予算特別委員会速記録第七号

○藤井副委員長 大山とも子委員の発言を許します。
   〔藤井副委員長退席、委員長着席〕

○大山委員 築地市場の豊洲移転問題について質疑します。
 来年度予算案の大問題は、築地市場を豊洲に移転させるための、豊洲の土地購入経費を初めとした移転関連の経費が予算化されていることです。都民の大切な台所である市場の第一の役割である食の安全を確保するということから考えて、豊洲に移転することに多くの都民が反対しています。
 昨年の都議選のときに東京新聞が行った世論調査では、五七%の人が豊洲移転反対です。昨年の十一月に産経新聞が行った世論調査では、築地での再整備賛成が約七割に上りました。また、市場を考える会が行った調査では、水産仲卸業者の七三%が移転に反対。市場の労働組合の調査では、青果の仲卸業者の九二%が築地での再整備を望んでいます。
 にもかかわらず、知事は、現在地再整備については、種地がなく、営業を続けながらの工事が困難なことや、市場に求められている新たなニーズに対応できないことなどから不可能だと、かたくなに拒否してきました。
 その一方で、多くの専門家の批判が寄せられている豊洲の土壌汚染対策について、一部の最高権威の学者のいい分だけを金科玉条に、人が生涯この土地に住み続けても健康への被害はないなどと豪語して、汚染地への移転を強行しようとしているんです。
 知事、知事に伺います。知事は、先ほど民主党の質問に対し、現在地再整備の検討について、議会の検討への協力と、執行機関としてこれに対応するためにも、現在地再整備検討の組織を設けていく必要もあると思いますと答弁しましたね。
 知事、伺います。都としての現在地再整備検討の組織は、どのようなものなんですか。議会に協力する窓口なのか、それとも、しっかりした規模を持った機構をつくるのですか。また、その組織とは、中央卸売市場につくるのですか。それとも知事部局につくるのでしょうか。知事、答弁をお願いします。
 知事が答弁したことですので、知事にお願いします。
   〔発言する者あり〕

○岡田中央卸売市場長 ご答弁申し上げます。

○酒井委員長 はい、答弁お願いします。

○岡田中央卸売市場長 今の組織のお話でございますが、今後、検討してまいりたいと思っております。

○大山委員 さっき知事が答弁したんですね。今、市場長は、今後検討すると。これから検討するというのでは、評価もできない。不確かなものとしかいいようがありません。たとえ一定の組織をつくるにしても、窓口にすぎないのか、現在地再整備を検討できるしっかりした組織になるのかというのでは大違いなんですよ、知事。
 知事部局にちょこっとつくるというのでは、担当部局である中央卸売市場は豊洲移転推進に専念する、その一方、現在地再整備案については知事部局の一部で一握りの人たちがつくるということになり、現在地再整備の検討は形だけのものになってしまいます。しかも、時間がないとか、早期にまとめることが必要というのでは、拙速にやれということではないのですか。そんなことでは、よい案がつくれるわけがありません。
 早期というのは、どの程度の時間を指しているんですか、知事。

○岡田中央卸売市場長 先ほどもいいましたけれども、組織につきましては、議会の検討への協力のため、あるいは執行機関としてこれに対応するための組織として検討してまいります。
 早期といいますのは、できるだけ早くという意味だろうというふうに考えております。

○大山委員 それがどういう組織なのかといっているんですよ。中央卸売市場につくるのか、それとも知事部局につくるのか、どっちなんですか。

○岡田中央卸売市場長 同じご答弁になって申しわけございませんが、これから検討させていただきたいというふうに思っております。

○大山委員 全く中身もわからない、そして早急にと。築地市場の現状からいって、時間がないというんだったら、きちんと危険な箇所だったら補強して修理すりゃいいわけですよね。拙速にやれというんだったら、形だけのものになってしまうじゃありませんか。
 知事、今度こそちょっと答えてください。知事のいう執行機関としての現在地再整備検討の組織で、都として責任を持って現在地再整備を検討して、議会や都民に示すのですか。知事の答弁ですから、知事、ちゃんと答えてください。

○石原知事 都の方針は、基本的には、先端の技術を駆使して、もう既にその中間報告を受けておりますけど、豊洲に移転が可能であるということを前提に考えているわけであります。
 ただ、議会の方から、それに並行して築地の再生ということも考えてほしいというから、これは議会側からのオファーでありますから、あなた方が具体的にどういうオファーをされるかによって、こちらの対応も変わってくるわけです。

○大山委員 結局、東京都は検討しないということですか。東京都が責任を持って、東京都が……(佐藤副知事発言を求む)まだ聞いていますよ。
 東京都が責任を持って、その再整備案を出すということなのかどうかということですよ。

○佐藤副知事 先ほど知事がご答弁申し上げたとおり、議会において現在地再整備の検討がなされる場合には、議会の検討への協力のためはもとより、執行機関としてこれに対応するためにも、現在地再整備検討の組織を設けていくということでございます。

○大山委員 対応するためにも検討の機関をつくる。都として、案はきちんと出すのですか。(発言する者あり)
 私がこの点にこだわるのは、実現可能で、業者も納得できる現実的な現在地再整備案をつくる上で、決定的に重要なことだからなんですよ。議会だけでなくて、東京都自身がその気になって、必要なお金も出して、世界に誇る日本の技術を総結集して再整備案をつくるかどうか、これが重要なところなんです。
 それというのも、世界に誇る日本の現在の技術を結集すれば、必ず実現可能な案は出るし、それから業者の利害関係の調整など困難な課題も、東京都が何としてもまとめていく、やり遂げるんだという、そういう決意があれば、克服して、必ず築地に新しい、すばらしい市場が実現できるからなんです。
 しかし、けさの新聞を見ると、知事は昨日、現在地再整備について、今までさんざんやってきてできないと結論が出た問題、二度手間だ、こう述べたと報道されているんですね。これが事実なら、議会に協力とか執行機関に検討の組織もつくるといっても、期待はできません。知事、知事が述べた新聞記事の話ですから、知事がちゃんと答えてくださいね。
 昨日のマスコミに対する発言は、事実なんですか。それとも、現在地再整備は不可能であるとのこれまでの答弁を、民主党さんがいうように大転換させたのですか。知事の発言ですので、知事自身が答えてください。

○石原知事 確かにそのように申しましたが、この空白の時間内に議会側から強い要請がありましたから、そうおっしゃるならご協力しましょうということであります。

○大山委員 やるなら協力しましょうということですね。
 大転換しているのかというと、ちょっと疑問が残りますけれども、繰り返して強調しますけれども、知事が現在地再整備は不可能という考えを変えていないのだったら、議会の現在地再整備に協力する、それから検討する組織をつくるといっても、どのようになるのかというのは甚だ疑問です。
 例えば、市場長は三月十一日に行われた本特別委員会で、二十一世紀プロジェクトが発表した現在地再整備案について、財源的に賄うことができないとか、物流効率が著しく低下するとか、建設費が増大して市場業者の負担がふえるなど、口をきわめて批判しましたね。
 そこで市場長、今後は、議会に協力するため、現在地再整備がいかに実現不可能かを力説する立場から、実現可能な案をつくるために協力するという立場になるのでしょうか。

○岡田中央卸売市場長 今、先生のお話の中は少し違うのかなというふうに思っております。
 まず、二十一世紀については、私どもは正確にご説明を受けておりませんで、わかりませんと。ただ、いただいている、もらっている資料だけからいうと、幾つかの問題点がありますという形で、例えば、期間の問題について問題があるのではないかということをご指摘させていただいたというふうに思っております。財源面だとか何かについて、そのときご指摘した覚えは、私はございません。
 それから、私どもは、現在地再整備につきましては、過去に四百億円という膨大な経費を投じて実施したけれども、その結果、中断してしまったということ、その後もさまざまな検討を尽くしたけれども、議論を尽くしたけど、大部分の市場の関係者が、最も合理的な選択として最終的に豊洲を選択したといったようなこと、そうしたこと、あるいは築地の現状を考えれば、私どもとしては豊洲へ移転するというのが最も最適な方法であろうというふうに考えてはおりますが、これから議会の方で現在地再整備につきましてご検討いただくわけですので、我々としてもできる限りのご協力をさせていただくということでございますし、またそのための組織というものが、これから検討していくんだろうと。そういうことだろうと考えております。

○大山委員 四百億、四百億と、何かというと四百億といいますけれども、自分たちが責任を持ってやらなかったことを棚に上げて、何をいっているのかと。四百億円でつくった駐車場、今ちゃんと使っているじゃないですか。
 だから、ちゃんと--市場長は、民主党の現在地再整備にしろ、豊洲移転にしろ、市場事業者の合意が必要という質問に対して、ことし一月から個別面談をしている、今後とも理解を得られるように努力していくと答えました。しかし、今やっている面談というのは、豊洲移転を前提とした面談ですね。これでは、このまま面談を続けても、豊洲移転だけについての合意です。
 議会としての現在地再整備案が出たら、改めてこうした面談も含めて、新たに合意形成のために必死の努力をするということですね。

○岡田中央卸売市場長 卸売市場は一般の施設と違いまして、その運用というのは、業界の皆様方が負担しております使用料で運営されているというのが第一でございます。
 それからまた、業界の皆様方の営業が行われている業務施設であると、こういうことでございます。
 したがいまして、業界の皆様方の理解あるいは協力ということがなければ、施設整備はすることができないということが大前提でございますので、これまで、施設整備を行うときについて業界の皆様方と協力してきたし、例えば施設計画をつくるときにもそうやってまいりましたということでございます。
 現在、私どもがやっております個別面談というものは、まず、業界の皆様方の経営実態がどういうものであるのかということを把握する。あるいは、移転ということを行ったときにつきまして、どういう希望が都にあるのかということをいって、それを今後の支援策を検討する際のものにするということでございます。
 したがいまして、その際には、例えば、築地の中でも移転に賛成している方、あるいは反対している方、そういったことにつきましては、全然構わずに、ぜひ声をお聞かせいただきたいということで我々は聞いております。
 それから意向調査につきましては、これは、これまでも数々と同じご答弁をさせていただきましたけれども、業界の皆様方、大部分がもう明確に移転を希望しているということ、それから、それにつきましては、個々の団体を構成する組合員の総意であるといったようなことから、我々とすれば意向調査については実施するという考え方はございませんということをご答弁申し上げますので、また同じご答弁になろうかと思います。

○大山委員 支援策といっても、築地で再整備するのと--案が具体的にできて支援策を考えないとできないわけですよ。今、豊洲に移るというので、支援策、何がいいんですかと聞いているわけですよね。だからきちんと、どこに決まったら、それに合わせて支援策というのは当然出てくるものですよ。
 知事に伺いますけれども、現在地整備を実現するためには、まず何よりも、世界に誇る日本の技術を総結集することが重要です。そのためにも、必要な対価も支払って現在地再整備案を公募すべきだと思いますけれども、知事、どうですか。(岡田中央卸売市場長発言を求む)知事です。知事に聞いているんですけれど。

○岡田中央卸売市場長 また同じお答えをして、まことに申しわけございませんけれども、これにつきましては、今議会でも代表質問あるいは委員会でもご答弁申し上げましたけれども、現在地再整備につきましては、過去に工事を推進したけど中断したといった事実、それから、その後もさまざまな案を検討したものの再整備は実現困難との結論に至り、先ほど申し上げました、業界の大多数の方々は最終的に豊洲への移転に合意したといったようなこと、それから、先日の経済・港湾委員会の参考人招致においてごらんいただいたと思いますけれども、業界の代表者からは、早期の移転を望む声だとかが多く聞かれているといったようなこと、さらには、築地市場の老朽化は既に限界に達しておって、アスベストの問題ですとか耐震性の問題といった安全性にも問題があるといったようなこと、こうしたようなことから、豊洲への移転が最適の道であろうと私ども考えております。
 したがいまして、現在地再整備案について、お話のような公募するということは考えてございません。

○大山委員 今の答弁ですと、今までの話が全く根底からひっくり返っちゃうんじゃないですか。だって、結局、自分たちは豊洲の案が最高なんだ、だめなんだ、そこしかないんだっていっているわけだからね。
 しかも知事は、結局立たないわけですよ、こういうことでね。いろいろいって、現在地再整備案について公募さえもやろうとしない。これは本当に無責任ですよ。食の安全を守るべき知事でしょう。食の安全を守るべき知事として、あってはならない態度ですよ。知事としての資格が、またまた厳しく問われると。
 知事、ちょっと聞きますけれども、技術的には、現在地で整備することは十分可能であることは、いろんな方がおっしゃっているんです。例えば新宿駅南口、あれだけ電車の線路が通っているところ、人も車も通っているところで人工地盤をつくって、バスターミナルをつくる工事をしているじゃありませんか。この工事をしているゼネコンのホームページを見ました。新宿駅南口の工事で、鉄道の営業を妨げることなく、線路上空から人工地盤をつくるためのくい打ちの新しい工法で実用化した、誇らしげに書いてありましたよ。
 知事は、土壌汚染対策技術については、専門家会議や技術会議の報告を天まで持ち上げています。では、伺いますけれども、再整備にかかわるこうした技術については、どう評価しているのでしょうか。現在地再整備を進めるためには、案をつくるにも、権威ある一部の学者だけの知恵をかりるだけのことでよしとするのではなくて、広く公募した上で、よりよい案を業者の意見も踏まえて練り上げることが必要だと思います。そういうこともやらないで、一応案は出した、それから豊洲移転を進める隠れみのにするようなやり方、これは断じて許されないわけです。
 知事、どうですか、日本の技術。知事、知事です、日本の技術をどう評価しているんですか。土木技術、建設技術。

○岡田中央卸売市場長 今ご指摘の人工地盤でございますけれども、これは平成三年のときに、現在の中断いたしました再整備計画を行ったときについてはローリング方式なんですけれども、その際にも人工地盤方式というものは検討しております。ただ、人工地盤方式の方がやはり危険性が高い。つまり、営業上の問題、それから危険性が高いということで、現在のローリング方式にしてきたということがございます。
 また、人工地盤方式ということについて、例えば、駅でできているということですけれども、建物においてそういったような形でやっているものについては、現在、私どもは日本にそういった例があるかということについては、残念ながらそういう例があるというふうには聞いておりません。
   〔佐藤副知事発言を求む〕
   〔大山委員「委員長」と呼ぶ〕

○酒井委員長 質問者、副知事を指名しました。

○佐藤副知事 先ほどから今後の関係についてのご質問がありますけれども、それは和田副委員長に対する知事の答弁に基づいてのお話のことだと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、知事の答弁は、議会において現在地再整備の検討がなされる場合にはということで、今後の話をしております。
 それに対応する組織の考え方といたしまして、検討への協力のためにはもとより、執行機関としてこれに対応するためにも現在地再整備の検討の組織を設けていく必要があるということで、それの内容等々、検討等々については、当然ながら、場合という設定でのお話ですので、今後のことになるかと思います。

○大山委員 早く早く答えを出してもらわなきゃいけないんだといっておきながら、いまだに具体案がないわけですよ。何を信頼しろというんですか。
 しかも、技術は日進月歩でしょう。ですから、前に検討したんだといって、そういう古い話はしないでくださいよ。よい案をつくった後も、行政が業者と一体となって、業者の要望を聞いて、利害を調整して、必要な知恵とお金を出していく、これが必要なんですよ。
 そもそも、かつて現在地再整備を始めたのにどうして破綻したのかといえば、東京都の責任が大きいわけですよ。当時、中断に至った原因、理由というのは、立体構造、仮設施設の建設費等コストの増大と、それに伴う使用料の上昇、駐車場不足、物流動線制約等による営業への大きな影響、だれが一番最後まで現在の施設に残るかなどという利害の対立などなんです。
 でも、こうした理由は、都がその気になって力を出して財政投入すれば、克服できるものだったんです。にもかかわらず、都はやろうとしなかった。しかも石原知事になったら、事もあろうに、土壌汚染地であることを百も承知で豊洲移転を決めてしまったんです。
 知事は、これもまた知らないかもしれませんけれども、大阪では、さまざまな対立や問題を克服して、重層化による再整備を実現できています。大阪でも、建てかえに当たって、業界内では割れるような意見が出た、つらいことはたくさんあったが、築地のようになるんじゃないか、絶対に話を割りたくなかった、だから促進協議会はしっかりしていたと、市場再整備七十周年誌でいっているんです。
 さらに、その記念誌の中には座談会が載っていて、大阪市の指導力もあったし、業界の協力もあった、専用の橋をつけてほしいと要望したら、十六メートル幅スロープ動線をつけてくれて、あのときは私はうれしかったね、市も、よういうことを聞いてくれたと感謝していると書いてある。これが大事なんですよ。
 知事に質問しますけれども、検討をしたその築地の市場の敷地は二十ヘクタールですから、総二階にしたら人工地盤で四十ヘクタール確保できるんですよ。それをきちんと再整備案、きちんと知恵も出して、それから東京都はお金も出してやるべきなんです。それもやらないというのでしょうか。

○岡田中央卸売市場長 まず、事実にちょっと認識の違いがあるのではないかというふうに思いますけれども、前回の現在地再整備案が狂った最大の理由というのは、業界の中でのやっぱり営業に対する影響が大きくてできなかったというのが最大の理由であって、建築費が増大だとかということではないだろうというふうに思っております。
 それから、大阪でできたからということで築地でできるかというのは……(大山委員「委員長」と呼ぶ)

○酒井委員長 答弁中です。

○岡田中央卸売市場長 論理としては強引ではないのかなと。大阪の場合は、やはり業界の一致があったということですから、現在の場合の築地とは違うだろうというふうに思っております。そういう状況につきまして、ご認識いただければと思っております。

○酒井委員長 時間でございますので、大山とも子委員の発言は終わりました。

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