予算特別委員会速記録第三号

   午後六時五十五分開議

○鈴木(あ)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 山崎一輝委員の発言を許します。

○山崎委員 初めに、産業振興について伺います。
 まず、ものづくり産業の集積確保に向けた取り組みについて伺います。
 私の地元の江東区には、多種多様な中小の製造加工業のまち工場が生産活動を行う地域を抱えております。こうしたまち工場の集まる地域では、周辺住民の生活との調和を保ちながら操業を続ける努力を行っています。都内の各地でも、製造業の集積するエリアに新たな工場を誘致するための工夫を地元の自治体が検討する例も多いと聞いております。
 先日の本会議では、都は来年度から、ものづくり産業集積強化支援事業を立ち上げ、対象地域を設定して、工場周辺に配慮した環境対策のハード整備などに取り組む区市町村の事業などをサポートしていくことを明らかにしました。
 こうした施策について、都は具体的にどのように実施をしていくのか伺います。

○前田産業労働局長 中小製造業の集積を確保するため、都内の工場が継続して操業できる環境を整えるとともに、新たな生産現場を地域の中にふやすことが重要と考えております。
 ものづくり産業集積強化支援事業における対象地域は、製造業の集積の確保という観点から、工業地域や準工業地域のように工場の多く集まるエリアを想定しております。その上で、地域の特性を踏まえた区市町村の取り組みに対する支援を幅広く行う考えであります。
 具体的には、お話をいただきましたが、工場周辺の住民の生活に配慮し、騒音や振動の発生を防ぐハード整備への助成や、防音設備などを持つ工場アパートの設置なども対象といたします。また、製造業が機械設備の増設、更新や工場の新たな開設を行うことに伴う固定資産税や不動産取得税の納付相当額を補助する場合なども対象に含める考えであります。
 こうした取り組みにより、ものづくりの担い手である中小製造業の集積を地域の中で維持するとともに、その発展を効果的に支援してまいります。

○山崎委員 次に、商店街振興について伺います。
 商店街は、商業活動に加えて地域の人々の暮らしを支える重要な役割を担っており、その支援に向け、我が党もさまざまな提案を行い、施策の実現を図ってきました。
 こうした中、身近なところで買い物ができず、不便を感じる住民のため、商店街がその一翼を担えるのではないかというアイデアも出ています。このことは買い物弱者の問題として、一昨年に国が報告書を取りまとめてクローズアップされた経緯もあり、我が党も都内の実態把握をして、モデル事業を立ち上げるべきとの提案を行いました。
 本会議の答弁にもありましたが、都は、調査の結果を踏まえて新年度には買い物弱者支援モデル事業を開始するとしています。その具体的な内容について伺います。

○前田産業労働局長 商店街が買い物に不便を感じる住民へのサポートを行うことにより、地域社会の中で期待されております役割を適切に果たすことが重要と考えております。
 お話のように、都は調査を踏まえまして、来年度から商店街による買い物弱者への対応をモデル的に支援いたします。
 具体的には、区部と多摩地域でそれぞれ二カ所の商店街を選びまして、その支援を行う地元自治体の事業の経費の半分について、一千万円を上限として助成をいたします。
 事業の例でございますが、ファクスで注文を受け、各店舗から商品を取りそろえて宅配する業務や、商品が重く自宅までの距離が長い場合に買い物客のために配達する業務などを想定しております。
 こうした取り組みにより、すぐれた成果を期待できる商店街の工夫について、区市町村とともに支援して円滑な事業の運営につなげてまいります。

○山崎委員 都内各地の商店街では、将来に向けた新たな担い手をどう確保するべきかが重要な課題ともなっております。
 かつては江戸時代、でっちの仕組みや徒弟制度により小売などの商売を始めたり、子どもを商人として一人前にするためのさまざまな方法もありました。これらのすぐれた部分などを踏まえ、商業のノウハウや経営の知識を学び、開業の負担をも軽くできる、現代にふさわしい新たなシステムをつくり上げることが重要になると考えます。
 そのために、行政としてサポートを行うべきとの我が党の提案を受けて、都は小売商業後継者育成開業支援事業を来年度からスタートいたしますが、具体的にどのような取り組みを行う考えであるか伺います。

○前田産業労働局長 今日の商店街におきまして、商店の後継者や出店する意欲のある人材の育成と確保を適切に支援することが重要と考えております。来年度から開始いたします小売商業後継者育成開業支援事業では、こうした人材の育成などを支援してまいります。
 具体的には、生鮮三品を初めとする各業界が実施しております研修会で、商売に不可欠な仕入れのノウハウを学ぶ際に必要な経費の一部に助成を行います。また、これらの研修に加えて、区市町村などが主催する講座で会計処理の方法など、経営に関する知識を習得し、商店街での出店に目途がついた場合に、店舗の内装経費や機器の整備などに要する開業資金の半額について、五十万円を上限額として補助する考えであります。
 こうした取り組みを通じて、これからの商店街に必要とされる人材の育成や確保を着実に支援してまいります。

○山崎委員 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 二月十三日にIOCへ申請ファイルを提出し、いよいよ招致レースも本格的になってきました。とにかく五月に行われる第一次選考において上位で選定されることを楽しみにしております。
 さて、私は、二〇一六年の招致事業において少々物足りなさを感じました。それは、ブログやツイッターやフェイスブックなどの活用を挙げておきたいと思います。
 確かに、当時は今ほどの普及がなかったかもしれませんが、現在では、去年の十月の統計では、日本国内の数値は、ツイッター月間利用者数二千百万人、フェイスブックは一千七百万人と爆発的な利用者の増加で、今では重要なコミュニケーションツールとして位置づけられております。
 しかし、このようなときだからこそ、人々の心へダイレクトに思いや熱意を伝えられる手段を最大限活用することにより、一気に関心を引きつけることが大事ではないでしょうか。特に、芸能人や文化人のメッセージ、いわゆるつぶやきは、スポーツに関して関心のない層からの共感や支援を必ず獲得できることにつながるのではないでしょうか。見解を伺います。

○細井スポーツ振興局長 スポーツに関心のない層を含め、より幅広い層からオリンピック・パラリンピック招致への支持を得るためには、今や多くの方が利用しているフェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワーキングシステムの活用が有効でございます。このため、既に招致委員会では、日々の活動記録をフェイスブックで発信し、徐々に賛同の輪を広げております。
 今後は、こうしたソーシャルネットワーキングシステムを利用している芸能人や文化人等も含めまして、発信力のあるさまざまな著名人にオリンピック・パラリンピック招致に賛同をいただき、みずからの言葉でそれらの情報を発信してもらえるよう働きかけてまいります。

○山崎委員 芸能人、文化人も、歌手とかいろいろな方がいると思いますけれど、一言つぶやいてもらうだけで、そのファンは必ず乗ってくると思います。そういった働きかけをぜひ戦略的に実施していただきたいと思います。
 また、前回の招致活動報告書をひもといてみますと、区民、市民が実際に参加したり体験するなどのイベントが好評であったと総括されております。
 私は、二月に東京ゲートブリッジ完成記念スポーツフェスタに参加してきました。二日間を通じて二万人もの参加者があったといいます。私も多くのウオーキング参加者と一緒になり、招致PR用の横断幕を持ちながら、でき上がったばかりの橋を練り歩いてきました。
 参加者は、顔やウエアに招致ロゴのシールを張ってイベントに参加して、会場のあちらこちらで見られた招致ロゴとともに、特別な思い出の一ページとして心に刻まれたものと思います。だからこそ、今後も、このような取り組みを数多く実施していただきたいと思います。
 これらを踏まえると、区民、市民のだれもが参加できるようなイベントを通じ、より一層招致機運を盛り上げることができると考えますが、いかがでしょうか。

○細井スポーツ振興局長 都はこれまでも、スポーツ博覧会やTOKYOウオーク、東京スポーツタウンなど、多くのアスリートも加わった都民参加型、体験型のスポーツイベントを数多く実施しております。これらの参加型イベントは、都民にスポーツの楽しさや感動を直接肌で感じてもらうことができ、これに招致活動を組み合わせることで、機運の醸成に大いに役立つと考えております。
 例えば、委員ご紹介の東京ゲートブリッジ完成記念スポーツフェスタでは、おっしゃったとおり、多くの参加者がみずから招致ロゴシールを手にとって体じゅうに張り、PRに協力してくれるなど、招致機運が大いに盛り上がったところでございます。
 今後とも、これらの参加型イベントやスポーツ祭東京二〇一三関連イベントなどと招致活動を組み合わせ、招致機運の醸成を図ってまいります。

○山崎委員 ぜひ多くの方の参加を集めて盛大にやっていただきたいことを期待しております。
 なお、招致に向けた機運醸成を図ることはもとより、招致を獲得した後の具体的なイメージを持ってもらうことで、都民の機運もより一層高まるものではないでしょうか。
 例えば、君も聖火ランナーになれる、こうしたうたい文句で都民から募集をしたり、君がオリンピックの縁の下の力持ちといって、親子でボランティアの依頼する支援内容を事前に提示するなど、ぜひこのようなことを検討してもらえば私はよいかと思います。それが都民参加型のオリンピックにつながっていくことと、私は提案をさせていただきたいと思います。
 私はもう一つ心配がございます。国が早々に決議をしましたが、一般的には東京だけ盛り上がってとの意見がほかの道府県から出かねず、少し心配しております。
 これらを避けるためにも、例えば、オリンピック・パラリンピック開催直前の最終合宿、最終調整を、国内各地で行われるようなことをあらかじめ示しておけば、全国的な機運醸成にもつながるのではないでしょうか。そういったことで地方の人たちにも、私たち、そして、おれたちも参加ができるということになるわけであります。
 いずれにしても、今回の招致は東京のためだけでなく、日本全体が一丸となって取り組むべきであると、強いメッセージが発信されることが必要であります。
 そこで、改めて、知事に招致獲得に向けた都民、国民への熱いメッセージを確認させていただきたいと思います。

○石原知事 オリンピック招致を盛り上げるために、なかなか今、卓抜なご意見をいただきましたので、早速これは具体的に検討したいと思います。
 いずれにしろ、未曾有の大震災から既に一年があっという間にたちましたが、どうもしかし震災の復興もままならず、日本全体がいまだに強い閉塞感にというよりも、ますます閉塞感に覆われている感じがしますけれども、こういうときこそスポーツが持つ夢、希望、それを達成するエネルギーというものがこの国を活気づけていくと思います。
 日本が戦に敗れたあの直後、茫然自失の中で、オリンピックには日本は招待されませんでしたが、連中がオリンピックをやっている最中にこちらでは、古橋が大会でオリンピックで出ている世界記録をあっという間に破る次々の偉業をなしてくれました。
 その後、力道山が白人の選手を空手チョップでなぎ倒すような快挙もありましたし、加えて、先般亡くなられました、まさに名監督でありましたバレーの松平康隆さん。この人は、東京オリンピックで日本の女子バレーが金メダルをとった。日本は実は男子バレーは銅をとったんですけれども、余り問題にされなかった。
 それで発心して、よしということで、本当に綿密な、まずは大きな戦略を立てて、まず銀から次に金だということで、次のオリンピックには銀、そしてミュンヘンでは金をとられたわけですけど、そのために世界がやったことのない練習方法も考えて、その偉業を達成されたわけですけど、私はこういう指導者が政府にいてくれたらいいなと本当に思うんです。
 ちゃんと大きな戦略を立てて、そのために人が考えつかないような奇抜ともいえる戦術を立てて、そして選手をしごき、鍛え、愛しながら、とにかく鍛えて、あの奇跡の金メダルをとった。そういう事例もありますし、なでしこジャパンも最近日本を本当に活気づけてくれました。いずれにしろ、こういう国家を意識して背負ったアスリートたちの活躍というのは、やっぱり国民全体に大きなエネルギーを与えてくれると思います。
 そういう意味でも、私はこういう人たちの力もかりて、とにかくオリンピックをすることで日本の立ち直りというものを世界に示していきたいと思いますが、いずれにしろ、これによって私たち日本人が忘れている連帯感、結束感というのを取り戻していきたいと思っています。
 この熾烈なレースをかち取るためには、さまざま、いろんな努力がありますが、あなたの父親だった山崎--あのころは幹事長ですか。あの人が私と一緒に日本全体のスポーツの各種団体の会長を呼びつけて、これ、何か半分やる気があるんだかないんだかわからないんだ、こいつら。何というのか、他力本願みたいなところがありまして、あなたのお父さんが私の次に、私がびっくりするような、まさに気合いを入れるんじゃない、恫喝に近い、とにかく演説をして、みんながぴりっとして、よし、やろうということになったのを覚えていますが、ご子息のあなたもそうだし、共産党は当てにならないけれども、ほかの皆さん、ひとつみんなで力を合わせてやろうじゃないですか。よろしくお願いします。

○山崎委員 知事、大変ありがとうございました。江東区長にもよくいっておきます。ありがとうございました。
 次に、子どもたちのスポーツとのかかわりの充実について質問をいたします。
 スポーツには、する、見る、支えるなどの多様なかかわり方があります。そのため、オリンピックやパラリンピックを開催する場合にも、都民が競技を見て楽しむことや、例えば選手の応援や競技運営の補助など、さまざまなかかわり方が必要になると考えます。
 そこで、オリンピックやパラリンピックの招致機運を高めるためにも、アスリートに直接触れ合うことや、オリンピックの意義を学ぶことによって興味、関心を高めていくことが必要と考えますが、所見を伺います。

○大原教育長 学習指導要領の改訂によりまして、児童生徒は東京オリンピックの歴史的意義やフェアプレー精神の学習に加えまして、オリンピックの国際親善、世界平和への貢献やオリンピックムーブメント等についても学習することとなりました。
 都教育委員会は、オリンピックや国体等の意義を学ぶための補助教材の作成、配布、アスリートによる一日校長先生事業の実施、スポーツ教育推進校の指定等の独自の取り組みを行っております。今後は、スポーツ祭東京二〇一三などの各種スポーツ大会の運営に高校生をボランティアとして参加させてまいります。
 こうした取り組みを通しまして、児童生徒がオリンピック・パラリンピックへの興味、関心を高め、スポーツにより親しむことができるよう、特色あるスポーツ教育の一層の充実を図ってまいります。

○山崎委員 次に、豊洲新市場の整備について伺います。
 昨年は土壌汚染対策工事に着手し、ことしの一月には市場業者の移転支援策を発表、さらに二月には、移転後の築地のまちづくりの検討について中央区と合意したほか、水産仲卸業界が新市場の整備に関する協議に積極的に取り組んでいくことを明らかにいたしました。このように、開場に向け、着実にステップが踏まれております。
 そこで、まちづくりなどについて幾つか質問に入りたいと思います。
 私はこれまで、豊かな水辺空間に囲まれた豊洲の地域特性を踏まえ、新市場がまちづくりに貢献する施設となるように求めてまいりました。先進的な基幹市場として整備されるのはもちろんのことですが、四十ヘクタールという広大な敷地があることから、豊洲地区のまちづくりをリードしていく役割もあります。そのためには、周辺から見て、ただコンクリートの塊が来たのではなく、やはり地域との一体感を感じられるような施設として整備する必要があります。
 そこで、景観に関し、施設の外観を中心とする設計、デザインにおいて、どのような工夫を行い、豊洲地区に適した景観形成を図っていこうとしているのか伺います。

○中西中央卸売市場長 豊洲新市場予定地は都心にも近く、豊かな水辺空間に囲まれ、豊洲地区の約四割を占めることから、新たなまちづくりの核にもなり得る地域でございます。
 このため、三つの街区に建設される大きな施設が互いに一体性を保ちながら、地域に溶け込んだ風景をつくり出せるよう、大屋根を太陽光パネル等で分節化し、緩やかに上空に膨らんだ曲面形状とすることでボリューム感を軽減し、リズミカルなスカイラインを形成するなど、設計、デザインの工夫を行います。
 また、建物周囲の水際空間につきましても、豊かな緑や散策できる歩道を、隣接する街区と連続させるなど、豊洲のまち並みや環境に配慮した景観形成を図ってまいります。
 今後とも、豊洲地区地区計画や江東区景観計画等を踏まえ、周辺のまちづくりにも十分貢献できる施設整備を進めてまいります。

○山崎委員 景観は、地元江東区が目指すまちづくりの姿にも十分配慮をしていただきたいと思います。
 次に、交通渋滞、路上駐車対策について伺います。
 地元では、市場関係車両によって交通渋滞や路上駐車がふえないかなどを心配しており、私もその対策について繰り返し確認をしてきたところです。
 そこで、豊洲新市場の周辺での交通渋滞や路上駐車が発生しないような交通の流れをどのように確保していくのか伺います。

○中西中央卸売市場長 都は、豊洲新市場を初め臨海地域への交通アクセスを円滑にするため、晴海通りや環状二号線、補助三一五号線などの道路を整備しております。
 また、市場内では、八カ所の出入り口や街区を連結する周回通路を整備し、売り場近くに荷さばき場を設けることで、荷おろしや荷積み作業を効率化いたします。
 路上駐車対策としては、積み込み場や待機駐車場などについて、築地市場と比べ十分にふやした計約六千三百台の駐車台数を確保するとともに、冷凍車等の外部電源設備や運転者待機場所を整備してまいります。
 そのほか、輸送関係業界に対する走行ルートの周知と協力要請や地元警察署との連携を図るなど、周辺地域の交通渋滞や路上駐車の発生防止に積極的に取り組んでまいります。

○山崎委員 次に、新市場でのエネルギー対策について伺います。
 昨年を振り返れば、大震災以降、我々の生活が単一のエネルギーに依存している現実の危うさを身をもって知ったところです。私はそういった教訓から、新市場の整備に当たっても、昨年策定された東京都防災対応指針に即し、多様なエネルギーを確保する取り組みが必要と考えます。
 そこで、都は、豊洲新市場で使用するエネルギーをどのように確保していくのか伺います。

○中西中央卸売市場長 豊洲新市場の整備に当たり、災害時にも市場機能を維持していくには、ご指摘の東京都防災対応指針や江東区の豊洲グリーン・エコアイランド構想を踏まえ、自立分散型発電の導入など多様なエネルギーの確保が不可欠でございます。
 このため、隣接街区に計画中の地域冷暖房施設から空調用の冷水のほか、電力の供給を受けることといたしまして、外部電源の二元化を図ってまいります。この発電設備は、阪神・淡路大震災でも高い耐震性を示した溶接鋼管で供給される中圧ガスで稼働することから、災害時の電源喪失リスクの低減が可能となります。
 また、市場内には非常用発電設備と太陽光発電設備も整備いたしまして、特定の電力事業者のみに依存することなく、エネルギーの多様化を図ることで災害対応力を強化してまいります。

○山崎委員 さまざまな技術を組み合わせながら効率的、安定的なエネルギー対策に万全を期していただくよう、強く要望したいと思います。
 次に、豊洲新市場とあわせて整備する千客万来施設について伺います。
 この施設を現在の築地場外市場のように、多くの人でにぎわう場としてスタートしていただきたいと思います。そのためには、千客万来施設は民間のノウハウを積極的に活用して整備していくことが必要だと思います。
 どのように施設を整備してにぎわいを創出していこうと考えているのか、伺います。

○中西中央卸売市場長 築地で培われた食文化を継承し、にぎわいを実現するために計画しております千客万来施設においては、国内外から豊富な生鮮食料品が集まる新市場の隣接地という最大の強みを十分に発揮していくことが必要でございます。
 このため、市場との連携を重視し、市場に買い出しに来た食のプロのニーズにこたえる良質な食材などの物販や、新鮮な食材を生かした飲食等のさまざまな店舗などにより、訪れた人が市場の活気を身近に感じられる施設となるよう、民間事業者の開発を誘導してまいります。
 加えて、豊洲の水辺の景観や臨海副都心との相乗効果が期待できる立地条件を生かすことも重要です。
 今後は、新市場開場にあわせて開設できますよう、来年度早期に事業者募集に向けた方針を公表するなど、事業への参加促進を図る取り組みを進めてまいります。

○山崎委員 ぜひ豊洲でも築地に匹敵するにぎわいを実現するために、手順をしっかりと踏んでいただきたいと思います。
 土壌汚染対策に関しては、対策工事の中で行った調査の結果が先日公表され、不透水層内でも汚染が確認されたとの報道がございました。
 そもそも不透水層については、専門家の提言に基づき、対策工事の際に汚染の範囲を確定するために調査を行うこととなっており、操業に由来する汚染が確認された場合は対策を行うこととなっていたものであります。今回の調査や今後実施する調査の結果も踏まえて、引き続き土壌汚染対策工事を確実に行い、市場用地の安全・安心の確保に万全を期していただきたいと思います。
 私は、将来、豊洲新市場が地域や関係者や都民にとって誇りとなるよう、新しい豊洲の伝統をつくっていくという目線を持ち、力強く前進していただきたいと思います。まちづくりや交通対策については、中央卸売市場だけでなく、都市整備局や港湾局、そして警視庁、そういったオール都庁で取り組んでいただくよう私から強くお願いをいたします。
 次に、MICEについて伺います。
 近年、国内外から国際会議等、MICEが注目を集め、アジアを初めとした諸都市による激しい誘致競争が展開されています。MICEの開催は観光振興の側面だけでなく、地域経済にもたらす効果も大きいものであり、また、昨年十二月に策定された「二〇二〇年の東京」でもMICEの振興が明記されております。
 そこで改めて、都が考えるMICE開催の意義と、これまでの都の誘致促進に向けた取り組みについて伺います。

○前田産業労働局長 都内におけます国際会議や展示会など、MICEの開催は外国人旅行者の誘致を進めていく上で、多くの外国人に対し東京の魅力を集中的にPRできる絶好の機会であるとともに、都市としての存在感を高め、東京の国際的な地位向上にもつながるものと考えております。
 また、参加者の宿泊や開催費などの直接経費に加えまして、情報通信や金融・保険業など広範な業種への経済雇用効果も期待できます。
 このようにMICEの開催は観光振興や地域経済活性化の観点から、極めて重要な意義を持つものと認識しておりまして、都はこれまで、誘致資金助成や開催資金助成などを通じて国際会議の誘致を促進してまいりました。
 この助成金の活用により、来年度以降に開催される国際会議として、例えば八千人の参加者が見込まれる高度道路交通システムに関する世界会議、いわゆるITS世界会議など、大規模な会議を含めまして、現時点で十四件の誘致につながっております。

○山崎委員 大規模国際会議の誘致には、本当に長い年月がかかるわけであります。これまでの都の地道な取り組みがこうした国際会議の誘致につながっていることがよく確認できました。
 こうした中、ことし四月には世界旅行ツーリズム協議会、いわゆるWTTCサミットが、また、十月にはIMF、世界銀行の総会が都内で開催されます。今後、東京が外国人旅行者やMICE誘致拡大を図っていく上で絶好のチャンスであると考えます。
 都はこうした機会を活用して東京の魅力を存分にアピールするとともに、国際会議の誘致施策のさらなる充実にも努めてもらいたいと思いますが、来年度の具体的な取り組みについて伺います。

○前田産業労働局長 お話のWTTCサミットは、先ほどの誘致資金助成を活用して誘致につながった国際会議の一つでありまして、世界の有力旅行関連企業が一堂に会する場であります。また、IMFと世界銀行の総会は参加者が二万人ともいわれる世界最大級の国際会議でありまして、いずれもその情報発信力は極めて大きいものと認識しております。
 そこで、これらの機会をとらえ、会議参加者向けに都内の観光ツアーや日本文化の体験プログラムなどを実施し、東京の魅力や安全性を集中的にPRしていくとともに、国などと協力し、会議運営をサポートしていくことで会議を成功に導き、MICE開催都市東京の存在感を世界に強力にアピールしてまいります。
 あわせて、来年度は開催資金助成の予算額を拡充いたしまして、来年度以降の国際会議の開催地選定における競争力の強化を図ってまいります。こうした取り組みを通じてさらなるMICEの誘致につなげてまいります。

○山崎委員 次に、臨海副都心地域での具体的な取り組みについて伺います。
 臨海副都心には、既に東京ビッグサイトやホテル、商業施設など、MICE、国際観光施設が立地していますが、今後の開発によって世界レベルへと発展可能なわけであります。
 「二〇二〇年の東京」計画では、東京ビッグサイトのMICE機能と連携して、青海地区南側を企業創生ゾーンとして活用するとのことです。これは我が国のものづくり産業の危機がいわれる中で、極めて意味のある時宜を得た取り組みであると思います。
 今後、臨海副都心のポテンシャルを生かして、企業創生にどのように取り組んでいくのか伺います。

○中井港湾局長 臨海副都心の青海地区南側では、研究開発と産業創生をコンセプトに開発を進め、現在では都立産業技術研究センターや国の産業技術総合研究所などの研究開発機能が集積しております。近隣にはSOHO施設も整備され、新たな起業の拠点としても機能しているところでございます。
 こうした研究、起業の機能と東京ビッグサイトなどのMICE機能が集中、集積している利点を生かし、新しいビジネスの創出に向けて、新技術の開発、経営相談、セミナーの開催、起業家同士の交流など、さまざまな取り組みが進むよう、来年度創設予定の臨海副都心MICE拠点化推進事業などを活用し、新たな働きかけを行ってまいります。
 これにより、技術革新と新しいビジネス機会の融合を図り、東京の産業力の強化につなげてまいります。

○山崎委員 MICE機能の強化と同時に、国際観光機能の充実も重要であります。アジアの諸都市では巨大な高級ホテルやカジノ、劇場といったエンターテインメント施設など魅力的な観光資源を次々と開発し、観光客数を拡大するとともに、多くのMICE誘致にも成功しております。
 日本には今、臨海副都心にも輸入関税免税店のような集客力のある新しい観光資源を開発していくべきと考えますが、見解を伺います。

○中井港湾局長 ご指摘のとおり、日本にはまだ市中に輸入関税免税店というのはございませんが、外国人観光客にとっては、自分のスケジュールの中で自由にショッピングができるといった点で魅力的なものであり、大きな集客力があると聞いております。
 臨海副都心では、今春に青海地区北側にダイバーシティ東京が開業を予定しており、日本初上陸となるアパレルブランドや、エリア最大級のフードコートなどのテナントが入り、新しいにぎわいの拠点となることが期待されております。
 こうした多彩な商業施設の魅力がさらに増し、海外からの観光客の増加につながるよう、お話の輸入関税免税店についても関係者に働きかけを行うなど、誘致が実現できるよう取り組んでまいります。

○山崎委員 ダイバーシティ東京の開業を初め、MICE、国際観光拠点が進むと、来訪者数も現在より増加し、人の流れが変化する予測もされます。
 そこで、臨海副都心へのアクセスを向上させるとともに、多くの人々でにぎわう周辺の良好な歩行者環境を整備していくことも必要と考えますが、対策について伺います。

○中井港湾局長 臨海副都心のMICE拠点化には、来訪者を輸送する交通基盤の充実が不可欠であります。このため、今後の交通需要の増加に適切に対応できるよう、「ゆりかもめ」に新車両を導入し、必要に応じてダイヤを見直すなど輸送力の向上を図ってまいります。さらに、BRTなど既存路線を補完する新たな交通手段についても関係者と連携して検討を進めてまいります。
 また、域内についても、歩行者と車を分離し、安全で円滑な歩行者空間を確保することが必要であります。
 具体的には、ダイバーシティ東京の開業に合わせて、東京テレポート駅から同施設に至る歩行者通路の拡幅を本年二月に完了させております。さらに、来年秋を目途に湾岸道路を横断する歩行者専用橋も整備してまいります。

○山崎委員 とにかくMICEは、やはりこの厳しい国際競争を勝ち抜いて、都として積極的に、迅速な取り組みが必要だと思います。このことを強く申し上げて最後の質問に行きます。
 最後には、東部低地帯の防災対策について伺います。
 東部低地帯には約三百万人が、そのうち江東デルタなどゼロメートル地帯には約百五十万人が生活をしており、地震等の水害からいかに多くの人命、命を守るかが喫緊の課題です。
 そのような中、荒川などで実施をしてきた国のスーパー堤防事業が平成二十二年秋の事業仕分けによって一たん廃止となりました。何にも代替案も示さず、事業費や長期間かかるとの理由からのもので、無責任きわまりないものでした。
 そこで、まず国のスーパー堤防整備事業のその後の状況についてお伺いをし、またあわせて、東部低地帯における河川の水門について、耐震対策の現状と今後の見通しについて伺います。

○村尾東京都技監 国のスーパー堤防整備事業は、想定を超える規模の洪水からも都民の命と暮らしを守り、東京の首都機能を維持する上で重要でございます。
 このため、都は、事業仕分けの結果を受け、直ちに国に対して事業の復活を強く要請するとともに、都議会を初めとしてあらゆる機会をとらえ、事業の重要性を主張してまいりました。
 その結果、国は、人口が集中し、堤防の損壊等により甚大な人的被害が発生する可能性が高い区域で事業を進めていくこととし、都内では、江東デルタなどゼロメートル地帯を含む東部低地帯の荒川、江戸川、多摩川を整備区間として復活させました。
 引き続き国に対して、早期の事業着手と一層の整備促進を求めるとともに、都のスーパー堤防整備を着実に実施し、高度防災都市東京の実現を目指してまいります。
 次に、東部低地帯を大地震による水害から守るためには、水門等の耐震対策が極めて重要でございます。都はこれまで、国の基準に基づき、関東大震災時の震度に対する対策を進め、一定の安全性を確保してまいりました。
 こうした対策に加え、新たに東京都防災会議が示したマグニチュード八クラスの海溝型地震や七クラスの首都直下地震等を想定して耐震性能の確認を行っており、その結果や技術検証委員会の議論等を踏まえ、これらの地震に対しても機能を保持するために必要な対策を計画的に進めてまいります。
 平成二十四年度は、優先度の高い水門につきまして速やかな工事実施に向け、設計に着手いたします。
 今後とも、安全で安心な都市東京の実現に向け、耐震対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

○鈴木(あ)副委員長 山崎一輝委員の発言は終わりました。(拍手)

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