予算特別委員会速記録第五号

   午後五時四十五分開議

○鈴木(貫)副委員長 休憩前に引き続き委員会を続行いたします。
 質疑を行います。
 小磯善彦委員の発言を許します。

○小磯委員 今回、厳しい財政環境の中でも、都民の期待にこたえ得る予算を編成することができたのは、この間、我が党が提唱してまいりました新公会計制度、それを駆使し、また、さまざまな工夫や努力を重ね、都債の発行余力や基金などの財政の力を蓄えてきたことによるものであります。
 ところが、「都政研究」では、二十四年度の都の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスが赤字であることを指摘する意見が述べられております。
 私の理解では、プライマリーバランスは歳入歳出から起債による影響を除いた収支であり、これが赤字だと借金の残高がふえるというわけであります。
 国は、毎年の財源不足を、歳出を切り詰める努力なく赤字国債発行で補い、結果、プライマリーバランスが赤字続きで、国債残高は増加の一途をたどっているわけですから、この指標が注目されるのはわかります。一方で、都は、税収が好調な時期には基金を積み立て、逆に税収が厳しければそれを取り崩してやりくりをし、将来に責任ある対応をしているわけでありまして、国とは全く状況が異なるわけであります。ですから、プライマリーバランスの黒字、赤字で一喜一憂するのではなく、都財政の運営に当たって重要なのは、中長期的な視点に立ち、基金と都債をバランスよく活用していくことだと私は思います。
 そこで、都のプライマリーバランスの状況と、都がそれをどう評価しているのか、確認のため伺います。

○安藤財務局長 平成二十四年度一般会計予算案におけるプライマリーバランスは、三百四億円の赤字となっております。これは、近年都債の発行を抑制し、償還のための経費が低い水準にとどまっている中で、都債の発行を増額したことによるものでございますけれども、お話のように、この指標は単年度における都債の発行と償還のみに着目した指標であります。このため、そもそも基金残高の確保といったこの間の努力は反映されないものとなっております。
 仮に基金の取り崩しをふやしていれば、このプライマリーバランスを均衡させることは可能でありましたが、都財政の状況をかんがみ、二十四年度予算案においては、全く無理のない範囲で都債の発行を選択したものであります。
 委員お話しのように、プライマリーバランスは国の財政健全化の目標の一つでございますけれども、起債の残高に見ますように、国とは全く異なる都の財政状況を評価する場合には、プライマリーバランスのようなフローの情報だけでなく、新たな公会計によるストック情報も含め、より多面的に検証していくことが重要であるというふうに思っております。

○小磯委員 ただいまの答弁のとおり、プライマリーバランスには、基金残高の確保という財政運営の努力が適切に反映されておりません。財政の健全性を判断する上では、こうしたフローだけでなく、まさに新たな公会計制度によるストック情報の分析も含め、知事が常々いっているように、複合的、複眼的に評価をしていかなければならないのであります。
 この新たな公会計制度については、今後取り組まなければならない課題もあります。
 現在、地方自治体が導入している公会計制度には、複式簿記・発生主義会計による東京都方式と、総務省が推し進めている総務省基準モデル、そして改訂モデルの三つの方式があります。
 東京都内においても、我が党の区議会議員また市議会議員が、複式簿記・発生主義会計による東京都方式を勉強し、各議会で取り上げていますが、多くは総務省モデルを採用しているようであります。しかも、基準モデルは複雑なため、簡易な改訂モデルを採用しているようです。
 この総務省改訂モデルは、知事が平成十一年に導入を決めた機能するバランスシートにほかなりません。しかし、機能するバランスシートでは限界があるため、我が党の提案を受け、知事が決断をして、複式簿記・発生主義会計を導入したわけであります。
 そこでまず、自治体の行政担当者や都民が理解できるように、東京都方式と総務省基準モデル、改訂モデルの違いとそのメリット、デメリットについて説明願いたいと思います。

○松田会計管理局長 基準モデル、改訂モデルという総務省の二つの公会計モデルは、民間の企業会計の考え方を取り入れたものとされておりますけれども、民間企業の損益計算書に当たります行政コスト計算書に、自治体にとって最も大きな収入源となる税収を計上しないことから、その年度の本来の収支が黒字か赤字かさえわからないなど、住民に説明する道具として不十分といわざるを得ません。
 さらに、基準モデルは、税収を住民が拠出した資本とみなすなど、非常に独特な考え方に基づくものでございまして、難解で実務的にも対応が困難なものとなっております。
 これに対しまして、東京都の会計基準は、基本的に民間の会計基準の考え方に準拠したものとなっておりまして、自治体の収入の過半を占める税収を行政コスト計算書に計上いたしまして、自治体収支の状況が一見して明らかであるなど、財務諸表が住民にわかりやすく、民間との比較も容易なものとなっております。
 また、改訂モデルを採用する多くの自治体では、官庁会計決算の数値を事後的に組みかえる処理で財務諸表を作成するため、財務諸表の精度に難点があるとともに、作成に時間がかかり、事業別の財務諸表の作成も困難でございます。
 これに対しまして東京都の新公会計制度は、日々の会計処理の段階から一件ごとに仕訳情報を蓄積するため、正確かつ迅速に財務諸表を作成でき、さらに個々の事業別に作成することも可能であるなど、行財政運営のマネジメントに必要な情報を的確に把握できるものとなっております。

○小磯委員 今答弁で、複式簿記・発生主義会計による東京都方式が、総務省方式基準モデルやまた改訂モデルよりも都民にわかりやすく、個別事業の評価にも活用できることが明らかになりました。
 その上で、今後重要なことは、各自治体がばらばらに基準を採用するのではなく、各自治体間で比較検討できる統一した基準を作成することであります。この統一した基準を作成するためのメルクマールとなるのが、国際公会計基準であります。
 東京都の公会計基準は、総務省方式に比べるとはるかに国際公会計基準に近いものでありますが、一部準拠していない部分もあります。
 そこで、自治体の公会計基準の統一化を図るためにも、東京都が先駆的に国際公会計基準への準拠に向けた取り組みを行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○松田会計管理局長 国際公会計基準は、公認会計士の国際的な組織でございます国際会計士連盟の国際公会計基準審議会が作成したものでございまして、複式簿記・発生主義会計を導入している多くの国がこれを参考にしておりまして、我が国の自治体における統一的な会計基準の策定を検討する上でも、参考にすべきものと考えております。
 都はこれまでも、国際公会計基準にかかわる動きや、民間の企業会計基準の改定の状況などを考慮いたしまして、公認会計士などの専門家を中心に構成する東京都会計基準委員会において審議をし、会計基準の改善を行ってまいりました。
 現在、企業会計の分野におきましては、国際会計基準、いわゆるIFRSの国内企業への適用について流動的な情勢が続いておりまして、また、国際公会計基準につきましても、日本公認会計士協会による精力的な研究が継続して行われている状況がございます。
 都といたしましては、今後ともこうした会計基準をめぐる動向などを注視するとともに、国際公会計基準の考え方も踏まえまして、適切な会計基準の策定に努めてまいります。

○小磯委員 次に、知事に伺います。
 私の地元である町田市においては、全国の基礎的自治体で初めて、複式簿記・発生主義会計による東京都方式をこの四月から導入いたします。
 都内の区市が複式簿記・発生主義会計による東京都方式の導入にちゅうちょしている理由に、東京都のシステムが基礎的自治体である区市にそのまま適用できないため、新たにシステムを開発すると費用がかかるということも一つであります。
 そこで、東京都の足元を固める意味からも、町田市が開発したシステムを東京都が後押しをして、都内の区市に普及させていくべきであると考えますが、知事の見解を伺います。

○石原知事 大変結構で、妥当な建言だと思います。
 大体、日本のような先進国で大福帳にも及ばない単式簿記やってる国ってのは、調べましたら隣の北朝鮮とフィリピンとパプアニューギニアだけでありますな。これは本当に論外な話でして、私たちが、まず最初は、当時の公認会計士協会の会長の中地さんと非常に親しかったものですから、彼に相談しまして、彼も苦労して、最初機能するバランスシートをつくってくれまして、それをベースに新しい会計制度をつくったわけですけれども、私も専門家ではありませんから、まあ東村さんが一番詳しいんだろうけれども、中地さんも苦労したのは、要するに企業とちょっと違うアセット、資産を持っているわけですね、自治体というのは。
 例えば、鉄道は四十年で償却されるんですが、戦争前につくった、例えば渋谷から浅草に行っているああいう地下鉄というのは、もう補修もし、補修もし、今でも新品同様に使えますし、それから別に、こういう時代になりますと、退避ごうとしてもいろんな価値を持つわけですね。そういったものをどう換算するかという問題がありまして、そういうことで苦労されていたんですけれども、幸い都議会には珍しく、東村さんみたいな公認会計士がいますから、みんなを説得してこれでいこうということになって大変ありがたいんですが。
 国が何で、わけのわからぬものを、要するにほかの自治体に押しつけるってのはよくわからないんですけれども、立派というかありがたいのは、新潟の県知事は、総務省方式を押しつけられたけど嫌だと。これ比べてみたら東京の方が妥当なんでねということで、新潟も国の圧力を排して東京方式でやってくれました。
 あとは大阪の橋下君、それから愛知もこれを踏襲して、合理的な会計制度を行うようになりましたけれども、これやっぱり、国民に役人がうそのつきやすい今のような会計方式では話になりませんで、だから、民主党みたいに、それをやらずにかわりに、だれが知恵つけたか知りませんけれども、事業仕分けみたいなばかなことをやって、あんなもの何も出てこないわけですよ。
 ですから、恥かくのは本当に政府ということになるんですけれども、これはやっぱり陰で、国の官僚が自分たちに都合の悪いことをやらせないという、非常に悪い中央集権の一つの表示だと私は思っていますが、とにかく東京から発して、しかも都からも町田市が自治体としてやってくれたということは大変ありがたいと思っています。

○小磯委員 町田市にとっても、知事からそのように評価をされているということは、基礎的自治体において、町田市が先駆を切って導入したかいがあったと思います。よろしくお願いをいたします。
 それでは、防災対策についてお伺いをしてまいります。
 その基礎となります国土の基準点の移動とその修復についてお伺いをいたします。
 このたびの東日本大震災では、国土が最大で五メートル以上、水平移動をしております。国土が移動したことによって、当然、公共の基準点も移動してしまいました。この公共が管理する基準点を修復しなければなりません。(パネルを示す)国土地理院が設置、管理している国家基準、これが一等から四等まであります。これらは昨年の十月末までに修復が完了しております。
 そして、その下に公共基準点の一つとして、街区三角点というのがあります。これらの基準点は国が設置をして、そして区市が管理をしているわけでございます。実はこの街区三角点、これは地籍調査の基礎となっている基準であります。
 地籍調査とは、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目、境界、面積を正確に調査し、測量を行い、その結果を地図、地籍簿に作成するものであります。登記所では地籍簿に基づき、登記記録の内容を改め、地籍図を地図として備えつけます。よって、地籍調査は土地の戸籍と、このようにいわれているわけであります。
 防災のために密集市街地の整備を行ったりする際には、必ず正確な地籍、精度の高い地図が必要であり、計画当初から取得すべき土地の正確な境界や面積を知ることができ、地籍の状況を踏まえた計画立案ができるわけであります。しかも、地籍調査は、国が二分の一、都が四分の一、区市が四分の一費用負担しますので、事業者はその分の費用がかからなくて済みます。
 首都直下型地震については、最新の知見では、フィリピン海プレートが浅くなったことが明らかになっており、震度七の揺れが東京の直下で起こることが懸念をされているわけであります。こうした自然災害への備えは都にとって喫緊の課題であります。災害を未然に防ぐ防災まちづくりと、迅速な災害復旧に大変有効な手段の一つに地籍があるわけであります。
 阪神・淡路大震災では、地籍調査の進捗率が低く、土地の境界が不明確で、建物や社会基盤の復旧に大変大きな支障があったわけであります。今後の自然災害に対して、地籍調査は、都民の貴重な財産を守ることにも直結する災害に有効な事業であります。さまざまな創意工夫を行い、今後も適切に進めていくことが大切であります。
 防災のために、今回の震災によって地籍調査の基礎となるこの基準点が移動してしまったわけでありますが、地籍調査を続けるには、まず基準点の修復が不可欠であります。
 そこで、基準点の移動の状況を明らかにするとともに、修復を速やかに行う必要がありますが、都の所見を伺います。

○飯尾都市整備局長 国土地理院は、今回の大震災に伴いまして、大きな地殻変動が観測されたと発表しておりますが、都内においても、街区三角点を管理しております区市から、最大で四十センチメートル移動したとの報告を受けております。
 街区三角点は都内に約千三百カ所ございまして、地籍調査実施中の区市から、約八百カ所の修復について財政支援を受けたいとの要望がございました。そのため、都は基準点の修復についても国の補助対象の拡大を国に積極的に要請いたしましたところ、すべて補助対象となり、平成二十四年度末までに修復できる見込みとなっております。

○小磯委員 都が国と調整した結果、基準点の修復が着実に進捗するものと理解いたします。
 しかし、今のままでは、都内のすべての街区三角点が修復されるわけではございません。地籍調査を手がけていない区市の約五百カ所の基準点は、ずれたままという状態になるわけであります。都が責任を持ってこれらの基準点の修復への対応をしなければならないと思いますが、都の見解を求めます。

○飯尾都市整備局長 約五百カ所の街区三角点につきましては、地籍調査を実施していない区市が管理しておりますため、国の補助対象として修復を行いますためには、これらの区市でも地籍調査に取り組む必要がございます。
 こうした中、都は、地籍調査の開始を積極的に促しましたところ、江東、杉並及び江戸川の三区で、来年度から地籍調査を新たに開始することとなったものでございます。

○小磯委員 未着手だった三区が開始に至ったことは評価いたします。ただ、いまだ十六区市や村が未着手でございますので、これらの自治体への一層の働きかけをすべきであります。
 東京都内は地籍調査は二割弱ということで、まだ進捗していないのが実情で、土地の資産価値が高いなど、都市部特有の事情が背景にあると推測します。困難な状況だからこそ、都民や事業主体の区市町村に地籍調査の重要性を十分理解してもらう必要があります。木密地域など、災害に脆弱な区域へ重点的に取り組む必要があります。
 地籍調査のより一層の推進のためには都はどう取り組んでいくのか、見解を伺います。

○飯尾都市整備局長 地籍調査は、災害後の迅速な復興やまちづくりの推進を図る上で重要であり、東京都としても財政支援を実施してまいりましたが、なかなか進まない状況を踏まえまして、区市町村に対し一層の働きかけを行う必要があると認識しております。
 具体的には、一筆ごとの境界確認にかわりまして、道路など官民の境界で囲まれた街区単位で先行させるなど、東京の実情を踏まえた事業実施を促してまいります。また、災害に脆弱な木密地域や土砂災害警戒区域等につきましては、地元自治体と連携し、広域的な視点から実効性の高い推進方策を検討してまいります。
 今後とも都は、財政支援の拡充を国へ要望するとともに、地籍調査のより一層の推進に努めてまいります。

○小磯委員 この地籍調査を、単なる災害復旧だけでなく災害の予防として、木密地域とか土砂災害警戒区域において、地元自治体と連携して広域的な視点、すなわち区市の境界を超えた、そういった地域でしっかりと調査をしようということでございますので評価いたします。よろしくお願いいたします。
 次に、災害が起こったときの情報収集が大事であります。そのための画像の活用について伺います。
 大地震など大規模災害が発生した場合に、どこでどのような被害が生じているのかを迅速に、そして俯瞰的に把握することは、効果的な災害対策を講じる上で不可欠であります。
 JAXA、宇宙航空研究開発機構では、災害発生時の広域にわたる被害状況の把握等に資するため、地球観測衛星「だいち」を平成十八年に立ち上げ、昨年五月まで運用していました。全世界の地震や津波、台風などによる土砂崩れや洪水などの災害状況の観測を行ってきたほか、東日本大震災でも、被災地の災害状況を衛星写真で克明に映し出すなど多大な貢献がありました。
 こうした衛星の利用はまだ実証実験段階で、解像度や画像情報の更新間隔などに課題があります。発災直後の利用は、さまざまな課題はありますが、国の開発状況が進めば自治体としても活用できる可能性はあります。都としても衛星の利用を積極的に検討していくべきであります。
 また、当面の課題として、発災時にどこでどのような災害が起こっているのかリアルタイムで把握するために、例えば都庁の屋上にはテレビカメラが設置されていますが、こうした画像をできるだけ多く集め、的確な判断ができる体制を構築すべきであります。
 都は、災害時の情報収集に画像を積極的に活用すべきでありますが、見解を求めます。

○笠井総務局長 発災時に迅速かつ的確な災害対策を実施するためには、委員お話しのとおり、被災状況を速やかに確認できる画像などを活用して、災害情報を把握することがとても重要でございます。
 衛星画像の活用につきましては、災害の影響を受けずに広域的なデータが得られるなどの有効性がある一方で、画像の更新までに時間を要するなど、即応性の面での課題がございます。このため、今後、衛星を運用する国やJAXAでの研究開発など、その動向を踏まえつつ、衛星画像の活用について検討してまいります。
 また、災害時の画像情報の積極的な活用に向けましては、各区が庁舎屋上等に設置したカメラの画像を都の防災センターにおいて活用できるよう、順次整備を図るとともに、来年度、新たに多摩地域に高所カメラを設置し、より広域的な画像情報の収集を行ってまいります。

○小磯委員 来年度、新たに多摩地域に高所カメラを設置するという答弁がありました。評価いたします。ぜひとも多摩地域をよろしくお願いいたします。
 高所カメラ、ヘリコプターでカバーできない箇所が必ず出てくるわけでございますので、衛星による画像の活用もしっかりした検討をよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 災害時の有害化学物質の対応について伺います。
 今後も東京は、マグニチュード九クラスの東海、東南海、南海大地震、またマグニチュード七クラスの東京直下地震が想定されておりますが、これらの地震は首都東京の機能を破壊することが予想されており、このため、科学技術方法に基づき、定量的に被害を予測し、これに基づいて震災に備えることは有効な手段であると考えます。
 都内には多くの化学物質が存在しております。震災による施設の破損などから生じる二次災害は、直接人命に影響を及ぼすおそれもあります。このため、事前にそのリスクを評価し、対策を打つことが必要であります。
 この図は、アメリカの海軍研究所がシミュレーションしたものでございまして、このように、風向きでありますとか気温によって、どういうふうにガスが拡大していくか、そのシミュレーションをしたものでございます。都内においては中小企業が多く、また、住宅と混在している場合が多いわけでございますので、この様相とはまた違うかもしれません。
 都内における災害時の化学物質対策を立てる上では、まず都内で数多く操業する中小規模事業所等の立地状況、また、化学物質使用状況等を正確に把握し、それを踏まえた上で、都の実情に合った対策を講じていく必要があると考えます。
 そこで、都内の事業所における化学物質の取扱状況に対する現状と課題について、都の認識を伺います。

○大野環境局長 都はこれまで、環境確保条例に基づきまして、有害性のあるトルエンなど五十八物質を対象とした化学物質適正管理制度により、都内各地域での化学物質の使用実態の把握に努めるとともに、取扱事業者による化学物質の適正管理や削減に向けた自主的な取り組みを促進してまいりました。
 この結果、都内の主要な産業の一つであります印刷業などにおきましては、化学物質の使用量の大幅な削減や、より有害性の少ない物質への代替が進んでおりまして、これも、平常時のみならず、災害時の化学物質漏えい等の事故の未然防止策としても一定の効果を有しております。
 しかしながら、現行の仕組みは、基本的に日常の化学物質管理や通常の事故時の対応を想定した内容になっておりまして、今回のような大規模震災時の対応といった視点については十分に検討されておりませんでした。
 このため、今回の震災による被害などを踏まえまして、今後、大規模震災時の化学物質に起因する災害の未然防止や、被害の最小化に向けた検討を行う必要があると認識をしております。

○小磯委員 化学物質管理制度の現状と課題についてご答弁いただきましたが、大規模震災時の都内における有害化学物質の拡散防止を万全にしていく上では、東日本大震災の事故例などから得られた教訓、これを生かすこと、また、さらには都内の化学物質取扱事業所の操業実態、化学物質放出源の位置などをもとに化学物質の拡散を予測し、被害想定などをもとに適正な管理を進めていくといった視点が重要でございます。
 また、毒劇物や危険物に該当する化学物質は、保管方法などが毒物劇物取締法や消防法で厳しく定められておりますが、都内で比較的使用量が多い化学物質の中には、これらの法令上の厳しい規制がかからない物質もあります。これらの対策については、中小企業事業者に過度な負担をかけるというのではなく、都が汗をかいて取り組む必要があると思います。
 大規模震災時における、有害化学物質による被害の低減に向けた化学物質管理についての都の取り組みについて、お伺いいたします。

○大野環境局長 ご指摘の毒物劇物取締法や消防法の規制が及ばない有害化学物質につきましては、東日本大震災に起因する化学物質関連の事故等について、いまだ十分に調査がされておりません。
 このため、今後、被災地においての漏えい状況などに着目した調査を実施することとしております。
 また、都内の事業所で震災に起因した化学物質の漏えい事故が生じた場合や、火災などで化学変化が生じた場合などに周辺に及ぼす影響について、予測を行う必要があると考えております。
 これらの被災地の状況や周辺への影響を把握した上で、現行の化学物質適正管理制度を非常災害時の管理手法としても活用する方策を検討してまいります。

○小磯委員 次に、エレベーターの閉じ込め防止対策について質問いたします。
 我が党は、平成十七年の千葉県北西部地震における閉じ込めの発生を受け、地域防災計画の見直しに、P波感知装置の設置推進、また、救出、復旧体制の整備など、ハード、ソフト両面からの対策を盛り込むよう要望いたしました。
 平成二十一年には、国のエレベーターの安全基準が強化され、閉じ込めを防止するためにP波感知装置の設置などが義務づけられましたが、いまだに都内では約七割のエレベーターは未設置であると聞いております。
 東日本大震災では、社団法人日本エレベータ協会の調査によると、全国で二百十件のエレベーターの閉じ込めが発生しましたが、P波感知装置は機能したのか、まだ閉じ込めの実態は明らかにされておりません。
 そこで、東日本大震災における都内での閉じ込めの実態と、閉じ込めのおそれのあるエレベーターへのP波感知装置の設置の推進、また、機器の耐震化を図るべきであると考えますが、あわせて都の見解を求めます。

○飯尾都市整備局長 昨年の大震災によるエレベーターの閉じ込めでございますが、メーカーの調査によりますと、都内で六十五件発生しております。P波感知型装置の設置やロープの外れどめ対策など、平成二十一年の基準に適合している設備では発生しておりません。
 都はこれまでも、毎年の定期検査報告の機会をとらえまして、所有者等に対して、こうした耐震性を高める設備の改善を促してまいりました。
 今回の調査により、改めて対策の有効性が確認されましたことから、リーフレット等により改修の必要性を所有者等に周知してまいります。
 さらに、百貨店や病院など不特定多数の人が利用する一定規模の建物につきまして、改修計画の報告を求めてまいります。
 これらの施策などにより、エレベーターの安全性の確保に取り組んでまいります。

○小磯委員 リーフレットにより改修の必要性を所有者に周知するということ、そしてまた、百貨店、病院など不特定多数の人の利用する一定規模の建物について、その改修計画の報告を求めるということで、前進するということでございます。
 しかし、今後課題になるのが、首都直下地震のような震源地の近い地震であります。つまり、初期微動のP波と本震のS波がほぼ同時に襲ってくるため、初期微動を感知して最寄りの階に停止する前に、本震の揺れにより機器のふぐあいなどが生じて閉じ込めとなる可能性が大いにあるといわれております。
 したがって、首都直下地震に備えるため、早期の救出と復旧体制の構築など、総合的なエレベーター閉じ込め防止対策を早急に講じるべきと考えますが、都の見解を求めます。

○笠井総務局長 東日本大震災を踏まえ、閉じ込め防止装置等の普及を図っていくとともに、首都直下地震などにより閉じ込めが発生した際にも、早期に救出、復旧できる仕組みを構築していくことがとても重要でございます。
 このため、都は、エレベーター利用者や施設管理者等に対し、閉じ込め防止装置の必要性、重要性を意識づけるため、P波感知型地震時管制運転装置を装備したエレベーターにステッカーを貼付していくとともに、地震発生時に早期に最低限の運行を確保するため、一つのビルにつき一台の復旧を行うという原則を施設管理者等に周知するなどの取り組みを進めております。
 今後とも、日本エレベータ協会などと連携いたしまして、早期の救出、復旧を含めた総合的な対策を講じてまいります。

○小磯委員 都が民間施設でエレベーターの耐震化の促進を図るためには、まず、みずからが手本、率先垂範を示すことが重要でございます。
 都営住宅、公社住宅、居住者の高齢化が著しいわけであります。また、東日本大震災では、計画停電が実施された際にも都内でエレベーターの閉じ込めが発生しており、停電が原因となって発生する閉じ込めも防ぐことができるように努めなければなりません。
 都では、平成二十一年の国の安全基準の強化を受けて、都営住宅について、建てかえなどのエレベーターの新設、エレベーターの大規模改修を行う際、停電時にエレベーターを最寄り階に停止させ、閉じ込めを防止する停電時自動着床装置を設置していると聞いております。
 さらに、都では、東日本大震災の際の状況を踏まえ、既存のエレベーターについて、停電時自動着床装置の設置を進めるとしております。また、公社住宅でもP波感知装置や停電時自動着床装置の設置の取り組みが進んでいると聞いております。
 そこで、都営住宅、公社住宅において、既存のエレベーターへのP波感知装置や停電時自動着床装置の設置は、二十三年度はどう進捗をしたのか、また、来年度以降はその取り組みを強化すべきでありますが、見解を求めます。

○飯尾都市整備局長 既存のエレベーターへのP波感知装置の設置についてでございますが、都営住宅では平成二十三年度をもって完了する予定でございまして、公社住宅では既に完了しております。
 また、停電時自動着床装置につきましては、これまで大規模改修を実施するエレベーターに設置してまいりましたが、東日本大震災の状況を踏まえて計画の見直しを行いまして、今年度からそれ以外のエレベーターにも設置を始めたところでございます。その結果、今年度は都営住宅で百五十三基、公社住宅で七十基に設置を行いました。
 来年度以降、設置基数の拡大を図りまして、計画的に本装置の設置を進めてまいります。

○小磯委員 今後も、既存の都営住宅へのエレベーターの設置を推進するとともに、P波感知装置はもとより、停電時の閉じ込め防止装置についても着実に設置を進めていくよう、お願いをいたします。
 エレベーターの耐震化に続いて、老朽化マンションの耐震化についてお伺いいたします。
 都内のマンションストックは今でも二百三十五万戸に上り、今後も増加の一途をたどっております。
 マンションにおける地震被害で真っ先に思い浮かぶ光景は、地震動を受けて上部の居住空間を支え切れなくなり、ピロティーになっている一階のエントランス部分がつぶれ傾いてしまう被害であります。二階以上の居住階の躯体被害は少なくても、一階がつぶれてしまえば、もはや住まいとして用を果たせなくなり、住民は避難所に移動しなければなりません。
 都は今年度、都内すべてのマンションを対象に実態調査を実施していると聞いておりますが、実態調査の概要とあわせて、阪神大震災では一階にピロティーのある建物の被害状況を参考として伺います。

○飯尾都市整備局長 実態調査では、所在地、建築年などの基本情報に加えまして、耐震診断や耐震改修の実施の有無、未実施の理由などを調べております。
 阪神・淡路大震災では、平成八年に国の建築研究所が作成した報告書によりますと、柱や壁にひび割れが生じる以上の大きな被害を受けた、旧耐震基準により建築された建物の割合は、ピロティーのあるものがないものの約三倍となっております。このため、ピロティーの有無についても調査を実施しているところでございます。

○小磯委員 ただいま答弁のありましたこの旧耐震基準においては、ピロティーのある建物がないものの約三倍ということでございまして、その数値は大変重要だというふうに思います。
 そこで伺いますが、それなら、まずはピロティー部分だけでも耐震化を行いたいと考えるマンション居住者も出てくると思います。耐震診断の結果、ピロティー部分だけの耐震化工事で建物全体の耐震化ができる場合、また、資金不足や専有部分への工事に対する合意形成の困難さから、すぐには建物全体の耐震改修に着手できないなど、まずピロティー部分から工事をしたいという場合は補助対象とするのかどうか、見解を求めます。

○飯尾都市整備局長 マンションの耐震化は、建物全体を地震に対して安全な構造とすることが重要でございますことから、耐震診断の結果、ピロティー部分を補強することで建物全体のIs値が〇・六以上となりまして、耐震性が確保される場合は補助の対象となります。また、建物全体の耐震性が確保されることを前提といたしまして、ピロティーの補強など、耐震効果の高いところから順次改修を行っていく段階的改修につきましても、補助の対象としておるところでございます。

○小磯委員 ただいまのご答弁のような、都の耐震化助成の仕組みを知らない都民が多いと思います。また、区市町村ごとに用意されている耐震化助成の制度も微妙に異なっております。
 そうした意味で、都は、さらに区市町村の耐震化促進部門との連携を密にするとともに、賃貸や分譲の別を問わず、管理組合や住民組織の現場に赴いて、老朽化マンションの耐震化促進に向けた取り組みを来年度以降強化すべきであると思いますが、見解を求めます。

○飯尾都市整備局長 都はこれまでも、区市町村と連携をいたしまして、耐震アドバイザーの派遣や耐震診断、耐震改修助成などに取り組んでまいりました。
 さらに、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが実施しておりますアドバイザー制度を、新たに賃貸マンションにも対象を拡大いたします。
 また、来年度、合意形成が難しい分譲マンションにつきまして啓発隊を派遣し、今年度実施している実態調査の結果も踏まえた助言を行い、マンションの耐震化の促進に取り組んでまいります。

○小磯委員 賃貸マンションもアドバイザー制度の対象とする、また、合意形成の難しい分譲マンションに啓発隊を派遣するという新しい答弁でございました。何とぞ、この老朽化マンションの対応、よろしくお願いを申し上げます。
 次の質問に移ります。
 地震による被害の様相は震災ごとに大きく異なっております。阪神・淡路大震災では、建物の倒壊、家具の転倒によって多くの方が下敷きになり亡くなられました。
 先ほども申し上げましたが、最新の知見では、震度七の揺れが東京の直下で起こることが懸念されております。こうした強い揺れに襲われた場合、怖いのは建物の倒壊や家具の転倒による圧死、窒息死であります。都民一人一人がすぐにでも取り組める、家具の転倒防止対策を早急に推進する必要があります。
 このパネルをごらんください。地震による負傷原因ということでございまして、例えば、宮城県北部地震では四九・四%、約半数の人が家具類の転倒、落下が原因でけがをしているわけであります。また、岩手・宮城内陸地震でも、四四・六%の方が家具類の転倒、落下が原因でけがをしているわけでございます。
 負傷した人のうちで家具の転倒によって負傷した割合がこの表でございます。また、想定でも、東京湾北部地震による負傷者の想定で、これは想定でございますけれども、家具転倒防止による負傷者が三四%、五万四千五百人というふうになっております。負傷者を極力減らすことによって、救急車、救急病院等の混乱を少しでも緩和できるわけでありまして、この対策は極めて重要であります。
 都は、沿道建築物の耐震化、またマンション耐震化などを進めておりますが、せっかく建物が耐震化されても、家具等によって負傷者が多数発生したのでは元も子もありません。
 東京消防庁では、東日本大震災を初め、これまでも地震発生の機会をとらえ、家具類の被害や固定の状況、その後の改善の状況などについて調査を実施しております。震災等が発生した後に実施した調査から、家具類の転倒、落下などによる被害や転倒、落下防止措置の実施状況などを整理して、今後の対策を講じることが大切であります。調査から整理された今回の東日本大震災による被害の傾向についてお伺いをいたします。

○北村消防総監 東京消防庁が昨年六月に実施いたしました消防に関する世論調査によりますと、都内における家具類の転倒、落下防止対策実施率は五三・六%であります。
 しかしながら、東日本大震災の発生に伴い、同年七月に実施いたしました都内における家具類の転倒・落下防止対策に関するアンケート調査では、全住宅及び事業所の約二割において、家具類の転倒、落下に加え、移動による室内被害が発生しており、さらには、高い階層になるほど家具類の転倒、落下、移動の発生割合が高い傾向を示していますことから、安全対策をより一層推進することの必要性を確認しております。

○小磯委員 消防庁の調査では、家具類を固定していない理由に、家具や建物を傷つけたくないためといったものが挙げられております。また、今回の震災で注目された長周期地震動により、事務機器の移動による危険性も認識されました。
 一方、家具類固定の実施率は、ただいま五三・六%という答弁でございますが、震災後一定の向上が見られますが、あくまでも一部の家具となっております。一部の家具に実施が八九・七%、すべての家具を行っているは八・四%であります。
 実は大事な割にはなかなか進まないのが、この家具転倒防止でございます。その進まない理由として、一つは面倒である、二七・八%、二番目、壁に穴をつけたくない、二六・五%とあります。
 私は、借家とかアパートとか賃貸マンションに住んでいる人は壁に傷をつけられないということで、転倒防止は進んでいない、こう思います。家具転倒防止に有効なのは、L字型、チェーン、バンドなどで固定するものであります。これはいずれもつけ長押などにねじなどで穴をあける方式であります。突っ張り棒とストッパーの両方で固定するものがありますが、天井と家具が離れている場合や天井に強度がない場合は効果が薄れます。
 こうした中、事業者の中には、家具や電化製品の固定をしやすいように、製品や居室の内装などにさまざまな創意工夫を進めているところもあります。
 地震予知連絡会長の島崎邦彦氏は、このように述べています。
 日本に住んでいる以上、地震への対策はどうしても払わなくてはいけない税金のようなものだという意識を持ってほしいと思います。一般に売られている食器棚でも、地震が起きて倒れるとガラスが割れて凶器になる可能性があるわけですから、ガラスが飛び散らないフィルムが張られた状態で売られているべきではないでしょうか。地震が起こることを組み込んだ文化をつくり、地震が起きても大丈夫なようにいろんなものがつくられている、それが標準のような社会にする必要があると思います。
 こう述べているわけであります。私は大変共感できるわけであります。
 住宅の供給側、家具、電化製品等の製造者の取り組みの強化を進めるとともに、こうした事業者の動向も広く知らせるなど、今こそ家具転倒防止の普及啓発を活発にし、都民の機運の醸成を図るべきであります。都民の防災を預かる消防庁と総務局の今後の取り組みについて、それぞれお伺いをいたします。

○北村消防総監 東京消防庁では昨年九月に、長周期地震動等に対する高層階の室内安全対策専門委員会を設置いたしまして、今回の被害の傾向を踏まえ審議した結果、これまでの家具類の転倒、落下防止策に移動防止策を新たに加え、重層的な室内安全対策を進めることといたしました。
 このため、現在、大学、関係機関等と連携した室内安全セミナーの開催や展示広報を初め、関係業界に対しては、効果的な転倒防止器具や安全対策がなされた家具類の開発、家具や壁材に合わせた取りつけ方法の普及を強く働きかけるなど、家具類の転倒、落下、移動防止対策キャンペーンを積極的に展開し、広く都民及び事業所に周知啓発を行っております。
 今後とも、都の関係部局、区市町村及び関係業界等と連携し、家具類の転倒、落下、移動防止対策の普及啓発の促進に努めてまいります。

○笠井総務局長 大地震発生時の家具類の転倒、落下による被害を軽減するためには、都はこれまでも、都民向けパンフレットの作成、地域の消防署での講習会などにより、家具類の転倒防止対策の啓発に努めてまいりました。
 しかしながら、東日本大震災を踏まえ、長周期地震動に伴う高層マンション等における家具の移動防止といった新たな課題に対応する必要も生じてきております。
 このため、東京消防庁とも連携いたしまして、高層階における対策や委員ご指摘の事業者の取り組みの現状なども反映した都民向け広報を実施するとともに、家具やオフィス機器の業界団体と連携いたしましたキャンペーンを展開することなどにより、都民の意識を喚起してまいります。
 こうした取り組みを地域防災計画の修正にも反映いたしまして、家具類の転倒防止対策の強化を図ってまいります。

○小磯委員 ただいま大事な答弁がございました。地域防災計画の修正にも反映し強化を図るということでございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、ヘルプカードについて伺います。
 災害時に障害者の方々をサポートすることが求められます。都議会公明党はこれまで、障害者が災害や不測の事態に遭遇し、助けを求めたいときに、周囲の人が気づき、支援しやすい環境を広域的に整えるよう、再三求めてまいりました。
 第四回定例会の提案に、二十四年度からこのヘルプカードの普及促進事業を開始すると答弁がありました。また、十三日の総括質疑で、東村政調会長から、ヘルプカードを帰宅困難者対策条例の実施計画に織り込まない限り普及できないと主張したところ、総務局長からは、帰宅困難者対策の実施計画の策定に当たっては、ヘルプカードの普及促進も含め、災害時要援護者に配慮した対策について検討するとの答弁がありました。
 そこで、福祉保健局長、今後、ヘルプカードを広域的に活用できるよう、そのデザイン等について共通化を図り、普及啓発に努めるべきでありますが、都の見解を求めます。

○杉村福祉保健局長 ヘルプカードは、コミュニケーションが困難な障害者の方が、災害時等に周囲の人に支援を求める際に有効なツールでございますことから、都は、来年度、区市町村が作成する際の共通の基準となるよう、ガイドラインを作成いたします。
 このガイドラインには、都内で統一的に活用できますよう、デザインや形態などカードの標準様式を定めますほか、聴覚障害、内部障害など障害の特性に応じた支援が受けられるよう、障害の種別ごとに必要な配慮や支援方法等を盛り込みます。
 また、区市町村の取り組みを強力に進めるため、ヘルプカードの作成経費は、包括補助の先駆的事業として、三年間にわたって都が十分の十を負担いたします。さらに、ヘルプカードを広く都民や事業者に周知をいたしますため、広報誌やホームページ等を通じた広報に加えまして、新たにヘルプカードの目的や、カードが示された際の対応方法などを記載したリーフレットを作成いたしますほか、区市町村や事業者向けのセミナーも開催し、積極的に普及啓発に努めてまいります。

○小磯委員 これによって障害者の命が救われます。今後は、直ちに区市町村に周知すべきであります。よろしくお願いをいたします。
 次に、環境エネルギー対策についてお伺いいたします。
 まず、知事にお伺いいたします。
 先ごろ、OECDによるレポート、環境アウトルック二〇五〇が公表されました。サブタイトルが、行動を起こさないことの代償というもので、今から二〇五〇年までの世界の長期的な環境変化を予測したものであります。
 これによれば、もし世界がより意欲的な環境政策を講じなければ、二〇五〇年には世界の温室効果ガス排出量が五〇%増加し、より破壊的な気候変動が生じる可能性があって、今世紀末までに世界の平均気温が、産業革命前と比べ三度から六度上昇する見込みであり、気温の上昇幅が二度を超えると異常気象が頻発し、その結果、人間と生態系は適応できなくなると報告し、緊急かつ総合的な対策を、今、講じる必要があると結んでおります。
 都はこれまで、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度の導入など、先駆的な地球温暖化対策の数々を打ち出してきておりますが、今、都に求められるのは、国を動かし世界を動かすことで、世界の地球温暖化対策を強力に牽引していくことであります。
 地球温暖化に対して常に警鐘を鳴らし、国でできない環境政策を次々と実行してきた石原都知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 温暖化の問題については、ご指摘のように、私たちは何もしないということの代償を、近々、大きな形で払わなくちゃならないことになるんじゃないかと思います。
 昨年の暮れのダーバンでのCOP17でも、何が決まったかといったら、何も決まらないことが決まった。つまり、四年先に新しいルールをつくって、そのルールをさらにその五年先に、九年に実行するという、こんなために国際会議をやって何になるかと思うようなばかなことをやったわけです。
 またことしも各国の首脳が集まってサミットが行われるでしょうけれども、これでも温暖化の問題が一部議題になるようですけれども、スポークスマンがいつもいっていることは、この問題については半歩前進しました。三年かかって一歩半で間に合うわけがない。どんどん世界じゅうの氷は解け、ハンセン教授が指摘したように、十年ぐらいたったら北極海の氷はなくなるでしょう。だけではなしに、ヒマラヤの氷も解け、あちこちの凍土も解けて、結局、海の水がふえて、その水がどこに集まるかといったら、遠心力がかかりますから、赤道の近くに集まって、私が五年前に行きましたツバルなどもあと一年ぐらいで沈むんじゃないでしょうか。全く物がつくれなくなりました。
 そういうことで、私たちはできるだけのことをやりましたし、東京は都市型のキャップ・アンド・トレードも取り入れましたが、これでとても間に合うものでもありませんし、ご指摘のように、この国でも昨年の豪雨があったり、タイ国の豪雨があったり、ワシントンに雪が降ったり、異常気象が起こっていますが、これは決して異常の気象じゃなしに、物理的にいって、まさに通常の気象になってきたわけです、世界全体が。
 ということを私たちは相当肝に銘じませんと、取り返しのつかないことになりますが--しかし、多分、取り返しのつかないことになるでしょう。それでも私は、東京は東京としてやることをやらなくちゃいかぬと思うんです。
 前にも書きました、いいましたが、あるところで私の友人だった開高健君が書いた色紙を見ました。それはなかなかいい文句で、たとえあした地球が滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植える、これは実はゲオルグというポーランドの詩人の歌だそうでありまして、このゲオルグも宗教改革者のルターの言葉をヒントに得てこれを書いたそうですが、いずれにしろ、たとえあした地球が滅びるとも、東京は、やっぱりきょうもあしたも、ささやかになるかもしれませんが、リンゴの木を植えていく努力を続けたいと思っております。

○小磯委員 大変ありがとうございました。ぜひとも都の先駆的な施策で世界の大都市をリードしていっていただきたいと思います。
 地球温暖化対策を着実に推進し、かつ災害にも強い東京をつくるためには、これまでの電力制度を低炭素化、防災力向上という視点から再構築する必要があります。
 東日本大震災後の大幅な電力不足を経験した昨年夏は、六本木ヒルズのように、系統電力に頼らず、特定の再開発エリア内の電力を自前で補う、特定電気事業という電力の供給形態が注目を集めました。ここに図がかいてございますが、この特定のエリアについて特定電気事業者が電気を供給するという形であります。
 ところが、この特定電気事業の許可要件が、域内の電源保有比率を一〇〇%、いわゆる電気を一〇〇%供給しないといけないという、そういう規制がかかっております。コジェネでありますので、電気を一〇〇%供給するためには相当の排熱が出て、余分な排熱がいっぱい出てしまうということで、一〇〇%ということでなかなか次の事業者が出てこなかったわけであります。
 ところが、今回、国の電気事業制度の見直しに向けた改正で、この域内の電源保有比率を一〇〇%から五〇%以上に緩和する、こういうふうになるようでございます。そうすると、五〇%はここの特定電気事業者が電気を供給する、残りの五〇%、これを例えば再生可能エネルギー、域外の太陽光とか風力発電による電気を、電力を持ってくる、そういうことが可能になるわけであります。
 こうした域外の風力発電などの再生可能エネルギーの活用も可能となって、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大への契機にもなると考えます。そこで、今回の電気事業制度に関する改正を踏まえ、都は自立、分散型エネルギーの確保に向けた取り組みに積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。

○大野環境局長 ご指摘の制度改正は、系統電力が途絶えても電力を確保できる特定電気事業の長所を生かして、防災力の強化と電力の低炭素化の両立を可能とするものでございます。今後、都市再開発などの際にその活用可能性が広がるものと考えております。
 都が現在、大手町・丸の内・有楽町地域、通称大・丸・有地域で行っている調査は、この特定電気事業を視野に入れるとともに、域外から供給を受ける電力については、再生可能エネルギーや天然ガス発電など、CO2排出量の少ないクリーンな電力を最大限活用することを目指しております。
 加えまして、都は、ビル側の需要抑制を組み込んだ電気と熱双方の最適制御を目指す技術、手法も検証しておりまして、本調査を通じて、今後の都市開発におけるエネルギーマネジメントのモデルを構築していきたいと考えております。

○小磯委員 電気事業制度の改正が、ぜひとも新たな都市開発における再生可能エネルギーの導入拡大につながるよう、都の取り組みを期待します。
 加えて、都には大規模な既存ビルも多くあり、こうしたビルにも再生可能エネルギーの導入を拡大すべきと考えます。
 キャップ・アンド・トレード制度では、現在、いわゆる生グリーン電力というユニークな仕組みを導入している事業所があります。再生可能エネルギーのポテンシャルの高い東北、北海道の風力発電等の電力を東京へ送電し、それを需要の大きい都内の大規模事業所が活用して、CO2排出量を削減するものであります。これによって、東北、北海道地方の豊かな再生可能エネルギーが有効活用され、また、都内の事業所の排出量が削減される一石二鳥の仕組みであります。
 大都市におけるこうした取り組みが、例えば、福島第一原発でご苦労されている地域にメガソーラーや風力発電の設置を促すことにつながってくるのではないでしょうか。長期的な被災地支援にもなります。大規模な既存ビルの生グリーン電力の取り組みの拡大を図るべきと考えますが、所見を伺います。

○大野環境局長 現在導入されております生グリーン電力は、ご指摘のとおり、風力発電による電力を送電しているものでございますが、気象条件によって発電量が変動するため、同じ再生可能エネルギーである水力発電と組み合わせて、風力発電の変動分を調整し、電力が安定供給できるようにしております。このため、一定の限界がございます。拡大の限界がございます。
 一方、震災以降、老朽火力発電所の稼働がふえるなど、CO2排出量の増加が見込まれる状況にありまして、低炭素電源である高効率天然ガス発電の拡充が求められております。この高効率天然ガス発電は、変動する需要に合わせて短時間で発電量を増減することが可能であり、電力調整の手法としても役立つものでございます。
 こうしたことから、風力発電等のCO2を排出しない再生可能エネルギーと、この高効率天然ガス発電を組み合わせた、新たな生グリーン電力の仕組みの検討を行いまして、再生可能エネルギーの利用拡大と低炭素な電源の双方の普及促進を図ってまいりたいと考えております。

○小磯委員 都の再生可能エネルギー利用拡大の取り組みを、しっかりよろしくお願い申し上げます。
 医療福祉について質問いたします。
 まず、不育症について質問いたします。
 不育症とは、妊娠するものの流産や死産を繰り返すことであり、流産の確率は年齢とともに上がるため、晩婚や晩産化が進む近年では深刻な問題の一つとなっております。
 この不育症は、なかなか妊娠しない不妊症に比べて認知度が低く、これまで患者数や治療効果などの実態は不明でありました。
 こうした中、公明党は二〇〇九年十一月、不育症についての国会質問を行い、調査研究を促したところ、厚生労働省の研究班で調査が行われ、その結果、妊娠した女性の約四割に流産の経験があり、流産を繰り返す不育症も二十四人に一人の割合でいることや、不育症患者は現在までに百四十万人と推計され、年間約三万組が発症していると考えられることなどが報告されました。
 またこれまで、流産の多くは女性に原因があるとの偏見がありましたが、流産の原因で最も頻度の高いものは、自然現象として一定の割合で生ずる胎児の染色体異常であり、三回流産した人でも約半数はこの偶発的な流産が重なったものであるため、特に治療しなくても、次回以降の妊娠で出産できる可能性が高いといわれております。
 このほか、不育症の原因になるものとしては、免疫異常で胎盤などに血栓ができやすい抗リン脂質抗体症候群や、子宮の形態異常、さらには夫婦もしくは一方の染色体異常などがあることがわかっております。この中で、抗リン脂質抗体症候群の場合は、薬物へパリンの注射やアスピリンの内服による治療の効果が高く、これを妊娠期間中に毎日使用すれば、七〇%から八〇%の確率で出産が可能になります。これまでこの治療については保険適用外でしたが、公明党の訴えで、ヘパリンの在宅自己注射への保険が適用になり、ここに来て大きく前進をいたしました。
 一方で、流産により心身ともに大きなダメージを受け、不育症という病名も知らずに苦しんでいる人もまだ多く、不育症の女性の四割は強い心のストレスを抱えたまま苦しんでいるというのが実態であります。
 そこでお伺いいたします。東京都は不育症に対してどのような認識をお持ちか伺います。

○杉村福祉保健局長 妊娠をしても流産や死産を繰り返すいわゆる不育症について、厚生労働省の研究班では、偶発的流産を含め原因はさまざまでありますが、検査や治療などにより八五%の人が無事に出産にたどりつくとしております。また、平成二十三年八月以降、検査や治療の一部が保険適用になっております。
 都といたしましては、こうした不育症に関する正しい情報の提供や普及啓発、相談支援などによりまして、不育症に悩む人の不安を軽減し、適切なサポートを行うことが重要であると考えております。

○小磯委員 次に、国において、都道府県が実施する不育症の相談事業に対して補助を行うこととなりましたが、これを用いて都も取り組みを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○杉村福祉保健局長 国は、都道府県等が実施をしております不妊相談事業の中で、不育症に関する相談にも対応できるよう、現在、研究班において相談対応のマニュアルを作成をいたしております。
 これを受け、都におきましても、来年度から東京都不妊ホットラインの相談内容に不育症を明確に位置づけまして、相談員に対する研修を新たに実施するなど、体制を整え、国のマニュアルも活用しながら、都民からの相談に対応してまいります。

○小磯委員 相談支援は必要な人がその情報を得られなければ相談につなげることができないために、東京都不妊ホットラインの名称を不妊、不育ホットラインとするなど、広く周知すべきと考えますが、見解を伺います。

○杉村福祉保健局長 都は現在、東京都不妊ホットラインの相談日時や連絡先、相談内容につきましてホームページに掲載をいたしますとともに、カードを作成いたしまして区市町村に配布するなど、都民への周知を図っております。
 今後は、不妊ホットラインにおきまして不育症に関する相談も受けられることを、ホームページやカードに新たに明記いたしますとともに、名称の変更についても国の動向を踏まえながら検討してまいります。

○小磯委員 不育症の相談を行うことをホームページに掲載、そしてまた、カードに明記し配布するということでございます。名称も国が打ち出せば変更するということでございましたので、何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、介護保険法改正に関して、介護サービス情報公表制度について質問いたします。
 介護保険法では、介護サービスの質の確保や利用者保護を目的として、事業者に対してインターネットなどでのサービス情報の公表を義務づけております。
 さて、今回の国の見直しでは、調査の実施等について一定程度、都道府県が柔軟に設定できるようになっております。
 そこで、来年度からの公表制度について、都において介護事業者の負担を減らすべきと考えます。都における見直しの内容と見込まれる効果を明らかにすべきであります。都の見解を求めます。

○杉村福祉保健局長 介護サービス情報公表制度について、都はこれまで、制度運用開始直後の平成十九年度から毎年、利用者の利便性の向上や事業者の負担軽減を図りますよう、国に見直しを提言してまいりましたが、今回の介護保険法改正で、公表のための訪問調査が年一回の実施から、知事が必要と認める場合に改められるなど、大幅な見直しが行われました。
 これを受けまして、都は現在、調査に関する指針を策定しており、その中には、訪問調査を事業者指定の更新時期に合わせ六年に一回とすることなどを盛り込む予定でございます。また、調査や公表に係る経費については事業者に求めない方針でございます。
 こうした見直しにより、事業者の事務的、経済的負担は大幅に軽減が図られるものと考えてございます。

○小磯委員 今回の都の見直しにより、事業者の負担が大幅に軽減されることは、経営の安定化やサービス内容の充実を図ることができるなど、その効果を期待したいと思います。
 大事なことは、介護保険法改正後、何が変わるか、新たな課題が生じないかということでございます。今回の介護保険法改正及び介護報酬改定による影響を把握するに当たっては、利用者の声に耳を傾けるとともに、アンケート調査を行い、介護事業者の意見をしっかりくみ上げるべきと考えますが、所見を伺います。

○杉村福祉保健局長 今回の介護保険制度改正や介護報酬改定では、定期巡回、随時対応型訪問介護看護など、在宅サービスの充実、医療と介護の連携強化、介護人材の確保とサービスの質の向上など、地域包括ケアの推進を図るためのさまざまな見直しが行われました。
 今後、都は、今回の制度改正の影響を把握、分析をするために、広く都民の声を聞きますとともに、アンケート調査などにより介護事業者からの意見も聴取し、介護保険制度がさらに充実した制度となるよう、国に対して必要な提言を行ってまいります。

○小磯委員 それでは、都市整備局長に二問まとめて質問いたします。
 次に、多摩地域の公共交通について伺います。
 多摩地域は四百万人もの人口を抱えながら、鉄軌道の整備がおくれております。とりわけ、多摩都市モノレールは、多摩地域の発展に大きな役割を果たしております。多摩都市モノレールの多摩センターから町田方面への延伸は、業務核都市として八王子、立川、町田市が緊密な連携をとる動脈として、極めて重要な路線になります。
 地元町田市は、多摩都市モノレール町田方面への延伸の導入空間となる未決定の都市計画道路について、来年度検討すると、町田市がこの都市計画道路について検討するとしております。こうした機会をとらえ、都は、多摩都市モノレール町田方面への延伸に積極的に取り組むべきであります。
 もう一つ、小田急多摩線の終点唐木田駅からJR横浜線の相模原駅、さらにはJR相模線への延伸について、町田市と相模原市が昨年五月、共同調査の結果を公表しており、その結果を踏まえ、今後、検討の深度化を図るとしております。来年度は、国や東京都、神奈川県などを含め検討組織を拡充する予定と聞いております。
 都もこの機会をとらえて、小田急多摩線の延伸に積極的に取り組むべきと考えます。あわせて、都の見解を伺います。

○鈴木(貫)副委員長 飯尾都市整備局長、二問まとめてご答弁ください。

○飯尾都市整備局長 まず、多摩都市モノレールの町田方面への延伸についてでございます。
 運輸政策審議会答申第十八号において、今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。
 多摩都市モノレール株式会社につきましては、平成二十年度に沿線自治体や都による財政支援などを受けた結果、会社みずからの努力もありまして、それ以降三期連続の黒字を達成しております。
 一方で、開業十年余りを経過し、今後、更新投資の増加が見込まれることなどから、引き続き、会社の経営安定化を図ることが重要でございます。その上で、町田方面への延伸につきましては、需要動向や事業採算性、投資効果など、さまざまな角度からそのあり方を検討することが必要であると考えております。
 次に、小田急多摩線の横浜線、相模線方面への延伸についてでございます。
 運輸政策審議会答申第十八号におきまして、今後整備について検討すべき路線に、やはり位置づけられております。
 これまで地元町田市及び相模原市が延伸についての調査検討を行っておりまして、その中で、事業費や採算性の確保、沿線のまちづくりとの整合性などを、実現に向けた課題として掲げております。
 今後、地元市がこうした課題についての検討の深度化を図るとしておりまして、都としては、このような地元市の取り組みなどを見きわめながら、適切に対応してまいります。

○鈴木(貫)副委員長 小磯委員の発言は終わりました。(拍手)

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