予算特別委員会速記録第二号

   午後六時六分開議

○鈴木(貫)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 東村邦浩理事の発言を許します。

○東村委員 それでは、都議会公明党を代表いたしまして総括質疑を行いたいと思います。
 また、流れによっては石原知事にまた質問をするかもしれませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
 一昨日は、東日本大震災から一年目の節目に当たりました。被災によりお亡くなりになられた方々のご冥福を祈りますとともに、今なお復旧、復興の道半ばにある被災地の皆様方に支援の手を緩めない、このことをかたく誓うものであります。
 都議会公明党はこうした思いから、震災より一年を迎えようとする岩手県、そして宮城県、福島県に調査団を送り、被災者の皆様と意見交換をしてまいりました。その際、真っ先に、警視庁、東京消防庁、そして都の職員の方々が、今なお継続して現地に入って支援をしてくださっていることに、感謝のお礼の言葉がございました。このことをまず冒頭お伝えしたいと思います。
 その中でも特に私が忘れられない一言がございます。それは、宮古市の山口副市長が、こうおっしゃっていました。瓦れきの撤去は、復興の速度を速めるだけでなく、被災者の心に刺さったとげを抜くことになるんだと、だから、一日も早い撤去をしてもらいたいんだということをおっしゃっていました。自分たちも努力をするとおっしゃっていました。その意味で、東京都がどこよりも早く瓦れきの処理の受け入れを決断したことに関しては、本当に心から感謝をしているということを、山口副市長がおっしゃっておりました。
 その中で我々は、東京都は、やはりこの被災者への支援をさらに、継続だけではなくて加速する必要もあるんじゃないかと思っております。そこで何点か質問をいたします。
 まず、被災地応援ツアーについて質問いたします。
 昨年、現地に入ったときに真っ先におっしゃったことは、被災地の支援、東京都ができることは、何よりも大消費地である東京都が被災地の物産を買ってくれるとともに、被災地に足を運んでくれることが、何よりも我々の支援なんだということをお話されました。
 この話をされたのは、福島県の商工会議所の副会頭の渡邉さんという方でございまして、東京都が被災地に一泊したら、インセンティブを与えて二千円だけでもつけてくれれば、東京都の人がどんどん来るんじゃないかと。ぜひともこのことを東京でやってくれないかということを、商工会議所の副会頭の渡邉さんがおっしゃいました。
 そのことをすぐ持ち帰って石原知事にぶつけたところ、一泊二千円ではなくて三千円にし、当初二万泊といっていたのですが、五万泊にしていただきました。このことは本当に知事の英断に感謝をする次第でございます。
 この、昨年の被災地応援ツアー、福島、宮城、岩手五万泊分、二泊目は青森、栃木、茨城もオーケーだという、こういうすばらしい制度でありまして、これが何と、ことしの二月末で完売をしたそうでございます。都民からも、被災地を訪問するきっかけになった、被災地からも、土産物の購入額がふえたという、こういう声がございました。
 そこで実態を調べたら、やはり被災地に多く行っていただいたのは、宮城県と岩手県でした。福島県はやはり素通りでした。そこで、二十四年度は角度をつけて、福島県一県限定で何とかお願いできないかということを第四回定例会で取り上げさせていただきまして、これはまさに英断で、来年度二万泊分、日帰りも一万五千人分用意して、予算計上していただいたことは高く評価するものであります。
 その上で、この二月、先ほど申しましたように現地に入りました。現地の磐梯熱海の温泉旅館組合、ここと意見交換しました。そのときにおっしゃっていたことは、実は二十五旅館があるんだけど、この被災地応援ツアーを使える、この大手旅行代理店と取り引きしている旅館は八軒しかない。残り十七軒は実は応援ツアーを使えないんだという声がありました。
 県の観光協会などと連携をし、そしてそこを窓口にして、こういった中小の旅館も含めた、すべての宿泊施設が被災地応援ツアーの恩恵を、まずこうむれるようにすべきじゃないかと、私はこのように思いますし、さらに、この取扱旅行業者に福島の旅行業者も加えることによって、幅広く福島の実情がわかるこの福島の旅行業者が登録することによって、応援ツアーが広がるんではないか。このように私は思うんですが、局長の見解を伺います。

○前田産業労働局長 来年度の被災地応援ツアーは、ただいまお話をいただきましたように、依然として状況が厳しい福島県を対象として実施することといたしました。
 事業実施に当たりましては、都民の方々へ、福島県へのツアーであることなどの情報提供をさまざまな機会を通じて行うとともに、多くの旅行事業者の協力を得られるよう、事業の周知期間や応募機会の拡大を図っております。
 これに加えまして、現地福島県では、来年度、旅行商品造成のために都内の旅行事業者を福島県内に招聘する予定でありまして、都としてもツアーの登録事業者に周知を図るなど協力してまいります。
 また、都は、ツアーに関する都内旅行事業者への説明会などを利用して、福島県の観光協会とも連携し、県内各地の宿泊施設等を紹介する機会をつくってまいります。こうした取り組みにより、幅広く事業の効果が創出されるよう努めてまいります。
 なお、東京都外の旅行事業者でありましても、都内に営業拠点を有する場合には、本ツアーの取扱事業者となることができるものであります。

○東村委員 今まさにこの事業の周知、応募の機会の拡大を図るという話があったのですが、さっきもちょっと話題に出ておりましたけれども、昨日、三月十二日から、実は中小の旅行業者六千泊分が受け付け開始になりました。一時から開始になったんですが、十一時四十五分に行った業者が、アウトになりました。
 これはどういうことを意味するかといいますと、六千泊分の枠の中に、何と来た人が七千八百泊分の旅行業者が応募枠を持ってきた。たった一日です。これから順次やっていこうという中で、たった一日、しかも一時からの受け付けで並んでいる最中に、ここで終わりですって、間で締め切りだといわれたんです。私は、まさにこれは都民が、福島の観光経済を何とか応援しようという、まさに心意気だと思うんですけれども、ただ、余りにも一日どころか、一時間ぐらいでシャットアウトされてしまう。一生懸命応援しようと思ったのにだめだったということで、きのう残念がって電話かかってきました。
 私は、これは何とかしてやるべきだと思うんですけど、知事、どうですかね。(石原知事「何とかしてやれよ」と呼ぶ)局長。

○前田産業労働局長 来年度の福島県に対する被災地応援ツアーにつきましては、四月のできるだけ早い時期から始めたいということで、昨日、お話の中小事業者の受け付けを行いました。
 お話のように、たくさんの方がお見えいただきまして、この取り組みに対する旅行事業者の反響は非常に大きかったと。また、福島県に対する支援の気持ちは非常に強かったと思っております。
 しかし、余りに急でありましたので、今お話のような状況が見受けられますが、現在、詳細な状況の確認を進めております。本ツアーが福島県の復興に資するという目的を踏まえまして、適切な対応を今後検討してまいります。

○東村委員 適切な対応を講じるということは、知事がおっしゃったように、何とかしてやるという、こういうことで、局長よろしいんですね--はい、ありがとうございます。

○石原知事 ついででありますけれども、この間、福島の新聞のインタビューを受けてその実情を聞きましたので、一つの引き金になると思いますので、近々行われる関東知事会は、当番の静岡県の知事にいいまして、裏磐梯で開くようにいたしました。

○東村委員 まさに裏磐梯、本当に喜ぶと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 次いで、教員の被災地でのモニター研修について質問したいと思います。
 実は皆さんにも資料をお配りしておりますけれども、平成二十三年度の教育旅行、つまり修学旅行を含む小学校、中学校、高等学校の教育旅行、このキャンセル、実は黄色いのがキャンセルですけど、東京都が突出をしております。九一%で、九万人近い修学旅行、教育研修旅行等がキャンセルになっております。延べ大体九万人分だそうでございます。
 で、本当にやはり東京と福島のつながりの強さというのは、今回のこのキャンセルを見てつくづく感じたんですけれども、現地からは、ぜひとも、いきなり子どもたちというと、やはりこの放射能の問題でお母さん方が心配されるんで、まず、教員来てくれないかと、こういう話がありました。
 そこで実は皆さんに、また紙一枚お配りをしているんですけれども、(パネルを示す)これは実は栃木県の下野市の石橋中学校、これは校長先生の了解を得て、出していいということでしたので、出させていただきました。下野市の石橋中学校、テーマは東日本大震災、福島県の今とこれからというテーマで、この教育研修を一月二十四、二十五、二十六、二泊三日で行かれました。猪苗代町に行かれました。
 空間放射線量は東京とほとんど変わらないということで、ここを選ばれたそうですが、この声が私は本当にすばらしいなと思いました。まさに被災地の皆さんと意見交換をして子どもたちがこういう思いになれるということは、先ほどから知事は、日本の若者はだめだ、だめだとおっしゃっているんですけれども、潜在的にこういう命を持っているということは、何らかしらこういう縁に触れることによって、きれいな命って私は出てくるんだと思うんですね。
 例えば、自分が思っているよりもはるかに傷ついている人がいる。関係ないと思わずに生きていきたい。もし災害が起こったら、自分が自分のために行動するのではなく、自分が人のために行動する、そういう社会にしていきたい。さらには人を信じること、今を生きることのすばらしさ、あきらめない、何があってもくじけないことを学んだという、こういうすばらしい声がありました。
 そこでぜひとも、これは、私は人間教育にもつながると思いますので、教育長として、例えば、東京の教員がモニターとしてこの福島など被災地に行って、その目で現地の状況を見ながら、そして、被災地での防災教育の効果や教育旅行の可能性をぜひとも探るべきだと思うんですが、教育長、いかがでしょうか。

○大原教育長 教員が被災地を訪れまして、報告書や映像資料等では知ることができない現地の状況を把握することは、実践的な防災教育を推進するために重要であると考えます。
 そのため、都教育委員会は、来年度指定いたします防災教育推進校の防災教育担当教員や、区市町村教育委員会の指導主事等を福島県等に派遣をいたしまして、被害のつめ跡を実際に見て、被災地の状況を肌で感じさせたいと思います。
 また、現地の教育委員会の担当者や教員等と直接会って、意見交換をするなどの交流も行わせたいと考えております。
 こうした被災地への訪問により得られました、災害の脅威をじかに伝える情報や実体験に即した教訓等を踏まえまして、区市町村教育委員会とも連携して、都内公立学校における防災教育の充実も図っていきたいと考えております。

○東村委員 ぜひとも行かれる教員の皆様に、この現地の人と意見交換をしていただいて、それはやっぱり自分の肌で感じ命に刻んで、それを子どもたちに伝えていっていただきたいと思います。できれば、保護者の了解が得られれば、この空間放射線量の、東京と変わらないような地域については、子どもたちをぜひとも連れていって、まさに子どもたちの人間教育、防災教育をしていただきたいと思います。
 三点目に、スポーツ交流について質問したいと思います。
 実は昨年、これも東京都が英断をしていただいて、本当にあの閉塞感のある被災地の子どもたちを、夏休み東京に呼んで、二泊三日ホームステイをして、東京の子どもたちとスポーツを通じて、野球やったり、サッカーやったりして交流をしてくれました。
 これは本当に喜ばれておりまして、例えば、福島県へ行ったときに、体育協会や県の文化スポーツ局の役人さんから、子どもたちが本当に喜んで帰ってきたと。見違えるようにうれしい、生き生きとした顔で帰ってきたとおっしゃっていました。
 受け入れた側も、単なるスポーツの交流だけじゃなくて、例えば墨田区なんかは、スカイツリーの見学や花火大会を見せてあげた。八王子の受け入れたところは、サマーランドを東京都が用意していただいて、プールで泳がせていただいた。昼食を用意していたのですけれども、昼食要らないから、バスが出発する最後の最後までプールで泳がしてほしいというくらい、ずっと子どもたちはプールで泳いでいました。本当に喜んでいました。
 受け入れたお母さん方から、こんな声がありました。他人に感謝される、喜ばれることが、私自身の喜びになるということを初めて感じましたと。生きる力になるんだと思いましたという保護者も、本当にそういう思いになれた。これは、私は本当にすばらしい事業だし、スポーツ振興局の英断に感謝をしております。
 そこで、二十四年度もさらにこの実施回数をふやして、また、やる内容、種目なんかも拡充して、被災地の子どもたちを数多く招いて、スポーツを通じた心の交流を実施してもらいたい、このように思うんですが、振興局長、いかがでしょうか。

○細井スポーツ振興局長 東京都は、平成二十四年度も引き続きスポーツの持つ力を活用し、被災地復興を支援しますスポーツを通じた被災地支援事業を実施いたします。
 被災地の子どもたちを東京に招待し、都内の子どもたちと交流するスポーツ交流事業について、受け入れチームを広く募りまして、被災地と調整しながら、回数や競技種目をふやすなど、昨年度を上回る子どもたちを招待いたします。
 引き続き子どもたちが勇気と希望を持てるよう、取り組みを推進し、スポーツを通じて、被災地の復興を後押ししてまいります。

○東村委員 ぜひとも、本当に、子どもたちに勇気を与えるスポーツ交流をお願いしたいと思います。
 この被災地支援の最後に、除染活動の支援について質問したいと思います。
 福島に行ったときに、これは二月ですが、JAや商工会議所、商工会の皆さんが、こぞっておっしゃったのが猪瀬副知事の話題でございます。それは何かといいますと、一月十六日に行かれた次の日に、福島民報のトップ記事でこういう記事が出たと。
 猪瀬副知事は、除染は相当な費用がかかる上、人海戦術でないと進まない、東京都は電気の消費地として福島県に世話になっている、できるだけの支援をすると述べ、除染ボランティアを派遣する考えを示したと、この記事が出たそうです。
 これで、現地のこのJAの人たちは特に、物すごく東京に期待をしたわけでございますが、ただ、このボランティアは、私が考えるには、やはり作業する方の健康被害の課題もあるんじゃないかと思います。
 そこで、この福島の復興に向けた最大の課題は、何といっても放射性物質の除染であることは間違いないわけでありますから、具体的に猪瀬副知事の方で除染支援の方針があるのであれば、これについてお示しいただきたい、このように思うわけです。

○鈴木(貫)副委員長 ポイントを簡潔に、猪瀬副知事から答弁をいただきます。

○猪瀬副知事 福島は、佐藤雄平県知事が六重苦だと。六重苦というのは、地震、津波、原発、風評被害、豪雨、台風と。さらに僕は、七重苦だと、もう一つある。民主党政権のやっぱり無能無責任ですよ。都議会の民主党じゃないからね。
 東京は、今おっしゃられたように、これまで福島に電力や農産物や工業製品などいろんな恩恵を受けてきました。それから、戦時中は、多くの学童が戦渦を避けて福島に身を寄せて、そういう真心をもって尽くしてくれた。そういう恩に報いるために、東京は福島に対していろいろやりました。
 職員の派遣を初め、今回の被災地応援ツアーや、それから冬季国体のスピードスケートを郡山でやる、こういうことをやっていますが、さらに、東京都の職員が長期派遣されていますから、それを激励することも含めて、先日福島へ行ったわけですね。
 環境局の職員が福島の大波地区で、福島県の除染モデル事業の現場に行ったわけです。現場を見ました。確かに、除染すると放射線量は三割か四割減ることがわかりました。もちろん正式なノウハウとか、そういう成果とか研究はまだ公表されていませんし、まだ終わっていませんから、ただ、そのところで大体三、四割はいけるんだなという感じはありましたけれども、十ヘクタールで大体一億五千万円かかる。一つの集落ですよ、たった一つの集落でそのぐらいかかるんだと、そういうことがわかりました。
 ところが、これ問題は国なんですよ。先ほどいいましたけど、政権の無能無責任だといったのは、汚染土壌の中間貯蔵施設を、多分双葉郡のあの原発の近くにするんでしょうが、その中間貯蔵施設を決めないから、今度はその除染したものの仮置き場を市町村に丸投げするわけですよね。市町村では、仮置き場といわれても、いつまで仮置き場かわからないから、中間貯蔵施設が決まらないと、今度は自分たちの集落で、どの集落だとけんかになるわけですね。決められないわけですから。そこのところをちゃんとやらないと、この面的な除染というのはできないですよ。これはやっぱり国の問題なんですね。それは今回本当によくわかりました。
 何かやることできないかと思いますけれども、技術的効果とか除染の方法論はこれから確立していくと思いますけれども、やっぱりこれは東電や国、特に国ですが、早急にやらなければいけない。どこか決めてくれないとできませんよ。それで、やっとこの間、福島市に除染情報プラザというのが今できたところなのね。
 そういうふうな状況の中で、福島だけが過酷な運命を強いられているわけですから、何とかしたいと思っています。
 今いった国の動向、これがわからないと決められないということと、もちろん福島県の意向を十分に酌んで、それから東京都が関係各局一体となって支援策を検討していきたいと、今いえるのはそこまでですね。

○東村委員 今おっしゃったことは私も大体わかっている話でございまして、これを猪瀬さんが現地でおっしゃったということが、現地で大々的に報道されたわけですから、そこまでおっしゃるんだったら、最後まで、何とかやっぱりこれは猪瀬さんの責任で、いろいろ検討すべきだと私は一言申し上げたいと思います。
 次いで、首都東京の防災対策について質問したいと思います。
 三・一一は、都内で約三百五十万人の帰宅困難者を生んでしまいました。そのさまざまな課題を踏まえて、我が党は第四回定例会で、帰宅困難者対策訓練の実施を提案いたしました。
 二月三日に東京、池袋、新宿、この三駅同時刻に実施いたしました。一万人規模の人が参加いたしました。各訓練にテーマを持たせた、これは非常に私は評価します。
 例えば東京駅では、帰宅支援に海上自衛隊やアメリカ海軍、この船舶を活用いたしました。そして、神奈川、千葉に送り届けました。また、新宿駅では、さまざまな情報伝達手段を使って一時待機施設への誘導を行いました。池袋駅は、埼玉への徒歩帰宅という、我が党のメンバーも何人か行ったそうですが、最後まで歩いた人はいませんでした。
 そういう中で、三駅で同時刻に実施するというこの意義は、私は非常に大きかったと思うんですが、ただ、これは当日、総合防災センターが司令塔となって、区と連携しながら列車の運行状況や滞留者の受け入れ状況、こういうことを相互確認して、本来やるべきだったんじゃないのかなとは思うんですけれども、実際はそれぞれの現場、現場の課題、このテーマに基づいた訓練が行われたわけです。
 そこで、本来、こういった訓練を行うべきじゃないかと思うんですが、総務局長、いかがでしょうか。

○笠井総務局長 発災時には、多数の帰宅困難者がターミナル駅周辺に滞留しまして、混乱するおそれがありまして、鉄道事業者のみでの対応には限界があることから、都や区市の災害対策本部は、人命救助を最優先としつつも、駅周辺の事業者などと密接に連携して効果的な対策を講じる必要がございます。
 このため、今回の帰宅困難者対策訓練では、関係機関の連携を図ることを目的といたしまして、三カ所のターミナル駅それぞれにおいて、駅周辺に滞留する帰宅困難者に対して、都や区による災害関連情報の提供、鉄道事業者と駅前滞留者協議会による安全の確保などを実施したところでございます。
 今後は、この訓練の成果を検証いたしまして、駅周辺の滞留状況や一時滞在施設の開設情報を関係機関相互で迅速に共有し、各駅の状況に応じた臨機の対応を図るなど、おっしゃるところの実践的な訓練を実施してまいりたいと思っております。

○東村委員 ぜひとも、今いった視点が大事な視点ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 その上で、私は東京駅を視察したんですが、この待機している中で視覚障害の人がいらっしゃいまして、大変戸惑っておられました。
 JRの方に、障害者のヘルプカードについて知っていますかと聞いたら、知らないとおっしゃっていました。ただ、障害者の方は目で見ればわかりますとおっしゃったんですが、私は本当によくわかっていないなと思ったのは、身体障害のほかに、知的や精神障害、また内部障害の方がいらっしゃるんですね。こういう方は、見た目じゃなかなかわからないわけであります。
 そこで、障害者のヘルプカードってあるんですけれども、実際これに取り組んでいる区や市や町村は二〇%です。多摩地域で四市、二十三区で十区だけです。しかも、内容が市や区や町によってばらばらです。安心カードと呼んでいたり、防災手帳と呼んでいたり、防災カードと呼んでいたり、まちまちであります。
 そこで、第四回定例会で、このヘルプカードの普及とデザインの共通化を提案したら、東京都は二十四年度からこのヘルプカードの普及促進事業を開始するといっていました。
 そこで、このデザインの共通化、そして対象となる人を明らかにし、このヘルプカードの普及啓発をまずやるべきだと。
 その上で、このことをこの帰宅困難者対策条例の実施計画にきちっと織り込まない限り、これはまた、JRのあの現場と同じようなことが私は起きるんじゃないかと、このように考えるんですが、局長、いかがでしょうか。

○笠井総務局長 発災時の混乱の中におきましては、障害者、高齢者などの災害時要援護者に対するきめ細やかな対応が必要でございまして、とりわけ聴覚障害や内部障害など、お話のように、見た目ではわかりにくい障害がある方に対して十分な配慮が求められるところでございます。
 このため、帰宅困難者対策の実施計画の策定に当たりましては、お話のヘルプカードの普及促進も含め、災害時要援護者に配慮した対策について検討してまいります。

○東村委員 このターミナル駅の問題で、東京駅でもう一つ、これは佐藤副知事も行かれて質問されていましたが、待機スペースの確保とともに、三千人分の備蓄をされていました。食料と飲料水。副知事も、これで足りるんですかということを確認されていましたが、JRの方は、想定しているのは、あの東日本大震災で東京駅に滞留した人の数を、三千人分を備蓄していますと、こういう話でした。
 ただ、よく考えたら、あのとき東京駅は、すぐに東海道新幹線も東海道線も動いたんですね。三千人というのは、これは私は余りにも少ないんじゃないかと思ったんですが、特に首都直下地震や東海、東南海、南海の三連動が起きたときは、三千人では足りないんじゃないかと。
 都条例では、駅での利用者保護というのはざっくり求めているんですけれども、備蓄などに関する具体的な規定がないわけなんですね。
 そこで、ターミナル駅やデパートなどの集客施設における利用者保護について、具体的な検討をしていくべきだと思うんですが、局長いかがでしょうか。

○笠井総務局長 大規模災害発生時は、鉄道などの運行停止により、行き場のなくなった帰宅困難者が駅や集客施設に滞留することが予想されます。
 このため、条例案におきましても、鉄道事業者や集客施設の管理者などが利用者を安全な場所で保護することを求めております。
 都はこれまで、帰宅困難者等対策協議会におきまして議論を重ね、駅や集客施設での利用者保護の徹底、一時滞在施設への誘導などの基本的な手順を中間報告に盛り込んだところでございます。
 今後、協議会でさらに検討を進め、一時滞在施設への具体的な誘導方法や、その間に必要となる備蓄などについてガイドラインとして取りまとめ、鉄道事業者などに働きかけるなど、利用者保護の具体化を図ってまいります。

○東村委員 まさにこの協議会でガイドラインとして取りまとめて鉄道事業者に働きかける、ここは非常に大事なところだと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 次いで、この災害に関連した住宅政策の一つとして、震災時のLCP住宅について質問したいと思います。
 LCPとは、ライフ・コンティニュティー・パフォーマンスという、震災時に都民が住んでいる自分たちの住宅内にとどまって生活が継続できる、そういった性能を備えたマンションや公共住宅をLCP住宅というわけなんですが、昭和五十六年以降の新耐震基準を満たした都内のマンションというのは、実は約八割もあるんです。八割、この新耐震基準を満たしたマンションがある。これを私は活用しない手はないと思います。
 停電によってマンションが一番困るのが、エレベーターが長時間とまるということ、それから給水ポンプが停止するということでございます。ただ、震災時に電力が確保できれば、これは解決されるわけなんですね。
 ちょっとこの図を見ていただければわかりますように、マンションがございます。マンションの居住者が従来個々に電力会社に払っていたお金を、高圧で一括受電する、この事業者が高圧で一括受電する。そうすると、これは東京電力であれ、PPSであれ、大体、従来払っていたお金のトータル金額よりも安くなります。場合によっては、一割から二割安くなる。
 この安くなったお金で、コージェネレーションという設備と蓄電池機能を持った設備、燃料はガスや軽油なんかを使ってやる、いわゆる自立発電、自家発電設備ですね。これをつくることによって、震災時にマンションのエレベーターがとまらないわけなんです。しかも、何よりも居住者の負担がありません。
 ただ、規模は百世帯ぐらいないとだめなんですけれども、百世帯あれば、こういった居住者の負担がなく、こういった震災時に耐震化されたマンションについては住み続けられる。
 なぜこの問題取り上げたかといいますと、避難所が恐らく東京都の場合足りなくなるだろうと、首都直下のとき。そういうときに、マンションのエレベーターがとまった、給水ポンプが上がらないという一点でみんな避難所に来てしまったら、避難所があふれてしまう。むしろとどまってもらうという、マンションの中で耐震化されているんだからとどまってもらうという手はずを整えることが大事だろうと。
 そういうことで、ぜひともこれは、多くの方、まだまだ知りません。東京都はこの有効なLCP住宅の普及に向けた取り組みについて、見解を求めたいと思います。

○飯尾都市整備局長 ご指摘のとおり、地震災害時でも生活継続を可能とする性能を備えた集合住宅の普及促進は重要でございまして、住宅マスタープラン素案でも、その取り組みについて示しているところでございます。
 お話のLCP住宅でございますけれども、公社住宅等におきまして具体のモデルを示しまして、既存マンションへの普及を図ってまいります。
 また、新規マンションにつきましても、都有地において、民間事業者を活用いたしまして、LCP住宅としての性能に加えまして、電気や熱エネルギーの最適な管理が可能となるエネルギーマネジメントを行うプロジェクトを実施いたしまして、開発モデルを示してまいります。
 さらに、このような性能を備えた住宅の登録、閲覧制度を導入いたしまして、登録された住宅をホームページ上で公表いたします。
 こうした取り組みを通じまして、LCP住宅の普及促進を図り、高度防災都市の実現を目指してまいります。

○東村委員 まさにこれは既存住宅で広めていくということが、私は何よりも大事だと思います。新しいマンションは、結構この問題を真剣に取り組んでいて、付加価値をつけて売り出しているところがたくさんあると思うんですが、既存マンションでこれをやることによって、避難所にこの耐震化されたマンションの人が、くどいようですけど行かなくて済む、こういうことをまずやっていくことが大事だと思います。
 もう一つ、実はこの住宅政策に関連して、先日起きました、三月八日に発見されました立川市の都営住宅での九十代と六十代の高齢者の親子の孤立死の問題について質問したいと思います。
 公明党は、かねてから、この都営住宅の孤独死対策を強化しろということを一貫して主張してまいりまして、都も安否確認に対する体制の整備を行ってきただけに、今回の出来事は大変に残念であります。
 今回、東京都住宅供給公社の対応は、通常だと、ひとり暮らしの高齢者の場合、これは玄関のドアのかぎを壊してでも入室したと。ところが、今回は親子二人の暮らしのために立ち入りを行わなかったと、こういう記者会見をされていました。
 私は、だったらこれはマニュアルを見直す必要があるんじゃないかと、このように考えるわけでありまして、三月九日に、都市整備局長に、この安否確認の迅速な対応について都議会公明党として申し入れをしたところでございます。
 知事も記者会見で、合いかぎやマスターキーをつくって入ればいいじゃないかと、こういうことをおっしゃっていました。
 そこで、今回の出来事を受けて、今後の都営住宅入居者の安否確認の迅速な対応に向けての都の取り組みについて、見解を求めたいと思います。

○飯尾都市整備局長 都営住宅における居住者の安否確認につきましては、高齢者世帯の増加を踏まえ、緊急時の連絡体制を整備し居住者に周知するなど、改善を図ってまいりましたが、今回の事案を踏まえまして、今後は、都営住宅の管理者として、責任を果たすという原則的な立場を徹底することといたしまして、緊急性がある場合には、迅速な入室により安否確認に対応する方針で取り組んでいくことといたします。
 この方針に基づきまして、住宅供給公社に対して迅速な安否確認の実施を指示いたしました。同時に、緊急時の対応マニュアルを早急に見直します。
 また、住宅のかぎの保有につきまして、緊急時の入室をより容易に行えるよう改善に取り組んでまいります。
 今後とも、地元区市や警察、消防、団地自治会とも緊密に連携しながら、責任を持って対応してまいります。

○東村委員 二度とこういう出来事が起きないように、今おっしゃったように、マニュアルを見直して、このかぎの保管をどこが、だれがやるのか、これはまた検討しなきゃいけないんでしょうけれども、明確にして、緊急時にはちゅうちょすることなく踏み込めるようにお願いをしたいと思います。
 次いで、雇用対策、特に若年雇用について質問したいと思います。
 都内高校生の就職内定率は、昨年は三月卒の卒業生で九一・三%、ことしは九二・四%になる見込みなんですが、実はこれはからくりがありまして、昨年の十一月に比べると、二十三年三月予定者は六八・一%、二十四年三月予定者は七〇・六%、何で急にこれだけ上がるかというと、就職できない高校生は専門学校、専修学校へ切りかえるんですね。切りかえると分母が減る。分母が減ると九〇%まで上がってしまうというからくりで、実際は大変厳しい就職率です。
 工業高校とか商業高校の就職率は安定しているんですが、高い水準で安定しているんですが、普通科高校は特に厳しい。
 他方、都内高卒者の求人倍率を見ると、これは十一月時点なんですが、昨年三月卒業予定者は三・六六倍、二十四年三月卒業予定者は三・四三倍で、四年連続で減少していますが、依然、低い水準じゃないです、高い水準にあります。私は、これはまさにミスマッチだと思っています。このミスマッチさえ起きなければ、高校生の就職というのはできるんだろうと思っております。
 教育委員会が、この調査をして、普通科高校生の離職率が高いとか、将来について目標を持っていないとか、こういうことを調査の結果として明らかにしておりますけれども、であるならば、中長期的には、私は、普通科高校のあり方そのものも、もう一度見直していく必要があるんじゃないかと、こう思うわけですけれども、当面、やはり就職というのがもう目の前にあるわけですから、普通科高校生の職業に対する意識を高め、希望する生徒に適性に合った就職ができるよう、こういった取り組みをしていく必要があると思います。
 そのためには、現場の先生にこれ以上負担をかけるのではなくて、むしろ各分野で活躍している外部人材、この人たちを活用して職業意識を高める方策を検討していくべきじゃないかと思うんですが、教育長、いかがでしょうか。

○大原教育長 生徒の進路が非常に多様な一部の普通科高校では、就職への意識や準備が不十分なまま定職につけないでいる生徒、あるいは目的意識が希薄なまま進学をしてしまう生徒も少なくございません。
 こうした高校では、生徒に自己の適性を自覚させ、職業に対するイメージと将来の目標を持たせた上で、就職を希望する生徒には、希望の職業に従事できるように必要な知識や技能を身につけさせていく必要がございます。
 このため、普通科高校に適した職業教育を推進することといたしまして、職業科目を学ぶ機会を確保いたしますとともに、教員の企業訪問の拡充等によりまして企業のニーズを把握して、きめ細かい進路指導を行ってまいります。
 さらに、ご指摘のように、各分野で活躍している外部人材の活用を図りまして、生徒にそうした方々の声や姿に触れさせて、働くことの意義と喜びを理解させて、確かな職業観と技能を持った職業人を育成してまいります。

○東村委員 ぜひとも、この職業教育を推進する上で、外部人材を活用して、普通科の高校の皆さんにも働くことの意義、重要性というものを心に刻ませていただきたいと思います。
 次に、もう一つの問題であります若年非正規雇用の解消の問題について質問したいと思います。
 実は、国の労働力の調査で、非正規労働者の割合が三四・七%、過去最高となりました。これはまさに、少子高齢化と相まって、日本社会の屋台骨を将来にわたって揺るがす大きな問題であると私は思っております。
 ただ、中小企業の有効求人倍率は三・三五倍で高い水準にあります。やはりここにもミスマッチがあるんじゃないかと思っております。これを解消する必要がある。
 若者は、なぜ中小企業で働きたくないかというと、一つはやはり賃金の不安や、さまざまな環境の整備といった問題があると思っています。
 特にこの賃金の不安、具体的には住居の問題、子どもの教育、仕事、育児、こういったことがいろいろのしかかってくるわけで、そうなるとなかなか中小企業に踏み切れないと、こういった声もあるわけであります。
 そこで、総合的に支援するパッケージをつくっていく必要があるんじゃないかということを第四回定例会で質問させていただきました。そうしたところ、東京都は、東京しごとセンターに専用コーナーを設けて、保育、住宅などのパンフレットを置いてくれたわけですけれども、こういった情報提供や相談だけでは、まだまだ私は広まらないんだろうと思っています。
 実は東京都には、この若者を支援する施策というのは、いろんな局にまたがってたくさんあります。産業労働局も、部によってほぼ同じような支援の仕方をしているんじゃないかと思われるものも中にはあります。局をまたいでいる。
 こういった各局に分散している若者支援の事業を、就労という観点から整理集約して実施した方がより効果的な支援ができるんじゃないか。そういう意味で、局横断的なワーキングチームプロジェクトといいますか、こういったものをつくって、強力に私は推進すべきと考えますが、知事、いかがでしょうか。

○石原知事 東京にあります中小企業というのは、非常に優秀なものと非常に劣悪なものと玉石混交なんですね。それをやっぱり前提に考える必要あると思いますけれども、いずれにしろ、昨今の若者というのは、大方大企業、あるいは有名で派手な企業に行きたがりますけれども、こういう変化の激しい時代に、そういった企業といえども、いつまでも安泰とは限らないと私は思います。むしろ、その斬新な技術や着想を武器にした中小企業にこそいろんな可能性があるわけで、先ほど申しましたように、そういうすぐれた中小企業が日本にはたくさんあります。東京にはたくさんあります。
 ゆえにも、私たち、その会社が開発しているテクノロジーを、ベンチャーテクノロジーとして、年に、専門家に選んでいただいて都で表彰しているわけですが、私自身の体験を振り返ってみましても、卒業したのは、随分昔、三十一年でありますけれども、そのときの仲間の就職を見てみますと、やっぱりみんな有名な会社へ行きたがる。
 中に、行きそびれて、当時では、電通とか日本航空とかトヨタへ入った連中は、日本の自動車会社に入った、何でそんなところへ行ったんだと。電通っていったら、あんなの広告会社、こんなものは先があるのかとか、日本航空も一時浮き沈みがありましたけれども、むしろ逆にそういう会社を選んだ人間は同情されましたが、後には時代の変化でみんな有名な企業になりました。
 こういうものを勘案しまして、要するに中小企業の可能性について、できるだけ的確な正確な情報の提供というものを心がけるべきだと思っております。
 同時に、今ご指摘のように、労務管理の問題などには、いろいろ会社によってありますから、こういったものの改善も、都としてそういう企業に人を推薦、推挽するならば、そういうものの整備も指導していきたいと思っています。
 いずれにしろ、これから世の中に出ようという人たちが、自分の住まいや子どもの教育というものについて不安を持つようでは、これはやっぱり企業そのものが繁栄いたしませんから、そういうものを十分考慮いたしまして、いずれにしろ、その内向き志向、安定志向にある若者から本来持つべき可能性やチャレンジ精神を引き出すためにも、可能性の豊かな中小企業というものをあっせんする努力は、これから都としても推進していきたいと思っております。

○東村委員 今まさに、最後、可能性のある中小企業を都としてもしっかりとこれから応援していきたいという話がありました。
 そこで、実はこの第四回定例会で、新卒者の特別応援窓口、ここで今までカウンセリングをやってなくて、適性を見抜いていなかったんですね。ただ紹介するという話がありましたので、カウンセリングをまずやったらどうかと。紹介する中小企業に本当に合った人を紹介しないと意味がないわけであって、そういう適性のカウンセリングをやって、それから紹介したらどうかといった話をしたところ、東京都は、大したものだなと思ったのは、中小企業の企業ツアーというのを企画してくれまして、三月六日に多摩地域で、三月十二日に二十三区で、それぞれ今回やっていただきました。
 まず、手探りの状況だと思いますが、これをやった参加者の感想と受け入れてくれた企業の感想、これをまず聞きたいと思います。

○前田産業労働局長 都は、若者に求人企業や仕事内容の具体的なイメージを持ってもらい就職につなげるため、今お話いただきました企業ツアーを新たに始めました。
 三月六日と昨日に、二回ツアーを行ったわけですけれども、ITとか不動産とか商社等を訪ねまして、二回で延べ三十三人の若者が参加いたしました。第一回目のツアーに参加した若者からのアンケートでございますが、企業からの説明が丁寧でわかりやすかった、会社の現場を見ることで社内の雰囲気もわかり企業理解が深まったなど、有益であったとの意見が多く寄せられております。
 また、訪問いたしました企業からは、若者と密に会話ができ、本音に近い話ができたなどの感想が寄せられました一方で、せっかくの機会なので若者にはもっと積極的に自分をアピールしてほしかったなどの意見もございました。

○東村委員 ぜひとも、中小企業の経営者から率直に若者に対して、今おっしゃったように、もっともっと自分をアピールしろということも、現場でいってもらった方が彼らも気づくと思うんですね。そういうツアーにできればもっといいと思いますし、なかなかの反響のようですから、課題、問題点も整理しながら、この企業ツアーをどんどん継続して、何回もやって、マッチングできるように取り組んだらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

○前田産業労働局長 この企業ツアーは、来年度も含めまして合計十回程度開催する予定で現在おります。参加した若者や訪問先企業の声などを踏まえ、それぞれの回ごとにその効果や課題を検証しながら、必要な改善措置も講じてまいりたいと思います。

○東村委員 ぜひともこれを継続して、ミスマッチの状況を改善する、先ほど知事もおっしゃいましたけれども、この東京の中小企業、確かにいろんな中小企業があると思いますけれども、いい中小企業は、実は最近どんどんふえてきているわけですから、こういうところに若者が行って、ものづくりだとかさまざまな分野で日本をしょって立っていただくということは、逆にいえばこれから日本にとってプラスになると思いますので、力を入れていただきたいと思います。
 その上で、今、中小企業の話題が出ましたが、一つだけこの中小企業の支援について伺いたいと思うんですが、震災の計画停電を受けて、特に私が住んでいる多摩地域というのは、製造業がかなりダメージを受けました。これは、ラインがとまるだとか、もう何とかしてもらいたいという悲痛に似た声があって、中にはもう海外に移転を検討するというところまで出始めたわけでございます。
 そこで、我が党は、第二回定例会で、この中小企業への自家発電設備に対して助成を、東京都が踏み切ったらどうかという提案をしまして、東京都は、中小企業単独で、二十四年三月三十日まで二千万円を限度に三分の二、それ以降二十四年九月三十日まで一千五百万円を限度に二分の一、さらにはグループでいくと、二十四年三月三十日まで五億六千万円を限度に四分の三、さらには九月三十日まで五億円を限度に三分の二、助成するというかなり思い切ったこの政策を提案、つくってくれました。
 そこで、導入した企業を見てまいりました。あきる野にある吉増製作所、名前出していいとおっしゃったので、名前出させていただきますが、これは航空宇宙関連の部品を製造している会社であります。航空機は何も大田区だけではありませんで多摩地域もいろいろやっていまして、この東京都のアマテラスという航空宇宙産業の一貫生産の技術集合体であります、十社ぐらい入っているんですが、その一社なんですね。すばらしいところでして、ここが、二百キロワットの自家発電設備を入れました。
 東京都から三分の二お金をいただきまして、一千万円の自家発電設備を入れた。大した機械じゃないんですけれども、非常に役に立っているのは、東京電力から一五%、契約電力を下げてくれと要請されたんですね。これはやっぱりもうみんなが協力しているから自分たちも協力しなきゃいけないということで一五%下げました。そうすると、どうしてもオーバーするときがあるんです。そのときに、この東京都の助成金を使った自家発電設備を使ったら本当に助かったという声をいただきました。こういう優秀な企業がとまらなくて済んだという非常にすばらしい一例でございます。
 東京都は、さらにこの対象エリアも、東京電力と東北電力という東日本大震災により電力抑制を受けた地域に広げてくれました、二月八日から。
 ただ、さっきいいましたように、三分の二、助成が出るのは三月三十日までなんです。この前、福島に行ったときに、内堀副知事とお会いしたときに、この話をしたら喜んでいました。東京都は、ここまでやってくれるんですかと、三分の二出してくれるんですかと、これはすごいことですねということで、早速東京都から資料を取り寄せて、福島への企業誘致のパンフレットに載せていました。
 東京に本社があって福島に工場があるというのは幾つかあるんだと。これは使わせていただきます、東京都は本当にすごいですねと。ただ、最後におっしゃったのは、三月三十日までですか、三分の二はと。二月八日から三月三十日ではほとんど期間がないじゃないですかと、これは何とかできないんですかねなんていわれて、これもしっかりお話ししますということで帰ってきました。非常に評価をしてくれました福島の方も。
 そこで、ぜひともこれを、四分の三の助成を三月三十日といわないで、九月三十日まで、局長、ぜひとも延ばしていただきたいんですが、どうですかね。

○前田産業労働局長 東日本大震災による影響を踏まえまして、中小企業が生産活動を安定して継続するために、電力確保に向けた取り組みを都として支援することは重要であります。そうした意味で、今お話の取り組みをしております。
 一方で、ことしに入りまして、東京電力が電力料金の値上げを発表しておりまして、これでも、中小企業向けの料金割引のメニューは、夏の節電に協力するということが条件となるような状況も起きております。
 このため、都は、昨年設置いたしました中小企業向け電力自給型経営促進支援事業、複数年度にわたりますので基金を設けておりますが、この基金を活用して、中小企業によります今夏の節電への対応に向けた支援を行うことを現在検討しております。お話の自家発電設備の導入促進につきましても、前向きに検討してまいります。

○東村委員 くどいようですが、前向きに検討するということは、これからやっていただけるということと理解してよろしいですよね。そういう情報を発信していきたいと思います。
 もう一つ知的財産の問題なんです。三月上旬、上海で日本商品直送in中国という日本製品専門の展示会が開かれて大盛況だったそうですが、これ一つ私は危険だなと思ったのは、また模倣品が出る可能性があるんじゃないかという非常に危惧している一人でございまして、なぜかといいますと、二十一年四月に、記憶にある人いるかもしれませんが、天津シュナイダー事件というのがありました。
 これは何かというと、シュナイダー社が中国と合弁会社をつくったのですけれども、電気のブレーカーを小型化する技術なんですね。ほかにもシュナイダー社は、中国で特許をいっぱい持っていますが、小型化する技術って、これはどこでもやっている話だから、あえて実用新案権なんかとらなくてもいいと思ってやっていたら、何と中国浙江省の企業に実用新案権で訴えられました。
 賠償金、何と二十三億、第一回のこの結審、判決では四十八億払えということになって、それを和解で二十三億。和解でも二十三億円、これはもうすごい金額ですよ。しかも実用新案権なんです。皆さん特許権、特許権とおっしゃいますけれども、この実用新案権もばかにならない権利で、物の形状や構造、組み合わせをちょっと変えるだけで実用新案権はとれるんです。しかも、製造、販売の独占権が持てる、これは審査がなくて、出願してから四カ月で自動的に権利が成立するんです。十年間保護されるんです。これで、今中国がどんどんどんどんいろんな問題、追及してきて、実用新案権でやられています。
 これは私は、今、日本は特許権、特許権といっていますけれども、特許権は、実は審査待ち日数が二十九カ月、二年以上なんです。私は、菅さん、弁理士なのであのとき、自分が総理になったとき、こういう問題を解決されたら、本当、みんなに喜ばれたと思ったんですが、何でやられなかったかちょっと不思議なんです。ここが今、日本のネックになっていまして、こんなの中小企業が待っていたら、中国に進出しても、製品展示してもやられるだけなんですね。
 そこで、私はぜひともこの特許権以外の実用新案権や商標権や、それから意匠権だとか、こういった特許権以外にすぐに取れる権利で対抗できるもの、幾つもあるんです。
 こういうのを東京都の知的財産総合センターでしっかりと指導助言し、あわせてこの知的財産総合センターで、海外の、今こういう状況になっている知識、これをしっかり習得する人物も配置して、また、人数も今大体年間一人二百六十件も預かっているといいますから、これはもうえらい大変な作業なんです。
 恐らくもう手いっぱいの状態になっているんじゃないかと思うんですけれども、こういった人数の面でも、またこの海外の情報をよく知っている専門家も配置して、知的財産総合センターを強化して、こういったさまざまな問題に対抗できるように検討していただきたいと思うんですが、局長、いかがでしょうか。

○鈴木(貫)副委員長 局長、保護と拡充の二つです。

○前田産業労働局長 知的財産の権利には、特許権のほか、今お話をいただきましたように実用新案権、さらには意匠とか、商標などさまざまな種類がございます。
 中小企業が持つこれらの権利を適切に保護していくことは重要でございます。このため、東京都知的財産総合センターでは、中小企業などの相談の内容に応じまして、実用新案権などの権利を保護する方法につきましてもアドバイスを行っております。
 また、中小企業が海外で商品を販売する際に、意匠や商標の権利の保護というのも重要となっておりまして、国ごとに出願が必要ですが、それに要する経費の助成限度額を来年度三十万円から六十万円に増額をいたします。
 また、知的財産総合センターの活用でございますが、現在、知的財産総合センターでは、中小企業の海外の知的財産の保護等に関する相談を行っており、近年その対象となる国が、振興国を初め多様な広がりを見せております。その中で、国ごとの制度の差異を踏まえたきめ細かい対応に取り組んでいるところでございます。
 来年度は、海外における知的財産の保護や活用に関する高度な相談内容に対応できるアドバイザーを増員いたしまして、体制の充実を図ってまいります。今後とも、こうした取り組みを通じて、海外における中小企業の知的財産の保護を的確に支援してまいります。

○東村委員 これ、まさに中小企業って無防備なんですよね。こういうところを、知的財産総合センターで、私は正直な話、待っているだけじゃなくて、いろんな中小企業がいたらどんどんどんどん出向いていってアドバイスをしていってあげるという、それがこれから日本の製品を守る大きなかぎになると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次いで、救急医療について質問したいと思います。
 実は、救急搬送事例を見ていきますと、平成二十年度で、高齢者の方が救急搬送される割合が四一・六%、二十二年度になると四五・二%に上ります。
 実はこの救急搬送、高齢者がふえているわけなんですが、特に重症患者の搬送のうち六三・五%は高齢者です。都内の区市町村ではこういった高齢者の救急搬送をどうしていけば的確に短時間で運べるかということを今真剣に考えていまして、その中で、救急医療情報というのを紙ベースで、持病や服用中の薬、かかりつけ医、家族の緊急連絡先、これを紙ベースで、今やっているんですけれども、これはこれで成果が上がっているんですが、実は、この紙ベースで一回書いちゃうと、かかりつけ医を変えたとか、服用する薬が、例えば半年後変わったとなると、また書きかえなきゃいけない。
 高齢者の人ってなかなかそこまでもう手が回らないわけであって、むしろ、こういったものをタイムリーに更新できるこのICカードみたいなものに全部入っていれば、いざ搬送するときに病院でそれをレコーダーに通して、情報を読み取る、また救急車の中で読み取る、こういうことをやれば、的確に高齢者の方が搬送できるんじゃないかと。そのためにやはり大病院だけじゃなくて、かかりつけ医も電子カルテを導入しなきゃいけない。
 いつまでも、うちは鉛筆で書くんだと、電子カルテなんか要らないというんじゃなくて、かかりつけ医も電子カルテをしっかりと普及させるようにしなければできないと思うんですが、これは今すぐというわけじゃないんですけれども、大きなテーマとして、電子カルテをかかりつけ医まで普及させて、その上で、医療情報を随時更新しやすいカード形式、IC化をして高齢者が保有できるように、そういう仕組みを、今後東京都として、長い目ですけれども、検討していく必要があるんじゃないかと思うんですが、福祉保健局長、いかがでしょうか。

○杉村福祉保健局長 高齢者が、みずからの医療情報を救急あんしんシート等にあらかじめ記入をいたしまして、救急時などに、地域の医療機関がその情報を活用する取り組みは、高齢者の安心・安全を確保する上で有効な取り組みの一つと認識をいたしております。
 一方、診療情報をIC化いたしまして有効に機能させるためには、すべての病院、診療所、薬局等の持つデータのIC化が前提でございまして、最新の情報を漏れなく入力する体制の確保やその費用、入力に当たっての本人同意、医療機関を初めといたします関係者の合意形成など多くの課題がございます。
 国が社会保障カードの制度設計に向けた検討のための実証事業といたしまして、平成二十一年から全国七カ所で実施をいたしましたICカードを利用した診療情報等の活用に関する事業におきましても、個人情報の保護、セキュリティー対策、基盤整備に要する費用負担などの課題が明らかになっておりまして、引き続き検討を行うことといたしております。
 都といたしましては、現在の国の検討状況や動向を注視いたしますとともに、東京におけるIC化の可能性につきまして、今後、東京都医師会など関係団体と意見交換をしてまいります。

○東村委員 これは本当に、今後の救急ということを考えたら大事なことだと思っていまして、かかりつけ医まで電子カルテが普及して、そしてIC化されてくると、確かに個人情報の問題があるんですけれども、私は、個人情報の問題よりもやっぱり人の命の方が大事だと思うんですね。そういう仕組みづくりというのを、どうか前向きに検討していただきたいと思います。
 次いで、二次救急医療について質問したいと思います。
 皆さんの方にも資料を配らせていただきました。(パネルを示す)これは実は二次救急医療、空床ベッド、一床ベッド当たり五百万円、これは国は何もやってくれませんけれども、東京都が独自で五百万円補助しています。助成しています。二床だと一千万円、三床だと一千五百万円、これは当たり前の話ですが。この空床ベッド、都は、整備に必要な経費だといっているんですけれども、せっかく整備したらそれに見合うだけの、やはり患者を受け入れてもらわなければ、何のための補助なのかという、こういう問題に私はなると思います。
 これ、実はあるエリアのデータを一覧にした情報なんですが、A病院、B病院、C病院と全部書いてあります。黄色くなっているのが病床数、内科、外科系病床数、そしてもう一つの次の黄色い枠が、Bというところが救急車、救急車で受け入れた数です。で、このBをAで割ると、一ベッド当たり年間何人の救急患者を救急車で受け入れているかということがわかります。
 そうすると、驚くことにこんな差があります。一番上のところが七百三十四人、一番下が九十五人、東京都は、空床、二床受け入れるときに、一床分、つまり三百六十五人の半分、これは最低でも受け入れてくださいね、百八十三名、百八十三名以下って結構あります。これ三床に関しては一・五倍ですから、もっと上いかなきゃいけない。
 一つの比較事例として、このグリーンのところ、ちょっとグリーンに見えないかもしれませんけれども、グリーンのところ見ていただければわかりますが、Cという病院と、Kという病院を見ていただければいいと思います。
 Cという病院は、一般病床が七十一床、療養病床が三十九床、Kという病院は、一般病床九十八床、療養病床七十一床、むしろCの方が規模は小さいんです。ところが、受け入れている救急の患者の数は、Cの方が六百八十六、Kの方は九十七なんです。
 これはどういうことかといいますと、努力をしているんです。中には、整備費だから、五百万円もらえば、一千万円もらえばそれで、全く受け入れていないとはいえません、九十七人でも受け入れてくれています。ところが、ここはこんな規模でありながら、BとDという、五百床、六百六十一床という大病院にも引けをとらないくらい救急患者を受け入れる努力をしているんです。
 今、現場では、もう限界に来ている。二次救急医療は限界に来ている。特に高齢者の方の搬送がふえてきて限界に来ている。医師をふやしたくても、中小の病院の経営力じゃなかなかもうできない。むしろ、東京都はこういった状況をよく認識してもらいたいと。ただ、五百万円出せば、これは空床整備だから、数は関係ないんだという、そういう発想はやめてもらって--全く受け入れていないというわけじゃありませんから、ここはここで減らしてしまうと、じゃあやめたという話になりますから、やめてもらうと、またこの九十七人が路頭に迷うので、この人たちはこの人たちで、もう五百床、五百万円の、一千万円の補助でいいですから、むしろこの努力をしている病院、こういうところに、救急の医療加算、これを東京都で考えてあげれば、いろんな意味で手が打てて、受け入れ体制がさらに充実すると思いますけれども、局長、いかがでしょうか。

○杉村福祉保健局長 救急医療を提供するためには、入院が必要となったときに備え、患者受け入れのための空きベッドをあらかじめ確保しておくことが必要でございます。
 そのため、都は、休日・全夜間診療事業の中で、一定数の空床を必ず確保する指定二次救急医療機関に対しまして、空床確保料等を支援いたしております。
 現行の診療報酬制度では、このような体制整備のための費用が措置されておりませんことから、この事業では、受け入れ実績ではなく、整備に必要な経費を支援いたしております。
 医療行為に対する対価につきましては、診療報酬で措置されることが基本でございまして、救急患者への診察等につきましても、その受け入れ実績に基づき診療報酬が支払われております。したがいまして、受け入れ件数に応じた評価を行うとすれば、診療報酬制度の中で考慮をされるべきものと認識をいたしております。
 ただ、こうした意見があることも承知をいたしておりまして、今後、診療報酬制度との整合性も含め、救急医療対策協議会の中で十分ご議論をいただきたいというふうに考えております。

○東村委員 これはぜひとも大事な問題なので、議論をして、本当に受け入れる側が喜んで努力をしていける、こういった体制を東京都はつくっていただきたい、このように思っております。
 次いで、新銀行東京について質問したいと思います。
 二十年三月、新銀行東京四百億の追加出資の議論をしながら、我々も本当に苦しい思いで議論したのを今のように覚えております。
 反対する政党から、四百億の追加出資はどぶに捨てるようなものだとか、泡となって消えるという批判を何度も何度もいわれました。ただ、今回、二十三年度の決算見込みを見ると、再建計画どおりに、実質業務純益が十億円、当期利益が八億円、純資産が五百六億円、まさにこれは経営陣の力だと思います。私は本当に寺井社長以下現経営陣、そして社員の皆さんの努力に、これは四百億入れたからこうなっただけではなくて、努力をして経営陣がここまでやったから、今の新銀行東京があると思います。
 また、当時知事はこういう話されていました。東京発の金融恐慌を回避したいんだと、これを何とか回避したいんだという話がありました。その年の、くしくも九月十五日に、アメリカのリーマン・ブラザーズが破綻をし、あのリーマンショックが起きました。私はまさに賢明な判断だったんだろうと思っております。
 そういう中で、我が党は、何よりも当時、新銀行東京が、赤字で債務超過の会社に、五千六百三十五社貸し付けをしている、こういう実態を踏まえて、この貸し付け、保証を行っている五千六百三十五社の赤字、債務超過の会社が、万が一、倒産に追い込まれたら、十万人を超える従業員やその家族が路頭に迷ってしまう、これを回避したいんだということで、苦渋の決断で四百億の追加出資をしたわけでございます。ここでも、当時の佐藤局長と何度も議論をさせていただきました。
 そういう中で、当時このような取引先、これは、この再建計画の中で守られたのかどうか。ここが大変心配でありまして、ここについて、まず、局長にお聞きしたいと思います。

○前田産業労働局長 平成二十年当時、ペイオフあるいは清算を選択した場合、新銀行東京の顧客は、取引を打ち切られるおそれがありました。中でも、赤字、債務超過先企業に新たな融資をする金融機関は見つからず、そうした事態を回避するため、追加出資をお願いしたものでございます。それ以来、取引は継続され、当時の取引先の大半は正常に返済が進み、完済まで至っております。
 また、平成二十一年十二月の金融円滑化法施行に先駆けまして、多くの企業に対し、条件変更等に積極的に応じ、経営相談などのきめ細かい支援にも取り組んでまいりました。その累計は、平成二十年度以降直近までの間に五千五百二十六件、四百十億円に及んでおりまして、その中には現在も取引が続いている企業も含まれております。
 このように、追加出資によりまして、当時の取引先に対し継続支援ができたものと考えております。

○東村委員 大半は正常返済までいったし、残りについても、リスケジュール、先ほどお話出ていました条件変更等が五千五百二十六件、四百十億やってきた。これはまさにこういうリスケをやりながら再建をしてくれた、本当にくどいようですが、寺井社長以下現経営陣の手腕だと、やはり経営陣が変わればこんなにも新銀行はよみがえるのかということを、私は、まさに目の当たりにしたような思いでございます。
 そこで、この新銀行東京、今回、中期経営計画という位置づけにしているんですけれども、私はこの再建というのは、確かにここまで来たけれども、再建の一つの目安というのは、業務粗利益の中の貸付利息が、有価証券利息を上回る状態でなければ、まずいけない。もう一つは、不良債権比率、せめてこれが市中銀行並みにならなきゃいけない。もう一つ、三点目が、自己資本比率も、これは市中銀行並みにならなければ、一つは、再建ということはいえないんじゃないかと。
 そういう中で、今回、社会貢献というのも掲げているんですけれども、ちょっとこれは踏み込み過ぎじゃないかと私は思うわけでありますが、そこで、何年度を目標に新銀行東京の再建を果たすのか、これについて局長に伺いたいと思います。

○前田産業労働局長 一般に、銀行の経営状況を判断するためには、実質業務純益や総資金利ざやなどの収益性、不良債権比率、自己資本比率などの健全性を見る必要がございます。
 新銀行東京の現状は、再建は進んでおりますが、ご指摘のとおり、有価証券運用益が、いまだ貸出金利息を上回っていることや、不良債権比率が他行に比べて高い水準にあるほか、総資金利ざやの改善など、なお課題も残されております。
 新銀行東京は、来年度、二十四年度から二十六年度までの中期経営計画において、こうした課題を克服し、安定した黒字体質を継続し、確固たるビジネスモデルの構築を目指すとしております。
 したがいまして、ただいま申し上げた意味において、今回の計画は、第二次再建計画ともいうべき性格をも有していると、このように考えます。
 都としては、新銀行東京が、中期経営計画を達成するよう、監視と支援に努めてまいります。

○東村委員 今、まさに局長がおっしゃったように、今回の計画は、第二次再建計画ともいうべき性格を有していると。ということは、二十六年度、この第二次再建計画が終了した時点を目途に、市中銀行並みに通常の銀行として、また出発できると、こういうことだと思うんですけれども、本当に、我が党は一貫して、業務提携もしくは事業譲渡というのを模索すべきだということをずっと、この四年間もいってまいりました。
 そういう中で、早い段階でできればいいんですけど、一つは、再建するというのが、業務提携先も条件でない限りなかなかこれは食いついてくれないんだろうなと私は思っておりますので、これを実現した段階で、ぜひとも、業務提携をし、四百億を保全、回収する新たなステージに進んでいくべきだと私は考えますが、知事の見解を求めたいと思います。

○石原知事 まさにおっしゃるとおりでありまして、また同時に、局長の答弁のとおりでありまして、先ほど申しましたけれども、墜落寸前から、何となく機首を持ち上げて水平飛行に移ったと、これから高度を上げるという試みが、局長も申しましたように第二次の再建計画だと思います。
 そのプロセス、当然、ご指摘のように、健全な相手との提携もあり得るでしょうし、これはしかし、最後は、銀行が、その主体性で決めることでありますけれども、それに関する協力などは、これからもさまざまな形で東京も行っていくつもりですし、ご指摘のように、大事なことは、飛行機がはっきりと機首を上げて、再建のめどを確実につけると、そのための努力を、これからも当事者にしていただきたいと思いますし、そのための援助は、多角的に東京もしていきたいと思っております。

○東村委員 ぜひとも次の第二ステージを本当に目指して、この新銀行東京が突き進めるように、都としても、いろんな意味で監視と協力をお願いしたい、このように思っております。
 最後に、改正貸金業法について質問したいと思います。
 これ一問目、知事に質問するわけでございますが、ぜひともちょっと今から私が申し上げます説明を聞いた上で、いろんな答弁も用意されているかもしれませんけれども、この質問を聞いた上で、知事自身の言葉で、わかる範囲で結構でございますから、ご回答いただければ大変ありがたいと思っております。
 この問題をなぜ取り上げたかといいますと、知事がよくおっしゃいますように、中小企業、中小企業というけれども、実はその中小企業の下に零細企業があるんだと。本当にいい技術を持っていても、資金繰りでどんどん今倒産をしていっている。どこも助けてくれない。だからおれは新銀行東京を考えたんだということをよくおっしゃっています。
 そういう中で、この零細事業者の資金繰りについて、今、資料もお手元に配らせていただきました。(パネルを示す)これについて質問したいと思いますが、実はこの問題、なかなか東京都が実態調査を積極的にやってもらえないものですから、私は、大阪府がかなり先駆的にやっておるものですから、大阪府に、二年かけて行っていろいろ調べてきました。
 東京都も何社かヒアリングをしました。東京都の零細事業者にも話は聞きました。出向いていって聞きました。東京都はなかなか出向いていかないで、相談に来た人の状況を聞くという、こういう待ちの姿勢ですけれども、私はそうじゃなくて、出ていかなきゃいけないと、そういう思いで、東京都の零細事業者にも話を聞いてきました。
 その中で、大体これがわかってきたのが、皆さん、零細事業者が必要なお金はつなぎ資金なんですね。一カ月百万円、また五十万円という、これがあれば、どんどんどんどん、きついかもしれないけれども、このつなぎ資金で零細事業者の方は回しているわけなんです。これがとまった瞬間、零細事業者はつぶれてしまうわけなんですけれども、一週間以内に銀行に、これイエス、ノーでいきます。銀行に資金調達したいということで申し込む、ところが、保証協会も確かにクイックつなぎ融資というのがあります。けれども、銀行を通して、次に保証協会へ行って、そして保証協会で決裁がおりて、また銀行に戻ってきて、入金となると、一週間ではもう足りないというんですね。
 そうなると、従来、事業者金融というところを使っていました。通称、事業者金融、消費者金融を十把一からげでみんなサラ金とかいっていますけれども、事業者金融というのを使っていました。
 ところが、今回、貸金業法が改正されて、上限金利が二九・二%から二〇%になりました。大体百万円借りて、仮に三〇%としましょう。二九・二%ではちょっと区切りが悪いので、三〇%と丸い数字にした場合、一カ月の金利は幾らかというと、二万五千円です。これ、零細事業者の人にこの二万五千円は高いですかって聞いたら、百万円調達できることを考えれば、この二万五千円は決して高いお金ではない、自分たちの会社をつぶさなくて済むんだったら決して高いお金じゃないということを、零細事業者の皆さんはおっしゃいました。
 でも、今回、二〇%になって何が起きたかといいますと、事業者金融の方が、つなぎ融資、貸さないんです。貸さないんです。二〇%じゃ調達金利を賄えないということで、貸さないという話になりました。
 じゃあ、どうするか。賢いなと思ったのは、その零細事業者がおっしゃったのは、個人で借りに行くというんです。会社じゃ貸してくれないから、今度は個人で借りに行く。個人で借りにいくって、どこに行くんですかといったら、消費者金融に行くと。
 消費者金融に行ったら、何と今までは、かなりこれどんどん借りられたわけですけれども、後でまたいいますけれども、多重債務問題を解消するというこの大義のもとに総量規制というのをかけました。貸付残高が年収の三分の一を超えたら貸しませんと。零細事業者、年収なんてそんなに高くありません。この残高三分の一というのは、この総量規制で個人で借りられない。じゃあどうするんですかって聞いたら、仕方ないから、親族や知人のところに行くっていうんですって。
 親族や知人のところに行って、今までは、景気がいいときは結構貸してくれていた、お互いの仲じゃないかということで貸してくれていたと。ところが、親族、知人も今、不景気で貸してくれない。
 最後に、もうどうしようもなくなって行くのが、チラシに入っていた、また、いろんなところの電柱に張っているこのヤミ金融。悪いとわかっているけれども、ここに行かざるを得ない。
 こういう実態というのを、政府なんか、金融庁なんかは、こんなことありません、ありませんといっているんですけれども、それは何でそういうこといっているかというと、今、貸金業界で残っているのはほとんど大手なんですね。いわゆる銀行系の貸金業、ノンバンク、これがほとんど残っていますから、銀行系はそんな厳しい状況じゃないものですから、そういうデータをもとに、大丈夫です、大丈夫ですと、こういう話をする。
 でも実際は、このヤミ金融にみんな行っているんです。でも、調査しても、待っていても来ない。国の調査でもわからないというのは、ヤミ金に借りている人が、自分から借りていますとはなかなかいわない。やはり出向いていって、本当に親身に話を聞いて初めてこういうことがわかってくる。
 私は、こういう実態を--大阪府はやりました。やって、大阪府はこれを国に申しました。国は、これは大阪府しかいっていませんよと、東京都はいっていませんよといっているんです。でも最近、ようやく民主党の国会議員さんもこの問題に気づいて、ワーキングチームをつくり始めました。自民党もつくりました。自民党もワーキングチームをつくってくれまして、この問題をどうしたらいいかということを真剣に考えるようになった。
 つなぎ融資については、特例措置も設けてもいいんじゃないかと。条文全部を変えるんじゃなくて、本当に困っている人を救うためには、つなぎ融資の分だけでも変えてもいいんじゃないかと。こういうことをやるようになりました。
 ぜひとも私は東京都に、待っているだけじゃなくて、出向いていってこの実態を調査していただいて、本当の生の声を国に上げていただきたいと思うんですが、知事、いかがでしょうか。

○石原知事 東京に先んじた大阪のその努力について、初めて聞きましたが、これは橋下君になってからですか、これは大したものだと思いますね。
 私が彼を非常に評価しているのは、東京のやったいいことを全部まねをしてやってくれましたが、これは、やっぱり逆に東京が大阪のまねをすべきだと思いますな。
 それから、率直に申しまして、大阪に存在する中小企業と東京の中小企業は比べ物になりません。そのポテンシャルも、ものによっても玉石混交ありますけれども、例えばあの「はやぶさ」に参与したあの企業なんかだって、結局つぶれましたね、あのドラマの中では。
 これはやっぱり、要するに看過できないことだと思いますし、早速大阪のまねを東京もして、こちらから--人間はぞろぞろ余っていますよ、東京の役人は。まだ多過ぎますよ。その連中が動いたらよろしいので、足にまめをつくってでも歩き回って、その仕事を拾ってくるのは、私、役人の仕事だと思いますから、早速命じます。

○東村委員 大変ありがとうございます。
 ぜひともこの問題、突っ込んで、一度本当に調査を、出向いていって、アウトリーチをしてお願いしたいと思います。
 その上で、先ほど多重債務者対策といいました。多重債務の問題は、実は改正貸金業法の上限利息を引き下げたり、総量規制をやって解決する問題ではないんです。経済的な問題ではないんです。これを、東京情報大学の堂下浩教授も、研究調査で報告されています。
 二つパターンがあるんだというんです。多重債務に陥る人のパターンが二つあって、一つは、失業やリストラなどによる収入の減少で一気に返済が困難に陥っているパターン。もう一つは、これは本当に慎重にいわなきゃいけないかもしれないんですが、対人関係の基本能力や自己統制の力が劣っていて金銭管理能力が未熟な人、この人が多重債務に陥っている。これを玉石混交で、すべて一からげで考えちゃいけないとおっしゃっているんですね。
 東京都は、実は前者の失業やリストラによる収入の減少で一気に返済が困難な人については、東京都生活再生相談窓口で対応しています。これは、生活再生への意欲がある人がここで本当に救われているし、その事例が全部ホームページにも書いてありました。これは本当にすばらしいことだし、これはこれでいいんですが、問題は、今いった後者、対人関係の基本能力や、また自己統制力が劣り金銭管理能力の未熟な、こういった方については、個別にかつ丁寧にヒアリングを行って、カウンセリングをしていかなきゃいけないんです、何回も何回もカウンセリング。そういう意味で、これは、今東京都は申しわけないんですが、まだ外部の機関にゆだねているんです。
 そこで、私は、ぜひとも生文局長にお願いしたいんですが、大阪はこれを再チャレンジ支援プラザというところでアセスメント、つまり生い立ちから親戚関係までヒアリングをしています。そして、生活再建に向けた、その人の性癖を含めたカウンセリングもやっています。こういうことを、ぜひとも都の責任でこのカウンセリングをやるべきなんじゃないかと、このように考えますが、生活文化局長、いかがでしょうか。

○井澤生活文化局長 多重債務に陥った方には、被害者意識が希薄なケースが多いといわれております。特に、さまざまな要因によりまして、金銭管理能力の不足等により、多重債務に陥った方には、現在抱えている債務の整理をするだけではなく、借金を繰り返さないようにする精神面のサポートが重要と考えております。
 消費生活総合センターでは、相談者に対して、精神面のサポートが必要と考えられる場合は、相談員が話を丁寧に聞き取った上で、適切な専門機関につなげておりますが、今後は、相談員に対してカウンセリングに関する研修等を行い、このような難しいケースの初期対応に万全を期してまいります。
 また、多重債務一一〇番など集中的な相談を実施する際には、臨床心理士等の専門家を配置するなど、きめ細かい対応を行ってまいります。
 今後とも、多重債務問題対策協議会において、関係各局、各機関等と連携し、多重債務問題に対する取り組みを強化してまいります。

○鈴木(貫)副委員長 東村邦浩理事の発言は終わりました。(拍手)

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