなど、企業の現場の実態を踏まえた指導の充実を図ってまいります。

○大塚委員 さて、私たち都議会民主党は、社会的、職業的自立という観点から、障害を抱えた子ども、若者、社会的に弱い立場に置かれた子どもや若者に対する支援をさらに強化し、一層の光を当てていく必要があると考えます。
 例えば、都立肢体不自由特別支援学校では、軽度の障害から重度の障害まで、さまざまな障害の程度の児童生徒が学んでおります。学校は、こうした児童生徒一人一人に対し、卒業後の進路決定や、地域で暮らすために必要な力を育成していかなければなりません。そして、進学や就労などの選択枠が広げられる個に応じた教育内容を検討すべきと考えます。
 そこで、都立肢体不自由特別支援学校における自立と社会参加に向けた教育について、都教育委員会の取り組みの現状と今後の方向性を伺います。

○比留間教育長 都教育委員会は、平成二十二年度から都立肢体不自由特別支援学校のうち六校を研究校に指定し、生徒の自立と社会参加に向けた教育に関する研究を進めてまいりました。
 研究校においては、障害が軽い生徒に対しては、大学生活の模擬体験や企業での就業体験などを通じて、一人一人の進路実現を図ってまいりました。また、障害が重い生徒に対しては、コミュニケーションの手段としてICT機器等を活用し、積極的に人とかかわろうとする意欲の育成を図ってまいりました。
 今後、都教育委員会は、研究校における生徒一人一人の障害の程度に応じた教育実践の成果を他の都立肢体不自由特別支援学校に広めてまいります。

○大塚委員 教育長、ありがとうございました。さまざまな教育関係の向上にご尽力されることをお祈り申し上げます。
 最後に、大項目9でございます。雇用就業対策に質問を移らせていただきます。
 バブル崩壊後、厳しい経済情勢などから、企業が求人方法を大量採用から厳選採用に変え、若年者の就職難が問題となりました。リーマンショック以降には雇用状況がさらに悪化し、新卒未内定者が増加いたしました。
 企業が求める人材と学生の就職志向のミスマッチや、学生がみずからの将来像を持たずに就職活動を行い苦戦していることがあることから、学生が将来を考えるキャリア支援を行う大学もあります。東京しごとセンターのセミナー、就職説明会などへの学生利用がふえ、大学による既卒者支援の取り組みも始まっております。
 若年者が必要としているきめ細かな就職ノウハウなどを、大学などを通じて適時適切に学生へ提供し、就職に結びつけていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。

○中西産業労働局長 都は本年度から、若者の就業を効果的に促進するため、東京しごとセンターで大学のキャリアセンター職員等を対象といたしましたセミナーを開始し、就職支援に関するノウハウを提供しております。
 新年度は、規模を倍増いたしますとともに、利便性を考慮いたしまして、大学が集積する多摩地区でも、このセミナーを実施いたします。
 引き続き大学等と連携しながら、若年者就業対策に取り組んでまいります。

○大塚委員 全国の非正規労働者は、パート、アルバイトが千二百四十一万人、契約社員、嘱託が三百五十四万人、派遣労働者が九十万人となっており、全体で千八百十三万人と労働者に占める割合がふえる傾向にあります。
 若年者が正規雇用を求めながら非正規労働を続けざるを得ない状況を解消していくため、企業が求める人材に合わせた職業能力開発の推進や成長産業の育成、創業支援といった産業振興にも取り組むことが重要です。
 都は国の基金を活用し、人材派遣会社に実務委託する間接雇用方式で、研修や求人企業での職場実習を行う就職支援を実施しています。
 就労体験と求人を求める企業をさらに開拓し、中小企業とのマッチングを推進するなど、未就職者、非正規雇用の形態で働く若年者の正規雇用を促進すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○中西産業労働局長 未就職者や不安定雇用を余儀なくされている若者の正規雇用化を後押しするため、都は、紹介予定派遣制度を活用した支援に取り組むなど、就業対策に力を入れてまいりました。
 新年度は、既存事業を再構築いたしまして、規模を拡大した若年者緊急就職サポート事業を開始することにより、これらの若者への支援を強化いたします。
 今後とも、若者の正規雇用化を促進してまいります。

○大塚委員 都議会民主党では、現在、都内中小企業の皆さんを対象に実態把握のアンケートを行っており、雇用就業の課題においては、従業員の高齢化や若年労働力の確保を挙げる企業が多く見られます。
 大学関係者の話でも、中小企業の情報が欲しいと述べていました。中小零細企業の求人などの情報と若年者の就職活動のマッチングを推進することで、都内経済を支える中小零細企業の課題解決に取り組んでいただきたいと思います。
 都立中学校特別支援学級を卒業して企業に就職する者は九人、高等部から企業に就職する者は五百五十七人です。多くの高等部卒業生は福祉作業所で軽作業を行うなど、社会福祉施設に入所します。作業所では福祉サービスを受ける立場であり、障害者の福祉の充実をいかに図り、一般就労を推進する環境整備を行っていくかが課題です。
 ことし四月、十五年ぶりに企業に義務づけられる障害者雇用が二%に拡大されます。知事が語る助け合いの東京に向けた施策で、ぜひ都においても、企業が障害者雇用を推進する取り組みを行っていただきたいと考えます。
 そこで、経済団体とのさらなる連携や中小企業への制度周知の推進を図るなど、中小企業における障害者の一般就労を促進していくことが重要と考えますが、都の見解をお伺いします。

○中西産業労働局長 中小企業での障害者雇用を支援するため、都では、障害者雇用に関する制度等をまとめたハンドブックの作成、配布や、中小企業向けセミナーなどを実施しております。
 また、障害者雇用に意欲のある中小企業を対象といたしまして、個々の企業の実情に応じた取り組みをサポートするモデル事業を経営者団体や就労支援機関等とも連携して実施しています。さらに、中小企業と障害者のマッチングに向けた企業合同説明会も開催しております。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、中小企業における障害者雇用を促進してまいります。

○大塚委員 今後十年間で、都はさらに三万人増の障害者雇用を達成し、だれもがともに暮らす社会を実現するとしております。
 昨年の夏、厚生労働省の研究会は、精神障害者も雇用義務化すべきとした報告書をまとめ、うつ病や統合失調症など、精神障害者の雇用義務化を検討しております。精神障害者を受け入れる企業側の環境整備の推進なども重要ですし、民間企業においては、精神障害者専門の紹介業を始めているところもあります。
 都は、平成二十年度から精神障害者訓練の試行を開始し、今年度も五人の訓練を行いました。国においては、平成十八年度から精神障害者を企業の法定雇用率に算定できる特例を定めていますが、今後、精神障害者の雇用義務化が実現すれば、法定雇用率もさらに上がるのではないかと考えます。
 精神障害者を含む障害者の職業訓練を拡充するなど、障害者の雇用対策を推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○中西産業労働局長 都では、障害者を対象といたしまして、就職に必要な知識や技能を付与する職業訓練を実施いたしますとともに、訓練内容や訓練機器の充実も図っており、新年度は精神障害者などを対象といたしました職域開発科を設置することとしております。
 また、障害者が居住する、より身近な地域で訓練を受けられるよう、民間教育訓練機関等も活用して、障害者の態様に応じた多様な訓練も実施しています。さらには、就職活動のノウハウを習得するためのセミナーなども開催しております。
 こうした取り組みを通じまして、精神障害者を含む障害者の就労を支援してまいります。

○大塚委員 国内で意欲と能力のある女性が活躍できる環境をふやすことが、多様な社会ニーズにこたえ、国内外の市場で競争力を発揮する上でも重要な戦略と考えます。
 昨年、国は、女性の活躍促進による経済活性化行動計画、いわゆる「なでしこ」大作戦を策定しました。東京証券取引所では、女性を活用し業績を拡大につなげている企業をなでしこ銘柄として選定しております。
 そこで、都の状況について伺いますが、都においても女性の管理職登用を進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○笠井総務局長 都はこれまで、学歴や年功、男女の性別にとらわれず、能力や業績に基づく公平、平等な管理職選考により幹部職員を選抜し、任用してまいりました。
 その結果、内閣府の調査によりますと、一般行政職の管理職のうち女性が占める割合は平成二十三年度において一四・一%となっており、都道府県平均の五・二%を大きく上回っております。この割合は、人事院の調査による国家公務員の二・六%や、厚生労働省の調査による民間企業の七・二%と比較しても高い水準となっております。
 今後とも、仕事と生活の両立が可能な環境の整備にも努めるとともに、能力と業績に基づき適材を管理職に任用してまいります。

○大塚委員 一方、女性活用が進んでいない都の審議会などに女性の任用を促進することにより、多様な視点で都に提言を行えるよう取り組むべきと考えますが、所見をあわせてお伺いします。

○小林生活文化局長 都の審議会等における女性委員の割合は、平成二十四年四月一日現在で二一・一%となっております。
 女性委員の任用に当たりましては、団体推薦により委員を委嘱する際に、男性が推薦される場合が多いこと、理工系など専門分野によっては女性の占める割合が少なく、委員を委嘱できる人材が限られていることなどが課題となっております。
 このため、関係団体に女性委員を推薦していただくよう協力の要請を行うとともに、各局に対しては、国や他の自治体の審議会等における女性委員の名簿情報を提供し、委員の選択の幅を広げていくことなどに努めております。
 今後も引き続き任用率の向上を図るため、積極的に取り組んでまいります。

○大塚委員 ありがとうございました。
 出産、子育て時に退職して、再び就業を希望する女性への再就職支援の推進が求められております。
 都内女子大においては、大学の学部科目より、ビジネス性に特化したITリテラシーや貿易実務、社労士準備講座など、即戦力をうたったリカレント教育課程によるきめ細かな再就職支援が行われております。修了者のうち再就職を希望する人の就職率は高く、採用企業から高い評価を得ているとのことです。
 都においては、事務や経理、接客販売などの職種を希望する女性に基礎知識などを教える女性再就職サポートプログラムを実施しております。
 都は、多様な働き方を求める女性のキャリア形成と企業ニーズにもこたえ、さまざまな職種に応じた女性再就職サポートプログラム事業を行っていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中西産業労働局長 出産や育児などで離職した女性の再就職を支援するため、都は、平成十九年度から東京しごとセンターにおいて、就職活動に関するセミナー、さまざまな職種別の講習、企業における職場体験を組み合わせたプログラムを実施してまいりました。
 この間、受講者や企業のニーズを踏まえながら、定員規模の拡大や、職種別講習の新設と改廃を行うなど、適切にプログラムの見直しを行ってまいりました。
 今後とも、女性の再就職を効果的に支援してまいります。

○大塚委員 知事は、雇用の確保や労働条件の改善は、成長産業の育成を推進する産業政策と一致して進めるべきだと述べております。
 平成十九年三月、都は、東京都産業振興基本戦略を策定し、重点産業の育成を図ってきました。昨年三月には、この戦略を改定し、引き続き成長が見込まれる産業分野を振興するとともに、中小企業の海外展開、技術開発、そして経営革新を支援していくとのことです。
 都は、産業政策の推進とともに、都民の雇用就業支援を行い、都内企業の労働環境の改善を図ってきました。しかし、都内で働く労働者の雇用環境は依然として厳しい状況にあり、賃金はなかなか上がらない状況にあります。
 ことしの春闘における経済要求、妥結状況が発表される季節となりましたが、都は、都内企業における賃金状況をどのようにとらえているのでしょうか。見解をお伺いいたします。

○中西産業労働局長 東京都は、従業員十人以上の都内中小企業三千五百社の賃金の実態について毎年調査を行っております。
 直近の平成二十四年の調査結果によれば、所定時間内賃金は三十四万三千百三十六円で、前年比〇・七%減少した一方で、時間外手当などを含めた賃金月額は三十七万三千三百七十三円で、前年比〇・六%増加しております。
 賃金は、景気の状況や企業の収益などに左右されることから、こうした傾向が持続するかどうかについて、今後の動向を注視してまいります。

○大塚委員 この四月から、改正労働契約法によって、有期労働契約が更新される中で生じる雇いどめに対する不安を解消し、働く人たちが安心して働けるようになります。
 改正労働者派遣法では、派遣労働者の無期雇用化や、賃金などの決定に当たり同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮するなど、非正規労働者の待遇改善に向けた内容が盛り込まれました。
 そして、改正高年齢者雇用安定法で、厚生年金が六十五歳支給に引き上げられることに合わせて、各企業は段階的に六十五歳までの希望者全員を雇用することが義務づけられます。
 国においても各方面への周知徹底を望みますが、新たな権利を生かすためにも、都において、有期雇用契約、あるいは派遣労働で働く労働者や高年齢者、事業者への積極的な周知に努めるべきと考えますが、お伺いをいたします。

○中西産業労働局長 適正な労働環境を確保するためには、労働関係法令を労使双方が十分に理解していることが重要でございます。
 このため、都は、お話の労働契約法などの改正法について、施行前の段階から、労働相談やセミナーに加え、冊子の作成と配布を通じて、法令の趣旨と具体的内容について広く周知し、その遵守について促しております。
 今後も、こうした取り組みを通じ、労働者や使用者に対し法令の普及啓発を図ってまいります。

○大塚委員 中小企業の労働問題に関する都への相談件数は、ここ五年間、五万件台と高どまりをしております。平成二十四年度上半期の労働相談状況では、職場の嫌がらせに関する相談が前年度同期比で二一・五%増と大幅に増加しております。同様に、メンタルヘルス不調者に係る相談件数も二五・五%の大幅増となっております。
 また、都内企業の従業員の健康管理などに関するアンケートにおいても、七割以上の企業で精神疾患の発症が懸念される結果が出ております。
 都内企業における労働環境の改善が求められていく中で、都はメンタルヘルス対策をどのように推進し、働く人の心の健康を守っていくのでしょうか。見解をお伺いいたします。

○中西産業労働局長 労働者が安心して働ける労働環境をつくるためには、心の健康を保持することが重要でございます。
 このため、都は、労使双方からの相談に応じるほか、セミナーの開催などにより、職場の環境改善や不調者への対処方法などについて普及啓発を行ってまいりました。また、専用のホームページを開設し、関係法令や相談窓口等の情報を広く提供してまいりました。
 さらに新年度は、企業の経営者などを対象といたしましたシンポジウムと相談会をあわせて開催いたします。
 今後とも、職場のメンタルヘルス対策を推進してまいります。

○斉藤委員長 以上で、大塚たかあき理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十一分休憩

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