予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議

○大塚委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光掲示板に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 門脇ふみよし委員の発言を許します。

○門脇委員 民主党の門脇ふみよしでございます。
 都政運営の基本について、財務局並びに知事本局に質問いたしますけれども、その前に、先週末は、日本、東京にとって大きな追悼の日が続きました。三月十日は、東京大空襲式典が行われました。私も、式典、最後まで出席をさせていただきましたけれども、十万人の都民の皆さんが犠牲になってから六十七年、犠牲者の皆さんを追悼するこの日、改めて平和の誓いを新たにするものであります。
 そして、翌十一日は、未曾有の災害があった東日本大震災から一年が経過をいたしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると同時に、被災された皆さん、ご家族の皆様に心からお見舞いを申し上げるものであります。
 私たち都民にとって、この三月十日、そして三月十一日は、永遠に風化をさせてはならない日となるのではないかと思います。
 それでは、質問に入ります。
 平成二十四年度予算案、当該予算案では、防災、エネルギー対策など、首都東京が抱える新たな課題をいかに克服していくかを含め、少子高齢化対策や雇用就業対策など、都民の不安を払拭する方策にも重点的に財源を振り向けているところであります。
 しかし、都民生活に安定と活力をもたらし、首都東京の発展につなげる来年度の予算案は、税収が伸び悩む厳しい財政状況のもとに編成をされたものであり、取り組みを続け、そして効果をもたらすためには、財政基盤の裏づけがさらに重要になると考えておりますが、まずこの点についてお伺いをいたします。

○安藤財務局長 平成二十四年度予算では、東京の将来を見据えながら、お話の防災力の強化やエネルギー対策など、この間浮き彫りになりました課題への対応を含め、必要な施策に重点的に財源を配分いたしました。
 同時に、こうした取り組みをこの先も継続的かつ安定的に進めていくためには、施策を支え得る強固な財政基盤を、現在のみならず、将来にわたりましていかに堅持していくかという点にも知恵を絞る必要があるというふうに思っております。
 来年度予算では、基金を八千三百億円余り確保するなど、今後の備えをしっかり講じたところではありますけれども、厳しい財政環境が続く中にありましては、今まで以上に中長期的な視点を持ちながら、引き続き、歳入歳出の見直しはもとより、都債の発行余力や基金の残高を可能な限り確保する努力を続けることで、この先も時期にかなった施策の展開が可能になるというふうに考えてございます。

○門脇委員 ありがとうございました。
 都民生活を支え、今後の東京を展望するための諸施策を展開していくためには、もちろん健全な財政基盤があってこそです。石原知事が今日までに行ってこられました財政再建に向けた取り組みについて、率直に評価をいたします。
 そこで、都税収入の堅調な推移も相まって、現在の都の財政基盤があるわけです。だからこそ、現下の厳しい状況にあっても、強固で弾力的な財政運営を行うことが求められています。
 また、重要な視点としては、当然のことでありますけれども、限られた予算の中で最大の効果を上げることであります。
 東京の持続可能な安心・安全社会を見据え、都は、施策の費用対効果を高める事業評価の取り組みを聖域なく実施し、施策の充実や見直し、そしてスクラップなどを行い、予算の膨張抑制にも努めていく必要があると思いますけれども、この点についてお伺いをいたします。

○安藤財務局長 事業評価は、事業の成果やコストなどを徹底的に評価、検証いたしまして、施策の見直しなどにつなげる継続的な取り組みとして、この間、着実に実績を積み重ねてきたところでございます。
 今年度は、「十年後の東京」への実行プログラム事業を評価の重点対象としたほか、報告団体を通じて実施する事業を対象に加えるなど検証機能を充実強化いたしまして、約二百二十億円の財源を確保いたしました。
 今後とも、まずはこうした事業評価の取り組みなどを通じまして、施策の効率性や実効性をさらに高める努力や工夫を進めまして、財政の健全性の確保と山積する諸課題への的確な対応をしっかり両立させていかなければならないというふうに考えております。

○門脇委員 ありがとうございます。
 景気の低迷、産業構造の変化、少子高齢化、日本と東京を取り巻く状況は、本当に厳しいものがあります。都政として、都民の声にこたえ、全国の先陣を切って、手をつけていくべきことはたくさんあります。
 一方で、税収は減少傾向が見込まれ、先行きは、私が申し上げるまでもありませんけれども、不透明な部分もたくさんあります。そうした中でこそ、都財政のかじ取りの真価というものが問われていると思います。気を引き締めて、改めて取り組んでいただきたいと思います。
 行財政運営にとって、厳しい局面ほど先を見通すことが重要になります。
 今般、オリンピック招致の年である二〇二〇年を見通した新たな計画「二〇二〇年の東京」が策定されました。「十年後の東京」計画を、いわばリニューアルされたわけですけれども、この計画策定に当たっては、都民の皆さんの世論調査から都政運営に求められている防災対策への要望の高まりを把握するとともに、同時に区市町村から意向調査を行い、多くの意見、要望を反映したとのことであります。
 こうした意見に対して、都が取り組むことを決めた各施策の効果などを十分に説明し、理解を深めることが、結果、施策の推進につながっていくと考えますが、この点については、どうお考えでしょうか。

○秋山知事本局長 「二〇二〇年の東京」計画で描きました都市を実現するためには、区市町村はもとより、都民や民間事業者など、東京を支える多様な主体との協働が不可欠でございます。
 このため、計画に掲げた政策展開やその効果につきまして、地元自治体の理解と協力を得るため、特別区長会、市長会及び町村会への説明を行いますとともに、ホームページや広報紙など、さまざまな媒体を活用し、都民の皆様などへ広く周知してきたところでございます。
 また、計画書自体にも図表や写真など多く用いるなど、わかりやすい内容といたしますとともに、要点を要約した簡易な冊子も作成して、多くの都民の方が手にとりやすいという工夫を凝らしてもいるところでございます。
 政策の具体化に当たりましては、実行プログラムを毎年度策定することにしておりますけれども、今後、この改定などの機会をとらえ、区市町村、それから都民の皆様などとの相互理解を図りながら、東京の総力を結集して、「二〇二〇年の東京」計画実現に向けた取り組みを着実に推進してまいります。

○門脇委員 どんな施策であっても、行政だけでは、もちろん議会も含めてですけれども、できません。地域の力、企業、NPOなどと手を携えながら、社会全体で東京を、そして日本をよくしようという思いに立つことが重要であります。知事もしばしば、スクラムを組むという表現をされますけれども、そのためにも、都には広くさまざまな意見に耳を傾け、また、丁寧な説明を今後とも続けていただきたいと思います。
 先ほど来、厳しいという話をしておりますけれども、いかに厳しくとも、それを乗り越えていかなければなりません。激化する国際競争にも勝っていかなければなりません。それには東京の強みを伸ばし、弱みを補っていくことが重要であります。
 森記念財団の世界の都市総合力ランキング二〇一一によると、東京は、経営者の視点から見た評価がやや低く、アジアではシンガポールや香港よりも劣り、北京、上海にも肉薄されている点や、都心部の緑が少ない自然環境、高い住宅コスト、国際交通インフラの極めて低い評価といった視点から、東京の潜在的な課題が見出されています。
 また、震災の発生から、木密地域の不燃化など防災対策の強化が急務となっております。このことについては、後ほど触れます。
 日本の経済成長に向けた総合特区などの取り組みや首都直下型地震、国際交通インフラ改善に向けた都市整備などは、国の積極的対応が重要な課題であり、都民、事業者、区市町村などとの協働が不可欠な課題です。
 きょうとあしたの都民のために、東京の課題克服に向けた体制づくりと取り組みが急がれております。このことについて、石原知事の見解をお伺いいたします。

○石原知事 大都市東京が直面しているさまざまな課題の解決には、これは社会工学的に一番力のある行政が主体者にならざるを得ませんが、しかし、それでは決して解決できないと思います。
 これはあと、すべての都民、その都民たちが構成している民間の事業者、企業、多様な主体が連携して、総力を挙げて取り組む必要があると思いますが、いずれにしろ、行政の主体者たる都が強いリーダーシップを持って、この隘路を打開していく必要があると思います。
 今までも、この国家の発展、東京よりむしろ国家の発展に寄与する羽田空港の国際化や外環道の事業化などは、過去に国会時代にいた仲間と図って、彼らも協力してくれまして、こうした機関のインフラの整備で国を動かしてきましたし、また、緑の創出やCO2の削減など、社会全体での取り組みが不可欠な施策については、都民や民間事業者を巻き込んだ広範なムーブメントを展開して、実現してきたと思います。
 特に都民に感謝されております大気汚染の軽減というのは、これはトラック業界というのは決して大きな業界ではありませんで、二台、三台の車を抱えているという零細企業が多いんですが、その人たちも本当に神経を注いで、身をそいで必要な装置を購入してもらいまして、何とかこぎつけることができました。私もたまたま九・一一のときワシントンにおりまして、あのとき非常に参考になったアメリカのFEMA、フェデラル・エマージェンシー・マネジメント・エージェンシーですか、これを国に建言しましたが、小泉君はそんな必要はないということで、それではこっちでつくるわといって、首都圏だけでネットワークをつくりました。これは今でも非常に有効に動いていると思っております。
 いずれにしろ、都域を越えた対応が必要な課題に対しては、首都圏を構成している九都県市と協力して、これからも取り組んでいきたいと思っておりますし、先般、都は、新たな都市戦略として「二〇二〇年の東京」計画を構え、今後十年間で戦略的に取り組む十二のプロジェクトを打ち出しましたが、この推進に当たっても区市町村、近隣自治体や民間事業者との一層の連携が必要となってくると思いますし、それを束ねる都のリーダーシップも必要になってくると思います。
 また、問題になっております木密地域の不燃化十年プロジェクトでは、防災上、東京の一番の弱点でありますこの地域を十年間で解消するというのは非常に至難な仕事だと思いますが、これはやはり地域の住民が本気で、我が身のこととして協力してくれないとできないことだと思います。
 また、先般の災害のときに三百五十万人に及んだ帰宅困難者が出ましたが、この困難者対策については、条例案を今度の定例会にも提案しておりますけれども、あのとき、鉄道を含めた幾つかの企業がもっと人間として共感を持ち、同情して協力してくれれば、あんな混雑にもならなかったと思いますが、特に極左がいまだに支配している労働組合がばっこしているJR東日本は論外でありまして、社長を呼びつけて叱咤しましたが、向こうもわかってて陳謝しておりましたけれども、今後、絶対こういうことが、どんな組合だろうと、どんな左翼だろうと同じ日本人同士でありますから、彼らは自戒して、立場を超えて協力すべきだと思っております。
 また、東京を新たな成長へ導くアジアヘッドクオーター特区の推進に当たっては、都独自に減税措置等を講じるとともに、関係区や民間事業者を束ね、官民一体となって戦略的な都市づくりに取り組んでいきたいと思っております。
 現政府は、この国を背負うという自覚をいささか欠いたまま、日本の成長戦略に対してもかなめとなるエネルギー戦略について、分析も進んでおりませんし、それをもとにした大計も立っておりませんが、いずれにしろ、都は「二〇二〇年の東京」計画の実現に向けて、これはもちろんエネルギーというものも補てんが必要でありますけれども、いずれにしろ、東京が沈めば日本も沈むんだという自覚のもとに、東京を舞台に活躍しているあらゆる主体と力を結集し合って、世界の範ともなり得る都市を形成していきたいと思っております。

○門脇委員 総括的にお答えいただきましてありがとうございます。
 きょうは詳しく触れませんけれども、石原知事もJRの組織内部体質のことについてたびたびいわれておりますけれども、実はこれ、かなり大きな問題なんですね。きょうはそういう問題提起にとどめておきたいと思います。
 いずれにしましても、知事の任期は四年間、まだ一年間も終わっておりませんので、十分に頑張っていただきたいと思います。(石原知事「生きてるかどうかわからぬ」と呼ぶ)生きてないということはないと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 知事は、オリンピック招致に当たって総力戦という言葉をよく使われますけれども、私は文字どおり、これからの東京づくり、日本の再生にも、オール東京での取り組みというものが必要ではないかと思います。党派や立場によって主張に差があるのは当然のことです。ただ、東京、社会をよくする、国をよくする、都民、国民を幸せにする、そういった点においては大きな志を共有していく、そのような気構えを行政と政治、すなわち皆さん方と私たち議会ということになりますけれども、率先して示していかなければならないと思います。そして、先人が血がにじむような思いで築き上げてきた我が国をさらに将来、未来に向かって発展させなければならない、そういう思いを私自身も新たにいたしております。
 そのような大きな志を共有するためにも、原動力である都政の財政基盤が健全でなければなりません。
 社会状況が変化していく中にあっても、都においては、都民の負託に確実にこたえること、その裏づけのため、不断の行財政改革を行い、健全な都政運営を堅持していただくことを求め、次の質問に移ります。
 東京マラソンです。
 去る二月二十六日、東京マラソンが第六回目、盛大に開催をされました。三万六千人のランナー、一万人を超えるボランティア、そして沿道には百七十万人を超える観客の皆さんが声援を送っていただき、まさに東京が一つになる日となりました。
 東京マラソンは、二〇〇九年から国際陸上競技連盟のいわゆるゴールドラベルを獲得し、今回は、昨年は一カ国もなかったんですけれども、十七カ国の国と地域に実はテレビの生中継がされたんですね。これは余りないことだと思います。そういう意味では、国際的にも非常に認知をされた大会になってきたということです。
 一つ、ここで若干のエピソードを紹介をさせていただきたいと思います。
 これは新聞の小さな記事、いわば言葉は悪いですけれども、いわゆるべた記事に載っていたことですけれども、今回の大会でランナーの方が増上寺の近くで倒れ、頭を打って一時心停止になりました。そして、このとき、たまたま近くを看護師の資格を持った方が走っておりまして、その近くの駅にあったAEDを使って蘇生をしたそうであります。ちなみに、この駅というのは都営三田線の御成門駅であります。交通局長、AED、都営交通に置いていて本当によかったと思いますけれども、偶然そばを走っていたランナーたちは、皆さん、九・六倍の難関をくぐり抜けて当選をした人たちでありますから、多分それぞれのフィニッシュまでの目標時間というのもあったでしょう。その目標を顧みず、周囲の方々と連携して迅速な対応をできたからこそ、人の命を救うことができたのだと思います。このようなエピソードを聞くと、東京マラソンという舞台で多くの人々がきずなでつながり、東京が一つになったんだなと改めて実感をいたします。
 さて、東京マラソンでは、より多くの人々を一つにすることを目的として、つなぐという言葉をキーワードに、昨年大会からチャリティーを実施しておりますけれども、今回、まず、チャリティーの実施状況を担当局長にお伺いをいたします。

○細井スポーツ振興局長 今回は、東日本大震災からの復興に資するよう、チャリティーランナーの定員を三千人にふやしまして、寄せられた寄附金の半分を東日本大震災の復興支援に充てることといたしました。
 また、より多くの方に共感を持っていただけるよう、家族、未来、命、夢、安全という五つのテーマを設定いたしまして、寄附対象団体を前回の七団体から十団体にふやしました。
 この結果、チャリティーランナーは定員には達しなかったものの、前回に比べまして一千人以上の増加の一千七百四十三人となり、一億八千万円近くの寄附金を受け付けることができました。このうち九千万円近くを東日本大震災の復興支援に充てる予定でございます。

○門脇委員 昨年に比べて倍増、七百の千七百ですから、倍増以上ですね。一方、ロンドンマラソンでは、よく知られていることなんですけれども、七百以上のチャリティー団体が参加し、ちょっと前の資料ですが、実に六十億円以上の寄附が寄せられていると聞きます。また、ロンドンだけではなく、ニューヨークやベルリンなどの世界の主要なマラソン大会は、チャリティーを導入して多くの寄附が寄せられています。
 日本は、これらの国や都市と寄附に対する基本的な考え方、宗教観等もありまして、異なっていることはよくわかっているんですけれども、東京マラソンでは、我が国の社会に大きく貢献するスポーツイベントの先駆けとして、さらなるチャリティーの実現を図っていくべきだと思います。
 この点について、いわば創設者である石原知事の考え方をお伺いいたします。

○石原知事 東京マラソンは、皆さんのご協力で非常に活況を呈するに至りました。そもそも最初は、あることで知り合ったQちゃんを育てた小出監督から、何とかマラソンをやって、一般の市民ランナーも銀座を走らせてほしいといわれまして、銀座のようなごみごみした車のあるところを走ったってしようがないじゃないかと、海岸のきれいなところを走ったらどうですかといったら、いや、市民ランナーってそういうものじゃない、いつも孤独でしょぼしょぼ走っているから、みんなに見られたいんだということで、ああそうですかということで、警察も最初は非常にリラクタントだったんですけれども、これは大変な仕事になりますから、これもやっぱり協力を得まして、さらに人間もふやして、参加人員も今日に至りましたが、さらに前回からヒントを得まして、チャリティーランナーの制度を構えました。
 しかし、局長から報告があったとおり、まだまだロンドンには及びませんが、いずれにしろ、これは--前回もちょっとラベルの違うステッカーを張っている人がいましたが、これは余り目立たぬように金色に近い色でしたな。お金を払ってくれるから金色にしたのかもしれませんが、その数も案外少なかったような気がしますので、何か努力してこれからふやそうと思いますが、いずれにしろ、多くの方々がこれからもチャリティーランナーとして走ることで、社会に自分が貢献するんだという満足を味わっていただく、そういうマラソンのプラスアルファの充実を果たしていきたいと思っております。
 いずれにしろ、次回の大会には、また工夫を凝らし、キャンペーンもしまして、もう少し多くの方々に十万円を払っていただいて走っていただくという努力をしたいと思っております。

○門脇委員 私もスタートの地点で同僚議員とともに、三万六千人のランナーに声援を送らせていただいて、ちょうどその左側のいわばお立ち台というんでしょうか、知事が立たれて、どうですか、あれ、最終まで二十五分ぐらいかかったんだと思いますけれども、大変失礼ないい方ですけれども、お年からいって二十五分間、あれだけ手を振るというのも結構大変なことですよね。
 知事も非常に表情が、どちらかというと激しい方でありますけれども、本当に一年間の中では至福の二十五分間ではなかったかなと、私はそのように思ったんですが、ただもう一つは、やはり号砲は創立者がやるべきだと。これはお答え結構ですけれどもね。
 事情があるのは聞いています。事情があるのは(石原知事「ことしはいないはずだったから」と呼ぶ)そうなんですか。それは初めて聞きましたけれども、やはり皆さんがお立ち台に向かって手を振って、それにこたえていらっしゃったわけですよね。ですから、いろいろ陸連との協議事項、余りいうとスポーツ振興局に怒られますけれども、それはそれでわかるんですけれども、やっぱり頑張っていただきたいなと思っております。
 昨日、藤原選手がロンドン・オリンピックの選手として選ばれましたので、これは単に市民ランナーの大会だけではなくて、やっぱりアスリートの大会にもなっているんだなと思います。
 次に、二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致に関して、国内世論の喚起という点で質問をいたします。
 知事の施政方針表明にもあったように、今の日本には、国民が一丸となれる夢が必要であり、オリンピックこそそれに値するものであると思います。都民、国民の支持率が高まり、それによって夢が近づき、さらに都民、国民が盛り上がるといういい循環を描きながら、招致活動が展開されることが期待されます。
 先般の東京都による世論調査では、招致への支持率が全国で六五・七%、東京都に限ると六五・二%でした。ちなみに、他の申請都市の独自世論調査では、イスタンブール市民の支持率は八七%、マドリードは七五%、スペイン全体ですと八四%、そしてバクーが一番高くて九〇%と報道されております。
 各国で確かに調査の方法が異なりますから、一概に比較することはできませんが、このような状況を踏まえ、五輪招致に対する現在の日本の世論について、都はどのような見解をお持ちかお伺いいたします。

○細井スポーツ振興局長 支持率には、国民性や国情が反映されることから、委員ご指摘のとおり、単純に比較できるものではございません。日本全国の支持率は、今回、賛成が六五・七%、反対が一四・一%、どちらともいえないが二〇・二%となってございます。日本のような成熟した社会においては、国民の価値感が多様化しておりまして、日本の支持率はどちらともいえないといった中間層が極めて多いわけでございます。
 IOCが行う最終の世論調査は、来年九月七日の開催都市を決定いたしますIOC総会でIOC委員の投票行動に影響を与えることも考えられるため、中間層を賛成の方に導き、支持率を上げるように最善の努力をしてまいります。

○門脇委員 今後、もちろんのこと、支持率が上がるように招致活動を展開していくとのことですけれども、二〇一三年九月の開催都市決定まであと一年と六カ月しかありません。テレビやインターネット等のマスメディアを通じて、最大多数の人々に繰り返しアピールする徹底した広報戦略が重要と考えます。
 前回の招致と比べ、限られた予算の中で広報していくために、今後どのようなマスメディア戦略を立てているのか、続けてお伺いいたします。

○細井スポーツ振興局長 スポーツ界や経済界、芸能界などのオピニオンリーダーの情報発信力は非常に高い。こうした方々によります広報活動は大変有効であると認識しております。例えば、情報番組等におきまして、有名なコメンテーターに招致活動を応援するメッセージを発信してもらえれば、視聴者に対して強くアピールすることができると考えます。
 このため、各界のオピニオンリーダーの方々に対し、招致活動の意義や目的を伝え、それらをみずからの言葉で発信してもらうことで、テレビや新聞、雑誌等のメディアに取り上げられるように働きかけてまいります。

○門脇委員 支持率のアップはメディア戦略と同時に、一方で地道な地域の中からいわば沸き上がってくるようなムードづくりも必要であります。そのためにも、都内の各区市町村へ、自治体への積極的な協力要請を行っていかなければなりません。
 今回は前回招致のように、各自治体に対する東京都からのいわゆる招致に関する予算がつかないため、各自治体には一層の創意工夫のもと、招致活動に取り組んでいただく必要があります。そのためにも、東京都としては、どのような招致活動をしてもらうよう各自治体に働きかけていくのか、ここ、結構重要でありますので、お答えをいただきたいと思います。

○細井スポーツ振興局長 都内すべての区市町村は、来年開催されますスポーツ祭東京二〇一三の成功に向けまして、大会の開催を盛り上げるため、精力的に取り組んでいるところでございます。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市の決定は、このスポーツ祭東京二〇一三の開催と同時期に行われます。このことから、都内区市町村がスポーツ祭東京二〇一三の盛り上げに向けた取り組みとあわせまして、招致活動を同時にPRしていきますことで、相乗効果をもたらす広報活動を展開するように働きかけてまいります。
 また、地区体育協会や地域スポーツクラブなど、都内各地域のスポーツ関連団体から、それぞれの地域の方々へ重層的に情報を伝達していくことで、都内全体におけます招致機運の盛り上げを図ってまいります。

○門脇委員 これまでの支持率の調査を見ると、常に都内の支持率が残念ながら国全体の支持率を下回っているという状況であります。都内が大いに盛り上がって、そして全国が盛り上がっていくという、いい循環ができるように期待いたしております。
 一方、競合都市であるトルコのイスタンブールでは、オリンピックをイスタンブールで開催するなどと、あたかも開催が決まっているような広告が、渋滞を起こしやすく、車がゆっくり進むような道路わきに張られていたり、イスタンブールというのはトルコでありますから、トルコは台湾と並ぶ世界でもトップクラスの親日国ですから、余りこういういい方はしたくないんですが、この国は決して障害者福祉という概念がまだ発達した国でもないにもかかわらず、オリンピック・パラリンピックをイスタンブールで開催するというような広告も並べて張ってあったり、これは私の友人の商社に勤めている方からメールをいただいたんですけれども、かなり積極的な招致推進活動が行われているようであります。
 日本は、いずれにしろ、おくれをとってはならないと思います。先般の東京マラソン、東京マラソンは大成功したわけですけれども、オリンピック招致の広告が見当たらなかったという意見が新聞のコラムにありました。競合都市とは差別化された積極的な招致推進を期待し、また、国内の招致運動の機運の醸成に向け、行政だけがやることではありませんので、私たち議会サイドもしっかりとサポートをさせていただきたいと思います。
 次に、福祉、保健対策についてお伺いをいたします。
 幾つかテーマがありますが、まずはがん対策の推進であります。
 私たちは過日、東京都がん対策推進条例を議員提案させていただきました。今回上程されたがん対策推進条例の詳細については、当該厚生委員会での質疑にゆだねますけれども、これは、毎年三万人もの方が亡くなっているがんについて、東京の特性に合ったがん医療、治療対策を進めていきたいからという思いであります。
 そこで、まずお伺いいたしますけれども、現在、がん対策推進条例を定めている県は、議会に上程中のところも含めてどのくらいあるかお答えください。

○杉村福祉保健局長 平成二十四年三月一日現在で、がん対策に関する条例を制定しておりますのは十七の府県でございまして、また、北海道と宮崎県で条例案が提出をされているというふうに聞いております。

○門脇委員 ありがとうございました。
 北海道と宮崎では、まさに今、北海道の方は知事提案だと聞いておりますけれども、私たちが、いろんな方からお話をお伺いする中で最も評価が高かったのは、今十七のうちにもちろん入っておりますけれども、大阪府のがん対策条例であります。これは議員提案で決定をいたしました。
 ちなみに、大阪府のこのがん対策推進条例の検討結果を見てみますと、二〇二〇年、平成二十二年の三月に、公明党府議会議員団から議会運営委員会の理事会において条例の制定の提案がありました。そして、同年の九月に、公明党府議会議員団から条例のたたき台の提示がございまして、その後、パブリックコメント等がありまして、制定に、昨年の三月ですから、まだ一年前の話であります。
 結果的には、今申し上げたような流れの中で出てきたわけですけれども、全会一致で、維新というのもありますけれども、全会一致で可決をされているものが、この大阪のがん対策推進条例であります。
 大阪府では、死亡率が全国最下位であったことを踏まえ、大阪のオリジナリティーあふれる計画、数値目標をしっかりと制定、達成期間も、国より短くあるべき、国の後押しとなるような府計画をつくってほしいと、行政とともに議会が積極的に検討を行ったと聞いております。
 その一方では、検診受診率が非常に低いため、国目標の五〇%を達成することは難しいとして、組織型検診体制の構築、精度管理支援、国保調整交付金を活用した区市町村による受診勧奨補助などを行っているそうであります。
 また、条例に加えて推進計画やアクションプランにおいて、兵庫、島根、和歌山、神奈川などは、その県独自の目標設定を行っております。
 私たち民主党は、国政では政権を担わせていただいておりますけれども、自分たちからいうのは大変申しわけないんですけれども、まさしくこの大阪のがん推進条例の姿を見ると、国に頼らず、地方分権、さらにそれを超えて、地方主権として大阪府では議会と行政が力を合わせて、この条例を制定されたという姿がよくわかるわけであります。
 ここに、大阪府の、これは大阪府の行政がつくった資料でありますけれども、この後ろの方に、パネルはつくってきておりませんけれども、この条例のアウトラインということで、国、次期計画を先取りと書いてあります。つまり、大阪府では、議会も行政も、国がやる前にまず大阪自身でがん対策、大阪府民のためのがん対策をやろうという、そういう強い行政側と議会側の意思が一致をして、大変すばらしい条例がつくられた。これが大阪府の条例の実態でございます。
 都は、なぜこれまでがん対策推進条例の制定に着手してこなかったかをお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 都は、がん対策基本法に基づきまして、がん医療の専門家を初め関係団体、患者団体等により構成をいたします東京都がん対策推進協議会を立ち上げまして、さまざまな議論を踏まえ、平成二十年三月に東京都がん対策推進計画を策定いたしました。
 この計画は、がんの患者数が全国に比べ突出していることや、高度ながん医療を提供する医療機関も多いなど、東京都の特性を踏まえまして、がんの予防と早期発見、高度ながん医療の総合的な展開、患者、家族の不安の軽減、がん登録と研究の推進などの幅広い分野につきまして、個別目標や具体的な施策を明示したものとなっております。
 都では、この計画に基づきまして、東京都独自の東京都認定がん診療病院の整備や、五大がんなどの地域連携パスの運用、そして、すべてのがん診療に携わる医師に対するに緩和ケア研修の実施など、さまざまな取り組みを進めておりまして、着実にその成果は上がっております。
 こうしたことから、条例は制定してこなかったものでございます。

○門脇委員 ありがとうございました。
 もちろん私たちも、東京都のがん対策を基本的には、今、幾つか理由を申し上げますけれども、評価をいたしておりますし、この平成二十年につくりました、間もなくローリングですが、がん対策推進計画についても高く評価をさせていただいていることでございます。
 例えば、拠点病院の整備等によって、医療の均てん化はここ数年で非常に進んでいます。病院では、この指定を受けるために、施設整備、職員の確保、育成など、非常に苦労して体制をつくり上げていることもお伺いをいたしております。
 余談ですが、地域や病院によっては、新たに設置した科目が近隣病院と競合することになり、拠点病院がここまでフル装備する必要があるのかと思う方もいるほど、医療の均てん化という意味において徹底したものであります。
 繰り返しになりますけれども、東京都も含めた関係各位のこれまでの取り組みで施策が進んだことは十分承知をいたしておりますけれども、それでもなおパーフェクトではありません。都民、患者一人一人にまで、その効果は届いていないと感じる点が多々あります。より一層、充実のため、議会としての役割を果たすつもりで、条例提案を行っているわけです。
 行政、東京都としては、達成が難しいような目標は掲げず、手がたい目標値の設定を行い、まじめに取り組んでいる姿勢は十分理解をいたしますけれども、一方、議員の立場からすると、伸びしろを多く見積もって、ある程度チャレンジングな姿勢で目標を掲げることも、二元代表制の中で、私は必要なことだと考えております。
 国は先日、がん対策推進計画を見直しましたが、今後、都は、どのようにがん対策を進めていくのか、基本的なことでありますが、お伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 都は、がん対策推進協議会におきまして、医療体制や相談体制のあり方など、分野別に十分なご議論をいただきまして、都民の意見も聞きながら、平成二十五年三月を目途にがん対策推進計画を改定いたします。
 次期計画では、これまでの施策の成果を踏まえた上で、高齢化に伴うがんによる死亡者数の増加、治療方法の充実や緩和ケアに対する患者家族のニーズの高まりなど、計画策定後の状況の変化を的確に反映させますとともに、国の動向も踏まえながら、都の特性を反映した数値目標やその達成に向けた施策を盛り込む考えでございます。
 今後とも、東京都がん対策推進計画のもと、都民、区市町村、医療関係団体等と一体となりまして、がん対策を積極的に推進してまいります。

○門脇委員 繰り返しになりますけど、福祉保健局長、今の答弁の内容はよくわかります。
 都の現行計画は、到達目標の主なものといたしましては、死亡率二〇%減少、検診受診率五〇%、残念ながら、後ほど触れますが、喫煙率低下は目標なしと国の現行計画のフレームそのままでありますけれども、がん拠点病院、大学病院が集積している東京において、死亡率が全国でも下から数えた方が早い、三十三位というのは何とかしなければいけない。小児がんについても、この東京でなぜ、国の計画に入るまでできなかったのか、こういう率直な思いがいたします。
 都議会民主党がん対策推進プロジェクトチームは、条例を制定するに当たり、医療従事者、患者団体、学者の皆さん、いろんな方からお話をお伺いいたしました。共通していたことの一つには、高齢者の独居や高齢者世帯の場合、退院後について、非常に心残りを感じるケースがあるということでした。
 医師は、当然、治癒あるいは延命を主目的とし、患者さんのよりよい生活、人生のために全力を尽くします。がん医療も、均てん化、高度化が図られ、現場の医師たちは、わざに磨きをかけ、低侵襲で体の負担の少ない医療で済む方もふえてきました。
 我々のだれも永遠に生きられるわけではありませんが、高齢者がしっかりとした支えを受け、よりよく生きられるよう、高齢化社会への対応、その点をもっと重点的に進めていただきたいと思っております。
 この項の最後に、過日の代表質問の一部を引用いたします。
 都が施策を推進していることは、先ほど申しましたとおり十分承知をしておりますが、それでもなお、東京のがん死亡率は全国で第三十三位、検診受診率も三割台に低迷をいたしております。男性の二人に一人、女性の三人に一人ががんにかかるといわれている中、すべての都民の皆さんが、がんについて学び、考え、みずから予防と早期発見につながる行動を率先してとられるよう、機会をつくっていきたい。そして、がんにかかっても、適切な医療を選び、苦痛を軽減し、住みなれた地域で良質な医療が受けられるよう、がん対策を一段と加速し、拡充することに、私たち議会も大きな役割を果たすことが必要であると確信をいたしております。
 繰り返しになりますけれども、東京都、行政と私たち議会、議員が力を合わせ、がん対策推進の条例を制定し、あらゆる施策を実現していくことが今まさに求められているのではないでしょうか。
 次に移ります。
 私も一年前までは、いわゆるスモーカーでありました。これからの質問は、愛煙家の皆さんの立場も踏まえて行いますけれども、私も吸っているときは、人一倍気を使っていたつもりだったんです。しかし、実際にやめてみて、本当に吸わない人の気持ち、他の人の煙を吸ったときの影響を身をもって感じています。
 その影響というのは、東京都受動喫煙防止ガイドラインにはこう書いてあります。他人のたばこを吸わされる、いわゆる受動喫煙による非喫煙者への急性影響としては、涙が出る、鼻が詰まるなどの諸症状や呼吸抑制等が認められています。また、肺がんリスクの上昇、虚血性心疾患への影響等も報告をされております。
 まさにそのとおりで、たばこの煙が流れてくる場所などで打ち合わせをしておりますと、呼吸が少し苦しくなります。がんの一次予防としてのたばこ対策というのは、科学的にも裏づけのある話でありまして、単に臭いとか嫌だとかということだけではなく、健康に悪影響をもたらすだけであるということを実感いたしております。
 そこで、現在の受動喫煙防止、分煙に関する都民の意識はどのようになっているか、お伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 都は昨年度、職場における受動喫煙防止対策を推進していく上での基礎資料とするため、都内四百カ所の事業所に勤務する四千人の従業員を対象にアンケート調査を行いました。
 その結果によりますと、受動喫煙により健康に悪影響が生じることにつきまして、詳しく知っている方が一七・四%、ある程度知っている方が八〇・一%となっておりまして、合わせて九七・五%の方が受動喫煙の健康への影響を知っておりました。
 また、職場における受動喫煙防止対策を望んでおられる方は、全体で九三・六%、喫煙習慣のある方でも八九%の方が対策を望んでおりました。

○門脇委員 そうですね。そういう数字で、職場における受動喫煙防止対策の充実は、今のお答えにもあったように、たばこを吸わない人だけではなくて、吸っている方の願いであることもわかりました。こうした都民の意向も受け、都としても、非常に多岐にわたる推進施策を実施されていると承知しております。
 つい先日も、職場の受動喫煙防止対策ハンドブックを発行されております。これですけれども、ちょっと一部わかりにくい表現もあることはあるんですが、分煙を進めている企業の実例なども載せていただき、全体的には、これは私、非常によくできたハンドブックだと思っております。
 成人の喫煙は、個人の趣味嗜好。お酒やコーヒーやチョコレートと同じ嗜好品で、これらとたばことの相性は抜群と思う方も多いと思いますし、実は私も、お酒はやめておりませんが、たばこを吸っていたときはそういうふうに思って吸っておりました。
 しかし、同じ嗜好品でも、たばことの違いは、他人に迷惑を与えるかどうか。(「酒も与える」と呼ぶ者あり)まあそうですね、そういう意見もあると思います。
 私は、最近吸っていなかったので、今回改めて見てみましたけれども、たばこのパッケージにかなり強い表現が印刷をされております。
 一、二、紹介をしたいと思いますけれども、これは肺がんというよりも心筋梗塞や脳卒中でありますけれども、喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます、疫学的な推計によると、喫煙者は、心筋梗塞により死亡する危険性が非喫煙者に比べ一・七倍高くなりますと。これは脳卒中も同じようなことが書いてある。ちなみに疫学的というのは、一般的に科学的といいかえてもよろしいかと思います。
 それから、こういう表現もありますね。妊娠中の喫煙は、胎児の発達障害や早産の原因の一つとなります、同じく、疫学的な推計によると、たばこを吸う妊婦は、吸わない妊婦に比べ、低出生体重の危険性が約二倍、早産の危険性が約三倍高くなりますということが書いてありました。
 近年、先進国では、喫煙率は全体的に低下傾向にあり、大体二〇%ぐらいということなんですけれども、我が国においては、特に、若い女性が減っていない。減っていないとは、たばこを吸う方が微増ですけれども伸びているのではないかと思います。妊娠中の喫煙や受動喫煙の胎児への影響について、私自身も非常に心を痛めているところであります。
 そこで、都における受動喫煙防止対策と、あわせて、妊婦の喫煙、受動喫煙防止対策についての取り組みをお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 都は、平成二十年に作成をいたしました健康推進プラン21新後期五か年戦略に基づきまして、喫煙や受動喫煙の健康影響に関する普及啓発や禁煙希望者の支援に取り組んでおります。
 受動喫煙防止対策につきましては、ガイドラインを策定いたしまして、公共の場所や職場での取り組みの推進に努めておりまして、今年度は、職場の受動喫煙防止対策ハンドブックを作成し、都内の事業所等に配布しております。
 禁煙希望者に対しましては、ニコチン依存症治療の保険適用医療機関につきまして、ホームページで情報提供しておりまして、来年度は、具体的な禁煙方法を紹介したリーフレットを作成、配布いたします。
 また、妊婦の喫煙、受動喫煙につきましては、今お話がございましたとおり、胎児の発育障害などさまざまな危険がございますため、妊婦のみならず家族全員に禁煙を呼びかけるリーフレットを作成いたしております。

○門脇委員 ありがとうございました。
 受動喫煙をなくする取り組みは、事業主や行政機関にも積極的に進めていっていただきたいわけですけれども、都民も、みずから正しい知識に基づいて行動することが望ましいものであります。
 私自身も、繰り返して申し上げて大変恐縮ですけれども、配慮しているつもり、分煙しているつもりでは、他の人への健康の悪影響というものを避けることは残念ながらできません。
 先日、国は、妊婦の喫煙ゼロを目標として打ち出しました。折しもこの三月は女性の健康週間があり、五月三十一日には世界禁煙デー等も控えております。妊娠中のたばこのリスクは次世代にも及ぶものでありますから、機会をとらえての情報提供、普及啓発に取り組んでいただきたいと思います。
 なお、オリンピック招致について、スポーツ振興局長の答弁は求めませんけれども、医療関係者団体からも、たばこ対策は招致に際して必要だが、都は明確にしていないという声があります。各地の省政府、大蔵省とかの省ですけれども、省政府がたばこ販売会社を保有している中国ですら、北京オリンピック開催等の国際大会を契機にし、たばこ対策が一気に前進したと聞いております。
 他にもさまざまな専門家から、IOCとWHOとのたばこのないオリンピックについての合意があること、国際会議等の招致においても、いうまでもない条件整備の一つ、当たり前であるということなどをお聞きするにつけ、特に今後、招致活動を推進するに当たっての欧米のIOC委員の皆さんへのファクターになるのではないかと思うところであります。
 次に、HIV、エイズについてお伺いをいたします。
 二月二十五日の新聞報道によると、全国で昨年一年間に新たに報告されたHIV感染者とエイズ患者の合計数は、一千四百八十六件とのことであります。そのうちエイズ患者数は最多水準の四百六十七人で、この人数は、確定段階では過去最多になる可能性があるとのことであります。
 先進諸国では、エイズ患者は減少傾向がある中で、日本で増加しているというのは本当にゆゆしき問題だと思います。
 現在は、医療の進歩により、HIVに感染をいたしましても、発見が早く、早期治療が開始されれば、エイズの発症を抑え、普通に就労することができますし、厚生労働省の発表では、HIV感染者の実に七三%が現に就労しているとのことであります。このことから、エイズ検査によって早期に感染しているかどうかを知ることは大変重要であります。
 HIV感染を知ることで、早期に治療が開始できることは、本人のエイズ発症の予防という意味だけではなく、感染を知らずに他人に感染を広げるという状況を防ぐことにもつながるため、公衆衛生上も大変重要であります。
 そこで、東京都におけるHIV、エイズ感染者のここ数年の状況はどのようになっているか、傾向を含め、お答えをいただきたいと思います。

○杉村福祉保健局長 東京都における新規のHIV感染者及びエイズ患者の報告数の合計は、平成二十年の五百四十五人をピークにいたしまして、それ以降は毎年四百人から五百人程度で推移をいたしております。
 過去五年間の傾向を見ますと、年齢構成は、二十歳代から四十歳代が全体の約八割を占めております。また、性別を見ますと、一貫して男性の割合が高く、女性の割合は五%前後となっております。

○門脇委員 年間四百人から五百人のHIV、エイズ患者がいるということは、そんなに多くいるとは私も思いませんでしたけれども、この中には、まさか自分が感染するとは思わなかったという人も含まれている可能性があります。
 数は、今お話のとおり圧倒的に男性が多いんですけれども、この中に女性も含まれているということを注意しなければなりません。
 したがって、この世代でリスクのある性行動をとった覚えがある人は、HIV検査を受けることが、いうまでもなく大切です。
 ただし、これはかなり知られてきたことでありますけれども、感染後しばらくは感染していることを検査で検出できない期間、これをウインドーピリオドというそうでありますけれども、検査を受ける際には六十日を過ぎてからということも重要だということを一言申し上げておきます。
 一時期に比べ、エイズということについてマスコミが大きく取り上げることもなく、都民の関心は以前と比べ薄れているのではないかと憂慮しております。先日、慶應義塾大学医学部の加藤真吾さんという方にお話を伺ってきましたけれども、きょうは時間がありませんので詳しくその内容をお話しすることはできませんが、都内のHIV、エイズの感染状況というものを非常に心配されておりました。
 そこで、都は、HIV検査の受診促進に向け、働き盛りの二十代から四十代を中心とした都民への普及啓発、広報の充実を図るべきだと思いますけれども、そのお考えをお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 都は、エイズ予防月間やHIV検査相談月間を中心としまして、NPO等の協力も得ながら、講演会や繁華街におけますライブイベント、街頭キャンペーン等を行い、早期の検査受診を働きかけております。
 また、お話の二十歳代から四十歳代を含みます働き盛りの世代に対して、東京商工会議所など経済団体と連携いたしまして、都内の企業にポスターやリーフレットを配布いたしますとともに、団体のホームページやメールマガジンに記事を掲載するなど、情報発信を行っております。
 今年度は新たに、勤労者のライフスタイルに合わせまして、夜間にインターネット動画サイト、ユーストリームで、啓発番組を五回にわたって配信いたしております。
 今後とも、経済団体やNPO等と連携いたしまして、働き盛りの世代に向けた効果的な普及啓発を実施してまいります。

○門脇委員 ありがとうございました。
 今、答弁の中で東京商工会議所などの経済団体と連携し、普及活動をしていただけているという画期的な施策をお伺いし、大変心強く感じております。
 私も先日、ここからも遠くない東京都南新宿検査相談所に視察に行ってまいりました。そこでいただいてきたこのチラシですけれども、一言でいえば、人ごとではないと。わかりやすいコピーだと思います。コンドームの正しい使用でHIV感染は防げますということ、外側のこの赤い線がコンドームの形をしているわけなんです。裏は相談所の案内等であります。
 こちらは利便性もよくて相当数の利用があり、早期発見には重要な役割を果たしていると感じられました。所長によりますと、現在の検査実績からすると、まだ余裕がある状況ということですが、結果は陽性でも陰性でも、一対一で大変親切に返答してくださっているということなので、検査件数には余裕があっても、検査件数が伸びれば必然的に面談の時間もふえるため、いずれはいっぱいになる可能性があります。なかなか難しいことだと思いますけれども、ぜひ今のうちにそうした場合の対応として、検査体制の充実をご検討いただきたいと思います。
 また、女性にも感染者が出ており、だれでもリスクのある病になっています。早期発見がHIV、エイズ対策の第一歩です。東京都には、新たな感染者を一人でも少なくするよう、頑張ってもらいたいと思います。
 次に、高齢化対策、中でも認知症医療についてお伺いをいたします。
 今後、我が国においては高齢化がますます進み、世界のどの国もかつて経験したことのない超高齢社会が現出をいたします。こうした中、高齢者一人一人の生活を支え、命を守るには、これまで以上に医療と介護が密接に連携し、限られた社会資源を適切に活用しなければなりません。都が今年度中に指定予定の認知症疾患医療センターもこうした取り組みの一つだと思います。
 都内には、認知症の症状がある方が既に三十三万人いて、今後、さらにふえていくと見込まれています。認知症疾患医療センターは、他の道府県では県内数カ所程度の指定にとどまっていますが、東京は、二次保健医療圏ごとに一カ所を基本的に指定することとしており、その先見性は私たちも評価をさせていただいております。
 しかしながら、二次保健医療圏でも多いところでは八つの市町村を抱えるなど、その業務はかなり大変になるとの声もあります。センターが本来の役割を果たすためには、区市町村の積極的な協力も必要ですが、都としては、センターと区市町村との連携体制の構築に関して、どのような支援をしていかれるおつもりなのか、お伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 二次保健医療圏を基本に設置をいたします認知症疾患医療センターは、それぞれの地域の実情を踏まえながら、区市町村と連携した取り組みを進めていくことが必要でございます。
 そのため、都は現在、都と区市町村が認知症の方への支援につきまして情報交換を行っております担当者連絡会に、センターの職員を加えまして、地域の社会資源の状況や認知症に対する取り組み状況などについて、関係者間での情報の共有化を図ることとしております。
 今後、こうした場を活用しながら、センターと区市町村の連携が円滑に進むよう支援をしてまいります。

○門脇委員 認知症疾患医療センターは、地域包括支援センターとも連携して活動するということになります。地域包括支援センター職員の、いわばその医療的な、知識といったらいいと思いますけれども、これにも限界がありますので、認知症疾患医療センターが調整機能を発揮することが重要と考えておりますけれども、このことについてもお答えください。

○杉村福祉保健局長 認知症疾患医療センターには、医療相談室を設置いたしまして、認知症に関する専門知識を有する精神保健福祉士や保健師等を配置いたします。医療相談室は、家族や関係機関からの相談に対応いたしますとともに、認知症に係る専門医療機関等との連絡調整を行います地域連携のコーディネーターの役割を担っておりまして、地域包括支援センターに対しましても、専門スタッフが個々の事例に応じた医療的観点からの助言を行うなど支援をいたしております。

○門脇委員 ありがとうございました。
 一人の高齢者に対して、既往症と認知症を診る病院と診療所、薬局、さらにさまざまな介護サービスとの連携が必要であり、患者の生活を支える介護サービス事業者から見ても、関係先との連絡調整が多く、非常に複雑な対応を求められています。
 介護支援専門員が認知症医療や内科医療、そしてリハビリテーション等との連携に必要な知識を持たないと、適切に対応できず、いいプランがつくれない。介護支援専門員にとっても、認知症疾患医療センターを退院した患者は認知症の専門医療を必要とするということで、より困難さが増すということになります。
 退院後も認知症の患者が地域で安心して暮らせるよう、認知症の専門医療と身体疾患の医療との連携、さらには介護保険サービスとの連携の仕組みが構築される必要があると思いますけれども、どのように取り組むのか、続けてで大変恐縮ですが、お答えください。

○杉村福祉保健局長 都は今年度、認知症対策推進会議のもとに、認知症ケアパス部会を設置いたしまして、医療や介護、福祉、行政等の関係者間の情報共有の仕組みづくりについて検討をいたしております。
 その結果は、地域での取り組みを進める手引といたしまして、今月末に取りまとめる予定でございまして、来年度は、この手引を活用いたしまして、認知症疾患医療センターと区市町村や医師会など関係機関とが進める地域における医療と介護の連携の仕組みづくりを支援してまいります。

○門脇委員 認知症疾患医療センターは、その名前のとおり、認知症と身体疾患の両方を診ることができる、いわば病院であります。認知症の専門医療により、急性の精神症状への対応を行うとともに、身体合併症にも対応いたします。従来、認知症高齢者の合併症に対応してくれる病院が非常に少なかったのですけれども、センター自身に加えて、地域の医療機関においても、連携によって、身体合併症の入院受け入れが進むことが期待をされています。例えば、認知症のがん患者など専門医療を必要とする患者については、具体的にどのような対応をとるのかお伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 認知症疾患医療センターは、地域の認知症に係る専門医療機関、一般病院や精神科病院等と緊密な連携を図りまして、認知症の患者を地域全体で受け入れる体制を構築する役割を担っております。
 こうした考え方のもと、センターは、認知症のがん患者など専門医療を必要とする場合におきましても、みずから受け入れるほか、症状に応じた医療を提供できる医療機関を紹介するなど、関係機関と連携し、適切な対応を行ってまいります。

○門脇委員 この項の最後の質問ですけれども、専門医療と同様に、認知症高齢者の体調が急に悪化したときの対応も重要であります。認知症疾患医療センターの設置によって、在宅の認知症高齢者の急な体調変化への対応はどのようになっているのか、この項の最後としてお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 在宅の認知症高齢者の体調が急に悪化した場合には、日ごろから身体疾患の治療の状況や生活環境を把握しているかかりつけ医がまず初期対応を行いまして、急性期病院や認知症に係る専門医療機関と連携をして対応することといたしております。
 認知症疾患医療センターは、医療相談室を中心に、かかりつけ医や専門医療機関との連絡調整を行うコーディネーター役を担っておりまして、センターの設置により、これまで以上に適切な医療を提供できる体制の構築が地域の中で進むものと考えてございます。

○門脇委員 ありがとうございました。
 認知症は、家族にとっても、申し上げるまでもないんですけれども、さまざまな負担があり、まさに医療と福祉の両面からの支援が必要な問題です。適切な医療が行われれば、その本人はもちろんですが、家族の負担は大幅に軽減をされます。認知症疾患医療センターの運営の中で、東京から全国のモデルとなる取り組みを一つでも多く生み出していただくようお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 木密地域不燃化十年プロジェクトについてお伺いをいたします。
 「二〇二〇年の東京」を支える十二のプロジェクトとして、木密地域不燃化十年プロジェクトが位置づけられており、当該予算案では、新規事業として十億六千万円が計上されています。東京の防災上の弱点といえる木密地域は、知事も本会議で述べられていましたように、独特の風情を持ち、ある意味でとても親しみやすく、都会が忘れていた人情がいまだに息づいている地域であるとも--これは下町地域を中心としたことですけれども、いえると思います。
 そうした場所で木密地域不燃化十年プロジェクトを推進していく上で、今後、どのように住民の合意形成を図っていくのか、まず、このことをお伺いいたします。

○飯尾都市整備局長 木密地域不燃化十年プロジェクトでは、地域が一体となって防災まちづくりに取り組む機運の醸成を柱の一つといたしております。この方針に基づきまして、都は先月、葛飾区内など五カ所の木密地域におきまして、地域密着型集会を開催いたしまして、住民の生の声を聞いてまいりました。
 来年度も継続的にこれを実施いたしまして、今後の施策に反映させてまいります。
 また、不燃化特区の指定に当たりましては、区に、関係住民との合意形成に取り組んでいくことを求めていくこととしております。こうした取り組みによりまして、地元区とともに住民の参加意欲を引き出しながら、木密地域の不燃化を推進してまいります。

○門脇委員 あす地震が起きてもおかしくない中で、対応、対策を急がなければならない現場の苦労というものを、私たちはよく承知をしているつもりです。一方で、だれしも自分の住むまちに愛着を持っています。安全になったけれども、人情やつながりが消えたのではやり切れません。合意形成にも力を尽くしてもらいたいものと思います。
 木造地域不燃化十年プロジェクトは、平成二十二年一月に改定をされました防災都市づくり推進計画で指定された整備地域が対象となっています。既に一昨年の第一回定例会において指摘をさせていただきましたが、地震に関する地域危険度測定調査報告書で、建物倒壊危険度が五である八十四地域のうち二十三地域が、残念ながら整備地域に含まれていません。また、火災危険度が五である八十四地域について見ると、整備地域に含まれていない地域は十二地域となっています。
 しかし、一般の都民の感覚からすれば、現実に建物倒壊危険度や火災危険度が高いと判定されている地域がなぜ、木密地域不燃化十年プロジェクトの対象にならないのか理解されにくいのではないかと思います。
 そこで、木密地域不燃化十年プロジェクトの対象地域を、現在の整備地域に加え、整備地域に指定されていない、先ほど申しました建物倒壊危険度五、火災危険度五の地域すべてを対象とするよう拡大していただきたいと思いますけれども、お考えをお伺いいたします。

○飯尾都市整備局長 都は、お話の防災都市づくり推進計画におきまして、地域危険度が高いことに加えまして、老朽化した木造建築物が集積いたしまして、かつ市街地の燃えにくさを示します不燃領域率が一定水準に満たない地域を整備地域に指定しておりまして、これまで施策を重点化してまいりましたが、住民の高齢化や権利関係の複雑さなどから、なかなか改善が進んでいない地域も多くございます。
 このため、木密地域不燃化十年プロジェクトでは、整備地域の中でも特に改善を必要としている地区につきまして、生活再建の支援など、従来よりも踏み込んだ施策を重点的、集中的に講じることによりまして、市街地の防災性の向上を一段と加速させることをねらいとしております。
 このことから、十年プロジェクトでは、引き続き整備地域を対象として不燃化に取り組んでいくとしたものでございます。

○門脇委員 現在はそういうお考えということですから、きょうはそこにとどめさせていただきます。
 次に、防災教育であります。
 災害に強い都市をつくるためには、一人一人が災害についての知識を身につけ、みずからの責任を果たせるようにすることが、申し上げるまでもなく肝心です。そのためにも、私たちは昨年の第二回定例会での代表質問で、机上の知識取得だけではなく、実践型の防災教育の取り組みが重要であると主張をしてまいりました。都内の公立学校でさまざまな場面や状況を想定した体験的、実践的防災訓練を実施すると答弁をいただいておりますけれども、当該年度において、実践型の防災教育をどのように進めていくのか、教育長にお伺いをいたします。

○大原教育長 都教育委員会では、東日本大震災を踏まえ、授業時間中はもとより、登下校中や放課後、校外学習中などさまざまな場面や状況を想定した体験的、実践的な防災訓練を推進するよう、今年度、各学校を指導してまいりました。
 来年度におきましても、東京消防庁や地域の自治会等の協力を得まして、予告なしで行う避難訓練や、授業中や休み時間等に友達が倒れた場面を想定したAEDの使用訓練など、臨場感、緊迫感を持たせる避難訓練、防災訓練を、都立学校はもとより、区市町村教育委員会と連携し、引き続き全公立学校で行ってまいります。
 また、すべての都立高校で、学校における宿泊を伴う防災体験活動を行わせますとともに、防災教育推進校を指定いたしまして、自助、共助の力を育てる実践的な防災教育を推進してまいります。

○門脇委員 いざというときは、日ごろから備えていること以上のことはできません。逆にいえば、訓練をしっかりしておけば、対応もしっかりできるということだと思います。
 ライフラインの断絶状況を想定した防災サバイバルキャンプなど、よりリアリティーのある実践型の防災訓練を行っている学校もあります。先ほどの答弁によりますと、来年度から全都立高校において、学校での宿泊を伴う防災体験教育を実施するとのことでありました。
 こうした宿泊訓練に地域の方々にも参加を呼びかけ、ふだんから地域との連携を図った訓練を実施していくということが大切だと考えておりますけれども、見解をお伺いいたします。

○大原教育長 都教育委員会は、来年度、全都立高校で年四回以上の避難訓練を実施し、その一環といたしまして、学校における宿泊を伴う防災体験活動も行ってまいります。
 その実施に当たりましては、各学校が地域の消防署や消防団とともに消火訓練、救助訓練等を実施することはもとより、近隣の小中学校との連携を図るなど工夫した取り組みを推進してまいります。
 このような取り組みを通して、都立高校と地域住民が相互の防災訓練に参加できる体制を構築いたすなど、災害に備えた地域連携を強めてまいります。

○門脇委員 この項、最後ですが、都立高校において防災教育推進校を指定し、実践的な防災教育も行っていくとのことでありますけれども、震災に遭った際に対応できる冷静さと柔軟な判断力、そして社会貢献意識を身につけさせるため、どのようなプログラムを考えているのか、最後にお伺いいたします。

○大原教育長 都教育委員会は、来年度、都立高校十二校を防災教育推進校として指定し、自校の防災や地域の安全に貢献できる生徒の育成を図ることといたしました。
 そのため、この防災教育推進校では、自校の防災に関する取り組みの企画立案を行う高校生の防災組織である防災活動支援隊を結成し、地域と協力して、リーダーとなる生徒の育成を図ってまいります。
 また、東京消防庁と連携いたしまして、消防学校等で一週間程度の宿泊体験活動を実施いたしますとともに、生徒に心肺蘇生法や三角巾を使った応急手当て等を学ばせまして、自助、共助の精神に加えて、防災に関する知識や技術を身につけさせてまいります。

○門脇委員 知事も常々、日本人は堕落したと嘆かれておりますけれども、次代を担う日本人をきちっと育てるのは、私たち大人の責務ですけれども、実際にはそれを怠ってきたことも否めないと思います。
 こうした防災教育は、いざというときの備えと同時に、日本人としての気構えをつくる第一歩になると思います。ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、保育所の耐震化についてお伺いをいたします。
 児童福祉施設等の耐震化の状況は、平成二十年十一月に公表された社会福祉施設等の耐震化に関する状況調査結果によれば、まず認証保育所の方ですけど、認証保育所は新耐震基準で建築された建物が九割を超え、耐震化も九六%と高かった一方、認可保育所は、新耐震基準の建物が四割を切り、耐震化率も六五%と低く、社会福祉施設等の全体の平均、約七九%を大きく下回っておりました。
 このように、社会福祉施設の中でも、認可保育所は特に耐震化率が低い状況にあります。
 都は、認可保育所も含む民間社会福祉施設等の耐震化の促進をするために、補助事業を平成二十年度から開始しており、来年度予算でも七億五千九百万円を引き続き計上しています。また、認可保育所の場合、安心こども基金を活用した保育所緊急整備事業でも、改築等により耐震化を図ることができます。
 そこでまず、こうした認可保育所の耐震化を促進する補助事業のこれまでの利用実績についてお伺いをいたします。

○杉村福祉保健局長 都は、社会福祉施設等に対しまして、耐震化促進事業により、平成二十年度から耐震診断、二十一年度から耐震改修に補助を行っております。
 あわせて認可保育所につきましては、安心こども基金の活用や、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減いたします都独自の支援策によりまして、改築や大規模修繕を進め、耐震化を促進いたしております。
 これらの補助事業の認可保育所における活用実績は、平成二十二年度末までに耐震診断が五十七施設、耐震改修や改築等が七十一施設となっております。
 また、現時点での今年度の見込み数は、耐震診断が四十一施設、耐震改修や改築等が四十八施設となっております。

○門脇委員 この民間社会福祉施設等を対象とする耐震化促進事業の内容を見ますと、間違いのないように読み上げますけれども、耐震診断については、補助率五分の四、耐震改修については、鉄筋コンクリートなどの非木造建築物では、倒壊または崩壊する危険があるとされているIs値が〇・三未満の場合、八分の七、Is値が〇・三以上〇・七未満の場合は十六分の十三と、木造住宅の耐震化助成に比べてかなり手厚いものとなっております。
 事業が開始される契機となったときの調査データは先ほど述べたとおりでありますが、昨年六月、我が会派の伊藤ゆう議員が調査した結果では、二十三区内の認可保育所の耐震化率は平均八一・八%で、すべての保育所で耐震化が完了しているのは、千代田区、中央区、それから世田谷区の三区にとどまっております。
 認可保育所は、同じように子どもたちが日中生活する場である学校と比べても、耐震化がおくれていますけれども、その要因にはどのようなものがあると認識をされていらっしゃるのでしょうか。また、それを解決するために、今後どのような対策を講じていくのか、お考えをお聞かせください。

○杉村福祉保健局長 認可保育所の耐震化は学校と異なりまして、夏休みなど長期の休業期間がないため、仮設施設の設置が必要なこと、また、敷地が狭いことや保護者の送迎に配慮する必要があることから、敷地の周辺で代替地を確保しなければならないことなどの課題がございます。
 こうした課題を解決するため、来年度からは新たに認可保育所の耐震化に必要な場合、仮設施設の整備費や代替地の賃借料を、区市町村を通じて支援することにいたしております。

○門脇委員 申しわけございません。一緒に聞けばよかったんですが、建物全体で耐震改修まで手が回らないという認可保育所については、せめて、いわゆる耐震シェルターの設置を促進し、子どもたちの安全を確保すべきと考えますけれども、お考えをお聞かせください。この項、最後の質問です。

○杉村福祉保健局長 さまざまな事情によりまして、直ちに大規模な耐震改修に着手をできない施設が、建物の一部について地震対策上有効と認められる耐震シェルターなどにより補強工事を行う場合につきましても、現在、安心こども基金を活用した保育所緊急整備事業や、都独自の施設改修費に対する補助の対象といたしております。

○門脇委員 いつ起きても不思議ではない震災から、今後の日本を担う子どもたちの命を支えていくために、区市町村と連携し、ぜひ耐震化を積極的に推進していただきたいと思います。
 次に、震災瓦れきの受け入れについてお伺いいたします。
 私は、知事が震災瓦れきの受け入れを全国自治体に先駆けて実施したことは大英断だと思っております。政治は時として、いかに反対されてもやらなければならないことがある、そのように考えているからであります。私たちも有志で、岩手県宮古市から受け入れている災害廃棄物処理の搬入と処分の状況などを拝見させていただきましたが、問題なく適切に処理されていることを確認いたしております。
 一方で、震災瓦れきの受け入れについて、都民の皆さんには依然として不安が残っていることも事実であります。また、多くの自治体は、残念ながら、いまだ受け入れにちゅうちょをしている状況にあります。
 そこで、今後も継続的に処理の方法や放射能測定結果など必要な情報を発信し、都民並びに国民の皆さんの不安を払拭することが、震災瓦れきを受け入れることを全国に拡大する推進力になるのではないかと思いますけれども、今申し上げたことについてのお考えをお伺いいたします。

○大野環境局長 災害廃棄物の受け入れ処理に当たりましては、都民の中に放射能を懸念する声もあったことから、災害廃棄物の処理の方法とその安全性について、正確に理解していただくことが重要でございました。
 このため、都は、独自に放射能管理マニュアルを作成して、被災地での放射能の測定方法を確立し、毎日測定を行いまして、その結果を逐次ホームページで公表してまいりました。また、それらの測定方法等につきましては、住民説明会で動画等によりまして、わかりやすく説明をしてまいりました。
 このような取り組みが、全国に先んじた昨年十一月の岩手県宮古市、また今月の宮城県女川町からの災害廃棄物の受け入れを円滑に進める上で大きな役割を果たしております。
 都は今後も、安全であることの理解を広げまして、災害廃棄物の広域処理を着実に推進してまいります。

○門脇委員 環境局長、いろいろ問題点ありますけれども、ぜひ頑張って、この瓦れきの受け入れを進めていただきたいと思います。
 この処理ができてこそ、被災地は、いわば復興のスタートラインに立つわけです。阪神・淡路大震災のときも、他県が処理に協力をしました。地震列島日本にあって、瓦れきの処理は、だれもが、あすの自分の問題となり得ます。だからこそ、助け合うのは当然です。助け合いを進めるためにも、今後も東京から積極的に情報発信を続けてほしいと思います。
 次に、環境、エネルギー対策についてお伺いをいたします。
 私たちは、当該審議予算案について、災害に強く環境負担の少ない省エネルギー型の都市づくりを推進するため、都議会民主党が取りまとめ、おかげさまで可決をされた省エネ条例の趣旨を推進するための施策も十分な配慮がなされていると評価をさせていただいております。
 昨年、都は、省エネ条例の短期的な行動計画に当たる電力対策緊急プログラムを策定し、省エネ、節電の実践に取り組み、昨年夏の大幅な電力不足を都民の皆さんの協力を得て乗り切ることができました。
 今後は、省エネ、節電の継続に加え、自立分散型電源の確保など供給面の対策も含めた取り組みを推進すべきと考えますけれども、平成二十四年度はどのように、環境、エネルギー施策について展開をしていくのか、お考えを改めてお伺いいたします。

○大野環境局長 都は、昨年夏の省エネ、節電対策から得た知見を生かしまして、東京の経済活力の源泉の一つでありますオフィスビルの省エネと、職場環境の快適性の両立に向けまして、これは本会議でもご答弁いたしましたが、ことし春に中長期的に取り組むべき具体的な省エネルギー対策を示す方針を策定する予定でございます。
 また、自立分散型エネルギー源の確保に向けましては、百万キロワット級の高効率天然ガス発電所の整備に向けた検討を進めるとともに、臨海副都心等におきまして、自立分散型エネルギー源の確保に向けたリーディングプロジェクトの具体化を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、快適性にもすぐれ、スマートな節電が可能で、かつ災害にも強い都市づくりを推進してまいります。

○門脇委員 昨年夏、省エネ、節電についての都民、国民の皆さんの協力というものは本当にありがたいものでありました。
 今後も、我が国は原子力発電所がとまり、電力供給が厳しい状況が続くと考えられます。それゆえ、昨年の都民、国民の行動を、繰り返しますけれども、一過性のものに終わらせるのではなく、エネルギーのむだをむだと思わない社会のさまざまな事象、生活様式をいわばそぎ落としていくことにつなげる必要があります。ことしは、昨年以上に取り組んでいただきたいと思います。
 その原子力発電所の再稼働が当面見込めない状況の中、首都圏の電力需要を賄うためには、当面、火力発電に頼らざるを得ず、CO2排出係数の増加が避けられない傾向にあります。だからといって、電力需要を賄うためにCO2排出量を大きくふやすことも避けなければなりません。
 エネルギー確保と地球温暖化対策、いってみれば、この相反する二つの政策のバランスを考えていく必要があるわけですが、この点について、大変難しいことではありますけれども、どのような対策が必要と考えているのか、お考えをお伺いいたします。

○大野環境局長 具体的な対応といたしましては、まず、需要面では、スマートメーターやエネルギー管理システムの導入等によりまして、快適性を維持しながら、エネルギー需要の最適化を図ることが必要でございます。
 次に、供給面では、老朽火力発電所のコンバインドサイクルへのリプレース等によりまして、低炭素でかつ安定的な電力を確保するとともに、都市開発におきまして、コージェネレーション設備の導入や再生可能エネルギーの大幅な普及拡大を推進することが重要でございます。
 このように、エネルギー供給の安定の確保と低炭素化を両立しつつ、エネルギーの需要、供給両面からの対策に継続して取り組むことが必要と考えております。

○門脇委員 ありがとうございました。
 最近の貿易収支を見ると、化石燃料の輸入が原因となって赤字となっています。そして、火力発電からのCO2増を相殺するために、海外からCO2の排出権を買うならば、さらに日本の富というものが外国に流出することになります。日本経済の弱体につながりかねません。
 東京都の具体的な取り組みは、こうした状況を打開する大きなきっかけになると思います。ちりも積もれば山となる省エネ、節電、都市型キャップ・アンド・トレード、太陽光パネルの普及、火力の中では環境負荷の少ない天然ガス発電の推進、都として揺るぎなく取り組んでいただきたいと思います。
 次に、新銀行東京についてお伺いをいたします。
 三月二日、新銀行東京の中期経営計画が示されました。再建計画の決算見込みでも、実質業務純益で黒字が計上されたことは、経営陣を初め、現場の皆さんのご努力があってのことだと思いますが、一千億円の出資、四百億円の追加出資、加えて出資債の利子負担の百億円と合わせて一千五百億円もの都民の税金をつぎ込んだことを踏まえれば、今なお設立目的である中小企業支援という役割を十分に果たしているとはいえない状況にあります。
 また、石原知事はこの間、セカンドステージということを述べてこられましたけれども、その姿も見えないうちに、今回の中期経営計画が示されることとなりました。かつて--かつてというのは、二〇一〇年十一月十九日、知事は記者会見で、これからセカンドステージというものを積極的に考える時期だと思うと発言し、中国での交渉にも言及したこともありました。
 こうした経過を踏まえれば、中期経営計画の途中であっても、機会があれば、セカンドステージなるものに向けて、積極的に対応していくということなのでしょうか。
 今回示された新銀行の中期経営計画の評価をお伺いするとともに、石原知事が考えるセカンドステージの姿と今後の取り組みについて知事にお伺いをいたします。

○石原知事 新銀行東京は、現経営陣のもとで再建に向けて懸命な努力を重ね、連続して黒字を計上するところまでまいりました。
 三代目にしてようやく金融のプロを迎えまして、この好ましい結果になったと思いますが、今までは、いわば墜落寸前の状況が続いたわけでありますけれども、ようやく飛行機も安定して、低空ではありますけれども、水平飛行になった。さらにこれを上昇させるためには、これからのまさにセカンドステージとしての努力も必要だと思いますし、また、それに対していろいろ腐心をする時期に来たということも、寺井社長そのものもこの間いっておりました。
 いずれにしろ、親身に取引先の経営相談に乗るなど、大銀行がしない非常にきめ細かな対応を行うとともに、貸付条件の変更を行うリスケジュール、リスケというそうですけれども、これは実に緻密にアドバイスすることで行って、小零細企業を支援してきました。そういう点では、貸付先の企業も非常にそれは多としておりますし、頼りにしております。
 今回の中期経営計画の着実な実行によりまして、より強固な経営基盤がつくり上げられると思います。しかし、経営というのは生き物でありまして、私も素人ではありますけれども、こういうことはどうだ、ああいうことはどうだろうかというサジェスチョンといいましょうか、相談といいましょうか、意見も述べてきましたが、今後も思いつく限り、そういう努力を多角的にみんなですべきだと思います。
 いずれにしろ、それを選択するということは経営者の責任でありますから、これはもう我々がそれ以上の口を挟むことはございませんが、ただ、東京そのものの将来についての評価というのは、期待というのは、実は日本の金融当事者よりも、はるかに外国の方がいろんなことを熟知しておりまして、また期待もしております。
 例えば、これはばかなことですから、今することないといって、国に抗議してやめさせましたが、非常に営業の進んでいる調子のいい東京の地下鉄、これは何を考えているか、メトロの方は、財務省が少なくてもあぶく銭をつかみたいので売れ売れというけど、私は拒否しまして、株の安いときにこんなものを売るばかはいないんで、国が売るなら東京が全部買うからといいましたら、それは確かになりましたが、こういった問題に対しても、実は、アメリカのファンドの方がはるかに強い関心を持って動いてきたんです。
 その前に、我々の銀行は経営者が非常に無能で、ピンチに陥ったときに、今から申し上げますけれども、この間、ギリシャの債権の問題で、実質的につぶれて全面国有化になったフランスとベルギーがやっているデクシアという銀行や、あるいはドイツのデファーという銀行、実は我々があっぷあっぷしてるときに、彼らもリーマンショックで大けがしまして、皮肉なことに、この二つの銀行が東京から金を貸してくれというばかなオファーをするようになりました。
 そういう点で、世界がどういうふうに激しく動くかわかりませんが、いずれにしろ、その中で、私たちこの東京を守るためにも、この銀行をしっかり守って再建していかなくちゃいけないと思っております。
 そして、それが、呻吟している、非常に有能だし、可能性がありながら、国がそれを認めない、評価しない東京の中小企業というものを支えて、日本に不可欠の先進的な技術というものを国力として備えていくよすがになると思っております。
 そういう意味で、これから世界がどう動くかわかりませんが、この東京の可能性というのを踏まえて、この銀行はしっかりと再建していただきたい、また、いかなくてはならないし、そのための努力を行政側もできる限りの協力としてしていきたいものだと思っております。

○門脇委員 知事のお気持ちはわかりましたけれども、前段のところで、最終的には再建をしっかりなし遂げていかなければいけないということですが、最終的には経営者の選択ではあるけれども、いろいろな方法というものも、多角的な方法もあるだろうということ、それから、セカンドステージについても努力をしていくということでよろしいですね。--はい、ありがとうございました。セカンドステージということについて努力を、経営者が相談に応じるということも含めてですね。ありがとうございました。知事の答弁はそれで結構です。
 ところで、四百億円の追加出資の際には、東京都は、新銀行を清算した場合にかかる費用一千億円の根拠として、当時は預金残高が四千億円、社債、信託鑑定などの負債残高五百億円、この合計から有価証券などすぐに現金にできる資産の残高三千五百億円を差し引くと一千億円などと説明するとともに、損失額についても、過去の同程度の資産規模を持った金融機関の破綻の例から一千億円などという説明をしていました。
 そこで、現時点において新銀行東京を清算した場合にかかる費用について、具体的にお伺いをいたします。選択肢の一つということでお考えください。

○前田産業労働局長 平成二十年当時、経営危機に陥りました新銀行東京のとり得る選択肢の一つとして清算を検討したものでございます。その際の数字は、ただいま委員がお話しになられたとおりでございますが、その後、新銀行東京は再建に向けて懸命に努力を重ね、継続して黒字を計上するまでに至っております。
 また、今回の中期経営計画では、安定した黒字体質の継続を目指しております。黒字の銀行を清算することは考えておりません。

○門脇委員 また同じく、東京都は当時、再生に向けたさまざまな方策を検討してきたとして、民間金融機関等との統合や資本提携を念頭に置いて、国内銀行五行、外国銀行を含む外資系六社との交渉を行ってきたと答弁しておりました。
 今回の中期経営計画を作成するに当たっては、事業譲渡や合併などを検討した経過はないと今答弁をされました。これらの検討はなされたのか、理由や目的、結果について改めてお伺いをいたします。

○前田産業労働局長 これもかつて新銀行東京が経営危機に陥りました当時、統合あるいは資本提携を検討いたしましたが、合意に至らず、最終的に追加出資を選択したという経緯がございました。
 現在は、新銀行東京は連続して黒字を計上しておりまして、その当時と経営状況は全く異なっていると、このように考えます。

○門脇委員 その当時と状況は全く異なっているとの答弁ですけれども、先ほどは清算することは考えていないと明確に前田局長、答弁されております。事業譲渡や合併などを検討したかと聞いているので、改めてお答えをいただきたいと思います。

○前田産業労働局長 新銀行東京は、みずからの今後三年間の経営を見通した上で、今回の中期経営計画を策定いたしまして発表しております。その策定の過程で、事業譲渡や合併を検討したとは聞いておりません。

○門脇委員 平行線になってしまいますけれども、先ほど石原知事も、いろんな選択肢があるだろうということで多角的に検討していきたいと、それがセカンドステージだということでありますので、見解の相違ということになってしまいますけれども、次の質問に移りたいと思います。
 中央卸売市場についてであります。
 平成二十四年度当該予算案には、豊洲新市場関連予算として土壌汚染対策費五百八十一億円、建設費十三億五千万円など合わせて六百三億円が計上され、さらに債務負担行為として、水産仲卸が入る予定のいわゆる六街区の建設工事費三百八十一億円を初め計四百四億円が計上されています。
 この六街区建設費三百八十一億円を計上するに当たって、豊洲新市場の基本設計、実施設計の内容について、業界団体とどの程度協議が進んでいるのか、まずお伺いをいたします。

○中西中央卸売市場長 卸売市場は、市場業者が使用する業務施設でございまして、その設計には、業界の意見を反映していくことが重要でございます。このため、豊洲新市場の施設計画につきましては、都と各業界団体の代表者で構成されます協議機関を設置し、業界からの要望事項について検討を重ねております。
 昨年行いました基本設計におきましても、街区ごとに検討部会を設置して業界協議を行い、卸売り場のレイアウトや仲卸店舗の構造、物流動線の確保など、市場施設の骨格部分の内容を定めたところでございます。
 その後も、各業界から設計に対するさまざまな追加要望が出されたことや、東日本大震災の教訓を踏まえた対応が必要となったことから、都は基本設計と実施設計を一体のものとしてとらえて、引き続き業界との協議を進めることといたしました。
 現在は、これまで検討してきた方向性を踏まえ、機械設備の設置位置や各団体の事務所設置の確定など詳細な協議を行っており、今後六月末を目途に業界との協議を取りまとめる予定でございます。

○門脇委員 東京都は、平成二十一年三月の予算特別委員会で、豊洲新市場の使用料について、市場別使用料制度を採用し、施設建設費九百九十億円を前提として試算すると、単位面積当たりの使用料の平均上昇率は、現行と比べておおむね一・五倍を下回る水準におさまると答弁をされておりました。
 東京都は、平成二十一年七月十四日に、市場使用料のあり方などを検討する市場使用料あり方検討委員会を設置をし、平成二十二年十月ごろに中間のまとめ、平成二十三年の夏ごろに最終報告を予定しておりました。市場長ももちろんこのことはご存じだと思います。
 しかし、その後、検討が進まず、昨年八月、再度示されたスケジュールでも、ことし一月に中間報告、ことしですよ、三月に最終報告を取りまとめを予定していますが、今三月ですけれども、現時点で中間報告さえ示されておりません。
 現在の検討内容や取りまとめの今後の見通しについて、しっかりとしたお考えをお伺いをいたします。

○中西中央卸売市場長 市場使用料あり方検討委員会は、業界代表者と学識経験者により構成され、豊洲新市場も含めた市場全体の今後の使用料のあり方を検討することを目的といたしまして設置されたものでございます。
 昨年八月に開催された委員会において、学識経験者によるワーキンググループでの検討を取りまとめた市場使用料の現状と今後の方向性が報告をされ、使用料負担の公平性については、直ちに是正すべき状況にあるとはいえないこと、また市場別使用料については、現在導入した場合、市場業者の経営等に多大な影響が想定されるため、中長期的な検討が必要であること、低温化等、市場施設の機能強化と使用料における対応については、現行使用料体系に新たな機能を付加した場合の経費を加味した使用料体系を検討すべきことなどが提案されました。
 こうした提案内容については、業界代表者の委員も含め、一定の理解が得られたことから、現在、委員会で出された意見等も踏まえ、さらにワーキンググループで整理、検討を行っており、来年度のなるべく早い時期に最終報告を取りまとめる予定でございます。

○門脇委員 市場使用料あり方検討委員会で示されている市場使用料の現状と今後の方向性という資料によれば、新しい使用料体系のイメージとして新たな機能を付加することによってかかる経費を現行使用料に上乗せすることが示されています。
 いわゆるポンチ絵では、新たな機能によって上乗せされる使用料は、現行使用料の五分の一程度のイメージとして描かれていますが、実際の上乗せ幅はもっと大きいのではないかと、疑っているわけではないんですが、懸念をしているところであります。
 豊洲新市場では、低温化によるコールドチェーンの確立を図ることなどが付加される新たな機能にもなると思いますが、閉鎖型施設で低温化を図るためのコストを想像するだけでも、市場関係者、業者にとって大きな負担になるものと思われます。
 今後、過大な施設の抑制を初め、さまざまな工夫を通じて負担を引き下げない限り、市場業者の理解は得づらいものと、得られないものと考えておりますけれども、市場業者に対して、いつごろ使用料やランニングコスト等の試算を明らかにするのか、また、その基本的な考え方をお伺いをいたします。

○中西中央卸売市場長 豊洲新市場における市場使用料や光熱水費などのランニングコストは、卸売業者や仲卸業者などの経営に大きな影響を与えるものであることから、その設定に当たりましては、市場業者の負担をできる限り抑制していくことが重要であると考えております。
 このため、豊洲新市場の施設計画については、業界からさまざまな要望がある中、その具体化に当たり、建設費の抑制を図るとともに、維持管理費の低減を図る観点から、建築部材や設備の仕様に工夫を講じながら進めております。
 また、業務上必要とされる低温倉庫など、業界みずから整備することが望ましいものについては業界にゆだねるなど、開設者として都が整備すべき範囲を整理し、設計を進めております。
 都としては、実施設計を取りまとめる時期には、売り場や事務所面積など市場施設の規模や設備仕様等に対応した維持管理経費等もおおむね明らかになることから、市場使用料あり方検討委員会の報告を踏まえ、都と業界それぞれの負担の考え方を整理した上で、市場使用料や光熱水費などのランニングコストを試算し、業界団体に示してまいります。

○門脇委員 関係者の合意が図られつつあり、私たち都議会民主党も、その動きに期待をいたしておりますけれども、もう一方の土壌汚染の解消に向けては、なお課題が残ります。特に都民の皆さんにとっては、市場関係者の問題も大変重要でありますけれども、こちらの方がとても重要な関心事ではあると思います。
 三月二日、東京都が発表した土壌汚染対策工事に伴う土壌の調査結果では、不透水層内でも環境基準を大幅に上回る砒素、鉛が検出をされています。土壌汚染対策については、明日、同僚の田の上いくこ議員の質問に譲りますが、土壌汚染対策工事後、二年間の地下水モニタリングを経ずに、新市場の建設工事を始めることに対して、万が一、モニタリング途中で汚染が検出された場合、建設工事費、すなわち税金、公金がむだになるといった意見も根強くあります。
 そこで、二年間というモニタリングが終了する以前に、操業由来による汚染が除去され切れなかったことが発覚をした場合、この建設工事はどのようになるのか、見解をお伺いいたします。

○中西中央卸売市場長 市場施設の建設につきましては、ガス工場の操業に由来する土壌と地下水の汚染物質を確実に除去し、技術会議において汚染処理が完了したことを確認した後、建物を支えるくい打ち工事などに着手してまいります。
 施設建設の期間中には、土壌汚染対策法に基づく区域指定を解除するため、二年間の地下水モニタリングを行います。モニタリングの状況等については、市場関係者や学識経験者などを構成員といたします協議会に報告しまして、万が一の場合には、モニタリング結果に応じて必要な状況確認や対策を講じてまいります。
 こうした取り組みを行うことで、市場用地の安全・安心に万全を期し、平成二十六年度の開場に向け、市場施設の建設を着実に進めてまいります。

○門脇委員 私の残り時間もあと五、六分になりましたけれども、今回の予算案では、豊洲新市場建設工事費として債務負担行為三百八十億円余りが計上されていますが、その建設工事は、原則として、原則として汚染物質が除去されない限り、実施すべきでないと申し上げ、最後の質問に移ります。
 次世代リーダー育成についてお伺いをいたします。
 まず、知事にお伺いをいたしますが、日本の将来すら不明確な中では、若者も未来を非常に描きにくい状況にあります。だからこそ、若者は日本の中にこもらず、世界に挑戦し、自分で自分の道を切り開いてもらうことが重要だと考えています。
 知事、若者が世界に伍してやっていくために、若者にはどのような意識づけが必要で、また、それを身につけさせるためにどうすべきとお考えなのか、お伺いをいたします。

○石原知事 ルネッサンス以来、私もまみえております文学の主な主題というのは、個人の自我というものが認められるようになったために、個人の自我と社会全体にある他者とのかかわり、その摩擦というものが文学の、共通した主題でありました、今でもそうだと思いますけれども。
 しかし、それを避けて私たち人生はあり得ないし、社会も成り立たない。ところが、当節の、特に日本の若者たちのこの気質というのは、私にいわせるとかなり劣化してきまして、外国に留学する学生の数もすっかり減りましたし、有名な商社に入社したくせに、海外の駐在は嫌だといったり、ゼネコンに入った若者は現場も知らずに企画課に入りたいとか、まことにこっけいというかばかげた現象が起こっているわけです。
 こういったエピソードが表象するように、とにかく若者は他者との摩擦、相克を避けて、非常にひ弱になってきているという感が否めません。世界が非常に狭くなって、国際競争がますます激化する中で、私たちのこの国家社会を将来預ける若者たちが今のようでは、私は日本は二度と立ち上がれないんじゃないかという危惧を抱いております。
 こういった若者たちに、好奇心と発想力を引き出して、実体験の中で、他者ともまみえながら自我を強いものにしていくために、私は相当思い切ったことをしなきゃいかぬと思う。私は、高校を卒業したぐらいの年代で、日本の若者は二年間、兵役か消防か、あるいは警察か、最低限、海外協力隊にでも入れて鍛えたらいいと思うということを後輩の国会議員どもにいいましたら、いや、それはまずい、石原さん、選挙で負けるという。ばかなことをいうなと、高校を卒業した年齢の子どもに選挙権はないんだから、彼らに二年間体験させたら、必ずいい体験したと思って、それを主唱した政党に投票するよといったら、そうですかね、首かしげていましたが、私、やっぱりそれだけのことをしないと、日本の若者はよみがえってこない、若者として。そういう気がしますね。
 とにかく繁華街を歩いていても、韓国と日本では若者の歩き方が違いますな。年寄りが歩く、ちゃんと向こうは道を譲る、避ける。日本の場合には、女と手を組んだままぞろぞろ歩いて、年寄りを全く無視して道を譲らない。こういった現象は、恐らく私は世界で日本だけだと思います。

○門脇委員 残り時間がわずかになりましたけれども、若者を鍛え、可能性を導くのは教育の役割であります。しかし、戦後教育の限界が指摘され久しい状況にあります。
 その内容は改めて繰り返しませんけれども、画一化した内容、偏差値によって進路が決められるなどの実態などが、子どもたちをスポイルしてきたと思います。これらのことについて石原知事は、積極的に改革に取り組んでこられたと思っております。
 ぜひとも、世界に出て、堂々と胸を張って、他国の人と交われる若者を育てていってもらいたいと思いますし、私たちも、その努力、一生懸命に果たしてまいることをお約束をいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○大塚委員長 門脇ふみよし委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

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