午後三時三十一分開議
○鈴木(あ)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
宇田川聡史委員の発言を許します。
○宇田川委員 都議会自由民主党を代表して、締めくくり総括質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、今後の財政運営について伺います。
自治体を経営という視点でとらえたとき、東京という大都市の経営は、石原知事の手腕にゆだねられているわけですが、知事の的確な判断、決断力、強力なリーダーシップによって、瀕死の状態にあった財政を再建することができました。その後も、手綱を緩めることなく改革を進めたことによって、厳しい財政環境の中でも漏れのない施策展開ができる、しなやかな財政体質へと改善がなされたわけでございます。知事が我が党と手を携え、血のにじむような努力を重ねてきたのは、今日のような危機的状況に備えてのことであり、まさに先見の明だといえます。
一方、国家財政は、身の丈に合わない歳出の重みで、みずからを支え切れないような重篤な状態にあり、抜本的な外科手術が必要だと考えております。にもかかわらず、歳出構造を本質的に改めようとしない態度は、危機意識が決定的に欠如しているといわざるを得ません。
東京の強みは、現場と直結していることであり、だからこそ、経済変動などにも即刻対応し得る揺るぎない財政基盤を築き上げることができたのです。都税収入の好転が期待できない中にあっても、今後、都政がなすべき役割を着実に果たしていかなければなりません。財政運営における危機管理をいかになされていくのか、初めに財務局長にお伺いをいたします。
○安藤財務局長 都財政は、景気の変動が直接的に税収にはね返るなど、歳入構造が極めて不安定な構造でありますことは、さきのリーマンショックによって、わずか一年の間に税収が一兆円以上減収となった衝撃からも、記憶に新しいところでございます。
今後も厳しい財政環境が続くと見込まれますけれども、そうした中にあっても、都政の展開を将来にわたって支えていくことが財政の使命であります。この使命を安定的、継続的に果たしていくためには、都財政の構造を前提として、中長期的な視点から十分な備えを講じておくことが、財政運営上の危機管理であるというふうに認識をしております。
この間、税収が低迷する中にありましても、大震災を踏まえた防災力強化などの課題に迅速に取り組むことができたのは、こうした備えがあったからであると痛感をしております。
この先も、財政の対応力を堅持し、都民福祉の向上や、防災力強化などの都民の安全・安心を確実に取り戻す取り組みや、都市インフラの整備を初めとする東京の成長と発展に向けた取り組みなど、都民の負託にこたえる施策展開を確実に支える財政運営に努めてまいります。
同時に、事業評価の取り組みなどを通じ、一般会計にとどまることなく、不断に施策を検証する努力を続け、引き続き歳出を身の丈に合ったものとし、財政の健全性もしっかりと維持していく所存でございます。
○宇田川委員 次に、入札契約制度についてお尋ねをいたします。
今回の定例会の議案を見ると、一部で減少が見られるものの、全体として見れば、低価格入札は依然として続いており、下請へのしわ寄せがないかと心配をしているところでございます。昨今、下請代金の支払い遅延や、下請労働者の社会保険未加入などの問題が指摘されており、法令等の規定により適正化が義務づけられているとはいえ、いわゆる孫請以下の二次、三次となるにつれ、懸念は大きくなっております。
そこで、特に下請へのしわ寄せが懸念される低価格入札案件に関して、発注者である都は、受注者である元請に対して、適正化を求めていくべきと考えます。見解を伺います。
○安藤財務局長 低価格入札案件については、現在、下請へのしわ寄せがないことなどを低入札価格調査により確認をしております。
今後は、より適正な履行の確保を図る観点から調査を強化することとし、社会保険の加入状況など、下請の法令遵守についての元請による確認指導を調査項目に追加をいたします。
さらに、工事完了の際には、二次以下も含むすべての下請に対する代金支払いや、労働者への賃金の支払い方法などに関する元請による確認指導等について、実績報告を義務づけることといたします。
こうした取り組みにより、都の発注工事の品質の確保を図るとともに、元請と下請との関係がより一層適切なものとなるように努めてまいります。
○宇田川委員 今の答弁は、一歩進んだものと評価はするんですが、やっぱり実効性が伴わなければ意味がありませんので、しっかりと取り組んでいただくとともに、業界への周知も十分にやっていただくようにお願いをさせていただきます。
次に、設計変更についてお尋ねをいたします。
都に限らないことですが、地方自治体の公共工事においては、設計変更に伴う契約金額の変更は、当初契約の落札率を乗じた額で行われるということになっております。
しかし、実際の現場では、発注者と受注者の間で、認識にずれが生じる場合が多々あるようです。こうしたことは、ともすると、設計変更いかんで受注者に赤字を強いることにもなりかねないというのが実情であります。お互いがきちんと納得できることは、なかなか難しいことではありますが、合理的な契約金額変更の仕組みができれば、こうしたことも、ある程度はスムーズに運べるのだと思います。ご所見をお聞かせください。
○安藤財務局長 これまで、工事における契約変更の金額は、都の積算基準等に基づき、標準的な価格として算定をしておりますけれども、工事案件によりましては、受注者側の技術力を考慮した方法を採用する必要もあるというふうに認識をしております。このため、こうした工事案件につきましては、当初の契約時点におきまして、工事費の総額だけでなく、内訳項目の単価等についても、受発注者間で合意を得ておく総価契約単価合意方式の導入を検討いたします。
この方式では、あらかじめ合意した単価等に基づき変更金額を積算することから、より実態に合った契約変更が可能となるとともに、変更の協議についても円滑化が図られ、受発注者の負担軽減につながるものと考えております。
こうした取り組みによりまして、入札契約制度のさらなる適正化に努めてまいります。
○宇田川委員 新たな方式を検討中ということなんですが、まず一番大事なのは、発注者と受注者の信頼関係でありますから、そこをしっかり築いていただきたいと思います。
地味な話なんですけれども、入札契約制度改革というのは地味な話の積み重ねが大事なんでありまして、我々も入札・契約制度改革PT、もう足かけ五年やっていますが、これからも提言をしてまいりますので、受けとめをいただいて、制度の改革に力を尽くしていただきたいと思います。
次に、防災対策について伺います。
首都直下地震の切迫性が指摘される中、本定例会では、さまざまな場面で防災対策全般にわたり、ハード、ソフト両面から多くの議論がなされてきました。都は、高度防災都市づくりを推進しておりますが、いつ起こるかわからない地震は、ハード整備完了を待ってくれるわけではありません。だとすれば、ソフト対策は、相当なスピード感を持って進めていく必要があると考えております。
ソフト対策の中で、まだ十分に議論がなされていないのが情報通信であります。昨年、携帯電話が非常につながりにくかったことを我々は経験いたしました。そのため、最近では、ツイッターやSNSなどの活用を進めようとしております。
しかし、最近のスマートフォンは通信時のデータ量が非常に多く、その普及にインフラ整備が追いつかない状況でありまして、発災時に果たして本当に有効なのか、こういった危惧もあるところでございます。通信事業者に、しっかりとした対策を強く求めていかなければなりません。
発災時には、行政機関のみならず、各種の業界団体との連絡協力のもと、さまざまな災害対応が行われることから、こうした企業や団体との連絡手段を確保することも大切なことだと考えます。
行政機関相互の連絡については、防災行政無線を活用するのが基本となっておりますが、幅広い業界団体との連絡をどのように確保していくのか、お尋ねをさせていただきます。
○笠井総務局長 発災時の救援物資の調達や輸送、道路上の障害物の除去など、さまざまな応急対応を円滑に行うためには、関係する業界団体や事業者との連携協力が不可欠でございます。
このため、こうした団体等との連絡に当たりましては、東日本大震災での教訓を踏まえ、通信回線の断絶などの影響を受けない、より確実な連絡手段を確保してまいります。
具体的には、固定電話などによる従来の連絡手段に加え、新たに携帯型無線機を来年度各団体に配備することで、発災時に確実に連絡がとれるよう体制を整備してまいります。
また、行政機関やライフライン事業者間の連絡につきましても、無線通信容量を増強し、より多くの被災映像を通信可能とするなど、発災時の通信機能の向上を図ってまいります。
○宇田川委員 通信問題は、まだまだ解決したわけではございません。先ほども申し上げましたが、いろんな形で、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
現行の地域防災計画は、都や関係機関が取り組む内容を事項別に詳細に記述をしておりまして、発災時に防災担当者が見るマニュアルとしての側面が強い感じがいたします。もちろん、こうした機能は重要なんですが、これに加えて、東京が抱える課題、例えば木密地域の改善にどう取り組むのか、ゼロメートル地帯における避難経路をいかに確保していくのか。ほかにも、物資の確保やライフラインの維持など、課題別に整理をし、対応策を都民にしっかりと明示することが必要だと思います。
都は、地域防災計画の修正に当たり、東京の課題と対策をわかりやすく示していくべきと考えますが、見解を伺います。
○笠井総務局長 地域防災計画の修正に当たりましては、東日本大震災の教訓を踏まえつつ、都の防災対策の課題や対応策について取りまとめた東京都防災対応指針の内容を、より具体的に反映していくことが重要でございます。
このため、新たな被害想定に基づき、現状などを分析した上で、各施策の到達目標を示してまいります。
加えて、木造住宅密集地域における対策といたしまして、不燃化の促進や発災時の初期消火の確保、海抜ゼロメートル地帯における対策といたしまして、水門、防潮堤などの整備や、万が一、浸水が生じた際の避難誘導など、課題ごとに、予防から応急復旧に至る各段階での対策をわかりやすく示してまいります。
こうした取り組みにより、東京の防災力の高度化に向けた道筋を明らかにしてまいります。
○宇田川委員 我々都議会自民党は、昨年秋に防災対策強化に向けての提言を取りまとめ、都に緊急要望として申し入れを行いました。この春、新たな被害想定が発表されるわけですが、これを受けて、我々も、しっかりと検討を重ねさせていただいて、この秋に示される地域防災計画に反映させるべく、新たな提言をしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
次に、建築物の耐震化についてお伺いをいたします。
緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましては、知事のリーダーシップにより、耐震診断を義務づける条例を制定し、現在、強力に推進しているところであります。
しかし、都民の生命と財産を守るためには、木造住宅やマンション、オフィスビルなど、すべての民間建築物の耐震化を進めなければなりません。都はこのたび、耐震改修促進計画を改定するとのことでありますが、民間建築物の耐震化をどのように進めていくのか、考え方をお示しください。
○飯尾都市整備局長 耐震改修促進計画につきましては、耐震化の進捗状況や東日本大震災の教訓を踏まえまして、今月中に改定をいたしまして、耐震化をさらに加速させてまいります。
具体的には、防災上の優先度を考慮し、緊急輸送道路沿道建築物や災害拠点病院などについて、集中的かつ重点的に耐震化を進めてまいります。
また、大規模な百貨店、ホテル等につきましては、ほぼ完了しておりますことから、残りの建築物について、一つ一つ丁寧に個別の事情も聞きながら、耐震化を進めてまいります。
その他の民間建築物につきましても、耐震マーク表示制度等を活用いたしまして、都民の耐震化への意識や機運を高めるとともに、関係団体とも連携いたしまして、技術者の紹介や改修工法に関する情報提供などによりまして、所有者の主体的な取り組みを促し、耐震化を推進してまいります。
○宇田川委員 次に、住宅マスタープラン素案に示されたLCP住宅についてお尋ねをさせていただきます。
都は中高層マンション、とりわけ高層マンションにおいて、震災により停電となっても、給水とエレベーターの運転を続けることにより、最低限の生活を継続可能なLCP住宅を普及させるとのことであります。
こうした住宅の普及促進には、建設や管理、不動産流通といったさまざまな業者の協力が不可欠であり、制度の周知を徹底するとともに、都民や事業者が取り組みやすい環境整備が必要なんだと考えます。都はどのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。
○飯尾都市整備局長 都は、災害時にも生活を続けることができる住宅の普及促進のため、こうした住宅の登録、閲覧制度を設けるとともに、マンションの建設、管理、流通にかかわる事業者、所有者、居住者などを対象といたしました説明会を開催いたしまして、LCP住宅の意義や登録の基準等を説明してまいります。
あわせまして、新規のマンション開発や既存の公社住宅等においてモデルプロジェクトを実施いたしまして、事業者や都民に対しまして、その実施例や契約条件、仕様書などを公表してまいります。
これらの取り組みを通じまして、事業者との協力関係を構築しながら普及促進に努めてまいります。
○宇田川委員 続きまして、防災公園の整備について伺います。
首都直下型などの大地震の発生予測が報道される中、地域住民にとって都立公園が防災上果たす役割は重要であります。これまで都立公園は、防災機能の充実に向けてどのような整備を進めてきたのでしょうか。
また、避難してきた人たちへは、適切な情報提供などが大変重要だと考えます。情報伝達の機能強化など必要だと思いますが、今後、都はどのように取り組んでいかれるのか伺います。
○村尾東京都技監 建設局が所管する都立公園八十公園のうち、防災活動拠点や避難場所などに位置づけられている六十公園におきまして、防災トイレやソーラー式公園灯の設置、主要園路の拡幅など、防災公園としての整備を進めてきております。引き続き着実に防災機能の充実のための整備を進め、文化の森再生事業に合わせてこれら整備を行っている上野恩賜公園を除き、平成二十五年度にはすべての公園で防災施設の整備を完了いたします。
今後、震災における停電時でも災害情報の迅速な収集を図り、その情報を避難してきた人たちに適切に伝えるため、公園管理所などの主要施設のバックアップ電源を確保するとともに、無線装置の設置など通信設備を強化し、防災機能のレベルアップを積極的に進めてまいります。
○宇田川委員 防災公園の中でも、救出救助の活動拠点となる公園におきましては、復旧活動や都民生活を支える役割を担っていくことも必要だと考えます。「二〇二〇年の東京」計画には、防災公園に非常用発電設備の設置を進め、災害時の防災活動拠点としての機能を強化するとされていますが、その取り組みについてお伺いをいたします。
○村尾東京都技監 大規模救出救助活動拠点となる防災公園では、非常用発電設備を設置し、震災後の停電や計画停電時に応急復旧活動の電源とするとともに、公園隣接地の交通物流などの生活関連施設にも電力を供給いたします。そのため「二〇二〇年の東京」計画に位置づけられている防災公園における非常用発電設備のリーディングプロジェクトとして、舎人公園におきまして、平成二十四年度に供給先や必要とされる電力量などを検証し、具体化を図ってまいります。今後、都立公園における防災機能の強化に努め、高度防災都市の構築に向け全力で取り組んでまいります。
○宇田川委員 都立公園の防災機能の強化充実というのは、都民の命に直結する取り組みでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
先ほど、私の地元の都立篠崎公園の高台化が発表されました。これもまさに命に直結する取り組みでありますから、ぜひ進めていただくように要望させていただきます。
ここで、安全・安心確保の観点から、地元江戸川区のことについて二点ほどお伺いをさせていただきます。
先日、公明党の上野議員から、江戸川区の危機について非常にわかりやすい問題提起があったところであります。私は、あのときのお話にあった荒川、中川の左岸からわずか四百メートルのところに住んでおります。左岸堤防の上に上がってみると、川の水面は地面のはるか上にあることは見てすぐわかる状況でありまして、背筋が凍る思いであります。
私も江戸川区役所前にある現在の荒川の水位という電光掲示板の写真を知事にお示しさせていただいたことがありますが、何度かこの議論を重ねてまいりました。津波や上流部決壊があり、万々が一のことがあった場合には、住民の命だけはしっかりと守っていくことが、我々政治が担うべき最低限の責務だと考えます。
区部東部低地帯に住まう住民の命を必ず守っていくんだと、こういった知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○石原知事 私も海抜ゼロメートル地帯、一度視察をしたことがありますが、これは本当に視察といいますか、行き過ぎただけで一べつの域を出ませんでしたけれども、それでも非常に危ういものを生理的に感じました。
水をいかにおさめるかということは、本当にこれは政の根幹でありまして、特に日本のような地勢学的な条件の国では、これはもう本当に非常にプライオリティーの高い政治の命題だと思います。
私も、議員時代ですから何十年前になりますか、日本に初めてやってきた非常に高名なイギリスの地理学者に会いまして、彼は、どこでしょうか、松本でしょうか、割と高地で行われた世界学会に来て、東京に戻ってきて、初めて日本の印象を語っていましたけれども、とにかく、自分もバスで現地まで行ったが、知らないうちに着いたところがかなり高地だということに気がついたと。途中、急峻な谷をいろんな橋がかかっていて、見事な日本の土木技術--道路が見事につくられていて、そんなに高い山に来たという実感がなかったけれども、おりるときに初めてそれを再認識をしたと。
そういうことで、日本にとって、こういう急峻で山が狭い、しかも可住面積が非常に少ない、それが限られたところに密集して、イギリスに比べると、イギリスの国土は日本の国土よりもはるかに狭いんですけれども、可住面積という、前にも申しましたが、傾斜十二度以降の可住面積は、イギリスは日本の八倍あります。フランスは日本の二十三倍、ドイツは十五倍ですが、そういうヨーロッパに比べて、この国がいかに、要するに地勢学的に水に関して危険な国かということを自分は痛感したといっておりました。
昨今の国政の状況は、スーパー堤防に関して、これをスーパーむだとするような、猿芝居に似た事業仕分けですか、こんなものをやって、あそこに住んでいる人たちを、半ば見捨てるようなことを平気で政府がいうという、恐ろしい国になりましたけれども、いずれにしろ、私たちは一たん緩急のときに、日本の持っている地勢学的条件が、いかに他国に比べて劣悪で、水に関して多くの危険をはらんでいるかということを、事あるごとに再認識して、できる限りの手だてを講じて犠牲を防ぐということが、私は行政のかなり優先度の高い目的だと思っております。
○宇田川委員 ありがとうございました。
スーパー堤防のお話もありましたが、やっぱり堤防をしっかりつくるとか、つくるべきところにダムをつくると。あれだけ水の脅威を目の当たりにしながら、それは要らないんだという主張がなぜできるのか、私にはよくわかりません。
次に、区内の放射線量について伺います。
区部東部は都内では、今まで放射線量が高い地域だといろんなところでいわれてまいりました。区民からの要望が非常に高かったために、私は都に強く申し入れを行い、都立篠崎公園にモニタリングポストを設置していただき、区民の安心確保に力を注いできたところです。
それだけに、先日の共産党の発言は許せるものではありません。正しい方法によらない測定結果をもってして、さも葛飾区や江戸川区は汚染されているような誤解を与える無責任な発言には猛省を求めるものであります。こうした根拠のない誹謗中傷を、都は責任ある立場で払拭をしていただきたい。地域住民の安心のために間違いのない見解をお聞かせください。
○大野環境局長 面的な状況の把握につきましては、平均的な空間放射線量を把握するため、国のガイドラインにおきましては、くぼみ、花壇、草地、建物の近くなどの地点は避けることとされております。委員がご指摘になった測定調査は、そうした地点を測定しておりまして、面的な状況の調査としてはふさわしくございません。
区部東部につきまして面的な状況を見ますと、国の航空機モニタリング調査や都区の測定結果から、空間線量は高い水準にはなく、汚染状況重点調査地域に指定された地域は一つもございません。
また、ご質問にありました江戸川区の都立篠崎公園に設置されましたモニタリングポストのデータを見ますと、汚染状況重点調査地域の指定要件である毎時〇・二三マイクロシーベルトを大きく下回っていることはもちろんでございますが、稼働した昨年十二月一日の毎時〇・一四マイクロシーベルトから、今月二十五日、昨日でございますが、毎時〇・一二マイクロシーベルトへと減少しております。
一方、局所的な状況につきましても、既に都が区部東部の江戸川区、葛飾区、足立区の三区を対象に、国のガイドラインに基づき、放射性物質がたまりやすいとしているポイントを測定した結果、すべての地点でこのガイドラインの目安を下回っております。したがいまして、これらの地域におきましても、特段の対応が必要な状況にはございません。
○宇田川委員 ありがとうございます。よくわかりました。我々も安心して住まうことができます。
次に、被災地支援について伺います。
東日本大震災は、我が国の政治、経済、社会にはかり知れない影響を及ぼし、被災地の復旧復興はもとより、首都東京、そして今後の日本の防災対策のありようを大きく問うものとなりました。
我が党は、発災直後から都に対して、被災地支援を迅速かつ的確に実施するよう要望してまいりました。こうした要望を踏まえ、都は、発災直後から現地事務所を設置し、被災地の状況変化に応じたさまざまな取り組みを進めてきたことは、大いに評価をしているところでございます。
一方、被災地の復興は長期化の様相を呈しており、各地で人材不足など、復興を阻む課題が次々と生じていることもまた事実であります。今、多くの被災自治体が期待している支援の一つは、まちの復旧復興を支える技術系職員の派遣であります。これまで都は、被災三県に対し、自治体としては突出した規模の派遣をしており、技術系職員のさらなる派遣は厳しい状況だと認識をしております。
しかし、関係団体や都、区市町村の退職した職員などの協力を得て、人的支援をしていくことは可能なのではないでしょうか。こうした細やかな支援を、今後も都が総力を挙げて取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
○笠井総務局長 都はこれまで、延べ三万人を超える職員を派遣するとともに、被災地応援ツアーや商談会など、全局が連携して被災地支援に取り組んでまいりました。支援も二年目を迎え、お話のように、被災地では高台移転に伴う区画整理など、まちの復旧復興を支える技術職員の不足が大きな課題となっております。このため、道路、港湾やまちづくりの専門技術を有する職員の派遣に加え、区画整理事業に精通した財団法人東京都新都市建設公社などの監理団体の活用を図ってまいります。
あわせて、都及び区市町村の退職者など、被災地が必要とする人材の活用策についても検討をいたしてまいります。
都は今後とも、現地事務所を通じ被災地の状況を的確に把握するとともに、官民連携して首都東京の総合力を生かし、被災地の本格復興を全力で支援してまいります。
○宇田川委員 被災県の皆さんは、東京都に大いなる感謝の気持ちをあらわしていただいております。これは東京都だけではなくて、区市町村であるとか、各種団体とか、そして都民の皆さんが総合的支援協力をしたからこそであります。今後もお話のとおり、全力を尽くしていただくようお願いをいたします。
未曾有の大震災から一年が過ぎた今、被災地復興にとって最大の障害は瓦れきであります。知事は、被災地復興のかぎである災害廃棄物広域処理の推進に向けて、総理みずからがリーダーシップを発揮し、覚悟を決めて号令を発すべきとたびたび発言されております。私も全くそのとおりだと思います。ようやく国は、広域処理を行う自治体への支援を持ち出してまいりましたが、遅きに失した感は否めません。
都は国に先んじ、昨年十一月から受け入れを積極的に進めてきております。他の範となるこうした都の取り組みは、全国の自治体の受け入れに確実につながると考えます。今後、都自身の取り組みも一段と加速すべきと考えますが、見解を伺います。
○大野環境局長 昨年十一月から民間の処理施設で受け入れを始めました岩手県宮古市の災害廃棄物は、四月以降は、一カ月当たりの受け入れ量を三千トンから四千トンにふやしまして受け入れを続けてまいります。
また、今月二日から東京二十三区清掃一部事務組合の中央清掃工場で受け入れが始まりました、宮城県女川町からの災害廃棄物は、四月以降は一月当たり約千五百トンから五千トン程度に増強してまいります。さらにこれに加えまして、多摩地域の市町村でも、四月からの受け入れ開始に向けて住民説明会が進んでおります。
都は、引き続き国や岩手、宮城両県、被災市町村との協議を進めまして、実際に処理を担う都内の区市町村や民間処理業者とも連携して、被災地の復興を全力で支援してまいります。
○宇田川委員 一月にMXテレビで「復興への架け橋」という番組がありました。都の災害廃棄物受け入れを紹介したもので、宮古市での災害廃棄物の選別や放射能測定の様子を映し出していました。
この中で、廃棄物を手作業で分別している地元作業員の方の言葉が忘れられません。これらは、東京に行ってしまえばただの瓦れきでしょう。しかし、ここで暮らしていた人たちにとっては、津波で失ったけれども、もともとは大切な財産だった、自分たちが生活したあかしなんだ、こういうお話でありました。
災害廃棄物といわれるものの中には、さまざまな思い出の品や遺品など、被災した方々にとってはかけがえのないものも含まれているんです。これを放射能で汚れた瓦れきと呼ぶのは余りにも失礼なのではないか、私はそう思います。
こうした被災地の人々の思いをかみしめ、国民全体が一つになって災害廃棄物を積極的に受け入れていくべきと考えます。改めて、全国に向けた知事のメッセージをお願いできればと思います。
○石原知事 思い出の品々がまじった瓦れきといえども、やはり瓦れきでありまして、これを立て直しのために有用に使うことはほとんど不可能なんでしょう。ですから、他の自治体が引き受けて焼却して、とにかく被災地を戻して、現地の皆さんの生活を立て直すためのよすがにするというのは、これは同じ同胞の日本人として当たり前のことでありまして、例えば、まちでだれかけがして倒れていた、それを駆け寄って起こさない人間というのは、私はいないと思いますね。
秋葉原で、あの通り魔が無差別殺人をやったときに、結局自分も亡くなった運転手は、刺されている人を助けようと思って走り寄ってやっているうちに後ろから刺された。それが私は人間の本来の姿だと思います。とにかくこの段になって、同胞が瓦れきに埋もれて呻吟しているのに、しかも国が保証して、三段階に分けて放射能はないということを、要するに明かした上で運び込んでいる瓦れきを、なお何が心配か知らぬけれども、反対する手合いというのは、日本人じゃないと思うし、それを説得できない政治の主体者といいましょうか、地域のリーダーというのは、これは政治家に値しないんじゃないかと私は思わざるを得ない。
とにかく、これは一種の戦でありますから、しかし人が死ぬわけじゃないわけで、それを全国にとにかく責任分担して、現地の人たちを一刻も早く、とにかく再生のよすがをつけて救おうというときに、これ、総理大臣がもうちょっとしっかりする、もっと大きな号令を出すべきですな。最高司令官なんですからね。
かつてあの日露の戦いのときに、乃木さんという、余り戦争がうまくなかった総司令官が、総司令官として突撃したことで、二百三高地で死ななくてもいい人間が随分死にました。あれもやっぱり戦の一つでありましょうが、これは人の生死にかかわりない。嫌か、嫌じゃないか、そんな些細な問題で、傷ついている同胞に手を差し伸べない、そういう地方の人間がいるとしたら、やっぱりそれをしかりつけて、自治体が瓦れきの処理の責任を負うのが、私は本当の政治の姿だと思います。それを促進するために、もうちょっと早く、要するに総理大臣が大きな声ではっきりした号令を出すべきですよ、これは。
○宇田川委員 ありがとうございました。
昨年の東日本大震災において、最も厳しい作業に従事し、最も頼りになったのは、ほかならぬ自衛隊であります。私も被災地に参りましたが、自衛隊の皆さんありがとうという横断幕が各地各所に張られているのを見ました。
福島県北部の新地町に寄ったところ、住民と自衛官が一緒に相撲を観戦するところに通りかかったのですが、一体感を持った復旧に大きな力を感じたところであります。
ここに、「日本に自衛隊がいてよかった」という本を持ってまいりました。桜林さんという女性ジャーナリストが書いたものであります。
ここには、まさに現場にいる自衛官にしかわからない苦労や苦悩が描かれております。みずからが被災し、家族の生存すら確認できない状況にもかかわらず、悲しみを押し殺して粛々と任務を遂行している姿。生きては帰れない覚悟で原発事故現場にみずから志願して乗り込んでいく隊員たち。日本に生まれ、自衛官の娘でよかった、お父さんを誇りに思います--娘さんからもらったメールを恥ずかしそうに語ったベテラン自衛官の笑顔。自衛官が感謝されるのは国民が不幸なときだ、決しておごるなという指揮官の言葉。お子さんの遺体を収納袋のまま抱き締め、よかったね、自衛隊さんが助けてくれたよ、生まれ変わったら自衛隊に入れてもらおうねと、泣きながらつぶやいたお母さん。
瓦れき処理や行方不明者の捜索、炊き出し、入浴支援などの現場だけではなく、事務官がそれを支え、それらが一つになって、被災地、被災者の心に響いたことなんだと思います。
だからこそ、世論調査で九七%を超える人たちが評価したのですが、一方で、自衛隊の存在目的を問われ、何と八二%の方が災害派遣と答えたということであります。
しかし、本来の自衛隊の存在意義は、いうまでもなく国防であります。予算が削られ、人を減らされ、駐屯地を統合していこうという現状、国民の多くは、平和な日常だから気づかないかもしれませんが、何も起きないために存在している集団が自衛隊であると、私はそう思っております。
日本のために、国民のために、命を落とすかもしれないようなぎりぎりの極限状態で日ごろ訓練を続けている自衛隊、だからこそ、このたびの活躍があったのであり、そのことを我々は決して忘れてはならないのです。
この国の未来を憂い、国防の重要性についてしばしば言及されてきた知事に、自衛隊の存在意義と今後のあり方について、見解をお尋ねさせていただきます。
○石原知事 質問者の宇田川さんを含めて、ここにいらっしゃる議員の方々、果たして日本の現行憲法を正確に読まれているかどうかわかりませんが、あの憲法と戦後の日教組の教育というものは、国を守るべく制定された日本の軍隊を、自衛隊というわけのわからぬ名前に閉じ込めて今日まで来た。世界が狭小になって、時間的、空間的に狭くなって、つまり日本以外のほかの都市で起こった出来事が、非常に急速に大きな形で日本にも波及して影響してくる、そういう世界の構造になったときに、なお我々が目的を一にする国々と協力して、外地で起こっている紛争というものを制止する、そのために、正式な軍隊というのを、いまだに要するに派遣することはできないというのが現況であります。
これは明らかに政府見解って--これ自民党ですよ、いったのは。とにかく、我が国は主権国家である以上、国際法上、当然に集団自衛権を有しているが、これを行使して我が国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することは、憲法第九条のもとで許容される実力の行使の範囲を超えるものであり、許されないと考える、こんな見解を自民党はずっとやってきたんだ。いまだにそうなの。
あのソマリアに、何が起こるかわからないところに派遣されている自衛官は、ライフル一丁しか持っていけない。何が起こるかわからない。こんな人道を無視した兵隊さんの扱い方というのは、私はあり得ないと思いますね。
皆さん、よく読んでいただきたい。憲法九章の九十六条ですけれども、これは改正するときにはどういう手続が要るか書いてあるけれども、どう考えても、占領軍が占領下に一方的につくった国家の基本法というものを、独立を回復した後も続けているばかな国っていうのは、世界では歴史の中で日本しかない。こんなものを直さなかったらどうにもならぬですよ。だから……(発言する者あり)何か共産党、問題あるのか。これは憲法を捨てたり破棄したらいい。政府がしっかりしていれば、政府の権限でこの憲法は認めません、歴史的に認めませんということで、すぐ憲法をつくったらいいじゃないですか。今の日本の憲法なんていうのは、進駐軍が三日か四日でつくった片言の日本語ですよ、こんなもの。
私は、これをきちっと直すことで、初めて自衛隊は胸を張って災害出動にも出動できるし、集団自衛権で外国の暴徒なり暴力行為を抑制するために、先生も協働することができる、そういう国に一刻も早く直さないと、私は他国から軽べつされるままに、この国は沈むと思います。
○宇田川委員 ありがとうございました。
我々都議会自民党としては、しっかり知事の議論、お話を踏まえて検討させていただいて、国に強く物を申していきたいと思います。
次に、港湾事業について何点か質問をさせていただきます。
私は、昨年の第四回定例会において、東京港周辺の交通混雑緩和について質問をいたしました。その答弁にあったのが、早朝ゲートオープンの取り組みであります。
これは、混雑の緩和に一定の効果を認め、業界からも評価を得ていることから、今後とも取り組みを継続すると聞いております。全国初となる画期的な取り組みであり、評価はするところでありますが、まだまだ混雑解消に至るにはほど遠い現状であり、さらに多面的に対策を講じていくことが求められております。
東京港は、横浜港、川崎港と連携をして、国際競争力強化に向けた取り組みを進めているところではありますが、知恵を絞っていけば、三港連携による混雑緩和の方法もあるのではないかと考えます。見解をお尋ねいたします。
○中井港湾局長 ご指摘のとおり、東京港における道路混雑の解消には、あらゆる手段を駆使していく必要があり、そうした意味で、三港連携も大いに活用していきたいと考えております。
三港では年間四十万TEUのコンテナの移動が発生しておりますが、そのほとんどが陸上輸送で行われているため、それが東京港における渋滞の一つの原因ともなっております。
そこで、三港間のコンテナ海上輸送の拡大を図っていくため、新年度からコンテナバージに対する利用促進の補助制度を始めるとともに、東京港内にコンテナバージの係留地を確保してまいります。
○宇田川委員 お話のような新たな取り組みというのは、大いに進めていただきたいと思っております。現状の道路混雑を解消していくためには、先進的な、ある意味、奇抜ともいえるようなアイデアを出していくことが必要なんだと思います。具体的な成果につなげられるよう、ぜひさまざまな取り組みを検討していただきたいと思っております。
さて、先月十二日に東京ゲートブリッジが開通をいたしました。東京臨海部における新たな観光スポットとして注目を浴びているところでありますが、東京港の物流の効率化に寄与することが本来の目的ということはいうまでもありません。
新たなルートができたことは、臨海部はもとより、広範囲の地域にさまざまな効果がもたらされていると思われます。
東京ゲートブリッジ開通後、東京港の物流にどのような影響があったのかお伺いをいたします。
○中井港湾局長 東京ゲートブリッジ開通前後の東京港内の道路においては、かなりの交通量の変化が生じております。
とりわけ、渋滞が激しかった青海縦貫線では、交通量が二割超の減少となっております。また、城南島から新木場までの所要時間が五割以上短縮した例もあり、都内のトラック事業者からのヒアリングでも、城東地区や千葉県方面への輸送において、一般道や首都高湾岸線からゲートブリッジへ利用を切りかえたという声が多く寄せられております。
こうしたことから、ゲートブリッジの開通は、東京港の物流効率化に大きな効果を上げていると考えております。
○宇田川委員 大きな効果があったという話なんですが、橋とか道路というのは、全部が完成して初めてスムーズなネットワークが完成できるわけで、中央環状もそうですし、外環道もみんなそういうことだと思います。
このゲートブリッジを渡って北上していきますと、湾岸側道にぶつかるんですが、そのT字路の交差点は、国の事業でありまして、立体交差化を予定されております。しかし、遅々として進みません。これが完成しないと、本来のゲートブリッジの意味が半減するといわざるを得ませんから、やっぱりこうした道路というのは、しっかりと国に物を申した中で、早期の完成を目指してやるべきだということを申し添えておきます。
私は、かねてから、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備を契機に、大井や青海などの既存ふ頭の抜本的な再編、機能強化を行い、処理能力を向上させるべきと繰り返し主張してまいりました。
一昨年、国際コンテナ戦略港湾として選択された京浜港には、これらの事業に必要な財源の集中的な投入を大いに期待しておりました。しかし、残念ながら、国のそうした動きは今のところありません。目玉だったはずのガントリークレーン整備、これに係る補助制度はいまだに創設されておりません。中央防波堤外側C3ターミナル整備に係る事業採択も見送り、こんなことでは、戦略港湾に指定された意義は全く見当たらないとしかいいようがありません。
加えて、国際コンテナ戦略港湾の指定以降、国際バルク戦略港湾として十港、日本海側拠点港湾として何と十九港が新たに選定をされており、当初高らかに掲げていた選択と集中、この理念は一体どこに行ってしまったんでしょうか。
都は、こうした状況を看過せず、知事を先頭に国に対して強く物を申していくべきだと思います。東京港全体の機能強化の切り札ともいえる中央防波堤外側コンテナターミナル整備の進捗に支障があってはならないと考えております。
都として、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
○中井港湾局長 ご指摘のとおり、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備を行わなければ、東京港のふ頭の再編、機能強化が進まない状況にございます。
このため、現在進行中のC1、C2ターミナルの整備を着実に進めていくとともに、今回、国の事業化が見送られたC3ターミナルについては、都独自で、事業工程の検討や法令手続の整理など、先行的に実施可能な調査を進め、事業採択後速やかに整備ができるよう取り組んでまいります。
また、国に対して引き続きC3ターミナルの早期事業化等を強く求めていくとともに、国際コンテナ戦略港湾に選定された他の港とも連携して、国が掲げてきた選択と集中の理念を一刻も早く実現するよう、強力に働きかけてまいります。
○宇田川委員 今も局長から選択と集中という言葉が入っていますが、何も行われてないという事実をしっかり認識をしていただいて、一日も早く再編、機能強化が実現するように国に強く働きかけていかなきゃいけないんだと思っております。私から強く要望をさせていただきます。
次に、東京電力の値上げ問題についてお伺いをいたします。
都議会自由民主党は、石原知事就任前である平成十年より、エネルギー問題等調査特別協議会を立ち上げ、エネルギー供給のあり方や環境問題をも含むエネルギーの効率的な利用方法、そして原子力発電所の立地のことも十分に勘案した議論を重ねてまいりました。
電力問題というのは、必要な電源を技術的に確保すれば事足りるということではありません。これまでお世話になってきた福島県や新潟県、そうした人たちのことも考えながら、総合的な電力供給のあり方についてしっかりとした政策論議を展開する必要があると考えております。
今回の値上げについても、その背景にある大都市における電力供給のあり方に関する哲学ともいえるものがなければ、方向性を誤ってしまうと考えます。東京都、そして猪瀬副知事にも、そうした哲学を持って臨んでもらいたいと思います。
一方で、喫緊の課題は、値上げが差し迫る状況に対し責任ある対応をすることです。
都議会自民党は、都民生活や中小企業を支える観点から、負担増加がどのようなものになるかを注視しており、今般の値上げについても、既にさまざまな行動を起こしております。各業界団体からもさまざまな値上げ反対の意見も出ております。病院などの福祉施設も、大変な大きな問題だと危惧の声が上がっているところでございます。
二月十五日には東電に対して緊急要望を行い、その後要望に対する回答と説明がありましたが、我々の求めたコスト縮減の努力が全く不十分であり、中小企業に対する配慮についても、行き届いたものとは到底認めがたいものでありました。
また、一律二・六円の値上げは、夜間電力の著しい値上がりにつながり、ピークカットの努力に水を差す内容ともなっております。
三月五日には、中小企業向けの電力料金の割引の仕組みが示されましたが、これも十分だとは考えておりません。
今回のような割引メニューも、猪瀬副知事みずから提案したコスト縮減により実現してきたといった自負もあるんでしょう。しかし、東電の努力はやっぱり不十分だといわざるを得ない状況であります。
都は、東電に対し経営合理化をどのような考え方で求めてきたのか、猪瀬副知事にお伺いをさせていただきます。
○猪瀬副知事 東電の努力は不十分であるという宇田川委員のご指摘のとおりですね。したがって、都議会と一体となってさらにやっていかなければ、東電はこのまま経営努力を続けるとは思えないところがある。
ということで、東京都としては、まずは、この首都圏の産業、生活を守るための行政主体として、それから二番目、八十三万キロワットのユーザーとして、三番目は、これは二・七%の株主、三位の株主として、この三つの立場を重ね合わせて一緒にやっていきたいと思っています。
これから長年、時間がかかるわけですから、まずは、東電の資産売却というものがありますが、問題は、値上げ抑制のためには、資産売却だけじゃなくて年間の運営コストを、経常経費をどれだけ切り込んでいくかということが一番ポイントになると思うんです。
このために、東電から、人件費の削減とか資材調達コストの見直し、子会社への天下りの状況等、詳細な資料を要求し、説明を求め、独自の調査をしました。
例えば、東電は、有価証券報告書を我々見ることできるんですが、子会社というのは四十社だけ記載がある。その他百二十八とただ書いてある。その他百二十八何だということで、そこの四十とその他百二十八合わせると百六十八あるわけですから、それ全部、天下り出させました、幾らもらっているのかということを。百七十人ぐらい天下りしていますね。
それから、さらに関係会社というのがある。これが七十社ぐらい。これは二〇%から五〇%の出資、その関係会社も全部出させました。
そういうことを見ながら、こういう子会社、関連会社との契約の八五%が随意契約というなれ合いの状況にあることもわかってくるので、東電の高コスト体質というものをまずあぶり出して、さらに、この随契の見直しによって大体年間五百億円のコスト削減ができると。これを枝野大臣に示して、東電と原賠機構に対して、これをやってくれと指示しました、枝野大臣がね。
年間五百億円ということは、十年で五千億円ですから、現時点で十年間の経費削減額は二兆六千億円というふうに見積もられているわけですが、さらにこの五千億円をそこに加えていくわけですね。三兆超えます。それでもいいと思っていません。
これから、東電のグループ内のもたれ合いの現状にメスを入れる構造改革を引き続き粘り強くやっていきたいということであります。
○宇田川委員 最後に粘り強く取り組むというお話がありましたが、マラソンを完走した副知事ですから、その粘りで頑張っていただきたいと思います。
今後、規制部門の値上げも予想されます。家庭だけではなく、中小企業の九割がこの対象に含まれ、非常に大きな影響が出てまいります。この値上げでは、総括原価自体を見直して値上げ幅を圧縮するとされております。
その考え方を受け、我が党は、この原価の見直しを四月から自由化部門にも遡及させるべきであることを求めております。
近々、東電の総合特別事業計画が発表されると聞いておりますが、我々としても、原価の見直しと計画そのものを厳しく検証し、引き続き意見を申し述べてまいります。
都は、総合特別事業計画を受け、今後、どのような姿勢や考え方で臨まれるのかお伺いをいたします。
○猪瀬副知事 今、総合特別事業計画が、三月末というのが四月の初旬から中旬にずれ込んでるんですね、これは全くおかしな話なんですが。これから総合特別事業計画、何が入るかというと、経営体制の見直しとか経営効率化に向けた取り組み、財政基盤の強化など、そういうふうに予想されるんですが、電力の安定供給や電力改革の行方にも大きな影響を与えると思われます。一般家庭や中小企業の大部分が含まれる規制料金の値上げが織り込まれているということも予想されます。
しかし、東電は、最近の料金値上げに関する説明不足を見ても、相変わらずガバナンスがないんです。
日本の原発技術というのは、例えば三菱重工とか東芝とか日立とか、世界最高のタービンを持っているんですね。そういう世界最高の技術がありながら、原発を管理する電力会社は、独占企業で旧態依然としていて、まるでガバナンスがなくて危機感がない。
もし仮に、原発事故がもう一度起これば、日本は完全に世界から見捨てられます。ガバナンスがないということは一番不安です。この九電力体制で、本当に二度と原発事故を起こさないということがあるのかどうかということで、やっぱり競争を導入しないと締まってこないと思うんです。
これからが闘いの正念場でありまして、東電の総合特別事業計画の内容については、ごまかしがないか一つ一つ徹底的に精査して、仮に不適切や不合理なものがあれば、厳しく執拗に追及するスタンスで臨んでいきます。
また、本来、電気料金の原価算定根拠の見直しは、料金値上げよりも先に決めるものであったんですが、その見直しの成果は、宇田川委員ご指摘のとおり、産業、業務用料金にも、四月にさかのぼって精算換金するような形にするのが正しいと思いますよ、これは。
東電の料金値上げについては、東京都としては、現在の契約期間内については値上げを容認しないという方針で臨んでいます。
東電の地域独占に一石を投じるために、PPSという新電力との部分供給というやり方があるんですが、それもこれから考えていきたいし、それからとにかく電気事業者間の競争を促す、そういう仕組み、取り組みをちゃんとやっていかないと、ガバナンスができていかないと思うんです。
今後は、第三位の株主ですから、当然東電に対して必要な情報をさらに開示させて、石原知事と相談の上、株主総会の場できちんと東京都の意見を反映させていこうと、こう思っています。
以上であります。
○宇田川委員 ありがとうございました。
冒頭でも申し上げたんですが、我々は、長年研究会を立ち上げ、それを通じて、電力値上げ問題だけにとどまることなく、幅広くエネルギー供給のあり方を検討してまいりました。だからこそ、今後も事態を注視しながら、いうべきことは我々もしっかり発言をしてまいります。
エネルギー問題というのは、大都市の住民や企業だけではなく、その供給を担う地方の自治体など、ありとあらゆる主体に影響が及ぶことであります。それだけに、究極の国民的課題といってもいいのではないかと思っております。
都議会自由民主党は、地方の思いや意見をもしっかり受けとめ、今後も責任のある対応、着実な取り組みを行っていくことを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
次に、中小企業対策について何点か伺います。
東京の中小製造業は、円高や電力値上げ問題などにより、これまでになく厳しい経営環境に直面をしているところであります。ものづくりを基礎から支える中小企業が海外に生産現場を移したり、廃業することによって産業が空洞化するとの懸念は、いよいよ本格的なものとなってきた気がいたします。
我が党は、こうした危機感から、空洞化対策については再三にわたり質疑を行ってきたところなんですが、最終的には、企業みずからが国内に踏みとどまって、生産を続けるための力をつけることこそが最も大切なのだと思います。
都は、具体的にどのような効果的支援を行っていくのかお伺いさせていただきます。
○前田産業労働局長 中小企業がすぐれた技術力を生かして競争力を確保することは重要であります。
都は、新たな製品や技術の開発費用の負担軽減を図るとともに、東京の都市問題の解決に役立つ技術分野を示し、実用的な製品を生み出す取り組みを支援することで、中小企業の競争力の向上をサポートしてまいりました。
来年度には、高い競争力が期待できる技術を持つ中小企業に対し、資金を提供し、経営支援もあわせて行うベンチャーファンドを創設いたします。
また、中小企業の集積の確保を目指し開始する、ものづくり産業集積強化支援事業を活用し、中小企業による共同開発の下支えや生産現場への技術支援などを行う区市町村への助成を通じ、製造業の競争力を高めてまいります。
○宇田川委員 さて、今後は、環境、エネルギーとか、健康、福祉、こういった分野になりますが、大幅な市場拡大が見込まれる分野があります。これは雇用拡大も期待できると思っているところであります。
こうした企業の人材ニーズに的確にこたえて、若者の就業につなげていくことは、雇用対策はもとよりでありますが、都内産業の発展にも寄与するものがあると考えております。
都では、我が党の代表質問に対して、今後成長が見込まれる重点分野に特化して、企業と若者とのマッチングを行う事業を新規に展開する、こういうご答弁でありました。この事業をいかに効果的に展開されるのかを伺います。
○前田産業労働局長 都は来年度、重点産業分野就業支援プログラムを開始いたしますが、本事業の対象となる産業分野の人材ニーズは、例えば環境分野でも、製品開発や営業など多岐にわたり、その業界特有の知識やスキルも求められます。
このため、本事業では、業界ニーズ等を熟知した民間事業者からマッチングの手法等について提案を募り、効果的な手法が図れる受託者を選定いたします。
また、広く人材の発掘を図るため、二十代後半までの若者を対象とし、参加者の募集を複数回行うことといたしました。
さらに、業界ニーズに即した人材を企業に送り出すため、業界固有の専門知識や実習などを内容とする実践的な研修を実施いたします。
○宇田川委員 厳しい経営環境に直面する中小企業にとって、将来に向け的確なアドバイスをしてくれる専門家は非常に心強いことだと思います。
東京都では、経営力向上TOKYOプロジェクトを三年間事業化してきたわけですが、この年度で終わりを迎えることになります。きめ細やかな対応を行って、利用された企業からは、すばらしい評価を得てきたと私も思っております。
単に経営上の相談だけではなくて、販路拡大などに結びついたことに大いに感謝している、私も地元のこうした生の声を聞いてまいりました。こうした事業の成果を、将来の施策展開に生かしていくことは極めて重要だと考えます。
経営力向上TOKYOプロジェクトの成果と、来年度事業の進め方についてお答えをお願いいたします。
○前田産業労働局長 中小企業の経営力を強化するため、これまで実施した施策の成果を分析し、今後の相談事業や販路開拓のサポートなどの充実に反映させていくことは重要であります。
経営力向上TOKYOプロジェクトでは、三年間に延べ四千社の中小企業に専門家を派遣し、経営課題を明らかにし、その解決に役立つ販路開拓等の支援に結びつけてまいりました。これまでの成果や事業で得られたノウハウを取りまとめ、来年度はその内容をセミナーや冊子により幅広く伝えるフォローアップ事業を実施いたします。
また、目指せ中小企業経営力強化事業によりまして、販路開拓が必要な企業の展示会出展の支援を引き続き実施いたします。
○宇田川委員 先ほども申し上げましたが、このプロジェクト、本当にいい事業だと都民の皆さんに大いに評価を受けたものでありますから、今お話しのとおり、今後の事業展開に結びつけていただいて、これからも中小企業支援に努めていただければありがたいと思います。
続いて、商店街振興についてお伺いをいたします。
我々自由民主党は、これまで商店街の支援に力を注いでまいりました。イベントの開催であったり、アーケードの整備、こうしたことに加え、環境問題にも貢献するLED街路灯の導入など、着実なサポートを行ってきたところでございます。
しかしながら、東京都の支援事業を使おうにも、自己負担に苦慮するようなところは区内においても少なくはありません。気持ちとかやる気があっても、お金というか、力が伴ってこない、そうした商店街の再生に向け、地道な支援を行うことも私は必要だと考えます。
そもそも元気を出せという言葉の意味は、私はここにあったんだと思っていたんですがどうか、それは答弁されなくても結構でございますが、このような商店街にも配慮した振興策にも力を注いでいくべきだと考えますが、局長のご所見を伺います。
○前田産業労働局長 都はこれまで、新・元気を出せ商店街事業で、ソフトとハードの両面から商店街に対してさまざまな助成を行うなどのサポートを実施しているところでございます。
しかし、この新・元気を出せ商店街事業について、商店街の自己負担を賄えず、お話のように、やりたい気持ちはあっても実行できない商店街が存在していることも承知しております。
買い物を行う地域の住民の生活を支えるために、今後、これらの商店街への適切な支援について検討を行うことも必要と考えております。
今後とも、施策を効果的に展開して、商店街の活性化に取り組んでまいります。
○宇田川委員 お話がありましたとおり、やっぱり商店街が寂れてきてしまったのは大変悲しいところでありまして、そこを活性化、いま一度元気を出していただくということも、都がやるべき姿なんだと私は思いますし、自民党はそれを精いっぱい応援をしてまいりたいと思っております。
続いて、福祉保健の観点で何点かお聞きをさせていただきます。
初めに、保育施設について伺います。
現在、東京都は、少子化対策として、認可、認証など保育施設の充実のため、さまざまな取り組みを行っているところであります。
待機児童解消のための増員とともに大切なのは、子どもたちの安全・安心の確保であります。
昨年の大震災を教訓にした保育施設の防災対策や節電対策は、今年度だけの問題ではありません。来年度も引き続き実施すべきと考えますが、今年度の実績と来年度に向けた取り組みをお伺いいたします。
○杉村福祉保健局長 東日本大震災の発災を受けまして、都は、保育施設における水や非常食の購入、遮光シートの導入など、防災対策や節電対策に要する経費について、包括補助制度を活用し、区市町村を通じ支援を行ってまいりました。
今年度は、年度途中からの実施にもかかわらず、五十三の区市町村がこの制度を活用し取り組みを進めております。
本事業は、平成二十三年度の緊急対策として行ったものでございますが、大規模災害への備えをさらに強化し、子どもたちが安心・安全に過ごすことのできる環境の整備を図るため、来年度も引き続き支援を行いまして、保育施設における安全確保に向けた取り組みを一層充実させてまいります。
○宇田川委員 ご理解をいただいて前向きな答弁をいただいたと理解をさせていただきます。
児童たちの安全を確保していくためには、耐震化促進事業を次年度以降も継続するとともに、新たに都有地を活用するなどあらゆる資源や手法によって、耐震化促進に努めていくべきと考えます。ご所見を伺います。
○杉村福祉保健局長 都は、耐震化促進事業によりまして、保育施設の耐震診断や耐震改修に対して都独自の補助を行いますほか、施設の求めに応じてアドバイザーを派遣し、現場の状況に合わせた技術的助言や提案を行っております。
来年度からは、保育施設の一層の耐震化に向けまして、新たに建てかえなどに必要な仮設施設の整備費や民間所有地を代替地として借り上げる場合の賃借料に補助を行うこととしておりまして、お話の都有地を代替地として施設に貸し付けることも検討してまいります。
また、耐震診断、耐震改修の事業期間につきましても、それぞれ二年延長いたしまして、保育施設の耐震化を強力に進めてまいります。
○宇田川委員 子どもたちのためのことでありますから、ぜひ力を注いでいただきたいと思っております。
次に、児童養護についてお尋ねをさせていただきます。
虐待を受けた子どもたちの心の傷をいやし、安定した生活を送れるようにするためには、専門的なスキルを持った人材による手厚いケアが必要であります。そのためには、安定した施設運営とサービスの質の向上が不可欠だと考えます。
児童養護施設の運営費について、都はどのような支援を行っているのか、まずお伺いをいたします。
○杉村福祉保健局長 東京都は、児童養護施設の運営につきまして、民間社会福祉施設サービス推進費を初め、都独自のさまざまな補助制度を活用して支援を行っております。
サービス推進費では、都として望ましいサービス水準を確保するため、国基準を上回る職員配置などに係る経費を補助いたしますとともに、サービスの質の向上を図るため、児童の希望を踏まえた進学支援や退所児童への生活相談など、各施設の行う努力や実績に応じた補助を行っております。
また、虐待を受けた児童などへの専門的ケアを充実するため、精神科医と心理職員を配置いたします専門機能強化型児童養護施設に対しまして補助を行うほか、家庭的な雰囲気で児童を養育するグループホームの設置に当たりましても、開設準備経費や家賃等を都独自に支援いたしております。
○宇田川委員 今、局長のご答弁の中にあったサービス推進費が、施設の努力に応じた支援だとすれば、近時の状況変化に合わせて見直しをしていくべきだと考えますが、ご所見を伺います。
○杉村福祉保健局長 都は、平成十六年度にサービス推進費を施設の規模等により一律に補助する仕組みから、施設の創意工夫や努力が報われる制度へと再構築をいたしまして、利用者ニーズを踏まえたサービス提供に積極的に取り組む施設を支援してまいりました。
その後、約八年が経過をいたしましたが、虐待の影響等により対応が難しい児童や大学進学を希望する児童が増加するなど、児童養護施設に求められる取り組みも時代とともに変化をしてきております。
また、本年四月からは、措置費で支払われる人員配置基準も変わることとなっております。
こうしたことを踏まえまして、今後、各施設がより一層入所児童の状況に合わせた取り組みを行えますよう、サービス推進費の補助内容につきまして見直しを検討してまいります。
○宇田川委員 国は、平成二十四年度の政府予算案において、措置費で支払われる職員の配置基準を引き上げるという改善を図っておるようでございます。このことによって、サービス推進費による負担は軽減されることになります。この財源をいかに有効に活用するかが大事だと思います。施設におけるサービス水準の向上につながるよう、必要な対応を検討されることを強く要望させていただいて、次の質問に移ります。
次に、水道事業についてお伺いをさせていただきます。
都の水道局では、大規模浄水場の一斉更新を踏まえて、既に一昨年から、防災対策などを含めた総合的な構想の検討を進めてまいりました。さきの四定一般質問において、私から、渇水や気候変動などの自然の脅威に対しても、より安全度の高い水道に再構築すべきと指摘したところでございますが、現在、構想策定の最終段階に来ているとも聞いております。
構想は、策定するだけでは、まさに絵にかいたもちということになりますので、数々の施策を具体化して、都民サービスを向上させていくことこそ意義があると考えるところでございます。また、その過程を都民にわかりやすく示し、理解いただくことも大切です。
そこで、水道施設の再構築に向けた基本構想策定後の取り組みについて具体的な答弁をお願いしたいと思います。
○増子水道局長 基本構想は、長期的な観点から、あらゆるリスクに直面しても、水の供給を途絶えさせない新しい水道へと再構築していくための指針であり、間もなく策定いたします。
この構想に基づき、境浄水場の能力増強や、東村山浄水場の発電設備の拡充などの施策につきましては、直ちに取り組んでまいります。さらに、来年度策定予定の次期経営プランにおきましても、さまざまな施策を具現化してまいります。
また、構想の基本理念である新たな安全度をわかりやすく示すため、給水確保能力や電力の自立化などの指標等を設定いたします。
これらを推進することにより、効率的な経営に配慮しつつ、給水サービスの一層の向上を目指し、着実に取り組んでまいります。
○宇田川委員 続いて、直結給水方式への切りかえの促進についてお伺いをいたします。
水道局では、安全でおいしい水を直接お届けするために、今までさまざまな施策に取り組んでまいりました。さきの第四回定例会で、貯水槽方式から直結給水方式への切りかえを促進すべき、こう私が提案いたしましたが、新たな対策を検討する、こうしたご答弁でありました。
そこで、直結給水方式への切りかえ工事を促進するための課題と、新たな対策の具体的な内容についてお聞かせください。
○増子水道局長 直結給水方式に比べ、貯水槽方式は、貯留機能があるため、配水管の分岐部からメーターまでの給水管の口径が細くなっていることがあります。それで、直結切りかえの際に、給水管を太くする工事が必要となる場合があります。この工事は、公道の掘削などが必要となり、手続が煩雑であることなどから、お客様に敬遠され、切りかえに至らない事例があります。
直結給水方式への切りかえは、より安全でおいしい水を供給することや、水道の圧力を利用するため、省エネルギー化が図れるなど、水道事業のみならず、社会的にも非常に意義がございます。このため、給水管を太くする工事を水道局が施行することにより、直結給水方式への切りかえの一層の促進を図ってまいります。新たな取り組みは、一定の周知期間を確保した後、来年度下半期の導入を目指します。
○宇田川委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に進めていただきたいと思っております。
さて、今回の東日本大震災においては、都内の水道管も被害を受けたと聞いております。その多くは、塩化ビニール管、私道内埋設がほとんどだということを聞かせていただきました。それを受け、我が党は、昨年、第三回定例会の代表質問において、私道内給水管の一層の耐震性強化を求めたところ、私道内の塩化ビニール管をステンレス管に取りかえる新たな取り組みについて、来年度からの事業開始を目指すとのことでありました。新年度早々には、新たな被害想定が公表されるわけでありますが、水道管被害が多いと予測される、例えば江東区や墨田区、江戸川区など、こうした地域から新事業を展開すべきことは当然だと考えます。いかがでしょうか。
○増子水道局長 水道局ではこれまで、私道内に給水管が三本以上ある場合、または二本以下であっても、お客様が十世帯以上ある場合は、配水管を布設し、塩化ビニール管をステンレス化してまいりました。
今後は、これまで配水管布設の対象とならなかった私道内のすべての塩化ビニール管をステンレス化してまいります。これら事業につきましては、全体的なバランスに配慮しつつ、今後改定される震災被害想定の内容を勘案し、被害が多いと予測される地域を優先的に整備してまいります。
○宇田川委員 ありがとうございました。被害が多いところからやるというのは、当然のことですから、皆さんご理解をいただきたいと思います。
次に、下水道管の再構築についてお伺いをさせていただきます。
区部の下水道は、明治期以来、百二十年余りの歳月をかけて築かれ、平成六年度に普及一〇〇%を達成いたしました。
都では、八年後のオリンピック招致に向け、知事を先頭に一丸となって取り組んでいるところでございますが、折しも昭和三十九年の東京オリンピック前後の高度経済成長期に整備された下水道管が、今後一斉に耐用年数を迎えることとなります。老朽化が進み、下水道管がその機能を果たせなくなった場合には、都民生活そして企業活動など、与える影響ははかり知れないものがあります。下水道管の老朽化の状況と、今後の対応についてお尋ねをさせていただきます。
○松田下水道局長 区部の下水道管の全延長のうち、約一割に当たる千五百キロメートルが、既に耐用年数の五十年を超えております。今後二十年間では、現在の四倍に当たる約六千キロメートルが新たに耐用年数を超えることとなります。
下水道管は、ガス管やケーブルなど地下埋設物がふくそうしているさらにその下の地中にあるために大変難しい工事になります。また交通量の多い道路の下にあることが多く、取りかえが極めて難しい状況となっております。このため独自に開発をした自走式のテレビカメラなどにより下水道管の老朽化状況を調査し、その結果に基づき、道路を掘らずに下水を流したままで、管の内側から補強する更生工法などの独自に開発した技術を活用することで、効率的に再構築を行っております。
○宇田川委員 下水道管の中でも、幹線、それが機能を失った場合の影響がやっぱり一番甚大だと思います。したがって、下水道幹線の老朽化対策を進めることは喫緊の課題だと考えております。下水道幹線の再構築の今後の取り組みについてお尋ねをさせていただきます。
○松田下水道局長 大規模な下水道管であります下水道幹線は、現在、耐用年数の五十年を超えたものが約百二十キロメートルございますが、老朽化の程度に応じて計画的に順次再構築を進めており、来年度末までに約四十七キロメートルを完了させる予定でございます。
工事に当たりましては、先ほどの更生工法により、耐震性の向上なども図っておりますが、下水の水位が高いなど、こうした対応ができない場合、既設の幹線に並行して新たな幹線を整備することで、あわせて雨水排除能力の増強などの機能の向上も図ってまいります。来年度は、都心部で千代田幹線などの整備事業の着手を目指してまいります。
今後とも、下水道幹線の再構築を効率的、効果的に進めてまいります。
○宇田川委員 オリンピック招致なども含めて、東京都が非常に評価が高いのは、治安面とともに、やっぱり衛生面というのは世界的に多大なる評価をいただいているわけでございますから、下水道をしっかりやっていくということは、そうした意味においても大切だと思います。ぜひよろしくお願いをいたします。
次に、日本の文化についてお尋ねをいたします。
我が国の文化は、日本人の持つ豊かな感性や多様性、柔軟性などに裏打ちされた独自の文化として花開き、世界から評価を得てまいりました。これまで、作家でもあり、芸術にも造詣の深い知事の世代に象徴される型破りともいえるこうした人材が、我が国の新たな文化を創造し、牽引してきたのだと思います。知事も新聞に、談志師匠の話が載っていたのを読ませていただきましたが、そういうことだと思います。
しかし、近年の若者たちには、従来の枠組みを壊してでも未来の文化をつくり上げていこう、こうした気概が見られないのが残念です。このすばらしい日本の文化を次世代へと橋渡ししていくためにも、何物にも縛られない若者の感性や、時には、とっぴともいえるような自由な発想が大事なんだと思っております。
東京をより創造的な文化都市として、そのプレゼンスを高めていくためには、将来、未来を担う若者や子どもたちが重要な役割を果たしていく必要があるのではないでしょうか。知事の率直なご所見をお伺いさせていただきます。
○石原知事 これは非常に厄介というか、難しい問題でありまして、私も芸術に携わる人間の一人ですけれども、実は、つい二日ほど前にも、若い新しい劇作家を発掘しようということでやっているコンテストに優勝した作家の芝居を、新作を見に行きました。百人ぐらいの小さな劇場でありましたけれども、非常にがっかりして帰ってきました。何というのですかね、そのプロデューサーに、これ全然ちっとも怖くないねといったら、そうなんですよ、石原さん、このごろの若い人はみんなホームドラマになっちゃうのといっていました。
何というのでしょうかね、これは時代の趨勢といいましょうか、時代がやっぱり人材をつくっていくわけでありまして、私たちが世の中に出たころは、ちょうど終戦から間もなく、高度成長の兆しが見えてきた、消費文明が到来しつつある予感の時代でしたけれども、それと違って、今は妙に物事が安定して、しかも、非常に便利な時代になっていろんな情報がはんらんして入ってくる。その中に埋没すると、やっぱり情報の、何というんでしょう、渦に攪乱されて、そういうものに幻惑されて、自分自身の発想というのは、なかなかできてきにくい。
都立大学のある若い、若手の教授が私にいっていましたが、情報が非常に過多に供給されるために、その情報の整理というか情報の評価まで、また情報に頼るといういい方をしていました。それで、例えば、石原さん、このごろの若い連中は余り失恋しないんですよと。好きな相手がいても、あれはAランクだ、自分はBランクの三ぐらいだ、とても及ばないといって、とにかく失恋を覚悟でも声をかけないということで、何というんでしょうかね、自分をみずから傷つけることがない、そういう冒険に、恋愛に限らず踏み出すことがないということで、横並びの人間がふえてきて、芸術というのは、やっぱり横並びのあれじゃ困りますからね。そういう点では、悪い意味での平凡さというのが横溢した、非常に芸術にとって、文化にとって厄介な時代になったと思います。
○宇田川委員 日本の文化が次世代においても発展をし続けていくためには、先ほども申し上げたんですが、若い感性という、知事がおっしゃるように、今の感性がどうなっているのかよくわからないんですが、こういうのを分け隔てなく取り入れるという社会も大事なのかなと思っております。今、申し上げた分け隔てなく取り込むような文化行政というのも展開していくべきなのではないかなと思っております。
都は、我々の要望を聞き入れていただいて、文化に対する予算をずっと増額をしていただいたところではありますが、それに加えて、従来の枠組みを超えた発想によるすぐれた文化行政を展開するため、新しい仕掛けともいえるようなものが必要なのではないかと考えております。
今後どのように取り組んでいかれるのか、都の見解をお伺いいたします。
○井澤生活文化局長 都はこれまで、文化創造都市東京の実現に向けまして、文化発信プロジェクトや文化施設の整備など、東京の文化的魅力をより一層高めるための取り組みを進めてまいりました。
来年度は、これまでの取り組みをさらに発展させるため、芸術文化に精通した専門家で構成するアーツカウンシルを日本で初めて本格的に設置いたします。
この新しい仕組みを通じて、文化をつくる現場や若手芸術家の感覚を反映した先駆的な事業を展開するとともに、専門家の目ききを活用して、創造性や将来性にあふれた活動を重点的に支援してまいります。
今後とも、すぐれた創造活動の活性化や、次世代につなぐ人材育成などに意欲的に取り組み、都市としてのプレゼンスを確立する戦略的な文化の創造、発信を目指してまいります。
○宇田川委員 ぜひ知事の言葉も受けとめながら、積極的な文化行政をやっていただきたいと思いますが、知事がおっしゃるとおり、大変難しいことだと私も認識をしております。
さて、平成二十六年は、インターハイが行われる年になっております。二〇一三年が国体で、その次の年はインターハイでございます。千葉県、神奈川県、山梨県との合同開催になると聞いております。くしくも、東京オリンピックから五十年という節目に当たる年にもなります。選手たちの夢は、オリンピック出場であり、その上でのメダル獲得であり、その夢を実現した若者は数多くいると聞いております。
前回の北京オリンピックにおいては、メダリストの約八割がインターハイの経験者、ステップアップを果たしたということでございます。水泳の北島選手は金メダル、体操の内村選手、フェンシングの太田選手、銀メダル、皆さんよくご存じの結果であります。このようにインターハイは、オリンピックへの登竜門の一つだといえると私は思います。そこで、東京開催の競技種目につきましては、全国から集まる高校生トップアスリートのために、かつて、東京オリンピックで使用され、現在でも、国際大会などが開催される競技会場の活用なども含めて、選手にとって最高の舞台を用意し、活躍を応援していくべきだと考えます。都教育委員会の考え方についてお聞かせをください。
○大原教育長 競技会場は、スポーツ選手にとって自己の能力を最大限に発揮する場であるため、常に最高のコンディションが求められております。インターハイにおきましても、全国から高校生の代表選手が集まり、それぞれの限界に挑戦することから、スポーツの歴史を刻んできた伝統ある競技会場を使用し、その会場の持つ雰囲気が選手に伝わり、選手本来以上の力を発揮してもらいたいと考えております。
そのために、平成二十六年度インターハイが二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックにつながるすばらしい大会となるよう、今後設置される都実行委員会において、選手にとって最高の競技会場を選定してまいります。
○宇田川委員 さきの中学校駅伝で、江戸川区が総合優勝を果たしていただきました、ありがとうございました。それにつながる高校生の大会、インターハイでございますので、ぜひ教育長おっしゃるとおり、しっかりとやっていただきたいと思っております。
インターハイは、高校生アスリートにとってのあこがれの大会であるとともに、選手以外の高校生が活躍する場でもあります。大会運営や広報活動など、一人一役活動を実践する場となっております。また、大会のスローガンなどは開催四都県、東京、千葉、神奈川、山梨、それぞれ中学生、高校生の公募をかけ選定した、それで決定をしたと聞いております。
このように、インターハイは、選手以外の生徒にもさまざまな活躍の場がございます。各都県の生徒が集まるので、交流も深められることだと思います。教育活動の一環として、この経験を将来生かせるようにすべきだと考えますが、教育長のご所見をお伺いさせていただきます。
○大原教育長 インターハイは、選手として出場する生徒だけでなく、この大会を運営面等で支える生徒にとってもさまざまな人々との交流ができる貴重な機会でございます。そのため、合同開催を行う南関東四都県それぞれにおいて、高校生の代表から成る生徒実践委員会を設立いたしまして、互いに連携させながら、広報活動や大会運営などに、高校生を企画段階から参画させてまいります。
さらに、カウントダウンイベントの開催や、総合開会式における進行などを、南関東四都県の高校生に協力して行わせます。こうした活動や交流の場で培った貴重な経験は、生徒一人一人の大きな財産となり、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを運営面等で支える力として生かせるものと考えております。
○宇田川委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
最後に、築地市場の豊洲移転について申し上げます。
私は、かなり以前から、築地市場に携わる人たちから、移転への不安や不満の声を耳にしておりました。
私が住んでいる江戸川区、その隣まちは浦安市でございます。市場を考える会の方たちも多く浦安にお住まいになっておりますので、その方たちとはもう長いつき合いがあります。いろんな方から、不安、不満の声を耳にしていたわけでございます。
平成十九年の予算特別委員会、この場でも、このことを取り上げさせていただきました。当初の反対理由のほとんどは、移転による新たな設備投資や、移転後のランニングコストなどの金銭的な不安でありました。他にも課題があったことは事実であります。
私は、その反対派の意向も踏まえて、例えば、三一五号線の高架化による卸と仲卸の一体化や、新たな豊洲ブランドの醸成などなど、さまざまな提案をし、結果を出してきたと自負しております。
我々自由民主党は、土壌汚染が残る土地への移転を決して容認しているわけではありません。食の安全・安心を確保すべきことはいうまでもないことであります。だからこそ、二年前の付帯決議に賛成し、予算を成立させてきたのです。都は、万全な汚染処理工事を広く都民に広報し、消費者の安心を得るために引き続き努力を重ねていかなければなりません。
もう一方で大切なことは、市場業者の理解を得るために、地道に働きかけを続けていくことであります。
私は、個々の市場業者の意見、要望を丁寧に聞き、まさに、夜討ち、朝駆け、ひざ詰めの気概を持って理解を得ていくべきと提言を続けてまいりました。その後、移転支援の基本的な考え方が公表され、丁寧に面談を重ねた結果、本年一月に、それを踏まえた支援策を公表したところであります。
こうした流れの中で、市場六団体のうち、最後まで移転に反対してきた東卸の理事長も、先月、豊洲移転に向けて、都と積極的に協議に応じていくと表明し、まさに大方の合意は得られたものと認識をしております。
今後、賛意を示した旧反対派の人たちの思いも組み入れて、ともに移転を目指すよう、格段の配慮をしなければならないとも思っております。
市場関係者や消費者に、安心して利用していただける豊洲新市場、閉鎖型、低温化による品質の確保はもとより、近隣に対する景観上の配慮や、省エネをも果たし、首都圏の食生活を支える基幹市場として、平成二十六年度開場が確実になされるよう、格段の努力を続けていただきたい。私からお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○鈴木(あ)副委員長 宇田川聡史委員の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後五時十二分休憩
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.