予算特別委員会速記録第四号

○泉谷副委員長 淺野克彦委員の発言を許します。

○淺野委員 きのうの委員会でも、また、今さっきの神野委員の質問に対する知事の答弁の中でも、非常に大切なことが込められていたと思います。
 昨日の知事のお話の中で、他県の、あるいは他の自治体での広域的な取り組みに関することについても、枠組みにこだわり過ぎている。東京都はこれまで、首都圏でさまざまな自治体としっかりとした広域的な連携をとってきていた。枠組みにこだわり過ぎていて実をとることを忘れている、そのような思いが私にもありまして、非常に同感だという思いがありました。
 本当に必要なのは、やはりそのとき重要な実益というか、単純な利益という意味ではなくて、将来にわたっても必要な益を考えることだと思います。その意味では、今の国政における政党内外の不毛な対立すら、もう一度国民生活に本当に大事なものが何なのかという観点で、しっかりと議論をしていただきたいなという思いも私の中にあり、与野党ともの両方の国会議員の皆さんにも本当に願いたいところであります。
 また、都政においていうところであれば、例えば、地下鉄の一元化についても、一元化という枠組みにとらわれずに、消費者にとって必要な利便性の向上、これを早期に実現すること、こういったことを第一に、国も都も考えていかなければならないと、そのように思います。
 広域的な取り組みということでは、私は、さきの決算特別委員会の分科会でも、単純に協力してやっていきましょう、連携してやっていきましょうということだけではなくて、お互いの長所、短所、得意なところ、苦手なところ、あるのでしょうから、長所を発揮し合い、短所を補え合うような、そういう取り組みをしていってほしいというお話を申し上げ、また、答弁でもそのような取り組みをしている、そしてこれからもやっていくということをいただいておりましたので、そこにも期待をしていきたい、そのように思っております。
 そういった観点で、広い、さまざまな都の政策ございますが、交通政策についても伺っていきたい、そのように思っております。
 今申し上げたとおり、広域的な連携ということが非常に大切になってくると思いますが、東京都の交通政策は、もはや東京だけで考えるというレベルではなく、広範な地域、例えば首都圏を視野に入れた施策を練っていく、そういう時代にあるということについては異論はないと思います。将来にわたってどのような計画を考えていくか、広域的な見地からならさまざまなアイデアが生まれてくるのではないでしょうか。
 私個人から一例を申し上げるなら、例えば、この足元、新宿を見てみますと、都心部で、さらに交通量も多い、こういった地域でありますけれども、実はたくさんの都市間高速バスというのが発着しております。今のようなスキーシーズンですと、夜、都庁周辺というのはバスが非常に並び、スキー客を乗せて出発している、そういった状況を見ることもできます。
 しかし、このような長距離高速バスは、渋滞であるとか、あるいは環境への影響、そういったものを考えますと、わざわざこの新宿のような都心部を発着しなくても、郊外の高速道路のインター近くにターミナルを設けて発着させる方がいいのではないかと思います。またそのターミナルまで鉄道で運ぶようにしておけば、結果として、利用者の時間短縮、あるいは環境への効果も期待でき、非常に考えるべき提案ではないかと自分では思います。
 そして、そのようなターミナルをつくるとするならば、実は都内よりさらに郊外に設置した方が、初期費用も少なくて大規模なものをつくれるのではないかと思います。
 これは例示ですけれども、交通政策はこのように、鉄道や道路、さまざまなものを複合的に考えて、さらに周辺の自治体と連携した広域的な見地で進めていくことが必要だと思います。そこで、周辺県市と連携した交通政策にかかわる取り組み状況について伺います。

○河島東京都技監 鉄道や道路等の交通インフラは、東京の都市機能や利便性を向上させるだけでなく、首都圏全体の活性化にも不可欠な社会資本でございます。このため、都は、交通政策の展開に当たって、国や関係する自治体、交通事業者等と連携し、さまざまな取り組みを行っております。
 例えば、鉄道については、茨城県を初め沿線自治体などとともにつくばエクスプレスの整備を行ったほか、現在、神奈川県などと連携し羽田空港アクセスの改善に向け、京急蒲田駅の改良などに取り組んでおります。
 また、道路についても、東京の最大の弱点となっている交通渋滞を解消するため、関係県市とともに三環状道路を初めとした広域幹線道路ネットワークの整備等を推進しております。
 さらに、羽田空港の再拡張、国際化に当たっては、神奈川県、横浜市、川崎市とともに連携して、国に無利子貸付を行い、空港再拡張、国際化の早期実現を図っております。
 今後とも、首都圏の発展を支え、国際競争力の高い都市の実現に向け、周辺県市などと連携しながら重層的、複合的に施策を展開し、快適で使いやすい交通ネットワークを構築してまいります。

○淺野委員 ただいま答弁の中にもございました三環状道路が整備されていけば、車の流れというのも大きく変わっていくと思われます。
 先ほど私が申し上げたバスターミナルというのも一例ではございますけれども、現在における東京の交通の状況、こういったものも、同時にどのように変わっていくか、またどのようにあるべきかといったことを考えて施策を打っていかなければならないと思います。
 また、もちろんいうまでもなく、この東京都内のさまざまな施設、交通ネットワークというものは、都民だけでなく、隣接県を中心に、他県の多くの方々にも利用されております。したがいまして、そこで上がる収益、そういったものも、あるいは東京のこの設備も、東京だけの利益を考えるようなそういう小さなものの考え方ではなくて、首都圏や、あるいはひいては国全体、そういったものへの利益を考えるような大きな気概でぜひ取り組んでいただきたい。
 そして、その取り組みの中で、私の地元の大江戸線についてのことをお伺いさせていただきたいと思います。
 運輸政策審議会の答申による二〇一五年の目標年次までには、整備を推進すべきといわれている路線のうち、この目標年次までに開業することが適当であるといわれた路線、いわゆるA1路線ですけれども、これについては、大体ほぼ達成しているという状況にあるようだと聞いております。しかし、同じく二〇一五年の目標年次までに、少なくとも整備着手することが適当である路線、いわゆるA2路線ですけれども、このA2路線については、今もさまざまな検討がなされているという状況だと、そのように思っております。
 このA2路線の一つであります都営大江戸線の光が丘駅から大泉学園町までの延伸については、これまで、導入空間の確保、これが課題であると、そのように聞いてまいりました。
 答申が出された翌年の平成十三年十一月の公営企業委員会においても、都はその答弁の中で、採算性に十分配慮しなければならないということをいいながらも、一方で、課題はさまざまあるが、補助二三〇号線の導入空間の確保が最大の課題であると、そのように申しております。そして昨年、その答弁の中で、最大の課題といわれたこの導入空間となる補助二三〇号線の事業認可がなされたことで、これでいよいよ延伸が現実に動き出すんじゃないか、地元の期待が高まってはおりますが、都としては、先ほど申し上げた採算性の課題は残っているという見解であります。
 ところでまたその一方、最近、都のホームページには、都営地下鉄が、大規模投資は予定されていないと記載された資料があるという情報が私のもとに入りました。私も確認いたしましたが、これは、東京の地下鉄の一元化などに関する協議会第三回のときに出された会議資料の中にありましたけれども、確かに、大規模投資は予定されていないという話がありました。
 大きな期待を持った地元住民の皆様からは、大江戸線の延伸がなくなったのではないかという声が出てきておりました。私がこれに対して確認したところ、都からは、この資料は、都営地下鉄は、今後も着実に長期債務を償還する体力があるということをあらわしたものであり、そういった趣旨の説明を伺いまして、延伸の計画がなくなったわけではないというところを確認したわけであります。
 こういったさまざまな情報が入り乱れ、地元住民、関係者も一喜一憂している状況でありますので、改めて伺いたいと思います。この大江戸線の大泉学園町までの延伸の事業化に向けた取り組みと、現時点の具体的な課題は何かということを伺いたいと思います。

○金子交通局長 大江戸線の大泉学園町までの延伸につきましては、これまで運輸政策審議会の答申などを踏まえ、地質調査を実施するなど、基礎的な検討を進めてまいりました。事業化に当たっての課題としては、導入空間の確保とともに、路線上の地形や地下埋設物などを考慮した駅やトンネルの構造、周辺地域の状況を反映した需要予測及び採算性の確保などがありまして、さらに具体的な検討が必要と考えております。
 今後とも、区画整理事業や街路事業などの進捗状況を踏まえながら、地元区や関係局などと連携して、事業化について引き続き検討を進めてまいります。

○淺野委員 引き続き検討をずっと進めて、検討だけで終わってもらっては困ります。地元自治体である練馬区も、この二十三年度予算で、大江戸線延伸のための基金を五億円計上するなど協力する気持ちが非常に強いところであります。
 さまざまな交通政策、冒頭に申し上げたような広域的な取り組み、そういったものをもとにしまして、長期的な展望を持って延伸をぜひ実現していただきたいと思います。この交通不便地域の解消にためにも、検討といっても、実現するための方策を考える、そういった検討であることを期待いたします。
 次に、都立高校に関してお伺いをいたします。
 高校時代というのは、非常に多感な時期でありまして、その後の人生においても大きな影響があると考えております。都立高校に進学した生徒たちも、それぞれ入学した高校のその独自のカラーというか、伝統というか、そういったものに染まって卒業されていく、そういった生徒さんも多いのではないでしょうか。
 進学率や偏差値がその学校のカラーというわけではなく、その学校が持つ雰囲気というか、三年間を通じて、先輩、後輩あるいは学校の先生、そういったさまざまな人間関係の中で植えつけられるこの土台のようなものが、各学校のカラーとなっていくんだと思います。
 それぞれの高校には、独自のカラーというものがあり、都立高校も、さまざまなカリキュラムなどを通じて、いろいろな特色を出そうとはしていますが、もっと本当に強い、いろいろな特色が出てきてもいいのではないかと私は思います。
 これまで、都立高校改革の中で、都としても、各学校の特色づくり、そういったものを意識してきたものとは思いますが、改めてここで確認をさせていただきます。都立高校の特色化について、都の教育委員会ではどのように施策を進めているのでしょうか。

○大原教育長 生徒の進路希望や能力、適性、興味、関心に対応し、一人一人の個性を生かしていくためには、高校教育を、多様で柔軟性に富んだものとする必要がございます。そのため、都教育委員会では、都立高校改革推進計画に基づき、総合学科高校や不登校経験者を積極的に受け入れるチャレンジスクールなどの新しいタイプの高校の設置、進学指導重点校や基礎学力の習得と体験学習に力を入れたエンカレッジスクールの指定などを行ってきました。
 また、全都立高校において目指す学校像を明らかにするとともに、教育活動の目標とその実現に向けた具体的方策を示す学校経営計画を策定することとし、都立高校の特色化に向けた自律的改革を進めております。今後とも、こうした取り組みを通して、都立高校の一層の特色化を推進してまいります。

○淺野委員 もちろん、時間がかかる、一朝一夕でできるものではないと思いますので、ぜひ継続して取り組んでいっていただきたいと思います。
 また、今いわれたようなカリキュラムを遂行するためには、理想的には、やはり校長を中心とするピラミッドというような組織体になっていることが望ましいと私は思います。校長が人事権をちゃんと掌握し、ただ、その校長が一方で暴走をしないように、都の教育委員会としてそれをしっかりチェックしていく、そのような体制が理想的だと考えております。
 こうして考えると、先ほども申し上げましたが、学校のカラーというのは、今の答弁にあったようなカリキュラムはもちろんですけれども、そこにいる人がつくるというところも否めないのではないでしょうか。
 私自身の経験からいわせていただきますと、先生方というのが非常にその学校のカラーを構成している大きな要素でもあったと思っております。マック、アンカー、ジャガー、これはすべて私の高校時代の先生のニックネームです。このようなニックネームだけでも、十歳とか二十歳とか上の先輩方と共有できる情報になっています。
 初めて会った卒業生とも、共通の先生がいればそれだけで話題が通じます。それは私の高校の先生は、非常に長くいらっしゃった方が多かったからでありますけれども、今の都立高校は、さまざまないきさつがあって制度が変更されてきたことは認識しております。
 現在は、都立高校にいらっしゃる先生方は、通常六年以内で異動するようであります。ただ一方で、校長からの要請に応じて十年を超える延長もしているという話も聞いております。そこで、現在の都立高校で、六年以上同一高校に在籍されている教員はどのくらいいるのか。また、全体に対する割合はどの程度なのかもあわせて伺います。

○大原教育長 教員の人事異動は、教員に多様な経験を積ませることにより、資質、能力の向上を図り、学校の活性化を図るため、原則として、六年に達した者は異動させております。しかし、部活動指導や教科指導にすぐれた教員等については、校長の人事構想に基づき、在職期間が六年を超える場合でも柔軟な対応を行っており、中には十年を超える者もおります。
 現在、都立高校には、約九千人の教員が在職しておりますが、校長の具申に基づき、異動年限の六年を超えて引き続き同一校に勤務している教員数は、全体の約一割に当たる八百八十四人でございます。

○淺野委員 割合を伺いますと約一割、少し少ないかなと、もっと多い方がいいかなという気はいたします。ただ、大切なのは、その数字を合わせることではなくて中身だと思います。
 はっきり申し上げておきますが、いろんな教員の方々にも、さまざまな都合はあるとは思います。ただ、私が申し上げているのは、例えば、通いやすいからとか、生徒指導がやりやすいからと、先生側の労働環境を理由に長く在籍することがいいと、そういうことをいっているわけではありません。
 本当であれば、校長先生や、あるいは親御さん、生徒たちから、その先生にぜひ長くいてほしいという願いがあふれるくらいで、それが全体にあふれて、割合が多くなれば一番理想的だと思います。なかなかそうもいかないと思いますけれども、今後も、校長先生を中心として、校長の人事構想に基づいて、しっかりとした組織体になるように、人事権と人事に対する校長の発言権、こういったものも担保していただきながら、教育委員会としても、校長先生をしっかりとチェックすると同時に、さまざまな形で望まれる教員が多数となるような、そういった取り組みを期待したいと思います。
 次に、狂犬病対策について伺います。
 狂犬病予防法では、犬の飼い主は、自治体への登録と毎年の狂犬病予防接種が義務づけられております。ご存じだと思いますが、狂犬病は、発症すれば一〇〇%死亡する病気です。そして、世界でも、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、そしてこの日本と、実は、本当にごく一部の国だけが清浄国、全く汚染されていない状況を保っていられるだけで、ほとんどの国では、狂犬病の死亡例というのが発生しているわけであります。
 ただ、現状、東京都における飼い犬の登録数は、平成二十一年時で四十八万七千九百二頭、予防注射の接種率はそのうち七五%となっております。これまで国において、飼い主の負担軽減の観点から制度の改変がなされ、登録は一生に一回でいい、接種も年二回だったのが一回でいいというふうに改変されてきました。
 そういった制度の改変時期であった平成六年、こういったまでには、主に集合注射会場などで、毎年登録と予防注射を同時に行っていたため、接種率は実は平成七年次では一〇〇%を達成しておりました。しかし、以降、右肩下がりとなっております。
 狂犬病の流行を予防するためには、WHO、世界保健機構のガイドラインにおいて、少なくとも七〇%以上の免疫水準を常時確保することが必要だという話があります。とすれば、今この七五%という東京都の現状は、まさにぎりぎりの状況でありまして、予防注射の接種率を向上させていく必要があると考えます。
 接種率が下がっている背景と、今後の予防注射接種率の向上に向けた取り組みについて伺います。

○杉村福祉保健局長 狂犬病予防注射の接種率が下がっている背景として、日本では、昭和三十二年を最後に狂犬病の発生がなく、また、他の犬と接触の少ない室内飼いの犬もふえているため、狂犬病に対する飼い主や動物取扱業者等の危機意識が薄れていることなどが考えられます。
 都はこれまで、動物取扱業者に対しまして、販売時に犬の登録制度や予防注射の必要性について説明するよう、監視指導や講習会等において周知をしてまいりました。
 また、犬の登録等の事務を行っております区市町村や東京都獣医師会等と連携をして、動物病院でも、犬の登録や予防注射に関する手続が行えるようにするとともに、飼い主に対する普及啓発を進めてまいりました。
 今後、都と区市町村との間で検討会を新たに設けまして、犬の登録や予防注射が進むよう方策を検討してまいります。

○淺野委員 今、昭和三十二年を最後に狂犬病の発生がない。確かに日本国内で発生した例はないんですけれども、実は一九七〇年、ネパールから帰国した日本人一名、そして、直近では二〇〇六年、フィリピンから帰国した日本人二名が、同様に狂犬病を発症し、その三名はすべて死亡しております。近いのは平成十八年です。
 ちなみに、世界では五万五千人が死亡しているといわれております。うち三万人以上はアジア地域といわれておりまして、中国では、感染症の死亡の順位では二番目に多いのが、狂犬病が死亡原因となっております。そのぐらい、実は海に囲まれているので意外と安心してしまう、そして名前が狂犬病というので、それも安心する原因になっているかもしれませんが、哺乳類は基本的にほとんどうつる可能性を持っている病気でありまして、海外では、アライグマだとか、キツネだとか、あるいはネズミだとか、そういったものまで含まれている例もございます。
 今現状、ペットもたくさん、いろんな種類を飼っている方がいらっしゃいまして、私の近くにもフェレットを飼っている方がいらっしゃいますが、そういった方々も本当は狂犬病が発症するとうつってくる可能性があるんだと。ただ、日本の場合は犬が最も人にうつす可能性が高いということで、予防の鑑定をしております。
 ただ、実は、危機管理ということをやっていらっしゃる方はわかると思いますが、この対策を練るためには、本来は、現状の正確な把握が実は最も重要であります。しかしながら、このワンちゃんというか、ペットフード協会、つまり発売されているえさの方のデータから推測する数値は、実はもっと犬の飼養数が多いというデータがありまして、最大で、予防接種の接種率は四〇%まで落ちているともいわれております。
 つまり、現時点で既に半分を切っているというデータまであり、日本国全体で正確なものを把握しているところはどこもないというのが今の現状であります。
 これは、やはり実数把握というのをしっかりとやっていかなければならない、そのように思いますが、なかなかできない。では、その実数把握をやるために壁となる、障害となっている課題というのをどう認識しているか伺いたいと思います。

○杉村福祉保健局長 近年のペットブームを反映いたしまして、犬の登録数自体は伸びてきておりますが、登録しない方がいるのも事実でございます。例えば、近隣住民からの苦情をきっかけに、飼い主が登録を行っていないことが判明する場合などもございます。
 また、狂犬病予防法の改正によりまして、年一回の登録が、犬の一生涯に一回の登録に変更されたため、年度ごとの犬の動静を把握する機会が減り、転出した犬や死亡した犬がそのまま台帳に登録されている場合もございます。
 狂犬病予防法では、飼い主に犬の登録や転出等の届け出を義務づけており、飼養頭数の正確な把握には、何よりも飼い主がその責任を果たすことが重要であるというふうに認識をいたしております。
 都としては、今後ともあらゆる機会を通じまして普及啓発を図ってまいります。

○淺野委員 はっきり申し上げます。飼い主がその責任を果たすことが重要という答弁がありましたが、そのとおりだと思います。動物を飼うという自由をとるのであれば、その責任は必ず果たしていただく。それは非常に重要なことだと私は思います。
 そして、ただ、そうじゃない、ペットを飼っていない方の安全を守る、その取り組みも行政ではやらなければなりません。それがつらいところでありますが、手をこまねいているわけにもいきませんので、例えば、さまざまな団体グループもあります。獣医師会だけではなくて、そういったグループも含めて、あるいはドッグランなど、そういった設備を利用する方々、そういった方々も含めて、狂犬病予防接種とあわせて、この実数把握という取り組みを早急にしていただくことを要望しておきます。
 そして、実はこの狂犬病だけではなくて、実際に災害があったとき、地震があったときに、ではペットはどうするのかということも考えておかなければなりません。災害時は衛生状態も悪化しますし、避難されている方々は、それでなくても強いストレスを感じております。そんな中、先ほど申し上げたように、多種多様なペットを飼育されている方がいらっしゃって、そのような方々には、やはり平時から、いざというときにどうするのか、どうしておかなければならないのかという心構えや準備をしておいていただかなければなりません。
 また、一方、行政としては、災害時にペットとの同行避難、つまり一緒に避難されてきた方にも対応をしなければならないということもあります。これは基本的には、区市町村の役割ではありますが、区市町村とはいえ、居住区域で必ず被災するというわけでもありませんので、これは広域自治体である東京都として、避難所におけるルールなどのガイドラインを整備して、区市町村に徹底していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○杉村福祉保健局長 都では、飼い主の責任について説明をした小冊子の中で、災害発生時には動物と一緒に避難することや避難所ではケージで飼養するなど、他の避難者に配慮することなどを取り上げ、周知を図っております。
 また、東京都が定めております避難所管理運営の指針の中に、避難所における動物の飼養場所の設定等について盛り込み、災害時のマニュアルづくりの参考とするよう、区市町村に働きかけております。
 引き続き、区市町村や東京都獣医師会と連携し、災害時の対応について、飼い主への普及啓発を進めるとともに、区市町村に対しまして、避難所等における動物の保護や適正な飼養方法を定めたマニュアルの作成を支援してまいります。

○淺野委員 先ほど申し上げました飼い主の義務という話をしましたが、この避難所管理運営の指針の中に、避難所ペット台帳というものがありまして、その中の備考欄には、実は、(登録、ワクチン接種の有無など)という欄があります。
 私は、こういう姿勢が優し過ぎるんじゃないかという気はいたします。はっきりいって、登録、ワクチン接種は法で定められた義務ですから、やってなければ避難所では受け入れられませんと突っぱねるぐらいのことを、ふだんはやっておく必要があると思うんですね。
 平時に用意されている台帳に、それをわざわざ確認しますと書いてあることは、もちろん確認はしますけれども、なければ受け入れられませんという注意書きがあるとか、そのぐらい厳しい姿勢で臨んでいただいていいのではないでしょうか。ぜひご検討ください。よろしくお願いいたします。
 さて、今、ペットについても話しましたが、医療についてだけ、一言だけ意見を申し上げたいと思います。
 きのうの我が会派の門脇委員の質問でも触れられ、またきょうの質問の中でも、病院の耐震化について触れられておりました。この「十年後の東京」で病院の一〇〇%耐震化を掲げている東京都も、その実現に鋭意邁進していただいていると思います。
 現状は、さきの質問でも説明されておりましたので割愛いたしますが、今回特定緊急輸送道路の沿道建築物、そういった耐震診断を義務化し、耐震化を促進していくと同時に、やっぱり病院も受け入れ先なわけですから、そういったさまざまな課題を抱えている病院はたくさんありますけれども、何とかこの病院の耐震化も早期に実現をしていただきたいと思います。
 こういった課題をクリアするためには、都としても、複数の局が連携して取り組んでいくことも必要になると私は思います。病院だから福祉保健局というわけではなく、例えば、代替地がないという問題については、財務局やさまざまな局が協力していかなければなりません。しかし、その交渉を病院がそれぞれやるのでは、なかなか難しいのではないでしょうか。そういった病院からの相談を、ワンストップで受け付けるなどの取り組みを検討してもいいと思いますので、ぜひそれも考えていただきますよう要望いたします。
 また、国も現在、補正予算でこの耐震化予算をつけているため、病院側にとってもじっくり腰を据えて取り組むことが難しい、利用しづらいという状況にもなっているようです。これは、せめて三年でもいいから本予算をつけていただくように、我々都議会民主党からも働きかけさせていただきますが、東京都としても要望していただきたいと願います。
 次に、障害者雇用について申し上げます。
 東京都の公的機関は障害者の法定雇用率をすべてクリアしており、これまでの東京都としての取り組みを高く評価させていただきたいと思います。
 きのうの我が会派の今村委員の指摘にあったこの教育委員会も、一応きのうの答弁の中で、門戸を広くあけ、これからも取り組んでいける、そういっておりましたので、ぜひいろんな課題があると思いますが、頑張っていただきたいと思います。
 ところで、民間の障害者雇用の状況を見させていただきますと、二十二年六月一日現在で、一応過去最高にはなっておりますが、千人以上の会社でも一・八七%、それから人数ごとにだんだん下がっていきまして、百人から二百九十九人の規模の会社では一・〇一%という状況でありました。これ、規模が大きいほどさまざまな職種があったり、分業化されていたりで、雇用は促進されているようではあります。
 そこで、私が気になりましたのが監理団体であります。報告団体もありますが、まずは監理団体については、これは日ごろより東京都としても連携をとって事業を行うパートナーでもある、そうおっしゃっているから、これは民間団体ではありますけれども、都に準じる公的な団体だと私は思います。
 当然、こういった障害者雇用などの分野でも、その団体の事業に直接かかわらないということではありますが、東京都として推進していることについては達成しておいてほしい。東京都から改めていわれなくても、既に達成しておいてほしいという思いもありますが、今現在の監理団体の障害者雇用の現況はどうなっているのか、また、今後、監理団体の障害者雇用に都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○比留間総務局長 都はこれまで、障害者の雇用に計画的に取り組んできておりまして、都政のパートナーである監理団体についても、同様に取り組むよう指導を行ってまいりました。
 平成二十二年六月一日現在でございますけれども、障害者雇用促進法で報告義務のある二十団体では、すべての団体で障害者雇用に向けた取り組みを行っているものの、法定の雇用数を満たしている団体は六団体にとどまっております。
 今後、法定雇用数を満たしていない団体に対し、バリアフリー化などの職場環境の整備や障害者に適した職務内容の見直しなどを行い、ハローワークなど関係機関とも連携を図りながら、それぞれの実情に応じて、障害者雇用の取り組みを強化するよう働きかけてまいります。

○淺野委員 実は、この算定基礎となる雇用人数で見てみましても、監理団体というのは、今いったこの二十団体、一部を除いて百人から五百人の間、そういった人数規模のところが多いわけであります。
 先ほど紹介いたしました民間企業のデータでもわかるように、こういった規模の団体というのは、雇用率を上げていくことは大変難しい状況にもございます。とはいっても、各民間企業や団体に協力を求めている、そういった立場の行政としての立場からすれば、側近ともいえる監理団体には、まず達成しておいてもらう、そういったことが必要だろうと思います。
 監理団体には、職員のOBの方が行っているところもありますから、こういった指摘をされる前に達成しているように、また、これは障害者雇用だけでなく、ほかの分野においても、東京都が民間企業、団体に協力を求めていることには、できる限り監理団体は率先垂範で協力しているといえる体制を築いていただきたいと思います。
 最後に、服務規程、特に飲酒運転について伺います。
 平成十八年八月の福岡市職員の飲酒運転死亡事故以来、飲酒運転に対する社会の目は厳しくなっておりますが、道路交通法でも罰則規定が強化されております。しかし、もう四年半以上がたった今日でも、いまだに飲酒運転はなくならず、昨年のこの東京都職員にも、二件の飲酒運転による処罰がありました。
 そこで、総務局として、職員の飲酒運転の防止に具体的にどのように取り組んできたのか、見解を伺います。

○比留間総務局長 飲酒による非行は、都民からの信頼を著しく損なう、公務員としてあってはならない行為でございます。
 都は、職員の非行について、処分の程度と責任を明確化した懲戒処分の指針を平成十九年に改正し、その中で飲酒運転や飲酒運転の原因となった酒類提供などの行為については、処分の程度をすべて免職または停職とし、厳正に対応するとともに、この指針の趣旨を職員に徹底するよう努めてまいりました。
 また、汚職等非行防止研修の実施や、全庁的な服務規律の周知徹底など、さまざまな機会をとらえ、飲酒運転の防止について、職員に強く自覚を促す取り組みを行ってまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを継続強化し、非行の未然防止に努めてまいります。

○淺野委員 厳正に対応していただいていることはわかりました。
 ただ、都民の目から見て、実はこの公務員の処罰の軽重というのがわかりづらくて、停職が何日というのが結構重いんだということがわかっていない人もたくさんいらっしゃいます。ですから、何よりも起こさないことが大切なんですね。
 ですから、厳しくするだけではなくて、例えば、タクシー会社の連絡先を書いたカードを常に財布に入れるような取り組みだとか、未然に防げるような指導の仕方も考えていただきたいと思います。
 また一方で、こういった自分の意思で防げるミスではなくて、だれにでも起こり得るような間違いや、あるいはケアレスミスといったものについては、むしろ寛大にした方がいいと私は考えております。
 そうしておくことで、さまざまな間違い、情報、ミスの連絡体制、そして、それが報告がちゃんとしっかりされれば、より強い組織、そういった間違いを二度と起こさない強い組織になっていくと思いますので、そういったところをぜひ考えた服務規程を、さらなる運用を求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。(拍手)

○泉谷副委員長 淺野克彦委員の発言は終わりました。

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