予算特別委員会速記録第四号

○大塚委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 三宅正彦委員の発言を許します。
   〔委員長退席、鈴木(あ)副委員長着席〕

○三宅委員 初めに、エネルギー政策についてお尋ねします。
 昨年、三十一年ぶりに貿易収支が赤字になりました。東日本大震災で原発が停止し、火力発電に切りかえられた結果、原油や天然ガスなどの輸入がふえたのが主な要因といわれています。今後、中東情勢や為替相場の変動から燃料の高騰も予想され、原発が再稼働できない場合には、現在の日本経済の状態から貿易収支はさらに悪化することになると考えられます。
 エネルギー安全保障の観点、経済的観点、また、地球温暖化対策の観点からも、安全が確認された原発は再稼働が必要であると思います。
 一方、代替エネルギーを確保するため、再生可能エネルギーの利用を進めることも重要です。東京都は、二〇二〇年までに、東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%に高める目標を掲げていますが、そのためには多様な取り組みが必要であり、地域のモデルとなる先進的取り組みを展開していくことも有効と考えます。
 例えば、デンマークのサムソ島は、風力発電、バイオマス、太陽光発電などを活用しながら自然エネルギー一〇〇%供給を達成しており、島しょ地域における自然エネルギー活用のモデルとなっています。
 東京に目を転じれば、自然に恵まれ、周囲を海に囲まれた伊豆・小笠原諸島は、このような自然エネルギー活用の地域モデルとなるポテンシャルを秘めているとも考えられます。
 実際、八丈島では風力発電、地熱発電が行われていますし、波力発電については、神津島海域において地元漁業者の理解のもと、実証実験に向けた取り組みがスタートしており、将来の海洋エネルギー開発に向けた先進事例として期待されています。
 そこで、今後の島しょ地域における自然エネルギー活用の取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 東京の島々、伊豆七島から小笠原にかけての島々は、まさに美しい自然に恵まれた真珠の首飾りにも例えられるような、首都圏にとっていやしの空間でありまして、太陽の光も、都心よりははるかにたくさん降り注いでおりますし、決して穏やかではない海洋の波の力、潮力など、自然エネルギーの宝庫であると思います。
 特に、波力発電については前からいわれておりましたが、私もずっと長い間ヨットをやっていますけれども、このごろどういうわけか、日本の近海の風力が総体的に落ちてきた気がするんですけれども、ただ、潮の流れは、これは変わっておりませんで、八丈小島と本島の間のあの潮の流れは驚異的で、私たちいつもレースのときにてこずるんですが、ああいったものをやっぱりもっと大がかりにエネルギーとして活用できないのかなと、いつも思っております。
 いずれにしろ、この個性豊かな、多様な可能性を有している島しょの地域で、自然エネルギーの活用モデルを先進的に取り組むということは極めて有意義だと思っております。
 風力発電も、あちこちで見られますし、先般も、オリンピックのときにコペンハーゲンに行きましたが、あの非常に浅い海に風力発電の風車が林立しておりましたけれども、一つや二つつくっても、これは余り費用対効果で私は意味ないと思うんですね。むしろ、そんなことよりも、潮の強さみたいなものを利用するということは、これから大きな可能性があるんじゃないかと思っております。
 八丈の地熱発電なんかは見学いたしましたが、いずれにしろ、これからは、島しょ地域では、民間事業者や大学の研究などと連携して、こういった自然の力を活用して電力に振り向けるという、そういう研究が積極的に行われたら大変結構だと思っております。いずれにしろ、伊豆七島こそが、自然エネルギーの利用の地域モデルとなるべく努力していきたいものだと思っております。

○三宅委員 ありがとうございました。産業振興や観光資源ともなると思いますので、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
 次に、防災対策についてお尋ねします。
 東日本大震災以降、首都東京の震災対策はますます重要な課題となりました。とりわけ緊急輸送道路は震災時における広域的な救援活動や、復旧、復興の大動脈となることから、その沿道建築物の耐震化を一刻も早く進める必要があります。
 こうした中、都は条例制定後、夜間、休日も含めた個別訪問や説明会の開催を行い、所有者への働きかけを積極的に行ってきたと聞いております。
 都の取り組みによって、所有者の意識も徐々に高まっていると思いますが、それを具体的な行動にしっかりつなげていくためには、所有者はもとより、幅広い関係者が、それぞれの役割を果たし、連携して取り組むことが重要です。
 そこで、初めに、所有者の耐震診断に向けた行動を促すために、都はどのような取り組みを行っているのか、また、現在までの成果について伺います。

○飯尾都市整備局長 耐震診断に向けた所有者の主体的な取り組みを促しますために、都は、診断が義務づけされているすべての建築物約五千棟を対象といたしまして、個別訪問や説明会の場におきまして、条例の趣旨や耐震化の必要性などを直接伝えてまいりました。
 また、昨年の八月には、沿道耐震化ホットラインを開設いたしまして、休日や夜間も受け付けが可能な日を設けるなど、所有者からの相談や問い合わせにきめ細かく対応しております。
 さらに、専門技術者を現地に派遣する制度も開始いたしまして、建築物の状況等を確認した上で、具体的な診断の進め方につきまして、所有者に詳細な説明や助言を行っております。
 これまでのホットラインの利用件数は延べ約三千件、技術者派遣の申込件数は約四百件となっておりまして、既に約二百件の耐震診断の着手に結びついております。

○三宅委員 引き続き取り組みを強化されることを、強く要望したいと思います。
 今回の条例は、緊急輸送道路の災害時の機能を確保するため、広域的な視点から都が制定したものですが、施策の効果を発揮するためには、区市町村との連携も不可欠です。
 条例のポイントである耐震診断の義務化は四月から施行されますが、耐震化の推進に向け、区市町村の体制と連携がどのようになっているのか伺います。

○飯尾都市整備局長 条例施行後に実施した個別訪問や説明会では、都の職員に加えまして、区市町村の職員も一緒に参加しておりまして、連携した取り組みを進めておるところでございます。
 こうした取り組みなどによりまして、都と区市町村との共通認識が十分図られ、平成二十四年度からは、多くの区市で都の改修工事助成に上乗せをするなど、助成制度が拡大される予定でございます。
 さらに、建築行政や耐震改修促進法を所管している区市に対しまして、条例に基づく指導、指示などの権限を委任することによりまして、地元の事情に応じたきめ細かい機動的な対応ができるようにいたしました。
 今後とも、都としては、区市町村と緊密に連携し、耐震化に向けた取り組みを所有者に積極的に働きかけてまいります。

○三宅委員 ぜひ地元の事情を熟知している区市町村と連携して、すべての建築物の耐震診断が一刻も早く実施されることを希望したいと思います。
 次に、建築物の安全と安心を確保するためには、診断後、耐震性能が満足しない場合には、改修工事に速やかにつなげていくことが重要です。
 さきの我が党の代表質問において、耐震改修につなげるため、建設業の団体との新たな連携の仕組みを構築するとの答弁がありましたが、そのねらいと、具体的にどのように進めていくのか伺います。

○飯尾都市整備局長 所有者の方々からは、信頼できる施工業者をどう選ぶのか、工事費の見積もりをどのようにとればいいのかといった耐震改修を進める上での相談が多く寄せられております。
 そこで、都は、民間の技術力や実績を生かしまして、所有者の耐震化に向けた主体的な取り組みにつなげていきますために、建設業の関係団体との新たな連携の仕組みを構築することといたしました。
 既に仕組みづくりに向けた話し合いを進めているところで、今後は、相談窓口や施工業者の紹介の方法、役割分担などにつきまして、具体的に協議を進め、速やかに協定を締結いたします。
 所有者がより安心して耐震化に取り組める環境を整備することによりまして、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進してまいります。

○三宅委員 関係団体との協議を精力的に進め、できるだけ早く協定を締結されることを要望いたします。
 答弁にあったように、所有者、行政、民間、それぞれが大きな連携の中で耐震化の推進にしっかり取り組んでいただき、早期に実績を上げることを期待したいと思います。
 次に、多摩山間部と島しょ地域の道路整備について伺います。
 都は、東日本大震災を受け、計画期間の半ばを迎えた「十年後の東京」計画を充実強化した「二〇二〇年の東京」計画を公表し、大震災後の都政運営の中長期的な道筋を明らかにしました。
 この計画の中で、高度な防災都市を実現し、東京の持つ安全性を世界に示す目標に向けた施策の一つとして、多摩山間部や島しょ地域の道路整備が新たに取り上げられました。
 また、さきの震災における被災地の復旧、復興に当たっては、改めて道路の重要性が認識されました。
 これらの地域は、急峻な地形などから被災した東北地方と同様に道路が限られており、主要な道路の整備は、地域の振興を図るだけでなく、防災性の向上に大いに資するものと考えます。
 私の地元、大島の一周道路では、平成二十年に波浮港付近で、沿道の急斜面から直径四メートルほどの大きな落石がありました。道路の半分以上を遮ってしまったため、全面通行どめになり、現在、防災性の向上に資する大滝橋という新しい橋梁による道路のつけかえ整備が進められています。
 そこで、大滝橋の整備状況と事業効果についてお伺いいたします。

○村尾東京都技監 都道大島循環線は、島民の日常生活や観光、経済活動を支え、自然災害など緊急時には避難路となる極めて重要な役割を担っております。
 平成二十年二月の差木地地区の落石による通行どめに伴い、暫定的に町道を迂回路と確保しつつ、五郎川を橋梁で渡る新たなルートの整備を進めてまいりました。
 明後日には、大滝橋を含む事業区間二百七十メートルが完成し、新ルートの交通開放を行います。
 これにより、落石の危険性がある斜面を回避し、急カーブが解消されることから、本整備区間における安全性が飛躍的に向上し、島内の循環線の機能が回復いたします。

○三宅委員 整備が着実に進められていることがわかりましたが、今後も島しょ地域の防災性を強化するためには、災害時の避難路を確保するなど、引き続き道路整備を進めていく必要があります。
 そこで、島しょ地域の防災力強化に資する道路整備の今後の取り組みを伺います。

○村尾東京都技監 島しょ地域の防災力を強化するには、島内の集落間を結び、港湾、空港などを連絡する都道につきまして、現道の安全性向上や代替路の整備を進めるなど、災害に強い輸送ネットワークの構築が重要でございます。
 このため、大島循環線の道路拡幅や線形改良、神津島における長浜多幸線を補完する新たな代替路整備など、緊急時に迅速な避難、復旧活動が行われるよう、都道の整備を着実に推進いたします。
 今後とも、島しょ地域の振興や防災力の強化を図るため、豊かな自然環境や観光資源などを生かしつつ、島民の命綱といえる都道の整備に積極的に取り組んでまいります。

○三宅委員 実は今月五日には、神津島で大雨により都道の斜面が崩落いたしまして通行どめになっております。復旧に向けて動いていただいておりますが、改めて防災力強化に向け、道路整備を着実に行っていただきたいと思います。
 ところで、「二〇二〇年の東京」計画には、多摩川、秋川沿いの一本しかない幹線道路の代替道路として、これまで我が党の林田議員が事業推進に尽力してきた多摩川南岸道路や秋川南岸道路が新たに位置づけられました。これらの道路の早期完成は、地域住民の長年の願いであることから、地元は大変期待していると聞いております。
 そこで、これらの道路の整備状況と今後の取り組みについてお伺いします。

○村尾東京都技監 多摩川及び秋川の南岸道路は、山間地域の生活を支えるとともに、観光振興や防災性向上を図るため、対岸を走る幹線道路の代替路として新たに整備する極めて重要な道路でございます。
 このうち、多摩川南岸道路は、奥多摩町内の計画延長約七キロメートルの道路で、西側約二・三キロメートルが既に完成しており、続く二・八キロメートル区間で、仮称城山トンネルや橋梁二カ所などの整備を進めております。
 一方、秋川南岸道路は、あきる野市から檜原村に至る計画延長約十四・五キロメートルの道路で、約二・九キロメートルが既に完成し、未整備区間につきましては、早期事業化に向け、道路線形の検討などを進めております。
 今後とも、地元関係者の理解と協力を得て、山間部の生命線ともいえる都道の整備に積極的に取り組んでまいります。

○三宅委員 今回の答弁で、防災上の観点から、多摩山間部や島しょ地域の道路整備を推進していくことがわかり、大変心強く思いました。
 これらの地域には、世界自然遺産の小笠原諸島や国立公園にも指定されている奥多摩湖周辺に代表される緑豊かな自然があります。地域の生活を支え、豊かな自然を生かした観光振興を促進するためにも、地域の防災力強化に資する道路整備を推進するようお願いしたいと思います。
 次に、漁村地域の防災力強化について伺います。
 昨年発生した東日本大震災では、被災地域の漁業生産活動を支える上で不可欠な冷凍冷蔵施設に甚大な被害が生じ、水産業復興の足かせとなっています。
 幸いにして、今回の震災による島しょ地域の水産業の被害は少なかったものの、東北地方の水産業の現状を見ると、島しょ地域の水産業においても、震災への備えを強化することが必要であると感じました。
 申し上げるまでもなく、輸送手段の限られる島しょ地域では、冷凍冷蔵庫などの漁業関連施設は漁業活動を行う上での生命線です。また、災害発生時、これらの施設が老朽化などで倒壊すれば、漁港や道路が使用不能になるなど、二次災害を引き起こし、復旧、復興の足かせともなりかねません。
 このため、都が緊急対策として五カ年の漁村地域防災力強化事業を立ち上げたことは高く評価いたしたいと思います。
 そこで、本事業の進捗状況と、今後の取り組み予定についてお伺いします。

○前田産業労働局長 お話のとおり、島しょ地域の漁業共同利用施設の中には老朽化したものも少なからず存在し、このような施設が地震で倒壊すれば、漁業生産活動の維持や漁港機能の確保にも支障を来します。
 このため、都では、島しょ地域の漁業共同利用施設の耐震化等、新たな対策が急務と判断し、震災後直ちに、漁村地域防災力強化事業を立ち上げました。
 本事業は、漁業共同利用施設を対象として、耐震診断や施設の耐震化などを行うものであり、本年度は、これまでに百三十一件の耐震化診断と、五件の耐震化が困難な施設の撤去に対し支援を行っております。
 今後とも、都は、漁村地域の防災力強化を集中的に進めてまいります。

○三宅委員 ぜひ速やかに整備を進めていただきたいと思います。
 次に、島しょ地域の観光振興について伺います。
 東京都には、豊かな自然や固有の歴史、文化などに恵まれ、それぞれが個性的な魅力を持つ島々があります。島しょ地域では、観光が主要な産業の一つとして位置づけられております。
 各島では、以前より、それぞれの島が独自に観光施設設備やイベント開催などの取り組みを行い、観光振興を図っているところですが、格安海外旅行の台頭などにより、競合する観光地がふえ、観光客数は、長期にわたり減少する傾向にあります。減少に歯どめをかけ、観光客を誘致するに当たっては、今までの取り組みを強力に進めることはもちろん、新たな取り組みも求められます。
 その一つの手法として、各島の連携強化を考えてみてもよいと思います。東京の島々は豊かな自然や食、楽しみ方など、共通して観光客にアピールできる魅力はたくさんあります。
 そこで、島しょ全体で認知度の向上を図るような、島同士の連携についても検討すべきと考えますが、所見を伺います。

○前田産業労働局長 島しょの観光振興のためには、それぞれの島が、その特徴ある観光資源を生かした個性的な取り組みを推進していくことが重要であり、都はこれまで、こうした考えのもと、各島の取り組みに支援を行ってまいりました。お話のように、今後は、これに加えて、各島が連携して東京の島全体の魅力向上を図り、旅行者誘致につなげることも必要であると認識しております。
 この三月には、被災者支援という観点から、東京諸島観光連盟を窓口として、福島県の被災者家族を各島に招待する事業が行われますが、これは各島の自主的な連携が形となってあらわれたものと考えております。
 今後は、こうした取り組みをきっかけとして、東京の島の魅力や存在感を高めることにつながる連携のあり方につきまして、東京諸島観光連盟や各島などの関係者が主体的に検討を進めるよう、都として働きかけてまいります。

○三宅委員 島しょの観光振興に当たっては、いうまでもなく、島しょ地域の魅力を広く伝えることが重要です。各島が共同して行う取り組みなど、連携のあり方について、本当、一番頑張らなきゃいけないのは島の方だと思うんですが、関係者で知恵を出し合って、ぜひ検討を続けていただきたいと思います。
 また、観光振興のもう一つの手法として、島しょ部にクルーズ客船の寄港を一層促進することが必要であると考えております。
 クルーズ客船は、豪華ホテル並みの居住空間を有する快適な移動手段であるとともに、寄港地の風景に花を添え、寄港地のイメージを向上させる効果があり、島の観光振興にとって有力なツールであると考えております。
 東京都は、東京港や島にクルーズ客船を誘致するために補助制度を創設するとのことですが、この制度の意義、内容について伺います。

○中井港湾局長 クルーズ客船を誘致するためには、観光地としての魅力を有するとともに、寄港に伴うコストが低いことが重要なポイントであります。
 このため、来年度から、東京港及び島しょに寄港するクルーズ客船を対象として、寄港コストのうち、大きなウエートを占める水先案内料や引き船料などの負担を軽減する制度を新たに導入することといたしました。
 とりわけ、クルーズ客船の島しょへの寄港を促進する対策は初めての取り組みであります。
 これを起爆剤として、震災以降低迷している東京港へのクルーズ客船の寄港回復につなげるとともに、長期的に低下傾向にある島しょ観光の回復に努めてまいります。

○三宅委員 クルーズ客船の寄港コストの低減は、すばらしい取り組みだと思います。こうした取り組みにあわせて、島しょの自治体と連携して、船会社や観光事業者に対する積極的な誘致活動を展開していただきたいと思います。
 クルーズ船誘致には、もう一つ、受け入れ側の港湾の問題もあると思います。
 大型クルーズ船が島の岸壁に着岸できないのは仕方ありませんが、クルーズ船の乗客が小型船に乗りかえて島に安全に上陸するためには、大型船が安定して停泊できる環境が必要です。
 小笠原では、父島の二見港に三万トンまでに対応できる係船ブイが整備されていますが、現在のクルーズ船事情を見ると、船の大型化が進んでおり、日本船では「飛鳥Ⅱ」が約五万トンであるのを初め、外国船では七万トンとか十一万トンを超えるような船も導入されております。
 このような大型クルーズ船運航事業者の中には、受け入れ体制が整っていれば小笠原寄港を検討したいという事業者もあると聞いております。
 このため、私は以前、経済・港湾委員会において、小笠原の係船ブイの大型化を提案しましたが、その検討状況はどのようになっているのか伺います。

○中井港湾局長 小笠原二見港の係船ブイについては、お話のとおり、現在の三万トン級の船を対象としたブイでは、近年のクルーズ船事情を考慮すると、必ずしも十分とはいえないと認識しております。
 このため、救急搬送に用いられる飛行艇の離着水水域との調整、上陸後の移動手段の確保等の問題を考慮しながら、対象とすべき船舶の大きさ等の検討を行ってきたところでございます。
 今後は、船舶に作用する風力や波力を算定し、係船ブイの改良を行うなどして、クルーズ船の大型化に速やかに対応できるよう努めてまいります。

○三宅委員 世界遺産に指定されて観光客も増加している今、本当に迅速に対応していただきたいと思います。
 また、島の人にとっても、クルーズ船が来るというのは、ふだんと違う環境ですので、すごい、いつもと違う、何ていうんですかね、新鮮な感じを受けますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 次に、伊豆諸島航路に就航する船舶の建造支援について伺います。
 伊豆諸島航路には複数の船舶が就航していますが、いずれも老朽化が進んでいます。地元の利用者からは、設備の不備や快適性の低下などを訴える声があり、運航事業者も航海速力の遅さや修繕費の増大を問題ととらえております。
 安定的な運航の維持のために、老朽化した船舶は順次更新していく必要がありますが、離島航路の収支は厳しい状態にあり、運航事業者が独力で代替船を建造していくのは困難です。
 この点については、これまでも繰り返し、都としての支援の必要性を訴えてきましたが、今後の都の取り組みを具体的に伺います。

○中井港湾局長 伊豆諸島航路に就航する船舶は全般的に老朽化が進んでおりますが、特に八丈島-青ヶ島航路に就航している「還住丸」、東京から八丈島を経て青ヶ島に至る航路に就航している「黒潮丸」については、早急な代替船の建造が必要であることから、運航事業者は、来年度、二隻の機能を一隻に統合した新船の建造に着手することとなっております。
 当該航路は、青ヶ島にとって、旅客、物資輸送のために欠かせないものでありますが、収支は常に大幅な赤字であり、運航事業者の経営基盤も脆弱であります。
 このため、都としても、航路の確実な維持、存続を図る観点から、代替船建造費の五〇%を補助することとし、平成二十四年度予算案に必要な補助金を計上しております。

○三宅委員 八丈島、青ヶ島を結ぶ航路は、青ヶ島にとって、文字どおり生命線であります。ここでの代替船建造について明確な支援を行うとしていることについては大変感謝しております。
 また、青ヶ島について、船が少しでも大型化されれば、就航率が上がりまして、いろいろな特産物の出荷もうまくいくと思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。
 都として支援するに当たっては、代替船の建造計画も精査していることと思いますが、利用者や運航事業者に、どのようなメリットをもたらすのか改めて伺います。

○中井港湾局長 八丈島-青ヶ島間で旅客、貨物を運ぶ「還住丸」と、主に東京から青ヶ島に貨物を運ぶ「黒潮丸」とを統合して新船とすることで、船体が大型化し、厳しい海象条件のもとでも運航が可能となります。これにより、八丈島-青ヶ島航路の就航率が上がり、青ヶ島へのアクセスが向上するとともに、物資のより安定的な輸送が実現いたします。
 また、老朽化した二隻を新たに一隻にすることで、運航事業者は、燃料代、修繕費、人件費などを節減することができ、航路運営の効率化を図ることができます。

○三宅委員 島民が望んでいる就航率向上に役立ち、運航事業者のメリットもあるということですので、ぜひ着実にお願いしたいと思います。
 次に、島しょ医療について伺います。
 都民の健康と命を守ることは都の責務であり、いつでも、どこでも、だれもが、よりよい医療を受けられるようにすることが医療行政の重要課題です。
 しかしながら、近年、医療を取り巻く環境は大変厳しく、島しょ地域におきましても、区部や多摩地域と比べ病床数が少なく、救急医療や専門医療が十分でないこと、また、島しょ町村が設置する医療施設の整備や高額な医療機器の更新、医療従事者の安定的な確保など困難な問題を抱えています。
 そのため、島しょ住民は入院を必要とする医療や専門医療につきましては、本土に行き、診療を受けることを余儀なくされています。急を要する場合は、東京消防庁や海上自衛隊のヘリコプターなどで救急搬送されることもあります。
 このような島しょ地域の厳しい環境の中で、特に医師の確保対策については、ますます困難な状況であると聞いています。
 現在も独自に確保している医師に加え、都や大学病院などから医師の派遣を受け、医療体制を維持している状況です。
 そこで、まず、来年度の島しょ地域への医師派遣の見込みはどのような状況か伺います。

○杉村福祉保健局長 現時点で、自治医科大学卒業医師を十名、僻地勤務医師等確保事業により大学病院等から十四名、合計で二十四名を十一の医療機関に派遣をする予定でございまして、今年度の二十五名と同程度を確保いたしております。

○三宅委員 大島医療センターの整形外科の医師は、平成六年から今年度まで大学病院から派遣していただいていましたが、三月いっぱいで、その大学病院からの派遣は終了すると聞きました。
 この大島医療センターの整形外科は、内科に次ぐ二番目の患者数で需要も多く、また、子どもから高齢者まで幅広い年齢層が受診する重要な診療科であると聞いています。
 現在、大島医療センターでは、医師確保に向け、さまざまな努力を続けています。
 そこで、島しょ町村から平成二十四年度の医師確保に関して、派遣終了などに伴い、都に協力依頼が出されたケースはあるのか伺います。

○杉村福祉保健局長 来年度の医師確保に関しまして、島しょの町村からは二件の協力依頼がございました。
 一件目は、小笠原村からでございまして、村立診療所で、今年度末に退職予定の医師の後任につきまして、昨年の七月に依頼がありまして、東京都が平成二十一年から実施をいたしております僻地医療支援機構職業紹介事業に応募のあった医師を紹介し、四月からの採用が既に決定いたしております。
 二件目は、お話の大島町からでございまして、都では先月、町からの依頼を受け、直ちに僻地勤務医師等確保事業の協力病院に対して、大島医療センターへの派遣要請を行っており、現在、町とともに鋭意働きかけを続けているところでございます。

○三宅委員 ぜひ、いろいろなところに強く働きかけを行っていただきたいと思います。
 島しょ地域における医師の確保には、遠隔地であるという地理的条件や人口規模が小さいなどの社会的条件による制約があることから、島しょ町村みずからの努力に加え、都の広域的な支援も必要だと思っております。
 島しょ地域の医師確保に対して、今後、都はどのように支援していくのか伺います。

○杉村福祉保健局長 都はこれまで、自治医科大学卒業医師の派遣や僻地勤務医師等確保事業による医師の派遣のほか、職業紹介事業などにより、島しょ地域の医師確保を支援してまいりました。
 また、島しょ医療機関に勤務する医師が、研修や休暇などで一時的に不在になる場合には、代診の医師を派遣するなど、医療体制の確保に取り組んできております。
 今後とも、こうした取り組みや、都が採用した医師を多摩・島しょの公立医療機関に派遣いたします地域医療支援ドクター事業など、あらゆる施策を活用いたしまして、島しょの町村と密接に連携しながら、安定的な医師確保に取り組んでまいります。

○三宅委員 ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
 最後に、島しょの津波対策について伺いたいと思います。
 島しょ地域におきましては、地震発生後非常に短い時間で津波が到達するおそれがあることから、港湾や漁港内に避難施設を整備する必要が高いと認識しております。特に、震源域となる相模トラフに近接し、十分な避難時間がとれないおそれのある伊豆大島の岡田港においては、避難施設の整備に早急に取り組んでいかなければならないと思っております。
 このような私の提案を受けまして、都においても船客待合所を避難施設の機能を持たせた施設として整備を進めていくと聞いておりますが、岡田港における避難施設整備の具体的考え方及びスケジュールについてお願いします。

○中井港湾局長 岡田港は、年間二十六万人が利用する伊豆諸島有数の港でありますが、相模トラフに震源を持つ大正関東地震の再来型の地震では、地震発生後四分程度で津波が到来するとされております。
 このため、岸壁に滞留している観光客等の速やかな避難に資するよう、岡田港の区域内に避難施設を整備することとし、平成二十四年度予算案に基礎調査費用を計上いたしました。
 調査においては、避難施設の位置、必要な高さや避難対象人員の設定等を行うとともに、老朽化が進んでいる船客待合所との合築など、広範な検討を行い、次年度以降の設計、整備事業へとつなげてまいります。

○三宅委員 整備に時間がかかるのは仕方ないと思いますが、スピード感を持って取り組んでもらいたいと思いますし、また、避難施設の計画に当たりましては、新しい知見を取り入れて十分な安全性を確保するとともに、船客待合所等の利用の併用も考えて、うまくやっていっていただければと思います。
 以上をもちまして、質問を終わります。(拍手)

○鈴木(あ)副委員長 三宅正彦委員の発言は終わりました。

ページ先頭に戻る