予算特別委員会速記録第三号

○藤井副委員長 林田武委員の発言を許します。
   〔藤井副委員長退席、服部副委員長着席〕

○林田委員 私たちの大先輩、尊敬する川島忠一先生が、昨年十二月四日、ご逝去なされました。まことに痛恨のきわみであります。
 川島先生は、都政発展のために、党派を超え、大所高所からご活躍なされ、大変な足跡を残されました。川島先生はだれよりも島を愛し、離島の厳しい環境を熟知し、島民の代表として島の発展のためにご尽力なされました。だからこそ七期も当選されたのだと思っております。
 その川島先生が亡くなられて、本年一月二十四日、都議の補選が行われました。ご承知のとおり、自民党公認候補者と民主党公認候補者の一騎打ちとなりました。結果は、川島先生の後継者であります三宅正彦さんが全島ですべて勝って、圧勝いたしました。
 この選挙は、島しょ部ではかつてない熾烈な戦いでした。両陣営の国会議員、都議会議員が連日総力を挙げての応援となりました。このことは、選挙戦でありますので当然のことであります。しかし問題なのは、政権党である民主党が、まさに権力を利用した利益誘導といってよい行動が公然と行われたことであります。
 都議補選に入る前、一月八日に、島しょが選挙区であります民主党の松原代議士から、東京都島しょ部振興に関するヒアリングという名目で島の首長、議長を集め、小沢一郎幹事長に会わせたということであります。その席には大沢幹事長もいたんですよね。
 出席した議長に聞きますと、民主党候補を応援しなければ島の振興には応じられないというような話であったと赤裸々にいっておりました。要するに、選挙に勝つためならば、権力をかさにして何でもあり、島民の心を踏みにじっただけではなく、島民を見下す、大昔の、まるで悪代官そのものではないかと私は思いました。
 三月一日付の朝日新聞、「離島に募る民主不信」、「『予算つけない』と脅された」という見出しで内容が詳しく掲載されております。ここにその切り抜きがありますけれども、詳しく掲載されておりますので、ごらんになった人も多いと思いますけれども、この記事のとおりのことが行われたわけであります。
 要するに、島民が今何を望んでいるか、島の振興をどうしたらいいのか、都政や国政に何を求めているのか、そういうことは全く無視をして選挙戦を戦ったということでありますが、結果は島民の良識の勝利となりました。
 そこで、まず、強く東京都へお願いいたします。知事は、海をこよなく愛し、みずからもヨットを操縦し、島しょ地域の島々に行かれた経験から、島のアクセスの状況は随分理解されていると思います。港湾の整備は、島民にとって足の確保のみならず、観光立島を目指す島しょ地域にとっては観光客の受け入れ体制には欠かせないものであります。また、冬の厳しい自然環境の中で必死に生活してきている島民にとっては、まだまだ多くの課題があり、港湾施設を初め社会基盤の整備は引き続き必要であります。そのためには、来年度以降の予算の中にも、より一層島しょ振興のための予算措置を行うべきだと思います。都政に寄せる島民の思い、要望を十分に受けとめていただいて、これまでどおり、ぶれないで島の振興にさらに力を入れてもらいたいと思います。
 重ねて申し上げますが、厳しい自然環境にある島しょの基盤整備は、選挙対策のためのものであってはなりません。あくまで島民の生活安定と島の振興のためになされるべきであります。
 そこで、知事に、一連の政治的な関与のある中で、島しょ振興に対する決意をお伺いいたします。

○石原知事 島しょ地域は、非常に豊かな海洋資源と……(発言する者あり)うるせえな。島しょ地域は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれた、実に個性豊かな島々から成っております。時々、在京の外国大使を誘ってピクニックに参ります、集団で。彼らも本当に感心して声を上げるんですが、ある大使は、伊豆七島をいみじくもストリングパールス、つまり真珠の首飾りのようだといってましたが、まさにいうとおりだと思います。それぞれ非常に個性豊かな島から成っておりまして、我が国の排他的経済水域の確保等の観点からも、国益を維持する上でも重要な役割を担っております。
 私自身も、この島しょ地域は、かつて衆議院時代、選挙区でありましたし、私の趣味でありますヨットのレースとかトローリングなどのホビーも通じて深い関心があります。島しょ地域の厳しい、しかし、美しい自然環境やそこに生活している島民の思いは十分に理解しております。たくさんの友人もおります。
 そのために、産業振興や医療対策、島民生活の安定、あるいは観光客の交通アクセスの改善にも資する港湾整備などの社会基盤の整備に必要な予算をこれまでも編成してまいりました。
 都はもとより、国にとっても重要な地域であることから、今後とも、それぞれの魅力とポテンシャルを生かしながら、島しょ地域の振興に精力的に取り組んでいきたいと思っております。

○林田委員 知事、ありがとうございました。
 ただいま知事から、島しょ振興に対する取り組みについて力強い決意をお伺いいたしました。今後、島しょ地域の活力を高め、将来にわたって自立的発展を遂げるため、島しょ地域の振興に都として具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○中田総務局長 島しょ地域の自立的発展のためには、豊かな自然環境を初めとする島の地域資源を活用しまして、観光産業と農水産業などの連携を強め、産業の活性化に取り組むことが重要であると考えております。
 加えまして、お話にありましたように、島しょ地域が置かれました厳しい状況を踏まえまして、引き続き、必要な社会基盤の整備や、火山、地震、津波、こういった対策などの防災への取り組みを行ってまいります。
 特に、島の主要産業でございます観光では、個性あふれる島々の特色につきまして情報発信を強化し、国内はもとより海外からの観光客も広く誘致、獲得を図ってまいります。
 さらに、小笠原諸島地域におきましては、ご案内のとおり、世界自然遺産登録に向けました取り組みを進めるとともに、現在整備中の海底光ケーブル、この活用によりまして医療の充実や産業振興を図ってまいります。
 今後とも、町村や国、住民などと連携を図りながら、島しょ地域の振興に積極的に取り組んでまいります。

○林田委員 次に、民主党政権になって驚いたことがあります。それは、都内の国道直轄事業の凍結、そして「個所付け」であります。
 昨年十一月、公共事業縮減の方針のもとに、国直轄の国道整備の概算要求で、多くの重要な路線が、いわゆる凍結路線と呼ばれるゼロから一億円の要求額とされました。その後、昨年十二月には、道路整備費の総額として前年度比で約二割も削減された予算が示された上で、本年二月に、国から民主党へ、民主党から各都道府県へというルートで予算の「個所付け」が行われました。
 国会でも、自、公、共の指摘で、民主党政府は、まだ予算が通っていないので仮配分であるとの説明でした。とにかく、都にとっても、地元の市や町にとっても、大きな問題であります。
 そこでまず、国直轄の国道整備について、昨年十一月の段階でいわゆる凍結路線が何カ所あり、本年二月の「個所付け」では何カ所だったか、お伺いいたします。

○河島都市整備局長 国土交通省による昨年十一月の概算要求では、環境対策等を除く事業実施箇所のうち、いわゆる凍結路線といわれている、事業費がゼロから一億円までとされた箇所は、区部では、国道六号新宿拡幅、一四号両国拡幅及び一七号新大宮バイパスの三カ所で、多摩地域では、国道一六号の八王子から瑞穂までの区間の拡幅一カ所でございました。
 また、本年二月のいわゆる「個所付け」資料に示された凍結路線は、国道一七号新大宮バイパス一カ所となっております。

○林田委員 どの路線も重要な路線であります。私の地元でも、国道一六号線八王子-瑞穂間の拡幅工事が進められ、早期完成、そして渋滞の解消が望まれております。それが突然、昨年十一月、ゼロから一億円ということになりました。二月にどうにか凍結が解除されたようですが、この区間の進捗状況についてお伺いいたします。

○河島都市整備局長 国土交通省によりますと、国道一六号の八王子から瑞穂までの区間につきまして、平成二十一年度は、武蔵野橋の新設橋梁部のけた架設が完了するなど着々と工事が進められており、年度末における事業進捗率は約八六%になる見込みでございます。また、用地買収の進捗率は約九七%に達しております。
 なお、平成二十二年度は、新設される武蔵野橋の供用に必要な改良工事や、松原地区における用地買収などが予定されております。

○林田委員 ぜひ東京都からも、国へ引き続き強く要請をしていただきたいと思います。
 次に、多摩の振興に対する都の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 これまで都は、多摩振興策として、多摩の将来像二〇〇一、多摩アクションプログラム、多摩リーディングプロジェクトを発表してきましたが、昨年二月には多摩振興プロジェクトを策定し、実行に移しているところだと思います。
 多摩には区部と違うポテンシャルが存在し、それを生かしつつ発展に取り組んだわけですが、一方では、ややもするとポテンシャルばかりが宣伝されてきた印象も否めません。重要なのは、四百万人を超える多摩の住民のため、振興策をどう具体化していくかであります。
 多摩振興プロジェクトの進捗状況や取り組みに対する考え方については、我が党の代表質問の中で答えていただいておりますけれども、ぜひプロジェクトに掲げた事業を、都と市町村がより協力する中で着実に実行してもらいたいと思います。
 各市町村は、申し上げるまでもなく大変厳しい財政状況の中で、住民の安心・安全の生活の確保に努力しております。毎年、市長会や町村会からも、東京都へ財政支援という強い要望があります。こうした状況を受け、我が党は予算案の復活において市町村総合交付金の増額を強く求め、都ではこれにこたえていただき、過去最高の四百三十五億円を計上することとなりました。
 そこで、市町村の置かれた厳しい状況を踏まえ、多摩地域の発展や魅力ある地域づくりに向けて、今後どのように多摩振興策の実現に取り組んでいくのか、見解を伺います。

○中田総務局長 都は、都市基盤の充実など多摩地域のさまざまな課題を踏まえまして、多摩振興プロジェクトや「十年後の東京」への実行プログラムにおきまして、首都圏の中核拠点としての発展に向けた取り組みを推進してまいりました。
 また、市町村が厳しい財政環境の中で、福祉の充実や防災など地域の行政課題に積極的に取り組んでいることは、委員ご指摘のとおりであると認識しております。多摩の発展のためには、都と市町村が有機的な連携を図りながら施策を展開するとともに、地域の特色を生かしたまちづくりなどに対し適切な支援を行うことが重要でございます。
 今後とも、全庁を挙げまして取り組みを充実させるとともに、市町村総合交付金など市町村に対する支援を効果的に組み合わせまして、多摩地域の振興をさらに強力に進めてまいります。

○林田委員 そこで、多摩振興の起爆剤として、石原知事は就任以来、一貫して横田基地の軍民共用化の必要性を訴えてこられました。本年一月に策定された「十年後の東京」への実行プログラムにも、圏央道整備の全線開通や横田基地の軍民共用化によって、多摩地域が首都圏の中核拠点として発展するとされております。
 圏央道は、平成十九年六月に、あきる野インターチェンジから八王子ジャンクションまで開通し、整備が進んでおります。
 問題は、横田基地の軍民共用化であります。石原知事の強いリーダーシップのもとで、都は横田基地の軍民共用化に取り組んでまいりましたが、普天間移設問題が混迷するなど日米関係がぎくしゃくしている中で、共用化の進展はどうなるのかと懸念が持たれております。
 こうした状況の中で、知事は、横田基地の軍民共用化にどのように対処し取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

○石原知事 横田基地の軍民共用化は、多摩地域の航空利便性の向上や、産業の振興等により地域の活力を飛躍的に増大させるだけではなくて、我が国の国際競争力を強化し、国力を維持するために不可欠な国家プロジェクトであります。
 とにかく、日本で最長の滑走路を持ちながらほとんど使っていない空港でありますが、しかし、米側はこれまでも、基地の軍事運用上の課題を指摘して、軍民共用化に積極的に対処しようとしてきておりません。
 この問題を積極的にハンドルしてくれております、かつて沖縄返還にも活躍しました高瀬教授が、しばしばアメリカに赴き、国防省当局とも話しておりますけれども、つい最近、彼らは一杯飲んだときに本音を吐いたようでありますが、横田は太平洋戦争の戦利品であるということを公言しているそうであります。
 こういう状況で、とにかく管制区域の一部だけは割愛して、返還といいますか取り戻しましたが、これだけでも、福岡や大阪、ソウルへ向かう飛行機は非常に時間が短縮して経済効果があるわけでありますけれども、新内閣が対等な日米関係というものを主張するならば、ぜひこの問題を、総理自身が一回とにかく横田を見て、そういったものの存在の意味を認識した上で交渉してもらいたい。やはり国が動かなきゃ動かない問題だと思います。
 先般も、依頼がありまして、現内閣の前原国交相に、高瀬教授と二人で今までのいきさつを詳しくお話ししましたが、その後、動きが余りありませんけれども、いずれにしろ、この協議を進展させるためには、経済的な側面も含めて、米国のメリットにもつながるウイン・ウイン、両方が得するという関係を構築して、幅広く軍民共用化への理解を得ていくことが重要であると思っております。
 昨年、日米のオープンスカイは合意に至りましたが、何といっても、彼らが要求している、開かれなくちゃいけない空というものは首都圏の空でありまして、この首都圏では、空港容量の不足から、依然として、とにかく非常に閉鎖的な状況が続いておりまして、現に、世界じゅうで、私の在任中は三十五カ国でしたが、今では四十カ国に及ぶ国が、ぜひ東京に乗り入れたいといいながら足踏みをしている状況であります。
 いずれにしろ、平時は余裕のある横田の滑走路を有効活用して、速やかにその解決を図ることが最も理にかなった対応であると思います。
 引き続き、国と都が一枚岩となって、この早期実現を米側に強く働きかけていきたいと思っております。

○林田委員 ご答弁ありがとうございます。
 ただいまは、知事に多摩地域に対する所見をお答えいただきまして、ありがとうございました。
 そこで、多摩地域の将来像について伺っていきたいと思います。
 都は昨年、多摩の拠点整備基本計画を発表し、多摩の広域拠点である五つの核都市とともに、新たに七つの生活拠点についても整備の方針であると、プロジェクトを明らかにいたしました。このことは、これまで我が党が強く主張し、それを踏まえたものであり、多摩地域全体の活性化に大きく寄与するものと高く評価いたします。
 今後は、特に生活拠点のまちづくりを円滑にするためには、都と市や町との密接な連携がより必要と考えます。
 そこで、都は、どのように地元市や町との連携を図りながら、この計画に基づくまちづくりに取り組んでいくのか、所見を伺います。

○河島都市整備局長 昨年公表した多摩の拠点整備基本計画では、広域的拠点でございます核都市に加え、より身近な生活拠点につきましても整備の方針と具体的なプロジェクトを示し、多摩全域のまちづくりを促進することとしております。
 例えば、ひばりヶ丘駅北口や拝島駅南口の周辺におきまして、市施行の道路整備にあわせて、都は、街区再編まちづくり制度の活用を働きかけることなどにより、駅を中心に多様な生活サービス機能が集積した市街地の形成を支援してまいります。
 また、昨年秋には、生活拠点の整備に係る連絡会議を設置したところでございまして、今後、こうした場も活用しながら、地元市等とともに身近な拠点の再生を図ることにより、自立して一層の発展を遂げる多摩地域の実現に取り組んでまいります。

○林田委員 次に、多摩地域の産業振興について伺います。
 多摩地域には、エレクトロニクスや精密機器など先端的技術を有する中小企業が数多く存在しております。また、大学や研究機関も多く、広域にわたる多様な産学連携による研究開発や共同研究が行われております。
 都は「十年後の東京」計画の中で、先ほど問題を提起したように、圏央道の全線開通や横田基地の軍民共用化の可能性を含め、多摩地域が都域を越えて首都圏の中核になる大きな拠点として発展していくとの目的を掲げて、この地域を、多摩シリコンバレーというアジアを代表する高度で多様なものづくり産業としての集積地とすることを目指すとあります。この大きな構想が、夢でなく、実現し、東京、ひいては日本の産業をリードする一大産業地域に発展していくことを期待しております。
 そこで、多摩シリコンバレーの形成に向けた、都のこれまでの取り組みと今後の施策展開についてお伺いいたします。

○前田産業労働局長 お話のように、多摩地域には、先端的な技術を持つすぐれた中小企業や大学、研究機関が数多く存在するという高いポテンシャルがございます。圏央道の全線開通等に伴い、ますますポテンシャルが高まるこの地域において、広域的な産業交流の活発化や研究開発機能の強化、企業集積の促進を図り、新産業や新事業の創出につなげていくことが重要と認識しております。
 都はこれまで、中小企業の高度化する支援ニーズに対応した体制の整備を進めてまいりました。先月には、多摩地域における産業支援拠点として、産業サポートスクエア・TAMAを開設いたしました。この拠点では、経営、技術の両面からの支援に加え、インキュベーション施設を整備するなど、さまざまな面から中小企業を支援してまいります。
 また、多摩地域の産業特性に応じまして、企業間連携の強化や、市町村が行います企業誘致等の取り組みへの支援を行ってまいります。
 今後とも、こうした多面的な施策を展開することにより、多摩シリコンバレーの形成を目指してまいります。

○林田委員 多摩シリコンバレーの形成に向けて努力してほしいと思います。
 ただいまご答弁にありましたように、産業サポートスクエア・TAMAが重要な役割を果たしていくということですが、我が党が求めてきた産業支援体制を具体化するものとしても、今後の取り組みに期待しております。
 私も先日、開所式に出席させていただきましたが、最先端の研究設備を備え、多摩地域の企業の事業活動をさまざまな面から支援できる、心強い支援拠点であると印象を持ちました。
 そこで、この拠点は、個々の中小企業の技術力や経営力を強化させるだけでなく、企業間の連携を促進させ、先端技術の開発や新たなビジネスモデルの創出を促していくことが必要であります。
 産業サポートスクエア・TAMAでは、企業間連携に向けて今後どのような事業を展開していくのか、伺います。

○前田産業労働局長 産業サポートスクエア・TAMAでは、東京都中小企業振興公社を中心に、大手メーカーや大学と中小企業との交流会や研究会を開催し、新製品、新技術開発に向けた多様な連携につなげてまいります。
 また、多摩地域で重点的に育成する計測、分析器、電子デバイス、ロボットの各分野を対象とした産業コミュニティの形成に向けて、その活動拠点として当スクエアを活用することで、企業、大学、公的機関及び金融機関によるいわゆる産学公金のネットワークの形成を促進させてまいります。
 こうした企業間連携を促進する取り組みを積極的に展開することにより、多摩地域における研究開発や新事業の創出に結びつけてまいります。

○林田委員 次に、もう一点、多摩の産業施策の中でも重点課題となっております物流拠点整備ですが、圏央道の八王子西インター、青梅インター周辺地域が候補地として挙げられております。
 それぞれ地元では期待していることだと思いますが、本年二月十四日、青梅インターの北側、今井地区で、西南部物流拠点の整備に向けた地権者が集まり、今井土地区画整理組合準備委員会が結成されました。面積約四十九ヘクタール、地権者二百二十人のうち、賛成者が九割を超え、三年後を目途に区画整理の認可を得たいと、物流拠点づくりが進行中であります。
 この青梅・今井地区における物流拠点について、都は今後どのようにかかわっていくのか、お伺いいたします。

○河島都市整備局長 多摩地域の物流機能の強化は、東京及び首都圏の物流を支える上で重要でございまして、都は、一昨年五月に公表した東京都西南部の流通業務施設に関する整備方針におきまして、青梅市今井地区を有力な候補地の一つとして位置づけております。
 当地区に物流拠点を整備するには、進出企業の誘致や、市街化調整区域及び農業振興地域の見直しが必要でございます。このため、市は、企業立地ニーズなどの調査を行うとともに、土地利用計画及び農業政策との調整を図りつつ、物流拠点の整備計画の策定作業を進めております。
 都は、市のこれらの取り組みを支援するとともに、市街化区域への編入等にかかわる関係機関との調整や、土地区画整理組合の設立に向けた適切な指導を行うなど、多摩地域の物流機能の強化に取り組んでまいります。

○林田委員 私は西多摩選出ということもありまして、多摩の森林再生については、あらゆる機会を通じて多岐にわたり問題を提起し、また意見も申し上げてまいりましたが、今回も何点か質問させていただきます。
 まず、多摩の森林再生事業について伺います。
 多摩には五万ヘクタールを上回る森林があり、都の面積の四分の一を占めております。森林の重要性、公益的機能は今さら申し上げるまでもありません。
 しかし、今、森林は残念ながら荒廃しております。都は、森林の持つ公益的機能を回復するために、平成十四年から、市町村と連携し森林再生事業を進めておりますが、実務を行っている市町村からは、事業開始時に比べ森林所有者の協力が得られなくなってきた、また、今後ふえる奥山での伐採作業は、現状と比べ費用が高くなるということで、なかなか進んでいないというのが実態であります。
 森林再生事業をさらに進めていくためには、市町村とより一層の連携を図り、多くの森林所有者の協力が得られるような工夫がより必要であると思いますが、都の森林再生事業のこれまでの成果と今後の取り組みについて伺います。

○有留環境局長 森林再生事業は、都が森林所有者と協定を結んだ上で、荒廃した森林を間伐し、五十年をかけて森林の公益的機能を回復させる事業でございます。
 事業開始から平成二十年度末までに、約一千三百件、約四千五百ヘクタールの間伐を行いました。また、十八年度から、森林再生事業を行った森林を対象に、スギ花粉対策として約三百八十ヘクタールの枝打ちを行いました。
 今後、事業をさらに推進していくため、協定ができなかったケースの要因を、交渉に直接携わった地元市町村とともに分析し、森林所有者が協力しやすい方策を検討してまいります。
 また、来年度は、市町村の要望を踏まえまして、今後増加が見込まれる奥山での作業に見合う経費を積算いたします。
 引き続き、市町村との連携を密にしまして、森林所有者の理解を得ながら、森林再生事業を着実に実施してまいります。

○林田委員 次に、民有林のモデル購入について伺います。
 都民の貴重な水を確保するために水道局が行っている水源林の管理は大切な仕事だと思っております。しかし、多摩川上流域には荒廃の進む民有林が多く存在しています。民有林も、水源林と同様に緑豊かな森林に再生していくことが必要であります。
 水道局では、東京水道経営プラン二〇一〇において、荒廃した民有林を水源林として生まれ変わらせることを目指して、五年程度の期間、試験的に購入していくとのことで、大いに期待しております。
 しかし、民有林のモデル購入についてはさまざまな課題があります。林業不振が長引く中、山林には不在地主が多いことや、先祖代々受け継いできた土地で境界線がわからないという山林も多いと聞いております。
 また、民有林のモデル購入を契機として、転売を繰り返すことで地価高騰などの心配等、課題があって、具体的な対策が望まれております。
 さらに、民有林の購入に当たっては、森林の管理状況など十分に把握し、水道局が直接管理することによって、より高い効果が得られる場所を選定するなど、優先度に配慮して施策を進めてもらいたいと思います。
 そこで、モデル購入事業は、こうした課題に向けてどのように取り組んでいくのか、伺います。あわせて、平成二十二年度からスタートするわけでありますが、どのような手順で進めていくのかもお伺いいたします。

○尾崎水道局長 民有林のモデル購入に当たりましては、購入の対象となる山林の土地所有者が、用地境界を確定するのに大きな労力を要することが考えられます。このため、土地所有者の負担が軽減されるよう、きめ細かな協力、支援を行います。
 また、地価高騰を引き起こす過剰な土地取引を未然に防止するため、一定期間、売買実績のない山林を購入対象といたします。
 さらに、購入手続を進める山林の選定に当たりましては、山林評価や土地売買の知識を持つ専門家等により、山林の荒廃状況や立地条件などをもとに、購入の優先度を審査いたします。
 モデル購入の対象案件につきましては、公平性を確保するため、公募により広く売却の申し込みを募ることとし、初年度となる平成二十二年度は、第一・四半期に公募いたします。続いて、受け付け案件について現地での調査を行った上で、具体的な審査を実施し、購入する山林を決定してまいります。

○林田委員 荒廃した民有林を再生させる。水道水源林として機能を最大限に発揮させる。口でいうのは簡単ですが、時間のかかる難しい取り組みと承知しております。しかし、都民の大切な水道水として重要なことでありますので、着実に事業を進めてもらいたいと思います。
 次に、林道整備について伺います。
 何度も申し上げますように、今、森林の荒廃が進んでおります。森林を再生する、森林を整備するためには、まず人が山に入れること、山から木を運び出すことにも、あるいは火災などの災害防止のためにも、どうしても林道、作業道が必要であります。森林を人間に例えますと、森林に林道という動脈を、作業道といういわば毛細血管を張りめぐらすことで生きていけるわけであります。
 私は、事あるごとに、林道、作業道等の路網整備の必要性について訴えてまいりました。都もようやく私の主張にこたえ、今までの林道整備に加えて、今年度から新たに森林の循環再生プロジェクトを開始いたしました。林道を重点的に整備していくということは大変評価いたしております。
 そこで、森林の循環再生プロジェクトを含めて、多摩の林道など路網整備の進捗状況と今後の予定について伺います。

○前田産業労働局長 林道や作業道等の路網は、森林整備と木材生産にとって不可欠な基盤施設であります。
 多摩における路網整備の今年度の進捗状況は、既存の林道事業と、今年度から新たに始めました森林の循環再生プロジェクトを合わせ、林道は昨年度に比べ一・四倍の二千四百七メートルの整備を、作業道、作業路は昨年度に比べ一・七倍の六千メートル程度の整備を見込んでおります。
 来年度につきましては、林道は約四千七百メートルを、作業道、作業路は約七千四百メートルを整備する予定であります。これらの路網整備の予算は約七億六千万円、今年度と比べ二割の増となっております。
 今後とも、林道等の路網整備に積極的に取り組み、都民にとってかけがえのない財産であります多摩の森林の整備と林業の振興に努めてまいります。

○林田委員 山の関係者あるいは林業関係者、いろいろお伺いいたしますと、やはり何としても、まず林道をつくってもらいたい、林道をつくらなければ何もできないというのが本当に実態なんです。都道に面したところは林道はすぐできるんですけど、奥山まで入るには、やはり林道をつくらなければ、木を伐採してもそれを運ぶ手だてがない、あるいはシカの駆除をしても運ぶ手だてがない、そういったことがもう毎年繰り返されるわけで、都は、それに関しまして、林道整備に大変な関心と促進の意向を持っておられることは、心から感謝と御礼を申し上げます。引き続いてよろしくお願いいたします。
 最後に、多摩産材の利用促進について伺います。
 森林の循環のためにも、地場産業の振興のためにも、多摩産材の利用促進が必要であります。
 都は、平成十八年度に多摩産材利用推進方針を策定し、各局が多摩産材の利用拡大を図られていることは承知しております。そして、平成二十年度の利用実績は、方針策定前の約一・八倍、約千八百立方メートルになったと聞いております。
 多摩産材の各局での、特に建設局では、以前から率先してさまざまな事業で利用されております。道路、河川、公園など、都民に身近な施設で多摩産材が利用されることで、多くの都民や企業、区市町村に、多摩産材の利用促進につながっていくと思います。
 そこで、建設局における多摩産材の利用について、これまでの取り組みの状況と今後の取り組みについて伺います。

○道家東京都技監 建設局ではこれまで、道路、河川、公園事業におきまして、さまざまな施設に多摩産材を利用しております。具体的には、道路事業における歩道等の安全確保を目的とした横断抑止さく、河川事業における河道の侵食を防止する木工沈床、公園事業における都立公園の思い出ベンチなどでございます。
 平成二十二年度につきましても、あきる野市内の一般都道第二〇一号における土砂流出防護さく、野山北・六道山公園整備における丸太階段、事業用地管理のための木さくなどに多摩産材の利用を予定しております。
 供給体制の整備と品質の安定など課題はございますが、今後とも、多摩産材利用推進方針に基づき、多摩産材の利用に取り組んでまいります。

○林田委員 ありがとうございました。
 以上で終わります。(拍手)

○服部副委員長 林田武委員の発言は終わりました。

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