予算特別委員会速記録第四号

○三宅副委員長 大西由紀子委員の発言を許します。

○大西委員 初めに、知事に伺います。
 来年度予算は、急激な景気の悪化で、都民の置かれた危機的な状況がクローズアップされた中での編成となりました。人が安心して生活する基盤が揺らいでいます。子どもを産み育てる安心、年をとっても地域に暮らせる安心、そして何よりも働き続けられる安心が失われています。人が働いて収入を得るという生活の基本すらできない人がふえています。
 そこで、都も矢継ぎ早に緊急対策を打っていますが、今回の危機はこれまでにないほど深いものであり、現実には、派遣切り、そして、その次には、先ほど出ました育休切り、これは、育児休暇の後出てみたら、もうその席がなかったということですが、そういう言葉が飛び交うほど、対症療法では間に合わないほど事態は深刻です。今回の予算では、危機を本質的に克服していくことが大切だと考えます。
 そこでまず、どのような考えで予算を編成されたのか伺います。
 知事、お願いします。
   〔三宅副委員長退席、委員長着席〕

○石原知事 今日のこの未曽有の危機を乗り越えるためには、眼前の事態への対処にとどまることなく、東京の活力そのものを本質的に高めていくことも重要であると思います。
 グリーンスパンを批判したクルーグマンという有名な経済学者がおられますが、彼にいわせると、本当にこのリセッションがいつリカバーされるか、なかなか予想がつかない。
 それにしても、アメリカは、かつての失われた十年の日本の対処の遅さを参考にしているようですけれども、そういう轍を踏みながら、日本の政府の今の対応というのは果断性に欠けて、国会のルーチン化した手続もあるんでしょうけれども、足踏みしている状況で、国民全体は非常に不安と焦燥にかられていると思います。
 東京は、幸い、皆さんのご協力で財政再建してまいりまして、まだ余裕もございますが、これを一遍に使うことも案の一つでしょうけれども、しかし、やっぱりこれは余力として蓄えながら、かつ都民の不安、不満というものを抑制するために、いろいろ腐心をいたしました。
 今回の予算は、そうした認識のもとに、危機克服への新たな活力を生み出す先駆的な取り組みや、東京の将来を見据えた中長期的な取り組みに力点を置いて編成をいたしました。
 東京は、危機的状況にあるときこそ、日本の牽引役としての使命を果たしていかなければならないと思っています。この予算は、その原動力になるものと確信しております。

○大西委員 今の答弁でも、本当に苦しい中、短期的な視点にとどまらず、中長期的な視点から将来の東京をつくっていくという予算のお考えだということはわかりました。
 しかし、今後は、少子高齢化の進展による社会保障関係費の増大が見込まれるほか、過去に整備した社会資本ストックの更新など、多くの財政需要が待ち構えています。
 一方で、経済の見通しは悲観的なものが多く、都政が果たす役割はますます重要になります。これからの都政には、限られた財源で最大限の都民サービスが期待されており、むだのない都政を目指して事業を洗い直す必要があります。その点で、事務事業評価の役割は重要となります。必要な事業を伸ばし、問題のある事業は見直すことにより、都全体のレベルアップを図ることができます。
 来年度予算においても、事務事業評価が大幅に拡充されていますが、その基本的な考えについて伺います。

○村山財務局長 今後想定される激しい経済変動の中で、将来にわたって都政の役割を果たしていくためには、一つ一つの事業がその目的に対して有効に機能しているのかどうか、それを原点に立ち返って常に点検し、より充実したものへと進化させていくことが従来にも増して重要となり、その意味で、事務事業評価の役割は一層高まっていると考えております。
 こうした認識のもとで、二十一年度予算編成においても事務事業評価を一層拡充いたしまして、事業目標の達成度や費用対効果をつぶさに分析して、最少のコストで施策の目的を達成できるように、効果的で効率的な施策の構築につなげる取り組みを強化したつもりでございます。
 今後、行政サービスの確実かつ継続的な実施を支えられるように、今までやってきた取り組みをさらに強化いたしまして、強靱な財政体質を確立できるように努力してまいります。

○大西委員 次に、都有地売却について伺います。
 昨年末、都が一般競争入札を実施した八王子市の大規模都有地は、都が購入してから三十八年が経過し、周辺道路の利便性は格段によくなったにもかかわらず、都が設定した最低売却価格は、三十八年前と余り差のない二十五億円余だったことや、そして何よりも不思議なのは、資本金四十五万円の会社が二十九億円で落札するなど、通常の市民感覚では全く理解しにくいものです。
 また、この場所については、平成十七年ごろから八王子市ではいろいろ議論があり、地元の商工会議所は、中心市街地の活性化事業と郊外型大型店の出店は両立しないとの見解を表明しています。八王子市中心市街地等活性化検討委員会でも、市全体の活性化に寄与し、中心市街地地区等の活性化を補完する機能を提言しています。
 今回の売却により、将来、商業施設ができることが予想されますが、近隣地域の事例では、大型商業施設ができて、そしてそれによって既存の商業地域が壊滅的状態になったり、また逆に、大型店が不振で、開業後数年で撤退する事例などもあります。八王子市民が不安に思うのも当然だと思います。
 そこで、この都有地の売却についてどのような議論がなされ、売却に至ったのか、経過を伺います。

○村山財務局長 本用地につきましては、この間、都政にとって最も有効な活用を図ろうという観点に立ちまして、地元の八王子市とも十分協議をしながら検討を進めてまいりました。
 八王子市においても、お話の地元商工会議所の代表者を含む関係者や、あるいは学識経験者などで構成する八王子市中心市街地等活性化検討委員会を設置いたしまして、総合的に議論を進めてきたわけでございます。
 その結果、中心市街地地区への影響も考慮した上で、この用地を、広域集客施設を中心とする複合的な機能の集積を図るための利用に供するということが適当であるという合意に達しまして、市はこれに基づいて、当地区の土地活用の方針を決定し、都に対し、昨年七月、早期売却の要望が出されたものでございます。
 これを踏まえまして、東京都といたしましては、市の要望内容を検討し、当該地域に係る都の整備方針にも沿うものであると判断し、売却することを決定いたしました。
 売却に際しましては、用地活用に当たって地元市の方針を確認することを求めるなど、必要な入札参加条件を付し、その上で、これらの条件に合致する者で入札を実施し、落札者を決定したわけでございます。
 今後、落札者が事業者として当地区の開発を進めるに当たりましては、入札参加条件や法令等に基づきまして、八王子市との間で、用途地域や地区内にある市の所有地の取り扱いなどについて密接に連絡をとって協議、調整を行うことが必要となります。
 なお、最低売却価格につきましては、複数の不動産鑑定士の鑑定評価をもとにして、不動産価格に精通した学識経験者等により構成される財産価格審議会の評定を経て決定したものであり、適正であると考えております。

○大西委員 資本金四十五万というのはすぐできるとしても、それが二十九億円の買い物ができるということは、何度聞いてもなかなか納得できないことです。
 都は、財政が厳しい中、都庁の大規模補修等に充てるため、都有地の売却を大きな財源と考えているようですが、都有地は都民全体の財産です。やむを得ず売却する場合でも、大規模な都有地については、長期的かつ広域的視野に立って、環境、福祉、産業振興などの都政の重要課題に寄与するように活用されるべきであり、その是非を論じる場が必要ではないかと思うのですが、見解を伺います。

○村山財務局長 今、ご発言の中で、都庁舎の設備更新のためにやむを得ず都有地を売却する場合でも、というようなご発言がありましたので、それについて一言だけいわせていただきますと、確かに、都庁舎の設備更新の財源として、都有財産の利活用による収入を予定しているということは事実でございますが、各年度のこれに要する必要額は、それほど無理をしなくても確保できる水準だというふうに考えておりますので、お話のように、財源捻出のためにやむを得ず都有地を売却するといったような事態にはならないと考えております。
 その上ででございますが、都有地の利活用に当たりましては、都は従来から、都民から負託された貴重な財産である都有地を、経済価値はもとより、施策面でも都政にとって最も有効に活用できますように、全庁的に十分な検討を行い、利活用の方法を決定してきております。
 最近の例でいえば、条例以上の緑化を条件とした都有地の貸し付けや、民間活力を生かした高齢者施設整備への活用、あるいはベンチャー企業の創業支援など、各局と連携いたしまして、都の重要施策に貢献する都有地利活用の取り組みを実施してきております。
 利活用に際しましては、先ほどの事例でも申し上げましたように、地元の意向などについても十分な配慮を行っております。
 今後とも、こうした立場に立ちまして、都有地の有効活用に努めてまいります。

○大西委員 一般質問のときにも、その部分は聞いておりますけれども、やはり都民の財産ということで、ぜひその点、考えていただきたいと思います。
 次に、雇用対策について伺います。
 さまざまな議論を呼び、国の定額給付金の支給がいよいよ始まりました。本当にこの給付金が必要な人々には、住民票がないという理由で給付金が届かないということでは、税金のばらまきといわれても仕方がありません。
 都は、急速な雇用情勢の悪化に対応するため、当面の雇用確保策として緊急に実施するとしている、五十万人分の公的雇用を生み出す緊急雇用対策を打ち出しましたが、真に仕事を求める人々の雇用対策につながらなければ、この事業もばらまきになりかねません。
 また、二十三区では、派遣切りや雇いどめで職を失った人たちの緊急雇用対策として、臨時職員の直接雇用を打ち出しましたが、雇用期間が半年以内の臨時職員の募集は、失業者には人気がありませんでした。定員割れが目立っています。これまでの景気対策のような、急場しのぎの短期的で単純なアルバイトを用意する自治体側と、安定した仕事を求める求職者の間でミスマッチが生じているのです。東京都の緊急対策でも同様のことが考えられますが、見解を伺います。

○佐藤産業労働局長 雇用創出事業につきましては、まず、当面の雇用の場の確保、これと、将来にわたる安定的な雇用機会の創出の両面から実施をしていく必要があると、かように考えております。
 延べ三十万人の雇用創出を目標といたします区市町村補助事業につきましては、急速な雇用情勢の悪化に対応するため、当面の雇用確保策として緊急に実施するものでございます。また、地域の課題にもこたえられるよう、幅広い分野の事業を支援対象としております。
 また、安定した雇用機会の創出に向けましては、ふるさと雇用再生特別基金事業を実施いたしまして、民間企業等に今後の発展や需要が見込まれる事業を委託し、失業者等を採用の上、正社員につなげてまいります。

○大西委員 企業の派遣切りは、この三月の年度末でさらに増大するといわれています。
 今年度は、道路、河川、公園などの維持管理事業を実施することで、都は二十万人分の雇用を創出、さらに区市町村と連携して、社会奉仕活動や放置自転車対策などを実施し、三十万人分の雇用を目標としていますが、三十万人分の雇用創出はどのように検証し、そしてその効果を把握していくのか、伺います。

○佐藤産業労働局長 区市町村と連携をいたします雇用創出事業につきましては、あらかじめ福祉、環境、地域振興などの分野を定めまして、事業例も示した上で、区市町村ごとに雇用創出目標を設定しておりまして、既に区市町村では、こうした分野のさまざまな事業の実施に向け準備に着手をしております。
 事業実施後は、区市町村に対しまして、事業費等の実績に加えまして、雇用創出目標に対する達成率について報告を求めることとしております。
 また、委託先企業等にも、新たに雇用した労働者数の報告を義務づけております。
 これらによりまして、延べ三十万人の雇用創出に向けた本事業の効果を把握してまいります。

○大西委員 知事の肝いりで昨年スタートしました生活安定化総合対策事業について、生活者ネットワークの質問に対し、知事は、現在、我が国では、額に汗して懸命に働いているにもかかわらず低所得の状況から抜け出せない人々や、就職氷河期を経験した世代を中心として、職にも恵まれず、住居の確保もままならない人々が存在している、今回のプログラムによって、こうした方々がみずから生活安定への道を切り開き、社会を支える力となることにより、より豊かで活力ある東京を実現していくと答弁なさっています。
 まさに、今こそ、このような支援が求められるのですが、区市町村の相談窓口の申請状況について伺います。

○安藤福祉保健局長 昨年八月から、各区市町村において順次相談窓口を開設したところでありますが、平成二十一年一月末時点で一万五千三百八十六件の相談があり、窓口来所者数は八千二百八十一人となっております。
 この相談窓口では、生活相談や職業訓練等の紹介のほか、学習塾受講料や大学受験料等の貸し付けの紹介を行っております。
 このうち、雇用対策に関連する支援について申し上げますと、職業訓練を受講して正規雇用を目指す就職チャレンジ支援事業に登録された方は千三百三十一人でございます。

○大西委員 この事業には多くの期待が寄せられておりますが、窓口に相談に行きながら、申請につながらなかったケースが非常に多いと聞いているんですが、その主な理由について伺います。

○安藤福祉保健局長 区市町村からの聞き取りによりますと、対象要件に該当しない理由としては、所得要件を超える所得があることが多かったところであります。
 都は、区市町村の要望を踏まえ、真に支援が必要な人が利用しやすい仕組みとするため、昨年十二月に、所得要件や土地建物の所有にかかわる要件などの緩和を行いました。
 その結果、該当とならない方は大幅に減少したところであります。

○大西委員 支援事業がもっともっと利用しやすい条件に緩和されることが必要ですし、それを大いに評価したいと思います。
 また、不足する介護の職場への就職を誘導するために、一時住居の提供、介護の講座を無料にする、そして生活資金の無利子貸付という再就職支援には期待するところですが、介護の現場では、給与が全産業平均の六割程度という待遇の悪さが離職率を高くしています。
 この問題、いろんな党から、さっきから話題にもなっておりますが、やはりこの介護の問題は、何といっても生活自体が成り立たなければ、長期的な雇用対策につながりません。そしてそれは、つながらなければ、結果的に税金のむだ遣いとなってしまいます。そして、介護はボランティアだけでできないわけですから、生活ができる介護報酬にすること、これが何よりも重要だと思っております。
 当事者のニーズや問題の実態を十分に把握して、個々の求める支援こそ、今求められております。三月九日から離職者サポート案内ダイヤルが開始されておりますが、何よりも離職者等の生活の安定を第一に取り組んでいただきたいことを要望しておきます。
 子どもの貧困こそ、社会全体で解決しなければならない問題です。
 生活者ネットワークは、授業料が払えない生徒へ、卒業までの授業料免除や減額、減免の枠を広げ、生活の苦しい家庭の子どもが退学することなく、卒業まで支援していくことを求めてきました。
 今年度の都立高校の受検者は、昨年度より千五百人近くも多くなっているにもかかわらず、募集人員は、昨年より多少ふえてはいますが、約七百人もの子どもたちが第二次募集枠からもこぼれ落ちています。都立高校を進学先とせざるを得ない経済状況の子どもにとって、ことしの受検は、そういう意味で本当に厳しいものとなっています。
 今後、さらに経済の回復が見込めない中、入学した生徒が経済的な理由によりやめざるを得ない事態が生じた場合、続けられるよう、授業料の減額または免除の取り組みが今こそ必要だと考えますが、見解を伺います。

○大原教育長 都教育委員会におきましては、経済的に厳しい状況にある家庭の就学機会の確保を図りますために、従来から授業料を減額または免除する制度を設けておりまして、合格発表時には、個々に説明をし、入学後の保護者会等でも説明を行っております。
 また、減免申請につきましては、年度途中においても受け付けを行うなど、柔軟な対応をとっております。
 さらに、都立高校授業料の納入につきましては、家計の状況を配慮し、前期、後期の年二回払いのほか、年十回の分割払いも可能としております。
 都教育委員会は、このたびの急激な経済の停滞を受けまして、昨年十一月以降繰り返し、これらの制度の周知徹底を図ってまいったところでございます。
 今後とも、就学機会を確保できるよう、授業料減免制度の周知徹底を図ってまいります。

○大西委員 次に、まちづくりについて伺います。
 福祉のまちづくりについては、このたび、基本理念として、ユニバーサルデザインの考え方を明確に位置づけ、ハード、ソフト両面から推進していくとしています。バリアフリーはようやく定着してきましたが、新しいユニバーサルデザインの理念を普及啓発し、実体化していくための取り組みは大変重要です。
 具体的な問題として、生活者ネットワークはずっとトイレにこだわってまいりました。地下鉄駅でのトイレ改善や、都庁内に、おむつかえができるトイレの設置などを求めてきて、実現しております。
 しかし、ユニバーサルデザインという視点で見直すと、まだまだ配慮が必要なトイレがいっぱいあります。例えば、だれでもトイレといいながら、入り口が女性のトイレの中だったり、車いすで入ろうとしたら、入り切らないうちにドアが閉まってしまったり、その事例は枚挙にいとまがありませんが、利用者の視点で改善されるよう求めておきます。
 高齢者、障害者、子育て世代などにとって、外出時に利用できるトイレが身近に見当たらないことは、移動する際の大きな制約要因となりかねません。
 都として、生活者の視点に立った、使いやすいトイレを整備することが必要と考えますが、所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 今るるお話をいただいたような、使いにくいトイレを改善するために、平成十八年に、都では、車いす使用者、高齢者、妊婦、乳幼児を連れた方など、すべての人にとって使いやすいだれでもトイレの計画的かつ適正な配置などを示した整備の指針を策定いたしました。
 区市町村が、この指針に基づきだれでもトイレを整備する場合、必要な支援をしておりまして、今後とも着実に取り組んでいきたいと思います。

○大西委員 新築、改修時については、福祉のまちづくり条例により、施設整備基準への適合が求められていますが、既存の建築物は対象外であり、なかなかバリアフリー化が進まず、そのため面的整備が整いません。既存建築物の改善を促進するための支援策はどのようになっているのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 都は、駅や商店街などの一定の区域をハード、ソフト両面から整備する区市町村に対し、ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり事業により支援をしております。
 また、来年度創設いたします地域福祉推進区市町村包括補助事業におきましても、例えば、出入り口の段差解消など、区市町村が地域の実情に応じて実施する個別の整備について支援をしてまいります。
 いずれの事業におきましても、既存建築物のバリアフリー化について対象としております。

○大西委員 続きまして、環境共生型まちづくりに移りたいと思います。
 都は「十年後の東京」で、温室効果ガス削減目標を、二〇二〇年までに、二〇〇〇年比で二五%削減という中期目標を示しました。温暖化防止という観点から必要性が高く、かつ国に先駆けて目標を示したという点で、意欲的なものとして評価しております。
 去る二月に、温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度がパブリックコメントに付されましたが、約百件ほどの意見が出され、現在、内容を検討中とのことで、非常に期待しておりますし、多くの事業者が参加して削減効果が上がることをさらに期待しています。
 そこで、都市整備局に伺いたいんですが、都市整備局では昨年十二月に、都市開発諸制度の活用方針及び各制度の基準・要綱等を改定し、ことし二月から施行しました。都市開発諸制度の適用に際して環境負荷の低減に係る評価を導入するということですが、この改正によってどのような効果を期待しているのか、伺います。

○只腰都市整備局長 都市づくりを通じまして東京を低炭素型の都市に再構築していくためには、業務機能等が集積する都心部などにおきまして、都市開発の機会をとらえて、最高水準の省エネ技術の導入を誘導する必要がございます。
 このため、本年二月より、都の許認可が必要な大規模建築物等を対象にしまして、CO2の排出量削減につながる環境性能の確保を義務づけることといたしました。
 これによりまして、省エネ法に定める基準と比較しまして、断熱性では一五%以上、設備のエネルギー効率は二五%以上向上いたします。
 こうした取り組みによりまして、トップレベルの環境性能を備えた良質な建築ストックの形成を促進し、世界の範となる環境先進都市の実現を推進してまいります。

○大西委員 千代田区では、神田駿河台東部地区及び飯田橋駅西口地区の地区計画で、全国に先駆けて、二酸化炭素の排出原単位を一定値以下とする地区整備計画を決定した上、前者では排出総量を増加しない旨決定しております。
 実は、一九八〇年に制度が創設された地区計画では、二酸化炭素排出規制までは想定していなかったため、千代田区の地区計画では、地区計画上想定されていない事項と注記されていて、建築制限条例の対象ではありません。しかし、地区においても二酸化炭素排出削減の取り組みを行うことはとても重要です。主要な業務地区でこうした地区計画ができていくことは、大規模事業所での削減義務化と並んで、増加する業務部門の排出量を抑える上で非常に有効な政策と思っております。
 都では、「十年後の東京」実行プログラムの中で、区市町村支援制度を創設して、区市町村と連携するとしていますが、まさにこうしたいろんな意味での基礎自治体の先駆的、意欲的な取り組みと、物心両面で連携することは重要だと思うのですが、その辺、どんなふうにお考えでしょうか。

○只腰都市整備局長 各区市におきましても、低炭素型の都市の構築に向けまして、さまざまな努力がされております。私どもも、地区計画あるいは都市計画の立案に当たりまして、そういうところと連携をいたしまして、先ほど申し上げましたように、世界の範となる環境先進都市の実現を目指してまいります。

○大西委員 二〇〇八年の地球温暖化防止対策法の改正で、自治体において温室効果ガス削減の新実行計画が作成されるなど、地域における対策が強化されています。都の政策は、これらの動きに先んじるものとして評価していますが、それだけに、単発的、地区的な対策ではなく、都全体でしっかりと取り組んでいただくことを要望しておきます。
 最後に、知事にちょっと伺いたいんですけれども、ユニバーサルとかバリアフリーのまちづくりが今進められております。そういう意味では、本当にまち全体のバリアフリー化というものは、ある意味、東京のまちは非常に進んでいるなということで、私は評価しているんです。
 というのは、昨年まで私、ステッキをついて、足を痛めておりました。それで、まちに出ると、同じような人たちがこんなにまちに出ているんだということを実感したんですね。ということは、それだけ東京のまちは、駅を中心にしてバリアフリー化というものが進んでいるということが一方でいえるんだと思います。
 同じように外国に行ってみますと、やはり東京に帰ってきて、駅を中心としたユニバーサルデザイン化というものは、非常に面的な面でも進んでいっております。
 そういう意味で、やはり何よりもその基本となるのは、障害者基本条例を、やっぱり東京都で一歩進んで制定していくことが重要だと考えるんですが、それ、進んでいってもらえないかということを最後にお聞きしたいと思います。

○石原知事 私も世界じゅうのまちを歩いたわけではございませんから、相対的に、東京がバリアフリーということが進んでいるか進んでいないかというのは、確信を持っていえませんけど、そういう点ではまだまだという気がいたしますね。
 ですから、今までやってきた努力を評価していただけるなら、それを踏まえて、やっぱり、その……(大西委員「問題はソフト面です」と呼ぶ)ソフトね。(大西委員「そういう意味では、やっぱりハード」と呼ぶ)

○服部委員長 ちょっとやりとりはしないでください。

○石原知事 それはやっぱり教育、啓蒙の問題だと思います。その点でも努力していきたいと思います。

○大西委員 ぜひ前向きでお願いいたします。
 以上です。(拍手)

○服部委員長 大西由紀子委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。

○服部委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。
 部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってこれにかえることとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。
 各常任委員長に申し上げます。
 部局別質疑に関する調査報告書は、三月十九日の午後五時までに提出されますようお願いいたします。
 なお、来る三月二十四日については、締めくくり総括質疑を行っていただきます。
 また、三月二十五日に予定しております討論などの委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二十九分散会

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