予算特別委員会速記録第五号

   午後三時三十分開議

○高橋副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 村上英子理事の発言を許します。

○村上委員 平成二十三年東京都議会予算特別委員会に当たり、都議会自由民主党を代表して、総括締めくくり質問をさせていただきます。
 まず、都政運営について伺います。
 昨今の政治情勢を見ますと、国政は混乱のきわみにあります。国民と国家の未来のために腰を据え徹底して行うべきときに、政権自体が政局にうつつを抜かしております。こうしたときこそ、日本の頭脳部、心臓部である東京を預かる都政がしっかりとしなければなりません。また、東京の力強い政策で、国政に活を入れることも必要と考えます。そうした意味において、都政が展開してきた政策のうち、今、特に国が倣うべき政策は何だと知事はお考えでしょうか。お伺いいたします。

○石原知事 国政はどうも混乱というか、停滞を続けて、国そのものが非常に衰退の沼に沈まんとしている感じがいたしますが、いろいろ、マニフェストなる外国語まで使って改革が叫ばれてきましたけど、言葉だけが踊って一向に物が現実に進んでない感は否めないと思います。
 これは、やはり政府が、生な現実ということを踏まえて物を考え進めようとしていない、その結果が露呈した結果だと思いますが、たびたび申してきましたけれども、私は共産主義は好きじゃありませんが、毛沢東の実践論、矛盾論というのは、非常に簡潔に要を得た方法論でありまして、彼があの中でいっているように、目の前の現実は、いわば従属矛盾であって、その背景に大きな主要矛盾というものがある、それを意識して見据えてかからないと本当の物の解決につながらないといっておりますが、私はそのとおりだと思います。
 日本の国民が今一番案じていること、強い実感で感じていることは、国の衰亡でありますけど、それを明かすものが財政の衰退、経済の混乱だという気がいたします。この日本を、このまま衰運に任せて沈没させないためにも、政府がもっと大きな視点で大きなものをとらえて、そこから的確な具体論というものを編み出して遂行していくことを望みますが、やっぱり政局というものは、どうしても政治家を支配しますので、非常に醜い、むごたらしい政局の混乱が続いておりますが、こういったものをやっぱり超越しませんと、本当の政治は実現していかないんじゃないかという気がいたします。

○村上委員 知事のご答弁を聞いて、都政運営の重み、都民のための都政が日本のためでもあるとの思いを新たにいたしました。揺るぎなく都政を運営し、都民生活を守り、東京をさらに活力ある都市にしていかなければなりません。そのためには積極的な施策展開が必要であり、それに見合う財源が必要であることもまた当然のことです。
 そこで、おのおのの施策を論じる前に、まずは財源の問題について伺いたいと思います。
 先日の委員会の自民党の菅議員による質疑で、国の地方交付税の算定結果があたかも都財政の現実であるかのようにとらえられ、それが法人事業税の暫定措置の導入にもつながってしまったことが明らかになりました。そもそも暫定措置はあくまで税制の抜本改革までの措置です。政府は、社会保障と税の一体改革と称し、税制改革に向けた議論を本格的に行うと声高に叫んでいます。であるならば、すぐにでもこの理不尽な暫定措置を撤廃し、速やかに税財政制度の抜本改革に着手すべきです。
 しかし、実際には、撤廃どころか、さらに東京の財布に手を突っ込むごとき動きが国にあります。昨年十月の財務省の財政制度等審議会の資料、ここに資料ございますけれども、この中身を拝見いたしますと、交付税のルールに基づいて算定された、いわばバーチャルの税収額が、都は他団体と比べて近年ひときわ増加していると強調されています。あるいは、子どもや高齢者に係る事業費や施策の数が特別区など都市部に集中し、あたかも手厚い施策を行っているといいたげなものが見受けられます。また、みずからの放漫な財政運営の結果にもかかわらず、国の財政状況がいかに厳しいかを力説しています。
 加えて、与謝野大臣は、消費税率を引き上げたとしても、増収分を地方に配分する考えはないとの趣旨の発言を繰り返しています。国は、みずからの余力のなさと都市と地方の財政格差をあわせて示すことで、地方税財源の充実確保という国が負うべき責務を棚に上げ、問題をすりかえて、地方間の対立をあおり立てようとしているのではないでしょうか。これは暫定措置が導入された当時と同じ議論であり、再び東京から財源を奪うのではないかと強い危機感を抱かざるを得ません。
 そこで、東京富裕論の再燃や、さらなる地方間の財政調整につながりかねないこうした動きを、都はどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○安藤財務局長 昨年十月の財務省の財政制度等審議会の資料は、東京を初めとした大都市への税源の偏在や、特別区など都市部の行政サービス水準の高さが殊さら強調されているものであります。
 当時の議事録を見てみますと、厳しい国家財政を背景として、地方の財源不足の問題を、あたかも自治体間の財政力の格差が原因であるかのような、問題のすりかえともいえる主張がなされております。こうした国の動きは、国自身が責任を放棄し、東京特有の財政需要や歳入構造などを全く踏まえることなく、財源は取りやすいところから取ればよいという非常に理不尽かつ安易な議論につながりかねないものであるというふうに危惧してございます。
 また、そもそも、今日の健全な財政体質の構築に向けました、これまでの都の努力を無にするばかりか、東京のみならず日本の活力を大きく損なうことにもなると思っております。ましてや、法人事業税の暫定措置を直ちに撤廃すべきにもかかわらず、さらに不合理に都の財源を奪おうとする議論は断じて許されるものではございません。
 引き続き都議会のご協力をいただきながら、この不合理な措置の即時撤廃に向けまして全力を尽くすとともに、国の動向を注視し、特別区を含めた東京の財源を奪う動きに対しましては、断固阻止すべく、時期を逸することなく対処してまいりたいと思います。

○村上委員 東京富裕論の大きな問題点は、国は東京を都道府県としての東京都と見るのではなく、都も特別区も一つの東京としてとらえていることが問題です。したがって、これは単に都だけの問題にとどまらず、区にも大きな影響を与える可能性があり、都と区は危機感を共有し、手を結んで国に対峙していく必要があります。国は、自分さえよければよいという考えで地方税財源の拡充に目を背けるのではなく、この問題に真正面から取り組むべきと強く主張いたします。
 次に、東京の都市づくりの将来像についてお伺いいたします。
 東京を訪れる外国人が強い印象を持つ事柄として、まちが清潔で安全なこと、人々がルールを守り礼儀正しいこと、そして、おいしい食べ物、デザインのかわいらしさなどが挙げられます。こうした東京のよい評価を保ちながら、今後も東京が世界に誇れる魅力ある都市であり続けるためには、高度に集積した都市基盤や最先端の技術など、東京の強みを最大限生かしつつ、持続的に発展をし続けることが何よりも大切と考えます。
 加えて、江戸以来のまちづくりの歴史を振り返り、その積み重ねを十分に認識することも大切です。今から四百年以上も前に江戸の地に入った徳川家の家臣たちは、太田道灌が残した江戸城はあったものの、浅瀬が続く地域をどのように発展させるのかに腐心いたしました。
 そして、江戸はご案内のように、軍事的な機能を重視しながらも、都市生活を水害から守るため神田山を崩して川を開削し、商業活動の活発化した市街地を深川などに広げるなど、その時々の江戸に求められる機能が十分に担えるようまちづくりを行ってまいりました。
 また、都市を存続する上で大切な防火機能を高めるため、江戸の各地には、広小路という延焼を食いとめるための広場が設けられたり、武家屋敷や寺院だけではなく、碁盤目状に街路計画された町人地のたたずまいには、都市の美観とともに、防災についても一定の配慮がなされてまいりました。
 こうした江戸のまちをつくり上げた当時の構想力に学ぶべきことは多いと思います。これら歴史の積み重ねを踏まえた上で、環境問題、少子高齢化、人口減少など、幾つもの困難な課題を克服し、世界に冠たる成熟した都市に発展させていかなければなりません。
 そこで、まずは、成熟した都市の実現に向けた、これからの都市づくりについての課題と基本的な考え方についてお伺いいたします。

○河島東京都技監 これからの東京の都市づくりにおきましては、ただいまお話ございましたような江戸東京の歴史なども踏まえつつ、経済面など我が国の活力を牽引するとともに、環境の面においても世界のトップランナーとしての役割を果たしていくことが重要でございます。
 このため、国際化された羽田空港や京浜港の機能を一層強化し、これらと首都圏を連結する三環状道路の整備を進め、陸海空の強固なネットワークを構築いたします。また、民間による都市再生プロジェクトなどを積極的に推進し、経済活力を高める拠点の形成を図ってまいります。今後、こうした取り組みに一層弾みをつけるとともに、高齢化社会への対応や、環境、緑、景観の視点を重視した新たな時代の要請にもこたえ得る都市づくりを重層的、複合的に展開してまいります。
 これにより、東京を、魅力とにぎわいのある環境先進都市として世界から注目される、さらに成熟を遂げた都市へと進化させてまいります。

○村上委員 先般、教育庁が高校生向け教材として、ここにあるのは白黒なんですが、「江戸から東京へ」という本を作成いたしました。この教科書では、江戸から東京にかけてのまちづくりに先人の知恵が数多く生かされていることを高校生に理解させる意味でも評価できます。まちづくりの歴史を学ぶことで、これからのまちづくりに何が大切かを考えてほしいと願うものです。
 この教科書では、未来の東京のまちづくりを考えることのできる若者をどのように育成していくのか、お伺いいたします。

○大原教育長 この教科書では、都立高校生に、江戸から東京へまちが変化していく必然性や理由を考えさせることで、まちづくりに対する先人の知恵を学ばせ、それを未来にどう生かしていくかについて理解させることをねらいとしております。
 例えば、江戸のまちに縦横に走った河川や掘り割りが、舟運や防火の役割を担い、船遊び等の観光にも寄与したことを学ばせ、水辺空間の整備の大切さを理解させます。あるいはまた、江戸は神社仏閣や大名屋敷等が計画的に配置され、緑があふれていた上、循環型のシステムによる衛生的なまちであったことを学ばせ、海の森の整備等、緑を取り戻す施策等から環境保全の重要性を考察させます。
 このように、安全で暮らしやすく文化的魅力のある江戸のまちの変遷を理解させることにより、若者が新しい東京のまちづくりに参画できる姿勢を身につけさせてまいります。

○村上委員 かつて東京も、緑に覆われた台地や、灰色のかわら屋根と白い壁の続く、家並みが続く美しい都市でありました。今、パネルでご紹介をしております、議会棟から都庁舎への連絡通路に飾ってある古い写真からも、うかがい知ることができます。見えますでしょうか。幕末の江戸を愛宕山の上から見た江戸のまち並みは、遠くに築地本願寺、芝増上寺を望み、モノトーンの見事な景観を誇っています。
 成熟期を迎えた都市にふさわしい東京のまち並みを形成し、後世に残していくためには、住民や企業が主体的にかかわって、魅力ある景観をつくり出すことが重要です。美しい景観は人々の誇りにもなり、不動産価値の上昇や観光客の誘致など、現実的な利益も生み出します。
 そこで、良好な景観づくりのため、地域のさまざまな主体が参加した取り組みをさらに拡充すべきと考えますが、所見を伺います。

○河島東京都技監 地域の個性を生かした景観は、まちへの愛着を生むとともに、人々を引きつけ、地域の魅力を高めるものでございまして、東京が都市として成熟していく上での重要な要素でもございます。
 このため、都は、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み景観づくり制度により、地域で活動するまちづくり団体の主体的な取り組みへの支援を通じて、個性豊かで魅力ある景観の形成を図ってまいりました。
 今後、このような取り組みをさらに拡充するため、都は景観計画を変更し、都市開発諸制度を適用する大規模建築物等を対象とする事前協議制度におきまして、民間からの提案により地域独自の景観形成ルールを決めることができる新たな仕組みを創設いたします。こうした取り組みを通じて、成熟した都市にふさわしい、美しく風格ある景観を形成してまいります。

○村上委員 ところで、江戸のまちは日本の首都として機能するために、全国各地との連絡や交通の基点と位置づけられ、日本橋を中心に五街道が整備され、五街道を補完するわき往還も整備されました。
 また、江戸の市街地の中の繁華なエリアを示す朱引きと呼ばれる地域では、整然とした街区や街路も整備をされました。明治に入っても、第八代東京府知事であった芳川顕正氏が、道路、橋梁、河川は本なりと表現したように、都市を整備するには、道や橋などのインフラのあり方をまず重視するべきとの発想が長くあったと考えます。
 そもそも、道路は交通だけではなく、ライフラインの設置や防災機能を担う空間でもあり、利便性だけではなく、安全性の観点からも整備が不可欠です。また、近年は道路建設に当たり、環境や景観にも十分配慮することが重要です。あわせて、今後の維持管理も課題となっています。
 そこで、将来を見据えた道路施策の基本的な考え方について伺います。

○村尾建設局長 東京の道路は、全国の交通ネットワークのかなめとして、人、物、情報の円滑な往来に不可欠な社会資本であり、社会経済の発展を支える重要な都市基盤であります。
 将来を見据え、質の高い道路ストックを着実に築き、貴重な財産として未来に引き継ぐことで、都民生活の向上はもとより、首都に風格をもたらす都市景観の形成など、豊かで潤いのある都市環境の創造に貢献していくことが道路施策の基本でございます。
 具体的には、首都圏三環状道路などの幹線道路ネットワークの整備により、日本の国際競争力を強化していくとともに、区部、多摩・島しょ部地域の活力向上に寄与してまいります。あわせて、道路のバリアフリー化、無電柱化、緑豊かな街路樹の充実など、快適で魅力ある道路空間を創出してまいります。道路ストックの維持更新では、アセットマネジメント手法やICTを積極的に活用し、時代のニーズに対応した利用者サービスの向上に絶えず努めてまいります。
 今後とも、だれもが安全・安心で快適に利用できる道路ネットワークを未来につながる貴重な財産として着実に築いてまいります。

○村上委員 東京のまちは一朝一夕につくられてきたものではないのはいうまでもありません。特に、徳川家康が江戸城を居城として定めて以降、改造を積み重ね、巨大都市東京へと成長を遂げたのです。そこにはさまざまな先人の英知が積み重ねられてきており、その積み重ねを裏切ることは許されません。世界に冠たる大都市にふさわしい良質なストックを築きつつ、後世に引き継いでいくことが、江戸東京の歴史を未来につなぐ、現代に生きる私たちの使命でもあると考えています。
 今後、高齢者の増加など、都市を取り巻く環境の変化にも対応しつつ、後世に誇りを持って引き継いでいくために、東京はどのような姿であるべきか、これまでの取り組みも踏まえた上で、東京の中長期的な都市像について、知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 東京の将来を考える際には、ご指摘のように、江戸開府以来、四百年にわたる先人たちの非常にきめの細かい、センスのあるまちづくりの歴史というものを十分踏まえて引き継ぐという意思が必要だと思います。そして、それをさらに持続的な発展につなげていくという発想が必要でありますが、戦後の混乱の中、いささかこの東京の理事者たちにはそれが欠けていたような気がしないでもありません。
 その写真は、一八六五年にイギリス人の写真家が愛宕山から撮った写真でありますが、これを見ると、いかに当時の江戸が美しくて洗練されたまちか、よくわかります。明治政府に近代ホテルをつくるために依頼されて日本に来ましたフランク・ロイド・ライトが、東京のまちを見て感嘆しまして、コンクリートを使う自分の最初のホテルの発想は全く間違いだと、ミスマッチだということで、日本じゅう探して、大谷石を探して、古い帝国ホテルをつくりましたが、それに比べて、どうも敗戦の後の日本人は混乱の中で右往左往しまして、例えば歴史をとどめる昔の木場、あれは新木場に移ったわけですけれども、あれを移して公園にするのは結構なんですが、その後、せっかく新たにつくった水路を全部つぶしました。つぶしたというのは、このごろのモータリゼーションの時代ですから、便利な車を通すためにくだらぬ橋をかけまして、その橋が低くて、とにかく手こぎのボートしか下をくぐれないみたいな、ああいうばかな都市再開発をやったわけです。
 それから、今、隅田川ルネサンスということで、隅田川をもうちょっと生かそうじゃないかということで、有名な建築家の安藤さんなんかに頼んで、いろいろ知恵出してもらっていますが、あれも、とにかく由緒のある、能にもうたわれ、小説にもたびたび出てくる、あの由緒のある川をコンクリートの三枚張りで固めまして、全く情緒もへったくれもない、とにかくつまらぬ川の景観に変えてしまったんですね。こういったものは、なかなか取り戻すのは難しいんですけれども、やっぱりそういったものも私たち十分考慮に入れて、これからの都市づくりをしていかなきゃならぬと思います。
 いずれにしろ、高度に集中、集積が進みまして、まさに国家の中の国家という形になった今日の東京の将来は、そのままこの日本の将来に重なるというわけでありまして、お話に出ました江戸の五街道、東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道、こういったものが、イタリアの要するにアウレリアという同じような街道がありますけれども、かつてローマにすべての道が集まったように、かつて江戸に道が集まり、そこを通じて知恵が集まったわけでありますが、いずれにしろ、この時代にあって、東京の発展、すなわち日本の発展のためにも必要なものは、モータリゼーションを生かす外環道路でありまして、これが、今回の政府の混迷の中で、コンクリートより人ですか、わけのわからぬことで、それに使われる費用が兆単位で余っちゃってるんですな。私は、自分の兄弟分の亀井君にいいまして、たまたま彼は今の与党の中におりますから、これはさっさと使えと。特に外環のためにね、もう着工もしたいものだから、使うのにあっせんしてくれということで、彼、快諾してくれまして、恐らく財務省は抱えたがるでしょうが、これはためておいたってしようがない金なんですよね。もともとインフラに使うための予算ですから、どんどん使ったらよろしい。東京のために使ったらよろしい。
 いずれにしろ、当然のことながら、加えて環境や景観の改善にも力を注ぎまして、道路ばかりでなく、空港、港湾、あるいは基本的な都市のインフラ、その他もございますが、重点的に投資を行うことで、この東京都の経済の活性化、ひいては日本の経済の活性化、国際競争力の向上にもつなげていくべきだと思っております。
 一方で、加速する少子高齢化に対しては、都独自の基準に基づくいろいろ施策をやってまいりました。認証保育所などもそうですが、いずれにしろ、保育サービスの拡充を図るとともに、国に先駆けて高齢者の新しい住まいづくりを推進するなど、東京という現場の実態に根差した、具体的で効率的な策を講じていきたいと思っております。
 こうしたいろいろな取り組みを重ねることで、東京都は二十一世紀にふさわしい都市モデルを改めて構築して、世界の中で評価される都市に、さらに成長していくと思っております。
 加えて、私は知りませんでしたが、スタッフのだれかに教えられたんですけど、かつて幸田露伴は、明治の時代ですけれども、「一国の首都」という非常に卓越した本を書いておりまして、首都の命運は一国の命運に直結するものなりといい切っております。すなわち、東京の問題を日本の問題としてとらえるべきと論じているわけで、そこには、東京に対する愛情の欠乏が、この東京を、江戸を衰退させるんだという論が展開されておりまして、すべての国民が、このまちに愛情を注ぐことになる、その重要性を訴えております。
 さらに、自覚のない為政者に対しては、とりわけ猛烈な反省を促して、東京の行く末にも心を砕いているが、全くこの現代の私たちが読んでも、共感あたわざるところがございます。

○村上委員 混迷する日本の羅針盤にもなるというべき貴重なご意見をありがとうございました。
 都はこれまで、都市再生を積極的に推進し、国際競争力の強化、都心居住の回復や緑の創出など大きな成果を上げてまいりました。中でも、人が多く集まる都心のターミナル駅では、駅施設などのインフラと周辺のまちを一体的に更新することにより、交通アクセスやまちの活力を向上し、さらに機能的で魅力的な東京へと再生する必要があります。
 そこで、今後の都市再生を具体的にどのように進めていくのか、ご所見を伺います。

○河島東京都技監 今後の都市再生に当たりましては、更新期を迎えている都心や副都心などにおけるターミナル駅と、その周辺市街地の再編を一体的に進め、利便性と活力をさらに高めていく必要がございます。
 例えば、JRや地下鉄などの鉄道が集中する渋谷駅では、東京の発展に伴い、駅施設の増改築が繰り返されてきた結果、乗りかえ時のバリアフリー化やコンコースの拡幅、駅前広場の拡充などの課題を抱えております。
 このため、都は、区や鉄道事業者などと連携して、駅舎の改築や周辺の区画整理、再開発などを積極的に推進し、渋谷を多様な機能が集積した、歩いて楽しい安全・安心な副都心へと再編してまいります。
 今後、渋谷駅周辺における取り組みを一つのモデルとして、他のターミナル駅周辺などの機能更新を図り、東京の都市再生を強力に推進してまいります。

○村上委員 ただいま渋谷地区をモデルに、都心や副都心のターミナル駅と周辺市街地の再編を一体的に進めていくとの答弁がありました。渋谷は、いうまでもなく都内最大の繁華街であり、文化やファッションの世界への発信地であります。
 一方、坂が多い渋谷は、人の回遊性に劣るともいわれています。この渋谷の玄関である駅の改善は、将来の渋谷の発展につながるものです。現在、その渋谷駅周辺では、東横線の地下化工事、あるいは渋谷ヒカリエの建築が進められ、さらに渋谷駅街区土地区画整理事業が始まろうとしています。
 渋谷駅の再編は、乗りかえの利便性を高めるJR埼京線や銀座線のホーム移設、駅ビルの建てかえ、立体的な駅前広場の整備などを一体的に行うプロジェクトです。このため、事業の関係者が多く、検討すべき事項が複雑多岐にわたり、その調整に都が積極的に取り組んできたと伺っております。
 今後は、一日も早く事業が完成するよう、引き続き渋谷区とも連携しながら、関係者間の調整にリーダーシップを発揮することが重要と考えますが、ご所見を伺います。

○河島東京都技監 お話の渋谷駅を含む渋谷駅街区の再編整備には、鉄道用地や建築敷地の再配置などが必要でございまして、そのためには、土地区画整理事業を行うことが不可欠であります。
 この事業化に当たりましては、鉄道事業者三者を初め、国や地元区など多くの関係者の間で施設計画の策定や事業スキームなどの調整が必要でございました。都は、これに積極的に取り組んだ結果、基本的な合意が得られたため、来月には地元で起工式が行われ、工事に着手する運びとなりました。
 この土地区画整理事業は、平成三十八年度までの約十六年余りの長期間にわたり、駅利用者の利便性、安全性を確保しながら、地上、地下を問わず、駅周辺一帯で工事を進めるという極めて難度の高い事業でございます。
 このため、今後都は、事業が安全かつ着実に進捗するよう、これまでにも増して関係者間の調整に取り組むとともに、駅街区において予定されている再開発プロジェクトの調整についてもリーダーシップを発揮してまいります。

○村上委員 そもそも渋谷駅は多くの鉄道路線が乗り入れ、日本有数の乗降客を誇るとともに、国道二四六号や明治通りに面し、都内最大級のバスターミナルを有する交通の要衝です。その機能を支える東口駅前広場の整備は、土地区画整理事業の中で最初に着手する計画となっており、その進捗が事業全体の工程に大きく影響いたします。
 そこで、都の取り組みについてお伺いいたします。

○村尾建設局長 都市開発や都市再生では、えてして建物に目を奪われがちでありますが、都市機能を支える道路、河川、鉄道や多数のライフラインなど、既存インフラの再整備に向けての調整が何より肝要であり、道路管理者を初めとする施設管理者の大局観を持った迅速な対応が事業の成否を分けると認識しております。
 このため、将来を見据えたインフラ資産としての都市施設のあり方を踏まえ、道路管理者が中心となり、プロジェクトマネジメントを図っていくことが極めて重要でございます。
 JRや地下鉄など複数の鉄道ターミナルである渋谷駅の周辺には、国道二四六号の上に首都高が走り、そこに都道である明治通りが交差し、さらに、明治通りに並行して渋谷川が流れるなど、都市基盤が集中、集積しており、これらの機能を生かしつつ、都市再生を進めていく必要があります。
 このため、都は、東口駅前広場の整備が安全かつ円滑に行われるよう、本年一月に、国、渋谷区、区画整理事業者、バス事業者などで構成する施工調整協議会を発足させ、関係者間の情報共有化を図るとともに、東京駅丸の内地下広場の整備や環境に配慮した行幸通りのヒートアイランド対策など、民間との協働による道路管理者としての先駆的試みを踏まえ、広場の平成三十一年度完成に向け、都市再生プロジェクトの調整を行ってまいります。

○村上委員 開発が進む渋谷駅前から北へ歩きますと、若者でにぎわうキャットストリートがあり、その入り口近くには居住者の移転が終わった宮下町アパート跡地や東京都児童会館があります。そして、その先には緑豊かな自然環境も残る青山病院の跡地など、今後、渋谷の発展をさらに後押しできる可能性を秘めた都有地が点在しています。
 先日、都は、これらの都有地を活用して、都市再生ステップアップ・プロジェクトと称して渋谷地区での取り組みを始めることを明らかにいたしました。事業を進めるに当たっては、渋谷区や地域の声も聞きながら取り組むことも必要と考えます。
 そこで、事業のねらいと具体的な進め方についてお伺いいたします。

○河島東京都技監 お話のございました都有地を含む、渋谷から原宿、青山にかけての一帯は、ファッションを初めとする我が国のクリエーティブ産業の中心地でございまして、この地区の強みを伸ばすことは、渋谷の活力をさらに高め、東京の都市再生にも寄与するものと考えております。
 渋谷地区における都市再生ステップアップ・プロジェクトは、こうした考え方に基づき、駅周辺の再整備が進むこの時期をとらえ、都営宮下町アパート跡地、東京都児童会館、青山病院跡地の三都有地を民間の資金力やノウハウを生かしつつ、地元の意見も聞きながら計画的に活用することにより、地区全体の魅力向上を目指す事業でございます。
 本事業を進めるため、これら三都有地について、連携のとれた活用を図りながら地区全体のまちづくりを進めるためのガイドラインを今月末を目途に公表いたします。あわせて、第一弾として、早期事業化の必要性が高い都営宮下町アパート跡地について、施設整備の内容や土地の貸付条件、さらにはエリアマネジメントの取り組みなどを示した事業実施方針を公表してまいります。

○村上委員 ただいまお伺いした都市再生を進める上でも、今後の東京の都市像を考える上でも、重要な視点となってくるのが震災への備えであります。
 先般、ニュージーランドで地震が発生し、被災された皆様、そしてご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。こうした事態を受け、我々はそこから学んで、みずからの備えとしなければなりません。
 知事にお伺いをいたします。今回のニュージーランドの地震からどのような教訓を感じ、今後の東京の震災対策をどのようにお考えか、お聞かせください。

○石原知事 まずもって、先般のニュージーランドの地震で被災された方々、あるいは亡くなられた方々のご家族に心からお見舞いを申し上げます。
 我が国においても、阪神・淡路の大震災がありまして、その記憶がいまだに生々しいものがありますが、先日の一般質問にもお答えしましたけれども、私も、発災の二日後に運輸省に頼まれて、主に港湾の視察に行きましたが、その後、ついでに、被害の多かった長田区と東灘区をくまなく視察いたしましたが、気がついたことは、耐震性のいささかある建物は全部残っていて--住宅に関してですけど、ほかのものは全部つぶれたと。それから、三宮かいわいの大きなビルの市街地も、例えば興銀なんかはつぶれずに済んだなと思ったら、とんでもない、途中の階で座屈しておりまして、建物そのものがもう使えない。あるいは、神戸の市立病院も残っているなと思ったら、真ん中の階で座屈して、実質的にも崩壊していたわけであります。
 今回、焦眉の課題であります緊急輸送道路の沿道建物の耐震化を進めるために条例案を提案して、予算にも新しい補助制度を盛り込みましたが、まず、これをしっかりと進めていく必要があると思います。
 この間のニュージーランドのクライストチャーチですか、あそこで邦人がたくさん亡くなったビルも調べますと、先般あった軽い地震が来たときに調べて、何か耐震性のチェックをしたときに、ランクを決めて、赤、黄、緑という三つの段階の、要するに緑のランクだったそうですが、これもああやってあえなく倒壊して犠牲者を出した。
 私、やっぱり、せっかく条例をつくったんですから、徹底的に推進するためにも、該当する建物で、いまだに耐震性のチェックしていない建物はチェックしていないというステッカーを張ったらいい。それから耐震性もチェックして、ランクも決めまして、これ非常に危険であるとか、中くらいであるとか、まず安全という、そういうマークを付与することで、つけることで、持ち主も、あるいは周りの方々も、そのビルに対する意識っていうものを持つんじゃないかという気がいたします。
 これ、下手をすると、持ち主たちから、一種の財産権の侵害だという苦情が出るかもしれませんが、しかし、まち全体、社会全体のことを考えれば、持ち主としてのやっぱり責任があるわけでありますから、それを徹底するためにも、やはりそれぐらいのことをしませんと、せっかく--せっかくといいましょうか、残念ながら多くの犠牲者、邦人からも出した、同じ地球の上のニュージーランドの悲劇というものが、一向に私たちにとって役に立たないということになりますので、それぐらいのことを思い切ってやらないと、行政も責任果たしたことにならないんじゃないでしょうか。

○村上委員 ありがとうございました。知事から貴重なご指摘をいただきましたが、要は、建物の耐震性をいかに着実に高めるかという問題であります。そのためにも、行政のより幅広い支援が必要だと思います。我々都議会自由民主党は、都民、国民のために、震災対策に全力を挙げることをお誓いをし、次の質問に移ります。
 緊急豪雨対策について伺います。
 現代の大都市の多くが河川と共存しており、都市機能を維持発展させるためには、治水対策が不可欠のものとなっています。
 知事が昨年十二月、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一の緊急重点事業の一つとして緊急豪雨対策を位置づけたことは、まさに治水対策のエポックメーキングとなる施策と考えます。
 そこでまず、緊急豪雨対策への取り組みについて、知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 人口や都市機能が高度に集積しております東京では、局地的な集中豪雨により浸水被害が発生すれば、都民生活や社会経済活動に与える影響は極めて大きいものがあります。
 今般の緊急豪雨対策は、部局を超えて迅速かつ集中的に手だてを講じるように指示して取りまとめさせたものであります。
 具体的には、水害の早期軽減を図るために、浸水の危険が高い地域において、流域をまたぐ地下調節池や--東京の豪雨というのは、本当に局地的な豪雨が頻発していまして、隣の区では豪雨があっても、こちらの区では余り雨が降らないという状況もあります。ですから、流域をまたぐ地下調節池というのは非常に役に立つと思いますし、大規模地下街への浸水を防ぐ下水道貯留管の整備、学校を活用した雨水の一時貯留施設の設置など、即効性のある施策を実施してまいります。
 自然現象には人知も超えるものがありまして、施策の整備だけで対応するにはおのずと限界があります。災害時には、都民の自助、共助の精神で取り組むことが肝要でありまして、それを支える迅速な情報提供なども行っていくべきだと思います。
 今後とも、地方自治体などと連携を強め、都民の安全確保に努めてまいります。

○村上委員 次に、都は、これまでの豪雨対策に加え、新たに河川、下水道の整備や流域対策を複合的、重層的に強化する施策を位置づけています。本計画は、都市整備、建設、下水道の三局が中心となり取りまとめたものであり、関連する機関が連携し、迅速かつ集中的に取り組むことは大いに評価できるものです。治水の取り組みには、降った雨を下水道や河川に流すだけではなく、雨水を貯留、浸透させる流域対策も重要であります。
 そこで、公共施設を活用した一時貯留施設等の設置の取り組みと今後の予定について、お伺いいたします。

○河島東京都技監 お話のとおり、水害を防ぐために雨水を貯留、浸透させる流域対策は大変重要でございまして、現在、渋谷川など七流域において重点的に取り組んでおります。
 このうち、公共施設を活用した雨水貯留、浸透施設の設置につきましては、流域対策をさらに促進するため、都は、昨年十二月に関係者から成る協議会を開催し、施設の空きスペースを最大限に活用するための実態調査など、具体的な取り組みを開始いたしました。
 来年度は、建てかえ中の都営住宅二団地に加えまして、武蔵野市内の小学校校庭で貯留施設等の設置を実施するなど、順次事業化を進めてまいります。
 さらに、貯留施設等の設置を効果的に推進するための指針を作成し、地域特性に応じた整備手法等を明らかにした上で、関係機関と連携し、流域対策を充実してまいります。

○村上委員 さて、都内には、渋谷地下街など大規模地下街が数多くあります。一たび浸水が起きると、人命にかかわる重大な被害が発生するおそれがあります。また、地下街は、個別ビルや地下鉄などと接続しており、各管理者が連携し、迅速かつ安全に避難誘導できることが重要です。
 私が、平成二十年第三回定例都議会で、この課題について質問し、施設別地下浸水対策計画を策定していくとの答弁がありました。現在の取り組み状況と今後の見通しについてお伺いいたします。

○河島東京都技監 都は、平成十九年に豪雨対策基本方針を策定し、大規模地下街の浸水対策に取り組むことといたしました。
 これを受け、まず、八重洲地下街をモデルに、関係する施設管理者や区と協議会を設置し、検討を進め、浸水時に地下街利用者が安全、迅速に避難誘導するための浸水対策計画を取りまとめ、近日中に公表する予定でございます。
 具体的内容としては、浸水対策を注意、警戒、非常という三つの段階に分け、これに応じた配備体制や避難経路等を定めております。
 八重洲地下街に続き、渋谷、新宿、池袋などその他八カ所の大規模地下街につきましても、来年度から二カ年にわたり、調査費の一部を補助するなどの支援を行い、迅速に浸水対策計画を策定してまいります。
 今後とも、関係機関と連携し、大規模地下街の安全・安心の確保に努めてまいります。

○村上委員 まず、モデル地下街として、八重洲地下街の浸水対策計画を取りまとめたことは評価をいたします。引き続き、「しぶちか」など、その他の地下街の浸水対策計画についても早期に策定するよう要望いたします。
 また、人口や資産が集積した首都東京の水害に対する備えを万全なものにするためにも、治水対策のかなめである河川事業を今こそ強力に推進し、その安全性をさらに高めていくべきと考えます。
 そこで、緊急豪雨対策における河川事業の取り組みと特徴についてお伺いいたします。

○村尾建設局長 水害に強い東京を実現するため、都では、これまでも東部低地帯における高潮対策、区部西部から多摩地域に至る中小河川整備など、地域の特性に応じて、さまざまな工夫のもとに河川の整備を進めてまいりました。
 今回の緊急豪雨対策では、流域の異なる白子川と石神井川の洪水を白子川地下調節池に取水することにより、それぞれの流域で発生した局地的な集中豪雨に対し、相互に活用できるようにいたしました。この調節池は、従来の単一流域での整備の枠を超えた機能を持つことが特徴であり、都としては初めての施設となります。
 調節池本体は、最新のシールド技術の導入などにより工期を約一年間短縮し、平成二十八年度の完成を目指します。
 また、石神井川では、流域の三区二市と連携し、上流の水位情報などを下流に伝える仕組みを新たに構築し、都民が安全に避難できる水防体制を強化いたします。
 さらに、他の河川においても、東京消防庁や地元区市等と合同で水防訓練を行うなど、関係機関との連携を加速させ、都民の命と暮らしを守る河川事業に全力で取り組んでまいります。

○村上委員 次に、自民党は、だれもが安心して生活ができる社会を目指し、鉄道のホームさくの普及に向け、積極的に取り組んでまいりました。現在、大江戸線のホームさく整備を進めており、都民、利用者は一日も早い設置を願っています。
 そこで、大江戸線のホームさくが全駅に設置されるのはいつごろになるのか、お伺いいたします。

○金子交通局長 大江戸線のホームさくにつきましては、最初に清澄白河駅に設置し、現在、機器の調整や乗務員、駅係員などの取扱訓練を行っております。
 準備作業は全体として順調に進んでいることから、より早期に設置できるよう工程を見直し、平成二十五年六月の全駅整備完了を目指してまいります。

○村上委員 あわせて、新宿線へのホームさく設置拡大に向けた取り組みの状況についてもお伺いいたします。

○金子交通局長 相互直通運転を行っております新宿線へのホームさくの設置につきましては、乗り入れている他社の車両にも、所定の位置に停止させる装置を搭載する必要があるなど、さまざまな課題があるため、去る一月に京王電鉄と共同で検討会を立ち上げたところでございます。
 今後、技術面、輸送面の課題を整理し、協力して整備に向けた検討を進めてまいります。

○村上委員 我が党の要望にこたえ、一歩踏み出したことは評価いたします。他の事業者をリードする意味でも、実現への努力をお願いしておきます。
 次に、駅ホームの点字ブロックについてお伺いいたします。
 点字ブロックは、視覚障害者や弱視の方にとって、安全を確保する重要な手だてであります。しかし、突起がすり減っていたり、黄色く塗られた色がはがれ、見えにくくなっている箇所が見受けられるなど、日常生活に不安があるとの要望も受けております。
 都営地下鉄のホームの点字ブロックの状況が、現在どのようになっているのか、お伺いさせていただきます。

○金子交通局長 本年一月に発生しましたJR目白駅での転落事故を受け、都営地下鉄全駅におきまして、ホームの緊急調査を実施いたしました。その結果、一部の駅で点字ブロックに若干の沈み込みや破損などが見られましたが、既に取りかえ工事を完了しております。
 ご指摘の点字ブロックにつきましては、引き続き適切な維持管理に努めてまいります。

○村上委員 既に緊急調査を行って、必要な箇所は対応しているということで、ひとまず安心いたしました。
 しかし、この点字ブロックというのは、道路や都庁舎はもちろん、公共施設や民間の建物などに膨大な数が設置されており、管理者も多岐にわたっております。一方、点字ブロックの国際規格化、ISOが年内には決まるという動きがあるといわれている状況下で、民間も含めた施設管理者は、どう対応していいのかわからないというのが現状のようです。点字ブロックの規格統一後は、現場の声を聞きながら関係局が連携し、都民の安全対策に取り組むことを強く要望しておきます。
 次に、都営バス事業についてお伺いいたします。
 副都心線が開通した明治通りの地上には、地下鉄開通以前から都営バスが走っています。地元では、地下鉄開通後もバスが残ったことを大変喜んでいます。やはり最寄りの停留所から気軽に乗れ、景色も楽しめるバスは、地下鉄とは趣の違う便利な乗り物だということだと思います。
 最近は、乗降口に段差がないノンステップバスがふえてまいりました。高齢者の方や障害者の方には本当に便利なバスだと思いますが、ノンステップバスの普及状況と今後の導入見込みについてお伺いいたします。

○金子交通局長 交通局ではこれまで、だれもが乗りおりしやすいノンステップバスを積極的に導入してまいりまして、平成二十二年度末の導入台数は千三百七十六両、導入割合は九四%となります。
 来年度以降も引き続き導入を進め、平成二十四年度中にすべてのバスをノンステップバスにしてまいります。

○村上委員 バス停やベンチの設置について、地域からの要望が大変出ておりますけれども、整備状況と今後の計画についてお伺いさせていただきます。

○金子交通局長 バス停留所の上屋及びベンチにつきましては、一定の歩道幅員が確保でき、支障物のない箇所に整備しておりまして、平成二十二年度末には上屋が千四百七十一カ所、ベンチが八百四十四カ所となる見込みでございます。
 今後は、ベンチや雨風を防ぐための側面強化ガラスを備えた、より快適性の高い上屋の設置を進めるなど、お客様サービスの向上に努めてまいります。

○村上委員 私は、さきの決算特別委員会において、バス路線のわかりにくさを改善するために、運行情報サービスの充実について質問いたしました。
 そこで、交通局が予定しているバスの運行情報サービスの充実についてお伺いいたします。

○金子交通局長 これまで当局では、バス停留所に接近表示装置を設置してまいりましたが、平成二十三年度には、これに加え、ターミナル等において路線別の運行状況や乗り場案内など、さまざまな情報を表示できる新たな表示装置を試験的に導入してまいります。
 また、現在、お客様が携帯電話などでバスの運行情報を見ることができるサービスを提供しておりますが、今後は携帯電話のGPS機能を用いて最寄りの停留所を案内するサービスを導入するなど、利便性の一層の向上を図ってまいります。

○村上委員 新しい運行表示装置を試験的に導入するという答弁がありました。バス停は、都営バスだけでも四千カ所弱あり、民間のバス停を合わせればもっと多くなります。
 そこで提案ですけれども、例えば、災害時にバス停にテロップで情報を流すといった活用ができないかということです。都庁全体として研究、検討をぜひ進めていただくことをお願いをし、次の質問に入ります。
 国において、地球温暖化対策基本法案成立のめどが立たない一方で、知事のリーダーシップのもと、昨年四月からキャップ・アンド・トレード制度を着実に運営してきており、平成二十三年度からは、いよいよ排出量取引が始まります。
 まさに都は、温暖化対策のトップランナーとして全国の自治体をリードしているわけですが、これは、都が個々の事業所ごとに省エネ対策の底上げを誘導してきた成果であります。
 つまり、地球温暖化対策計画書制度に基づくデータの蓄積と事業所との信頼関係があったからこそ、キャップ・アンド・トレード制度が円滑にスタートできたのだと思います。
 都は、こうした貴重な経験を生かし、去る二月一日に、首都圏だけではなく全国の自治体とも連携を深めるため、大阪府など五団体との共同呼びかけにより、地球温暖化対策全国自治体会議を開催したとのことです。
 そこで、全国の自治体における大規模事業所の温暖化対策の現状と、この会議を開催したねらいについてお伺いいたします。

○大野環境局長 大規模事業所にCO2削減計画の策定を求めます計画書制度は、都が先駆的に開始したものでございますが、現在、二十九都道府県、七政令指定都市までに拡大しまして、全国一万五千の大規模事業所の七割強をカバーしております。
 今回の全国自治体会議は、国が大幅なCO2削減を可能とするキャップ・アンド・トレード制度の導入を先送りする中で、地方自治体が国に先んじて取り組みを進めております大規模事業所対策を強化し、より実効性の高いものとするために開催いたしました。
 当日の会議におきましては、事業所への指導助言の方法など、都が持つ計画書制度運営上の知識と経験を提供するとともに、参加自治体が計画書制度の今後のレベルアップに向けた実践的な議論を行ったところでございます。

○村上委員 今後、全国の自治体における温暖化対策のレベルアップに向け、これまで培ってきた制度構築や運営のノウハウを国や他の自治体にも積極的に提供し、国内の温暖化対策をリードしていくことが必要であると考えます。
 そこで、都として自治体連携の強化に向け、どのように取り組んでいくつもりなのか、お伺いいたします。

○大野環境局長 国における制度の構築が停滞します中で、我が国の気候変動対策の牽引役として、都に期待される役割は極めて大きいものがございます。
 都は、キャップ・アンド・トレードの制度の全国展開に向けました第一段階として、昨年の九月に埼玉県と協定を締結し、連携して首都圏への波及に向けた取り組みを進めております。
 今回の会議は、いわばその第二段階でございまして、全国の地方自治体との連携を強化し、キャップ・アンド・トレード制度の導入の前段階とも位置づけられる計画書制度のレベルアップを目指すものでございます。国内のCO2総量削減の新たな枠組みづくりに向けた出発点であると考えております。
 今後とも、都が全国の自治体をリードしながら、大規模事業所対策の実効性を高めまして、東京から広げた地球温暖化対策の包囲網で国に政策転換を図ってまいります。

○村上委員 次に、商店街における環境施策についてですが、商店街は地域社会の核として重要な役割を果たしています。各商店は、売り手よし、買い手よし、世間によしとの三方よしの格言にある商人の心得を実践し、社会貢献にも積極的に取り組んでいます。
 こうした商店街の役割に注目し、都では、特定施策推進型商店街事業により、環境や防災、防犯などの分野で東京が直面する諸課題の解決に結びつく商店街の取り組みを支援してまいりました。特に、街路灯LED化は、消費電力が大幅に減りCO2削減に役立つため、地域の住民からも高く評価されています。
 また、街路灯のLED化以外にも、太陽光や風力による発電の仕組みなどを取り入れる工夫をしたり、その内容を地域社会にPRすることも大切と考えます。
 環境対応型商店街活性化事業が、我が党の重点的な提案を受けて、来年度から新たに実施されることを大いに評価いたします。
 同事業について、特定施策推進型商店街事業との違いを踏まえ、都はどのように展開していくのか、お伺いいたします。

○前田産業労働局長 地球温暖化対策は、都が取り組むべき重要な課題でありますことから、特定施策推進型商店街事業により、商店街の街路灯のLED化を支援してまいりました。
 CO2削減のためには、従来のランプをLEDに交換することが最も効果が高いことから、事業費の五分の四を助成する同事業の補助対象を今年度からLEDランプの交換に重点化し、これにより、LED化を希望したすべての商店街に対して支援を行いました。
 来年度も、多くの商店街でランプ交換のニーズが見込まれますことから、その要望にこたえてまいります。
 一方、街路灯の整備につきましては、当該商店街のにぎわいを創出するという意味を有していることから、都と区市町村が協力して商店街に助成し、国の補助制度を活用しやすいようにする仕組みも今年度より導入しております。
 このような取り組みは着実に効果を上げておりますが、さらに地球温暖化対策を進めるには、商店街の環境対策への積極的な取り組みを広くPRし、地域社会での実際の行動に結びつけていくことが重要であります。このため、来年度から、環境対応型商店街活性化事業を新たに開始いたします。
 具体的には、LEDや太陽光、風力発電を活用した街路灯、壁面緑化など、幅広く補助対象といたしまして、経費の三分の二を助成して集中的に進めてまいります。
 また、整備を行った街路灯などに、商店街が環境への取り組みをアピールするプレートを取りつけることで、地域における環境意識の高まりを促進することといたしました。
 このように、CO2削減効果の高いLEDランプ交換については特定施策推進型商店街事業、商店街における環境対策への取り組みをPRし、地域社会に広げていくことについては環境対応型商店街活性化事業を新設、この二つの施策を展開していくことで地球温暖化対策に取り組む商店街を支援してまいります。

○村上委員 次に、高齢者の医療と介護について伺います。
 我が国は、世界に冠たる長寿社会を実現していますが、一方、認知症などで長期間の医療や介護を必要とする高齢者も増加しています。
 こうした状況を踏まえ、我が党は、在宅療養推進の重要性を何度も指摘し、医療と介護の連携の必要性について、予算特別委員会においては林田理事が代表質問をしたところです。都からは、来年度より在宅療養支援窓口事業を新たに実施し、区市町村を支援していくという前向きな答弁がありました。
 今後、都として、在宅療養の推進に一層力を入れていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 だれもが身近な地域で適切な医療や介護を受け、安心して療養生活を送ることができる社会を実現するためには、在宅療養を支える仕組みの確立が重要でございます。
 都におきましては、これまで、関係団体等の理解と協力を得まして、地域の医師会や病院を拠点としたネットワークづくりや、かかりつけ医、訪問看護師等の紹介、関係者間の調整等を行う在宅医療連携調整窓口の設置など、病院から在宅療養への円滑な移行や、在宅療養を継続するためのモデル事業を実施してまいりました。
 また、昨年十月に在宅療養推進会議を設置いたしまして、モデル事業を検証いたしますとともに、今後の具体的な方策について検討を行っております。
 今後は、これらの成果を生かし、区市町村、かかりつけ医、介護事業者等が一体となって医療と介護の連携を進められるよう、地域の特性に応じた取り組みを支援してまいります。

○村上委員 ぜひモデル事業の成果を生かして、在宅の患者さんや家族の皆さんのために強力に取り組みを進めていただきたいと思います。
 さて、医療と介護の連携を実効性のあるものとするためには、まず、それぞれの分野における連携を確立しなければなりません。特に、医師、歯科医師、薬剤師、看護師などの多数の専門職が携わる医療分野においては、専門職間の強固な連携が不可欠です。
 都として、多くの職種の連携強化にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 先ほどお話をいたしましたモデル事業の中には、地区の医師会、歯科医師会、薬剤師会がそれぞれのネットワークを相互に生かし、多職種による医療連携体制の構築に成果を上げた事例もございます。
 こうした成果を踏まえながら、在宅療養推進会議では、医師、歯科医師を初め、薬剤師、看護師等、専門職の参画を得て、関係機関の連携を進める上で重要なコーディネート機能の充実や情報共有の促進などについて検討を行っております。
 来年度は、地域連携を推進する在宅療養支援員の養成や医療、介護関係者を対象に多職種の連携を円滑に進めるための研修も開始いたします。
 今後、在宅療養についてノウハウを蓄積している地区医師会など関係団体の協力を得ながら、多職種の連携を強化し、在宅療養の取り組みを都内全域で展開してまいります。

○村上委員 現在、都は、厳しい雇用状況の中で、緊急の雇用対策として、求人需要の高い福祉分野などを中心に、失業者の再就職を支援するため、民間の教育訓練機関を活用した委託訓練を大幅に拡大し実施していることは評価いたします。
 その一方で、産業基盤を支えるものづくり人材を育成することも職業訓練の大きな役割です。
 職業訓練を効果的に展開するためには、都と民間の役割分担が必要ですが、ものづくり分野の職業訓練は、民間ではほとんど行われておらず、都が直接実施する必要があります。
 そこで、こうした都が直接実施する公共職業訓練の取り組みと今後の展開についてお伺いいたします。

○前田産業労働局長 ご指摘のとおり、産業基盤を支えるものづくり分野の人材育成は、公共職業訓練の重要な役割であると認識しております。
 こうしたものづくり分野の職業訓練につきましては、施設や機器に多額な投資が必要であり、採算性の確保が難しいほか、指導者も不足しておりまして、民間教育訓練機関が実施することは困難な状況でございます。
 このため、都では、機械加工や金型加工などのものづくり分野を中心に、職業能力開発センターに高度な施設や設備を整備するとともに、専任の指導員を配置し、五千人を超える規模の公共職業訓練を直接実施しております。
 この四月からは、多摩職業能力開発センターを移転開設し、高精度な機器を扱う技能者を養成する機械組立技術科など、地域の産業特性に合わせた訓練科目を新設いたします。
 また、城東職業能力開発センター足立校の改築にも着手いたします。
 このように、今後も職業能力開発センターの機能を維持し、産業ニーズに即したものづくり企業が必要とする人材の育成に積極的に取り組んでまいります。

○村上委員 中小企業の採用活動に当たっては、その技術力や良好な職場環境などをしっかり学生に訴えかけていく努力が必要です。
 中小企業の人材の確保や育成の支援に知事としてどのように取り組まれるのかお伺いいたします。

○石原知事 東京の産業活力の源泉であります中小企業が、世界に誇る非常に高い技術力を縦横に駆使して、国際市場での競争力を高めていくために、前途有為な若者を積極的に採用し、早期に戦力となるように育成することが重要だと思います。
 今、世界に名をはせている日本の大企業、例えばホンダにしろ、ソニーにしろ、ナショナルにしろ、これは本当に昔は小さなまち工場から始まったわけでありまして、中小企業は非常に大きな可能性を秘めております。
 こうした中小企業の将来性やものづくりの現場の魅力を若者に力強くアピールするとともに、若い力を社会に根づかせて大きくはぐくむ手だてを講じていかなければならないと思っております。
 若者に対する調査によれば、中小企業の労働時間などがちょっと不満で離職した者が多いという実態もあります。これは、やっぱり労務管理の問題で、これは仕事に熱心な親方の気持ちもわかりますけれども、そこら辺は若者の心情もしんしゃくして、合理的に運営しなくちゃいけないなと思います。
 このため、都は、中小企業の魅力を若者たちに発信することに加えまして、若者が生き生きと働けるように経営者の意識改革、労務管理の改善に取り組むとともに、中小企業が体系的に人材を育成することができるような支援をしていきたいと思っております。
 こうした施策を重層的に展開することで、中小企業の門をたたく優秀な人材の確保とその育成を万全の体制で支えていきたいと思っております。

○村上委員 知事は、先日の我が党の代表質問の答弁で、中小企業に人材を定着させることの重要性を強調しておられました。これに加え、今後は、定着した人材の能力向上を図る社員教育などを都としてもしっかりと支援するべきです。
 都は中小企業の人材育成をどう支援するのか、お考えを伺います。

○前田産業労働局長 中小企業が確保した人材の定着を図るとともに、将来を担う戦力として育てていくことは重要でございます。
 これまで都は、人材育成のノウハウを必要とする中小企業に対しまして、企業での育成実務に詳しい専門家を人材ナビゲーターとして派遣し、研修計画の策定などをサポートしてまいりました。
 来年度からは、この人材ナビゲーターを現在の四名から六名に増員し、若者の採用から定着支援、育成を含めた総合的な人事戦略について、相談対応やアドバイスを行うとともに、それを見据えた教育体系の構築を支援してまいります。
 さらに、人材コンサルタントを起用して、中小企業の経営者が、直接、人材育成の重要性や他社の成功事例などを学ぶセミナーも開始いたします。
 こうした取り組みにより、中小企業が人材育成を総合的に進めることができるよう支援してまいります。

○村上委員 次に、物流対策についてお伺いいたします。
 商店街などにおける物流対策は、交通事故の減少や路上駐車の解消など、交通施策の推進はもとより、そのにぎわいや魅力を高める上でも極めて重要な取り組みです。
 このためには、運送事業者を初め地元の商店街や荷主、地元区市など多様な関係者が連携し、課題解決に当たることが重要であるのはもちろん、同時に都の支援も不可欠であります。
 都内では、吉祥寺地区などで、共同配送など物流改善への熱心な取り組みが行われていると聞いています。そこで、物流改善に取り組む地域に対し、これまでどのような支援を行ってきたのか、また、吉祥寺地区の取り組みは着実に進んでいるのか、お伺いいたします。

○河島東京都技監 お話のとおり、地域の物流改善に向けた取り組みは重要でございまして、都は、吉祥寺地区を初め都内三地区において、商店街、運送事業者、地元区市などで構成された地元協議会に参加し、先進事例の紹介などの技術的な支援を実施してまいりました。
 吉祥寺地区においては、路上での荷さばきを解消することにより、まちの回遊性を高め、安心してショッピングを楽しめるようにすることなどを目的として、協議会による配送などを共同して行う実証実験や、荷さばきの場所や時間帯についてのルール徹底を図るキャンペーン活動などを重ねてまいりました。
 その結果、路上駐車の減少などの効果が確認できたことから、一昨日の三月五日より、共同集配送事業を本格的に開始したところでございます。

○村上委員 国は、政権交代を機に、地域の物流対策への補助制度を廃止する方向だと聞いています。良好なまちづくりを進める観点から、商店街などにおける物流対策に、都のこれまで以上の取り組みが必要と考えますが、都の所見をお伺いいたします。

○河島東京都技監 地域の物流改善を進めるためには、商店街や地元区市などの関係者が連携し、自主的に取り組んでいくことが基本となりますが、これまで、都の技術的な支援のほか、国も地域の取り組みを促すため、さまざまな支援を行ってまいりました。
 お話のように、国の政策見直しに伴い、地域の取り組みに対する補助制度が廃止されれば、事業に対する財政面での影響は避けられないと考えております。
 このため、都としては、協議会と連携し、制度の継続を国に要求しております。
 都は、平成二十年度に物流効率化認定制度を創設し、協議会が行う荷さばき施設の整備などに対して産業力強化融資を活用することや、荷さばきスペースとして東京都道路整備保全公社駐車場を優遇的に利用することなどを可能といたしました。
 今後とも、この制度の活用を積極的に働きかけながら地域の物流改善に取り組んでまいります。

○村上委員 次に、地産地消の推進についてお伺いいたします。
 先日、私の地元の小学校で、多摩産材の杉材を使いまして、おはしを子どもたちがつくりました。(実物を示す)自分たちのつくったおはしで、そしてまた、この都内産農産物を使った給食を食べるという、すばらしい取り組みが行われました。また、地産地消の飲食店で食事をする、なんてすばらしいことではないでしょうか。
 都が今年度から開始した地産地消事業をさらに進める上でも、広く都民が地産地消を体感できる取り組みを進めることが重要だと考えます。来年度の都の取り組みについてお伺いいたします。

○前田産業労働局長 都内産の新鮮で安全・安心な農林水産物の消費を拡大し、さらなる生産につなげるため、都は、とうきょう特産食材使用店を、今年度九十九店舗登録いたしました。お客様からも好評を得ていると聞いておりまして、来年度も、新たな登録店をふやしていくとともに、地下鉄車内広告やガイドブックで積極的にPRしてまいります。
 また、八王子市内の都有地を活用し、農産物を生産する、とうきょう元気農場を開設し、都心区を中心に、来る一学期中には学校給食へ、新鮮なジャガイモやタマネギなどの供給を開始いたします。
 さらに、消費者に安全・安心な農林水産物を提供する生産情報提供食品の制度の普及を図るため、新たに来年度二回、直売イベントを開催いたします。
 これらに加えまして、従来から実施している料理コンクール、食育フェア等のさまざまな事業を展開することで、都内産農林水産物の地産地消を積極的に推進してまいります。

○村上委員 一方、東京には世界じゅうからさまざまな食材が集まり、都内では、日本食を初め、世界じゅうの多様な料理を楽しむことができます。その際、忘れてならないのが食の安全です。都内には十五万軒を超える飲食店がありますが、食中毒などの事故を防ぐためには、自主的な衛生管理の徹底が不可欠です。
 とりわけ、従業員への衛生教育は重要です。しかしながら、従業員の雇用形態や勤務時間もさまざまで、衛生教育の徹底を図ることは容易ではないとも聞きます。特に、最近では、外国人留学生のアルバイトもふえており、言語など、さまざまな配慮が必要です。
 こうした実態も踏まえ、都としても、事業者の取り組みを支援していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○杉村福祉保健局長 飲食店における食の安全を確保するためには、従業員に対する衛生教育を初め、日々、事業者が自主的な衛生管理を推進していくことが重要でございます。
 現在、都内の飲食店では、留学生など外国人従業員が増加しておりますが、これらの従業員に対しまして衛生教育を徹底するには、言語や文化、習慣の違いを踏まえた特段の配慮が必要でございます。
 このため、都は来年度、新たに外国人従業員向けに食品衛生の基礎をわかりやすく記載したリーフレットを作成いたしますとともに、外国人従業員を雇用する事業者向けに、文化や習慣の違いを踏まえた指導方法を解説したDVDを作成し、事業者による衛生教育を支援してまいります。

○村上委員 次に、下水道事業における国際展開について伺います。
 世界保健機関などによると、世界で二十六億人もの人々がトイレなどの適切な衛生設備を利用できていないといわれています。下水の衛生的な処理ができないということは、伝染性疾患の蔓延や地下水の汚染の原因となるなど、人々の生活に致命的な影響を及ぼしかねません。
 自民党の代表質問に対し、下水道事業における国際展開について、国、JICAなどさまざまな主体と連携協力し、相手国のニーズに応じた技術支援や施設計画の提案などを行っていくとの答弁がありました。あわせて、マレーシアの下水道の維持管理を行う国営企業の最高経営責任者が都の下水道施設の視察をしたとの紹介もありました。このような中、最近、JICAによる上下水道インフラ整備調査事業に対し、都が協力するとの報道もありました。
 そこで、マレーシアの下水道事業へのかかわりの経緯を含め、今後の国際展開について、取り組みについてお伺いいたします。

○松田下水道局長 昨年四月に、東京下水道の技術と経験を生かし、マレーシア全域の下水道を再整備するためのマスタープランづくりなどへの協力要請が、東京都下水道サービス株式会社を介してありました。
 これまでの人的交流を通じた情報収集や独自の現地調査などの結果、マレーシアでは、小規模な下水処理場の乱立、下水道管の老朽化、汚泥処理施設の未整備による環境問題の発生など多くの課題があることが確認できました。
 これらの課題解決に当たっては、東京下水道のノウハウや最先端のすぐれた環境技術などを生かして貢献できると判断したことから、東京都下水道サービス株式会社と連携協力し、マスタープランづくりと、それを踏まえたモデルプロジェクトの支援を行うことといたしました。
 現在、マスタープランについてはほぼ完成しておりまして、今週中には正式に提案される予定となっております。
 また、モデルプロジェクトにつきましては、地域を特定して、具体的な下水処理施設の建設、運営から事業の収支に至るまでの事業化に向けた計画策定が進められております。
 今後も、今回のマレーシアはもとより、調査などを行ってきたインドなど、下水道のニーズのある国や地域の課題解決に寄与するとともに、下水道関連企業の海外展開を後押しし、東京ひいては日本の産業力の強化につながるよう、国際展開に積極的に取り組んでまいります。

○村上委員 次に、都立高校の学力向上策の推進について伺います。
 これまで都教育委員会は、進学指導重点校などを指定し、進学対策を充実させ、進学校の生徒の学力を向上させる取り組みを進めてまいりました。しかし、都立高校には、進学を重視する普通科高校のほかにも、専門学科高校や総合学科高校など、さまざまな高校があり、こうした学校の生徒の進路希望は多様です。
 どのような進路を希望する生徒であっても、日本の将来を支える意欲と資質を兼ね備え、社会の要請にこたえられる人間として育成していく必要があります。
 そのためには、すべての都立高校において、学校の設置目的に照らし、一人一人の生徒の学力の向上を図る取り組みを充実させる必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。

○大原教育長 理事がただいまお話しになったように、すべての都立高校の一人一人の生徒に、学校の設置目的に応じた学力を身につけさせ、将来の社会を支える人材としての自信と自覚を持たせて卒業させていくことは、都立高校に課せられた大きな責務でございます。
 そのため、平成二十三年度から、全学科、全課程の都立高校において、卒業時までに生徒に身につけさせるべき教科別の到達目標、学力向上の重点的取り組みを定めた計画を立て、授業実践を通して、生徒を育成してまいります。
 さらに、学年ごとに、教員が生徒の目標達成度を把握し、その結果に基づき、当初策定した計画を改善するなど、生徒一人一人の学力向上を組織的、計画的に進める新たな取り組みを全国に先駆けて実施してまいります。

○村上委員 教育には、知、徳、体のバランスが重要です。都教育委員会は、都立高校において、既に教科「奉仕」を必修とし、さらに日本史についても必修化するとしており、知だけではなく徳についても取り組みが進みつつあります。
 一方、体力はどうでしょうか。今の都立高校生の体力を示す事例として、例えば、都立高校二年生男子の千五百メートルの持久走タイムを見ると、全国の中学二年生の平均値より遅いことが明らかになっております。このことは、義務教育の段階だけではなく、高校においても体力向上が大きな課題であることを示しています。
 都立高校改革推進計画は来年度に終了を迎えますが、体力も含めて、課題もいまだ見受けられます。今の都立高校生が、自分の能力を十分生かし切れていない状況にあるとするならば、これを看過するわけにはいきません。
 そこで、これからの都立高校には、さらなる改革が必要だと考えますが、所見を伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、都立高校改革推進計画に基づきさまざまな施策に取り組み、大学進学率の向上や中途退学者の減少に見られるように、一定の成果を上げてまいりました。
 しかし、都立高校生の体力は、お話のように、持久走を見ると、中学生の全国平均を下回っており、知、徳を支える基盤である体力が危機的な状況にございます。
 さらに、生徒は社会規範や将来の職業的自立への構えをしっかり身につけているかという観点から現状を見ても、成果が十分とはいえず、ご指摘のとおり、改革が必要と考えております。
 そのため、都教育委員会は、現行の都立高校改革推進計画の成果を検証するとともに、改めて、生徒、保護者、都民の都立高校への評価、期待を調査、分析し、課題を明らかにした上でさらなる高校改革に取り組んでまいります。

○村上委員 次は、芸術文化の振興について伺います。
 都は、東京に集積するさまざまな文化資源を生かして、文化の創造、発信を目指した東京文化発信プロジェクトを行っています。その一つである恵比寿映像祭は、東京都写真美術館を中核にして、映像、映画の魅力を世界へ発信するものです。
 こうした点で恵比寿映像祭は、東京の文化力を世界にアピールする上で極めて有効な事業であると思っています。恵比寿映像祭のこれまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○並木生活文化局長 ことしで三回目となります恵比寿映像祭は、写真と映像に関する専門美術館である東京都写真美術館を拠点といたしまして、東京から映像文化を発信する国際フェスティバルでございます。近年の著しいテクノロジーの進歩を受け、表現の幅を広げている映像、映画の多彩な作品を世界二十カ国から百五十一点集め、その展示、上映を中心としてさまざまなイベントを組み合わせることにより、国内のみならず海外からも注目されております。
 今後は、最先端の作品をより幅広く紹介するとともに、地元商店街などと一体となって地域のお祭りとしてのにぎわいを増していくことにより、世界に対して、さらに発信力のあるフェスティバルへ発展させてまいります。

○村上委員 今後も、東京が映像、映画の分野でさらに注目を集めていくためには、次世代をリードする作品のつくり手を世界から集め、多様な価値観の中で切磋琢磨する場を設けることが大きな意味を持ちます。
 都は、こうした観点から映画分野における人材育成事業を始めたと聞いております。その具体的内容と今後の展開についてお伺いいたします。

○並木生活文化局長 都は、映画分野における次世代の担い手を輩出することを目的とし、アジア各国の有望な人材を集め、東京で育成する事業であるネクスト・マスターズを、昨年十一月に実施いたしました。
 具体的には、アジアの新進監督の作品紹介に取り組んでいる映画祭、東京フィルメックスと協力し、世界で活躍する一流の映画監督による映画制作に関する講義や参加者による企画の発表など、多彩なプログラムを展開いたしました。また、参加者の今後の映画制作に結びつくよう、プロデューサーなどと交流の場を提供いたしました。
 来年度は、世界三大映画祭の一つである人材育成に実績のありますベルリン国際映画祭と提携し、その豊富なノウハウや人的ネットワークを活用することで、より効果的な人材育成事業に取り組んでまいります。

○村上委員 都は、現代美術の分野で若手の人材育成に大きな成果を上げてまいりました。映画においても、同様の成果をおさめることは十分可能であると思います。時間はかかるかもしれませんが、芸術文化全般を見据えた人材育成に、しっかりと取り組むよう要望いたします。
 続いて、平成二十五年のスポーツ祭東京二〇一三についてお伺いいたします。
 五十四年ぶりに首都東京で開催する、国内最高峰のスポーツ大会は、スポーツを通じて子どもたちに夢を贈る、またとない機会です。トップアスリートの競技に生で触れることで、スポーツを一層身近なものとするとともに、全国から集まる選手や関係者、応援団に対しては、都民総参加のおもてなしで歓迎し、東京の魅力をアピールすべきと考えます。
 今後、開催に向けた機運を大いに盛り上げ、都民参加を促していくため、積極的な広報活動の展開はもちろん、ボランティアの活用や募金活動などを通じて参加意識に訴えていくことが必要です。所見を伺います。

○笠井スポーツ振興局長 スポーツ祭東京二〇一三は、国体と全国障害者スポーツ大会を、一つのスポーツの祭典と位置づけ、多摩・島しょ地域を中心とする東京都全域で開催いたします。開催に向けましては、都民の理解をさらに広めるため、昨年策定いたしましたマスコットキャラクター、ゆりーとなどを活用した、積極的な広報活動に努めておるところでございます。
 今後は、全国から集う選手や関係者を温かく迎えることや、会場地における実施競技の普及、ボランティアへの参加の促進など、スポーツを通じて地域の活性化につながる活動を展開し、都民の参加意識を高めてまいります。
 なお、理事ご指摘の募金活動につきましても、昨年、策定いたしました募金推進基本方針に基づき、都民、企業、各種団体などの理解と協力を得ながら、早期に募集を開始できるよう、準備を進めてまいります。

○村上委員 多くの都民がさまざまな形で大会に参加することは、スポーツ祭東京二〇一三に一大ムーブメントを起こすために重要であります。とりわけ意欲、熱意、さらに機動力に富む若者たちの参加は、運営の円滑化と盛り上がりに大きく寄与すると信じております。
 首都大学東京は、スポーツ祭東京二〇一三実行委員会との間で、大会の円滑な運営に向けた相互協力についての連携協定を締結したと聞いています。積極的に学生がボランティアとして参加することを促すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○比留間総務局長 首都大学東京が、スポーツ祭東京二〇一三の成功に向けて大会運営に協力することは、地域社会の発展に寄与する人材を育成するという大学設立の理念からも重要でございます。
 このため、昨年十一月に、実行委員会との間で締結した協定に基づき、学生が大会運営にボランティアとして参加できる機会を設けることといたしました。現在、健康福祉学部の学生による障害のある選手のサポートを初め、広く学生が大会運営に参加できる方法について検討を行っております。
 今後とも、大学が実行委員会と連携し、学生がボランティアを通じて多くのことを学び、体験できる環境を整備できるよう、都として、その取り組みを支援してまいります。

○村上委員 スポーツ祭東京二〇一三の成功には、地域からの盛り上がりが不可欠です。そのためには、地元出身の選手が、東京開催の国体で活躍するという期待がぐんぐん高まってくるよう、各地域から若い有望な選手を輩出していくことが効果的です。
 我が党はこれまでも、ジュニア育成に日々汗をかいている地域の方々の地道な努力を後押しし、地域におけるジュニア育成の重要性を強く訴えてまいりました。これを受けて展開されているジュニア育成地域推進事業は、ジュニアスポーツの発展に大いに貢献しています。
 しかし、十分な指導体制を整えられない場合もあるなど、さまざまな課題を抱えているのが実情です。指導体制の充実を初め、地域におけるジュニア選手の育成を一層強化することが必要と考えます。所見をお伺いいたします。

○笠井スポーツ振興局長 都は、再来年の東京国体における、過去最高得点での総合優勝を目指しまして、選手強化に取り組んでおります。とりわけ、ジュニア選手を地域から発掘し、育成していくことは極めて重要であり、平成十八年度に、ジュニア育成地域推進事業を創設し、展開してまいりました。
 本事業への参加者は、開始当初は二万六千人余りでございましたが、今年度計画では八万人を超えるなど、年々着実に増加しており、この間、都議会を初め関係団体からのご要望も踏まえ、内容の充実を図っているところでございます。
 理事ご指摘の指導体制の充実につきましては、全国レベルで高い実績を有する指導者の招聘や、各地域でのすぐれた指導者養成に向けた講習会への支援に対し、来年度、予算措置を図るなど、地域におけるジュニア選手の育成を一層推進してまいります。

○村上委員 先日開催されました東京マラソン、多くの都民がスポーツの持つ価値と感動を共有でき、すばらしい大会となりました。多くのドラマも生まれました。今回から導入されたチャリティーでは、スポーツを通じて社会に貢献するという新たな側面を世の中に示してくれました。
 スポーツは、我々がまだまだ気づかぬ大きな可能性を秘めています。私は、スポーツ振興への取り組みのさらなる強化がスポーツを通じてあすへの希望をはぐくみ、東京の活力を高めて、日本を元気にしていくことができると信じております。知事のスポーツへのお取り組み、お考えをお伺いさせていただきます。

○石原知事 昨今の若者は、肉体の殊さらの苦痛を避けたがる傾向がありますが、スポーツで肉体をしごいて、自分をいじめて我慢する経験が、実は脳幹を鍛え、人間のこらえ性を育て、感性も非常に強化して、他者との相克に耐え得る強くしなやかな性格をはぐくんでいくものでありまして、スポーツは確かに人間を大きく変えます。
 私自身も、非常に病弱でありまして、いつも冬は弟に比べて風邪を引いて寝てばかりいましたが、旧制中学でサッカー部に入りまして、鍛えるというか、しごきに近いトレーニングを受けることで、本当に肉体も変わり、自分の気持ちも、心も変わってきたという経験がございます。
 アマチュアスポーツという、いわば無償の行為を通じて、我々はしみじみとした達成感を味わうことができるわけでありまして、こうした体験は人生を生き抜いていく上で、非常に大きな人生の糧となり、支えになると思います。
 先般の東京マラソンでも、別にトップを切って入ってくるランナーよりも、むしろ、辛うじて七時間を切って、後ろから追いかけてくるバスに収容されずに、何とか、とにかくゴールインして、控室で着がえながら、しみじみ泣いている人は本当に感動的でありました。
 スポーツは、教育や医療、高齢者・障害者福祉など、多様な分野の政策との相乗効果を発揮することで、多岐にわたる問題に直面する現代社会を大きく変える可能性を秘めていると思います。
 さらに、すぐれたアスリートが世界のひのき舞台で活躍するならば、これを眺めることで、国民は国家への愛着を呼び覚まし、それが国民を一つに結んでいく大きなよすがになると思います。
 今後とも、都は、スポーツの力を起爆剤として、都民、国民が切望する元気で強く、明るい未来を築きながら、東京から日本を再生していきたいものだと思っております。

○村上委員 最後に、豊洲新市場の整備について申し上げます。
 都は、昨年十月の知事の決断以降、アセスの再開、用地取得のための土地鑑定、基本設計の契約、土壌汚染対策工事の詳細設計など、既に、新市場の整備に向けた事業を急ピッチに進めております。
 一方、築地市場業界は、本年二月、都議会議長、各会派に対して、移転に向けて取り組んできた長年の努力を無にしないでほしいとする要望活動を行い、豊洲での施設計画に対する具体的な検討や、情報システムの一元化を目指した新会社の設立など、二十六年度開場に向けた取り組みを急いでおります。
 また、かねてより我が党が重要視してきた市場業者への支援についても、都は、一月に、移転支援の基本的考え方を業界団体に提示し、一人一人の移転の意向を確認し、市場業者が抱える課題、心配、不安に丁寧に耳を傾け、経営の状況を把握することで、きめ細やかな支援策につなげていくこととしております。
 開場から七十五年が経過し老朽化がきわまる築地市場において、大地震でも発生すれば施設は倒壊し、アスベストの飛散による周囲への影響ははかり知れません。もはや、この問題を先送りすることは、政治の無責任のそしりを免れるものではありません。都議会として、築地の現実を直視し、責任ある判断をなすべきときであるということを申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○高橋副委員長 村上理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時十分休憩

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