予算特別委員会速記録第四号

○服部副委員長 花輪ともふみ委員の発言を許します。
   〔服部副委員長退席、和田副委員長着席〕

○花輪委員 民主党の花輪です。どうぞよろしくお願いします。
 まず最初に、幹部職員の再就職について伺います。
 今、公務員の天下りに対して国民から厳しい目が向けられています。人事院が毎年実施しているモニターアンケートで、公務員のどのような点を国民は問題にしているのかを見てみると、天下りを挙げる人の割合は非常に高く、二〇〇四年度の調査以降、常に一位とのことです。この数字を見ても、国民そして都民は、特権的な天下りが行政の公正さをゆがめ、税金のむだ遣いの温床になっているのではないかと疑念を持っているのです。
 政権交代以降、国でも事業仕分けによって、天下りとそれにかかわる随意契約や補助金の問題に大きなメスが入り始めています。
 また、都においても、この間の会議では、監理団体との契約や再々就職、いわゆる渡りの問題が取り上げられ、さらに外部監査委員からも契約についての指摘がなされています。
 したがって、契約情報を含めたOB職員の再就職情報を都民に明らかにすることは、私は極めて重要なことだというふうに思っています。
 この天下りに関して、都は以前から、退職後二年間は、退職前五年間に従事していた職務に関する営業活動を行わないという基準を設け、一定の規制をしてきました。しかし、その民間企業を含めた再就職先などは明らかにされておらず、その規制がしっかりと機能しているかどうかの確認がとれない、そんな状況だったと思います。
 そんな中、都はやっと昨年の十二月、都幹部職員の再就職状況について、報告団体にまで拡大して公表をしてくれました。そして、民間企業への再就職にまで、この後、拡大をしていくということです。そもそもこれは既に他県では始まっており、私も再三求めてきました。
 今回、この公表により、都は、どのような役職についていた人が、どのような業種の会社の、また団体のどのような役職に再就職したか、これを明らかにすることといっています。そうなれば、再就職する公務員の側も、都民から疑念を持たれてはいけないなあという思いが働き、まさに再就職のときにみずからを律する、そんなことになるのではないか、私はそんなふうに考え、この天下りの公表を評価し、一歩前進だと思っています。
 そこでまず伺いますが、具体的にどの程度まで公表するかということです。
 ここに、監理団体とか報告団体、この公表のリストがありますが、このような形で、どなたが、そしてどんな役職だった方が、いつ退職をして、また、どんな会社に再就職をされたのか、どんな部署なのか、どんな役職なのか、そして、その再就職日はいつか、そのあたりまでしっかりと明らかにしていただけるのでしょうか。

○中田総務局長 まず一言、天下り云々かんぬんというお話がございましたので、都の幹部職員の再就職につきまして一言述べさせていただきます。
 これは、昨年の知事答弁もありましたように、都の幹部職員の再就職は、早期に退職の勧奨を受けまして、いわゆる渡りを繰り返す国家公務員とは異なりまして、定年またはその直前まで働いた後、再就職先で、都で培われました知識、経験、こういったことを生かして活躍しておりまして、いわゆる都における再就職は、国の天下りとは大きく異なっております。この点をまず申し添えておきたいと思います。
 ご質問の公表の内容でございますが、これも知事から指示を受けておりまして、民間企業や公益法人も含めまして、現在公表しているものと同じ内容で検討しております。

○花輪委員 国と何が違うのかということ、私も余りよく今は理解できなかったんですが……。
 なお、この公表は退職時の一回のみです。しかし、天下りでも、何度も再就職を繰り返す、いわゆる私から見れば渡りといわせていただきますが、それに対する、やっぱり都民とか国民の批判はより強いものがあると思いますよ。
 これまでの質疑の中でも、監理団体の退職後の渡りが明らかになっています。退職金に関していえば、監理団体以外は、報告団体を含め退職金の規制がないということも、過日の西沢議員の質問で明らかになっています。監理団体は退職金がないといいますが、その他の団体は明らかになっていません。
 私は、今回の再就職情報を、この公開をしっかりと機能させ、そしてより透明性を高めるためにも、退職時のみだけの公表ではなくて、ある一定期間、再就職の情報を把握し、公表すべきと考えます。
 当然、個人の職業選択の自由がある、そのことも承知しています。ですから、一生とはいいません。でも、ある一定期間でも、そのあたりのしっかりとした管理をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○中田総務局長 今、委員からご指摘ありましたけれども、いわゆる職業選択の自由ですね、これは、私ども公務員が、公務員在職中もそうなんですけれども、やめた後もあるわけです。基本的に職員の再就職は、個人と企業等との間で自由に行われるものでございます。
 今、委員がご指摘のように、一定期間とはいっても、再就職状況を把握し公表すべきと、こういったご指摘ですけれども、今申し上げましたように、職員の持っている職業選択の自由あるいは個人対企業の間で行われている自由な契約、こういったことも踏まえることも一つ重要でございますし、また、一定期間とはいっても、退職した後、時間を経過した職員から、本人からの情報収集、情報提供によるしかないわけですね。そういったことも考えますと、全体を正確に把握するというのは非常に困難であると考えております。
 今後は、都幹部職員の退職直後におけます再就職状況につきまして、相手先の意向等を十分勘案しつつ公表していくことが、一層透明性を向上させるものと考えております。

○花輪委員 今回は一歩前進をしていますから、その意味でいうと、これからも頑張っていただきたい、そんなふうに申し上げておきます。
 次は、人材バンクについてお伺いします。
 都は先日、都庁版人材バンクを整備していくことを明らかにされました。
 まず伺いますが、この人材バンクとは、そもそもどんな役割、どんな意味があるのでしょうか。

○中田総務局長 職員の民間企業等への再就職につきましては、都の権限を背景に再就職を押しつけているのではないか、再就職した都職員による営業活動によって都政の公正性が損なわれているのではないか、こういった都民の疑念を払拭する必要がございます。
 このため、企業等への再就職に至る手続、これも整備することによりまして、企業側からの要請に基づくものであることを明らかにするとともに、職員の民間企業への再就職に関する取扱基準で定めたものを、営業活動の自粛についてさらに徹底してまいります。
 都庁版人材バンクは、こうした考えに基づきまして、都職員の企業等への再就職についての都民に対する納得性を確保するために整備するものでございます。

○花輪委員 今のご答弁で、都の権限を背景に再就職を押しつけているのではないかとか、再就職した都職員による営業活動によって都政の公正性が損なわれているのではないかとか、そういうことを払拭するために、また、企業側からの要請に基づくものであるよということを明確にするためにということで、この人材バンクをつくるというお話でした。
 ということは、まずは手続の透明性を確保するために、この人材バンクはつくるのかなと思います。そして、先ほどの公表、あれが結果の透明性、これをつくるためなのかなと。ですから、手続、結果、これで疑念を持たれないようにしようというふうに皆さんは考えているのかなと思うんですが、まずそこで伺いたいんですけれども、この人材バンクは、手続の透明性というのであれば、再就職をする職員すべてが登録をするということなのでしょうか。
 都には年間二千人から三千人ほどおり、対応し切れないので、幹部職員のみにするというような話も聞こえてきますが、いかがでしょうか。

○中田総務局長 都職員にも、先ほど来述べておりますように、職業選択の自由が保障されておりますし、職員の中には、みずからの才覚と努力によりまして再就職先を探すことをやっている人間もおります。したがいまして、こういった行為を禁止することはできません。
 都庁版人材バンクは、この手続に即しまして、企業等に再就職することを希望する職員を募って行っていくことが適切と考えております。
 また、幹部職員に限るか否かにつきましては、今後検討してまいります。

○花輪委員 今のお話ですと、全員が登録するわけではない、希望者ということでした。手続の透明性というのであれば、全員が登録をしないと余り透明にならないと思うんですね。
 あと、幹部職員のみにする可能性も今、否定をしなかったんですが、ということからすると、これは全員参加じゃなくて希望者だけの参加ということじゃ、何というんでしょう、東京都幹部職員専用ハローワークとか天下りバンクと見られかねません。
 世の中には、この予算委員会とか一般質問で随分ありました就職の問題、苦労している方はたくさんいると思います。大学生、高校生ばかりじゃなくて、再就職なんかもできずに、そういうふうに苦労している人たち、たくさんいますよ。だというのに、なぜ都の職員だけ、また、都が税金を使って直接あっせんとか仲介をしなければいけないのでしょうか。やっぱり公平性の観点から見ても、どこか問題点がある、納得がいかない気がするんですけど、いかがでしょうか。

○中田総務局長 まず、都庁版人材バンクでございますけれども、これは企業等が、都退職者の都で培われました能力や経験、こういったものを活用したいという企業が存在しているという前提を踏まえましてつくるものでございます。
 また、一方で、先ほど来質問がありましたように、都民に対する納得性を高める、これが目的でございまして、別に今、委員がご指摘の、何か都庁天下り人材バンクとか、そういったものではなくて、やはり都民への説明の一環で行われるものであるということをぜひご理解していただきたいと思います。
 これは、都職員の民間企業への再就職を拡大するためでもなく、また、都職員に何ら恩恵を与えるものでもございません。したがって、ご指摘は当たらないと考えております。

○花輪委員 これと同じような仕組みで、この前、国の方では官民人材交流センターというのがつくられましたが、もうこれ、なくなるんですよね。ですから、やっぱりそのあたりを少し考えていただいて、都のこれからつくる人材バンクも、透明性を高めたいとおっしゃるのであれば、本当の意味で透明性が高まって、都民の信頼が得られるような、そういう仕組みにぜひやっていただければ、そんなふうにお願いをしておきます。
 次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 過日行われたバンクーバー冬季オリンピック、フィギュアスケートの浅田真央さんとか高橋大輔さんの演技のときには、まさにテレビにかじりついて、手に汗を握って、メダルを獲得されたあの姿を見て、涙をこぼしたり、感動したという人はたくさんいたんじゃないでしょうか。また、パラリンピックも始まりました。選手の皆さんの活躍に本当に期待をしたいな、そんなふうに思っています。
 さて、過日、オリンピック・パラリンピックの招致の活動を取りまとめた招致活動報告書が招致委員会から公表されました。これを見ての印象は、やっぱり随分とお金がかかったなあということです。立候補ファイルに二十億円、海外でのPRなどの国際招致活動に四十五億円、招致機運の盛り上げなどのムーブメント推進費に八十四億円、合計で百四十九億円です。
 きょうは、事細かに、どこに幾ら使ったのかということは申し上げませんが、その使い方についてはやはり多くの批判がありました。私たちのところにも、随分いわれました、私も。また監査委員からも、高額な随意契約の相手方が特定の業者に集中していること、また、事業者の選定方法などについて、より一層慎重に検討することが留意点として示されました。
 今回の招致に当たっては、多くの学生さんを初めとするボランティアの皆さんが、まさに手弁当で参加をしてくれたり、サポーターズクラブなどへ、多いとはいえないであろうお小遣いの中から心のこもった寄附を寄せてくれたり、そういう方がいて、この招致活動はできたんだと思います。そういう方々のまさにオリンピックへの夢とか、希望とか、感動とか、そういう期待を、今回の招致の費用の件を聞くと、そういう方々が、オリンピックなんてそんなものだったのかな、そんなふうに思ったとしたら、これはとても残念なことだと思います。
 そこで、どうしても私は知事に伺いたいんですが、過去の招致活動のノウハウがあるということで、国内、国外招致活動をともにしてきた電通さん、それもその多くが随意契約で何十億円という費用を払ったこの会社から、支持率が上がらなかったことや、また招致が実現しなかったこと、そういうことについて、一緒に戦ってきたんだけど、招致が実現できなくて申しわけないとか、または、私どもの責任によるところが大きいなど、おわびの言葉の一つぐらいあったのでしょうか。知事、お伺いします。

○石原知事 今回の招致活動は、国やスポーツ界など、電通も含めてです、他の多くの関係者とともにチームを組んで進めてきました。最終的には残念な結果に終わりましたが、個々の関係者が互いに謝罪するような問題ではございません。

○花輪委員 次に、コペンハーゲンでのIOCのプレゼンテーションについて伺います。
 これには約七億円かかっていて、これも高過ぎるのではないかな、そんな指摘もありました。その議論のころ、昨年の十二月でしょうか、知事は定例記者会見で、こんなことをいっています。ちょっと長いんですけど、済みません。
 どうしてそれだけの費用がかかったのかということをはっきりつまびらかにしない限り、こっちはやりませんけど。あちこちから同じようなことをいわれますけど、私たちにすれば、いいものをつくらせようと思って、金に糸目をつけないなんてことはいったことないですけれども、リーズナブルな理由で、ものをつくって提供してくれると思ったけれど、案外、電通も力がなくて、私は再三注文して直しました。直した分だけお金がかかったのかなというのは、これは通らない理屈だから。そもそも、何でそんな程度のものしかできなかったかということ、これは能力の問題だけど、それを直させることで金がかさんでいったというなら、これは世の中通らない。それはこれから一々検証してまいりますとおっしゃっています。
 このお話を伺う限り、そもそもは、もっとよいものがもっと安い金額でできると思っていたけれど、いいものができてこなかった。それで再三、修正をさせたら高額な請求が来た。高額な請求が来たのは電通の責任だとも聞こえます。
 しかし、昨年の七月二十九日に電通と招致委員会が締結した契約はもともと七億五千万円だったと、招致本部から説明を受けました。招致委員会では、五千万円以上の契約は会長決裁ということで、その契約は知事決裁と、招致本部から説明を受けました。知事がもし決裁したのであれば、七億五千万円という金額も、見積もりも、その内容も説明を受けていたのではないかなと思います。そうしますと、先ほどの言葉はつじつまが合わないのかなというふうに感じます。
 それとも、忙しい知事ですから、七億五千万の契約、余り気にしないで決裁をしたとか、そういうことなのでしょうか。お答えいただければと思います。

○石原知事 IOC総会のプレゼンテーションの中身については、その内容については随時報告を受け、いろいろ注文もつけながら固めてまいりました。
 契約した段階でどんなものができてくるかわかりませんから、できてきた製品を見て、私は私なりの感覚で随分だめを押して、つくり直させました。それで費用がかさんだと思いません。そんなことあり得ないし、できた作品がだめなら、直すのは当たり前でありますから。
 個々の契約金額や決裁などの事務手続は、事務総長以下に任せておりました。

○花輪委員 七億円もの決裁をするのに、決裁基準でも五千万円以上は会長決裁だというのに、任せていたというのはどうなのかなという、私はやっぱり気がしますよね。だから、最後になってお金が足りなくなっちゃったなんていうことになるんじゃないのかなというふうに思います。
 今回のオリンピックの招致に関し、私は、多くの人たちがNPO法人である招致委員会に入会してオリンピック招致を応援してくれたのだろうなと思い、招致本部に招致委員会の会員の人数を伺ったところ、平成二十年末で正会員は、入会金、これ一万円なんですが、十九名、現時点で二十一名とのことでした。準会員はゼロでした。
 また、サポーターズクラブについては、個人の参加は二百七十七名とのことでした。ちなみに浦和レッズの場合、サポーターは一万六百五十七人いるようです、ホームページによりますと。個人の参加者、サポーターズクラブ二百七十七人、これは余りにも少ないんじゃないですか。ここに、オリンピックの招致の機運が盛り上がらなかった、市民に広がっていかなかったという、そんな現状があらわれているというふうに私は考えますが、いかがでしょうか。
 そこでまた伺いますが、総力を挙げて戦ってきた招致活動といいますが、実態はやっぱり知事を中心とする政治主導で、IOCが望むといわれる都民や国民の、まさにその主導の招致活動になっていなかったということのあらわれだと思いますが、いかがでしょうか。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 済みません、今のご答弁に入る前に、先ほど規程のお話をちょっとなさったので、ちょっと答えさせてください。
 招致委員会に処務規程というのがございまして、その規程では、会長、事務総長の決定のルールが書かれております。その中で、規程上は会長決定事項とされているものの中でも、今回の個々の契約締結ですとか、あるいは職員の任用、出張の許可などに関しては、事業運営の効率性の観点から、処務規程の中に決定権の移譲の条項がございますので、その条項に基づいて事案決定権を事務総長に移譲し、対応を行っております。今回お話にありましたIOC総会関係経費もそれに該当するものでございます。
 それから、ただいまのご質問でございますけれども、NPOのお話がございました。
 NPOの正会員については、さまざまな考え方がございますけれども、招致委員会は、オリンピック招致が国際的な戦いでありまして、また、ロビー活動など重要な機密を扱う専門的な活動が含まれていますことから、正会員の一般募集はしないで、そのかわりに、資金協力もお願いできる支持層を広げるためにサポーターズクラブというものを組織しまして、個人二百七十七名、法人で九十二社の協力を得ることができました。
 今回の招致活動では、このサポーターズクラブを初め、多くの個人、団体に主体的に取り組んでいただくことで、招致機運も徐々に醸成されまして、IOC総会直前には世論の高い支持も得られるようになったというふうに認識しております。
 この世論のさらなる喚起、それから国民の強い後押しということにつきましては、今回の招致活動報告書でも提言として取り上げているところでございますけれども、いずれにしましても、知事は会長としてチームの先頭に立ちまして招致レースを戦ったのでありまして、また、スポーツ界、経済界、都内区市町村、全国の自治体、そして都民、国民に支えられたからこそ、東京は熾烈な招致競争に最後まで挑むことができたというふうに考えております。

○花輪委員 でも、サポーターが二百七十七名というのはやはり少ないですよね。いや、それはやはり皆さん、少し反省した方がいいのかなというふうに思います。
 あと、もう時間がないので、オリンピックの質問はこのくらいでやめますが、意見だけいわせていただきます。
 六億九千万円お金を借りるということでした。まだ返済計画も明らかになっていないし、金利が何%かということも明らかになっていないですね。これ、一%だって、七億近くですから七百万ですよ、年間金利。ですから、その具体的なことをやはりちゃんと示して、議会にも報告をしてほしいなと思います。
 それと、NPO法人というのは、入会も退会も比較的楽にできるというか、ハードルが低いんですね。だれでも入れて、だれでも出られる。これは理事の皆さんも一緒です。ですから、七億円、六億九千万円借りたとしても、みんないつでもやめたいときにはやめられるんですよ。だから、知事にいっておきますけれども、七億円借りるのであれば、六億九千万借りるのであれば、しっかりと最後まで責任をとる、そんなふうにしっかりと心づもりを持っておいていただければというふうにお願いをしておきます。
 次に、八ッ場ダムについて伺います。
 けさの読売新聞の社説なんですが、茨城の空港のことについて、大甘な需要予測のツケだなんてことが大見出しで書いてありました。ちょっと読ませていただきます。「着工前には札幌、大阪便などが就航し、年間八十一万人が利用すると見込んでいたが、実際の利用者は二十万人前後にとどまりそうだ。空港ビルは早くも年二千万円程度の赤字が確実だという。昨年開港したばかりの静岡空港も、日本航空が撤退を表明するなど、綱渡りの運営が続いている。採算がとれない空港が、なぜ次々に開港してしまうのだろうか。それは、着工前に立てる需要予測が甘すぎるためだ。」こんなことをこの社説は書いています。
 では、質問に入ります。
 (パネルを示す)ここに八ッ場ダムの必要性という資料があります。昨年十月十九日、一都五県、これは茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、そして東京都ですが、この知事たちが八ッ場ダム予定地に視察に行き、そして地元自治体及び住民代表による意見交換が行われたとき、その記者会見のときに配られた資料です。
 皆さんにお配りをしていますが、利根川の洪水に対するリスクというふうにあります。この表では、現時点でカスリーン台風による洪水と同規模の洪水が発生した場合、利根川は至るところで破堤のおそれとし、現時点でおおむね二百年に一度起こる大雨が降ることにより利根川がはんらんした場合に想定される浸水状況の図がこの右側で、青いところですね、示されています。
 また、今度は右側の表ですが、カスリーン台風時と同じ箇所で破堤すると、その被害は甚大、想定被害額は三十四兆円と書いてあります。すごい金額です。そして浸水区域内に住む人たちは約二百三十万人ということです。この右側の表ですね、絵がありますが、地図があります。
 ただ、ここで疑問に思うことがあるんですが、被害想定の中で浸水面積というところがあります。この左の、三番目ですね、棒グラフの。ここで、昭和二十二年のカスリーン台風の洪水の被害面積、四百四十キロ平方メートルに比べ、平成十六年の想定面積の方が五百三十キロ平方メートルと大きくなっているんです。これはなぜでしょうか、お聞かせください。

○河島都市整備局長 ただいまお示しされました一都五県の資料に出ております平成十六年時点における被害想定は、中央防災会議の資料を引用したものでございます。
 この被害想定面積が昭和二十二年のカスリーン台風時の被害実績より大きくなる理由でございますが、それは流域の地盤そのものが両年次の間で変化したからでございます。
 すなわち、埼玉県の東部や南部地域、東京都の区部東部地域は、高度成長期、工業用水など、また埼玉では水道用水などもくみ上げていたと思いますが、地下水のくみ上げが盛んに行われていました。それにより、広域的に地盤沈下の影響を受け、地盤自体が昭和二十二年より低くなってしまったわけです。ですから、同じ高さのレベルから水があふれたとしても、浸水するその範囲というのが広がってしまうということは、これはある面で当然の話であります。
 そういった結果、これらの地域では、昭和二十二年当時よりも、はんらんによる浸水区域が拡大し、浸水の深さも深くなり、被害も大きくなるということになります。
 これに加えまして、利根川の下流域では、戦後の高度成長期を通じて、人口や資産が集中する密集市街地が形成され、政治、経済等の中枢機能の集積も進んでまいりました。このため、浸水区域内の人口が拡大し、被害額も甚大になるというふうに予測されているものでございます。

○花輪委員 次に、この資料では、カスリーン台風が来ると、カスリーン台風時と同じ箇所で破堤するとというふうに書いてあります。カスリーン台風以降、河川整備、随分やってきていると思うんですよ。あのとき破堤したところとか、そういうところも一生懸命、堤防整備を努力してきていると思うんですが、そんなこと起こりづらいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○河島都市整備局長 この被害想定は、国が治水事業の経済性を評価する指針として使っております治水経済調査マニュアル(案)に基づくものでございまして、はんらんについてのシミュレーションをベースとして作成されております。
 このシミュレーションは、堤防の決壊箇所を幾つか設定いたしまして、それぞれの場合についてマニュアルに従って決壊するときの河川の水位を求め、地盤高データをもとにはんらん流の広がりを計算したものでございます。この結果、被害が最大となったのは、河口から百三十六キロメートル地点の利根川右岸の堤防が決壊した場合でございまして、これはカスリーン台風時の堤防決壊箇所とほぼ同じ位置でございます。
 こうした方法からわかりますように、このシミュレーション自体は、堤防が決壊するか否かを評価することを目的としているものではございません。
 なお、河川管理者である国は、河川堤防の安全性に対して次のような見解を明らかにしております。河川堤防は、基本的に土質材料で築造された構造物でございまして、大きな洪水被害を受けるたびにさらに大きく高く築造してきた昔からの歴史的経緯があり、一見頑丈そうに見える堤防でも、その内部の構成材料が不明かつ複雑であることから、浸透等に対する安全性が必ずしも十分でない場合があり、計画降水以下の水位であっても、決壊しない保証はどこにもない。すなわち、当該箇所における堤防が強化されたことによって、絶対決壊しないとは断言できないということであります。

○花輪委員 いや、リスクがゼロになるなんてことがあるとはだれもいってませんよ。
 同じ場所が決壊した場合ということでシミュレーション、私、何でこれ、おかしいかなというと、まず、この期間で都市は変化をした、地域は変化をした、そんなことをおっしゃっていました。要は、そちらの方には時代の変化、一方には時代の変化をかけていますよね。だけれども、堤防の方はもう六十年前のそのまま、時代の変化をかけていないということなんです。ですから、一つのシミュレーションを出すときには、今と同じようなレベルの、今であれば今の土地と今の堤防、そんなような比較の情報というか、データを出すのが私はそもそもじゃないのかなと。そうじゃないと、この八ッ場ダムの信憑性という、この資料そのものの信憑性が疑われるというふうに私は考えていますよ。
 あと、この資料は国が出したというふうに、国のシミュレーションによると何度かおっしゃっていましたけれども、でも、この資料は国が出したんじゃなくて、ここにあるように、皆さんが出している資料なんですよ。だから、そのデータの検証というのは、都も責任を持って一緒にやっていただきたいというふうに思うんです。都が出している主体的な資料ですから、ぜひそのあたりもお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○河島都市整備局長 お話のはんらんシミュレーションは、利根川の河川管理者でございます国が、科学的、技術的な指針に基づき行ったものでございます。これは国の中央防災会議においても、この結果に基づいて、利根川のはんらんで堤防が決壊した場合の死者数や孤立者数の想定を公表し、応急救援体制の検討に反映させているものであります。
 こうしたことから、国のシミュレーションは妥当であると考えておりまして、改めて検証するまでもないと判断しております。

○花輪委員 次に伺います。
 これまで八ッ場ダムによる治水の必要性の最大の根拠は、今のカスリーン台風、利根川のはんらんで約千百人の死者を出したカスリーン台風による被害とされてきました。しかし、衆議院における政府の答弁書では、国交省は、カスリーン台風が再来しても、利根川の洪水ピーク量は、八ッ場があった場合でもなかった場合でも、その治水効果は変わらないということを明らかにしています。
 やはりこのようなことからしても、八ッ場ダムの治水面での必要性はないと思うのですが、いかがでしょうか。

○河島都市整備局長 お話の中で、政府の答弁書において、カスリーン台風が再来した場合、八ッ場ダムの治水効果はゼロだということを明らかにしているとのご発言がございました。これは昭和二十二年のカスリーン台風では、烏川、神流川流域に雨が集中し、八ッ場ダムの建設地である吾妻川流域には強い雨が降っていないためでございます。
 しかし、この答弁書ではその後続けて、過去に起きた三十一の洪水時の降雨パターンをもとに計算を行った結果、そのうち二十九のパターンについて、八ッ場ダムは洪水のピーク流量に対する調節効果を有しているとしております。
 実際、最近の事例では、平成十三年九月に、八ッ場ダム上流の吾妻川流域に降雨が集中し、関東地方に大きな水害をもたらしました。カスリーン台風のときに吾妻川流域に降雨が少なかったから、今後もこの流域に大雨は降らず、八ッ場ダムの必要性がないという議論は、洪水に対する危険性に目をつぶるものでございまして、都民の安全性を守る立場である我々としては、到底容認できない考え方であります。
 利根川は我が国最大の流域面積を持ち、その治水計画では、計画基準点となる八斗島地点の上流域を三つの流域に分けて、治水上効果的にダムを配置することとしております。
 八ッ場ダムは、利根川上流部の三流域のうち、唯一、洪水調節機能を持つダムのない吾妻川流域に建設されるものでありまして、洪水調節施設の空白地帯を補うという治水上重要な役割を担っております。
 こうしたことから、八ッ場ダムは治水上での効果があることは明らかであり、昨年の東京地裁の判決においてもこれが認められております。

○花輪委員 まず、最後の裁判の話だけいっておきますが、裁判の話は、必要性があるないというよりは、公金支出に違法性があるかないかという程度の裁判ですから、余りそれを取り出していわないでください。
 あと、カスリーン台風の件なんですけれども、吾妻川流域ではなく、烏川、神流川流域に強い雨をもたらした、だから効果がないのは当たり前といっていますけれども、そもそも皆さんがこの中で、カスリーン台風が来たらといっているんじゃないですか。それなのに、効果がなくて当たり前といったら、もうこの資料そのものが始まらないと思いますよ。
 もう一つ、三十一パターンのうち二十九パターン、なお書きの後が出ました。では、二十九パターンで、八ッ場ダムがあればどれだけその治水効果があったのかという数字は出ているんですか。私、何度も何度も局にお願いしてきました。都にお願いしてきました。でも、二十九パターンのときに効果があるという資料、それが具体的に出てこないんですよ。もしあれば出していただければと思います。

○河島都市整備局長 先ほどもお答えしたとおり、平成二十年六月の政府答弁書では、過去に起きた三十一の洪水時の降雨パターンのうち、二十九の降雨パターンについては、八ッ場ダムが洪水調節効果を有しているというふうにいっております。
 この降雨パターンは昭和四十九年までに発生した洪水を対象としていることから、お話にあった台風のうち、カスリーン台風、キティ台風、三十四年の台風についてはこの中に含まれておりまして、これらの降雨パターンにおける八ッ場ダムの治水効果を都が把握しております。
 しかし、昭和五十六年及び五十七年の台風については含まれておらず、これらの台風により発生した洪水時における八ッ場ダムの治水上の効果について、承知はしておりません。

○花輪委員 だから、承知していないんですよ。国がいうからそうだといって、ずっとこの間、治水の必要性についてはみずから主体的に聞こうとしないで、国にいわれるがままだったんじゃないですか。私はそれをいいたいんですよ。もう時間がなくなってきたので。
 私は、ダムによる治水効果すべてを否定するつもりはありませんよ。できることなら、二百年といわずに三百年、いや、未来永劫、それは雨が降っても被害がないようにそれをしておくにはこしたことがありません。
 つい先日まで、我が家はしばしば雨が漏りました。この二十年ほど、何度かうちで雨漏りを経験しているうちに、この風向きだったら、この強さだったらこのあたりに雨が漏るかな、または、ああいう風だったらこのあたりに雨が漏るかな、そんなことを想定しながらバケツを置いたりしていました。家具を移動させたりしました。外出しているときに雨が降ってくると、うちの雨漏りが心配になったりしましたよ。
 もし、ふだんから自分の部屋いっぱいにバケツを並べておくことができれば、これは安心なんです。雨漏り対策としては万全でしょう。だけれども、部屋全体がバケツだらけになったら、部屋の機能が失われちゃうんです。支障が出るんですよ。そして、バケツを買うコストだって、これは大変なことなんですよ。だから私はいっているんです。
 ダムによって得られる治水効果と、失われる自然や人々の暮らし、さらには国民、都民の皆さんに納めていただいた税金の有効活用、そして多くの犠牲と限りある資源の中で、もしダムをつくるならば、やはり効果があるところにつくりましょうよ。効果のわからないところに、決めちゃったからってつくるのはやめましょうよ。いかがでしょうか。

○河島都市整備局長 先ほどもご答弁したとおり、八ッ場ダムの効果、それは非常に大きなものがあるということです。
 それから、東京都もほかの県と一緒になって出した昨年十月の資料、カスリーン台風が来ても効果がないといういい方をされておりましたけれども、カスリーン台風と同規模の台風が違う降雨パターンで雨を降らせたら、それは大きな被害をもたらす。カスリーン台風がそのまま同じようなルートで来て、同じような雨を降らせたときに、初めて八ッ場ダムは洪水を抑制する効果が認められないというだけであります。
 ですから、先ほど申し上げましたように、未来永劫、カスリーン台風のような大雨が吾妻川流域に来ないという保証は何もない中で、果たしてどうやって安全性を保つのか、治水安全性を保つのか、それが課題だろうと思います。
 今のご質問でございますが、ダム建設は、渇水や洪水被害の軽減のために河川流量を調節する有効な技術手段でございます。しかし、下流域のために水没地が生じること、自然環境への影響など、課題を持つことも事実であります。このため、八ッ場ダムではこうした課題をできるだけ緩和し、地元の合意を得て事業が進められてまいりました。
 八ッ場ダムの洪水調節容量は、利根川上流のダムの中で最大であり、既設六ダムの全体の六割に相当いたします。八ッ場ダムが完成すれば、上流部の三つの流域すべてにおいて洪水調節機能を持つダムが整備されることとなり、他の既設ダムと相まって、利根川上流部のさまざまな降雨パターンへの対応が可能となります。
 このように、治水上におきます八ッ場ダムの必要性については明らかであり、都が独自に検証する必要性は全くないというふうに考えております。

○花輪委員 もう時間がないので、質問はざっくりなくなっちゃうところがあるので。
 昨年秋、前原大臣が就任したころ、新聞に載った言葉を読ませていただきます。ダムをつくれば砂がたまる、砂が下流に流れれば海岸の侵食が進んで護岸工事が必要になる、コンクリートで国土を次々と固めていく政治はリセットしよう、社会資本より社会保障にお金を使おう、私の仕事は、いかに国土交通省の予算を縮減し、税金の使い道を変えるかなのです、こんなふうに前原さんはいっていました。
 少子高齢社会、そして人口減少社会、この国の膨大な借金、そのような中にあっても、子育てや医療、そして介護、何とかしてほしい、そういう声がありますよ。そんな声に少しでも私たちはこたえたいと思っています。だから、税金の使い方を変えていきたいと思います。それが私たちが目指すコンクリートから人への理念です。ないよりはあった方が安心だという、都合のいい数字だけ並べてダム事業を進めてきた今のこの国の政治のあり方、一度立ちどまって考えましょうよ。知事、ぜひご意見をいただきたいと思います。
 以上で終わります。

○石原知事 あなたのおっしゃっていることを聞きますと、ダムの治水の効用だけを論じていらっしゃるけれども、それはまた別の話にして、それはちゃんと検証した方がよろしいですね。してないであなた方は反対を唱えたんだから。
 利水の点でいうと、平成十年代、何年でしたかな、とにかく東京も含めて二百数十日、断水したんですよ--断水じゃない、節水。(花輪委員「みんな覚えていないぐらいのですよ、それ」と呼ぶ)覚えていないのは、君が覚えていないだけの話じゃないか。都合よく忘れているだけじゃないか。実際にあったんだ。二百数十日、とにかく要するに節水したんですよ。ビール会社も製造をとめたんだ。こういう事態が過去にあったと、つい最近あったということをやっぱり勘案しなければ……(花輪委員「それと、ダムをつくるその比較ですよ」と呼ぶ)人のいうことをちゃんと聞けよ。君が質問したんだろ。聞かなきゃいい。

○和田副委員長 花輪ともふみ委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

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