予算特別委員会速記録第三号

○山下委員長 中屋文孝委員の発言を許します。
   〔委員長退席、高橋副委員長着席〕

○中屋委員 自民党の中屋文孝でございます。
 まず冒頭に、先般、ニュージーランド地震におきまして被災されました日本人の方々、またご家族の方々にお見舞いを申し上げるとともに、まだ不明者の方々が残っております。一刻も早い救出を願い、信じております。
 それでは、知事並びに関係局長に対しまして質問をさせていただきたいと思います。
 石原知事は就任以来、困難といわれました東京都の難しい諸課題を改革断行してまいりました。これは、石原知事だからこそ私はできたものと思います。また都民の多くが高い評価をしておるところだと思います。
 例えば、新しい公会計制度の導入や羽田空港の国際化、認証保育や東京マラソン、それから、私が当選した当時、ディーゼル車排出ガス規制の問題を、知事の政治力を遺憾なく発揮して解決されたということは、今でも忘れません。
 特に、知事がみずから官邸に乗り込みまして、当時の、日本の大変支持率の高かった石原知事と、また、その小泉純一郎総理のもとに参りまして、私はこの東京の空をきれいにするから、あんたも総理として協力しろと。こういう強い知事の姿勢に、都民はどれほど感動し喜んだことか、これはもう忘れることができません。
 また、実現はされなかったものの、平成十四年のカジノ構想はすばらしい着眼であったと私は思います。そのカジノにつきましては、できれば実現をしたいわけでありますけれども、なかなか法改正等々の難しいことがございます。もし、今この時代にカジノを行っていれば、雇用の問題や観光誘致の問題、そして何よりも経済効果が莫大であるということは、これはいうまでもありません。私も、自民党の中のカジノ議連の一員といたしまして、今後も強くそのカジノの実現に向けて活動を続けていきたいと思います。結果的には、あの知事の取り組みというのは、今は国を動かしつつあると私は思っています。
 一方で、国政はリーダー不在の中で、議論がすぐに、制度をどうするかとか、国と地方の権限、財源の配分をどうするのかといったような形についての議論に終始しているようであります。国民にとっては、むしろ改革に一体どのようなメリットがあるのか見えにくくなっております。
 私は形ではなくて、石原知事が進めてこられた現場発の改革こそが、日本を再生させていくものと思います。
 知事は、まさに東京から日本を変えてきました。首都東京の担う役割と行政運営のあり方につきまして、ここで知事の所見をお伺いさせていただきたいと思います。

○石原知事 私がやってきましたことについて過分のご評価をいただきましたが、本来なら、これは行政という現場を預かる政治家が、国だろうと地方であろうと当然すべきことでありまして、そのために経験も積んできた職員がおり、また、多くの人から選ばれた議員が構成する議会もあるわけでありまして、それが、どうも場所によっては、特に国は今日そのていたらくでありますけれども、十全に機能しないというのは本当に残念な話で、一体混乱している行政というものをどのエネルギーが動かしているのか、これは実に場当たりな個人の欲望というのは、実は政治家を、政治をゆがめているという感じを否めません。
 この東京に関して申しますと、この東京は江戸、明治を通じて先人たちの努力と英知によって築かれて、今日世界有数の大都市になりました。特に、古い話でありますが、元禄時代という成熟し切った江戸時代の文化というのは、これは相対的に世界に比類のないものでありまして、あのとき、日本人は数多くの創意に満ちた新しい発見、開発というのをいたしました。
 例えば抽象経済デリバティブを含む先物買いの経済は、日本人が、イギリスなどより百年先んじてやった事業でありますし、また、江戸の数学者の関孝和は、ライプニッツよりも五十年、ニュートンに比べれば九十年先に微分積分のような数学を考えついております。
 そういった歴史を背景に今日の東京はあるわけでありまして、その間、震災や戦災という未曾有の事態に遭遇しましたが、皆さんのお力を合わせて奇跡的によみがえってまいりました。
 また、今日でもなお日本のゆがみ、ひずみ、日本の危機が一番先鋭にあらわれてくるのは、これだけ集中、集積の進んだ、繰り返して申しますけれども、日本の心臓部であり、頭脳部であるこの東京でありまして、そういう意味でも、大気汚染であるとか交通渋滞、地球温暖化などの問題が、私たちの課題として責任のある行政というのは待ち受けて構えているわけであります。
 こうした過程で、東京は現場として蓄積してきた豊かな経験や最先端技術、あるいはそれをつかさどる多種多様な人材があるわけでありまして、これが活用されることで難局を乗り越えていけるものと思っております。
 今後も、例えば大都市の実情を踏まえて創案した、先ほどご指摘の認証保育所でありますとか、あるいは東京にひしめいている中小企業を救うための、いわゆるハイリスク・ハイリターンのジャンクボンドマーケット、日本の言葉でいえば社債担保証券、ローン担保証券、これは一兆近いマーケットになりました。こういったものは、東京という現場ならではの発想で出てきたものだと思います。しかし、国の役人に現場感覚があれば、こんなものはとっくに国がやらなければいけないことだと思います。
 また、昨今の地域主権、道州制、広域連合といった議論は、いろいろ言葉を変えてかまびすしいですが、とっくにこの東京を中心にして神奈川、埼玉、千葉県という、この四県だけは、広域行政というものを多岐にわたって展開してきたわけでありまして、こうした実情を見ますと、やはり力のある地方というものは、やっぱり新しい発想で、新しい事業を展開し、行政を展開することで、日本が変わっていくものだと思っております。
 まさに東京は、その先頭に立たなきゃなりませんし、今、大阪と、今度新しく誕生した愛知県の知事と名古屋の市長が云々してますが、メディアは不勉強だから、またこれについて新しいことだと飛びついていますが、あんなものは実は首都圏ではとっくにやっていることですから、そのうちにJR東海が、葛西君が本当にその気になるならば、会社の、要するに財政を運用して、東京と大阪をドア・ツー・ドアで五十五分で結ぶ、名古屋経由で、リニヤを完成したなら、これはもう言葉のあやだけではなくて、まさに東京から名古屋、そして大阪という太平洋沿岸の工業ベルト地帯が一体化するわけでありまして、こういったものを私たちは念頭に置きながら、東京の存在感をさらに確かなものに築き上げていく必要があると思っております。

○中屋委員 今、知事から、言葉は静かでありますが、大変力強いご答弁をいただきました。首都東京は、世界の範として今後とも成長していかなければなりません。そのために、石原知事とスクラムを組んで、さまざまな課題、問題を乗り越えて、次代の子どもたちに安全・安心の東京をつくり、残してまいりたいということを申し上げたいと思います。
 続きまして、東京都の宝くじにつきまして、何点か質問させていただきたいと思います。
 東京都の宝くじ収入は、二十三年度予算で六百五十五億円を計上しております。金額では、個人事業税収を超える東京都の貴重な財源となっております。
 宝くじの収益金は、公園整備、河川整備のほかに、最近では認証保育所、少子化対策などにも使われております。現在、税収が落ち込む中、地方独自の財源として、宝くじの収益金を確保していくことがいかに重要かということがわかります。
 宝くじは不況に強いとよくいわれておりますが、残念なことに、この五年間は収益金が一〇%以上も減少しておりまして、大変厳しい状況が続いております。
 また、この三年連続して宝くじの売り上げが減少しておりますけれども、その原因をどう分析しているのか、お伺いをいたします。

○安藤財務局長 都内の宝くじの売り上げは、平成二十一年度は千四百五十二億円で、前年度に比べ六%、九十二億円の減となっておりまして、二十二年度も年間販売額の約二割を占めます年末ジャンボの売り上げが対前年度で三十億円の減となるなど、厳しい状況が続いております。
 受託銀行からの報告では、売り場に来るお客様の数自体は例年同様でございますが、例えばこれまで三千円で十枚買っていたが、今は三枚買って千円でおつりを受け取っていくお客様がふえているというふうに聞いておりまして、宝くじ購入者層の高齢化も相まって、購入単価が減少しているのではないかとも考えております。
 また、平成十一年にジャンボ宝くじの一等賞金が二億円となりまして、一等前後賞合わせた賞金が三億円になって以降、一等賞金の引き上げが行われておりませず、サッカーくじなどと厳しい競争の中にありまして、宝くじの商品としての魅力が薄れていることも原因の一つであると考えております。

○中屋委員 経済不況であれば、当然財布のひもがかたくなるのは仕方のないことでありますが、平成十一年度からずっと一等賞金が同じというのは工夫がございませんし、魅力ある宝くじという面では少々問題があるのではないでしょうか。これからどんどん魅力ある商品、売れる商品をつくることが重要だと思います。
 実は、私も、売り上げが減少傾向にあることを心配しておりまして、一昨年の第四回の定例会の一般質疑では、売り上げの向上に向けて、当たりやすいくじの本数をふやすとか、思い切って五百円くじなど、新たなことを提案をさせていただきましたけれども、二十二年度にも売り上げ向上に向けた新たな取り組みを進めたようでありますが、その成果についてお伺いをいたします。

○安藤財務局長 中屋委員からもご提案がございましたが、宝くじの発売団体で構成する全国協議会でさまざまな議論を行いまして、二十二年度から、売り上げ回復を目指して、宝くじの魅力をさらに向上させる取り組みに着手をいたしました。
 まず、昨年七月に、当たりやすいくじとして、一等が一千万円の一千万サマー宝くじを発売いたしました。一千万円が当たりやすい新商品ということで好調な売れ行きとなり、全国では計画の二割増の売り上げとなったところであります。
 また、九月には、多様な賞金条件が設定できるくじとして、一枚五百円の宝くじを発売いたしました。一等賞金はジャンボ宝くじと同額の二億円ながら、当せん確率をジャンボ宝くじの五倍にしましたことから、この五百円くじの売り上げは、二十一年度の同時期に発売されたくじに比べまして全国で八割増と大きく増加をいたしました。
 このように新商品の売り上げが好調でございましたが、その他の既存商品は苦戦をしておりまして、二十二年度全体の売り上げでは、前年度比五%程度のマイナスが見込まれているところであります。

○中屋委員 売り上げが不調なときにいろいろとチャレンジする、健闘したということは、私も提案した一人といたしまして大変うれしく思っておりますが、いろんな要因があるようでございますね。
 ただ、先ほどの答弁では、年末ジャンボの売れ行きも悪い、今年度の売り上げも厳しい状況が続いているということでありますけれども、つまり全体的なマイナス傾向は結局変わっておらないと。ここは、知恵を絞って、宝くじ全体の売り上げを伸ばす取り組みが不可欠であろうと、こんなふうに思います。
 例えば、サッカーくじのtotoでは三億円、六億円という数字が躍っておりますけれども、宝くじは十年以上三億円のままとあっては、これは見劣りするのは否めないわけであります
 一等賞金の引き上げなどを含めて、二十三年度には売り上げ向上に向けてどのような方策を考えているのか、お伺いいたします。

○安藤財務局長 実施をいたしましたアンケート調査によりますと、宝くじファンの方は、高額賞金の宝くじを望む一方で、当たりやすい宝くじの発売を望んでいるということのようでございます。
 都が中心となり、全国協議会で全国自治宝くじの発売計画について協議、決定しておりますけれども、二十三年度は、まず当たりやすい宝くじとして、五月に発売するドリームジャンボ宝くじでは、一等賞金は変えずに、特別賞百万円が一万八百本当たるというように、中間賞金を充実する予定であります。
 また、今まで一枚二百円しかなかったスクラッチくじでは、百円スクラッチくじを新たに発売して、宝くじ売り場に気軽に立ち寄って、宝くじの楽しさを感じてもらえるようにするとともに、ロト6の抽せんを四月より、これまでの週一回一抽せんから週二回抽せんにふやしまして、二億円のチャンスを、当たるチャンスを倍増するということなどでございまして、商品性を高めた魅力ある宝くじを発売して、売り上げの回復を図ってまいります。
 さらに、年末ジャンボ宝くじにつきましては、中間賞金を減らすことなく、一等前後賞合わせて三億円の最高賞金額を引き上げる予定でありまして、今後、賞金額などの具体化に向けて関係団体や国と協議をしてまいります。

○中屋委員 いずれにしても、売り上げを伸ばすために、都が中心となっていろいろな方策を考えているということは高く評価をしたいと思います。
 百円スクラッチなど、安くて買いやすいくじも必要なのは十分にわかりますけれども、やっぱり高額賞金が当たる宝くじも必要だと思います。現に、一等賞金を一億円から二億円に引き上げたときは、平成十一年度ですけれども、何と一千億円も売り上げが伸びていると聞いております。
 現在、一等前後賞合わせて三億円の年末ジャンボの賞金を幾らにするのか。私は、思い切って五億円と一気に引き上げることで、ファンの心をつかんでくるのではないかと思います。
 もちろんこの賞金を幾らにするかというのは、許可をする総務省、また、他団体との調整が必要だということは聞いております。これからも、その宝くじを愛するファンが納得して喜ばれるような商品をこれからも考えていただきたいと、こんなふうに思います。
 また、世の中は、今後、高齢化が進んでまいります。購入者の減少が見込まれる将来を見据えて、私は、これからもっといろいろな層にアピールをしていく必要があると思います。特に若い方々も含めてでございます。すそ野を広げていくということが大事であります。
 例えば、視点を変えますと、観光に来た外国人観光客にも買ってもらうような宝くじも一つの方法であるというふうに思います。
 今、一年間に約四百七十六万人の外国人が、この東京に訪れております。その方々の記念になるようなくじがあれば、盛り上がってくるのではないかと思います。
 ほかにも、宝くじの購入が比較的少ない女性を取り込むことも重要であろうかと思います。売り上げを、例えば女性の特有の問題に役立てられるような工夫をするとか、PRするとかによりまして、将来の安定的な購買力を確保する上でとても効果的であると私は思っております。
 そこで、外国人、女性など、これまで余り宝くじを買っていない層に対して販売を強化する必要があると思いますけれども、所見を伺います。

○安藤財務局長 宝くじの売り上げを伸ばすためには、新たな顧客の掘り起こしが必要でありまして、昨年の年末ジャンボでは、新しい取り組みとして、若年層の女性をターゲットといたしましたプロモーション活動を行いました。
 二十三年度におきましても、対象や目的を明確にした宣伝広告や宝くじの図柄を利用して女性の関心の高い施策をPRするなどにより、引き続き新規顧客の獲得に努めてまいります。
 さらに、安定的な宝くじ収入を確保するため、中長期的な視点からも、若者を初めとする新たな購入層を取り込めるような新商品や新たな販売方法について検討してまいります。
 また、東京を訪れる多数の外国人の方々にも宝くじを買ってもらうことも、新たな顧客の獲得という面では可能性がございます。例えば多くの外国人の方が訪れる観光名所を中心に販売するといった販売戦略も考えられるのではないかと思っております。
 今後、売り場での外国人対応や外国人向けのPR方法など、さまざまな課題も含めて検討してまいりたいと思います。

○中屋委員 外国人観光客に宝くじを売るためには、外国人対応ができる販売所の整備だとか、外国人も買いやすい多言語のくじを発売する必要があると思います。また、女性や若者に積極的に購入してもらうためには、気軽に買えるコンビニでの販売だとか、自宅で買えるインターネットの活用が有効だと私は思っています。
 宝くじ大国アメリカでございますけれども、買い物ついでに買えるコンビニだとかスーパーでの購入が当たり前になっております。
 魅力ある宝くじの開発とあわせて、多くの人が宝くじにアクセスしやすい環境のあり方についても今後検討していただくことを要望して、次の質問に移ります。
 子どもの体力向上と歩行の重要性について質問をいたします。
 ご承知のとおり、平成二十年度、二十一年度にすべての小学校五年生と中学校二年生を対象に行われました全国体力テストの結果、東京都の子どもの体力は、全国平均より大幅に下回る結果となりました。これは極めて憂慮すべき事態であります。
 そこで、実施開始から三年を迎えました平成二十二年度全国体力テストにおきまして、東京都の子どもの体力や運動能力はどのような結果となり、都教育委員会としてどのように受けとめておりますか、伺います。

○大原教育長 平成二十二年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果、東京都の小学五年生、中学二年生のいずれも、体力合計点が平成二十年度よりは増加いたしました。
 とりわけ小学五年生の都道府県別順位が、男子四十位から三十四位へ、女子が三十七位から三十二位へと、低位層から中位層へと上昇したことから、東京都の小学五年生の体力は向上傾向に転じてきたということができると思います。
 このことは、これまでの都教育委員会の施策が区市町村教育委員会や学校に浸透して、それぞれの取り組みが功を奏してきた結果と受けとめておりますが、平成二十二年度の中学二年男子の順位は、四十七都道府県中第四十六位と依然として低迷していることから、今後も引き続き危機感を持ち、まずは平成二十四年に全国平均に到達することを目標に、区市町村教育委員会と一体となって、子どもの体力向上に取り組んでまいります。

○中屋委員 若干ではありますが、東京都の子どもの体力に向上の兆しが見られるということは大変うれしく思っています。
 体力は、子どもの学校生活においても、大人の社会生活においても、必要不可欠な土台であります。屋台骨がしっかりしていなければ、勉強や仕事に打ち込むことはできないわけです。
 また、子どもの体力は、平均値や都道府県別の順位ではかるものでは決してありませんが、一つの指標として重要であります。全国的に見て、少なくとも人並み、平均点くらいは体力があってほしいというのが、だれもが願うところでございます。
 そこで、東京の子どもの体力向上に向けた都教育委員会の取り組みを伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、低下している子どもの体力を社会総がかりで向上させていくため、平成二十二年七月、総合的な子どもの基礎体力向上方策第一次推進計画を策定いたしました。
 現在、本推進計画に基づき、区市町村対抗による中学生東京駅伝大会の開催、すべての学校において、それぞれ特色ある体力向上の取り組みを行う一校一取り組み運動の展開、東京都体力向上努力月間における取り組みの強化等、具体的な体力向上策に着手しているところでございます。
 平成二十三年度は、都内公立小学校から高校に至るすべての児童生徒約九十四万人を対象に東京都統一体力テストを実施し、その結果を学校や児童生徒に還元して一人一人に自分の体力の現状を認識させ、より具体的な目標を持たせて体力の向上に取り組ませてまいります。

○中屋委員 近年、うちの周りでもそうでありますが、だんだんと子どもたちの遊ぶ場は減少いたしまして、ますますこれでは運動不足になってしまいます。
 子どもは、遊びや生活の中で、たくさん歩く、動くことによりまして、足の裏に土踏まずが形成されます。背骨を初め、足腰のしっかりとした骨格が形成されるものであります。
 近年増加する、キレる子、ニート、ひきこもりや暴力行為が問題となっておりますけれども、小さいころからしっかり動いていないことが、脳の発達に悪影響を及ぼした結果ではないかと私は推測をしています。
 走ることというのはスポーツの基本であるように、子どもたちが心身ともに成長していくには、まず歩くことを生活の基本とすべきであると考えます。
 よく大人は、一日に一万歩歩くことが生活習慣病の予防になるといわれておりますが、先般、総合的な子どもの基礎体力向上方策の中で、日常生活において子どもに一日一万五千歩と目標値を具体的に明示いたしました。このことは新聞などでも報道されております。
 そこで、子どもの生活習慣や運動習慣のガイドラインを一万五千歩と定めた意図と取り組みについて伺いたいと思います。

○大原教育長 我が国では、先進諸外国と異なりまして、児童生徒の日常的な身体活動の目標値や、いつ、どの程度運動を行うべきかという具体的な指標が定められておらず、保護者や教員、児童生徒のよりどころとなる運動指針の策定が急務でございました。
 このため、子どもの体力向上推進本部において具体的運動指針を検討した結果、児童生徒の体力向上に必要な一日の身体活動量を、歩数では一万五千歩、運動時間ではおおむね六十分ということをガイドラインとして規定いたしました。
 都教育委員会は、平成二十二年度からモデル校において、ガイドラインを目標として基本的生活習慣や運動習慣の改善を目指した実践的な研究を行ってきており、平成二十三年度には、児童生徒の日常の生活活動量の客観的なデータを得るため、歩数計による実態調査を実施することとしております。

○中屋委員 歩行は、体づくり、健康づくりの基本であります。一万五千歩という具体的な数字を挙げたことは、私は非常に画期的なことだと思います。ぜひとも子どもたちには、正しい歩き方、歩きの質の高さを、この時期だからこそしっかりと身につけて学んでほしいと願っております。
 そのためには、専門的な見地から指導を受ける必要があると私は思っております。日ごろから正しい歩行を教えている、骨と筋肉の専門家でもあります東京都柔道接骨師会の先生方とぜひ連携を図って、正しい歩き方の学習や体力向上の取り組みを行うべきではないかと考えますけれども、所見を伺います。

○大原教育長 これまで都教育委員会は、児童生徒に必要な身体活動量のガイドラインを一日一万五千歩と規定したことを踏まえまして、東京都柔道接骨師会等と連携を図り、正しい歩き方についての教員研修会や小学校における児童向けの実技講習会を開催してまいりました。
 今後とも、都教育委員会は、こうした専門機関と連携を図り、歩行の重要性と正しい歩き方の普及を通して、児童生徒により効果的な歩き方を身につけさせ、その身体活動量を高めていくことにより、体力向上の実現に努めてまいります。

○中屋委員 ぜひ、未来を担う子どもたちには、しっかりとした力強い歩みによって健康と体力を取り戻してほしいと申し上げて、次の質問に移ります。
 防災対策について伺います。
 東京都の被害想定によりますと、首都直下型地震が発生いたしますと、死者は六千人を超え、十二万棟を超える建物が倒壊し、避難民は最大で三百九十万人に及ぶとされております。
 昨年八月、石原知事を中心にされまして、文京区との合同防災訓練を行いまして、大きな成果を上げたところでありますけれども、そこで、地域の防災力をさらに強化するという自助の視点から、区境、市境に居住する住民の方の避難について伺いたいと思います。
 震災で家を失った住民は、区市町村が定める避難所に避難することになっております。実は隣の区市町村の方が近い方も大勢いるわけでございます。既に、都内区市町村では、被災住民の受け入れなどにつきましては相互応援協定を締結しておりますけれども、いざ発災したとき、こうした協定が実際に機能するかは、日ごろの訓練が欠かせません。
 このような地域の特性を踏まえまして、都としても、区境、市境の住民の連携訓練に積極的に取り組み、区市町村を支援すべきと考えますけれども、見解を伺います。

○比留間総務局長 昨年八月の文京区との総合防災訓練では、幹線道路における防災機関の大規模な連携訓練に加え、住民が区内の避難場所に避難する訓練も行いましたが、今後、区境に居住する住民が、安全のため、隣接する区市町村の避難場所に避難する実践的な取り組みを強化することも重要でございます。
 現在、特別区相互間及び市町村相互間においては、災害時の応援協定を締結しており、今後、こうした連携を区と市が接する地域に拡大をいたしますとともに、協定が災害時に実際に機能するよう訓練を積み重ねていく必要がございます。
 都といたしましては、区市町村、警察、消防、自衛隊等が参加する全機関会議などの場で、区市町村による近隣自治体との連携訓練の推進を働きかけますとともに、総合防災訓練においても、区境、市境を越えた避難誘導や避難住民の受け入れ訓練に取り組むなど、区市町村を支援してまいります。

○中屋委員 ぜひ見逃されがちな区境、市境によろしくお願いを申し上げます。
 次に、東京には、近隣の県から通勤通学者や買い物客が、膨大な数の人が集まってまいります。例えば、外出先で被災する人は約一千百万人に及ぶとされまして、この中には高齢者や外国人なども多く含まれると考えられます。
 こうしたさまざまな立場にある膨大な外出者が無事に帰宅できるようにするためには、国や関係する自治体が広域的に連携するとともに、事業者の大きな組織力を生かして対策を進めていくことが極めて重要であります。
 都はこれまでも、帰宅支援ステーションの確保や駅前滞留者対策訓練の実施など、民間事業者初め、関係団体と取り組んでまいりましたけれども、今後さらに外出者対策を推進するためには、都だけではなくて、国や近隣の自治体を巻き込んで、さまざまな事業者団体に対して広く協力を求め、一丸となって取り組んでいくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○比留間総務局長 首都直下地震の被害想定では、お話のように、地震発生時最大一千百万人が外出先で被災すると想定をしております。
 都はこれまで、徒歩帰宅者への支援ステーションの確保やターミナル駅の滞留者対策などに取り組んできましたが、膨大な外出者が安全に帰宅できるようにするためには、都だけではなく、国や近隣自治体、民間事業者を含めた幅広い取り組みが必要でございます。
 このため、都県境をまたがる帰宅道路に関する情報提供体制の整備や、帰宅が困難な外出者が一時的に宿泊できる民間を含めた施設の確保など、総合的な外出者対策の推進に向けて、今後、国を初め、関係自治体や事業者団体等に対し、これらの対策を検討する機会を設けるよう働きかけてまいります。

○中屋委員 次に、水道事業の震災対策について伺います。
 大地震が起きたときに一番困るのは、飲み水とトイレといわれておりますけれども、水について伺います。
 我が国の過去の震災を見ても、特に水道管路の被害が多いことはわかります。都の水道管路は地球の半周を超える延長があるため、その耐震化は一朝一夕に進むものではありませんが、大地震発生の危険性が高まっていることも考えると、管路の耐震化を強力に進めるべきであります。
 そこで、現在の水道管路の耐震化に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○尾崎水道局長 水道管路につきましては、靱性や強度のすぐれたダクタイル鋳鉄管への取りかえをほぼ完了していますが、平成七年の阪神・淡路大震災において、管路継ぎ手部の抜け出しによる断水被害が多発しましたことから、平成十年度から、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への全面的な取りかえを進めております。しかし、都の水道管路は、延長は約二万六千キロメートルと膨大なため、平成二十一年度における耐震継ぎ手率は二六%となっております。
 こうしたことから、今年度より、地震による断水被害の縮小と復旧日数の短縮を目的として、管路の耐震継ぎ手管への取りかえを大幅に前倒しする水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業に鋭意取り組んでおります。この事業により、十年後の耐震継ぎ手率を四八%に向上させ、平常給水までの復旧日数を、これまでの三十日以内から二十日以内に短縮いたします。

○中屋委員 もう時間がなくなりましたが、東京の水道は、原水から蛇口までの総合的な水運用、料金徴収などの面で世界一の技術を誇ります。
 今後も、都民の安全・安心の確保と首都東京の発展に貢献する水道づくりを着実に進めていただくことを要望し、私の質問を終了いたします。(拍手)

○高橋副委員長 中屋文孝委員の発言は終わりました。

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