予算特別委員会速記録第七号

 午後五時三十六分開議

○服部副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 野島善司理事の発言を許します。

○野島委員 この予算議会ともいうべき第一回定例会、私たちはさまざまな場面で議論を深めてまいりました。その立場に立って、都議会自民党を代表して総括締めくくり質疑を行います。
 現在、我が国は、景気低迷や少子高齢化、さらには我々の将来を脅かす環境問題など、さまざまな危機に直面しています。このようなときこそ、政治はその本来の役割を果たさなければなりません。
 マックス・ウエーバーは、「職業としての政治」の中で、政治家には情熱と責任感と判断の資質が不可欠であるとしています。今こそ私たちはこの言葉を謙虚に受けとめ、危機を克服する具体的な方策を迅速に講じることが求められています。
 行政のむだを削るのは当然のこと、真に必要な事業は断固進めなければなりません。景気回復、経済成長を促し、税収を増加させてこそ、都民の暮らしを守り、東京、日本を発展させることができるのです。
 そのためにも、それぞれの施策の効果やほかの施策とのバランス、優先順位を把握し、限りある財源を使っていかなければなりません。あるべき都市像の実現に向け、継続性、安定性のある施策と財源の確保、すなわち計画行政が地方政府の根幹であり、いかなる困難があろうとも、政治はその責任を果たしていかなければなりません。
 この十年間の都政の姿は、まさにこうした政治のあるべき姿を示していると思います。破綻のふちにあった財政を健全化し、実効性の高い施策をバランスよく展開し、日本の危機が最も顕著にあらわれる首都東京という現場から迅速に対処してまいりました。これは、東京から日本の未来を切り開く決意を胸にリーダーシップを発揮してきた石原都知事のもとで進められてきたものであります。
 来年度予算においても、打つべき手を確実に打っていく知事の強い意思が数多くあらわれています。知事には、この東京をさらに成熟させるべく、引き続き卓越した政治手腕を発揮していただきたいと思いますが、今後の都政運営に対する決意を伺います。

○石原知事 政治は、歴史と文明の大きなうねりの中で、次から次へ発生する課題の本質を冷静に正確にとらえて、できるだけ早く必要な手だてを講じていかなきゃならないと思っています。
 これまでも都議会の皆さんと苦労を重ねながら、財政的には、まさに徳俵に足がかかっていた東京の財政を何とか立て直し、加えて、国がまだ採用していない、先進国やどこでもやっている複式簿記・発生主義というものを会計制度に取り入れまして、行財政運営の本質的な改良も行ってまいりました。よみがえった財政の裏づけもありまして、東京でしかなし得ない、日本を牽引する施策を実現していかなきゃならないと思っております。
 「十年後の東京」計画も構えまして、十年先に実を結び、五十年先、百年先にもつながる政策を揺るぎなく進めていきたいと思います。今後も東京をさらに高い次元で成熟させることで、我が国の進路も指し示していきたいと思います。
 そのためにも、都議会の皆さんと一層合理的な議論を交わして、今を生きる都民、国民のためだけじゃなくて、やがて後の子孫が、二十一世紀の初めに都政をやっていた人間たちはなかなか賢明であったと評価してくれるような、そういう心構えでこれから皆さんと一緒に都政を運営していきたいと思います。

○野島委員 我が党の高木理事が過日の一般質疑で、国の施策が都政や都民生活にどのような影響を与えているか、具体的な質疑をいたしました。
 そこでは、子ども手当や私立高校生への就学支援金制度などを例に挙げて、施策のあり方や国と地方の負担のあり方などについて論点を明らかにし、あるべき姿を指し示し、正面から建設的な議論を重ねました。
 我が党は都民生活を第一に考え、そして、都民に対する大切なサービスを安定的、継続的に提供できるよう、それを支える財政基盤にも常に心を砕いてきました。それゆえ、知事とともに、これまで血のにじむような努力を重ね、財政再建を達成し、強固な財政基盤を築き上げてきたわけです。東京が自立し、成熟した自治体としてさらなる進化を遂げるためには、引き続き堅実な財政運営を行いながら、みずからを律する取り組みを進めていかなければなりません。
 同時に、知事と我々都議会が一致団結して、守るべきところは守る。法人事業税の暫定措置の即時撤廃も含め、いうべきことは、引き続き国に主張していきたいと考えています。
 さて、来年度は、積極的な施策展開を図りながらも、一兆円もの活用可能な基金を確保いたしました。このことは大変評価されるべきものです。だからといって決して安心できるものではありません。世界経済が激しく揺れ動く中で、景気の波にさらされる東京の財政は、一兆円の基金の存在だけで安んじられていないのもまた現実の姿です。
 いかなる環境に置かれようとも、将来にわたり都民生活を支え得る財政運営を行っていく上では、行政が常に堅実な財政運営に努めることは当然でありますが、そうした取り組みや財政の現状を都民の皆さんに正しくご理解いただくことも必要です。
 そのためには、まずは都民の皆さんに、都財政の置かれた状況や今後の見通しなどについて、より広く深く知っていただくための取り組みが大変重要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○村山財務局長 今後も厳しい財政環境が続くことも想定されますので、将来にわたり都がなすべき役割をしっかり果たしていくには、お話のように、歳出、歳入両面にわたり、あらゆる努力を重ね、引き続き堅実な財政運営を行っていくことが必要でございます。
 これを進めていく上で大切なことは、都財政を取り巻く厳しい状況、あるいはそうした状況への東京都の対応、それにつきまして都民にしっかりとお伝えして、理解を深めていただくことでございます。これは今後の財政運営の基礎となるものでございまして、また、都民とともに法人事業税の暫定措置の撤廃などを国に対して訴えていく上でも不可欠なものでございます。
 これまでも予算の内容や財政の状況につきまして、冊子やホームページで公表するとともに、決算時にも新しい公会計を活用して財務状況をより多面的に説明してきておりますけれども、今後はさらに工夫を凝らしまして、都財政を取り巻く状況や先行きの姿などを含めまして、都民の皆様により深く広く知っていただくよう積極的に取り組んでまいります。

○野島委員 私、今から二十年前、執行側にいたときがございまして、行財政改革というのを進めたんです。そのときに痛感したのが、実はこの財政の問題です。財政出動圧力を高める、あれもやれ、これもやれという人たちにどんなに財政の話をしても、そんなの関係ないと、こういうことであります。
 ぜひ静かに都政のあすを見守る人は、やっぱり財政がなければ物は動かないんですよ、この仕組みをしっかりとご説明いただいて、理解を深めるようにご努力いただきたい。そのような財政対応力をより進化させ、都民、国民のために責任を果たしていくと。それが今、私は行政に求められているものというふうに思ってございます。
 ただし、どんなに行政だけが頑張っても、東京と日本が直面する課題すべてを解決できるわけではありません。東京と日本を真に支えるのは、都民、国民なんです。
 しかし、昨今、みずからの権利ばかりを振りかざし、義務や責任を顧みない風潮が蔓延し、社会の土台が大きく崩れ去ろうとしております。快楽を幸せと履き違え、自分さえよければよいという状況。知事もご指摘のような、モンスターペアレント、モンスターペイシェントのような、今まででは考えられないような事態すら生んでいるわけでございます。
 一方で、各地で災害が発生した際に、地元の消防団や多くのボランティアが黙々と汗を流しています。また、防犯、子どもの見守りなど、さまざまな場面で、地域に住む人々がみずからの手でみずからの地域を守っています。
 個人それぞれが責任を持って行動し、自立する。親が子を慈しみ、子が親を大切にし、家族が支え合う。そして、個人と家族が地域に貢献し、地域が協力し合う。政治と行政が広く都民、国民、家族、地域を守る。こうした自助、共助、公助の形が国家の背骨となり、社会を安定させます。
 日本社会の溶解現象に歯どめをかけ、真に再生させるためにも、自助、共助、公助という縦軸をいま一度つくり直していかなければなりません。知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 おっしゃるとおり、国家、社会が成り立っていくためには、自助、共助、公助という仕組みというものがなければ成就できないものと思います。しかし、まあ、現代の世相を眺めますと、特に自助、共助というものが非常に希薄になりまして、公助が求められるばかりだという気がいたします。
 私みたいな戦争も体験した古い人間は、今の世相を眺めますと、非常に古い歌を思い出すんですが、昭和七年の五月十五日、五・一五事件を起こしたあの首謀者の一人、三上卓がつくった「昭和維新の歌」というのがあります。あの二番はまさに今の世相をいっていますな。
 権門上におごれども、国を憂得る誠なし。財閥富を誇れども、社稷--社稷というのは、人が、食べられるかなあという、そういう思い。社稷を思う心なし。ああ人栄え国滅ぶ。愚かなる民世に躍る。治乱興亡夢に似て、げに一局の碁なりけりですか。
 まあ、私も間もなく死ぬでしょうけどね、そのとき、今の世相が続いて、それを眺めながら、げに一局の碁なりだなという心境で死にたくないと思いますがね。
 とにかくこの風潮を、みんなやっぱり志ある者は、価値観、立場を超えて協力して立て直していかないと、本当にこの国は危ないんじゃないかという気がつくづくいたします。
 ご指摘のとおり、財政というものを全く知らず無視して高福祉低負担を求める、それが当たり前のような、そういう要求というのは、どう考えても、中学生でもわかる、成り立たない公式でありますけど、それを国民の多くも求め、またそれに政治がこびて同調するというポピュリズムは、本当にこの国をだんだんだんだんむしばんで、気づいたときには遅過ぎるというような気がしないでもございません。それを心して、これからみんなで力を合わせていきたいと思います。

○野島委員 私、幸いにして戦争の経験はないんです。よわい六十一になりました。しかし、自助、共助、公助というのは、私は、世代を超えた価値観として私たちが持っていかなければならないことだろうというふうに思っております。ぜひそんな形で私も取り組んでまいりたいと思います。
 あわせて、都の多くの施設で活用している指定管理者、NPO、また地域力の担い手である自治会、町内会などは、それぞれの役割を果たしながら、社会全体の利益につながる活動を行っています。厳しい事業環境の中で頑張っている中小企業もまたしかりです。こうした現場のプレーヤーの活動は、今後、東京が成熟していくに当たり、ますますその重要性を増していきます。
 それぞれの主体の自立的な活動を大いに引き出し、総合的に組み合わせていくことで、国家の背骨として社会を安定させる自助、共助、公助という縦軸に、これら多様な主体の活動を横軸として通し、東京の活力を最大限生み出していかなければなりません。それこそまさに行政の役割であり、こうした視点も持ちながら、引き続き施策の実効性を高めていただきたいと思います。
 こうした中、地域力の必要性が求められております。我が党は、町会、自治会が主体的に地域力向上に取り組む活動を支援するため、平成十九年度に地域の底力再生事業を実現させ、年々取り組みを拡充していただきました。都財政が大変厳しい中、来年度の予算案においても、我が党は一億円の予算確保は不可欠と考え、復活要求をいたしました。
 私の地元に、東久留米市の浅間町自治会というのがあるんです。この事業を活用しましていろんな事業をやっているんです。独居の単身高齢者を災害のときにどういうふうに守っていけるかという、こういう枠組みをやっています。あるいは親子三代のもちつきということで、地域の顔が見えるようになったと。その会長、小俣さんというんですが、野島さん、都知事にぜひお礼をいっといてくださいということでございましたので、知事に御礼を申し上げておきたいというふうに思います。大変喜ばれている、この事業はですね。地域力を再生していくんだと、こんなことでございます。
 そこで、都は、これまでの事業成果を踏まえ、この事業をどのように評価し、またどのような課題があると認識しているのか、お伺いいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 地域の底力再生事業助成は、ただいま野島理事よりご指摘がございましたとおりの経過で平成十九年度から実施しておりまして、地域住民の間のつながりや、地域が抱える課題をみずから解決する力の再生を目指して、地域社会の中心的担い手でございます町会、自治会が実施する多様な事業に助成を行うものでございます。
 これまでに助成を受けた町会、自治会では、地域活動の主体となる町会等への加入促進を初め、高齢者や子どもの見守りパトロール、また、共助の力を高める防災活動など、地域が抱えるさまざまな課題への取り組みや、地域に伝わります和太鼓やおはやしなどの伝統文化の承継など、多様な事業に取り組んでいるところでございます。
 町会等からは、本助成事業が契機となり住民の間の連帯感が生まれ、地域活動が活性化されたなどの声も多数寄せられておりまして、都といたしましても、地域みずからが課題を解決していくという、まさに底力の再生に寄与している事業であるというふうに認識しております。
 助成開始後三年が経過いたしましたが、積極的に活用していただいて大変大きな成果を上げているという地域もある一方で、本助成を活用したことがない地域もございますため、さらなる活用を促進していくことが課題というふうに考えております。
 都といたしましては、これまで実施してまいりました先進的なモデル事例の紹介などによりまして、本事業が都内各地域で活発に進められるよう促し、より一層の地域の底力再生に取り組んでまいります。

○野島委員 本年十月には国勢調査が実施されます。国勢調査員の確保については、町会、自治会の推薦によるなど、国勢調査もまさにこの地域力の基盤の上に成り立っているといっても過言ではありません。
 長年にわたり貢献してきた町会、自治会の協力や調査員の尽力に対し、都としても何らかの形で報いるべきであり、引き続き地域力の向上に総合的に取り組むよう強くご要望申し上げる次第でございます。
 次に、八ッ場ダムについてお伺いいたします。
 今改めて認識すべきことは、この事業が特定多目的ダム法に基づき、国と一都五県が連携し、中央政府と地方政府が必要な手続を積み重ね、約束のもとに推進されてきた、こういうことであります。
 国土交通大臣は、マニフェストを理由に八ッ場ダム建設の中止を表明し、その後、再検証するが、中止は変わらない、また、全国の国、地方のダムについても検証するとしています。そして、ダム湖を前提とした湖面一号橋の工事は継続するが、本体工事を中止する方針は変わらないと、このように述べているわけであります。
 最初の中止表明以来、この経過は、私は矛盾のスパイラルだと、こんなふうにとらえております。
 八ッ場ダム建設計画は、法律に基づき現在も存続している以上、国は、定められた建設計画に基づいて、約束した工期内に事業を完了させ、国民を洪水や渇水のリスクから守っていく責務があります。
 改めて知事の認識を確認するとともに、事業推進に向けた決意をお伺い申し上げます。

○石原知事 八ッ場ダムにつきましては、一都五県の知事が連携して、利根川流域での現に発生している洪水、渇水被害の実態を示し、治水及び利水上の具体的な効果を繰り返し主張してまいりました。
 技術的な知見に基づいて計画され、法律に基づく手続を積み重ねて、国と共同で進めてきたこの事業を明確な理由もなく中止するというのは、余りにも強引、理不尽なやり方であると思います。
 現政権の担当大臣も、先日、国会において、八ッ場ダムの建設計画は現在も法的に存続していると明言しております。生活再建だけを行うダム工事などあり得ないわけでありまして、国は、ダム本体の建設を推進し、河川管理者としての責務を果たすべきだと思います。
 引き続き、関係県の知事と一致団結して、国に対して、早急に再検証の結論を出して計画どおりにダムを完成させるよう、強く要望してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。私ども都議会自民党も、三原議員に一都五県の八ッ場ダム推進議連の会長に就任いただきまして、一都五県の推進の立場にある議員さんと一緒に活動いたしております。
 また、知事も大変いろいろな場面でご支援いただきまして、ありがとうございます。これからも連携を密にさせていただきながら、この推進に向けて努力してまいりたいということを表明させていただいて、この項を終わりたいと思います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 行政は、住民との契約関係のもとに成り立っているわけでございます。負担に見合う受益を行政サービスとして住民が受けることで契約が成立し、その結果として納税が発生するということだろうと認識しております。
 こうした点から考えますと、地球温暖化対策というのは、なかなか受益が見えにくいだけに厄介な代物だなと思ってございます。新たに約千四百の大規模事業所がCO2排出の規制を受け、また来年度予算案には、カーボンマイナス東京十年プロジェクトとして総額三百九十一億円が計上されています。
 この規制を受け入れ、大きな財源投入を都民に是としてもらうためには、こうした負担が地球温暖化を食いとめる一助となり、将来、受益が受けられるであろうという納得をしてもらう必要があるわけでございます。
 そのためには、単なる規制的な手法だけではなく、温暖化対策が新たな経済的なメリットを生み出し、環境ビジネスを育て、都民の生活を潤すことにも資するという側面をより明確に打ち出すことが求められています。我が党が本会議の代表質問で知事の考え方を問うたのも、こうした観点からでございます。
 そこで、まず、今回の大規模事業所の排出規制に対応するため、事業者はどのような対策を講ずることになるのか、また、設備投資は大まかにいってどの程度見込まれるのか、お伺いをいたします。

○有留環境局長 対象事業所は、義務履行のため、運用、管理面の対策に加えまして、設備更新によりCO2の排出削減に取り組むことになります。
 都が実施した対象事業所へのアンケート調査によれば、二〇一五年時点では照明、空調、熱源など主要な設備機器のおおむね七割超が、二〇二〇年時点では九割超が法定耐用年数を迎えることがわかっております。
 これらの設備機器の中で、高効率製品の販売割合を、ボイラーなど熱源について見ますと、おおむね一割から三割程度にすぎず、現状では、我が国の有する高い省エネ技術が十分に活用されておりません。
 高効率機器への更新効果を都立病院での熱源機器等の更新例で見ますと、三億一千万円の設備投資によりまして、年間のCO2排出量九千八百トンの三割の削減を達成し、年間六千六百万円のコスト削減効果を生み出しております。
 総量削減義務の導入は、こうした高効率機器の活用を促進し、省エネ技術のさらなる向上を進めるなど、環境ビジネスの発展にも寄与するものと認識しております。

○野島委員 そういったふうなオフィスビルの空調、あるいは太陽光パネル、こういった投資は、恐らくはメーカーの工場がある地方を大変潤すことになるだろうと思いますけれども、都内の経済の活性化には、いま一つパンチ力が弱いかなと、こんな気もしないでもありません。
 そこで、地球温暖化対策を東京の経済の活性化や都内中小企業の振興にも役立てるような施策が必要だと考えますが、都としての取り組みをお伺いいたします。

○前田産業労働局長 地球温暖化対策に関する市場はいまだ成熟していないことから、中小企業が温暖化対策に資する独自性と競争力を持った製品や事業を創出していくことは、大きなビジネスチャンスにつながります。このため、将来を見据えて、こうした中小企業の技術開発を支援していくことが重要であります。
 都はこれまでも、中小企業のすぐれた技術力を活用し、環境問題などの解決を図る社会的課題解決型研究開発助成事業を実施いたしまして、中小企業の地球温暖化対策に資する機器等の開発を支援してまいりました。
 さらに、来年度から実施いたします都市課題解決のための技術戦略プログラムにおきまして、例えば家庭用電化製品の省エネルギー化ができる小型で低価格な装置の開発など、地球温暖化対策に資する研究開発テーマや目標を定めて、これに沿った中小企業の新製品、新技術の開発及び事業化を、庁内各局との連携を深めながら重点的に支援してまいります。

○野島委員 都庁には大変多くの試験研究機関や大学があり、技術の面からだけでも温暖化対策と産業施策とを融合させる有効な手段を生み出すことが可能なはずであります。規制が先行しがちでありますこの環境行政だけでなく、都庁の総合力を発揮して、産業政策とシンクロした新たな視点での地球温暖化対策の強化が必要と思いますが、改めて知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 我が国は、太陽光発電などすぐれた環境技術を従来有しておりましたが、国の認識が不足していたために、その活用が十二分になされず、今となっては、ヨーロッパ、特に北のヨーロッパへ行きますと、つくづく感じますけれども、熾烈な国際競争に立ちおくれてしまいまして、このままでは大きなビジネスチャンスを失いかねないという気がいたします。
 都は、太陽エネルギー利用の大胆な普及支援策を打ち出していまして、一度は廃止になりました国の補助金を復活させるなど、業界を活性化し、関連のビジネス事業者からも大いに歓迎される取り組みを進めております。
 温暖化対策の推進は、新たな環境産業や経済成長を生み出す源泉ともなるものであります。このため、キャップ・アンド・トレードの導入により省エネ投資を加速していくとともに、これを環境産業振興の好機ととらえ、新技術の開発を促進し、各局が連携して新製品の市場開拓を強力に後押しするなど、環境ビジネスの創出を積極的に進めてまいります。
 こうした温暖化対策と産業振興策を重層的、複合的に展開することによりまして、世界で唯一、都市としてICAPに参加している東京から、低炭素型都市のモデルを示していきたいと思っております。

○野島委員 ちょっとした雑誌に、日本は環境後進国の部類に入っちゃいますよというふうな表現がございました。しかし、日本には、いろんな技術もあれば、環境の資源もあるだろうと、CO2削減に向けた。それを複合的に組み合わせることによって、必ず達成できるんですよというふうな識者のコメントも載っておったのを記憶しております。ぜひそんな思いでよろしくお願いしたいと思います。
 次に、下水道局では、率先して温室効果ガスを削減し、地球温暖化対策へ積極的に取り組んでいくこととしております。この施策の一つに、一昨年の予算特別委員会の締めくくり質疑において私が質問いたしました、清瀬水再生センターの汚泥ガス化炉の導入があります。
 また、スギ花粉発生源対策で生ずる杉の未利用材などを下水汚泥焼却の際の補助燃料として活用する、下水汚泥と木質系バイオマスの混合焼却事業があります。
 これらは、それぞれ日本で初めての取り組みであると大変期待するものでありますが、これら二つの事業の現在までの取り組み状況とその効果についてお伺いをいたします。

○松田下水道局長 まず、汚泥ガス化炉でございますが、平成二十年四月に事業者を決定いたしまして、同年七月、清瀬水再生センターで建設に着手をいたしました。現在、施設はおおむね完成をいたしまして、ことし七月に稼働いたします。
 この汚泥ガス化炉は日本で初めて導入するもので、温室効果ガスについては、従来の焼却炉の排出量のおよそ九割に相当する、年間約一万二千五百トンの削減効果がございます。加えて、生成されたガスは、発電や汚泥の乾燥などの熱源としても活用できます。
 次に、下水汚泥と木質系バイオマスの混合焼却事業でございますが、これは下水道局と産業労働局、環境局の三局が連携をしたものでございまして、その施設は国内初の施設として、昨年五月より多摩川上流水再生センターで稼働を始めております。
 ことしの二月までに、合計約三万五千トンの汚泥を焼却する際に、多摩産材の未利用材など約千五百トンを補助燃料として活用いたしました。これに伴い、都市ガス使用量を、従来と比べ約三十万立方メートル削減いたしました。
 さらに、今後は、汚泥を焼却するための多層型流動焼却炉などの導入、また汚泥炭化炉の拡大、そして各種設備の省エネルギー化などを積極的に進めて、アースプラン二〇一〇で掲げた温室効果ガス排出量の二五%以上削減を目指し、全力で取り組んでまいります。

○野島委員 今まさに、炭素に値段がつく、この時代の幕を都があけようとしているわけでございます。東京から世界にメッセージを発信し、諸外国を巻き込んでいくことが、結果として都民、国民の負担を軽減することにもなります。
 また、東京の経済の腰を折ることなく、むしろ新しい産業の育成をも図っていかなければなりません。例えば、この春、都と千代田区、青森県の三者の協定に基づき、青森県六ヶ所村の風力発電によるグリーン電力を新丸ビルが活用する動きや、電気設備にICTを活用し、より環境性、品質性、効率性を高めるスマートグリッドなどの取り組みなど、ぜひこうした視点も取り入れ、今後の施策展開を図っていただきたいと思います。
 国においても、二五%削減ということで基本法も制定されるやに伺っております。その後、恐らくいろんな意味で、いろんな領域にわたるロードマップもつくっていく必要があるだろうというふうに思っております。
 環境行政も、東京から日本を変える、国を引っ張っていくと。こんな今までの経過の中で、国に対してもいろんな提言をしながらご努力をいただきたい、こんなふうに思っている次第でございます。
 次に、都立公園の整備についてお伺いいたします。
 都は、「十年後の東京」計画において、新たに千ヘクタールの緑を生み出すとして、さまざまな取り組みを進めています。とりわけ都立公園は、水と緑のネットワークの拠点として人々に潤いや安らぎをもたらし、また災害時には都民の避難場所や復興活動の拠点として機能する重要な施設でございます。
 「十年後の東京」を実現するため、都立公園の整備をさらに推進すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○道家東京都技監 「十年後の東京」計画を実現するため、実行プログラム二〇一〇においては、都立公園の開園目標を平成二十四年度末までの三年間で七十ヘクタールとし、そのうち二十二年度の開園予定を、既定計画に対して十ヘクタール前倒しして三十ヘクタールとするなど、積極的な取り組みを進めてまいります。
 二十二年度におきましては、災害時の防災拠点ともなる東京臨海広域防災公園や、里山の自然環境を保全する野山北・六道山公園などの整備を推進いたします。
 また、北多摩地域における緑の拠点となる六仙公園では、廃校となる小学校跡地を活用して公園を整備する予定でありまして、敷地の半分を無償で借地するなど、地元市との緊密な連携を図りながら用地を確保し、整備効果の早期発現を図ってまいります。
 今後とも、緑のネットワークの拠点となる都立公園の整備を着実に推進し、緑あふれる都市東京を実現してまいります。

○野島委員 今、答弁でお触れいただきました、実は私の地元の六仙公園なんですけれども、これはいろいろ都ともご相談させていただいて、用地の権原、財源、そして都民要望を総合的に考え、廃校となる小学校を公園化したと、こういう事例であります。いわば、地元自治体の協力を得ることは大変有効だろうというふうに思ってございます。今後も都立公園の整備を着実に進めてほしいと思います。
 次に、恩賜上野動物園について伺います。
 先日、知事が発表なされましたパンダの受け入れがマスコミに大きく報道されました。パンダ受け入れを一貫して応援してきた我が党としては、非常に喜ばしく思っています。
 本年は生物多様性条約締約国会議が我が国で開催されます。動物園は、野生生物の保全に取り組み、多様な生き物の生態や生息環境を伝えるなど、環境教育の現場としてより重要性が高まると思われます。このため、たくさんの方に動物園に来ていただき、動物の生き生きとした姿を見ていただくことが重要でございます。
 そこで、上野動物園の活性化に向けた取り組みについて所見をお伺いいたします。

○道家東京都技監 これまで都立動物園では、魅力的な展示の工夫を行うとともに、ゴリラやユキヒョウ等、多くの希少動物の繁殖に成功するなど野生生物の保全に貢献するほか、動物解説や学校教育との連携などにより環境教育の充実に努めてまいりました。
 都は、動物園のさらなる魅力向上を目指し、Visit Zooキャンペーンを実行プログラム二〇一〇に位置づけ、平成二十二年度から、来園者へのサービスの向上を図るさまざまな取り組みを行ってまいります。
 具体的には、恩賜上野動物園では、都民ニーズに対応し、夏休み期間中の金曜、土曜日についても、ゴールデンウイークやお盆期間と同様に開園時間を延長するとともに、これまで年間二日程度であった月曜休園日の開園を大幅にふやし十七日といたします。
 また、夏の暑さを和らげ涼しさを演出するドライミスト装置を新たに設置いたします。
 さらに、ホッキョクグマ等の水生動物展示施設を開設するとともに、生息地の状況や生態などを伝える環境教育やイベントなどを実施いたします。
 こうした取り組みにより、日本を代表する上野動物園のさらなる魅力向上と活性化に努め、入園者数の増加を目指すとともに、満足度を高める取り組みを展開してまいります。

○野島委員 地元の期待も、服部副委員長、地元でございますので、非常に高いのはご案内のとおりでございまして、上野動物園の活性化に積極的に取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 これまで我が党は、防災性向上の観点から、道路の整備促進とともに、良好な維持管理を強く求めてきました。近年の異常気象に伴い、集中豪雨が多発しており、道路斜面の崩落や道路の冠水の危険性がこれまで以上に高まってきています。
 特に多摩地域の道路は、地域の幹線道路であるとともに生活道路ともなっています。一たび災害が発生した場合には、通行どめによる日常生活への影響は甚大でございます。そのことは何回か経験をいたしております。
 都は、平成十八年度から石積み擁壁の安全対策を進めており、今回、新規事業としてモルタル吹きつけ斜面の安全対策が掲げられております。
 また、都道には多数のアンダーパスがあります。その冠水対策や、道路利用者への注意喚起による事故防止対策も進んでいます。
 これらの道路の安全対策の取り組み状況についてお伺いいたします。

○道家東京都技監 安全で円滑な交通を確保していくため、都道における安全対策は極めて重要であります。
 都は、平成十八年度に石積み擁壁の緊急点検を実施し、その結果を踏まえた安全対策を「十年後の東京」への実行プログラムに位置づけ、計画的に実施しており、二十二年度早期に百三十九カ所すべての対策が完了いたします。
 また、斜面の安全対策の一つとして、モルタルを吹きつける対策を行っておりますが、経年劣化などが進行してきているものもございます。二十一年度に多摩地域の約四百カ所の斜面で一斉点検を実施し、予防保全の観点から、二十二年度からの五カ年で九十六カ所の斜面安全対策を計画的に実施いたします。初年度は、日原街道など十四カ所で対策を行います。
 次に、アンダーパスの安全対策についてでありますが、都は、冠水対策が必要な都道のアンダーパス四十五カ所すべてに、一時間五〇ミリ降雨に対応できる排水設備を設置し、都民の安全を確保しております。
 また、豪雨などによる冠水に備えて、電光表示により注意を喚起する冠水警報設備を既に二十一カ所で設置しておりますが、近年の局地的集中豪雨に対応するため、二十一年度から、未設置の二十四カ所で計画的な設置を進めております。
 今後とも、道路の適切な維持管理に努めるとともに、予防保全の観点から斜面の安全対策などを計画的に進め、都民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。

○野島委員 人間の体もそうですけど、適切なメンテナンスで経年劣化を是正しながら、本来の機能を発揮させると。こういったことを私は一番身をもって感じておりますので、どうぞ積極的な取り組みをお願いいたします。
 今回の予算案の中で、公共事業の分野では、東京の将来を展望して都市基盤整備を着実に進める予算となっています。
 一方、来年度の政府予算案では、公共事業関係費を一八%も削減しています。従来の補助金や交付金にかわる社会資本整備総合交付金についても、その具体的な道筋が示されず、公共事業の実施に多大な影響を与えるのではないかと危惧をいたしております。実際、多くの区市町村が国の予算案に不安を感じていると、こんな声も聞いておるところでございます。
 さらに、公共事業の現場においては、いわゆる団塊の世代の大量退職の影響が顕著となり、これまで都市基盤整備を支えてきた技術の継承に課題があるというふうにも思ってございます。
 東京の持つ可能性、潜在力をさらに引き出すためには、「十年後の東京」計画を基軸に据え、道路を初めとする都市基盤整備を推進していく必要があると考えます。
 そこで、今後の都市基盤整備の推進について、都技監の所見をお伺いいたします。

○道家東京都技監 都市基盤の整備は、日々の都市活動や都民生活を支える上で欠かすことのできないものであり、陸と海と空、そして地下が有機的にネットワークしていくことが極めて重要であります。
 このため、都は、首都圏の発展を支え、日本の国際競争力の回復につながる空港、港湾、それらを結ぶ高速道路、幹線道路ネットワークの整備や、こうした基幹施設と連携し都市の機能を支える道路、河川、公園などの整備、また国際的にも高い技術水準を誇る水道、下水道などの都市基盤整備を推進しております。
 これらを着実に推進するためには、財源の確保と、これまで培ってきた技術の継承が極めて重要であります。
 財源の確保では、都議会を挙げたご支援をいただきながら、あらゆる機会をとらえて、引き続き、首都東京の都市基盤整備の重要性と財源の必要性を強く国に訴えてまいります。
 技術継承では、東京都技術会議において、次代を担う人材の確保や職員の育成に積極的に取り組んでおります。
 さらに、貴重な経験や高度な技術を有する職員を認定し、若手職員の相談に広く応じるシステムを導入することで、長い年月をかけて培ってきた首都東京の都市基盤整備を支えるノウハウや技術を確実に継承してまいります。
 今後も、関係局が連携し、職員が一丸となって、「十年後の東京」計画を基軸に都市基盤整備を推進し、適切に維持管理していくことで、都民の貴重な財産である社会資本を未来へと引き継ぎ、東京を二十一世紀の範となる都市へと進化させてまいります。

○野島委員 東京外かく環状道路についてでございますが、これまで超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟において、予算の確保を強く求めてまいりました。しかし、昨日公表された国の平成二十二年度予算配分では、年度当初では外環に配分がなされませんでした。
 外環は、首都東京においてまさに必要な道路であります。多くの地権者からは、早期の用地買い取り希望も上がっているわけでございます。
 今回の国の対応に対し、都としても毅然とした態度で強く申し入れるとともに、都議会としても、引き続き早期の予算配分がなされるよう要望していくことが必要だろうと考えておる次第でございます。
 次に、首都直下型地震時における救援体制について伺います。
 ことしに入り、中米ハイチや南米チリで大規模な地震が発生し、甚大な被害をもたらしました。
 首都東京が大震災に見舞われた場合、都民の生命、財産はもとより、あらゆる分野で甚大な被害が想定され、社会経済活動にも深刻な影響を与え、まさに国家的危機に直面することにもなりかねません。
 想定される甚大な被害には、全国から集まる救援の力を最大限生かしながら対処する必要があり、とりわけ倒壊した建物などに閉じ込められた被災者の生命を救うには、全国から結集した警察、消防、自衛隊が一刻も早く救援活動を開始し、一人でも多くの被災者を救うことが重要でございます。
 都はこれまでも、救援隊の活動拠点の整備や、倒壊建物からの被害者救出、負傷者の広域医療搬送などの大規模な実動訓練を実施しており、このことは高く評価をしております。
 しかし、実際に首都直下地震が発生した際には、相当大きな混乱が予想されます。このため、全国からの救援隊が十分に力を発揮できるよう、想定される被害を踏まえ、事前にシミュレーションを行い、より強固な救援の受け入れ体制を確立する必要があると考えますが、所見を伺います。

○中田総務局長 震災時の混乱した状況の中で、都が全国から駆けつける救援隊を迅速かつ円滑に受け入れるためには、これまで訓練等で行ってまいりました取り組みを踏まえ、より体系的で具体的な受け入れ体制を整備していくことが極めて重要でございます。
 このため、都は、全国から集結する救援隊に対し、救援活動を行う被災地域やそこに至る移動ルート、使用する拠点施設等を被災状況に応じて的確に指示できる体制の整備を検討してまいります。
 受け入れ体制の検討に当たりましては、想定される被害に基づき、考え得るさまざまな事態を洗い出すとともに、救援隊が最大限の力を発揮できるよう、警察、消防、自衛隊など関係防災機関の救援体制と十分に整合を図ってまいります。
 都は、今後とも、首都直下地震から都民の生命、財産を守るため、震災対策に全力で取り組んでまいります。

○野島委員 さて、首都直下地震発生時には、余震が起これば自宅が倒壊するのではないかとの不安から、避難生活を余儀なくされる被災者が数多く発生するものと考えられます。避難生活を送る都民が一日でも早く自宅に戻れるよう、被災した住宅などについて当面の使用の可否の判定を行う応急危険度判定を速やかに実施する必要がございます。
 我が国では、阪神・淡路大震災のときに初めて本格的に応急危険度判定が行われ、その後、新潟県中越地震などでも実施されましたが、首都直下地震が発生した場合を想定しますと、都内で被害を受ける建物の数は膨大となるでしょう。
 現場で応急危険度判定の作業を行う判定員も、他県からの応援も含め、相当な人数が必要になると思われます。判定員のための宿泊場所の確保、これも必要になるわけでございます。こうした点についての対応はどうなっているのか、お伺いをいたします。

○河島都市整備局長 応急危険度判定員の必要人数につきましては、首都直下地震による東京の被害想定をもとに対象となる建物数を推定いたしまして、判定を七日間で行うと仮定して試算をいたしました場合に、一日当たり約六千人程度の判定員が必要になると見込まれます。
 これに対し、都で登録しております応急危険度判定員は、これまでその養成に努めてまいりましたが、現在は九千人を上回っており、判定の実施に当たっては、これらの登録判定員の活用をまず図ることが基本となると考えております。
 しかし、実際に首都直下地震が発生した際には、判定員みずからが被災者となるなど、判定活動への参加が困難になるケースも生じると予想されることから、他府県からの判定員の応援が必要になると考えられます。
 このため、応急危険度判定の実施主体となる区市町村とも連携いたしまして、判定員の応援人数の想定を行い、他府県への応援要請の手順を確立できるようにしてまいります。
 また、判定員の宿泊場所の確保につきましては、都内のホテル、旅館業の団体に協力を求めまして、具体的な協議を現在進めており、来年度、早い時期の協定の締結を目指しておるところでございます。

○野島委員 次に、都有財産を活用した介護サービス基盤の整備についてお伺いをいたします。
 今後増大する介護ニーズに対して、特養などの施設だけで対応することは困難です。ケアつき住まい、在宅サービスなどもバランスよく整備していく必要がございます。
 在宅サービスについて、都は来年度、ショートステイの整備費補助を拡充いたしますが、ホームヘルプサービスやデイサービスも重要です。特に今後は、多彩な活動を行う大規模な都市型のデイサービスセンターなど、大都市東京にふさわしい在宅サービスの基盤整備が必要だと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 在宅サービスのうち、ホームヘルプサービスの供給量はおおむね確保されておりますが、ショートステイについては、整備をさらに促進するために、来年度から補助を拡充してまいります。
 お話のありましたデイサービスにつきましては、例えば、利用時間が限定されており、また提供されるサービスメニューも画一的であるなど、必ずしも高齢者のニーズにこたえ切れておりません。
 そのため、今後、事業者の創意工夫による多様なサービスを提供する、魅力ある都市型デイサービスのあり方について検討してまいります。

○野島委員 よろしくお願いします。
 都市型のデイサービスセンター、私も夢を持っているんですよ。きょうは時間がないので語りませんけれども。六十一歳、間もなく需要者になるわけでございますので、ある場面でまた具体的に、こういうのがいいんじゃないかなと、こんな提案もさせていただきたいと思います。
 介護サービスの基盤整備を進める上で課題となるのは用地の確保です。都はこれまでも、特養などの整備のため、未利用の都有地を貸し付ける事業を行ってきました。
 多摩地域には広大な都有地があり、例えば、私の地元にも清瀬小児病院の跡地があります。また、東村山キャンパスは十七万平方メートルを超えます。
 今回、東村山老人ホームの民間移譲による改築が報告されていますが、こうした都有地の活用に当たっては、土地の有効活用という観点から、特養などの施設だけではなく、在宅サービスやケアつき住まいなどを総合的に整備していくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 お話の東村山キャンパスは、複数の高齢者施設と病院で構成をされております。今般、このうち東村山老人ホームにつきましては、利用者サービスの一層の向上を図るため、民間移譲した上で改築することといたしました。
 施設の再編などにより余剰地も生じますことから、入所施設だけでなく、地域の高齢者向けに多機能、複合型サービスを提供する拠点として活用することなどを検討してまいります。
 今後、ご提案の趣旨も踏まえ、こうした取り組みが他の都有地活用のモデルとなるように進めてまいります。

○野島委員 都有地を活用した福祉施設の整備を進めるためには、都営住宅の建てかえに合わせた取り組みも重要です。
 都営住宅は、現在、都内各地で老朽化した住宅の建てかえが進められています。かつての高度経済成長期には、東京への人口集中や世帯の細分化に伴う住宅需要の増大に対処するため、都営住宅の建設が進められました。この時代には、道路や学校、コミュニティセンターなどが多数整備され、まさにまちそのものが形づくられたわけでございます。
 現在では、高齢者や子育て世代が安心して生活できる、特別養護老人ホームなどの高齢者施設や保育所などの子育て支援施設など、福祉施設の整備が喫緊の課題となっております。
 こうした意味から、都営住宅の建設を契機にした地域のまちづくりは、ある意味、その時代背景を端的に映すものであるともいえます。
 私の地元、東久留米においても、都営住宅の建てかえが本格化している団地がございまして、そこでは民間活力を活用した保育施設の整備が計画されております。
 東久留米の都営住宅の建てかえの協定は、都内で一番遅かったんです。今から二十年ぐらい前でした。そのときは、文字どおり、そういう都市計画街路だとかコミュニティ施設だったんです。その後、一部入れかえをいたしまして、在宅支援サービスセンターとか保育園とか、そういったふうなものを、都営住宅の建てかえに関する地域開発要綱だったかな、正確な名前はちょっと失念をいたしておりますけれども、そんなことで進めてきたところでございます。
 そこで、今後、都営住宅の建てかえを一層推進することにより、地域に必要な福祉施設の整備を推進すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○河島都市整備局長 お話のように、東京の人口の急増に対応いたしまして住宅を大量供給した時代には、都営住宅の建設に当たって、地域開発要綱などに基づき、区市からの要望を踏まえた、地域を支える生活基盤でございます多くの小中学校や道路などを整備してまいりました。
 近年、都営住宅では、ストックを活用した建てかえを進めておりますが、老朽化した住宅の更新に合わせて、少子高齢化の進展を背景に、区市から要望の高い特別養護老人ホームや保育所などの整備を積極的に支援しております。
 また、建てかえに伴い創出される用地につきましても、事業に支障のない範囲で、地元区市の要望を踏まえ、関係局とも連携しながら、多様な主体による福祉施設の整備を促進しているところでございます。
 このように、都は、都営住宅の建設を契機に、時代に応じた地域のニーズを適切に受けとめ、まちづくりに貢献しております。
 今後、建てかえにつきましては、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、事業規模を年間四千戸程度まで段階的に拡大することとしておりまして、敷地の有効活用をさらに促進することによって、福祉施設の整備など地域のまちづくりに寄与してまいります。

○野島委員 民間事業者による高齢者施設の整備を促進することが重要でございますが、実際にこの仕組みによって整備された件数は、思ったより多くないのかなと、こんな印象も持っております。
 しかし、先ほど答弁のございました、都営住宅の建てかえで生ずる空き地を初め、未利用の都有地を福祉インフラ整備事業にもっと開放していけば、福祉施設建設がより積極的になるのではないかと考えます。そのためには、事業を担当する部署と福祉部局の連携が不可欠と考えております。
 新たな公会計制度の導入を契機として、財産は貸借対照表上の資産の部に明確に位置づけられるなど、これまでにも増して、その金銭的な価値が意識されることになりました。
 今後、行政財産については、各局が主体的に財産管理の適正化を進めていくとともに、事業の推進の結果生じた低利用、未利用財産について、効率的利活用や暫定活用を強力に推進していくことが従来にも増して重要になります。
 財務局は、こうした観点に立って、総合調整機能を一層積極的に発揮していくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○村山財務局長 福祉インフラの整備事業を進めていく上での課題には、貸付候補とする財産の数をできるだけふやしていくこと、それから、民間事業者や区市町村のニーズと具体的な財産とを的確に結びつけていく調整機能を高めていくこと、この二つがございます。
 貸付候補を拡大する方策といたしましては、近年、グループホームやケアつき住まいなどの需要が高まっていることから、今後は、より小規模な用地、具体的には百平米以上ぐらいの土地についても、より積極的に貸付候補の対象用地としてまいります。
 また、財務局所管の財産だけでなく、各局所管財産につきましても、所期の行政目的を終了した財産のうち、既に財務局への引き継ぎにめどがついた財産はもとよりですけれども、境界確定などの問題を抱え、直ちに引き継ぎができない状態にある財産についても貸付候補としてまいります。
 次に、民間事業者や区市町村のニーズにこたえるために、事業所管局と密に連絡をとりまして、区市町村に対してダイレクトに、貸付対象財産についての積極的な情報提供や個々の土地利用に関する助言を行いまして、事業が円滑に進むように調整をいたしてまいります。
 また、将来の事業に利用することになっているので、各局が所管しておりますけれども、事業着手までに、まだなお相当期間要するような財産もございまして、それらにつきましては、各局の事業実施に支障にならない範囲で、一時貸付などの暫定的な利活用も含めて効率的に運用できますよう、事業所管局と連携をとりまして調整を進めてまいります。
 都有財産は都民から負託された貴重な財産でございますので、財務局としては、財産の価値を最大限発揮させるとともに、高齢者施設の整備など、都の喫緊の課題解決のため、各局と連携しながら全庁的な観点に立って総合的な調整に励んでまいります。

○野島委員 愚か者は経験を語るそうでありますけれども、私自身も実は、社会福祉法人などが高齢者施設や障害者施設、こういったふうなものを設置するときのお手伝いをしたことがあったし、今も現実に手がけているのがあるんですけれども、経験から申し上げますと、課題は何といっても用地の確保なんですね。用地の確保と補助金を受けるまでの時間的なずれということから、どうしてもそれが大きなネックになっちゃうんですよ。
 用地は、大都市東京でございますので、そもそも適地が少ないというのが一つあるんですね。それから、もちろんのことながら地価は高いですよ、こういうことであります。そして、買ってもらうために出しているんですから、補助金が二年先だから待ってくださいよとかいったら、売り主は待つわけがないんですね。そんなことの流動性の問題なんですね。
 一方、事業者は、申し上げましたように、施設整備の補助を受けなければ事業が成り立たない、こういう性格になっておりますので、補助を受けるまでの公共団体との調整に極めて時間がかかる。こうした時間軸のずれが事業実施に至らない原因の一つだろうというふうに経験から感じております。
 その点、福祉インフラ整備事業は、土地の手当てと同時に補助協議ができるため、民間で事業を実施するための有効な手段であるだろうと思っております。今ご答弁いただいた都有地の対象を拡大していくことで、今後の施設整備が加速していくものと評価をいたしております。
 高齢化の問題は、都政の最重要課題の一つです。都有地を活用した介護サービス基盤の整備を促進するため、ぜひ知事のリーダーシップのもと、関係局が一体となって、高齢者対策を横ぐしとして刺していくことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、保育制度のあり方についてお伺いをいたします。
 限られた期間で短期集中的に保育サービス定員を拡充し、待機児童を解消していくためには、何といっても地域の実情に応じた取り組みが不可欠であり、そのためには、認可保育所だけでなく、民間の力を活用した認証保育所の拡充は必要です。平成十三年の制度創設以来、認証保育所は多くの都民の支持を得ています。
 私も先日、たしか東京マラソンの日だと思ったんですが、認証保育事業者の事例発表会、研究会に参加をいたしました。利用者サービスの向上に積極的に取り組む熱心な姿を拝見いたした次第であります。
 認証保育所が引き続き都民の期待と信頼を得ていくためには、都として、保育サービスの質の向上、確保に向けた取り組みを強化し、利用者の安心にしっかりとこたえていかなければなりません。
 また、今年度から、安心こども基金により、新たに認証保育所の開設準備経費が国庫補助の対象とされたことは一定の前進ですし、設置基準の緩和の動きも評価できるところですが、まだ全国一律的な認可保育所制度に拘泥した国の保育に対する姿勢は分権の時代にそぐわず、地方の創意工夫を尊重しない国の態度は一刻も早く変えていく必要があると思います。国もようやく現場ということをとらえようとする動きは出ていますが、まだまだ不十分であると考えます。
 そこで、これからの保育制度のあり方について、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 保育サービスは、子どもを安心して産み育てる上で重要な支えの一つでありますけれども、国の保育制度は、現代の就労形態や家族形態に対応できていないと思います。
 それから、国の規格は、今、前の質問で申されました土地の収用という問題を全く無視していまして、土地に関する地域差というものを全然しんしゃくしていないものですから、非常に大きなバリアになっていると思います。
 このため、保育を必要とするすべての人が利用できる普遍的なサービスとして、制度をあくまでも再構築すべきであると思います。
 国もようやく制度の見直しに手をつけてきましたが、さらに踏み込んで、全国一律でない地域主権の立場に立った抜本的な改革が必要だと思います。

○野島委員 こういった保育所などの基盤整備は、子育て支援に極めて重要でございます。
 私は、公立保育所の徹底した民営化や認証保育所を促進する、こういうことで、コスト削減と量的拡大と質の向上を図っていくことができるのではないかと。そのことによって潜在的な待機児童を一掃することこそ、真の少子化対策だろうというふうに思っております。
 これも、愚か者は経験を語るんですけれども、例えば、公立保育園とか認可保育園というのは、本当に工夫がなかなか困難。公立保育園はその典型です。これはもう、保育需要がある中でふやしていかなきゃ、ゼロ、一、二、三を何とかしていかなきゃ、待機児をね。そこが一番多いわけですから。
 いろいろやってみたけれども、公立保育所をやっていったり認可保育所を主流に据えますと、これは解決できないですよ。本当にそんな感を強くいたしております。
   〔発言する者あり〕

○服部副委員長 静粛にお願いします。

○野島委員 後でどうぞご反論をされたらよろしいかというふうに思いますので。時間がなくなっちゃいます。
 そんな視点に立ちますと、これは、きょうは触れませんけれども、来年度からのいわゆる都型の学童保育も、私はこういう認識に立った制度だろうというふうに受けとめております。
 我が党は昨年、少子・高齢化政策推進本部を立ち上げ、鋭意検討を行ってまいりました。少子高齢化が急速に進む中、さまざまな支援策がありますが、最も重要なのは、私は住宅の確保だ、こんな思いをこのPTの検討の中から受けとめております。
 我が党では、昨年の第一回定例会の代表質問で、東京都住宅供給公社の住宅を活用した子育て世帯の居住支援について提案し、その結果、子育て世帯に対する倍率優遇制度の拡充が図られました。
 公社は、こうした優遇制度だけではなく、子育て世代に適した住宅をふやすことなどを含め、子育て世帯へのさらなる居住支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

○河島都市整備局長 少子高齢化が急速に進む中、公社におきましても、これに対応した取り組みを進めていくことが重要であり、本年一月の東京都少子化打破・緊急対策本部の最終報告では、大都市にふさわしい取り組みの一つとして、公社による子育て支援住宅の供給を位置づけております。
 これまでも公社では、子育て世帯に対しまして、入居時に当せん倍率の優遇措置を講じるなどの取り組みを行ってきておりますが、今後は、住宅の建てかえ等に合わせ、子育て世帯への支援策を一層充実させていくこととしております。
 具体的には、子育てに適した良好な居住環境の中で、広目の間取りをとり、親が家事をしながらでも子どもに目が行き届くようレイアウトを工夫するなど、安全性や機能性に配慮した子育て世帯向け住宅の整備を進めることや、入居に関する優遇制度のさらなる拡充策につきましても検討を進めていくこととしております。

○野島委員 東京は、六十五歳以上が二〇%を超え、大都市特有の匿名社会、こういった中で、限界団地やひとり暮らしの高齢世帯の急増など、いわば大都市の住宅問題が先鋭的にあらわれている、こんなふうに認識をいたしております。
 我が党では昨年、公社が経営するケアつき高齢者住宅、明日見らいふについてご説明を受けました。これは、居室だけではなく、介護サービス等、各種サービスを受ける権利を終身にわたり取得するタイプのものでございまして、入居時に相当額の負担金が必要となる有料老人ホームに類する施設、こういうことでございました。
 今後は、より安価で、かつ安心して生活できる環境を整えた高齢者向けの賃貸住宅を公社として提供していく必要があると考えますが、所見を伺います。

○河島都市整備局長 高齢者向けの良質な賃貸住宅の供給が不足している中で、公社がその住宅の建てかえなどの際に、高齢者向け優良賃貸住宅等、高齢者が適切な負担で入居できる賃貸住宅を整備していくことは大変重要でございます。さらに、こうした住宅で高齢者が安心して暮らしていくためには、生活支援サービスを整えていくことも必要でございます。
 公社では、こうした考え方を踏まえた施策の検討を進めることとしておりますが、先ほど申し上げました子育て世帯への居住支援とあわせ、具体化に向けた検討が速やかに進み、早期の実現が図られるよう、都としても公社に働きかけてまいります。

○野島委員 高齢者や子育て世帯向け住宅の確保は、都だけでは当然限界がございます。区市町村や民間事業者のほか、公社も積極的な取り組みを進めるよう、ぜひ都の働きかけをお願いいたします。
 今後も我が党は、少子高齢対策プロジェクトチーム、ここで各般にわたって検討いたしまして、具体的な提案を申し上げていきたい、このように思っておりますので、どうぞその節はよろしくお願いをいたします。
 次に、産業振興についてお伺いをいたします。中小企業の振興についてでございます。
 長引く不況から脱却し、経済を成長軌道に乗せるためには、企業活動を活発化させる基盤を構築し、産業を活性化させていくことが必要不可欠であることは、我が党が一貫して主張しているところです。
 例えば、人や物の流れを円滑にし、企業活動に大きなメリットをもたらすインフラ整備は、民間では実施不可能な分野であり、行政が主体的に役割を果たすべきです。コンクリートから人へという二者択一ではなく、企業の競争力強化が富を生み出し、生活の向上につながっていくことを国も十分認識する必要がございます。
 しかし、国の経済対策は迅速さやきめ細かさに欠け、日本経済を取り巻く厳しい環境変化に十分に対応できているとは思えません。国の不作為というべき状況に対して、都はただ手をこまねいているというわけにはいかないわけであります。
 産業発展には、イノベーションの担い手、地域経済の担い手でもある中小企業の意欲的な活動を強力に支援する必要があります。現場感覚を持ちながら、都がみずから行うべき役割をしっかりと果たしていくことが重要でございます。こうした視点に立って幾つかご質問を申し上げます。
 第一には、前向きな中小企業の活動に対する支援です。
 みずからリスクをとって新製品を開発し、経営革新を図ることが中小企業の重要な経営課題の一つとなっており、行政として、そのリスク負担を軽減するなどの後押しが必要です。しかし、国は、研究開発費補助を削減しようとするなど、中小企業の経営課題に十分にこたえているというふうには思えません。
 そこで、まず、中小企業は新製品開発に関して何に困っているのか、また、その課題に対応した都の支援はどこに重点を置いているのか、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○前田産業労働局長 中小企業が独自の新製品を開発し、新事業を展開するに当たっては、資金面や技術面での課題を抱えている事例が多くなっております。また、新製品の開発に成功しても、知名度の低さなどから販路開拓や事業化が進まない事例や、新事業が軌道に乗った途端に類似品があらわれ、低価格競争に巻き込まれるといった事例もあるなど、さまざまな課題があると認識しております。
 このため、都では、まず研究開発資金について、中小企業の新製品開発経費の一部を助成しております。来年度はこの予算枠を約一億円拡大いたします。また、技術面では、都立産業技術研究センターにおいて、技術相談や機器利用サービスなどの技術支援を行っております。
 今後、多摩に引き続き区部に支援拠点を整備し、高度で多様な中小企業の技術支援ニーズに対応してまいります。
 販路開拓につきましては、これまでも支援をしておりましたが、さらに今年度、新規性の高いすぐれた新商品を認定するとともに、その一部を試験的に購入する東京トライアル発注認定制度を創設し、企業からも大きな反響がございました。
 さらに、類似品対策としては、特許の取得やノウハウの管理など、知的財産を戦略的に活用していくことが必要であり、知的財産総合センターにおいてきめ細かいアドバイス等を行っておりまして、来年度から支援体制を強化してまいります。
 こうした取り組みにより、新製品、新事業を創出する前向きな中小企業の活動を、製品開発から事業展開まで一貫して支援してまいります。

○野島委員 大都市東京には、新しい技術やサービスへのニーズも高く、数多くのビジネスチャンスがあり、これらに対応する新たなビジネスの芽が存在しています。加えて、多様な消費者ニーズに対応し、それぞれの地域において、住民生活に密着した個性豊かで多様な商業集積が見られることも東京の大きな地域特性でもございます。
 都では、こうした観点から、地域産業の活性化に向けた支援策を講じていくことが重要であると考えますが、所見をお伺いいたします。

○前田産業労働局長 地域特性に応じた産業の活性化は、自治体の大きな役割の一つでございます。環境や少子高齢化、安全・安心の確保など、大都市東京が抱える課題はまたビジネスチャンスでもありますことから、中小企業のすぐれた技術力などを生かした新たなビジネスを創出することは、地域経済を活性化する上で重要であります。
 そこで、都は、こうした活動のうち先駆的な取り組みを支援するため、平成二十年度に、二百億円の基金として東京都地域中小企業応援ファンドを創設し、その運用益の活用によりまして、都市課題の解決や地域資源を活用したビジネスに取り組みます中小企業やNPO等を支援しております。
 今年度は、ビルの屋上にレンタル菜園を整備し、ヒートアイランド現象を抑える事業や、待機児童の解消に向け、マンションの一室を保育園としてモデル的に運営する事業など、三十九件を採択し、新たなビジネスの創出を図りました。
 また、商店街は、地域住民の消費生活を支えるとともに、地域コミュニティの核となるなど、地域の産業として重要な役割を果たしております。
 このため、都はこれまで、新・元気を出せ商店街事業において、商店街が行うイベント等の取り組みを初め、アーケードの耐震補強や街路灯のLED化といった防災や環境などの分野において、都の施策に協力する取り組みへの補助など、支援内容を充実強化し、商店街の振興を図ってまいりました。
 今後とも、東京の特性を踏まえた施策を展開することにより、地域産業の活性化を図ってまいります。

○野島委員 中小企業の健全な発展のためには、市場競争を前提に置きつつも、不利な状況に置かれることの多い中小企業が公正に競争できる条件を整備することが必要であり、これも行政の重要な役割でありますけれども、国は対策を十分に行っておりません。ここでも、都の積極的な取り組みが求められます。
 そこで、昨今の経済環境を踏まえた中小企業下請取引の現状と、中小企業取引適正化に関する都の取り組みについてお伺いをいたします。

○前田産業労働局長 東京都中小企業振興公社で行っております下請取引に係る苦情紛争相談等は、厳しい経済情勢を反映し、昨年四月からことし二月末までの相談件数が六百八十件と、昨年同期に比べ約四割増加しております。
 この相談の内容としては、強引な値引き要求や予告なしの取引中止など、中小企業の経営に大きな影響を与えかねない相談が七割を占めております。
 都は、同公社に、自治体関係機関では全国唯一の裁判外紛争解決手続、いわゆるADR機能を持った下請センター東京を設置し、調停による迅速な紛争解決を行うなど、苦情紛争処理体制の充実強化を図ってまいりました。
 また、今年度から、紛争解決や取引適正化などの相談員を増員し、相談窓口体制の充実を図るとともに、中小企業への巡回訪問時に寄せられる取引上のトラブルに対し、解決へのきめ細やかな対応を行うなど、下請取引の適正化に努めております。
 さらに、昨年六月には、親企業団体と下請企業団体の協議会及び都の三者連名による取引適正化に向けた共同宣言を全国で初めて行い、望ましい取引を推進しております。
 今後とも、下請法や下請取引適正ガイドライン等の周知徹底や、親企業と下請企業のより一層の協力関係の構築に努めまして、下請取引の適正化に向け、強力に取り組んでまいります。

○野島委員 中小企業に関するセーフティーネットの整備も、迅速に手を打っていかなければならない対策の一つです。都は独自の取り組みとして、新たな保証つき制度融資を実施していますが、こうした融資の拡充にあわせ、相談体制の整備や企業の経営改善を図るなど、セーフティーネット整備に向けた中小企業に対するさまざまな取り組みが必要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○前田産業労働局長 厳しい経営環境に置かれた中小企業に対し、迅速かつきめ細かくセーフティーネットを整備していくことは極めて重要であると認識しております。このため、都では、お話のとおり融資の充実を図るほか、東京都中小企業振興公社に特別相談窓口を設置し、経営相談に応じるとともに、企業の実態に応じ、きめ細かく事業再生を支援してまいりました。
 また、企業の経営力を向上させ、経営基盤を強化していくため、商工会議所など都内中小企業支援機関との連携のもと、個別企業の現場を訪問し、抱える課題の迅速な解決を図る経営力向上TOKYOプロジェクトを今年度新たに実施しております。さらに来年度も、延べ一千社の中小企業の現場に専門家を派遣することで経営課題を解決し、経営体質の強化を支援してまいります。
 今後とも、都内中小企業支援機関などと連携を図りながら、中小企業に関するセーフティーネットの整備に努めてまいります。

○野島委員 先ほども申し述べたところでありますけれども、産業発展には、我が国経済を支えている中小企業の振興が不可欠でございます。こうした認識のもと、東京という大舞台の中で中小企業が生き生きと活動できるよう、都としても、国の取り組みを待つのではなく、みずから中小企業支援を積極的に進めていただきたいというふうに思ってございます。
 今までも、中小企業支援において、国に先駆けたさまざまな施策を打ち出してきた知事に、都の中小企業の育成強化についてどのようにお考えでございましょうか、ご見解をお伺いいたします。

○石原知事 都内には、独創的で高度な技術を持つ小零細企業が非常に密集してありまして、東京だけじゃなしに日本の産業そのものを支えていると思います。そうした現場を持つ都には、小零細企業の状況を的確に把握し、速やかに施策に反映することができる強みもあります。
 こうした企業の可能性を最大限に引き出すために、都はこれまでも、ベンチャー技術大賞の創設や、ローン担保証券、CLOあるいは社債担保証券、CBOの発行をいたしまして、あるいはナノテクノロジーセンターの開設など、国に先駆けて、現場感覚を生かしたさまざまな施策を実現してまいりました。ちなみに、CLO、CBOの実績は、参加企業は、累計ですけれども一万六千二百社、資金供給額、マーケットの額が一兆円近い七千二百億円ほどになっております。
 今も、るる局長が小零細企業のためのセーフティーネットの話をいたしましたが、ほかにもいろいろあると思うんですね。例えば、小零細企業ですけれども、やはり先代が亡くなった後の相続ということになりますと、過重な相続税がかかってきて、とても事業が続けられない。
 それから、これは大田区にあった事例でありますが、十人足らずの企業をやっている、もう大分前の話でありますけれども、アメリカの有名なチェリストが、演奏会の前の日に、缶詰をあけたら手をけがして演奏ができなくなったことでヒントを得て、そのおじさんが、やっぱり自分もけがした経験があるものですから、どんなあけ方をしてもけがをしない缶詰を要するに発明したんですが、何とそれをあっさりアメリカに盗まれまして、日本のパテントだけはその会社が持っていますけれども、とにかく世界じゅうのパテントをかっさらわれた、そういった痛ましい事例がたくさんございます。
 そういったものをセーフティーネットとして整備して保護することで、やはり企業は立っていくと思いますので、今後もきめの細かい、やっぱり多岐にわたる対策が必要だと思っております。

○野島委員 ありがとうございました。景気回復へ一刻の猶予も許されない今こそ、都の持てるあらゆる対策を総動員していただきたいと思います。
 次に、築地市場問題について伺います。
 我が党は、十五日の質疑においてもこの問題を取り上げましたが、限られた時間の中で、市場にかかわる人々の中にさまざまな思いや願いがあるという現実にも目を向けていくことが必要であると述べました。それと同時に、豊洲移転を否定することで新市場整備そのものを壊してしまうという選択は、現在から将来にかけての都政に責任を持つ都議会として、とるべきではないこともあわせて主張いたしました。
 さまざまな議論を闘わせてきた予算審議ですが、時間も残り少なくなってきた今、都議会が都民にとって最良の責任ある判断をすることを願い、質問を申し上げたいと思います。
 この予算議会においては、豊洲移転関連経費を含む市場会計予算案が審議されてきました。豊洲移転は、長い時間をかけて議論してたどり着いた結論であり、現在の築地市場の状況を見ても、既に待ったなし、こんなことは再三申し上げてきたところでございます。
 これまでさまざまな議論がなされてきましたが、今、この段階に至って、我々が何としても避けなければならないのは、この予算が成立しないことによって、多くの市場関係者が願っている新市場整備への道が閉ざされることだと思っております。
 繰り返しますが、我々は、市場にかかわる人々のさまざまな声に耳を傾ける必要があると申し上げてきました。その意味で、本当に限られた時間でありますが、我々は現在地再整備を議会として検討することもやぶさかではないと考えております。こうした考えに立って、議会において現在地再整備について検討していくことに対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。

○石原知事 築地の置かれております厳しい状況を踏まえますと、豊洲移転が最適な道と考えております。議会として現在地再整備について改めて検討した上で、業界がまとまることのできる方策を検討していくことは結構であります。ただし、時間的な制約があるので、その点を踏まえて鋭意ご努力を願いたいと思います。

○野島委員 検討の期間についても、例えば秋には卸売の総代選挙の手続が始まることや、また用地取得の時間的制約があることについて十分考慮した上で、早期に検討結果を取りまとめることが大切だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○岡田中央卸売市場長 議会におきましてご検討する場合にありましても、用地取得の時間的制約など、ご指摘の諸点を考慮して、早期に検討結果をまとめていただくべきと考えております。

○野島委員 議会で検討するということになりますれば、当然、厳しい時間的制約の中で業界がまとまる方策でなければならないわけです。しかし、このことは、一日も早い結論を望む業者の方々にも大変な心配をかけることになってしまいます。
 仮に議会で現在地再整備の検討を行うこととなれば、一たん豊洲でまとまった業界の方々の中には、これで豊洲移転方針が崩れてしまうのではないかという不安と失望の声が必ず上がるのではないか、こんな点も私は大変心配しているのでありますけれども、この点についてのご見解をお伺いいたします。

○岡田中央卸売市場長 これまでのさまざまな検討経過を踏まえて決定されたものであり、都といたしましては、豊洲移転が新市場整備を実現する最適な方法と考えております。この点は現在も変わりません。

○野島委員 市場にかかわる人々の中の思いや願いとしては、いわゆる築地ブランドの維持ということも重要な課題であると思います。このことは、本会議代表質問や本委員会での質問でも伺いました。
 日本橋魚河岸からの移転以来、日本橋のブランドとともに、世界に誇るブランドとしてその価値を高めてきた築地ブランドを維持発展させることは重要であり、そのための方策を検討すべきであると考えます。知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 何につけ、ブランドの力は大切な財産でありまして、今後のまちづくりの中で、地元区と連携しながら、築地ブランドの今後の発展の方策を検討していきたいと思っております。

○野島委員 次に、東京国体の開催について伺います。
 平成二十五年、多摩・島しょを中心に開催する東京国体は、地域の活性化を促す起爆剤として期待されています。また、全国から集まるアスリートたちが力とわざを競い合う姿を都民が間近に観戦することはもちろん、各地を訪れる多くの関係者や応援団をおもてなしし、東京の多様な魅力を全国に発信する絶好の機会でもあります。
 都議会においても、長年にわたって国体の招致活動を行い、開催決議を行うなど、一貫して国体開催に向けた運動を推進してきました。
 また、東京国体と同時に全国障害者スポーツ大会が開催されますが、私が以前から指摘しているように、企画段階から障害者の方も参加し、開催プロセスを通じてさまざまな交流が織りなされていくことが重要でございます。
 開催まで残り三年余りとなりましたが、多くの都民の参加を得て両大会を成功に導くために、どのような取り組みを進めているのか、お伺いをいたします。

○中田総務局長 東京国体は、本年夏ごろ、財団法人日本体育協会によりまして正式に開催が決定される予定でございます。現在、都議会を初め区市町村、経済産業界、スポーツ団体など幅広い方々にご参加をいただきまして準備委員会を設置しており、昨年は全国障害者スポーツ大会と合同の準備組織に改めたところでございます。開催正式決定後には、これを実行委員会へと衣がえし、開催準備を一層加速してまいります。
 実行委員会設立に際しましては、昨年十一月から本年一月にかけて公募を行い、現在制定作業を行っております両大会の愛称やスローガン、マスコットキャラクター、こういったことを発表することとしております。これらを使いまして両大会の周知や盛り上げを図り、都民総参加の大会として成功するよう取り組んでまいります。

○野島委員 いよいよ開催決定ということであり、都の推進体制の整備も極めて重要でございます。
 先ほど和田副委員長のご答弁の中で、多摩も全体にわたっていろんな競技をやるということで、実は、私どもの方は山岳競技、別にうちの方は山があるわけじゃないんですよ、東久留米というのは平らですから。ボルダリングというのですか、あれをやることになっているんですね。実はこのことで、山岳関係というのか、そういうことをやっている方が大変喜んでいるんですね。そんなことで、そういった意味の交流も始まった。子どもたちがそれを物すごく楽しみにしているんですよ。変ないい方ですが、壁登りね。だから、やっぱりそういう意味では地域の活性化につながるし、大変いいなと思っていますので、ぜひ積極的な推進をお願いいたします。
 両大会は単なるスポーツ大会ではなく、郷土文化の普及や観光振興などさまざまな側面から地域振興につなげていくべきであり、そうした観点から、先催各県でも全庁的な執行体制を整備しているというふうに仄聞をいたしております。
 都においては、総務局が区市町村振興と一体として開催準備を進めており、徐々に体制も拡充されてきています。今後、一層の体制強化を図り、五十四年ぶりの東京国体を成功に導いていただきたいと思います。
 次に、学力調査についてお伺いをいたします。
 全国の子どもたちの学力向上にとって重要な施策であった全国学力・学習状況調査は、二十二年度から抽出調査になるとのことです。全国のすべての小中学校が、それぞれ自校の結果を踏まえ、授業改善に取り組んできたということがこの調査の大きな成果であったわけでございますが、抽出されなかった学校については、これまでの取り組みが大きく後退してしまうのではないかと危惧をしております。
 我が党はこれまで、子どもたちの学力の把握に努める必要があることを訴え、都独自の学力調査の実施を後押ししてきました。都教育委員会ではこれまで、教科に関する学力調査、問題解決能力等に関する学力調査、基礎的、基本的な事項に関する学力調査と、子どもたちの学力を多面的に把握してきましたが、来年度からは、新たに読み解く力に関する学力調査を実施することになったと聞いております。
 都教育委員会が読み解く力に関する学力調査を実施することに至った経緯について、また、この調査で子どもたちのどのような力を見るものなのか、お伺いをいたします。

○大原教育長 PISA調査などの国際的な学力に関する調査等の結果から、日本の子どもたちは読解力において課題が見られるとの指摘がなされており、平成十五年度から実施してきました都独自の学力調査におきましても同様な状況が見られます。
 こうしたことから、必要な情報を読み取り、解釈しながら問題を解決する過程において、児童生徒がどの段階でどのようにつまずいているのかを明らかにするために、平成二十二年度より、小学校五年生と中学校二年生全員を対象に、読み解く力に関する学力調査を実施いたします。
 調査の観点は三つございます。
 一つ目は、調査問題の中に提示された文章や図表、グラフなどから解決に必要な情報を正確に取り出す力、二つ目は、取り出した複数の情報を比較、関連づけてその意味を読み取る力、三つ目は、これまでの知識、技能等を活用して読み取った情報をもとに推論し、根拠を明確にして問題を解決する力でございます。

○野島委員 次に、子どもたちの学力向上を図るためには、国や都が実施する学力調査の結果をもとに、教員が通常の授業を充実させることが重要でございます。
 現在、各学校では、週五日制のもと、新学習指導要領の全面実施に向けて、週当たりの時間割がこれまで以上に過密になっております。また、土曜日に子どもが無目的に過ごしたり、生活のリズムを乱したりするなどの実態があり、学力向上の基礎となる生活面での問題もあると聞いております。こうしたことから、今後、学校では、土曜日を一層有効に活用することが必要となると考えます。
 そこで、先般、都教育委員会が土曜日における授業の実施にかかわる留意点を示したことについて、その基本的な考え方をお伺いいたします。

○大原教育長 学校週五日制は、学校、家庭及び地域が連携し、それぞれがその役割を分担しながら社会全体で子どもを育てるという理念のもと、平成十四年度から完全実施となりました。
 しかしながら、お話のように、土曜日や日曜日に不規則な生活を送った子どもに対して、学校では週明けに生活指導が必要な場合がございます。また、新学習指導要領の実施により、週当たりの授業時間がふえますが、学校はこれまでと同様、放課後に児童生徒会活動や教育相談など、児童生徒の主体的な活動や教員による個別的な指導等の時間を確保する必要がございます。
 こうしたことから、土曜日に授業の実施を希望する学校においては、学校週五日制の趣旨を踏まえつつ、開かれた学校づくりの観点から、保護者や地域住民等への公開を条件に、月二回を上限として実施できることを、本年一月、各区市町村教育委員会に周知いたしました。
 今後とも、土曜日に授業を実施しようとする学校が、保護者や地域住民の意見も生かして授業改善を行うことにより、子どもたちの確かな学力の一層の向上を図ることができるよう、区市町村教育委員会を強力に支援してまいります。

○野島委員 先ほど申し述べたとおり、現在、学校では、週当たりの授業時間の増加により放課後の時間が短くなり、平日に補習等の指導を実施することが大変難しい状況にあります。そのため、土曜日に補習を実施する学校はふえていますが、部活動の指導や地域行事への参加等があるため、教員だけでは十分な指導体制がとれない、あるいは、外部人材を活用したくても報償費を措置することができないなどの理由から、土曜日の補習を実施できない学校もあると聞いております。
 そこで、各学校が子どもたちの確かな学力の一層の向上を図るため、土曜日の補習について、今後どのような施策を展開していくのか、お伺いをいたします。

○大原教育長 ご指摘のとおり、新学習指導要領の全面実施に向けて、週当たりの授業時間が増加いたしますことから、平日の放課後に補習を行うことが極めて困難な状況にございます。また、地域行事への参加や部活動の指導がありますなど、教員だけでは指導体制を整備することが難しく、土曜日の補習を実施できない学校もございます。
 こうした実態を踏まえ、都教育委員会では、平成二十二年度から、土曜日の補習を新たに実施する公立小中学校が外部指導者を導入する際にかかる経費の二分の一を区市町村に補助する外部指導者活用支援事業を、小学校五十校、中学校三十五校を対象に実施し、その後、順次拡大をしてまいります。
 今後、都教育委員会は、こうした取り組みにより、土曜日に補習を実施しようとする小中学校を支援して、習熟の程度に応じた個別的な指導を一層充実させ、児童生徒一人一人の確かな学力の向上を推進してまいります。

○野島委員 今後とも、こうした施策を初め、総合的な学力向上策を推進していただくことを強く要望いたします。
 最後に一言申し上げます。
 今さら私ごときが申すまでもなく、地方自治制度は二元代表制を採用しており、自治体の長は、住民の公選により議会の議員とは別に選ぶことから、長と議会はともに住民を代表する機関として対等であり、互いに権限を行使し、牽制し合うことで円滑に地方自治が運営されていくことが期待されているわけであります。
 長は、自治体の統括代表権を初め、予算の調整、提案、執行権などの権限を占有しております。一方、議会は議決機関として、自治体の多くの意思決定に関与をいたしております。このことから、都政を運営する上では、長と議会の関係は牽制と協調を基本とすべきでございます。
 政治においては、当然のことながら、立場や考えの違いがあります。しかし、着実に都政を進展させるには、現実の都政をあずかる者として、行政施策の継続性と安定性も大きな要素として、互いに切磋琢磨して議論の質を高めていかなければならないと考えております。そして、都民にとって最良の選択のためには、何よりも小異を捨てて大同につく勇気、このことも非常に大切だというふうに私自身考えております。そうした責任が、長の執行権限とともにこの都議会にはあります。
 この立場に立ち、都議会自民党は、忌憚のない論戦を展開しながら、都政発展のために、最後には賢明な判断をしなければならないと考えております。都議会自民党は、都政に責任を有する立場から、真摯にみずからの職務を全うするためにも、都民、国民のために最良、最善の選択をしていくことを改めてお誓いするものでございます。
 このことを強く申し上げ、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○服部副委員長 野島善司理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後七時二十分休憩

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