予算特別委員会速記録第三号

○鈴木(貫)副委員長 島田幸成委員の発言を許します。
   〔鈴木(貫)副委員長退席、委員長着席〕

○島田委員 いよいよ本日最後の質疑になりますが、まず、産業振興についてお伺いいたします。
 歴史的な水準となった円高などにより、我が国の製造業の空洞化の問題が取りざたされております。この東京においても、ものづくりの将来について厳しい見方がなされ、空洞化対策の必要性が強調されております。製造業の空洞化により東京の産業の力が弱まる事態は避けなければなりません。
 幸いにも、都内の多摩地域には、すぐれた技術を持つ中小製造企業が集積しておりますが、これ以外にも大手の企業の研究機関や理工系の大学など数多く存在し、東京の産業発展にとって高いポテンシャルを持つエリアとなっております。
 こうした多摩地域の力を十分に発揮することで、空洞化の危機は克服できると考えております。
 しかし、多摩地域の産業の基盤である工場の集積は厳しい現実にさらされております。私の選挙区、これは羽村市域の工業専用地域内において、現在、市外宗教法人による墓地経営計画が進められております。
 工業団地内の空き地、空き工場は、ニーズの変化や産業の新陳代謝を示すものとして多少の入れかわりはあったとしても、永年にわたる墓地が工業団地内に建設されてしまえば、産業集積を真に空洞化させ、工業団地として価値を低減させてしまうことになりかねません。
 このような懸念が地域の商工会や羽村市から多く上がっております。各地で産業空洞化は深刻な状況になっております。
 このような中、私の認識では対応が少し遅いかなというふうに思いますが、このたび東京都は、産業の空洞化を無秩序に進むのを防ぐ取り組みとして、ものづくり産業集積強化支援事業を計画しておりますが、まず、工業地帯が集積することによる意義とはどういうことなのか、お伺いいたします。

○前田産業労働局長 中小企業が一定の地域に集まって生産活動を行うことは、高度な分業やグループ化を図る上で効果的であります。また、お互いに協力し高め合うことにより、技術のレベルに加え生産や経営の面での対応力を引き上げて産業力の強化を実現することができます。
 このため、ものづくりの工程で不可欠な基盤技術の担い手である中小企業が、地域社会の中で確実に集積することによりまして、製造業におけるすぐれた技術力や将来の成長が期待される産業分野を伸ばすことが可能になるもの、このように考えております。

○島田委員 ご答弁にありましたように、工業地帯の集積の意義は大変大きいというふうに思っております。
 求められる工業地帯のあり方とは、単に個々の事業所が立地している状況をいうのではなく、インフラの整備等を含めた創業環境の充実、関連業種間の連携による競争力の強化、適正な競争と協力関係による経営力、技術力、産業力の向上など、集積することにより個々の企業の力が増強され、このことがさらに集積全体のポテンシャルを高めていくことが実現されている地域であるというふうに思っております。
 創業、進出の際にも、集積の強さや度合いが誘因となって工業地帯の価値も上がっていくものであります。このように工業地帯の集積の意義は大変大きいというふうに考えております。
 東京都では、ものづくり産業集積事業として二億二百万円が計上され、来年度は二自治体が対象となっております。都議会民主党では、研究開発機能の強化を含めた多摩シリコンバレーの取り組みを強く求めるなど、これまで機会あるごとに多摩の産業振興を求めてまいりました。
 また、今定例会代表質問で山下幹事長から、今年度、区部においては、アジアヘッドクオーター特区の指定を初め、未来に希望の持てる施策が打ち出されておりますが、多摩地域の産業振興により一層の力を入れていくべきとの強い要望がありました。
 このような観点から、多摩地域の産業振興のために、ものづくり産業集積事業を実施していくべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○前田産業労働局長 都は来年度から、ものづくり産業集積強化支援事業を開始し、さまざまな基盤技術を活用するものづくり産業が都内で生産活動を続けることができるよう、区や市町村と協力して支援を行います。
 計画をつくっていただいて申請したことになりますが、区域につきましては、区部及び多摩どちらも対象となります。
 具体的な支援に当たりましては、地域ごとの産業の実情を正確に把握している地元自治体、特別区、市町村との連携を十分に確保していく考えであります。

○島田委員 今ご答弁ありましたが、ぜひ市区町村と協力、支援し、また、地域の産業集積を正確に把握している市区町村との連携を十分に確保し、この産業集積事業を行っていただきたいというふうに思っております。
 地域のものづくりの集積維持に加えて、個々の企業が自社の技術を生かした高付加価値な製品を生み出すことにより、都内にとどまり生産活動を継続していく取り組みを支援することも重要であります。
 多摩地域には、計測・分析器、半導体・電子デバイス、ロボットといった産業の核となる分野の集積があり、都でもこれらの企業の技術を伸ばし産業の育成を図る方向であると聞いております。
 中小企業の最先端の技術開発に取り組むには、高度な知識やノウハウが必要となるので、多摩地域に数多く立地する大学や研究機関と連携することは効果的であると考えております。
 また、開発した技術を用いて新しい製品を生み出すとなると多額の資金が必要となるので、その資金を提供する金融機関の協力も必要となってきます。
 多摩地域のさまざまな主体が力を合わせて、地域の産業特性やメリットを最大限に引き出しながら、高い技術を有する中小企業の成長発展を支援していくべきだと考えております。
 多摩地域の中小企業の技術力の向上に当たり、都としてどのように取り組むのか、お伺いいたします。

○前田産業労働局長 すぐれた技術を持ちます多摩地域の中小企業が、大学や公的機関に加えまして金融機関とも連携することは重要と考えております。
 都は平成二十一年度より、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業を開始いたしまして、産学公金のネットワークをつくり、製品の共同開発に向けた検討などを支援してまいりました。検討中の開発テーマからは、製品化の見込める事例が出てきております。
 来年度は、これらを市場に出すためのさまざまなサポートをするマネジャーを配置いたしまして、支援体制を充実いたします。
 こうした取り組みにより、多摩地域の中小企業の技術力向上を支援してまいります。

○島田委員 製品化の見込める事例が出てきても、これらを市場に出していかなくては何にもならないわけであります。市場に出すために、消費者のニーズに合った商品開発を初め、さまざまなサポートが必要だというふうに思っております。
 今回新しい取り組みとして、都がマネジャーを配置し支援するということですが、ぜひこのようなことを進めていただきたいというふうに思っております。
 先日、土曜日ですけれども、私の羽村市のところにイベントがありまして、これは日野自動車があるんですけれども、そこで新しく、日本で初めて電気バスが開発されまして、そして、このバスが地域のコミュニティバスとして運用を開始すると、その式に出てまいりました。
 こうやって、地域でつくられたバスが地域で使われると。まさに地産地消なわけでありますけれども、こういうことが、この地域の誇りになると思います。東京の誇りであり日本の誇りである、こういう企業が多摩地域には多く存在しますので、ぜひ、それらの支援をよろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。
 特に羽村では、ちょうど桜のシーズンをもうすぐ迎えておりまして、玉川上水の出発点、羽村の堰は非常にきれいなところですので、ぜひ知事もお越しになって地域の課題について考えていただきたいというふうに思いまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、教育改革についてお伺いいたします。
 石原知事も今期から円卓会議を招集し、教育について幅広い議論を行い、次世代を担う人材育成について議論をしております。
 こうした中、東京都教育委員会では、都立高校改革推進計画を先ほど発表いたしました。都立高校改革における、特に中途退学者の対策を中心に質疑してまいりたいと思います。
 まず、現在の都立高校における中途退学の現状、認識をお伺いいたします。

○大原教育長 都教育委員会では、これまでの都立高校改革を通じまして、生徒の多様化に対応した新しいタイプの高校の設置などに取り組んでまいりました。
 その結果、全日制及び定時制都立高校の中途退学者数と中途退学率は、都立高校改革に着手いたしました平成九年度の七千七百五十九人、四・八%が、平成二十二年度には三千六百十人、二・七%にまで減少するなど、成果を上げてまいりました。
 しかしながら、いまだ三千六百人もの生徒が卒業することなく中途退学していることから、中途退学者数を減少させることが都立高校の大きな課題の一つであると認識しております。

○島田委員 中途退学者は年々減っているということですが、二十二年度で三千六百十人、これは全日制普通科高校の五校分に当たります。これはかなりの数の生徒が中途退学していく現状であるというふうに思っております。これは、教育長も大きな課題であると認識されているという答弁でございますけれども、この課題は都立高校改革の重要なテーマだと考えております。
 全日制普通科高等学校五校分に当たる三千六百十人、これだけ多くの中途退学者が出ているわけですが、その後、退学者はどうなってしまうのでしょうか。
 都立高校白書によると、学校等への編入、再入学、就職などの割合が多いわけでありますが、特に問題なのは、学校にも行かず就職もしていない者が該当するその他の項目が、二十二年度は平成九年度に比べて大幅に増加しているという点であります。これらの中途退学者がニートやフリーターの予備軍になっていると考えられ、大きな問題であります。
 中途退学後、何もしていない若者に対する教育委員会の対応についてお伺いいたします。

○大原教育長 都立高校を中途退学した後、就業も就学もしていない者に対しましては、社会的、職業的自立のために必要な能力や態度を身につけ、復学等、みずから次の進路を見出せるよう、若者の再チャレンジに向けた支援が必要でございます。
 その支援策を検討するに当たり、中途退学の原因等を分析する必要がございますことから、都教育委員会は、平成二十四年度に中途退学者を対象に、都立高校を退学するに至った経緯や背景、退学後の状況などの実態を調査いたします。

○島田委員 今、ご答弁ありましたとおり、今後新たな取り組みとして中途退学者を調査し、今後の対応を検討していくことは、一歩前進だというふうに考えますが、復学支援などの再チャレンジ支援策に対する具体策を早急に実施していただきたいというふうに思います。スピードが大事であるというふうに思います。このことを強く要望させていただきます。
 それと同時に、高等学校で中途退学者を減らす取り組みを強化していただきたいというふうに思っております。
 二年前、国は高等学校の無償化、そして私学には就学支援金を支給し始めております。これは、授業料の負担をなくし生徒の家庭の負担を軽減するとともに、これからの時代を担う若者に社会に出るために必要な教育を受け、そして最終的には、国のため、地域のために有益な人材になってもらいたいという強い理念のもとに実施されたものであります。
 このような政策の理念をよく理解し、すべての高校生に中途退学することなく、次の進路に進んでもらいたいというふうに思っております。
 高校無償化政策により、経済的理由による中途退学者の割合は減少しております。全国を見ると、平成二十一年、公立、私立を合わせて千六百四十七人が経済的理由による中途退学者の人数でありましたが、平成二十二年度には千四十三人と、六百人近く大きく減少しているわけであります。
 国会でも高校無償化、就学支援金による効果が検証されているところでありますが、特に公立、私立高校における経済的な理由による中途退学者が減少していること、これは大いに評価できるというふうに考えております。
 では、生徒たちはどのような理由で高校を中途退学してしまうのでしょうか。
 過去五年間の都立高校の中途退学者の理由別内訳を見てみると、二十一年には経済的理由による退学者は四十二人、全体の二%であったのが、二十二年には四人、〇・二%ということで、経済的理由による退学者は減少しております。
 ただ、中途退学の理由として、学業不振や学校生活の不適応など、これが二十二年で千五十人ということで全体の五五%以上あり、割合も高いということがわかります。
 今後、中途退学者を減少させていくには、学業不振や生活不適応などの課題をどう克服していくかということが重要であります。
 東京都教育委員会では、中途退学者の数を減少させるために取り組みを行ってきたと思いますが、多様な課題を抱えながら学ぶ学校を都教委はエンカレッジスクールに指定し、これまで中途退学防止に大きな成果を上げてきたと聞いております。
 しかし、生徒が卒業した後に自立した社会人になり得るよう育成するという点では、現状では必ずしも十分とはいえません。
 こうしたことから、エンカレッジスクールの生徒の進路実現に向けた取り組みをさらに進めていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。

○大原教育長 エンカレッジスクールでは、学び直しのための基礎科目の設置や、二人担任制の導入などを通じまして、きめ細かな指導に取り組んでまいりました。
 その結果、ある高校では、エンカレッジスクールになる前の平成十三年度に百三十一人おりました中途退学者が平成二十二年度には十七人にまで減少するなど成果を上げてきております。
 一方で、進学も就職もしないで卒業する生徒が、エンカレッジスクール全体で卒業生の二割前後に達しておりまして、今後は、これまで重視してきました学校への定着、つまりは中退防止でございますけれども、こういう視点に加えまして、卒業後の進路実現を重視していく必要がございます。
 このため、キャリア教育を通じて生徒に将来の明確な目標を持たせまして、その目標実現に向けて、必要となる基礎学力の定着や基本的な生活習慣の確立に向けた指導をより一層充実してまいります。

○島田委員 これは新たな課題だというふうに思います。エンカレッジスクールできめ細かな指導をして、退学者は減っているということでございますが、進学も就職もしないで卒業する卒業生が二割もいるわけです。これは本当に大きな課題だというふうに思います。エンカレッジスクールの進路指導に課題があるということがわかりました。
 ご答弁にもあったように、キャリア教育などを充実することにより、せっかく卒業した生徒が次の進路に進めるよう、対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。
 課題を抱えながら生徒が学んでいる学校はエンカレッジスクールだけではなく、中途退学者数の数でいえば、このような進路多様校が多いケースもあるというふうに聞いております。進路多様校は学力に課題のある生徒も多く、学業不振が中途退学の要因の一つになっていると考えられます。
 都教委は、生徒の中途退学を防止するためにどのような取り組みを実施していくのかお伺いいたします。

○大原教育長 都立高校の中途退学者のうち、約二割が学業不振を理由としておりまして、中途退学防止のためには、生徒一人一人に着目したきめ細かい学習指導を行っていくことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、学力向上開拓推進事業を通じまして、引き続き授業改善や生徒の学力の向上を図ってまいります。
 また、各学校で学力スタンダードを設定いたしまして、その水準に到達できるよう、指導内容、方法を見直すことで基礎学力を在学中に確実に定着させてまいります。
 また、新たな都立高校改革推進計画で明らかにいたしましたように、修業年限の弾力化など、生徒に社会生活を送る上で必要な基礎学力等を確実に身につけさせて卒業させる仕組みを構築してまいります。

○島田委員 到達目標に向けて努力するのはいいと思いますけれども、目標に到達した生徒のさらなるレベルアップ、そして到達しない生徒のフォローアップの指導体制を整え、きめ細かい学習指導をお願いしたいと思います。
 そしてまた、今回新たに、修学年限を超えた在籍を容易にするということでございます。下級生とは別の教室を用意したり、数校ごとに一つのサテライトクラスを設けたり、留年後も履修単位を取得しやすい環境づくりをするなど、いろいろな対応を考えるわけです。
 しかし、履修の弾力化に向けた小手先の取り組みだけでは不十分だというふうに思います。エンカレッジ校で経験しているように、生徒の将来への強い目標、そして教師の熱意あるサポートがなければ、弾力化により生徒が高校を卒業しても次の進路には結びつかないというふうに思います。この点も含めて対応をお願いいたします。
 また、学年別の中途退学の推移を見ると、その多くは一学年の割合が多いということがわかります。中学校段階から学校生活不適応を抱えて入学し、各都立高の特色を十分に理解することなく入学した結果、学校生活に適応できないといったことが大きな要因であると考えます。
 都教委は、特に高校一年次の中途退学者対策としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○大原教育長 学校生活、学業不適応に起因する中途退学者を減少させるためには、都立高校において生徒一人一人に着目したきめ細かい指導を行っていくことに加えまして、生徒を都立高校に送り出す側である中学校と連携した取り組みを推進することが重要でございます。
 具体的には、中学校における生徒の個性や適性に応じた進路指導に資するよう、各都立高校の教育活動の特徴等について、引き続き中学校に対して情報提供を行ってまいります。
 また、都立高校に入学してくる生徒の学習面や生活面の状況などについて、中学校から情報提供を受け、都立高校入学後の個に応じたきめ細かい指導に生かしてまいります。

○島田委員 小一プロブレム、中一ギャップという言葉がありますが、この高校一年での退学者数が多いのを見ると、私は高一ギャップというのもあるのかなというふうに感じております。そして、この高一ギャップ対策をしていかなくてはいけないと考えております。
 私は一貫して、文教委員会の質疑の中でも教育の連続性が重要だということを主張してまいりましたが、中学校との情報交換、教員の交流など、教育機関の壁をなくし、スムーズに高校課程に入れるような中高の連続性がまだまだ十分だとはいえません。十分な対応が必要だと考えております。よろしくお願いいたします。
 中途退学をせずに高校を卒業していくには、何といっても将来の夢を持つ、あるいは、人生どう生きていくのか、自分が将来どんな形で社会に貢献できるのかなど、生徒の今後の生き方を指し示すことも学校の大きな役割だと考えております。最終的には、生徒がどんな社会人になるか、これが重要だというふうに思います。
 今回、都教委は、中途退学防止を、さまざまにいろんな取り組みを今考えているわけでありますけれども、例えば、これは提案ですけれども、各校の数値目標を設定して中途退学者を減らす具体的な取り組みを検討するなど、都教委の今後の対応を期待しております。よろしくお願いいたします。
 最後に、知事にお伺いいたします。
 今の若い人材にとって重要なのは、人間力の向上だと思います。不登校になる生徒は人間関係が希薄で、それぞれの家庭でも孤立し、また、明確な目的意識を持つ機会がない中で生活を過ごしてきた傾向の生徒が多いというふうに聞きます。
 生徒が中途退学しないためには、集団の中で埋もれないように、しっかりとした個を育てる、多くの機会を設けることが大切だというふうに思います。
 知事が招集した教育再生円卓会議では、私立の中高一貫校である海陽学園の取り組みが紹介されました。全員、寮で暮らしながら、同じかまの飯を食べ、勉強のみならず、友達や教員、企業の方々と濃密な人間関係をつくり、自然との触れ合い等、さまざまな原体験を積みながら、目的意識をはっきり持てる教育システムが紹介されました。今の教育に不足しているのは、まさにこうした生きていく上での基礎となる人間力を育てることだというふうに考えております。
 最後に、多様な人間関係を持つことができる、一人一人がさまざまな興味、関心を見出すことができる、体験を重視した教育について、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 あなたのおっしゃることは、よくわかるようでわからないところがあるんですが、いいじゃないですか、高校を卒業しなくたって。今度の芥川賞の田中君なんていうのは高校を卒業していないんで、前の西村賢太は中学卒業しただけで行っていないんです。それでも、能力があり意思のある人間で物を書いたりなんかすることで、別に小説家にならなくても、労働者になって働けばいいじゃないですか。
 私は、いわゆる県立中学から県立高校に行きまして、学校がくだらないんで、一年間、私、登校拒否しましたけど、おやじが死んだんで、仕方なしに学校へ戻りましたが、要するに公立の中学校、特に高等学校の内容というのは、私は必ずしも現代のあの年齢の高校生たる諸君のために、マッチしたものとは思えませんね。
 現に、私立の高等学校では中退者が少なくて公立の学校にそれが多いということは、これはやっぱり教育長も含めて教育委員会が考えて、基本的なことから公立の高等学校のあり方を直しませんと、私はだめだと思いますね。
 私も、竹花君という副知事が警察から就任してきてくれて、今、教育委員をしてくれていますけれども、彼がやっぱり、申しわけないけど、東京の都立のある高等学校、これもオンレベルの学校だといっていましたが、実態を見て驚倒して、ぜひ石原さん見てくれというんで、私もお忍びで行きましたが、これはもう学校の先生から含めてだめですな。あんなことをやっていたら、子どもにばかにされるし、子どもは勉強する気にならぬですよ。
 私、よほど相当のことを考えないと、公立学校というのはどんどんどんどん、向学心のある、また、それを育てようと思っている熱心な親の子弟が私立に行ってしまったら、むべなるかなという感じがいたしますね。
 これは文部省だけの問題じゃなしに、政治家全体が高校の実態、公立高校の実態を見て、やっぱり自分たちの人生というものにかんがみて、自分ならこんなところへ行けるか行けないかと考えてみたらいい。私は全く行く気がしないから一年サボり、学校へ行きませんでしたよ。
 そういう何というんでしょうね、基本的な、根本的な間違いがあると思いますね、今の公立の学校には。それを直さない限り、私は中退者といいましょうか、後を絶たないと思います。

○島田委員 知事の意見を伺ったわけでありますが、教育円卓会議で教育のモデルというものが今後示されるというふうに聞いておりますので、ぜひこれも、人材教育、待ったなしだというふうに思いますので、そのモデルをぜひ示していただいて、そして議会でまた議論していく、そして実践していくということだと思いますので、よろしくお願いいたします。

○石原知事 私、このごろの若い人を見ていて非常に遺憾に思うのは、こらえ性がないんですね。私が今でもやっておりますヨットのオーシャンレースですけど、要するに徹夜で雨の中も走るみたいなヨットの試合には、このごろ若い人は一人も乗らなくなりましたな。(発言する者あり)いや、そんなことないことない、あなた乗ったことないでしょう。(発言する者あり)ああそう、その船、余り走らないんじゃないか。(笑声)
 それで、ともかくこらえ性といいましょうか、同じ現象が日本だけじゃなしに世界じゅうにあるみたいで、IOCの会長のロゲも私と同じヨットマンですが、彼も同じことをいっていました。
 結局、三つのスクリーンが若者をだめにした。一つは携帯電話で、もう一つはテレビと、それからパソコンですか。うまいことをいっていましたが、それがすべてとはいいませんけど、そういうものに耽溺する若者が、何というのか、バーチャルな世界にだけに生きて、身体性というものを備えた人間関係というものを、要するに避けたがる。これは、私、やっぱり教育の問題だけじゃなしに、社会全体の文明の現象だと思いますね。そのことも、やっぱり基本的に反省してかからぬと、私は特に公立の学校の中退者の救済にはつながらないと思います。

○島田委員 次の質問に移らせていただきます。
 三月十一日以来、特にインフラの整備において、レジリエントな都市づくりが必要といわれております。レジリエントとは復元性という意味でありますが、甚大なトラブルが発生しても完全に停止しない、ゴムボールのようにへこんでまたもとに戻る、こうしたまちづくりが求められております。
 電力において、スマートシティーといわれるように、自立型、分散型の地域系統電力システムが注目を浴びております。
 多摩地域の自治体、武蔵野市においては八割、昭島市、羽村市については一〇〇%でありますが、地域の地下水源を利用し独自の水道事業を行っております。まさに地産地消であり、都と協定が結ばれ、バックアップとして都水を使用できることになっております。
 都水道局においても、多摩地域で地下水を利用し地域に供給しておりますが、これらの水源は多摩地域にとって貴重な水源でありますし、災害時にはバックアップの水源として機能することも考えられます。
 東京地域、特に多摩地域に地下水源はまだ多くあり、これらを十分活用することがレジリエントな自立型、分散型の水道供給体制を形成する上で重要なことだと考えます。
 水道局の多摩地区における稼働している井戸の本数、一日平均揚水量及びその割合についてお伺いいたします。

○増子水道局長 多摩地区におきましては、現在、二百五十一本の井戸が稼働中であり、平成二十二年度の地下水揚水量は、一日平均約二十三万立方メートルであります。
 これは多摩地区統合市町における全配水量の約一九%に相当いたします。

○島田委員 答弁がありましたが、多摩地区での都水の割合は二割と。都営でない羽村、昭島は地下水一〇〇%であります。武蔵野市は八割ということでございます。
 多摩地区の地下水源は地域にとって貴重なものであります。使える水源は有効活用していきたいというふうに思います。
 地下水源の活用の考え方、地下水の位置づけについてお伺いいたします。

○増子水道局長 一般に、地下水は年間を通して水温の変化が小さく濁りが少ないといった特徴を有してはいますが、過剰なくみ上げは、地下水位の低下により地盤沈下を引き起こすとともに、水質の面からもクリプトスポリジウムによる汚染のおそれやトリクロロエチレン、1・4-ジオキサンなどの検出といった問題も発生しております。
 こうしたことから、地下水は将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難でありますが、引き続き地盤沈下や水質の動向に十分配慮しつつ、災害や事故等における備えとしても可能な限り活用を図ってまいります。

○島田委員 先ほどいったとおり、地下水は多摩地区にとって重要だと思います。安定的な水源として位置づけることは困難だというふうなご答弁でございますが、多摩の水道という水道局の広報紙には、地下水は良好で比較的安定的な水源とし、また、貴重な水源としております。
 多摩地域における地下水取水量も大体ここ数年、平成十三年は二十七・五万立方メートルだったのに対し、二十一年は二十三万立方メートルということで、減少はしているけれども、安定して取水ができているという現状があるというふうに思います。いずれにしても、答弁にあるような可能な限り地下水を使用していくことが大事だと考えております。
 可能な限り使用するには、現在、利用が休止している地下水を何とか再開し、地下水の量をふやす取り組みが求められます。
 一昨年、私の地元、日の出町の大久野浄水所地域内で水道水から油臭が出る事件があり、現在も大久野浄水所は供給休止しているままであります。貴重な地下水の利用を再開させたいところであります。
 現在、地下水の利用を長期間休止している場所も多いと聞きます。地下水源を活用するために、休止中の井戸についてどのような取り組みをされているのかお伺いいたします。

○増子水道局長 多摩地区には二百八十本の水源井戸があり、そのうち二十九本は水質悪化、地盤沈下、井戸の能力低下等の原因により休止しております。
 このうち水質悪化によるものにつきましては、先ほど申しましたとおり、クリプトスポリジウムによる汚染のおそれや、トリクロロエチレン、1・4-ジオキサンなどの物質の検出が原因となっております。
 これらに対応するための浄水処理設備の導入は、敷地が狭く困難なことや、除去方法が確立されていないことなどから、当面、水質検査を継続し、水質動向の把握に努めてまいります。
 また、地盤沈下防止のために休止中となっている井戸につきましては、地盤沈下の再発が懸念されることから、再開は困難であると考えております。
 能力低下等で休止中となっている井戸につきましては、井戸の掘りかえ工事等によって揚水が可能であるかを見きわめてまいります。

○島田委員 地下水の保全は、土壌汚染、今ありましたけれども、地盤沈下など課題が多いわけであります。一義的には事業者である水道局が対応するのは当然でありますが、水質悪化は悪化の原因の特定が困難な場合があり、また、地盤沈下は地下水の涵養など複合的、広域的な課題があります。
 その解決には、水道事業者だけでは困難な場合が多いわけであります。広域的に水環境、土壌環境の保全に努める環境局等関係機関と水道事業者が綿密な情報交換をし、休止中の井戸を再開できるような取り組みを行ってほしいというふうに考えております。
 では、その地下水の保全について環境局にお伺いいたします。
 地下水は水循環を構成する重要な要素の一つとして考えられ、同時に、東京都水道水源の一部として重要な役割を担ってまいりました。東京都は、法や条例に基づき地下水の揚水規制を行うことにより、地下水を保全し、地盤沈下を防止してまいりました。
 そこで、都がこれまで行ってきた地下水揚水規制の効果と都における地下水の現状についてお伺いいたします。

○大野環境局長 都内では、過去におきまして過剰な地下水のくみ上げにより、昭和四十六年に公害防止条例による規制を開始するまで、最大四・五メートル程度の地盤が沈下いたしました。
 その後、揚水規制等の結果、地盤沈下は沈静化傾向にありますが、地域によっては若干の沈下が見られます。また、地下水位も回復傾向にございますが、近年は微増から横ばい傾向になっております。

○島田委員 揚水規制の効果により地下水位は回復傾向にあるということですが、一方で都内の湧水は減少していると聞いております。都民にとって、地下水を今後とも守り涵養していくことは非常に重要であります。
 都民にとって貴重な地下水を守っていくために、都はどのような取り組みをしていくのかお伺いいたします。

○大野環境局長 都は地下水を涵養するために、井戸の設置者に対しまして、区市と連携して環境確保条例に基づきまして雨水浸透ますの設置を指導するほか、各区市の担当者には雨水浸透・湧水保全に関する連絡会を通じて技術的な指導を行っております。
 今後とも、地下水のくみ上げ量や地下水位などの調査、観測データを引き続き蓄積しまして検証を行っていくとともに、地下水の水質についても調査を継続してまいります。

○島田委員 環境局が持っているデータは、地下水保全にとって非常に重要なデータであるというふうに思います。これらを活用することが大事であります。また、地下水の重要性を広く都民にPRし、これまで以上に環境保全に取り組んでいただきたいと思います。
 地下水を活用することは、その地域の土壌を初め、地域環境を大切にすることにもつながります。羽村市では学校教育の中に取り入れ、子どもたちに地域の重要な資産である水源を利用していることの意義や、この水源を維持していくためにも地球環境、地域環境を大切にしていくことの大切さを教えております。非常に大切だというふうに考えております。
 今までの質疑の中で、地下水が重要な水源であること、また、東京都は地下水を守る取り組みを行っているということがわかりました。現在、国では、地下水が国民共通の貴重な財産であり、公共の利益に最大限沿うように利用されるべき資源であるという観点から、地下水を保全するための法規制が検討されております。
 都議会民主党も国に対して要望しておりますが、外国資本による水源地の森林買収が進んで多量取水も懸念されている中、地下水を国民固有の財産と位置づけ、水源林を含め地下水を保全する取り組みを行っていくことは重要なことであります。
 緑のダムといわれているように、水を循環させていくには、森林を循環させることが重要であります。日本の地形は、他国に比べて山の占める割合が多く、その上、多くの雨が一定の季節に集中して降る傾向があります。
 つまり、せっかく降った雨が川を伝って急速に流れ出してしまう傾向があるといわれております。地下水の滞留時間は、欧米などの平地型の地下水が数百年、数万年という滞留時間でありますが、日本では数年から数十年とかなり短いといわれております。
 これらの理由から、地下水を循環させていくには、森を循環させ、森林が水の涵養機能を果たしていくことが大変重要であります。
 今、国では八ッ場ダムを初め、ダムの建設を計画しておりますが、我が国にとって本当に必要なのは、この緑のダムを多く建設することなのではないでしょうか。
 西多摩郡檜原村では、数馬の湯でまきボイラーを導入し、その燃料として間伐材を一トン五千円で買い取り、活用する計画を立てております。灯油の購入費は村外に流出いたしますが、村内資源の木材購入は地元経済を潤すことになると期待を寄せております。
 間伐が促進され、森の循環が進めば森の機能も向上すると考えられますが、これだけでは不十分だとも思われます。水の循環が重要なように、森の循環も大切だと考えますが、都はどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○前田産業労働局長 森林は、木材を供給するのみならず、水源の涵養などの多面的な機能を有しております。
 これらの機能を十分に発揮するには、お話のように森林の循環が保たれた健全な森林を整備していく必要があります。
 多摩の森林は七割が私有林であることから、都は伐採期を迎えた杉、ヒノキの伐採や、その後の苗木の植栽、間伐、枝打ち等の保育といった森林の循環のそれぞれの段階ごとに支援するなどの取り組みを行っております。

○島田委員 先ほども申し上げましたが、水の循環のためには森の循環が大事であります。ぜひ森を循環させる取り組みを強化していただきたいと思います。
 しかし、林業経営には多くの課題があります。長引く木材価格の低迷により、小規模の森林所有者ほど山の手入れを継続的に実施していくことは難しく、経営意欲が低下していると聞いております。
 森林の循環を進める上で、小規模森林所有者の森林整備を進めていくことが重要であります。小規模所有の森林整備をどのように進めていくのかお伺いいたします。

○前田産業労働局長 多摩の森林は小規模所有者が多く、スケールメリットを生かした効率的な施業が困難で、生産コストが高いことが森林整備を行う上での課題となっております。
 このため、都は、複数の小規模所有者の森林を団地化し、森林作業道の整備と間伐、搬出を一体的に行うことでコストの低減を図る集約化モデル地区の整備を行っております。
 また、所有者ごとの森林境界が不明確であることが森林整備の妨げになっていることから、森林境界の明確化に向けまして、所有者に対する説明会やGPS測量の経費支援などを実施しております。
 こうした取り組みにより、森林整備を効率的に進めてまいります。

○島田委員 今お答えをいただきましたが、小規模所有の森林を団地化して、そして集約する、それでコスト軽減を図れるということは非常に重要だと思いますし、そしてまた、森林の境界が不明確であることによる阻害があるわけでありまして、ぜひこの点を整備いたしまして、そして支援いたしまして、森を循環させるように、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
 いうまでもなく、地下水を保全するためには、水道局、環境局、森林に関する産業労働局、河川を管理する建設局など各局にまたがる課題であり、現在、国では水循環政策本部を立ち上げ、各部署にまたがる横断的な課題解決に取り組んでいるところでございます。
 国の水循環対策本部のような地下水保全のための課題を解決するため、東京都も関係各局を横ぐしで統括する部署を設置し、対応する必要があるというふうに考えます。
 今後は、国の水循環基本法案制定などの動向を踏まえつつ、東京都が地下水の保全について明確な指針を策定するとともに、貴重な地下水を利用促進していくことを強く望み、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○大塚委員長 島田幸成委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定しておりました質疑はすべて終了いたしました。
 なお、あすは、午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時五分散会

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