予算特別委員会速記録第四号

○大塚委員長 星ひろ子委員の発言を許します。

○星委員 総括質疑三日目の最後の質問になります。よろしくお願いをいたします。
 それでは、まず、産業振興についてお伺いをいたします。
 一千三百万人の人口を抱える東京は、大都市でありながら、多摩地域には森林地帯が広がっており、面積は都の四分の一、この森林はCO2吸収に役立つとともに、水源地であり、良質な木材を生み出す産業の場です。森林を守るためには林業振興が重要ですが、木材が最終ユーザーに渡るまでには、木を育てる人や、製材所、設計、大工など多くの人が携わり、流通を含めた全体で林業が成り立ちます。
 木の成長には長い時間がかかり、林業振興には長期的な視野に立った取り組みが必要であり、荒廃が進んでいる危機的な状況にある森林を思うと、今すぐ手をつけなければなりません。
 林業を東京の地場産業と位置づけ、改めて振興を図ることについてご所見をお伺いいたします。

○前田産業労働局長 木材価格の低迷により、森林の荒廃が危惧される中、多摩の森林を整備していくためには、川上から川下まで、これは、木が切られてから使われるまでを川の流れに例えて、切るところを川上、使うところを川下というんですけれども、その各段階に応じた林業振興を図ることが必要であります。
 このため、都は、森林整備と木材生産を行う川上対策として、造林、間伐事業や林道などの基盤整備事業、花粉発生源対策事業などを実施しております。
 また、多摩産材の供給体制整備を行う川中対策として、製材所に乾燥機などの導入支援を行っております。
 さらに、多摩産材利用を進める川下対策として、モデルハウス建築への支援や庁内での積極的な利用を行っております。
 都は、こうした取り組みにより、森林施業や製材のコスト削減、多摩産材の品質向上と販路拡大を進め、東京の林業の振興を図っております。

○星委員 それでは、多摩産材についてさらにお聞きします。
 多摩産材の公共施設への利用を拡大していくために、実際にどのような方法をとられるのか。また、多摩産材の利用を進めていくためには、需要と供給のバランスが大事です。公共施設などで多摩産材を利用したいときに、供給不足で使えなかったということも一部聞いていますが、多摩産材の供給体制整備についてどのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いをいたします。

○前田産業労働局長 まず、多摩産材の公共利用の拡大についてでございますが、これまでも、都みずからが率先して、都営住宅の内装や都立学校の什器などで利用してまいりました。
 さらに、来年度からは、区や市町村に対しまして、多摩産材の利用事例集を作成して提供することや、シンポジウム開催などを通じて公共利用の拡大を図ってまいります。
 次に、多摩産材の供給体制の整備についてでありますが、ただいまお答えしましたとおり、都はこれまでも、品質向上や製造コスト削減に向け、製材所の木材乾燥機の導入などを支援してまいりました。
 今後は、工務店などの利用実態と製材所の製材能力を調査いたしまして、需要を見越した供給体制の整備に向けて取り組んでまいります。

○星委員 さらに伺いますが、多摩の森林資源をむだなく使うために、さらには地球温暖化対策の観点からも木質バイオマスの活用がいわれています。多摩地域でも、まきやチップを燃料にするボイラーが温浴施設などに設置をされています。
 木質バイオマスを積極的に活用することを期待しておりますけれども、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○前田産業労働局長 森林資源を木質バイオマスとして有効に活用することは、地球温暖化の防止につながる有効な施策であります。
 しかしながら、現在、通常の化石燃料を使用する場合と比べまして、ストーブやボイラーなどの装置の導入費用、あるいは燃料となる木質バイオマスの価格が高いということが、活用のための課題となっております。
 そうした現状のもと、都は木質バイオマスの普及を促進するため、都の施設で先行的に利用しているところでございます。

○星委員 森林を保全し、林業を産業としていくためには、山をトータルで見ることができる事業体を育成し、林業を生業としていける仕組みが必要です。
 東京都としてどう考えているのか、お伺いをいたします。

○前田産業労働局長 都は、森林組合を初めとしました林業事業体への支援策として、公益財団法人東京都農林水産振興財団にあります東京都林業労働力確保支援センターを通じ、法人化のための指導を行うとともに、林業機械のレンタル料や新規就業者を雇用する際の住宅借り上げ費の助成などの支援策を実施しております。
 今後とも、森林整備を円滑に進めるため、林業事業体の育成を図ってまいります。

○星委員 大変厳しい状況にある林業と東京の山を守るために、長期的な視点と、取り急ぎ行っていただきたいこととあります。ぜひ取り組みの強化と拡充をお願いし、次の質問に移ります。
 次は、防災についてです。
 東日本大震災の地殻変動により立川活断層帯の発生確率が高くなっているという国の発表を受け、都の想定地震にも追加されました。このことから、私の地元、多摩地域でも立川断層への関心が大変強まっています。地域では、自治会や市民団体などが専門家を招き、講演会、学習会等を頻繁に開催しています。
 活断層帯の位置が明らかになる中で、多摩地域の中核として発展してきた立川周辺は、商工業、官公庁関連、東京都の防災センター、広域災害医療施設など、都市機能の拠点施設とも近いことから、都の備えは大丈夫なのか、いざというとき自分たちは何をなすべきか、不安の声や問い合わせが来ます。
 立川断層の専門家である首都大学東京の山崎晴雄先生は、いたずらに地震を恐れるのではなく、正しく理解し、いざというときの災害に備える必要性を説いておられますが、そのことが何よりも大切であると思います。
 そのために、都は早期に被害想定を見直し、都民に周知すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○笠井総務局長 立川断層帯地震は、国の評価では三十年以内の発生率は〇・五から二%、平均活動間隔は一万年から一万五千年とされており、首都直下地震と比較いたしますと、その発生頻度はまれであると考えられております。
 しかしながら、同地震につきましては、国において、東日本大震災による地殻変動により発生確率が高くなっている可能性があると発表され、また、発生すると多摩地域を中心に大きな被害を与えるおそれがあるといわれております。
 このため、現在、東京都防災会議の地震部会におきまして同地震を想定地震に加え、被害想定の見直しを進めており、その結果を四月に公表する予定でございます。
 今後、その内容を都民に客観的に示し、同地震に対する都民の理解を深め、自助の取り組みを促していくとともに地域防災計画の修正に反映させてまいります。

○星委員 東日本大震災では、ガスや石油のタンクの破損による大火災の発生や、巨大なタンクが津波で押し流される様子を何度もテレビで見ました。
 毒物、劇物のタンクにおいても、ひび割れや破損などの被害もあったと聞いています。都内では、地震の揺れにより、毒劇物ではありませんが、トリクロロエチレンを含むガスが工場内に充満し、死者が発生する被害が起きています。
 都は、昨年五月から劇物、毒物の大規模タンクを持つ事業者について調査を行ったということですが、多摩地域にも大きなタンクを持つ事業者が約八十件も存在しており、立川断層の危険性も指摘される中、十分な対策が必要であると思いますが、都の対応についてお伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 大量の毒物、劇物を貯蔵しておりますタンクは、事故発生時の周辺に及ぼす危害が大変大きいため、都は昭和五十三年の宮城県沖地震を契機にこれらを調査、把握いたしまして、その後、都及び区市保健所におきまして、タンク保有事業者に対する定期的な立入検査を実施いたしております。
 また、今回の東日本大震災発生後、改めて立入検査を実施いたしまして、日常の点検体制や事故流出時の安全設備の有無など、震災対策の実施状況等を確認し、指導をいたしております。
 今後とも、立入検査を実施しまして、毒物、劇物を貯蔵するタンクの安全性の確保に努めてまいります。

○星委員 毒劇物の取り扱いについてですが、学校で、理科の実験で瓶が割れて、薬品が反応して有毒ガスが発生したことがありました。
 これらを取り扱いながら届け出が不要とされている学校や中小の工場等について、これまでも大学などの跡地から水銀や砒素が検出された事例もたびたび報道されてきました。
 また、担当者がかわると対応策が十分に引き継がれないのではないかというふうに心配をいたします。
 少量とはいえ、さまざまな人々が取り扱いにかかわる学校でも対策が必要と考えますが、都の対応についてお伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 毒物、劇物は少量であっても二種類以上の薬品がまざることによって発火するなど、震災時に二次災害を起こすおそれがございます。
 学校は、化学実験用に多種類の毒物、劇物を保有していることから、都及び区市保健所が定期的に立入検査を実施いたしております。
 また、今回の大震災を契機に、都は昨年十月、学校関係者を対象とした講習会を開催いたしまして、適正な管理方法について改めて周知を図ったところでございます。
 今後とも、これらの取り組みを通じまして、学校における毒物、劇物の適正管理を指導してまいります。

○星委員 いつ起こるともわからない地震です。万全の備えをお願いいたします。
 続いて、高齢者の福祉についてお伺いをいたします。
 今回の診療報酬、介護報酬改定では、在宅療養を支援する仕組みの強化が打ち出されました。二十四時間対応の診療所の報酬を引き上げ、介護も二十四時間の訪問サービスの導入をさらに進める方針です。
 高齢者のケアには、医師だけでなく看護師やケアマネジャー、介護士、薬剤師など多職種のチームによるサービスの提供が不可欠です。今回の改定では、医師や歯科医師等が在宅で療養管理指導を行った場合、ケアマネジャーへの情報提供が必ず必要になるということです。これまでは医師の情報がケアマネジャーに届かず、ケアプランになかなか反映されにくいものでしたが、改定により医療と介護の連携が促進されるものと期待をしております。
 しかし、一方で、医療、介護従事者はそれぞれの領域の知識を身につけることがますます重要になると思われます。東京都は、これまでもケアマネジャーやヘルパーなど介護職員に対し、在宅医療知識の向上のための養成事業や医療連携強化研修をいち早く行っていること、このことは評価しますが、今後、在宅療養高齢者が増加する中、さらに医療と介護の連携が促されるよう、研修などを一層充実させていくべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 都は平成二十一年度から、医療職と介護職の連携を促進いたしますため、介護支援専門員を対象とした在宅医療サポート研修や介護職員のスキルアップ研修を実施し、医療的知識の習得を支援してまいりました。
 来年度は、これらの研修カリキュラムについて、今回の介護保険法改正を踏まえまして、新たなサービス内容をケアプランに反映させる事例演習や、サービス担当者会議の模擬演習を充実させるなど、より実践的な内容に改定をしてまいります。
 また、区市町村が地域の実情を踏まえ、介護支援専門員や介護職員を対象とした在宅療養に関する研修に積極的に取り組むよう、包括補助制度を活用し、支援をしてまいります。

○星委員 今後は在宅診療所を中心に自宅でみとりまで含めた医療、介護の多職種連携が必要とされており、地域における人材の活用が重要な課題だと思います。
 かかりつけ医というのは耳なれた言葉ですが、かかりつけ薬局という言葉はまだ余り浸透していません。高齢者は複数の疾病を有することが多いですが、薬の飲み忘れ、飲み過ぎ防止、副作用症状の発見等、在宅医療、介護分野における地域の薬剤師の役割は大変大きいものがあります。
 先日、幾つもの医療機関からさまざまな種類の薬をもらい、飲み切れなかった薬を大事に保存し、似た症状のときには自己判断で使用するつもりでいる高齢者やご家族が少なからずいるということを、在宅薬剤管理指導に入った薬剤師の方に伺いました。療養生活をする高齢者にとって、適切な服薬は安全で有効な治療の継続に欠かせません。
 地域の薬局が、かかりつけ薬局として積極的に在宅医療に取り組むべきであり、東京都もそのための支援をするべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 都はこれまで、都民に身近な薬と健康の相談役でございます、お話のかかりつけ薬局の育成を図っておりまして、インターネットによる薬局情報の発信や在宅医療実践ガイドブックの配布、薬剤師への研修等を行ってまいりました。
 今年度からは、寝たきりや外出が困難な高齢者等に対する在宅医療を推進するため、東京都薬剤師会とも十分連携し、在宅患者への訪問指導を行う薬局を把握いたしまして、地域包括支援センター等の関係機関に情報提供を行っております。
 来年度につきましても、高齢者の状態や疾病に応じた服薬指導や薬剤管理等の研修を実施いたしまして、かかりつけ薬局の在宅医療への取り組みを促進してまいります。

○星委員 さて、高齢者が地域で生活していくためには、住まいが欠かせません。介護や療養が必要ではなくても、ひとり暮らし高齢者がふえ、見守りやふだんのつき合いが大事になります。住まいづくりをコミュニティづくりとつなげて、集まって住むという選択肢もあります。
 最近、コレクティブハウスやグループリビング、シェアハウスなど、共有スペースのある共同住宅が注目をされています。一方、都内でも空き家が増加していることから、その活用についても模索されているところです。
 都では、二〇一二年度、空き家をグループリビングなどに活用するために、バリアフリー化などの改修費の補助の制度を設けます。この事業を広げるためには、グループリビングの運営を担うNPO法人などと空き家とのマッチングが課題になります。実際に始めるに当たって、今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 平成二十四年度から、空き家を高齢者などの新しい住まい方でございますグループリビング用に改修する場合に、改修費用の一部を助成するモデル事業を実施することとしております。
 事業実施に当たりましては広く募集を行いまして、モデル事業にふさわしい取り組みを選定してまいります。

○星委員 地域の空き家や活動団体、高齢者のニーズなどの状況は市区町村が把握している場合が多いので、地域自治体と連携して、ぜひマッチングに取り組んでいただくよう要望いたします。
 次に、子ども、若者の健康についてお聞きをいたします。
 全国のHIV感染者の三分の一が東京都内であり、二十代、三十代が多いため、若者への対策が求められています。また、性感染症に罹患するとHIV感染のリスクが高くなることから、エイズ対策と性感染症が一体化した取り組みが必要です。
 都の感染症サーベイランス報告によると、性器クラミジア感染症では感染者のうち男性の約四割、女性の約七割が十代、二十代であり、若年層の割合が高く、保健所では学校や職場に対して健康教育やインターネットを利用した普及啓発活動を行っています。
 二〇〇一年よりスタートしたエイズ・ピア・エデュケーション、これは青少年の感染防止とエイズに対する偏見、差別のない社会づくりを目指し、若者のピア・エデュケーターが同世代の若者にエイズに対する基礎知識や予防方法を初め、命の大切さや、ともに生きる大切さを伝える取り組みです。年齢や価値観が近い人たちから同じ立場の人たちに伝えていくことは大変意義深く、効果的であると評価をしています。
 そこでお聞きします。エイズ・ピア・エデュケーション事業について、活動内容と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 都は、学校の授業や学園祭、街頭におけるキャンペーン等、さまざまな機会に保健所や関係機関等と連携をいたしまして、エイズ・ピア・エデュケーションを実施しておりまして、昨年度の実施回数は四十八回、受講者数は三千五百二十五人でございます。
 この事業によりまして、同世代のピア・エデュケーターから学ぶことで、若者がHIVやエイズをみずからの問題としてとらえ、関心を持つようになることに加えて、自主的に啓発活動に参加する契機となるといった波及効果も期待できます。
 今後とも、学校、保健所や関係機関等と十分連携しながら、効果的なエイズ・ピア・エデュケーションを実施してまいります。

○星委員 全体で四十八件というお答えをいただきましたが、東京都全体にしては、とても私は少ない数字ではないかというふうに思います。
 各地域の保健医療推進プランでは、若い世代を対象とした普及啓発を重点的に進めていくことが記され、私の地元であります北多摩西部保健医療圏のプランでも、学校との連携ということが重点プランになっております。
 そこで、教育庁にお聞きします。エイズ、性感染症の教育についての都教委の取り組みについて、現状はどうなっているのかお伺いをいたします。

○大原教育長 エイズ及び性感染症は、増加傾向やその低年齢化が社会問題になっていることから、児童生徒が学習するよう学習指導要領に示されております。
 都教育委員会は、エイズ予防の重要性にかんがみ、教科書に加えまして最新の情報を記載したエイズ理解、予防に関する小学校高学年用、中学生用、高校生用のパンフレットを補助教材として毎年発行し、各学校における学習指導の充実に資するよう努めております。

○星委員 ピア・エデュケーション事業は大変意義深い取り組みでありますから、ぜひ都立校全体に対して積極的に活用するよう要望いたします。
 次に、薬教育についてお伺いをいたします。
 次世代を担う子ども、若者の健康については、食の安全や化学物質子どもガイドライン等、生活者ネットワークは主要な政策テーマとしてこれまでも取り上げてまいりました。現代の若者は、あふれる物、情報の中でみずから危険を避け、正しい知識、自分にとっての最善を選びとる力が重要だと思っております。ドラッグや合法ハーブによる薬物中毒の問題も社会問題化しております。
 指導要領の改訂により、四月から中学校の保健の授業では医薬品について新たに学習することになると聞いていますが、どのような学習を行うことになるのでしょうか。

○大原教育長 学習指導要領の改訂によりまして、平成二十四年度から、中学校の保健の授業においては、新たに医薬品の有効利用について学習することとなりました。
 具体的には、医薬品には主作用と副作用があることや、使用回数、使用時間、使用量などの使用法があり、正しく使用する必要があることについて理解をさせることとなっております。

○星委員 次世代を担う子ども、若者の健康については、ぜひ福祉、教育の縦割りの壁を取り除いて、連携を強化して取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、最後の質問になりますが、歴史的建造物についてお伺いをいたします。
 東京都では、歴史的な価値を有する建造物のうち景観上重要なものを東京都選定歴史的建造物として選定し、東京における景観形成を推進しています。これまでに九十一件が選定され、そのうち十件は文化財に指定されたため解除されています。
 原則として築五十年を経過していることが条件ですが、多くが昭和初期のもので、江戸時代のものもあります。建造物としては耐震性の問題や老朽化が避けられませんが、特に大震災以降、維持管理のための補修が必要になる場合がふえているのではないかと思われます。
 そこでまず、都として東京都選定歴史的建造物の保存にどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○飯尾都市整備局長 都選定歴史的建造物は、東京の歴史や文化を今日に伝え、まち並みを形成する都民共有の貴重な景観資源であるため、社会全体で保存や修復を支援することが重要でございます。
 このため、平成二十二年度に東京歴史まちづくりファンドを創設いたしまして、都の資金に加えて、広く都民や企業からの寄附金を財源として、民間が所有いたします建造物の保存に要する工事費に対して助成を行っております。
 今年度は、柴又帝釈天外二件に対し助成を行う予定でございます。

○星委員 選定をされた建造物の中には、民間だけでなく、東京都が持っているものも少なくありません。橋梁などは、安全性を維持するために計画的に修理、補修を行うということがありまして、これは当然のことですが、ところで、世田谷区にあります都立深沢高校の一角には、清明亭という茶室があります。二〇〇三年に歴史的建造物に選定されました。
 この建物は、昭和六年に元わかもと製薬社長の広壮な邸宅の離れとして建てられ、深沢高校が建てられる際にこれだけ残されたものです。茶室ということで、ふだんは高校の茶道部の活動場所として利用されていたようですが、老朽化が大変目立つようになり、現在、利用を制限することになるというふうに聞いています。
 所管の教育委員会としては、歴史的建造物の維持管理をどのように考えているのかお伺いをいたします。

○大原教育長 清明亭でございますが、昭和六年に建築された木造の建物でございまして、老朽化が進んでおり、現在は教育活動には利用しておりませんが、都の歴史的建造物に選定されていることから、その外観を維持するために、適切に維持管理を行っております。
 昨年三月に発生いたしました東日本大震災によりまして、壁や外壁タイルの一部が破損するなどの被害が生じましたが、必要な修復を行ったところでございます。
 都教育委員会は、今後とも、必要な維持保全に努めてまいります。

○星委員 各学校が使える予算は決して多いものではなくて、優先順位はやはり在校生の教育環境の整備にあるというふうに思います。
 そのことは当然ですが、せっかく身近にある歴史的建造物を大切に使っていくことも教育の一環と考えております。教育委員会として、歴史的建造物の維持管理費用は別途計上をしてほしいということを要望して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○大塚委員長 星ひろ子委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。

○大塚委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。
 部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってかえるものとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。
 この際、各常任委員長に申し上げます。
 部局別質疑に関する調査報告書は、三月二十二日の午後五時までに提出されるよう、特段のご配慮をお願いいたします。
 なお、来る三月二十六日については、午後一時から委員会を本委員会室で開会し、締めくくり総括質疑を行っていただきます。
 また、三月二十七日に予定しております討論等の委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三十一分散会

ページ先頭に戻る