予算特別委員会速記録第四号

   午後六時四十六分開議

○鈴木(貫)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 加藤雅之委員の発言を許します。

○加藤委員 昨日の大きな地震は、昨年の三・一一のことを一瞬思い起こさせました。私も被災地の海岸エリアを中心に視察を行いましたが、建物が根こそぎ波にさらわれた現実を見まして、自然の猛威に驚愕をいたしました。
 そして、残された膨大な瓦れき。被災地の方が一日も早い復興を望んでいるのを妨げている大きな問題の一つが瓦れきであります。
 我欲ゆえに瓦れき処理をめぐって信じがたい反対運動が起こっております。しかし、大多数の国民は、今は眠っているかもしれませんが、自分の住むまちや社会のために何かをなしてくれるに違いありません。
 知事は、防災隣組を提唱されておりますが、防災対策としてはもちろん、日本人が持つ本来の美徳や正直さ、実直さを、東京をよくするために引き出すきっかけの一つになると思います。
 そこで、日本の現状と未来を憂える知事の感想を伺います。

○石原知事 昨年の大災害の直後のボランティアを含めて、現地での人々の助け合いを眺めますと、外国人も非常にそれに感動したという話も聞きますが、日本人の本来持っている美しさがあらわれたなと思っておりましたけれども、どうもそれは残念ながら一時のことでありまして、その後の状況を見ますと、東北から非常に離れたところへ行ってみますと、震災の話題がほとんど口に上らない。
 まして今度、あそこに山積している瓦れきの引き受けの問題になりますと、もう理由もなく反対をする人に行政が負けて、足踏みして事が進まないと。これは本当に私にとっては不思議なというか、嫌らしい話でありまして、私たちが路上で、もしだれかがけがをして倒れてたら、必ず走り寄って、多少手が汚れても助け起こしますけどね。それをしない、しようとしない自治体がある。そういうふうに規制する、ただセンチメントだけで反対する人たちが多いということも非常に残念な気がいたします。
 こういうものを見るにつけ、私たち、もっと大事なものをこれから本気で取り戻していかないと、この国は日本人の運命共同体として栄えていかないんじゃないかという気がひとしおいたしております。

○加藤委員 今ご答弁いただきましたけれども、日本人の持つ本来のよさというものを引き出していくのがリーダーの役割というか、質だというふうに思います。そうした意味で、本当に石原知事にはリーダーシップをますます発揮していただきたい、そのようにお願いをしたいと思います。
 次に、平成十六年九月に、石原都知事も総合防災訓練の際に立ち寄っていただいたとお聞きしました白鬚東地区の防災拠点について質問をいたします。
 この拠点については、前任の石井義修元副議長も幾度か代表質問で取り上げ、都とともに整備を進めてまいりましたが、昨年の三・一一の大震災を受けて、改めてその防災拠点としての重要性を認識し、これをいざというときには最大限活用していかなくてはならない、そうした視点から取り上げをいたします。
 白鬚東地区は、都が昭和四十四年十一月に策定した江東再開発基本構想における六拠点の一つとして、総合的な防災機能を有する地区として整備され、昭和五十七年におおむね完成をいたしました。堅牢な構造の住宅が長さ一キロにもわたって連なり、市街地大火の際には防火壁として、住民の避難スペースである東白鬚公園などへの輻射熱や熱風の吹き込みを遮断する機能を有しています。地図や航空写真を見ると、その重厚なたたずまいは、戦艦が連なっているようにも見えます。
 それではまず、避難場所となっている東白鬚公園の防災設備について伺います。

○村尾東京都技監 都における防災公園は、災害時の避難場所や活動拠点であることから、これまで積極的に整備を進めてきており、特に大規模救出救助活動拠点となる十一公園につきましては、整備を完了しております。
 お話の東白鬚公園は、東京都地域防災計画において、公園東側の高層住宅などと一体となって、震災時に拡大する火災から都民を守るための避難場所に位置づけられている防災公園であります。
 公園には、消火用水ともなる二カ所の池を配置しており、周囲には耐火性の高い常緑樹が植栽されております。
 さらに、防災機能を高めるため、マンホール式の非常用トイレやソーラー式園内灯などを整備してまいりました。
 平成二十四年度には、緊急車がより進入しやすいよう、園路の入り口の改良を行うとともに、災害時に救護スペースともなる防災パーゴラ、かまどベンチを配置し、防災機能の強化を図ってまいります。
 今後とも、震災時の避難者の安全確保や救出救助活動の拠点としての都立公園の整備を進めてまいります。

○加藤委員 次に、白鬚東団地の防災設備が非常にすばらしいんですけれども、二十四時間の監視室、そして地下に三千トンの貯水槽、非常用発電機で連続七日間の防災設備が運転可能、さらに、備蓄倉庫には単品補充用の医薬品一万二千五百人分があります。
 三・一一の震災当日、同拠点の前を通る都道墨堤通りも、墨田区から台東、荒川、足立、葛飾方面などへと移動する多くの帰宅困難者であふれました。そして、白鬚東団地の自治会の皆様が、帰宅困難者に対し、トイレの案内、誘導などをされました。今回のことを踏まえ、今後は、非常用給水栓から飲料水の提供を行いたいと話しておりました。お配りしました一枚目の写真がその非常用給水栓です。
 この給水栓が、二枚目の図にありますとおり、ここには十四カ所も設置されており、いざというときには専用の金具で蛇口を回せば水が出る大変便利なものとなっております。
 団地自治会の皆様は、いざというときには、住人はもちろん、避難民をいかに守るかということを日ごろから真剣に考え、準備に当たっておられます。別名防災団地というように、防災は私たちの役割だと、そのように自覚をされております。
 しかし、当初約十万人の避難人口を想定し、三千トンの貯水施設を備えて給水拠点となっておりましたが、新たな避難場所が指定されて、避難計画人口が減少し、加えて、周辺市街地の不燃化、そして、南千住に給水拠点ができたという理由で、平成十五年には、貯水施設を含む防災設備の削減案が都から墨田区に提案をされ、地域防災計画に基づく給水拠点から外れてしまいました。
 都が貯水施設等の削減理由として挙げる周辺市街地の不燃化が進展ということにつきましては、この周辺地域に都の総合危険度一位の墨田三丁目、それから、同十位の東向島一丁目が入っており、まだまだ木密地域が多く残っております。削減理由にふさわしくないというふうに考えます。
 また、南千住に給水拠点ができたということにつきましても、従来より距離的には遠くなり、橋を渡って隅田川を越えなければならないということで、適切とは思えません。
 三枚目の配布資料を見ていただきたいのですが、白鬚東地区の東側には荒川四ツ木橋緑地の避難場所があり、約三万七千人が避難することになっています。しかし、そこは荒川の河川敷であり、水、トイレ、避難設備などはありません。
 また、今回の震災では、足立区側で液状化が発生し、ゼロメートル地帯に住む住民にとっては、河川敷の避難場所は危険だという意識を持っております。津波の心配も重なって余計に不安を抱いております。
 荒川四ツ木橋の避難場所に指定されている住民は、白鬚東に三千トンもの水がありながら、何でわざわざ隅田川を渡って南千住まで歩いていくのかと疑問を呈しております。いざとなったら白鬚東地区に逃げるといっております。それはやはり、白鬚東は屋根があり、飲み水があり、トイレがあり、避難場所と避難所の両方の機能を備えているからです。
 だから墨田区は、荒川四ツ木橋緑地に避難する約四万人のことも考慮し、墨田区が作成した地域防災計画には、白鬚東地区が厳然と給水拠点として明記されているのです。
 三・一一の震災で、改めて水の重要性が高まりました。非常時には水は足らないことはあっても余ることはありません。したがって、東日本大震災を踏まえ、都の総力を挙げて防災対策を講じていく必要があるこの今、地域にある既存の防災拠点としての機能を最大限維持活用していくべきです。白鬚東地区の防災拠点としての位置づけを改めて再確認しておく必要があります。
 そこで、現在進めている地域防災計画の修正に当たっては、白鬚東など既存の防災拠点を最大限に活用することを明確にしていくべきと考えますが、都の所見を伺います。

○笠井総務局長 東日本大震災の教訓を踏まえ、首都直下地震など大規模災害に備えるためには、防災機能を有する既存の施設の活用も含め、東京の総力を結集した取り組みが必要でございます。
 お話の白鬚東地区につきましては、ご指摘のとおり、地域住民の避難場所として指定されているとともに、避難者への給水のための貯水施設を整備するなど、高い防災機能を有しております。加えて、地域において積極的に防災訓練を行うなど、地域住民の方々の防災に対する意識も極めて高いものがございます。
 このような状況を踏まえ、地域の防災対策を主体的に担う地元区とも十分協議しつつ、この地区が有する防災機能を最大限活用する方策を検討してまいります。

○加藤委員 地元自治体が一番地域のことを考えておりますので、今後とも十分な協議をお願いしたいと思います。
 次に、白鬚東地区内の貯水施設の管理について伺います。
 貯水施設については、先ほど申し上げたとおり、設置から三十年が経過し、中でも民間マンションの地下に設置されている貯水施設は劣化が著しく進行しており、早急な対応が求められる状況になっています。
 先日、このマンションの貯水施設から水漏れが発生したことから、都の担当者にも現地に来てもらい、見ていただいたところです。
 この民間マンションには、都が白鬚東地区の防災拠点を整備する際の市街地再開発事業に協力していただいた権利者の方も多く入居されております。さらに、このマンションの居住者の方々は、都の防災計画に協力する形で、自分たちのマンションで必要な水量以上の貯水施設を管理してきているという点からも、一般のマンションと同列に論じることはできないのではないかと、そのように考えています。
 そこで、このような民間マンションの貯水施設については、これまでの経緯を踏まえ、都が所有する貯水施設とあわせて維持更新、管理を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○飯尾都市整備局長 白鬚東地区は、都施行の市街地再開発事業により、防災拠点として、高層住宅、公園などを一体的に整備した地区でございまして、現在、隣接する木密地域を含む周辺地域の震災時の避難場所に指定されております。
 こうした経緯により、本地区の都営住宅や民間マンションの地下に設置されております貯水施設につきましては、これまで防災拠点の完成時の想定に基づく水量を確保してまいりました。この貯水施設の維持管理等につきましては、これまでの経緯や、今後修正が予定されている東京都地域防災計画を踏まえ、適切に対応してまいります。

○加藤委員 この防災団地の管理を担う都市整備局として、ぜひともしっかり取り組んでいただくよう要望しておきます。
 次に、先ほど述べた区東部二次保健医療圏にある東京都リハビリテーション病院、ちょっと長いですので東リハというふうに呼ばせていただきますけれども、平常時は、東京都におけるリハビリ医療の中核として、また災害時には、白鬚東防災拠点内における医療救護活動の拠点に転換するという複合目的を有する病院として、平成三年に全面開設いたしました。
 同年、東リハ病院の災害時医療救護計画を策定し、平成二十一年には、東京都及び墨田区の地域防災計画等の改定に伴い計画を改定し、災害用備蓄リスト等の見直しを行い、患者四百十名、医療スタッフ等二百名を想定し、約六百十名が七日間、自給自足を行えるよう、必要物品を備蓄しております。
 また、災害時に、白鬚東防災拠点における医療救護活動の拠点としての役割を果たすため、墨田区が主催する墨田区総合防災訓練に地区医師会等とともに年一回参加するとともに、白鬚東団地自治会が主催する防災訓練にも参加し、トリアージ訓練を行うなど、連携をとっていると伺っております。
 こうした白鬚東地区における取り組みは大変貴重であり、十分活用して、区東部二次保健医療圏の災害医療体制の整備を進めていくことが重要であると考えます。
 そこで、今後の区東部二次保健医療圏の災害医療体制について伺います。

○杉村福祉保健局長 区東部二次保健医療圏では、地震等大規模災害に備え、現在、八つの災害拠点病院を指定しており、このうち都立墨東病院が中核となり、連携して重症者等に対応する体制を整えております。
 また、お話の東京都リハビリテーション病院は、災害拠点病院ではございませんが、白鬚東防災拠点内に位置し、災害時には地域における医療救護活動の拠点となり、地元医師会の応援を得て傷病者への対応を行うことといたしております。
 今後、都では、二次保健医療圏ごとの特性に応じた災害医療体制を構築するため、地域災害医療連携会議の設置を予定しておりまして、区東部二次保健医療圏におきましても、この連携会議で東京都リハビリテーション病院の活用を含め検討を行い、地域の災害医療体制の強化に努めてまいります。

○加藤委員 地元の人が東リハに対する期待は非常に大きいものがあります。
 先日、同病院を訪れまして、スタッフの方と意見交換いたしましたが、東日本大震災を受けて、医師の応援体制などさまざまな課題が出ていますので、地域災害医療連携会議でよく協議して対策をとっていただきたいと思います。
 次に、木造住宅密集地域対策について伺います。
 都が進める木密不燃化十年プロジェクトには、なかなか進まない木密地域の解消に向け、都と区が連携して不燃化を強力に推進することになっています。そのために特別の支援として、地域の状況に応じ、従来より手厚い支援を実施するとあります。
 木密地域が解消されない理由の一つとして、例えば道路拡幅での立ち退き対象者が、住みなれた地域からやむなく違う地域に移転することはなかなか難しいと思います。高齢者や地元で事業を営んでいる場合はなおさらで、できるだけ同じ地域に残れる支援策が必要だと思います。そうした場合、住みなれた地域で共同化などに使える種地があれば、等価交換などで移転がしやすくなると考えられます。
 そこで、木密地域の不燃化に向けて事業を円滑に進めていくためには、種地を確保することが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○飯尾都市整備局長 木密地域において、建物の共同化や生活道路の整備を円滑に進める上で、種地となる土地の確保は、お話のとおり重要であると認識しております。
 不燃化特区制度では、木密地域の改善に積極的に取り組む区に対し、期間と地域を限定して特別の支援を行うこととしておりまして、その支援メニューの一つとして、都有地を種地とすることを想定しております。
 今後、先行実施における取り組みなどを踏まえ、区とも協議しながら制度の具体化を図ってまいります。

○加藤委員 墨田区としては、都の総合危険度一位の墨田三丁目地域などを木密不燃化十年プロジェクトの不燃化特区として申請したいと伺っております。その中には、現行では道路拡幅の対象となっていないものの、建物の共同化など、事業推進に協力的な種地となる民地があり、それを区は活用したいと考えております。
 未利用の都有地を種地として区に提供していただければ、ここの不燃化事業は大きく進みます。ぜひ先行実施地区への採択と鐘ヶ淵通りの沿道一体整備事業二期工事の早期事業認可を要望いたします。
 また、墨田区は、今回、国の援助を受け、新年度の事業として、窓など開口部の改修や壁に防火パネルを張るなど、耐火力アップのための防耐火改修に対する助成措置を行う予定と聞いております。都の財政支援もご検討いただきたいというふうに思います。
 次に、看護師の離職防止対策について伺います。
 ことし二月に日本看護協会が発表しました二〇一一年病院看護実態調査結果速報によれば、看護職員の離職率は、二〇〇八年から三年間、わずかながら減少傾向にあるものの、大都市部は依然として高く、東京都では常勤看護職員が全国平均一一・〇%に対し、一四・六%と全国で最も高い数値となっております。
 この数字が示すとおり、看護師の離職の多さについては多くの病院が頭を悩ませており、私の地元でも多くの病院からリクルートに多大な経費と労力を費やしてせっかく採用してもすぐにやめてしまうという話を聞きます。
 ある二次救急の病院では、看護師のリクルートに一人八十万円から百万円かけても、半年でやめられてしまって困っていると、そのように嘆いておられました。
 看護師の人数に応じて診療報酬が多く入る仕組みのため、求められるサービスを提供しようと思って人員をそろえると、かえってお金がかかり、病院の経営体力を弱めてしまう結果となっております。
 看護師の離職を防止するためには、医療現場の勤務環境の改善や向上とともに、看護師がプライドとやりがいを持って仕事に取り組めるよう、経験に応じたキャリアを形成できる教育や研修体制を整えることがかぎとなります。また、努力して習得した知識や技術を職場の中で生かせる環境をつくることも重要であります。
 そこで、質の高い看護人材を確保し、定着を進めていくため、中堅看護師のモチベーション向上やキャリア支援に取り組む必要があるのではないかと考えます。都の取り組みを伺います。

○杉村福祉保健局長 看護職員の早期離職を防止し、定着促進を図りますため、都は、平成十九年度から医療機関における新人職員の研修体制の整備を支援してまいりました。
 また、今年度から、二次医療圏ごとに配置をした就業協力員が、職員の確保が困難な中小病院を巡回訪問いたしまして、勤務環境の改善や教育体制の充実について指導助言等を行う事業も始め、看護職員の定着対策を推進いたしております。
 こうした取り組みに加えまして、来年度は、中小病院における看護職員の専門性を高め、働き続ける意欲を向上させるため、糖尿病やがんなどの認定看護師の資格取得について、研修受講料や認定審査料を補助するなど、新たな支援策を講じてまいります。

○加藤委員 認定看護師がふえることによりまして、患者にとっても手厚い看護が受けられると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、リハビリテーション医療の充実について伺います。
 先ほど申し上げましたが、地元墨田の東リハは、災害時の地域医療活動の拠点でありますが、ふだんは区東部二次保健医療圏の地域リハビリテーション支援センターにも指定をされております。
 急速な高齢化の進展の中、高齢者が寝たきり状態になることを防ぎ、地域において安心して生活していくためには、急性期を脱した後も、回復期、維持期まで切れ目のないリハビリテーション医療を提供していくことが必要であります。
 都内の回復期リハビリテーション病床確保のため、都は、二十一年度より独自の整備費補助を実施し、整備促進に取り組んでおりますが、ハード面の取り組みに加えて、地域におけるリハビリテーション提供体制を充実させていくことも重要であります。
 同病院は、墨田区が行っている在宅リハビリテーションの体制充実への取り組みに対して、地元医師会等関係機関と連携しながら支援を行っております。
 こうした取り組みは、地域リハビリテーションの充実に非常に重要であると考えますが、都内全域に浸透しているかといえば、各地域に差があるのが現状であります。これからは都内全域で地域リハビリテーション提供体制を底上げしていく取り組みが必要だと思います。
 そこで、二次保健医療圏ごとに設置している地域リハビリテーション支援センターが、地域におけるリハビリテーション病院を積極的に支援していくことが必要と考えますが、都の取り組みを伺います。

○杉村福祉保健局長 都は、地域のリハビリテーション体制を一層充実するため、今年度、都内で十二カ所指定をしております地域リハビリテーション支援センター、その共通の役割といたしまして、理学療法士等の技術力の向上、介護リハビリテーションに対する支援、そして、関係者の連携強化の三つの柱を掲げまして取り組みの強化を図りました。
 各センターでは、こうした役割に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を対象とした症例発表会の開催や、介護支援専門員に対する研修、関係機関による地域連絡会などを実施いたしております。
 さらに、地域の脳卒中医療連携検討会への参画や、高次脳機能障害者やその家族への研修会の開催など、各センターが持つ強みを生かした取り組みも行い、地域のリハビリテーション体制の充実を図っております。

○加藤委員 介護リハビリテーションに対する支援は、訪問介護や通所介護などの介護サービス量が年々増加していることを踏まえますと、非常に重要と思います。地域の実情に合ったリハビリテーションが求められていることから、センターの役割を明確に位置づけたことは的を射たものと思います。
 高齢者が安心して在宅生活を送る上で、介護サービスを利用する高齢者のニーズに十分こたえていくには、リハビリテーションの知識を持つケアマネジャーの存在が不可欠であります。
 そこで、ケアマネジャーに対するリハビリテーション研修の内容を充実させることが重要であると考えますが、具体的な取り組み内容について伺います。

○杉村福祉保健局長 介護支援専門員がリハビリテーションに関する知識を高め、適切にケアプランに組み込んでいけるよう、都は今年度から、地域リハビリテーション支援センターが介護支援専門員を対象に実施をいたします研修用のテキストを新たに作成いたしております。
 今年度のテキストは、介護が必要となった原因として最も多く、適切なリハビリテーションの実施が重要であります脳卒中をテーマとし、医師などの医療従事者のほか、介護支援専門員がさまざまな視点から検討を行い、リハビリテーションに加え、再発予防のための健康管理や日常生活で注意すべき点等を盛り込んでおります。
 来年度も、高齢者に多い他の疾患をテーマにテキストを作成するなど、引き続き介護支援専門員の研修の充実に努めてまいります。

○加藤委員 脳卒中は再発予防が本当に大切です。二度、三度と繰り返すことによって、だんだん重症となってまいります。そうした意味で、今後の取り組みに期待をします。
 次に、宝くじについて伺います。
 宝くじの売り上げは、東京都が全国で一番だと聞いております。また、全国で発売されているジャンボ宝くじやロト6などは、東京都が事務局となって販売していることから、財務局は、宝くじの売り上げに関して深く責任のある立場にあると思いまして質問をいたします。
 宝くじの売り上げは地方自治体の貴重な収入源であり、さまざまな分野の公共事業に活用されているところですが、平成十七年度の一兆一千億円をピークに、年々売り上げが落ちている状況にあります。景気の動向の影響は大きく、個人所得の減少などから、宝くじを買おうという意識がなかなか働かないのかもしれません。景気の低迷が続く中、宝くじの売り上げを増加させていくことはたやすいことではなく、大変な努力をしなければならない課題だと思います。
 しかしながら、宝くじは、近年、新しい賞金の商品を出すこともなく、例えば一等賞金六億円のスポーツ振興くじであるtoto BIGなどと比べて少々工夫に欠けていたのではないかと考えます。そろそろ魅力ある商品、売れる商品を打ち出していくことで、宝くじそのものの魅力を高め、存在感を高めていかなくてはならない時期に来ていると思っていたところ、最近では、復興支援くじとして、一等前後賞合わせて五億円のグリーンジャンボ宝くじを販売して話題になっているようであります。
 そこで、このグリーンジャンボ宝くじは、どのような考え方で発売を決定し、どのような工夫をしたのか、また、売上動向はどうなっているのか伺います。

○安藤財務局長 今回の東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじは、東日本大震災で被災されました県や指定都市が行う震災復興事業を宝くじの収益金により支援するために全国で発売することとなりました。
 収益金を確保するための販売強化策といたしまして、宝くじ史上初の一等前後賞合わせて五億円のくじとすることにより、幅広い層にアピールすることで、購買意欲の向上につなげていくことをねらいといたしました。
 さらに、新たなジャンボ宝くじのイメージキャラクターによるコマーシャルの展開や、今回に限りではございますけれども、被災地の金融機関、コンビニエンスストアでも宝くじを販売するなど、売り上げ向上を図ったところであります。
 また、被災地支援の一環としまして、被災地の特産品が三千三百名に当たるキャンペーンもあわせて実施いたしました。
 発売は昨日までとなっておりまして、最終的な実績は集計しているところでございますが、当初の発売計画額六百六十億円を大幅に上回り、約千百億円となり、昨年度に比べ二・四倍程度の売り上げになるというふうに見込んでおります。

○加藤委員 一等賞金に目新しさがあるということなどから、なかなか好調な売り上げとなっているようですけれども、多くの方に継続して宝くじを買っていただくためには、その使い道についても、わかりやすく説明していくことが大切です。
 宝くじの収益金は、東京都でいえば、公園整備、河川整備のほかに、最近では認証保育所、少子化対策などにも使われており、二十四年度予算案では約六百五十七億円と税収が落ち込む中、地方独自の財源として非常に重要なものとなっています。
 しかし、多くの都民の方々は、このことについて余り知らないのではないでしょうか。今回のグリーンジャンボは、復興支援を前面に打ち出しているので非常にわかりやすく、多くの方の購買意欲につながったのではないかと思います。
 宝くじの発展に向けて、今後は、より魅力ある新商品の開発なども必要です。現在の数字選択式宝くじのロト6に加えて、今後はロト7などの新商品も検討されていると聞いていますが、こうした新商品を打ち出し、多くの新たなファンを獲得するためにも、宝くじが社会に役立っていることを十分に知ってもらうことが重要だと考えます。
 そこで、宝くじの収益金の使途や社会に貢献しているということを広くPRしていくことが大切だと考えますが、所見を伺います。

○安藤財務局長 宝くじ購入者の方を初め、広く都民の方に対しまして、収益金がどのような施策に活用されているのかということをPRしていくことは非常に重要だというふうに思っております。
 都の場合におきましては、認証保育所事業などの少子化対策に重点的に充当するなど、その恩恵を実感しやすく、また、わかりやすい事業に重点的に充当しております。
 また、宝くじのマスコット、クーちゃんと呼んでおりますけれども、これを活用した広報を行ってきましたが、今後はこれまで以上にわかりやすく積極的な広報を展開してまいりたいと思います。
 具体的には、各発売団体により、宝くじの収益金を充当した施設に宝くじのマスコット入りプレートを表示したり、ホームページを活用した充当事業の広報などを展開していきたいと思います。
 さらに、テレビのコマーシャルなどを活用いたしまして、各発売団体の代表的な充当事例をアピールするとともに、宝くじのブランドイメージを高めるようなコマーシャルの展開も図ってまいりたいと思います。
 また、宝くじファンサイトの立ち上げや、外れ券を活用したキャンペーンの実施を行うなど、さまざまな工夫を凝らしてイメージアップを図りまして、一人でも多くの方に宝くじの重要性を理解していただくように努めてまいりたいと思います。

○加藤委員 次に、宝くじが将来にわたって多くの人に愛されるよう、その販売体制について確認したいと思います。
 昨年末には、国の方で有識者による宝くじ活性化検討会が開催され、当せん金の最高倍率の引き上げなどが提言されました。これを受けて、現在法改正の審議が参議院でなされていると聞いております。
 提言の中には、インターネット販売やコンビニ販売などの販売チャネルの拡充も提言されておりますが、そうした取り組みによる消費者の利便性の向上を図る一方で、現在の全国にある売り場網をきちんと維持し、ジャンボくじといった主力商品が確実に売れる体制も確保しなければなりません。
 宝くじは、駅前などの便利な場所に売り場網を整備していることも魅力の一つであり、対面売り場で購入することを楽しみにしている人も多いのではないかと思います。確かにインターネットなら手軽にクリックするだけかもしれませんが、テレビで報道されているように、一等が多く当たった窓口に並んででも買いたいとか、わいわいしゃべりながら待っていること自体が楽しいとか、お祭り好きといいますか、そういう風景があってもいいのではないかと、そのように思います。こうした売り場が今後もきちんと運営され、どこでも手軽に購入できる体制をつくることが大切です。
 そこで、法改正の動向を踏まえ、既存の売り場にも配慮しながら、宝くじの売り上げ向上に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、所見を伺います。

○安藤財務局長 お話の法案は現在参議院で審議中でございますけれども、それによりますと、一等賞金は、くじ単価の二百五十万倍となることから、例えば三百円のくじでありますれば、最高七億五千万円までの賞金の宝くじが理論上は可能となるわけでございます。
 また、電磁的な記録による宝くじの販売が可能となり、インターネット販売が行いやすくなるなどのメリットもございます。
 今後、賞金の条件につきましては、一等賞金が高額の宝くじや当たりやすい宝くじなど、商品の多様化を図るとともに、購入する方の利便性を高めるために、インターネット販売を進めてまいります。
 その際はお話のように、既存の売り場網への影響が出ないよう、新商品の開発などを同時に進めるなど、宝くじ全体の売り上げが向上するように、さまざまな工夫と配慮を行いながら、東京都が中心となって全国の発売団体で議論を進めてまいりたいと思います。

○加藤委員 宝くじは、多くのファンの方に支えられてきたという側面があることを常に認識しつつ、今後の活性化策を進めていただきたいと思います。
 次に、東京スカイツリーがいよいよ五月二十二日にオープンをいたします。多くの観光客が見込まれており、地元区や周辺区もこの機会を生かそうとさまざまなイベントを計画しております。
 また、日本じゅうでタワーブームの波も高まっており、全国二十のタワーが加盟するタワー協議会では、スタンプラリーも行っております。三・一一の地震がなければ、昨年十月に、世界的に有名な三十以上のタワー代表者が東京に一堂に会し、世界大タワー連盟総会が開催される予定でありました。新たなランドマークの誕生は、観光産業のみならず、広範囲に波及効果が期待できる景気回復の大きなツールであります。
 同時にスカイツリー周辺のまちづくりも進んでおり、駅前広場や区道の拡幅、河川の整備などが行われております。
 スカイツリー開業後は、観光客のさらなる増加が見込まれますが、一方で、東武伊勢崎線業平橋駅付近に残る二号踏切により、交通渋滞が増加することが懸念されています。
 こうした課題解決に向けて、墨田区は、昨年秋、区が施行者となって、東武伊勢崎線業平橋駅付近の連続立体交差化や周辺の基盤整備、まちづくりに取り組むことに踏み切りました。鉄道の立体化とともに、駅周辺の基盤整備やまちづくりが進められれば、鉄道で分断されているスカイツリー周辺の地域が一体化され、多くの人が来訪する一大拠点にふさわしいまちづくりが実現することになります。
 そこで、多額の事業費を要する連続立体交差化を早期に実現するためにも、都は墨田区を積極的に支援することが必要であると考えます。東武伊勢崎線業平橋駅付近の踏切解消に向けた都の取り組みについて伺います。

○飯尾都市整備局長 東武伊勢崎線第二号踏切は、平成十六年度に都が策定した踏切対策基本方針において、重点踏切の一つに選定され、鉄道立体化以外の対策を検討する区間に位置づけられておりました。
 その後、本地区においては、東京スカイツリーに合わせて、地元墨田区が土地区画整理事業などのまちづくりに取り組み、昨年秋にはみずからが施行者となり、鉄道の連続立体交差化や関連する道路整備を行うことといたしました。
 都としては、こうした地元区の主体的な取り組みを踏まえ、技術的な支援や鉄道事業者等関係機関との調整を行うなど、鉄道立体化の実現に向け、積極的に協力してまいります。

○加藤委員 最後に、先日、山崎墨田区長が春季慰霊祭に出席されました知事に対しまして、東京スカイツリーのオープンイベントにぜひ出席していただき、テープカットをお願いしたいと要請されたと思います。オープンイベントに出席していただくとともに、東武伊勢崎線二号踏切や周辺まちづくりの状況をあわせて視察していただければ幸いです。もし都合がつかなければ、改めて日程をとっていただいて、現場の状況をぜひ見ていただきたいことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。(拍手)

○鈴木(貫)副委員長 加藤雅之委員の発言は終わりました。

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