予算特別委員会速記録第三号

○服部副委員長 石毛しげる委員の発言を許します。
   〔服部副委員長退席、和田副委員長着席〕

○石毛委員 私からは、自殺対策について質問をさせていただきます。
 先般のバンクーバー冬季オリンピックでは、真央ちゃん、長島君などが銀メダルをとり、国じゅうが大喝采を送りました。
 しかし残念なことに、同じ銀メダルでも、日本の自殺率は、OECD、G8の中で第二位という不名誉な銀メダルであります。これはアメリカの二倍、三倍、イギリス、またイタリアの三倍という数字であります。
 昨年の自殺者は、東京において二千九百八十九人、国全体では三万二千七百五十三人で、この数は交通事故の死亡の約六倍に当たります。死にたいやつは死なせておけばいい、これで本当にいいのでしょうか。そんな悲しい現実を、皆さんはどのようにお思いでしょうか。
 二〇〇一年、世界保健機構、WHOのジュネーブ会議では、自殺は防ぐことのできる死であり、予防可能な公衆衛生上の問題であると定義づけられました。つまり、自殺者に対して人命救助の視点が必要であるということであります。
 日本でも、二〇〇〇年に政府が健康日本21の中でこの問題に対する取り組みを開始し、二〇〇六年に自殺対策基本法を制定、二〇〇七年には自殺総合対策大綱を制定、今月、自殺予防月間キャンペーンが行われておりますが、本格的に取り組んでいるものの、功を奏することなく、毎年三万人以上という数でここ十二年間推移しております。先月二月十五日に、清瀬市内で女子中学生が自殺した事件は記憶に新しいところであります。
 自殺は日本経済と大きく連動をしております。第一次のピークは一九五六年のなべ底不況、第二のピークは一九八五年のオイルショックによる不況、第三のピークは三万一千余に達した一九九八年のバブル崩壊不況です。自殺は個人だけの問題にとどまらず、社会問題となっております。
 交通事故の場合は、一九七〇年に史上最高の一万六千人余が亡くなり、そこで政府は交通事故死亡を半減させる目標を掲げ、多くの予算をつけ、交通指導員など民間活力を導入し取り組んだ結果、見事半減させることに成功いたしました。しかし、自殺予防対策については、なぜか自殺者二〇%減の目標しか掲げておりません。
 パネルに行きますが(パネルを示す)きょうは、この指し棒を政調費で買いました。
 私は、おくればせながら、石毛しげると申します。そのしげるは、吉田茂の茂と書きます。その茂を書いて、この方、名字で、シゲという名字なんです。茂さんという方ですね。この方はテレビやラジオに大変よく出ている方ですが、福井県の東尋坊で自殺予防活動ボランティアをしている方であります。平成十六年に、四十二年間の警察生活の最後を福井県三国警察署副署長として終えた方であります。
 なぜ彼はこのボランティアをするということになったのかというと、彼が警察官であったときに東尋坊に自殺に来た夫婦がおりまして、もう一回考え直してということで説得をして帰したそうです。最初、地元の役所に行ったらどうかということで行ったんですが、五百円いただいて追い返されたと。そして三日三晩歩いて、その途中、七カ所の役所に寄って、しかし、すべて同じような五百円前後のお金をもらって追い返されたそうです。さすがにこれはということで、最後に一通、この茂さんに手紙を書いて、新潟の神社の境内で、二人、首をつって亡くなったそうです。これをきっかけに茂さんは、民間でもできる対策はないかと、私費を投じて東尋坊の水際にサポートセンターを設置し、仲間を募って、現在七十一人の会員とともに取り組んでいるわけであります。
 法律上は、警察官職務執行法第三条あるいは生活保護法第十九条などがありますが、刑法二百十八条、保護責任者遺棄罪に至っては、生存に必要な保護をしなかったときは三カ月以上五年以内の懲役に処すると明記されているにもかかわらず、現行の行政は、見ざる、いわざる、聞かざるとばかりに現状に目をそらし、手つかずのままに現在に至っております。
 内閣府自殺対策推進室発行の自殺総合対策大綱のパンフレットには、国民一人一人が自殺対策の主役であると記されています。平成二十八年までに、基準である平成十七年の自殺率を二〇%減少させることを目的とうたっておりますが、全国的には自殺者は減らない深刻な状況が続いております。
 都としてこれまで対策をとってきたものと思いますが、今後は少し視点を変えて対策を講じる必要があろうかと思います。
 そこで、これまで都の自殺対策についてはどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 都は、平成十九年に自殺総合対策東京会議を設置いたしまして、さまざまな機関の参画を得て、普及啓発、早期発見、早期対応、遺族支援などの自殺対策に取り組んでまいりました。
 具体的には、自殺防止東京キャンペーンや相談支援体制充実のためのネットワーク構築、自殺の危険性が高い方を早期に発見し専門機関につなげるゲートキーパーの養成など、幅広い対策を講じているところであります。

○石毛委員 わかりました。
 違うパネルに移ります。自殺の原因でありますけれども、見ていただければ--資料がございますね。まずこちらのブルーと赤が出ておりますが、ブルーは男の方です。赤が女性でありますが、亡くなった数、大体男の人が多いんですね。例えば経済、生活問題になると三百五十人ぐらいが男の人で、女の人が四十六人、もう七分の一。また、これは微妙なのは、男女問題になりますと、これは逆に男が五十一人、女が九十一人ということであります。
 これは最初に申し上げませんでしたけれども、平成二十年度警視庁のデータでございます。
 それから不明だとか、いろいろございますけれども、やっぱり健康問題がしっかり一番多いわけであります。このような状況になっております。
 次に、こちらの方でありますけれども、年齢別になっております。えっと驚くものはないのでありますが、とにもかくにもここの数字、これは東京都ですよ、これもやっぱり警視庁ですが、男性が二千三百二十人、女性が千百七十二人となっています。大体二対一でありますけれども、いろんなデータを見てみますと、男性が七割、女性が三割というようなデータもございます。
 この理由は、男、女の性の差もあろうかもしれませんし、また、実は女性の場合、DVの被害者となった女性は避難場所として女性相談室などがあり、女性の場合は国の保護政策がある程度行き届いているからではないでしょうか。平成十五年度の調査の日本のホームレスの数は二万五千と発表されていましたけれども、避難所がないために、やっぱり八割が男性で占められていたということであります。
 皆さんにはないんですが、私の手元には対前年度自殺増減数というのがございまして、たまたま五県出ておりまして、一位が大阪、そして二番が東京、三番が埼玉、千葉、山口となっておりますが、ここでも二位になっております。これは二十一年九月現在の数値であります。
 さて、もう一個、今度、これは私が写っているわけでありますが、私は先月の二十六日、東尋坊に行ってまいりました。この日の朝に保護された方です。実はこれ、ちょっと見づらいんですが、一番下、こっちの手は普通の手ですが、こちらは包帯巻いています。実は一度目、リストカットをして死ねなくて、二度目、実はこちら、後ろを向いています。神奈川のどこかのAさんとしましょう。この方、表は首にしっかり自殺したときのロープの跡があって、そのときも深く傷が残っておりました。本人は協力するよと、表もいいよといっていたんですが、さすがにそれはと思って、裏側で写真を撮ることが許されました。
 この方も保護されたわけでありますが、東尋坊では何と十年間に二百五十三人の方が死んでおりまして、二週間に一人の割合であります。
 こちらのパネル、これは何ということはないパネルでございますが、この東尋坊には、行かれた方もおられるかもしれませんが、これは一・四キロの海岸線でありますが、この三カ所にしかというか、ここだけしか亡くならないんですね。
 まずこちらが大池というところです。これは本当にもう、見ればおっかないような感じでありますが、ちょっと池に見えるんでしょうね。ここは、これがろうそくのように見えるんでしょうか、ろうそく岩というところですね。下が、ここに松があります。松の下という、松下ではないです、松の下でありますので、松の下という名前で、この三カ所から亡くなるわけです。
 こんなところは別にどうでもいいのかもしれませんが、昔から自殺のメッカといわれているところは、錦ヶ浦、足摺岬、華厳の滝、三原山、高島平の高層ビルなどといわれております。
 アメリカのゴールデンゲートブリッジ、これはやっぱり世界一といわれているんですが、不思議なことに、このゴールデンゲートブリッジは、全く海ばかり見えるところと、それからこっち、まちが見えるところ、当然どっちかに落ちるわけですが、ほとんど全部、まち側から落ちるんですね。そこには、スペイン語だとか中国語とか英語とか、飛びおりる方はこちらでという看板がないんですよ。しかしながら、どういうわけか皆さんそっちにおりるわけですね。つまりそれは、やっぱり哀愁があって、最後はやっぱり人と何かつながりを持ちたい、こういうことだろうと。これはもう、亡くなってもいませんし、私もそれはわかりません、ただそういうふうにいわれています。
 また、多いなと思うのは、駅での飛び込み自殺も多いわけです。国土交通省の調査、二〇〇八年度によりますと、全国の駅で三百八十一人が死亡、そのうち自殺が三百五十五件で、ほぼ毎日どこかの駅で亡くなっている計算になります。
 首都圏では死亡のトップはどこだと思いますか。JRの中央線の新宿駅、これが八人、二番目がやはり中央線の荻窪で七人、三番目は山手線の恵比寿の六件となっております。これは、自殺は、二十四時間以上たった方の数は入っていないんですね。また、私鉄の統計の欄の下を見ますと、どうしても自殺としか思えないようなケースでも、ホームから転落などの分類のケースに入って、事故扱いにされているケースが多々ありそうだと。
 私の友人の方で、電車の運転手をしておりました。ちょうど運転をしていて、最後に目が合ったその瞬間に飛び込んで、その彼は最終的にその鉄道会社をやめました。こういう方がおられるんですが、中には、飛び込まれたときの運転手がパニック症候群になり、その方が自殺に追い込まれるという不幸なケースがあるそうです。
 これも聞いた話ですけれども、自殺者は野球のバッターのように、この電車、あ、違うな、この電車--このように何本も見送るそうです。そのように何本も見送る場面もあれば、もう何時間もいる、あるいは何日もそこに通うという場面の方もおるそうです。
 経済的な観点からも、そして私たちの生活の足の観点からも損失をこうむるということはおわかりだと思います。保険会社も大変で、ここ近年ぐっと伸びて一・五倍になったそうです。ですから、免責が今まで一年だったのが三年に延びたと、こんなことにも波及して影響があるようです。
 そこで、都は自殺予防について取り組んできておりますが、残念ながら自殺者は減っておりません。自殺予防の重要性についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 都におけます自殺者数は、平成十年から二十年までの間、年間二千七百人前後で推移をしております。
 自殺は個人だけの問題ではなく、残された家族にとっても悲痛な出来事であり、また社会全体にとっても大きな損失でございます。
 このため、自殺予防の取り組みに当たりましては、個人に対する働きかけと社会に対する働きかけの両面から総合的に取り組むことが必要であると考えております。

○石毛委員 わかりました。
 先ほど自殺対策のプロの茂さんの話が出ましたけれども、この方はどういう運動をしているのか、これはちょっとヒントになるんじゃないかなと思ってお話ししたいと思います。
 自殺志望の方は、大体、朝か夕方、特に夕方が多いそうであります。海岸の周りにベンチが幾つかあって、そこに座っていると。そこに、横に行って、どこから来たとか、これからどこに行くんだとか、やっぱり長い経験の中、ぴんと来るそうですね、この人はそうだと。そういった方を彼が開いている店に連れていって、おもちをごちそうしたりして心を開かせるところから入るわけですが、やはり何といっても、今の役所は五時になったら、はい、おしまいですよとこんな場面があるわけですが、じっくり話を聞くと。そして、これが大切なんですが、心も体もぼろぼろになっている方と一緒に、必要なところに一緒に行くということなんですね。あそこへ行け、こっちだよという場面ではやはり救われないということだそうであります。
 また、この茂さんは、六部屋、アパートを自分で借りて、そういった方たちを引き取って、そして仕事を一生懸命探すそうですよ。おもしろいなと思ったのは、ホームレスの方たちとは全然違うんだと。どういうことかというと、一万円あればいいというのです、一万円でもいいと。あるいは、もう本当にわずかなお金で十分なんだと、このアパートにしばらくいる方は。それで働いて、もう立ち直っていく方がほとんどなんですが、茂さんはそのような話をしていました。
 ですから、何がいいたいかというと、そういう施設も自分でお金を出してやっているんですね。そのタワーの下にあるお店も、何だかんだ、ガスから何か入れると二十万ぐらいかかるそうです。何だかんだいろいろ本当に私はかかるんだろうなというふうに思っております。
 このように、この方はこの何年間で二百三十七人を保護しました。行政に渡した人以外は、全部これは生きているそうです。私はここにすばらしさがあるんだろうなと、ここに何かヒントがあるんじゃないかなと思って--全員が生きているんですよ。
 この間、二月の七日でしょうか、東京都の職員が来ていたそうですよ、六、七人で。東京都の外郭かもしれません。東京都とかいっていました。私が行ったのは二十六日ですが、今月の最初来ていたよという話でした。ですから、一生懸命勉強しているんだなというふうには私も思うんです。ですけれども、そういったところの情報をしっかりとくみ上げていただきたいなというふうに思います。
 さて、私の手元に警察庁のデータがございまして、これは各警察の所管のところのデータでございます。例えば板橋では、亡くなった方が板橋署は五十三人、それから城東六十五人、亀有五十九、葛飾六十五、江戸川五十四、葛西五十一云々、ばばばっとこう書いてあります。この中に、また細かく亡くなったところの原因が書かれています。例えば水によるものだとか爆発だとかガスだとか、いろいろあります。当然首つりだとか、いろいろありますが、飛びおりもしっかりあるわけですね。ああ、そうかなと思うのは、高島平などはやっぱり飛びおりは十という数字ででかいんです。数が大きいんですね。
 こういうデータがございまして、私は、こういったところをしっかりと分析することによって、どこでどういう形で亡くなっているのかということが見えてくるんじゃないだろうかというふうに思うわけであります。
 都においても、区市町村の単位で自殺のデータを分析することなど、地域の特性を踏まえた取り組みを重点に行っているのではないかと思うんですが、そういった必要をどう考えるのか、お聞かせください。

○安藤福祉保健局長 国におきましては、今後、区市町村別の自殺に関するデータを公表するとしております。
 都といたしましては、このデータも活用して自殺の地域特性を把握し、区市町村とも連携しながら、地域の実情に応じた取り組みを推進していきたいと思っております。

○石毛委員 わかりました。
 さて、人の心を落ちつかせる青色は飛び込み自殺を防ぐといわれております。青色LEDが全国に導入が広がっております。昨年の秋、山手線全二十九の駅のホームに青色LEDを設置いたしました。また、都営地下鉄でも、危険防止ということでホームドアが増設されております。その際に念頭に置く必要があることは、電車の駅にホームドアや青色LEDを設置し、物理的、心理的に飛び込めない状況をつくっても、自殺願望者は場所を変えて自殺してしまう可能性が高いということであります。
 前段でお話ししたように、自殺志願者、志望者に声をかけ、保護し、継続的な支援に取り組む、こういったことが実は非常に効果が高いということであります。東京都において、例えばアパートとか、それから公共の住宅だとか、こういったものを、予算の問題、後でしますが、あるいは自殺するようなところ、多発するような場所を選定して、そこに見回りをする、監視するような人を配置するとか、あるいは電話相談でも上手な方--この間、弁護士会の方とお話ししていて、弁護士会もそういったところではお手伝いいたしますといっていただきました。しかし、おもしろいなと思ったのは、弁護士会が電話をとると、結構、何ていうんでしょうか、きつい言葉、何でそんなの払っちゃったんだみたいなところで、二次災害になる場面もあろうかということで、そういう意味では、法律上は手伝うけれども、それ以外はまずいかななんて弁護士がいっておりましたけれども。
 こういったことも含めて、平成二十二年、啓蒙普及、あるいは早期発見、早期対応、遺族支援など、主な自殺対策費として予算二億七千二百万円を計上しております。こうしたことの使い道に、実は一律じゃなくて、やっぱり濃淡をつけて使うべきだろうというふうに思います。
 そこで、区市町村の働きだけではなく、民間の事業者、またNPO団体とも連携して自殺対策を進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〔石原知事「濃淡つけるってどういうふうにつけるの」と呼ぶ〕
〔石毛委員「濃淡とは、例えば……」と呼ぶ〕

○和田副委員長 石毛委員、ちょっとお待ちください。今、ちょっと不規則発言になっちゃっているから。

○安藤福祉保健局長 都では、さまざまな相談機関や、ご指摘のとおり、NPO団体等の協力を得まして、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを構築し、都民の方がどの窓口を訪ねても、悩みに応じた相談、支援に円滑につなげるような体制を整備しているところであります。
 来年度は新たに自殺相談専用の総合電話窓口を設置するとともに、東京ネットワークに参加しております参画機関と連携して、相談者への積極的な支援を行っていきたいと思っております。
 また、平成十九年度より九月と三月を自殺対策強化月間と定めておりまして、今月は三月でございますが、関係機関と連携した二十四時間特別相談や講演会による普及啓発を展開しているところでありまして、こういったものに対しましてはNPO等の団体等の全面的な協力を得ているところであります。

○和田副委員長 副委員長からお尋ねしますが、石原知事、発言がおありですか。--では、手を挙げていただいて……。
   〔石毛委員発言を求む〕

○石毛委員 ここにある表がございます。これは北海道の--細かく分けた自殺の分布図です。実は、例えばここの福井県、非常に薄いところなんです。ほとんど自殺がない。しかし、一カ所だけ、東尋坊のところだけが真っ赤なんです。何がいいたいかというと、東京の分布をつくって、どこでどういうふうに、例えば区市町村のどこが多いのかといったところに配分を多くしたらどうかという、私はそういった意味でございます。
 自殺対策の行政では、今、平均的な一日の亡くなる方は九十人以上になります。つまり、時間で換算いたしますと、私四十五分なんですが、この質問が終わるころには三人の方が亡くなっているということの、計算上ですよ、そのようになっております。
 先月、中央線の高円寺で、ホームから転落した女性を助けた青年に消防署とJR東日本で感謝状を贈っていたニュースがありますね。しかし、連日のように自殺を救う運動をしている茂さんたちなどが人命救助の表彰を受けたということは聞いておりません。こうした人たちにも光が当たればうれしいなというふうに思います。
 また、私の経験上、残された遺族の方は、全員といっていいほど、自殺した本人のサインを見逃したという自責の念に一生苦しみます。全員です、全員です。
 古いデータでありますが、一九九七年二月二日、日経新聞に、生まれなければよかったと思うことがあるかという質問に、よくある、時々あると答えた小学三年生が三四%、五年生が三五%、三年生が三八%という記事が載っていました。実に三人に一人が自殺予備軍といっても過言ではありません。
 神父で、アルフォンス・デーケンさん、元上智大学の名誉教授でありますが、生きるということは、死ぬことを理解すること、子どものころから命の大切さを学ぶことが重要であると説いております。目の前にある現実の自殺対策と、長期の視点で将来の予備軍ともなる子どもたちへの対策が求められております。
 私は、東尋坊まで足を運び、茂さんに会って、第二の人生を何と有意義な生き方をしているのかなと深く感銘を受けて帰ってまいりました。茂さんは個人で運動し、多くの人を救っております。福井の田舎でこういったことができて、東京でできないはずはありません。
 知事はいつも、都民の生命と財産を守る、その先頭に立っておられます。ぜひ有効な自殺対策を早急に確立していただけるものと確信しております。もし一言いただければお願いしたいと思います。

○石原知事 物書きとしては非常に印象に残る大事な質問といいましょうか、主張をいただきました。しかし、東京でかなりの数の方が自殺されるのを、この広範囲な、煩雑なまちでどうやって有効に防ぐかというのは、東尋坊のように決まった拠点と違って非常に難しいと思いますが、少し積極的に考えてみたいと思います。

○石毛委員 ありがとうございます。
 最後に、自殺で命を落とされた方々に哀悼の意を表し、心より冥福をお祈り申し上げます。
 自殺対策については質問を終わらせていただきます。
 次に、高齢化、また核家族の進展などで社会経済情勢が変化する中、都民の墓地に対する需要はますます高くなっております。都民が安心して利用できる墓地として、都立霊園の果たす役割は大きいものがあります。
 都はこれまで、限られた土地を有効利用し、多くの遺骨を埋葬できる集合型の合葬式や立体型の墓地を供給し、都民の支持を得てきております。このように、都民ニーズをしっかり受けとめ、都民が求める墓地を供給し、創意工夫することはこれからも必要であります。
 そこで、まず、都立霊園における平成二十一年度の申込状況についてお伺いいたします。

○道家東京都技監 現在、都立霊園は八カ所ございます。建設局が管理しております。
 平成二十一年度の都立霊園の申込状況でございますが、全体で約一万四千件ありまして、倍率は五・一倍でございます。そのうち墓地の種類別で申し上げますと、一般墓地や芝生墓地といった平面墓地につきましては約七千九百件の申し込みがございまして、倍率は十二・一倍となっております。また、合葬式墓地や立体式墓地といった集合墓地につきましては約六千二百件の申し込みがございまして、倍率は二・九倍となっております。

○石毛委員 一般墓地や芝生墓地といった平面墓地の倍率が十二・一倍と高倍率になっており、少しでも供給をふやすことが必要だと思います。これはたしか七月に申し込みがあって、八月に抽選と。年に一回なんですね。つまり、十二・一倍ということは、やっと十二回やって、当たるかなと、こういう状況であります。大変高いということですね。
 現在、都が青山霊園と谷中霊園で再生を進め、一般墓地も供給していることは意義のあることであります。青山霊園、谷中霊園の再生事業における墓地供給の実績についてお伺いいたします。

○道家東京都技監 区部の霊園の再生事業は、霊園と公園の共存する空間としての再生を目指しまして、墓所の返還や移転の促進によりまとまった空地を生み出し、新たな墓所を供給するとともに、都民が利用できる広場などを整備するものであります。
 再生事業におきまして、青山霊園では平成十五年度から二十一年度までの七年間で、一般墓地の形式で三百四十カ所の墓所を、また、立体式墓地の形式で三百八カ所の墓所を供給してまいりました。
 また、谷中霊園では、平成十九年度から二十一年度までの三年間で、一般墓地の形式で百八十カ所の墓所を供給してまいりました。

○石毛委員 わかりました。
 再生事業により一般墓地を五百二十カ所供給したと。これは大変評価ができると思います。今後も新たな墓地供給を継続するために、墓地の返還や移転、無縁墓所の整理を促進することが必要かと思います。多分、何年間お金を払っていないとか、どういう--新聞を出すとかなんとかをするとか、いろいろあります。こういったところを含めてどのくらい時間がかかるのか、お知らせください。

○道家東京都技監 都民共有の財産であります霊園におきまして、墓所を公平かつ効率的に供給するため、無縁となりました墓所の整理を進めることは重要であると考えております。
 都立霊園におきましては、条例に基づきまして、使用者が管理料を五年間納めない、そういう墓所を無縁墓所の整理対象としております。その整理に当たりましては、法律に基づきまして、縁故者の申し出を促す立て札を、現地、墓所のところに立てまして、現地に設置いたしまして、さらに官報に登載するとともに、使用者の生死や承継資格のある縁故者の調査などを行います。
 こういうことによりまして承継者が見つからない場合には、都が管理する合葬施設に遺骨をお移しして墓所の区画をあけ、更地化するまでにおおよそ三年を要することになっております。
 今後とも、新たな墓所供給につながるように無縁墓所整理を計画的に進めてまいります。

○石毛委員 大体わかりました。
 多分、いろいろな時間を考えると、八年ぐらいかかるかと思います。結構時間がかかるんですよね。ですから、ある意味では早く回転することが、私たちは、都民は望んでいるところだと思いますので、その辺を迅速にできるようにしていただきたいなというふうに思います。一般墓地の供給を少しでもふやしていただきたい。
 一つの考え方、方法が、方法というんでしょうか、考え方がございまして、私たち、和墓、洋墓といういい方をするんですね。和風の墓、昔からのだんだんだんだんと、こういう。そして、洋墓というのは芝生にあったり、ちょっと近代的な。これを和墓、洋墓というふうに呼んでおります。
 和墓の場合は、何々家先祖代々の墓とか、書いてあるわけですね。一方、洋墓については、慈悲だとか、夢だとか、愛だとか、こんなような形で書かれているんです。名前を何年にだれだれ死んだなんていうと、何々家の代々の墓というのは、例えばヨシダさんならば、ヨシダタロウ、ヨシダハナコと、書いてあるわけですよ。しかし、洋墓の場合は、いろいろな人の名前が書けるんですね。これは墓の供給を、ある意味では助けることになろうかというふうに思います。
 例えばこういうケースが大変多いんですね。例えばヤマダさんちの長男、スズキさんちの長女が結婚します。どちらも一人っ子だとします。そうすると、一人っ子同士が結婚しますと、二つの家族のお墓を見なければならないというような場面が最近は多いんです。でありますから、こういったところは、ある意味ではこれからますます出てくるわけですね。例えば洋墓だと、ある意味ではその二つの家族も、この横のところに記入ができるということで、ある程度そういったところも網羅されるというのが最近の洋墓の特徴であります。
 でありますから、こういったことも墓の場面では考えられていいのではないかなというふうに思います。
 さて、多様化する都民のニーズにこたえ、多様な形式の墓地の供給が大切であります。死後は自然に帰りたいという思いにこたえて、都は樹林墓地、また、樹木墓地の検討を進めていると聞いておりますが、樹木葬の歴史はまだ日本では浅く、発祥地は岩手県一関、例えば海外ではイギリス、ドイツ、アメリカ、お隣の韓国、こんなところが知られているところでありますが、限られた土地を有効に利用する創意工夫が必要かと思います。
 例えば樹木なども、私は、甲州街道の桜のところをちょうどオリンピックのときに、ボーイスカウトで交通整理を小学校五年のときにやっておりました。沿道に円谷とか、走っているところにこうやっていたところでありますが、そこの桜が、今は根っこが上がってきて、ガスだとか電気だとか、そういったところを傷めているというような話を聞きます。でありますから、こういった樹木の選定も、されているだろうけれども、こういったことも必要かなというふうに思うわけであります。
 また、お骨を入れる部屋というんですかね、あれを唐櫃といいますけれども、そんな唐櫃をつくるのかどうかとかいったことも含めて、樹林墓地、また樹木墓地を早期に実現してほしいと思いますが、その取り組みについてお伺いいたします。

○道家東京都技監 私ども、先ほど冒頭に申し上げたように、八カ所の霊園を管理しております。その管理については非常に一生懸命、意を尽くしているところでございますが、今お尋ねにありました樹林墓地は、緑豊かな樹林の下に設けられました納骨施設に多くの遺骨を一緒に埋蔵するタイプであります。また、もう一つの樹木墓地は、シンボルとなる樹木の周辺の地中に遺骨を個別に埋蔵するタイプの墓地でありまして、平成二十年二月の東京都公園審議会答申を受けまして、導入に向けた検討を行っているところでございます。
 こうした新たな形式の墓地につきまして、平成二十年度の都立霊園の応募者五百名に対しまして意識調査を行いました。それの結果でございますが、整備については、肯定的な人が九八%いらっしゃいました。また、応募することについては、場所や価格などの条件次第という人を含めますと、八四%の人が希望しており、多くの方々が樹林墓地や樹木墓地の整備に関心を持ち、期待しているという結果が得られたところでございます。
 現在はその規模や構造について検討を進めております。
 今後も、都民が期待を寄せている樹林墓地や樹木墓地の実現に向けて取り組んでまいります。

○石毛委員 多くの方が期待しているということであります。非常に有意義なことでありますので、積極的に早期実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 順番が狂ってしまいましたが、例の監察医については、現在警視庁において死因研究制度のあり方について検討が行われていることもあり、その動向を踏まえた上で改めて質疑をさせていただきたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○和田副委員長 石毛しげる委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

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