予算特別委員会速記録第七号

○酒井委員長 次に、西崎光子委員の発言を許します。

○西崎委員 まず初めに、小児医療について伺います。
 これまで、小児医療や周産期医療については、医師、看護師不足など、医療体制の強化や充実を図ることが課題とされてまいりました。生活者ネットワーク・みらいは、多摩小児総合医療センターの開設に伴う三つの病院の統合に当たって、移転後の地域住民の理解が得られるまで廃止しないことを求めてまいりましたが、現状としては、三月十六日、三病院が廃止されています。そこで、確認の意味で何点か伺いたいと思います。
 当初、清瀬病院を利用していた人や地域からの声を聞いてみますと、これまでの医療の確保はできるのか、また、夜間救急体制や近隣病院の今後の受け入れ体制などに、多くの人たちから不安を感じていると声が寄せられていました。
 都は、十二月の本会議の答弁では、清瀬小児病院移転後は、多摩北部医療センターに医師、看護師の増員を行い、小児救急医療体制を二系統にするとともに、今後の入院患者の需要を見きわめ、その動向に応じた病床運営ができるよう、人員の確保や院内体制の整備を図ると答えています。
 そこで、この答弁以降の清瀬小児病院移転後の対策と現状について伺います。

○中井病院経営本部長 これまで多摩北部医療センターでは、小児科病床数を整備拡充し、三十五床体制とするとともに、これに見合った医師、看護師等の増員を行うなど、清瀬小児病院移転後の北多摩北部地域の救急、入院医療機能の確保、充実を図ってまいりました。
 その結果、清瀬小児病院の移転前後においても特段の問題は生じておらず、多摩北部医療センターの体制強化や地域の医師会、中核病院などとの連携協力などが円滑に機能し、地域の需要に十分対応できている状況にございます。

○西崎委員 ことしになって新型インフルエンザが下火になったことも、混乱を起こさなかったことの一つの理由に考えられると思いますが、今後は、予期せぬことがいつ起こるかもしれないという万全の体制で進めていく必要があると考えます。地域にとって、NICUがある大きな小児救急病院が移転し、このエリアにNICUを備えた施設がなくなったことは、不安を募らせている点でもあります。
 都全体で、今後三百二十床にふやしていくことになっていますが、まだ具体的な計画は示されていません。まずは、周産期連携病院である公立昭和病院などに認定NICUを設置できるよう支援していくことを要望します。
 次に、重度障害児対策について伺います。
 八王子小児病院においては、重度障害を持つお子さんたちが周辺に移り住んでおり、障害児を持つ親御さんにとっては、都立病院の存在は命綱でもあり、今後も今まで以上に適切な治療を受けることができるのか、大きな不安になっていました。
 これまで、八王子小児病院を受診していた重症心身障害者の患者さんの受診先について、適正なフォローアップ体制がなされたのか、伺います。

○中井病院経営本部長 年齢や疾病にかかわらず、八王子小児病院を受診していた患者さんについては、病院の医師が患者さんの症状などを踏まえ、ご家族と相談しながら、小児総合医療センターや地元の医療機関、福祉施設等を紹介しております。
 重症心身障害児の患者さんの受診先についても、個々の症状などを十分踏まえながら、ご家族との相談を通じて適切に対応してきているところでございます。

○西崎委員 小児病院移転後、在宅の重症心身障害児の患者の中には、地域の医療機関などがかかりつけになって、医療ケアを含めた在宅サービスを受けながら生活を継続できるような支援体制が必要な方がいると思います。これまでも、在宅における医療的サポートや重症心身障害児訪問事業や、家族の負担を軽減し、継続的介護が可能となるショートステイ事業、通所事業など総合的なサービスの充実を求めてまいりました。
 今回の八王子小児病院移転後、患者を抱える家族が安心できる体制の整備が必要だと考えますが、都は、移転に際してどのような手だてを講じているのか、伺います。

○中井病院経営本部長 都は、八王子市との間で行ってきた地域の小児医療に関する協議の中で、これまで八王子小児病院が診てきた患者さんを中核病院が円滑に受け入れることができる医療体制を整えるため、当分の間、専門医師を派遣することとしており、既に東海大学八王子病院において専門外来を実施しているところであります。
 また、患者さんの症状が重症化した場合などには、中核病院等との連携により、小児総合医療センターでの診療も実施することとしております。
 加えて、平成二十三年度には、八王子市が小児病院跡地において重症心身障害児通所事業などを実施することとなっており、現在、地元市や医療機関などとの連携協力のもと、体制を整えているところでございます。

○西崎委員 重症心身障害児の診療には特別な医学的な蓄積が必要であり、普通の小児科医ではなかなか対応ができないと聞いています。地域の医療機関との連携は必要であり、小児総合医療センターが中心となった地域の医療のレベルアップが求められると考えます。
 今後は、小児総合医療センターが中心となって、在宅の重症心身障害児のために、地域との連携などが重要になってくると考えますが、都の所見を伺います。

○中井病院経営本部長 重症心身障害児が地域で安心して暮らせる医療体制を確立するためには、小児総合医療センターや地域の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携が重要であると認識しております。
 そのため、小児総合医療センターでは、在宅医療の支援や重症化した場合の受け入れ体制づくりに向けて、地域の中核病院や医療機関等から成る療育ネットワークの構築などについて検討を進めていくこととしており、その具体的な内容について、引き続き調整をしてまいります。

○西崎委員 総括質疑では、周産期医療について取り上げました。医学の進歩で、小さな命の救命率は飛躍的に改善されました。それとともに、ハンディキャップを持ちながら生きていく子どもたちもふえつつあります。
 NICUに長期入院の新生児の地域での支援体制については、来年度から墨東病院を中心として実施するNICUの退院支援モデル事業の中で検証することになっています。この事業においては、訪問看護ステーションの乳幼児への専門性を高める必要がありますが、さらに、家族への支援体制についても整備していく必要があると考えます。
 NICUに長期にわたって入院しなければならない乳幼児の多くは呼吸器疾患を持っており、在宅に帰ってから二十四時間体制で支える家族の疲労は大変なものがあると思います。そこで、家族の疲労や病気などの際に子どもを一時的に預かれるレスパイト病床の確保を含む、モデル事業の中での家族への支援の取り組みについて伺います。

○安藤福祉保健局長 このモデル事業では、NICU退院後、家族の状況によりレスパイトが必要な場合に備え、墨東病院のコーディネーターや地域の医療機関等と調整の上、病床の確保を行います。
 また、親同士が体験談を語り合い、互いに支え合うための交流会を開催するなどの家族に対する支援を行ってまいります。

○西崎委員 都立墨東病院でのモデル事業を検証して、今後は、小児総合医療センターを中心に多摩地域でも取り組むことを要望しておきます。
 次に、水政策ですけれども、生活者ネットワークは長らく、多摩川を飲める水にする、東京湾で泳げるようにすると政策に掲げてまいりました。このたび東京湾を、浄化の努力が繰り返されて、カキを使っての浄化実験やヘドロのしゅんせつなどを行われていると聞いています。
 河川や東京湾の水質改善を進めていくためには、都の取り組みとともに、流域の自治体との連携も必要だと思いますが、所見を伺います。

○有留環境局長 人口や産業の集中する首都圏を流域に持つ河川及び東京湾の水質改善を進めていくためには、流域自治体の相互の連携が必要でございます。
 都はこれまで、第六次総量削減計画に基づきまして、工場等からの排水の総量規制、下水道の整備、汚泥のしゅんせつなどを進め、河川や東京湾に流入する汚濁負荷量の削減に努めてまいりました。
 また、流域自治体や国と連携しまして、水質改善に向けた普及啓発活動などに取り組んでまいりました。さらに、平成二十年度からは市民団体、企業も参加して、同じ時期に東京湾や河川の水質を測定する東京湾水質一斉調査を行っております。
 今後とも、さまざまな主体と連携しながら、河川や東京湾の水質改善に努めてまいります。

○西崎委員 最後に、築地市場について伺います。
 これまで各会派より質疑がされましたが、生活者ネットワークは、豊洲移転に関しては反対してまいりました。食の安全を考える立場から、たとえ豊洲の土壌汚染がすべて取り除かれたとしても、技術的に安全だといわれても、これだけ大きな問題になり、都民が安心と思うのかどうか、それは疑問です。
 今回の他党の質疑を聞いていますと、築地再整備についても、都として検討していくとのことですが、これからの市場のあり方は、そこで働いている事業者のコンセンサスがとれることはもちろんですが、消費者である都民にとっても関心の高いことです。都民の理解なしに進められることではないと思います。
 今回、市民団体が幾つかの現地再整備を発表しています。この計画を、ぜひ公開討論会などを行い、議論の俎上に出し、都民にもわかるように、今後の市場のあり方を検討すべきと考えますが、都の所見を伺います。

○岡田中央卸売市場長 現在地再整備につきましては、過去に関係者間でさまざまな案を検討し、議論を尽くした結果、実現困難との結論に至り、業界の大多数が豊洲への移転に合意した経緯がございます。
 築地市場は、敷地が狭隘で必要な種地が確保できず、長期の工事が市場業者の経営に深刻な影響を及ぼすことなどから、仮に新しい技術を用いて再整備を行ったといたしましても、工事中の安全性確保や営業活動への支障などの問題は避けられません。また、近年、市場を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、現在地再整備では、新たなニーズに対する施設整備の余地がございません。
 業界団体の大多数は、豊洲への早期移転を切実に希望してございまして、先月、都議会に提出された声明におきましても、豊洲新市場建設の一日も早い実現を強く望むと明確に述べられてございます。
 豊洲新市場は、高度な品質管理や効率的な物流など、時代のニーズにこたえる新たな機能を備えた基幹市場として整備するものでございます。
 しかし、議会として、現在地再整備について改めて検討するのに当たりまして、協力してまいります。
 今後、新市場整備の必要性などにつきましては、地元説明会を開催するなど、一層都民理解が得られるよう努めてまいります。

○酒井委員長 西崎光子委員の発言は終わりました。(拍手)
 以上をもちまして、付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第一号議案から第二十九号議案までに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後九時三十五分休憩

   午後十一時四十九分開議

○酒井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 この際、石原知事から発言の申し出がありますので、これを許します。

○石原知事 きょうの予算特別委員会の中で一部誤解を生じる答弁があったので、訂正いたします。
 市場長の答弁は、現在の状況及び既定の方針について述べたものです。しかし、質問の趣旨が今後の方針に及んだ場合においても、上記の立場で答弁したことから、都の今後の方針についての理解に混乱が生じることになってしまいました。
 そのため、急遽、佐藤副知事が答弁に立ち、補足の答弁として、都の今後の対応方針について、以下の趣旨の答弁を行いました。
 議会において現在地再整備の検討がなされる場合には、議会の検討への協力のためにはもとより、執行機関としてこれに対応するために、現在地再整備検討の組織を設けていく。詳細については今後検討することとなる。
 以上の副知事答弁が今後に向けた都の方針であり、都の正式方針であります。誤解を招いた点については、おわびし、訂正いたします。
 以上です。(拍手)

○酒井委員長 発言は終わりました。
 今後の委員会運営について申し上げます。
 今後の委員会運営につきましては、先ほどの理事会で協議した結果、明日、三月二十八日の午前一時から委員会を開き、討論、採決を行うことで協議が調いました。
 お諮りいたします。
 本日はこれをもって委員会を閉会するとともに、明日午前一時に委員会を開会し、討論、採決を行いたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認めます。よって、あすの委員会の開会時刻は午前一時といたします。
 念のため申し上げます。
 ただいまご出席の皆様には改めてご通知いたしませんので、ご了承願います。

○酒井委員長 次に、傍聴券の有効期間についてお諮りいたします。
 本日の傍聴券の有効期間を明日の委員会終了までといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時五十一分散会

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