○鈴木(貫)副委員長 引き続き、高橋信博委員の発言を許します。
〔鈴木(貫)副委員長退席、鈴木(あ)副委員長着席〕
○高橋委員 それでは、六項目ほどにわたりまして質問をさせていただきます。
初めに、東京の都市力について伺います。
昨年三月に発生いたしました東日本大震災は、未曾有の被害とともに、我が国の首都東京の都市のありように、これまでの想定を超えるさまざまな事態をもたらしました。今、その教訓を生かし、都市としての危機管理能力をさらに高めることが求められております。
そこで、まず私が指摘したいのは、国内だけではなく、海外都市との連携協力による危機管理対策の重要性でございます。
昨年十月の、都立小金井公園で実施されました東京都総合防災訓練では、来日したアジアの各都市の救助隊が訓練に参加する様子を間近で視察をいたしました。ソウル、シンガポール、台北、台北に隣接する新北の四都市から二十一名の救助隊員が参加しており、あらかじめ状況を知らされない実践的な設定のもと、いわゆるシナリオのないブラインド訓練のもと、東京消防庁のハイパーレスキュー隊と意思疎通を図りながら、懸命にかつ整然と救出活動を行う姿に感銘を受けました。
このように、アジアの各都市が連携して訓練に取り組む姿は、アジア大都市ネットワーク21の十余年にわたる活動を通じて、各都市に共通するさまざまな課題に対応してきた成果のあらわれというべきであります。
今回のような大規模災害の発生に備え、今後ともアジア大都市ネットワーク21の枠組みを通じて、アジア各都市の災害対策の充実強化を図るとともに、危機管理能力のさらなる向上に資するよう取り組んでいくことが重要と考えますが、まず局長のご所見を伺います。
○秋山知事本局長 アジア大都市ネットワーク21では、自然災害やテロなど、大都市に共通する危機に対応するため、共同事業といたしまして、危機管理ネットワークを立ち上げ、各都市の専門家が一堂に会し、経験やノウハウの共有を進める危機管理会議の開催、都市間の連絡網による平時からの危機管理の情報交換、高い救助技術の付与を目指した専門研修の実施などによりまして、各都市の危機管理能力の向上を図ってきたところでございます。
また、毎年、東京都総合防災訓練に各都市の救助隊を招聘いたしまして、合同で訓練を実施しているほか、今年度は、消防、医療など危機管理に携わる職員を対象に、東日本大震災被災地での東京消防庁の救援活動を中心とした研修を実施をいたしました。
来年度は、バンコクで開催される第十回アジア危機管理会議におきまして、タイの大洪水など、アジア各都市で発生した大規模災害の経験から得られた知見や対応策の共有をさらに推し進めるなど、引き続きアジアのネットワークを通じて危機管理能力のさらなる向上を目指してまいります。
○高橋委員 引き続き、アジア大都市ネットワーク21の各都市との緊密な協力をお願いいたします。
さて、今回の大震災では、大規模な計画停電に加え、放射能の影響など、経験をしたことのない事態に直面し、世界から、東京は安全なのか、大丈夫なのかという指摘を受けております。
資源が少ない我が国は、これまでも創意工夫にあふれる高度な技術力で世界に貢献してきました。都市の危機管理能力の向上にもこの技術力が役立ち、世界が抱いている不安感をぬぐい去ることができるものと信じております。
東京には、小惑星探査機「はやぶさ」に活用された技術に象徴されるように、世界に誇る技術力を有する中小企業が数多く存在するほか、地震大国である日本では、地震対応の技術においては世界のトップクラスでございます。
その中でも私が注目したいのが免震技術でございます。地震の揺れを三分の一から五分の一に吸収してしまうという、今、大変注目されている免震タワーマンションや免震高層ビルのことで、この技術のことでございます。この超高層ビルなどにおける免震技術は世界からも注目されており、それを東京から世界に発信していけば、注目度はさらに高まります。
また、昨年、袖ケ浦のサーキットで試験的に運用が開始されました走行、放水機能とも電動化された次世代型のEVポンプ車も、東京の企業が生み出した新しい技術でございます。
こうした技術力こそが、東京の持つ強み、すなわち都市力となっているのでございます。この技術力を駆使することで、災害対策を初め、さまざまな都市課題を解決し、東京は安全・安心であると世界に発信していくことが今こそ重要であり、そのことはオリンピック・パラリンピック大会招致にもつながると考えますが、知事のご所見を伺います。
○石原知事 委員のおっしゃるとおり、日本の技術というのは非常にすぐれておりまして、それすなわち、この国の力の表象だと思っております。今、免震性の技術についていわれましたが、日本のような地震の多いところに高層ビルをつくるというのは非常に困難な作業ですけれども、結果として、設計どおり、数十階の建物を建てても、上で一センチの狂いもないという技術は、これは世界に比類がない。
実は、この技術をNASAは活用しまして、月の目的地にロケットをおろす、宇宙船をおろす快挙にも成功したわけでありますが、いずれにしろ、こうした技術というものを支えている高度な人材が東京には集中、集積をしております。毎年、すぐれたベンチャーテクノロジーとして、十ほどの技術を表彰しておりますけれども、これも中にはノーベル賞クラスの新しい技術がございまして、審査する先生方の方がむしろ驚くような現実がございます。
いずれにしろ、こうした最先端の免震、耐震技術や、あるいは高度防災都市を構成するための諸技術、あるいはがんの早期発見や認知症の治療方法の開発など、医療技術の活用によって、世界に比べて進んだ健康な都民生活の実現を目指していきたいと思っております。
いずれにしろ、こうした東京に潜在している高度の技術というものを国そのものがもうちょっと高く評価して認めて、国全体がこれをバックアップして、とにかく輸出もする、あるいは製品にかえていくという、そういう援助というものをもっともっと積極的にしていくべきだと思いますし、してもらいたいものだと思っております。
○高橋委員 どうもありがとうございました。
ぜひとも、さまざまな英知を結集して、東京の都市力を全世界に発信し、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック大会招致につなげていただきたいと思います。
次に、都営バス事業について伺います。
東京電力の株式配当が見込めないことにより、これを充当している都営バス事業の経営は厳しいものになるのではないかと懸念しております。
我が会派は昨年の第三回定例会の代表質問で、今後の都営バス事業の経営について伺いましたが、交通局長からは、当面経常黒字を確保することが難しい状況だが、数年にわたる地道な取り組みにより収支改善に努め、都民の足としての役割を果たしていくという答弁をいただきました。
今回の平成二十四年度予算は、震災後初めての予算であり、さまざまな工夫をして組まれたことと思います。
そこでまず、都営バス事業の経営状況がどのように推移してきたのか、また、東京電力の配当収入が見込めなくなったことを踏まえ、平成二十四年度予算においてはどのように経営改善に取り組んでいくのか伺います。
○野澤交通局長 都営バス事業はこれまで、鉄道の開業等による乗客数の減少が続く中、不断の経営改善に努めてまいりました。その結果、平成十六年度以降は毎年経常黒字を確保し、資金面においても、二十二年度末には累積資金残が三百三十二億円となるなど、財務状況が改善してまいりました。
しかしながら、今般、東京電力の配当金が見込めなくなったことなどから、バス事業はさらなる経営努力が必要な局面にございます。このため、平成二十四年度は、バス路線の見直しにより利用者の増加を図るとともに、さまざまな工夫を重ねることで支出の抑制に努めるなど、収支改善に取り組んでまいります。
これにより、二十四年度予算では、経常収支は十億円の赤字にとどまる見通しでございますが、今後とも収支改善のための取り組みを続けてまいります。
○高橋委員 予算編成の概要についてはわかりました。独立採算で経営する公営企業としては、赤字をそのままにしておくことは許されません。
現在、都営バスを取り巻く環境としては、鉄道の開業などにより苦戦を強いられている地域がある一方、再開発が進んでいる地域や東京スカイツリーの周辺のように、新たな利用客が見込まれる地域もあるのではないかと思います。
私は、バス事業の収入をふやすためには、より一層、利用の実態に即したダイヤを作成するなど、めり張りをつけた事業運営が不可欠であると思っています。
そこで、交通局では、今後どのような考え方に基づき、路線、ダイヤの見直しを行うのか伺います。
○野澤交通局長 これまでも乗客潮流の変化を的確にとらえ、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
近年、都内では、鉄道等の開業やコミュニティバスなど新規事業者の参入により、都営バス以外にも公共交通機関が整備されてきている地域がございます。一方、豊洲や勝どき及びその周辺など、オフィスや大規模住宅の開発が進み、都営バスへの需要が高まっている地域もございます。
こうしたことから、今後、交通局では、地元自治体の動向も見据えつつ、地域の需要に合わせて、人や車両を再配分するなど、都営バスの限りある経営資源を有効に活用することで、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、路線やダイヤの見直しを行ってまいります。
○高橋委員 路線やダイヤの見直しについての考え方はわかりました。地域ごとの状況変化に合わせて見直しを行うことは重要だと思います。
ところで、路線やダイヤというのは、バス事業者にとっては大事な商品であるといえるのではないでしょうか。
例えば、交通局に聞いてみたところ、渋谷から六本木に行くには、地下鉄だと途中乗りかえが必要になりますが、都営バスならダイレクトで行けるそうです。私は、地下鉄が発達している都心部においても、都営バスならではの便利な路線がまだまだあるのではないかと思います。都営バスは、こうした商品をもっとアピールし、利用者のすそ野を広げていくべきだと思います。
そのためには、都営バスの路線のPRを充実させるような取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○野澤交通局長 これまで、路線図や沿線の紹介を広報誌やホームページで行うなど、広く都営バスのPRに努めてまいりました。
このような取り組みに加え、今後、より一層都営バスの利便性を知っていただくため、運行頻度が高く、駅と駅や、駅と大規模施設を結ぶ路線などに焦点を絞った効果的な情報提供を行う必要があると考えております。
そのため、新たに、こうした路線の主な停留所や所要時間等をまとめたリーフレットを作成いたしまして、沿線の企業、学校への配布、職員による駅での乗客誘致キャンペーンを実施するとともに、ホームページにもこの情報を提供するなど、広くPRしてまいりたいと考えております。
○高橋委員 ぜひ効果的なPRを行い、増客、増収につなげていただきたいと思います。
さて、経営改善のためには、増収の一方で支出削減の取り組みも重要です。先ほど都営バスは、これまでも事業全般にわたってさまざまな努力を行い、経常収支の均衡を維持してきたとの答弁をいただきました。
今回の自動車事業の予算案を見ますと、昨年度に比べ支出額が三億四千五百万円ほど減っておりますが、今後とも、さまざまな発想で支出の抑制を図っていく必要があると思います。
そこで、都営バス事業における支出削減のこれまでの取り組み内容と今後の具体的な方策について伺います。
○野澤交通局長 これまで、一部の事業所の運行業務などを外部に委託するとともに、バス運転手などの給与水準を見直すなど、支出の削減に努めてまいりました結果、十年前と比較いたしまして年間約八十億円を削減いたしました。
今後のさらなる取り組みといたしまして、ふぐあいが生じる前に計画的に機器を交換する、いわゆる予防保全により、車両故障の発生が近年大幅に低下していることから、これまで十三年としてまいりましたバス車両の使用期間をさらに三年程度延長することにより、車両購入費の削減を図っていくことといたしました。
このほかにも、営業所の改修などに当たりまして、工事内容をこれまで以上に精査することや、備品類についても可能な限り長期使用するなど、さまざまな工夫を行い、支出の削減を図ってまいります。
○高橋委員 今後とも、新たな発想を取り入れながら、さらなる経営改善を図っていただきたいと思います。
交通局では、これまでお聞きしたような収入、支出両面における努力を重ね、持続可能な経営を行っていかなければなりません。
一方、高齢社会が到来する中で、私は、バスのよさがもっと見直されるべきであると思います。また、都営バスとしても、都民のニーズや社会的要請を的確にとらえていくことも必要であると考えます。
今後、こうした都民の期待にこたえるため、どのような事業運営を行っていくのか伺います。
○野澤交通局長 バスは、乗りおりしやすく、身近で便利な公共交通機関として、高齢社会においてますます重要な役割を担っていくものと考えております。
このような中で、交通局では平成二十四年度には、大規模なバス事業者としては全国で初めて、保有するすべての車両をノンステップバスとするとともに、地球温暖化対策の観点から、引き続き、環境負荷の低いハイブリッドバスを導入する予定でございます。
今後とも、こうした福祉や環境などの社会的要請に対応しつつ、安全の確保を最優先に、都民や利用者のニーズを的確に反映した路線、ダイヤの見直しを行うとともに、例えば携帯電話等を活用した運行情報サービスの充実など、各種サービスの向上に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいります。
○高橋委員 企業経営ということを考えれば、今般の予算案における取り組みは、黒字確保に向けた一里塚であると思います。引き続き経営改善の取り組みを積み重ね、都民の足としての役割を果たしていけるよう努めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
次に、水道事業について伺います。
私たちの愛しております多摩川でございます。多摩川は、東京都の緑豊かな自然を残す憩いの場であるとともに、都民の大切な飲み水となる貴重な水源であります。その上流にある水道水源林は、水道局が百年以上も前からしっかりと管理を行っております。
一方、小河内貯水池上流域の森林の約四割を占める民有森の多くは、長期にわたる林業不振の影響によりまして荒廃が進んでおります。
この問題を我が党が指摘してきたことから、水道局では、小河内貯水池上流域の荒廃している山林を取得して、水源地域を守ることを目的とする民有林購入モデル事業を推進しております。
しかし、山林所有者に手放す意向はあるものの、境界確認などへの対応に時間を要することなどから、契約締結の見込みが立っているのは数件にとどまっていると聞いております。
そこで、山林の契約締結に向けての具体的な課題について伺います。
○増子水道局長 購入に向けての課題といたしまして、第一に、山林所有者の名義は明治時代の登記のまま放置されているなど、相続登記されずに代がわりしていることが多くあります。そのため、相続にかかわる権利者を特定することが難しく、相続手続が煩雑となっております。
第二に、隣接する土地につきましても、同様に相続登記がされていないため、すべての所有者を特定することが難しく、境界確認の作業に時間を要しております。
これら山林特有の問題を解決することは、申込者にとって大きな負担となっております。
○高橋委員 相続登記されてないまま代がわりしていることなどが多いなど、山林には特有の問題があり、契約締結に至るまでには時間がかかり、容易でないことがわかりました。
そのような問題を相続手続にふなれな山林所有者みずからが解決するのは、非常に難しいことではないでしょうか。このような課題に対して、局として積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○増子水道局長 水道局では、これまで相談窓口を設置し、申し込み予定者からの相続などに関する問い合わせに対応してまいりました。
今後は、これまでの対応により積み上げてきた実績をもとに、より具体的なアドバイスを行うとともに、権利者の特定作業について積極的に支援を行ってまいります。
また、本来、申込者が行うべき隣接所有者の特定作業につきましても、水道局が実施してまいります。
これらの支援策を行うことにより、申込者の負担を軽減して、申込者の数をふやすとともに、購入までの期間短縮を可能な限り図ってまいります。
○高橋委員 それらの支援策を確実に実施して申し込みをふやすとともに、契約締結までの期間をぜひとも短縮していただきたいと思います。
ところで、民有林購入モデル事業は、小河内貯水池上流域のみに限定しておりますが、その周辺にも、荒廃している山林が多く見受けられます。中でも流域が隣接している日原川は、台風などによって濁りがひどくなり、これを水源とする浄水所が取水停止になることがありました。
そのため、小河内貯水池上流域でだけではなく、対象地域を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
○増子水道局長 日原川の濁りがひどくなる主な原因は、流域山林の荒廃による土砂流出であります。そのため、平成二十四年度からは、本事業の対象地域を多摩川と日原川との合流点より上流域に広げ、面積を約一・六倍に拡大いたします。
こうした取り組みや、先ほど述べました申込者の負担軽減策により、所有者が手放す意向を持つ荒廃した民有林の購入をふやし、水道水源林として適切に管理することで、都民の貴重な水源を守り続けてまいります。
○高橋委員 森林の荒廃を抑制し、貴重な水源である多摩川の水質がさらに良好な状態で保たれることを大いに期待しております。
都民の大切な水道水を確保するため、これからも多摩川の水源を守り続けていくことを強く要望し、水道局への質問を終わります。
次に、下水道の情報通信網の整備について伺います。
このたびの震災では、地域の通信システムは大混乱を来しました。そのような中、私も家庭の状況を確認するのに大変苦慮し、情報通信の重要さを身にしみた次第であります。
流域下水道では、大震災の際にも各施設の運転制御は支障がありませんでしたが、通信会社の回線を使用しているとのことであり、今後、震災時における流域下水道の機能を確保するために、情報通信システムの防災能力をより高めていく必要があるのではないかと考えております。
そこで、流域下水道における震災時の情報通信をより確実なものにするために、具体的にどのような対策を講じるのか伺います。
○松田下水道局長 東日本大震災の際は、多摩地域の流域下水道の各施設の運転制御には支障が生じませんでしたが、新宿の下水道局の災害対策本部との間で情報連絡がとりづらい状況が生じました。
このことを踏まえまして、流域下水道の情報通信基盤を強化するため、流域下水道本部庁舎と七つの水再生センター、さらに、既に整備をされております区部の下水道光ファイバーネットワークなどとの間を専用線で結ぶ新たな下水道の光ファイバーネットワークを構築する計画を進めております。
今年度は、基本構想として、光ファイバーの敷設ルートなどについて検討を行っておりまして、この検討をもとに、来年度は設計などに着手をする予定でございます。
○高橋委員 流域下水道では、新たに信頼性の高い光ファイバーネットワークを整備していくとのことですが、東京では、首都直下地震など甚大な被害が想定される大地震の切迫性が指摘されております。災害時に下水道の光ファイバーネットワークの特性を生かした機能が十分に発揮されることが求められております。
そこで、流域下水道が新たに下水道の光ファイバーネットワークを整備することで、どのような効果があるのか伺います。
○松田下水道局長 下水道の光ファイバーは地下に埋設をされるため、電柱を使った場合と比較して、地震や火災などによる断線などの危険性が少なく、震災時にも安定した情報通信網を確保できます。
さらに、大容量のデータ通信によって、鮮明な動画送信や遠隔施設の監視機能を大幅に向上することが可能となり、震災時に正確で克明な状況把握を行うことができます。また、被災した施設の復旧に当たる際には、流域下水道本部と下水道局災害対策本部とのテレビ会議などによりまして、きめ細かな連絡調整を行えるため、速やかな応援体制の構築が可能となります。
大規模災害に備えて流域下水道の情報通信基盤を強化することにより、防災体制を向上させ、さらに多摩地域の高度防災都市づくりにも貢献をしてまいります。
○高橋委員 光ファイバーネットワーク構築による効果がわかりました。震災時にも多摩地域の下水道機能が安定的に確保され、高度防災都市づくりにも貢献する流域下水道の光ファイバーネットワークを早急に整備していただくことを要望しておきます。
次に、都市農業の振興について伺います。
最近、私の地元小平市を含む都内各地で、亀戸大根や馬込三寸ニンジン、寺島ナスなどの江戸東京野菜の栽培がふえており、直売所や飲食店などから引き合いも多いと聞いております。
さきの本会議一般質問では、同僚の吉住議員も、都がこうした都内産食材を使用している飲食店を紹介したガイドブックを取り上げ、評価したところでありますが、都民からも大変好評とのことでございます。まことに喜ばしいことであり、こうした都内産農産物の消費を拡大していくことは、消費者にとっては新鮮でおいしい食材を得られることになり、農業者にとっては経営の安定につながるものであります。
都は、現在改定作業中の農業振興プランでも地産地消を大きく取り上げており、今後、都内産農産物の販路をさらに拡大していくべきと考えますが、所見を伺います。
○前田産業労働局長 お話のとおり、地産地消を通じた新たな販路の開拓は、農業者と消費者の双方にとって有益でございます。
このため、都は来年度に、都内産農産物流通ネットワーク事業を立ち上げまして、生産地と都心部などの消費地とを結ぶ多様な販売ルートの開拓に取り組んでまいります。
具体的には、青果店や量販店等のニーズを把握するためのマーケティング調査や、都内産農産物をPRするための試食会を開催するほか、飲食店等を対象とした商談会などを行います。
また、生産地におきましては、販売先のニーズに対応できる生産出荷体制の整備や、農業者との意見交換のための生産地視察を行います。
こうした取り組みにより、都内産農産物の販路を拡大することで、都市農業の振興につなげてまいります。
○高橋委員 多くの都民の皆さんが都内産農産物を食べる機会がふえるよう、しっかり取り組んでいただくようお願いいたします。
一方、都市農業を振興していくためには、新たな施策の展開とあわせて、農地制度や税制度の改善が不可欠である。我が党は、これまでも若い農業者や農業団体との意見交換などを踏まえ、制度改善の重要性を強く訴えてきました。
こうした中、現在、国土交通省が所管する社会資本整備審議会や、農林水産省の都市農業の振興に関する検討会では、都市農地保全に向けた制度のあり方や、都市農業振興のための政策について検討が行われるなど、国でもようやく、都市農業や都市農地を都市に有用な存在として積極的に評価しようとする政策転換の兆しが見られるようになりました。
そこで、今後、都は、こうした国の動きを加速すべく、都市農業に係る制度改善を一層強く訴えていくべきと考えますが、所見を伺います。
○前田産業労働局長 都はこれまでも、国に対しまして、農地制度や相続税制度の改善を求めてきております。お話のように、近年、国におきましては、都市農地の保全に向けた制度のあり方などの議論が始まっております。
このため、現在改定中の東京農業振興プランでは、こうした国の動きを一層促すため、国に対する農地制度改善などの提案を重要事項に位置づけております。
具体的には、新たに、都市における農業と農地の位置づけを明確にして、その振興と保全を図る基本法の制定や、農地を貸し付けても相続税納税猶予の適用が受けられる特定貸付制度を生産緑地にも適用することなどを明記しております。
都は、今後とも、国に対して制度改善を強く働きかけるなど、都市農業の振興と農地の保全に努めてまいります。
○高橋委員 都市農業の基本法の制定や特定貸付制度などの制度改善を国に強く働きかけるとのことですが、都市農業の振興と農地保全のために、よろしくお願いいたします。
最後でございます。
次に、府中所沢線の整備について伺います。
私の地元小平市の発展に欠かすことのできない府中所沢線の整備について伺います。
多摩南北道路は、多摩地域における機能的な都市活動と快適な都民生活を支える幹線道路でございます。中でも府中所沢線は、いまだ半分も完成しておらず、早期に整備することが必要でございます。
特に、小平市内や隣接する国分寺市内の区間では、南北方向の幹線道路が府中街道に限られており、幅員が狭いため、道路交通が集中し、渋滞が発生しております。
また、渋滞によって地域に用事がなく通過するだけの自動車が生活道路に進入してきており、大変危険であります。
こうした状況を改善するために、東京都では、青梅街道の北側の交通のボトルネックとなっている西武拝島線との交差箇所付近において、現在、小平三・三・八号府中所沢線の拡幅整備と、これに合わせた西武線の立体交差化を進めており、既に下り線が高架化されております。
地元の方々は、一日も早く上り線も高架化がされて、踏切がなくなり、さらに鉄道と交差する小平三・三・八号線の道路が完成し、交通渋滞が解消するとともに、地域の安全性が高まっていくことを心から待ち望んでおります。
そこで、初めに、小平三・三・八号線の事業中区間について、交差する西武拝島線の立体交差化を含め、進捗状況と平成二十四年度の整備予定を伺います。
○村尾東京都技監 府中所沢線は、多摩地域の自立性を高め、地域の活性化などに寄与する南北方向の重要な骨格幹線道路でございます。
このうち、事業中の小平三・三・八号線につきましては、西武線小川駅前から東村山市境までの延長約九百メートルの区間で道路の拡幅整備を行っており、あわせて、踏切を除却するため、交差する西武拝島線の高架化を進めております。
既に踏切の南側五百メートルが完成しており、平成二十四年度から、残る四百メートルの街路築造工事に着手してまいります。
西武拝島線につきましては、昨年の下り線に引き続き、上り線の高架化工事を進めており、平成二十四年秋に踏切を除却いたします。
○高橋委員 ことしの秋には、いよいよ踏切がなくなるとの答弁をいただきました。長い間、踏切がなくなることに大きな期待を寄せていた地元の方々の喜ぶ顔が目に浮かんできます。引き続き、道路の拡幅整備も早期に完成していただきたく、強く要望いたします。
一方、五日市街道の南側の国分寺市内では、国分寺三・二・八号府中所沢線の事業が進められています。用地取得も順調に進み、資材等を搬入するための道路も整備する工事に着手したと聞いていますが、本区間も鉄道交差部があり、進捗状況が気になるところでございます。
そこで、現在、事業中である国分寺三・二・八号線について、進捗状況と平成二十四年度の整備予定を伺います。
○村尾東京都技監 国分寺三・二・八号線につきましては、多喜窪通りから五日市街道までの延長約二・五キロメートルで事業中でございます。
本区間につきましては、沿道環境に配慮し、車道の両側に環境施設帯を設けることとしており、平成二十三年度に都と地元市、市民から構成される検討会を設置し、沿道利用のための副道や緑豊かな植樹帯の配置などについて話し合いを進めております。
これまで約八割の用地を取得しており、二十三年度から二カ所にある鉄道交差部のうち、JR中央線をまたぐ橋梁工事用に着手しております。
二十四年度は、引き続き、中央線交差部の工事を進めるとともに、西武国分寺線との立体交差部につきましてもトンネル工事に着手いたします。
○高橋委員 既に用地取得が約八割となり、平成二十四年度には西武国分寺線との交差部でも工事に着手するとのことであります。引き続き、着実に進めてほしいと願っております。
これまでの答弁にあったように、五日市街道の南側でも、青梅街道の北側でも、府中所沢線の整備が着実に進められているとのことですが、その間にある五日市街道から青梅街道までの小平三・三・八号府中所沢線については、いまだ事業に着手されず残されております。
この区間については、現在、都市計画変更及び環境影響評価の手続が進められており、平成二十四年度には都市計画変更される予定と聞いております。
地元の方々の中には、府中街道の渋滞がひどく、狭い道路に車が入ってきて危ないので早く整備した方がよい、道路の計画線の位置はどこになるのか、用地買収はいつ行うのかなどの声があります。
こうした小平市民や地権者の声にこたえるためにも、早期に事業に着手していかなければならないと思います。小平市内及び国分寺市内のすべての区間を早期に整備しなければ、効果が十分発揮されないと考えます。
最後に、未着手区間であります五日市街道から青梅街道までの早期事業化と、府中所沢線の整備に向けた今後の取り組みについて伺います。
○村尾東京都技監 多摩南北主要五路線の一つである府中所沢線の整備は、道路ネットワークとしての機能を充実させることにより、交通の円滑化や都市間の連携強化を図るとともに、多摩地域の魅力と活力を高め、防災性を向上させるものであります。
未着手区間である五日市街道から青梅街道までの約一・四キロメートルにつきましては、早期事業化に向け現在進めている都市計画変更及び環境影響評価の手続と並行して測量を実施しております。
都市計画変更の後、計画道路の新たな位置を速やかに地権者に提示するとともに、平成二十五年度には事業着手してまいります。
今後とも、多摩地域の発展に寄与する府中所沢線の早期完成を目指し、地元の理解と協力を得ながら、積極的に整備を推進してまいります。
○高橋委員 府中所沢線は、地元市でも都市の構造上の骨格となる道路などと位置づけられており、地域の活力を高めていくためにも必要不可欠な道路であります。
小平市内の未着手の区間も事業化へ道筋がつき、府中所沢線が早期に完成されるよう、全力で取り組んでいかれることを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)
○鈴木(あ)副委員長 高橋信博委員の発言は終わりました。
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