予算特別委員会速記録第七号

   午後七時五十一分開議

○藤井副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 長橋桂一委員の発言を許します。

○長橋委員 それでは、都議会公明党を代表いたしまして、締めくくり総括質疑をさせていただきます。理事者の皆様には、大変お疲れのところでございます。ぜひ簡潔にして明瞭、明確なご答弁をお願い申し上げます。
 それでは、初めに、現下の厳しい経済状況を踏まえて、いわゆる公共工事、さらには公共事業のあり方について何点か質問をさせていただきます。
 昨年の本予算特別委員会におきまして、日本経済が危機に直面する中で大幅な税収減となり、厳しい経済環境の中での予算編成を余儀なくされたことから、景気対策について我が党は質問を行いました。その中で、公共工事の良質な品質確保という観点から、総合評価方式について取り上げたところでございます。
 公共工事がいわゆる安かろう、悪かろうではなくて、また、ダンピング防止という、そうした効果の点につきましても、総合評価方式の適用拡大を図るべきだ、体制整備を図るべきだ、このように申し上げたところでございます。これに対しまして、財務局長は、研究会の最終提言を踏まえて、総合評価方式の一層の適用の拡大に取り組む、こういうご答弁があったわけでございます。
 また、工事の品質確保という点では、いわゆる技術力のある中小企業の活用、育成という観点からも重要であるわけであります。
 そこでまず、都としての総合評価方式の拡大、どのように取り組んだのか、財務局長にお伺いいたします。

○村山財務局長 昨年十月の入札契約制度改革研究会の報告を受けまして、都として講ずべき対策について、実施方針という形で取りまとめました。価格だけでなく、工事成績などの事業者の技術力を加味して落札者を決定する総合評価方式の適用拡大をこれに基づいて図っております。
 特に、年間発注件数の多いところにいわばターゲットを絞った形で、道路舗装、河川、建築などの業種におきまして優先的に適用を図りまして、これが三年後には、これら業種の三割程度にまで総合評価方式を適用させたいという方針でございます。
 また、技術力を重視する立場から、特に、この総合評価方式の中の一つの型ではございますが、技術力評価型については、適用を促進するための評価項目の見直しなどを現在、作業を進めております。
 これらによりまして、技術力にすぐれた事業者の受注機会の拡大に向けまして、総合評価方式の一層の適用拡大に努めてまいります。

○長橋委員 三年後には三割増加をさせる、こういうことでございます。
 今の総合評価方式というのは、いわゆる契約手続であります。この見直しを進めていくことはもちろん重要であるわけでありますけれども、しかし、その前提といたしまして、公共工事の質を高めていく、こうした取り組みも重要であるわけであります。
 最近私も知ったんですけれども、公共工事におけるバリューエンジニアリング、いわゆるVEの導入が注目をされていると聞きました。この手法は、機能を低下させずにコストを低減する、またはコストを上げずに機能を向上させる取り組みで、各地方公共団体の自治体で成果を上げているとも聞いております。
 都においても、平成十七年に建築工事におけるVEガイドライン、これを発表しています。公共施設の建築工事においても、VEが活用されることにより、コストの縮減、機能、品質の向上が図られることが可能になるわけであります。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、VEの活用、そうしたことを活用することによって、公共事業のコストの縮減や品質向上を不断に取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○村山財務局長 財務局は、公共建築物の整備にいわゆるお話の設計VEを導入しておりまして、平成二十年度末現在でいいますと、対象とした案件数は約六十件、それに対する提案数は約五百件近くに上っております。
 この設計VEでございますが、設計担当者以外のVEチームというものを設けまして、これが品質確保あるいはコスト縮減につながる代替案を提出いたしまして、さまざまな角度から、当初の設計担当者で行った当初案と比較、検討の上、よりすぐれたものを選定するという手法でございます。
 VEの活用において重要な点は、その案件についての効果もさることながら、VEの成果を他の案件にも適用し、普及させていくことにございます。このため、VEの提案内容については、これをデータベース化いたしまして、他の設計に反映させております。
 今後とも、VEなどのさまざまな手法を活用いたしまして、質の高い公共建築物の整備に向けて取り組んでまいります。

○長橋委員 質の高い公共事業を確保していく、これは大事でありますけれども、いわゆる公共事業の果たす役割は何か。景気対策それから雇用対策といった現在に対する効果だけではなくて、都市インフラの整備によって首都東京の魅力を高めていく、これが重要であるわけであります。さらには、公共事業というのは、将来の都民に対する先行投資という側面もありますし、また環境負荷の低減、温暖化の対策という責任もあるわけであります。まさに公共事業は、こうした複合的な要素を踏まえて、五十年先、百年先を見据えて取り組まなければならないと思うわけであります。
 これまで石原知事は、東京は日本の頭脳部、心臓部であり、ダイナモであるとして、長期的視点に立って先進都市東京の構築に取り組んでこられたわけであります。改めて首都東京の都市づくりの意義、役割について知事の見解を伺います。

○石原知事 現況、既に地球人口の半分以上が都市に住むようになっておりまして、今世紀は都市のあり方が国家の将来を決定づける、まさに都市の世紀になったと思います。このような中で、アジア諸都市の台頭は極めて著しく、東京の浮沈が日本の国際社会における存在感を左右する状況になっていると思います。
 それゆえに、国を動かしながら、世界が時間的、空間的に狭くなっている中で、東京がアジアを代表するグローバルプレーヤーであり続けるために不可欠な羽田空港の国際化にも邁進してまいりました。また、その国の社会資本の豊かさ、成熟度合いを映し出す鏡であります道路、とりわけ致命的な交通渋滞を解消し、CO2削減にも大いに効果を発揮する三環状道路の整備にも力を注いでまいりました。
 これらは、文明工学的な認識を欠いた過去の都市づくりを正すのみならず、世界じゅうから東京と日本に人、物、情報を引き寄せる新たな磁力を生み出しました。国際競争力を高め、我が国を将来にわたって飛躍させる要因になると思います。
 都市づくりは、確固たる将来展望を持ち、長い年月をかけて営々と進めていかなければなりません。今後も、東京と日本の五十年先、百年先をしっかりと見据えながら、そのために大きなダイナモとなる東京の造成に取り組んでいきたいと思っております。

○長橋委員 まさに都市づくり、大きくいえば公共事業、将来を見据えたビジョンを持たなければならない、こういうことであります。
 そういうことを考えますと、今、本委員会で議論されております築地市場の移転整備、これについては、将来を見据えた議論をきょうもなされたと思いますし、必要であるわけであります。新たに整備される市場、これも五十年先を見越して、また五十年以上使用することを前提に検討しなければならないと思うわけであります。
 そこで、新市場の整備、課題についてお伺いをしたいと思います。
 都議会公明党は、本委員会におきましても、また代表質問におきましても、市場業者への対応が重要であると訴えてまいりました。私も、また会派としても、移転推進派また反対派からも、双方からさまざまなご意見、ご要望を聞いてまいりましたし、またその状況、いわゆる厳しい経済状況についても聞いてきたところでございます。
 そこでまず、業界一人一人の置かれた状況や意見を聞いて、それを議会の中での検討に生かすべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○岡田中央卸売市場長 築地市場には、青果及び水産の卸、仲卸業者を初めといたしまして、関連事業者、買い出し人など、極めて多くの市場関係者がおります。そうした市場関係者の中には、移転に当たって、長引く景気の低迷による経営の悪化、後継者難の問題、さらには築地への愛着など、さまざまな課題があると認識してございます。
 そのためにも、業界一人一人の声に耳を傾けることはとても重要であり、都では、昨年夏から各業界団体との意見交換を行い、移転支援等についての意見や要望を伺っております。さらに、本年一月からは、水産及び青果の仲卸業者を対象に個別面談を実施し、経営実態などや支援の要望など、個々の実態把握に努めております。
 現場にはさまざまな意見や希望が積み重なっております。業界あっての市場であるわけです。それぞれの置かれている状況や意見などに丁寧に耳を傾けながら、大勢の、大方の事業者の納得が得られる新市場整備とする必要があります。また、把握したさまざまな意見や希望は、今後の議会の検討に生かしていきたいと考えております。

○長橋委員 今、市場長から、納得が得られる新市場の整備が必要である、そういう中で、今、仲卸業者に対して個別面談を実施して実態把握に努めていく、こういうことでございます。以前にこの委員会におきましても、意向調査を実施すべきではないかという質疑もありましたけれども、まずは、こうした市場業者の現在の声をしっかり聞くべきであります。
 そこで、個別面談の話がございましたけれども、個別面談の実施状況、また具体的に、そこで出た声、そして個別面談の今後の予定について伺います。

○岡田中央卸売市場長 個別面談は、ヒアリングシートを提出し、面談を希望いたしました三百六十四名の仲卸業者に対しまして、経営の実情や支援の要望を丁寧に伺っており、これまで、水産、青果合わせまして二百十七業者、おおむね六割の事業者の面談を行っております。
 現在も実施中で、分析などはこれからではございますが、その主な声を紹介いたしますと、経営状況につきましては、販売先の倒産や廃業などで顧客が減り、売上高や収入も大幅に減少するなど、水産、青果ともに悪化したとの声が圧倒的でございます。また、将来への不安といたしましては、後継者がいないことや、従業員が集まらないため、事業が続けられないといった声もございました。また、支援につきましては、さまざまな用途に利用できる柔軟な融資制度の要望や、返済期間などの貸付条件に質問が集まるなど、都の支援に対する大きな期待が示されました。さらに、新市場につきましては、仲卸売り場の施設や冷蔵庫などの設備の形状あるいは使用料などに関する意見が多く出され、施設や設備の使いやすさに強い関心を持っていることがわかりました。
 今後は、残りの事業者につきましても、できるだけ早期に終了し、来年度早々から卸売業者や関連事業者との個別面談を同様な形で実施していく予定でございます。

○長橋委員 今、おおむね仲卸業者は六割の面談が終わったと。残りをできるだけ早く終了して、さらに卸業者や関連事業者まで広げていくと。今の答弁では、三百六十四名の仲卸業者に対して二百十七業者。全体を考えると、声を聞くという意味は、仲卸が大変厳しい状況であることは今のご答弁でわかったわけでありますけれども、もちろん卸そして関連事業者についても、ほぼ万遍なくすべてにわたって声を聞いていただいて、取り組んでいただきたいと思います。
 そういう中で、この個別面談の目的は何かということであります。これはもう支援策の策定であるわけであります。そうすると、支援策の内容がどうなるのか、また、いつ明らかになるのかが重要であるわけであります。そしてまた、これだけ個別面談をして、声を聞いたわけであります。その声がしっかりと反映されるのかどうか、反映されることによって業者の方々が安心できるわけであります。
 そこで、市場業者の支援策を早期に示すべきであると考えますが、今後の支援策の策定のスケジュールを明らかにしていただきたいと思います。

○岡田中央卸売市場長 支援策の検討に当たりましては、支援を受ける市場業者の意見や要望を聞きながら反映させ、市場業者が安心して移転できる対策とすることが不可欠でございます。
 都は、今後実施する卸売業者や関連事業者との個別面談の終了後、平成二十二年度中に基本的な考え方を検討し、市場業者に示していきたいと考えてございます。
 支援策につきましては、この基本的考え方に対しまして、改めて個々の市場業者との面談において意見を聞くとともに、業界団体との協議を行い、市場業者の声をできる限り踏まえた内容としてまいります。

○長橋委員 現在やっている個別面談も、仲卸業者を早目に終了して、そこで検討を重ねて、さらにまた個別面談を開始する、こういうことであります。市場長が最後に、市場業者の声をできる限り踏まえた内容の支援策をつくると、こういうことでございますので、ぜひその支援策に期待をさせていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、同じく公共事業ということを考えますと、私はやはり、住宅政策、これが公共事業の柱の一つであろうかと思います。特に、福祉、医療、保健などの行政サービスの基盤は住宅であります。
 都議会公明党はこれまで、子育て支援、高齢者対策などに公共住宅の活用をたびたび訴えてまいりました。都営住宅につきましては、子育て世代の入居機会の拡大を一緒になって図ってまいりましたし、また、高齢者の住宅につきましても、介護との連携による確保、これについても提案をしてまいりました。二十二年度からは、ケアつき住まいの住宅も供給をしていくということであります。
 しかしながら、高齢者、そして子育て支援世帯に対する住宅政策、まだまだ依然として不足をしている、ですからこういう議論になるわけでありますけれども、そういう意味では、こうした事業、どうしても区市町村や民間の供給に任せているわけにはいかない、このように思うわけでありますし、それでは十分な量が確保できない。
 そこで、都営住宅と違ってこの公社住宅、先ほども議論がありましたけれども、公社住宅については、柔軟に間取りなどができるわけでございます。昨年の第一回定例会におきまして、公社住宅について、高齢者などの支援策について提案をさせていただきました。その結果、高齢者などの低層階への優先入居の拡充が図られたところでありますけれども、公社の少子高齢化への取り組みはまだまだこれからである、このように思うわけであります。
 都営住宅については、毎年三千戸以上が建てかえを行っております。公社住宅についてお調べをいたしますと、年度によって違いますけれども、少ないときで四百戸、多いときには千戸以上建てかえているということがわかりました。こうした建てかえを機に、公社住宅につきましても、喫緊の課題である高齢者や子育て世帯への住宅の供給、この取り組みをいよいよ始めるべきだ、積極的に行っていくべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。

○河島都市整備局長 公社では、公的な住宅供給の主体として、中堅所得者層向けの良質な住宅の供給に加えまして、高齢者や子育て世帯を対象としたさまざまな優遇制度をこれまでも導入してきております。
 今後は、さらにそうした取り組みを強化いたしまして、一般賃貸住宅の建てかえや既存ストックの再生に合わせまして、高齢者向け優良賃貸住宅等、高齢者が適切な負担で入居できる賃貸住宅や、安全性や機能性に配慮した子育て世帯向け住宅を整備することなどによりまして、公社として少子高齢社会への対応を一層進めていくこととしております。

○長橋委員 いよいよ公社でも取り組みを本格的に開始をする、一層開始をするということでございます。
 また、この建てかえ事業に当たっては、我々は、都営住宅の建てかえ時にはその種地を活用すべきだということをいってまいりましたけれども、今お話をしたとおり、公社住宅においても、建てかえによって余剰地ができるわけであります。住宅だけではなくて、高齢者向けの福祉施設や保育所などもまだまだ不足しているわけでございまして、公社住宅の再編整備に合わせて、地元自治体とも協議を重ねて、居住者が安心して暮らすことができる環境をつくるべきであります。見解を伺います。

○河島都市整備局長 今後、公社が少子高齢社会への対応を進めていくに当たりましては、高齢者や子育て世帯向けの良質な賃貸住宅を提供していくことに加えまして、高齢者や子育て世帯が安心して生活できる環境づくりが重要でございます。
 このため、公社では、住宅の整備に合わせまして、一般賃貸住宅の建てかえの際に生み出される用地や大規模団地における未利用地に、高齢者向け福祉施設や保育所などを、地元自治体等の協力を得ながら誘致するとともに、安全で安心して利用できる広場や遊び場などの整備に取り組んでいくこととしております。

○長橋委員 大変力強いご答弁でありました。公社の取り組みを期待するわけでございます。
 しかし、こうした取り組みを早急にしなければならないと思うわけでありますし、強力に進めていくには、やはり検討組織が必要ではなかろうかと思います。私は、まあ、よくわかりませんけれども、公社の方々は住宅のプロはいるんだろうと思いますね。しかしながら、少子高齢化対策をしていく、そうすると福祉関係のプロが必要になってくるのではなかろうかと思うわけであります。そうすると、具体的な検討組織の中に、住宅のプロだけではなくて、そうした福祉関係のプロを交えた組織をつくるべきでありますけれども、具体的にどう取り組むのか、伺います。

○河島都市整備局長 公社におきまして少子高齢社会への対応を着実に進めていくためには、お話のとおり、社会福祉制度などに関する専門的知識が必要なことはもとより、地元自治体の福祉部門や施設を運営する社会福祉法人等との密接な連携が必要となります。
 このため、公社では、福祉施策に精通した人材を確保し、新たに組織を整備いたしまして、少子高齢社会へ向けた諸事業について、効率的、精力的に検討を進めていくこととしております。
 今後、建てかえ対象となる団地等で、先ほどから申し上げてきた少子高齢社会に向けた新たな取り組みが早期に実現できるよう、都としても公社に働きかけてまいります。

○長橋委員 公社が福祉施策に精通した人材を確保して新たな検討組織をつくる、こういうことでございます。今の公社の理事長は幸田理事長でありまして、元東京都福祉保健局長であります。一人は確保しているのではなかろうかな、こう思うわけでありますけれども、ぜひこうした都の積極的な取り組み、急いでいただきたいと思うわけであります。
 今まで、公社住宅といいますと、中堅ファミリーの世帯向け住宅の供給、これが事業の主体であったわけでありますけれども、新たな時代展開の中で、こうした取り組み、都としてもしっかり支援をお願いいたします。
 続きまして、耐震化対策についてお伺いいたします。
 この耐震化、公明党、また私も、委員会の中で、本会議の中で、阪神・淡路大震災の教訓を生かして、以来ずっと取り組んでまいりました。
 そこで、都は現在、震災時の救助や物資の輸送などを円滑に行うために、救急活動の中心となる、防災拠点を結ぶ緊急輸送道路の建物の耐震化に取り組んでおります。しかしながら、私もこの間、審議をいたしましたけれども、平成二十一年度の補正予算、これが、この緊急輸送道路沿道建築物の助成事業、二十六億円の減額になったわけであります。事業がなかなか進まない。これは、私はそれをいって責めるわけではなくて、どうやって進めるべきか、費用のかかることでありますから、どう進めていくかということについて質問していきたいと思います。
 平成二十年度の決算では、耐震診断はわずかに四件でありました。そこで都が開始したのが、今年度からローラー作戦。一軒一軒、建物所有者を回って、ぜひ耐震化をしてください、相談に乗りますと、促す取り組みを始めました。平成二十一年度は千軒行ったと。千軒行うというのも大変なことであろうかと思います。
 一方で、ことしは、今年度はぜひ耐震化を進めようと、その目標といいますか、予算は、耐震診断で二十件、耐震でございますけれども、そうした取り組みを進めていくということでございます。そうしたことで、ローラー作戦の際に所有者から、耐震化を進めていくんだけれども、どれぐらい費用がかかるんだろうか、それから、テナントの合意が得られない、こういった声があったと聞いております。
 助成制度の拡充や支援のための融資制度を創設しても、ローラー作戦によって所有者に、直接訪問し耐震化を訴える、こういった手間のかかる仕事でありますけれども、これが緊急輸送道路においては切り札ではなかろうかと思いますが、このローラー作戦、千軒やりましたけれども、来年度どれだけ拡充するのか、ご答弁をお願いします。

○河島都市整備局長 ローラー作戦におきましては、地元自治体と連携し、緊急輸送道路沿道の建物所有者に対しまして、具体的な説明や相談など、耐震化につながるきめ細かな取り組みを行っております。
 昨年八月から本年二月まで、都区の職員や民間の建築士など延べ三百六十人が、延長約百キロメートルの沿道建物一千八十棟を対象に戸別訪問を実施いたしました。その結果、耐震アドバイザーの派遣を受け耐震化の検討を開始したり、助成を受けて耐震診断を行った事例などが出てきておりまして、沿道建物の耐震化を促進する上で、この方法は効果的であるというふうに考えております。
 そこで、来年度は対象を拡大いたしまして、甲州街道や川越街道など、三十区市にわたる延長約四百キロメートルの沿道建物約三千棟に対しまして、区市とともに、耐震化促進に向けローラー作戦を展開してまいります。

○長橋委員 来年度は三千棟に拡大をする。ぜひ頑張っていただきたいと思うわけであります。
 平成二十二年度予算、先ほどちょっと間違えたんですが、予算では、耐震診断は補強設計も含めて二百四十五棟、耐震改修は十棟見込んでいると聞いております。所有者の声にもあったように、意識の問題や合意形成の困難さ、これが阻害要因であるということでありますけれども、本会議の議論では、耐震診断の義務化なども検討する、こういうご答弁もありましたけれども、やはり耐震化が進まない最大の要因は、費用負担の問題ではなかろうかと思うわけであります。
 改修方法によっては多額の経費がかかり、現在の経済状況では資金繰りに困難を来す、こういう方が多いわけであります。そこで、建物全体を一気に進めるのではなくて、建物の耐震性が弱い部分を優先的に耐震化する段階的改修を認めることも私は有効ではないのかなと思うわけであります。
 ここに、平成七年兵庫県南部地震被害調査最終報告書というのがございます。いわゆる阪神・淡路大震災の調査結果報告書でございます。これによると、よく一階がピロティー部分の建物があります。ピロティー形式の建築物の大破あるいは倒壊に至った比率が、非ピロティーのものの二倍程度になっていると。まさにピロティーがあったところは被害が二倍だった、こういうことでございます。
 そこで、一階部分が広いピロティー構造のような建物は被害が大きいということであり、このような壁がない、強度が低いところをまず耐震化することで費用が安く済む、また耐震化の促進につながる、このように思うわけであります。
 そこで、このような段階的改修に対して、都として助成をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○河島都市整備局長 緊急輸送道路沿道には、事務所ビルやマンションなどが多く存在しておりまして、耐震改修に当たっては、テナントや区分所有者の事情に配慮した工事を計画しなければならないこと、建物規模が比較的大きいことから、多額の改修費用をまとまった形で用意しなければならないことなどの課題がございます。
 そこで、建物の倒壊による道路閉塞の防止と、建物全体の耐震性が将来的に確保されることを前提にいたしまして、ただいまお話のありましたピロティーの補強など、耐震効果の高いところから順次改修を行っていく場合や、営業休止や仮移転に伴う負担を軽減するため、利用を継続しながら部分的に工事を行っていく場合など、段階的な改修に対しても助成が可能となるような仕組みにつきまして、来年度の実施を目指し、検討を進めてまいります。

○長橋委員 来年度実施を目指すと。
 考えますと、この段階的改修によって、費用だけではなくて、そこに、建物を利用しながら、使用しながらも改修工事ができる場合もあるというメリットもあると思います。ぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、医療施策について伺います。
 初めに、看護師確保策についてでございます。
 平成十八年の診療報酬の改定で、七対一の看護配置基準が導入をされました。以来、看護師不足は深刻化して、特に、私の地元でもよくいわれますけれども、民間の中小病院の状況は大変厳しく、看護師がどうしても集まらないということで苦渋をしているとの声を聞いております。
 看護師確保のために、実態把握に努め、至急施策を実施していただきたいと思うわけでありますけれども、都は、五年に一回、実態調査を踏まえて、看護師需給見通し、これを策定しております。現在の需給見通しは平成十九年に策定をされ、二十三年までの見通しになっております。しかしながら、現在の状況を見ますと、今述べた配置基準の見直しだけではなくて、新たに来年度、診療報酬が改定を予定されておりまして、救急、産科、小児医療などの再建、または病院勤務医の負担軽減、こうしたことが課題になっておりまして、医療や看護を取り巻く状況はさらに大変に厳しくなっているわけでございます。
 そこで、医療現場の状況、実態を踏まえて、この看護師需給見通し、二十三年まで待たずに新たに見直すべきだ、策定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 都は、昨年の八月に看護職員需給見通し策定検討会を設置し、施策の現状や課題等について検討を行っております。また十二月には、都内の医療機関などを対象に、看護職員の就業等に関する実態調査を実施し、現在、集計、分析を進めております。
 引き続き、看護職員の確保策等について検討を進め、年内を目途に、一年前倒しをした、平成二十三年から二十七年までの新たな需給見通しを策定してまいります。

○長橋委員 前倒しをするということでございます。ぜひ実態を踏まえた見通しを立てていただきたいと思います。
 次に、この新たな見通しを踏まえた、大事なのは看護師確保策でございます。
 少子化を考えると、新たな看護師の養成、これを拡大していくことはなかなか困難であります。そうしたことから、公明党の提案で、都は平成十九年度から、身近な地域の病院で再就業研修が受けられる看護職員地域確保支援事業、これを実施いたしまして、お伺いすると、平成十九年度には百四十七名、二十年度には百六十九名の実績を上げた。こうした方々が中小病院やいわゆるクリニックに再就業したということでございます。しかしながら、まだまだ足らないのが実態であります。
 潜在看護師を復帰させる事業であります。全国には潜在看護師は五十五万人いるといわれております。一割とすると、東京には五万人いるわけでございます。すべてが復職することはありませんけれども、この事業での再就業、これをぜひふやす取り組みをしなければならないと思うわけでありますけれども、この事業の格段の充実を図るべきでありますが、いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 離職中の看護職員に対して復職研修や再就業相談を実施する看護職員地域確保支援事業では、受講者の約四割が再就業に至り、そのうちの半数は中小規模の病院や診療所に就業しております。また、再就業に至らなかった方につきましても、その後も東京都ナースプラザの就業協力員が継続的に支援を行っており、こうした取り組みにより新たな就業につながった方は、これまでに、平成十九年度受講者では四十八名、二十年度は六十八名となっております。
 今後とも、本事業の受講者の拡大に努めるとともに、経験やスキルに応じたきめ細かな個別面談などを行い、再就業の割合を高める取り組みを進めてまいります。

○長橋委員 再就業の割合を高める取り組み、ぜひ、具体的になりましたらまた教えていただきたいと思います。
 次に、看護師確保に続いて、地域医療を支える医療連携について伺います。
 中小病院は看護師不足に悩まされております。しかしながら、この中小病院が地域医療の支え手として大変な大きな役割を果たしているわけであります。救急医療を担う指定二次救急医療機関、二百五十四ありますけれども、そのうち、二百床未満、いわゆる中小病院が六割を占めているわけであります。
 都は昨年八月から、救急医療の東京ルール、これを開始いたしまして、地域の医療機関が連携し、救急患者をできるだけ早く、速やかに受け入れられる仕組みをつくりました。そのため、例えば、救命救急センターなどの高度専門医療を行えるいわゆる大病院から、落ちついたら、患者の症状が安定したら、速やかに転院できる仕組みを設けることが必要であろうかと思います。もちろん、切れ目のない医療を提供していくことが大前提でありますけれども、そのためには、いわゆる今いった大病院と中小病院の連携、これをより緊密にしていくことが重要であると思います。
 そこで、このような救急医療機関同士の横の連携、都は積極的に進めていくべきでありますが、いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 お話のとおり、都は救急医療の東京ルールを推進し、圏域ごとに設置をいたしました地域救急会議で連携体制の構築に努めております。
 また、今回の診療報酬改定では、救急医療機関が地域の連携によってその機能を十分発揮できるように、緊急入院した後、患者が五日以内に他の医療機関に転院する場合の加算が新たに設けられました。
 都は、こうした機会をとらえまして、大病院も中小病院もその機能に応じた役割を積極的に担い、病院間相互の連携を地域全体で進めるよう働きかけるなど、迅速、適切な救急医療体制の確保に取り組んでまいります。

○長橋委員 救急医療機関同士の連携、新たな診療報酬で評価をする、ぜひ東京からこの仕組みを広げていただきたい。お願いをいたします。
 さらに、患者の高齢化を考えると、在宅医療、これが大きな課題であります。そうしますと、今度は、今いった中小病院と診療所との連携、これも重要であろうかと思います。症状が急変したときに受け入れる医療機関がないと不安である、このように診療所の先生方はいっておられます。そういった意味では、診療所の医師が在宅医療が継続しやすくなるような仕組み、これもつくることが必要だと思います。
 都は今年度から、在宅医療拠点病院モデル事業を都内四カ所で実施していると聞きます。今いった取り組みであろうかと思います。
 そこで、地域の中小病院が在宅療養患者の緊急一時入院を積極的に受け入れる、そして地域全体で在宅医療を支える仕組みをつくる、このモデル事業、もうモデル事業ではなくて、ぜひこれを東京都全体、他の地域に広げていくべきである、このように思いますが、見解を求めます。

○安藤福祉保健局長 都は来年度、在宅医療連携推進協議会を設置いたしまして、お話のモデル事業を初めといたしました地域の病院と在宅医との連携づくりや、介護職なども含めた多職種による連携など、在宅医療の充実に向けた先駆的な取り組みについて評価、分析を行います。
 こうした成功事例のノウハウ等を区市町村や医療、介護関係者に紹介するとともに、都の包括補助制度を活用して、地域の実情に合った在宅医療の仕組みづくりに取り組むよう、積極的に働きかけてまいります。

○長橋委員 今後の医療のキーワードは在宅医療であると思います。ぜひこの取り組みも頑張っていただきたいと思います。
 次に、商店街対策について伺います。
 商店街を活性化する事業に新・元気を出せ商店街事業がございます。この事業は、イベント・活性化事業、地域連携型モデル商店街事業、そして特定施策推進型商店街事業などがございます。この事業は、イベントだけではなくて、環境、福祉、観光振興などさまざまなメニューがあり、大きく商店街の活性化に貢献をしているわけであります。
 その中で、特定施策推進型商店街事業、これがあります。都の緊急かつ重要な特定の施策に協力して、商店街等に対して特別に支援するとして、都が直接五分の四を補助している事業であります。補助限度額は一億二千万、大変高い補助率の事業であります。平成十八年から始まった事業でありますが、今年度、二十一年度、急激に実績が上がったのが街路灯のLED化事業でございます。商店街から、電気代が大幅に節約できると、三分の一とも四分の一ともいわれております。また、その商店街を訪れた方々は、そのすばらしいデザインとともに、照明が明るくなったと、大変に評判がいいわけであります。
 来年度から同じ事業を継続するというふうに私は聞きました。ところが、内容を大幅に見直しをしているわけであります。ここに、二十一年度と二十二年度の商店街の皆さん方に説明した資料がございます。この街路灯の事業以外はほとんど表記は変わってない、内容は変わっていないんですけれども、二十一年度に何と書いてあるかというと、LED街路灯の設置と書いてあるんです、補助事業の種類として。二十二年度は何と書いてあるかというと、アーチ、街路灯のランプのLEDランプへの交換、こういうふうに書いてあるわけです。これ、どういうことだと聞きましたら、二十一年度までは、支柱を含めた、ランプも含めて五分の四補助が出た、来年度からはランプの交換しか出ない、こういうことでございます。
 せっかく、街路灯をLED化して、まちのにぎわいを取り戻したいと、予定している商店街は多くあるわけであります。来年度からそうなるという話を聞いて、去年までやったところに対してと比べると不公平ではないかと、私もそう思うわけでございます。ぜひこうした商店街の要望にこたえるべきであります。いかがでしょうか。

○前田産業労働局長 商店街の街路灯をこれまでの水銀灯からLEDランプに交換することは、都が進めます地球温暖化対策に寄与しますことから、平成十八年度より、今お話しの事業費の五分の四を助成する特定施策推進型商店街事業の一つとして支援しており、平成二十年度からは街路灯の新設についても補助対象といたしました。
 その後、LEDランプの性能向上もあり、お話のように、今年度、街路灯の新設を要望する商店街が著しく増加いたしましたが、一方で、新設に際し、装飾品つきの支柱など、いわばにぎわい創出のための経費が全体経費の約七割を占めるようなケースも多くなっております。つまり、事業費の相当部分がLEDランプ以外に費やされる事態となっております。このままでは、CO2削減につながるランプ交換に十分な対応が困難となることから、来年度の新・元気を出せ商店街事業では、支援対象を本来の目的であるLEDランプへの交換に重点化し、都の重要施策であるCO2削減をより多くの商店街とともに進めていくことといたしております。
 また、街路灯の新設を希望される商店街に対しましては、国の新たな補助事業を活用することが可能となったことから、区市町村と協力して都が独自の補助を上乗せするなど、こちらについても商店街を強力に支援してまいります。

○長橋委員 今ご答弁がございました。今度は国の補助事業を活用する。だけれども、二十一年度と二十二年度がこれだけ違う。これはやはり商店街の皆さん方にとってみると、どうしてと。もちろん、今ご説明のあったとおり、今年度、大変な、急激にふえたわけでありますから、来年度はさらにふえる。お伺いすると、既に、予定だけで予算はもう間に合わないかもしれないぐらいに聞いているわけでありますけれども、ぜひこの取り組みは後退をさせてはならない、このように思うわけであります。
 そこで、国の補助金を活用する、こういうことでありますけれども、商店街が国へ申請するというのは大変困難であるわけであります。都は全力で区市町村に働きかけて--区市町村の負担を伴うんです、この事業は、国の事業は。ぜひ商店街に対するきめ細かな配慮を行うべきでありますが、いかがでしょうか。

○前田産業労働局長 国の新しい補助事業が始まりましたが、補助金でありますので、商店街が事業計画を策定して国の認定を得る必要がございます。そこで、都としても、商店街に対してきめ細かな支援をしていくことが必要と考えております。
 まず、国と連携して、都内の商店街向けにパンフレットを作成するとともに、本事業の支援を目的に設立された全国商店街支援センターとも連携し、補助金を活用する際のアドバイスや申請手続のサポートを行うなど、手続面での商店街の負担を軽減してまいります。
 さらに、区市町村に対しましては、国や都の支援策を活用するメリットを丁寧に説明いたしまして、区市町村独自の制度導入に向け強く働きかけを行うことで、商店街の経費面での負担軽減を図ってまいります。

○長橋委員 環境局に聞きますと、街路灯のLED化の効果はどれぐらいだと聞きましたら、およそ一基当たり年間約百キログラムのCO2を削減できる、街路灯十本の更新で、都民一人当たりの年間排出量一トンに相当する、このように教えていただきました。
 都内にどれだけ街路灯があるのか、私はわかりませんけれども、世界一の環境先進都市を目指す東京にあって、この事業はぜひぜひお願いしたいと強く強く要望をして、次の質問に移ります。
 次に、観光振興について伺います。
 東京の魅力を発信していく、これも東京の事業の中で重要な施策であります。そのためには、東京のシティーセールスをいかに効果的に行うか、これが大事であります。
 都は、平成十六年から、東京観光レップというのを置いています。観光レップというのは、実際に海外に住んでおられて、現地の旅行事業者等に情報提供を行い、セールス活動をする人でございます。都が委託をしていると聞きます。現在、アメリカのロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、ヨーロッパのロンドン、ミュンヘン、ミラノ、マドリード、オーストラリアのシドニーの八都市にこの方々がいらっしゃる。で、一生懸命、東京のシティーセールスをしていただいている。
 そこで、やはり東京の魅力をさらに発信していくには、今いった八都市では少ないのではないか。少ないというか、もっとふやすべきではないか。観光レップを置いている都市、今いいましたけれども、抜けている大事な都市があるのではないか。抜けているといいますか、これからも置かなきゃいけない都市があるのではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。活用を含めて、見解を求めます。

○前田産業労働局長 都はこれまで、東京の観光情報が不足しており、また、現地の旅行動向が入手しづらい欧米豪地域の、今お話しの八都市に東京観光レップを設置してまいりました。
 東京観光レップは、現地におけるニーズの収集を行い、これにこたえる情報を現地旅行事業者に提供するなどのセールス活動を行っており、来年度はパリに新規に設置いたします。
 また、新たな事業として、東京観光レップ設置の各都市から旅行事業者を一堂に招聘して、この東京を体験してもらうとともに、都内観光事業者との商談会を実施いたします。加えて、都内観光事業者向けに、現地市場のニーズや最新動向など、東京観光レップによる現地目線の情報を提供する観光シンポジウムを開催いたします。
 今後も、東京観光レップを積極的に活用しながら、魅力的な観光情報を提供し、東京向けの旅行商品の造成を促進するなど、さらなる東京への旅行者誘致を図ってまいります。

○長橋委員 新たにパリに新規に置くということでございます。八都市から九都市になるわけでありますが、さらに東京シティーセールスの拡大のために取り組んでいただきたい。
 また、海外の旅行事業者にこうした情報提供をしていくことも大事でありますけれども、海外のメディアにも情報提供していくことが大事であります。これについては、ちょっと質問はもう飛びますけれども、旅行事業者に情報提供していく、海外メディアに情報提供していく、こうした取り組みは大変重要であります。ぜひ取り組んでいただきたい。お伺いすると、二十二年度、この両事業とも大きく拡充をする、このように聞いているわけでありまして、ぜひお願いをいたします。
 そこで、観光について、最後に知事に伺いたいと思います。いわゆるフィルムコミッションについてでございます。
 先日、アメリカのアカデミー賞が発表になりました。ことしは残念ながら日本映画はノミネートされませんでした。昨年は、私も見ましたけれども、「おくりびと」が受賞いたしました。その結果、大変な反響を呼びまして、ロケ地でありました山形県庄内地方が脚光を浴びて、昨年のゴールデンウイークは、山形県の観光客数は二〇%増の八十五万人が訪れて、六億円の経済効果があった、このように聞きました。
 さらには、調べましたら、皆さんもご存じだと思いますけれども、大ヒット作の「ミッション・インポッシブル」、トム・クルーズ主演の映画でございますが、平成十八年のときに、三作目の「ミッション・インポッシブルⅢ」、このジャパンプレミアのために俳優のトム・クルーズが訪れました。そこで何といったか。四作目、次は東京で撮りたい、このように続編の構想を話したと。これは若干、何といいますか、言葉も入っていると思いますけれども。
 そこで、東京でのロケが敢行されれば大変な話題になる。そのジャパンプレミアでは、お伺いしたら、東京湾クルーズ、トム・クルーズが東京湾クルーズしたということでございます。このときには港湾局がお手伝いをした、このように聞きましたけれども、知事は、映画制作、監督、制作総指揮、脚本も書かれた、こういうことで、映画には大変に詳しいわけでございます。
 ぜひ知事、大ヒット作を東京へ呼んでいただきたい。知事にお願いするわけじゃないんですけれども、東京の顔は石原知事でございます。こうしたロケーションボックスに当たっても、東京は映画の舞台にふさわしい場所はたくさんあろうかと思います。今いったお台場、またさらには、今度できるスカイツリー、そんなところが浮かぶわけでありますけれども、映像によって海外に発信すること、これは観光振興という点からも効果が大変ある。ぜひ知事のお考えを伺います。

○石原知事 映画は言葉を超えた国際語でありまして、その国の文化を端的に表現するメディアの一つであると思います。映画という大きなスクリーンでの映像のイメージは、見た者の心の中に長く残るものであると思います。
 こうした映像の持つ力を観光振興に活用するために、従来、幾つかの部署で許可をとらなければならなかったロケーションを、一カ所、ワンストップで可能にするように、手続としてのワンストップサービスということで、東京ロケーションボックスを設置してロケ撮影の支援を行ってまいりました。
 ただ、その先にちょっといろいろバリアがあるんですね、これは。ということで、外国のスタッフに聞きますと、思ったような撮影ができにくいということで、ちょっと日本は敬遠されがちでございます。これは残念なことで、これは何か、やっぱりこういった障害を何とか越えていきたいと思っております。
 今後とも、国内外のロケを積極的に誘致することによりまして、映像作品を通して東京のさまざまな魅力を世界に発信し、外国人旅行者の拡大につなげていきたいと思っております。

○長橋委員 ぜひ、東京ロケーションボックスにして、大ヒット作が出たらなと、強く期待をするものでございます。
 次に、就業支援について何点かお伺いいたします。
 大学生など若者の就職難、これは我が党はたびたび取り上げてまいりました。高校生の新卒者、大学生への支援、これを、飯田橋と多摩のしごとセンターを活用して、さまざまな取り組みを応援してまいりましたし、提案をしてまいりました。
 そこで、この若者支援の中核を担うのがジョブカフェでございます。飯田橋のしごとセンターには、ジョブカフェとしてヤングコーナーがございます。ところが、しごとセンター多摩には、ヤングコーナーといいますか、ジョブカフェが設置をされておりません。お伺いすると、しごとセンター多摩こそ、大学も集積しておりますし、企業も集積している、そしてまた、そのためにさまざまなヤングのための就活セミナー、「グッJOB!」だとか「就コム!」だとか、大変若者の就労支援事業をやっておられる、こういうことでございますけれども、まさにしごとセンター飯田橋のジョブカフェと同じような、同等な取り組みをしているわけでありますけれども、ジョブカフェにはなっていないということでございます。
 多摩にこそジョブカフェを設置すべきではないか。確かに、しごとセンター多摩、私もお伺いしましたが、そんなに広い建物じゃないけれども、ジョブカフェ、ぜひ設置していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○前田産業労働局長 しごとセンター多摩では、今お話しいただきましたように、さまざまな若者向けの支援策を講じております。また、大学等、企業等に対しても、ネットワーク構築に積極的に取り組み、大学や企業、中小企業団体と連携した合同就職面接会や企業説明会等を実施してまいりました。
 また、先週の三月十五日には、新卒緊急応援窓口を開設し、卒業後も就職活動を継続する新卒者に対する緊急対策にも取り組んでおります。
 施設上の制約がありまして、ジョブカフェと称してはいないところですけれども、さらに、現下の厳しい就職環境を踏まえ、若者への支援を充実するため、ヤング就職情報コーナーを新たに設けまして、最新情報を的確に提供してまいります。

○長橋委員 新たにヤング就職情報コーナーを新設するということでございます。私としては、これはジョブカフェである、このように認識をするということでございます。
 次に、障害者の就労について伺います。
 先日、生徒全員の企業就労を目指す特別支援学校の永福学園が、ことし初めて卒業生を送り出すと。お伺いすると、卒業生九十七名のうち九十二名が就職が内定した。九五%です。これは大変な取り組みであろうかと思い、高く高く評価をするわけであります。
 しかしながら、障害者の方々、また特別支援学校の卒業生の状況を見ますと、せっかく就労しても、会社になじめなくて離職率が高いのが現状であります。離職しても、新たに再就職を目指すには、学校側と市区町村の障害者就労支援センターなどの連携が重要になってくるわけであります。
 現在、その連携のためのツールとして、ここにありますが、個別移行支援計画というのがございます。それを見ますと、現在の記載内容は、生徒の将来の希望や必要と思われる支援、こういうのが書かれるわけでありまして、これをもとに障害者就労支援センターがまた新たな職場を探すということでありますけれども、そこに加えなきゃいけない事項があろうかと思います。
 それは、生徒が受けた職業訓練などの情報であります。いわゆる生徒は何が得意なのか、何が興味があったのかと、こういうことが新たなマッチングには必要であろうかと思いますけれども、そうした意味で、この個別移行支援計画の内容を充実させるべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。

○大原教育長 現在、生徒の希望や必要と思われる支援などを内容とする個別移行支援計画を学校が作成し、地域の就労支援センターなど就労支援機関に引き継いでおります。
 就労支援機関は、この個別移行支援計画の情報も踏まえまして、就労希望者と企業の求める人材とのマッチングを行っております。
 これらの取り組みは、卒業生の生涯にわたる就労支援につながるものであることから、今後は新たに、生徒が受けた職業教育の内容や身につけた能力、技能などの有用な情報につきましても、個別移行支援計画の記載内容に加えまして、学校から地域の就労支援センターなど就労支援機関に提出、提供していくことといたしたいと思います。

○長橋委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 続いて、都議会公明党が粘り強く推進してきたもう一つの政策は、東京都みずから就労支援に取り組むべきだと、このように訴えてまいりました。
 そこで、交通局は、我が党の提案で、地下鉄大門駅の構内で障害者のお店、パン屋さんですけれども、私も行かせていただきましたけれども、皮切りに、現在四店舗まで広がりました。また、都庁のチャレンジ雇用、働く意欲のある障害者を育成し企業に送り出すチャレンジ雇用、これも取り組みをしていただきました。私も、初めて来たチャレンジ雇用の方にお会いしましたけれども、都庁で働くというその思いを、本当に私も、感慨深げに、お話をさせていただきました。
 そこで、昨年度は都庁で十二名、今年度は二十九名の知的障害者、精神障害者を雇用していると聞いておりますけれども、現在雇用しているのは、福祉保健局と産業労働局でございます。来年度は、ぜひ他局にも広げていただきたい。いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 チャレンジ雇用は、障害者が一般企業への就職前に実践的な訓練を積む場として有効であり、平成二十年度及び二十一年度前期に雇用した二十名のうち、現在までに八名が就職を果たし、そのほかの方についても、引き続き求職活動をしております。
 来年度は、福祉保健局、産業労働局に加え、教育庁でも開始し、三局合わせて三十二名を雇用する予定であります。
 現在、これまでに蓄積したチャレンジ雇用のノウハウを取りまとめており、今後、庁内の関係局に周知を図ってまいります。

○長橋委員 新たに教育庁でもチャレンジ雇用をやるということでございます。実績を積んできたわけであります。ぜひ局長に手を挙げていただきたい、このようにお願いして、次の質問に移ります。
 もう一つ、障害者の雇用の現場で、私が印象に残っていることがございます。以前に大田区の特別養護老人ホームを視察いたしました。そこで二人の知的障害者が働いておりました。それぞれの特性を生かして、一人は洗濯のアルバイトから始めて、その後、ホームヘルパーの資格を取って、高齢者の介護をしておりました。もう一人は、得意のパソコンを生かして事務補助として働いておりました。福祉施設では、本来の業務である介護はもちろんですけれども、さまざまな業務があって、障害者雇用においては期待のできる分野であろうかと私は思います。
 冒頭申し上げた永福学園、ここには福祉コースがあるんです。在学中にホームヘルパー二級の取得を目指している、このようにも聞きました。そこで、こうした学校で取得する資格を生かすためにも、特別養護老人ホームなどの福祉施設での障害者の雇用を促進すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 福祉施設には、介護のほか、洗濯、清掃、事務補助などの業務があり、障害特性に応じた多様な仕事の選択が可能であります。
 都は、区市町村障害者就労支援センターなど地域の就労支援機関を通じ、福祉施設での職場開拓に取り組んでおります。
 今後、さらに特別支援学校、ハローワーク等と連携して、福祉施設での実習受け入れ促進や見学会を実施するとともに、社会福祉法人に対する各種の説明会の機会などを活用いたしまして、福祉施設が障害者の雇用に取り組むよう働きかけてまいります。

○長橋委員 ぜひ、そうした福祉施設への就労、永福学園、教育庁とも連携をとる中で進めていただきたい。
 私が大田区のその施設にお邪魔して、障害者の方に聞きました。汗を流しながら、高齢者の入浴の介助をしておりました。恐らく、以前は違うところで働いていました。だけれども、なかなか一緒に健常者の方と仕事をやってもできない。だけれども、こういうところだと、そういう高齢者の方から感謝の言葉が投げかけられる。そこに、障害者の方がまたさらに頑張るという仕組みができるわけであります。ぜひお願いしたい。
 最後に、都立大塚病院の児童精神科外来、この増員について質問して終わります。--済みません、時間が来ちゃった、以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)

○藤井副委員長 長橋桂一委員の発言は終わりました。

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