予算特別委員会速記録第四号

○増子副委員長 松葉多美子委員の発言を許します。

○松葉委員 初めに、文化芸術振興について伺います。
 二十世紀最高峰のバイオリニストであるユーディー・メニューイン氏は、音楽はどんなに大変な時代でも何とか私たちを力づけようと、繰り返し繰り返し励ましの言葉を投げかけてくれる、深い根底から発した音楽であればなおさらであると語っておられます。希望や夢を持つ原動力となり得るものは何か。それは文化芸術であると私は思います。
 今から七十六年前の一九三三年、現在と同じような不況の中、就任したアメリカのルーズベルト大統領が行ったニューディール政策は、テネシー渓谷の開発など土木事業は有名ですが、第二次ニューディール政策としてフェデラル・ワンと呼ばれる大がかりな芸術振興策が実施もされております。
 例えば美術プロジェクトでは、一万点を超える絵画と一万八千点の彫刻が制作されました。音楽プロジェクトでは、毎週五千回もの公演が行われ、聴衆は三百万人にも上ったといわれております。演劇プロジェクトでは、四年間で新作千二百本をも世に出しました。こうした文化芸術の振興によって、第二次大戦後、世界の芸術の中心がフランスのパリからアメリカへと移り、ブロードウエーミュージカルやハリウッド映画といった、今日のアメリカの文化芸術産業の繁栄をもたらしました。その礎を築いたのが、実は大不況期だったといわれております。
 ことしは、私の大好きなピアノの原型が発明されてから三百年の佳節にも当たっております。まさに今こそ東京都として、文化芸術振興に力を入れるべき大きなチャンスのときだと思っております。都では、今年度から文化の創造発信と、文化芸術を通じた子どもの育成を目的とした東京文化発信プロジェクトを始めています。
 十月一日、国際音楽の日は、冒頭申し上げましたユーディー・メニューイン氏が、国際音楽評議会の会長であった三十二年前、戦争が絶えない世界を憂いて、音楽で世界の人々の心と心をつなぐ日として設けられた日でもあります。その意味からも、都として、世界を視野に入れた音楽の発信、交流事業を強化することが重要であります。そのため、十月一日を中心とした集中的な開催や内容のさらなる充実を図るべきと考えますが、今年度の実績とあわせて、まずお伺いいたします。
   〔増子副委員長退席、石川副委員長着席〕

○秋山生活文化スポーツ局長 今年度は、東京文化発信プロジェクトの一環といたしまして、音楽イベントでございます東京ミュージックマラソンを六月と十月にそれぞれ期間を設けて実施をいたしました。この二回のイベントにおきましては、東京文化会館を初め、都内延べ五十カ所以上の会場で、ジャンルを超えたプロやアマチュアによるライブイベントを開催いたしまして、多くの方々に音楽に触れていただくことができました。
 来年度は、イベントとしての発信力をより高めていくため、十月の国際音楽の日に開催時期を集中させて、事業を展開していく計画でございます。
 また、国際音楽の日の趣旨を踏まえまして、音楽を通じた国際交流がより一層図られますよう、海外からの音楽家の演奏会をふやすなど内容の充実にも努めてまいります。

○松葉委員 公明党の主張を受け、都が国際音楽の日に合わせて積極的な取り組みを始めたことは高く評価いたしております。ぜひ今後とも継続、発展させていただきたいと思います。
 次に、都響、東京都交響楽団についてですが、一九六四年の東京オリンピックのレガシーでもある都響は、海外からも高い評価を得ております。このオリンピックのレガシーこそ東京の文化交流大使として、国内外、とりわけ海外公演を復活させて、強く世界に向けて東京のプレゼンスをさらにアピールしていくべきと考えますが、所見を伺います。

○秋山生活文化スポーツ局長 海外からも評価の高い東京都交響楽団を、東京からの文化発信に活用することはまことに有意義でありますことから、東京文化発信プロジェクトの一環といたしまして、ハーモニーツアーと名づけたコンサートツアーを開始いたしました。今年度は、北海道から沖縄まで国内十一都市におきまして実施いたしまして、各都市において好評を得ているところでございます。
 さらに来年度は海外に対しても東京の文化発信を強化するために、四月にソウル、シンガポールでの公演を開催いたしまして、その中で、公開リハーサルに現地の学生を招待するなど、国際交流の促進も同時に図っていく考えでございます。
 今後とも、より一層東京のプレゼンスを高めていくため、東京都交響楽団を活用した東京の文化の発信に努めてまいります。

○松葉委員 明快なご答弁ありがとうございます。楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、東京芸術劇場ですが、現在、東京芸術劇場を中心とした池袋一帯では、プロジェクトの一環として国際的な舞台芸術祭であるフェスティバルトーキョーが開催中です。また、劇作家であり、演出家でもある野田秀樹氏が、東京芸術劇場の芸術監督に内定をしていると伺っております。
 そこで、東京芸術劇場を拠点として舞台芸術の面でも世界に向けて強く発信をしていってはどうかと考えますが、所見を伺います。

○秋山生活文化スポーツ局長 東京芸術文化評議会の提言を受けまして、今年度から東京発の国際的な舞台芸術の祭典でございますフェスティバルトーキョーを、東京芸術劇場を中心に展開しているところでございます。今年度のフェスティバルは現在実施中でございますが、来年度は、アジア大都市ネットワーク21の共同事業として、東京が開催都市となるアジア舞台芸術祭とあわせて連続的かつ集中的な展開を図るため、開催時期を秋に移しまして、フェスティバルの発信力をさらに高めてまいります。
 さらに、東京芸術劇場におきましては、お話のありました芸術監督となる野田秀樹氏が海外との共同制作による演劇公演を行うなど事業の充実を図り、世界にも目を向けた文化の発信拠点にふさわしい取り組みを展開してまいります。

○松葉委員 次に、アーチストの方々に対する活動支援についてですけれども、東京には大変に多くのアーチストや芸術団体が集まり、独自に意欲的な作品を次々と発表されており、東京からの文化芸術の創造、発信に大変に貢献しておられます。しかしながら、演劇や舞踊などの舞台芸術関係者の間では、東京は舞台公演の発表機会には恵まれているものの、安くて長期間利用できる練習場の確保がとても難しいというお声も数多くあります。こうした方々に、都の遊休施設を思い切って貸し出していただきまして、思う存分に活用していただいてはいかがでしょうか。明快なご答弁をお願いします。

○秋山生活文化スポーツ局長 練習場の提供につきましては、第四回の東京芸術文化評議会で、舞台芸術系の芸術家や団体への支援策として、都の遊休施設を活用したけいこ場等の創造活動の場を提供することが必要であるとご提言をいただいているところでございます。また、ただいまご指摘をいただきましたが、そうした点も踏まえまして、都では、遊休施設となる都立高校を練習場として利用することとし、来年度中に施設を整備した上で、来年度末のオープンを目指しているところでございます。
 才能ある芸術家や団体に制作と交流の場を提供することで、今後とも東京における舞台芸術の振興に努めてまいります。

○松葉委員 明快なご答弁をありがとうございます。
 今のご答弁を聞かれて、東京で創作意欲に燃えておられるアーチストの皆様方が大変に喜ばれることと思います。ぜひとも使い勝手のよい施設の貸し出しを改めてお願いをしておきます。
 次に、文化芸術分野の人材育成に関連して伺います。
 仮称総合芸術高校ですが、私は、平成十七年第四回定例会におきまして、文化芸術先進都市を目指す東京こそ、専門性の高い文化芸術の教育機関を創設すべきであると主張させていただきまして、平成二十二年度開校予定の都立総合芸術高校にバレエなどの舞踊専門の勉強ができる舞踊科、あるいは舞台芸術科を設置するべきであると具体的に提案をさせていただいております。
 それを受けて、現在では舞台表現科の設置準備が進んでいることを高く評価するものですが、まだ仮称でございますが、都立総合芸術高校の特色と、現在の進捗状況についてお伺いします。

○大原教育長 総合芸術高校(仮称)でございますが、現在の芸術高校を改編いたしまして、音楽科、美術科に加えまして、舞台表現科を新たに設置する、都立で唯一の芸術に関する専門高校でありまして、さまざまな芸術分野において活躍できる人材の育成を目指しております。
 昨年四月には開設準備室を設置いたしまして、現在、芸術と社会、古典芸術など、芸術に関する総合的な科目の設置や、三つの学科の生徒がともに取り組む総合制作演習など特色ある教育活動について検討を行っております。
 平成二十一年度には、指導体制、入学者選抜方法、芸術文化施設や大学との連携等、より詳細に検討を進めますとともに、新たに設置する舞台表現科における指導方法を研究するために大学に教員を派遣するなど、平成二十二年度の開校に向けまして、鋭意取り組んでいるところでございます。

○松葉委員 芸術分野で将来活躍したいと夢を描いている子どもたちにとって、大変希望あふれるご答弁ありがとうございました。
 次に、女性の健康に関連してお伺いしたいと思います。
 女性特有のがんには、乳がんや子宮がんがあります。乳がんについては、年間一万人以上もの方々がとうとい命を落とされております。その中にありまして、四十七都道府県の中で一番乳がんによる死亡率が高いのが、残念ながら東京であります。マンモグラフィーによる区市町村が実施する検診受診率は七・六%、職域検診を含めても一七・九%と極めて低い状況にあります。
 また、子宮頸がんについては、二十代、三十代の若い女性の間で増加してきております。年間七千人以上の方々が罹患されておりまして、二千四百人を超す方々の大切な命が失われております。子宮頸がんについては、定期的に検診を受けていれば、前がん状態で発見できることなどから、予防できるがんであるといわれております。そのため、アメリカでは、八二・六%、カナダでは約七三%と高い検診受診率となっております。
 東京では、区市町村の実施する検診受診率は一一・九%であり、職域検診を含んでも三二・九%と、大変に低い検診率となっております。東京都がん対策推進計画では、平成二十四年度までにがん検診受診率を五〇%まで達成することを目標に掲げています。何といっても、がん検診の普及が、最高のがん対策につながると思います。
 そこで、知事、石原知事の強力なリーダーシップにより、がん検診に総力を挙げる東京都の体制を構築していただきたいと思うのですが、今の低い検診受診率を五〇%にまで引き上げていく知事のご決意をまずお伺いしたいと思います。

○石原知事 がんは、現代社会を生きる我々の健康に対する重大な脅威となっております。とりわけ東京における乳がんの死亡率が全国で最も高いというのは、ゆゆしき問題だと思います。がんの克服には何よりも予防を心がけ、早期発見の機会となる検診を受けることが大切であります。
 これは何も乳がんに限らず、私の周囲にも、まあ、高齢者でありますけれども、病院嫌いで、どうも異常だと思って行ってみたら、もう間に合わずに大腸がんで亡くなった人が数人おられますが、いずれにしろ、がんの克服には何よりも予防を心がけ、早期発見の機会となる検診を受けることが大切であると思います。
 都民みずからががん予防の意識を高めるとともに、働く女性も含めて利用しやすい検診体制の充実が絶対に必要だと思います。都民の生命を守るために、区市町村、企業、医療機関など関係者の力を結集して、がん対策の推進に積極的に取り組んでいきたいと思いますが、これはやっぱり個人個人の方々が認識を持って、大丈夫だと思わずに、まず時間を惜しまずに検診されることが必要だと思います。この啓蒙もやっぱり基本的には一番大事な問題じゃないかと思っております。

○松葉委員 知事から大変に力強いご決意の披瀝がありました。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、先日、ある健康保険組合の取り組みをお伺いしてまいりました。ヘルシーカンパニーからヘルシーシティーへを標榜されておりまして、すなわち元気な社員が元気な会社をつくり、元気な会社が元気な都市をつくるというヘルシーカンパニーの実践によりまして、結果といたしまして、医療費の低減化、健康保険料の引き下げ、売り上げの向上と、さまざまな成果を上げておられ、大変に感銘いたしました。そして、職域がん検診率の向上には、一つには事業主の方の協力、二つには地域との連携、三つには健康の大切さの風土づくり、この三つが重要であるとおっしゃっておられました。
 がん検診受診率五〇%の目標を達成するためには、区市町村が実施するがん検診に加えて、こうした職域における受診率を向上させることが絶対に必要であります。都の取り組みをお伺いします。

○安藤福祉保健局長 職域におけます検診の受診率向上に向けまして、都は、乳がん検診を行っている医療機関に対し、マンモグラフィー機器の整備費補助を行い、検診の実施体制の充実を図っております。
 また、来年度から女性従業員が多い企業に対しまして、子宮がん、乳がん検診の社内での普及啓発に取り組むよう働きかけていくとともに、がん検診に積極的な企業の好事例を紹介するなど、職域での取り組みを一層促進してまいります。

○松葉委員 職域がん検診へのさまざまなご支援を、さらに進めていただきたいと思います。
 次に、がん検診の受診率を上げるためには、検診を受けやすくしていくことも非常に大切であります。東京都多摩がん検診センターでは、がんの集団検診から精密検査まで、また、医療従事者の人材育成、がんの調査研究、検診の普及啓発などを行っておられます。
 昨年夏、都議会公明党は、多摩がん検診センターを訪問し、公社の理事長を初め関係者の皆様と活発に意見交換をさせていただきました。その際、乳がんなどの日帰りがんドックの実施について直接要請をさせていただきましたところ、婦人科系コースについては二十年度中の開始を検討したいとおっしゃっておりましたが、多摩がん検診センターにおける婦人科系がんドックの取り組み状況についてお伺いします。

○中井病院経営本部長 東京都多摩がん検診センターでは、がんの早期発見を目指し、集団検診や精密検査のほか、より精密な内容の検査をセットにした、がん専門の日帰りドック検診も行っております。
 お話の婦人科系がんドックにつきましては、乳がんコースとして平成二十一年二月半ばから予約受け付けを開始いたしておりまして、この三月十六日から毎週二回、月曜と水曜の午後に実施していくことといたしました。
 病院経営本部といたしましては、こうした多摩がん検診センターの事業について、都民の健康管理に資するよう、引き続き支援してまいります。

○松葉委員 子宮がん検診も含めた実施と、また平日以外の、例えば土曜日などの検診日も検討していただくなど、ぜひ今後も検討していただきたいことを要望しておきます。
 次に、三月一日から八日は、昨年国が提唱して、ある週間が実施されましたが、石原知事はご存じでいらっしゃいましたでしょうか。女性の健康週間が、三月一日から八日、スタートいたしました。これは、昨年より、厚生労働省が提唱しスタートしたものですけれども、私はいち早く昨年の第一回定例会での一般質問で、東京都も積極的にこの女性の健康週間に取り組むべきだと訴えさせていただきました。昨年の取り組みは間に合いませんでしたけれども、今年度はどうでしたでしょうか。お尋ねいたします。

○安藤福祉保健局長 都は、今年度の三月一日から八日までの女性の健康週間に合わせまして、子宮がん、乳がん検診のリーフレットを配布し、普及啓発を行いましたが、さらにラッピングを施しましたマンモグラフィー検診車によりまして、乳がん検診の大切さを訴えるなど、受診促進に取り組んだところであります。

○松葉委員 来年度は、より一層のがん検診の普及啓発のため、女性の健康週間に取り組んでいただきたいと思いますが、今後の取り組みにつきまして、安藤局長のご決意を改めてお伺いしたいと思います。

○安藤福祉保健局長 来年度でございますが、子宮がんが二十歳代、三十歳代で増加していることに着目しまして、女性の健康週間を中心に、若い女性を読者層といたします無料情報誌を利用した普及啓発を行っていくこととしております。
 さらに、がん検診の重要性を伝えるポストカードの提供や、包括補助事業の活用によりまして、区市町村が行うがん検診受診率向上の取り組みを支援してまいります。

○松葉委員 安藤局長、ぜひ全力で頑張っていただきたいと思います。
 がんの相談体制ですが、がん診療連携拠点病院や認定がん診療病院で行っているがん相談支援センターですが、公明党の推進で、休日、夜間におきましても、来年度から三つの病院でご相談できるようになりますが、例えばがんの検診をお受けになって不安があるとおっしゃる方や、また、がんかもしれないというご不安を抱かれている方でもご相談できるんですね。都としてもそのことも含めて、もっと強く広報、アピールしていただきたいと思いますが、ご見解をお伺いします。

○安藤福祉保健局長 都は、がん診療連携拠点病院等の相談支援センターにおきまして、日中仕事を持つがん患者やその家族、さらにはがんに関する悩みや不安を抱える方々の相談体制を充実させるために、来年度、休日や夜間の相談を行うことといたしました。こうした取り組みについて、ご指摘の点を踏まえまして、区市町村の保健所や保健センター、検診機関などに対し、相談支援センターの連絡先や相談時間等の情報を提供してまいります。
 また、医療機関案内サービス「ひまわり」から、相談支援センターの詳細情報にアクセスできるようにするなど、都民への周知に努めてまいりたいと思います。

○松葉委員 一日も早くすべてのがん相談支援センターで休日、夜間の相談がスタートできますように、改めて要望しておきます。
 次に、雇用施策についてお伺いいたします。
 昨年十月以降、都内の派遣社員などの非正規雇用の方々の雇いどめが増加するなど、東京でも雇用情勢に大変な影響が出始めております。さらに、新規学校卒業者の採用内定取り消しもふえまして、また、東京の一月の有効求人倍率も一・〇〇倍と落ち込み、大変厳しくなってきております。
 このような中で、都は、昨年の十二月に続き、今週も三日間、特別相談会を開催いたしました。私は、この二回とも労働相談情報センターを訪問し、労働相談会の様子を直接拝見させていただきました。
 そこで、この二回の特別相談会の実施体制と結果について、まずお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 昨年秋以降の雇用情勢の急速な悪化に対応するために、労働相談情報センターでは、昨年十二月とこの三月、合わせて二回の特別相談会を実施いたしました。
 まず昨年十二月の相談会では、非正規労働者の雇いどめや新規学卒者の採用内定取り消し等の急増に緊急に対応するため、相談担当職員のほか、弁護士等の専門家も配置して実施をいたしまして、相談件数は五日間で百七十七件、そのうち解雇、雇いどめが四十六件、採用内定取り消しが十八件でありました。
 また、この三月の相談会は、派遣法の改正によりまして平成十八年から本格化した製造業派遣がこの三月から三年の派遣期限を迎えることや、年度末に向かい、多くの解雇者が出る懸念もありますことから、しごとセンターと共同で実施をいたしまして、再就職の相談にも対応したところでございます。相談件数は三日間で百六十九件、そのうち解雇、雇いどめが約半数の八十一件、再就職相談が二十六件でございました。
 特別相談会は、多くのマスコミにも取り上げられ、雇いどめなどの深刻な問題を抱えた非正規労働者等の相談に対応したことから、大きな成果があったものと考えております。

○松葉委員 雇用情勢が厳しくなってきていることが、この相談会の結果にもあらわれていると思います。私のもとには、賃金不払いなどの労働問題だけではなくて、同時に再就職の支援を求めていらっしゃる方々からのご相談も寄せられております。労働相談というものと、再就職支援、この二つをあわせた相談会を実施することは、相談される方々にとって、大変に心強いものであると評価いたしております。さらに最近では、非正規雇用労働者だけではなくて、正規雇用労働者のリストラまでも急増しつつあると指摘もされております。
 都として、さらに東京都労働相談情報センター等において取り組みを強化すべきと思いますが、見解を伺います。

○佐藤産業労働局長 都では、都内六カ所の労働相談情報センターにおきまして、年間五万件を超える労働相談を受けております。また、相談職員が労使の間に立ちまして、トラブルを調整し、その解決を支援するあっせんも実施しております。
 現在、雇用情勢の悪化を受け、特に非正規労働者からの相談が大幅に増加しているほか、倒産や解雇などに直面した労働者から、多岐にわたる難しい相談も寄せられております。このため、本年四月から都民の利便性を高めるため、専用ダイヤルであります東京都ろうどう一一〇番を開設いたしまして、解雇や賃金未払いの相談から再就職支援の案内まで、幅広い労働問題に一元的に対応してまいります。また、複雑な内容の問題は、来所相談やあっせんによりましてきめ細かく対応いたします。
 さらに、しごとセンターなど関係機関とも連携いたしまして、特別相談会を適宜実施するなど、労働相談体制を強化いたしまして、厳しい雇用情勢に対応してまいります。

○松葉委員 雇用情勢が急激に悪化する中で、子育て中の女性の方々などの再就職は、日々厳しさを増しております。最近では、育休切りなどの問題も起きてきております。また、夫の雇用状況から再就職を目指す女性や、出産、育児等で仕事から離れていた方々がこの厳しい経済状況の中で、家計を支えるために就職活動に踏み出したいといったお声も多く耳にいたしております。
 私は、平成十七年の第四回定例会の一般質問で、東京しごとセンターにおいて、相談の際に託児サービスを新たに始めて、子育て中の女性が利用しやすくすべきだと提案させていただきました。そこで、東京しごとセンターを訪れる女性に対してのサービスの提供について、現在までの取り組みと今後の支援策についてお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 しごとセンターでは、就職を求めて訪れる若年者から高齢者まで、それぞれにとって利用しやすい環境の整備に努めているところでございます。特に女性の方からは、勤務時間などの雇用条件や出産後の再就職の相談が多いために、女性専用の相談窓口を開設しております。また、子育て中の方には託児施設も設置しております。
 女性の再就職支援策といたしましては、就職活動のノウハウを提供するセミナーや、離職によるブランクを解消するための職場実習等を組み合わせました女性再就職サポートプログラムを実施しております。このサポートプログラムは定員を上回る応募があるという状況から、来年度は規模を拡大して実施してまいります。
 さらに、現下の厳しい雇用情勢の中で、しごとセンターに登録後も長期間就職できない女性や高齢者などを正社員として採用した企業に対しまして、新たに一人当たり五十万円の奨励金を支給いたします。
 これらの事業を実施することによりまして、女性の再就職を支援してまいります。

○松葉委員 ありがとうございます。ぜひ雇用の面におきましても、女性への力強い支援策を今後ともより一層強化していただきますように、改めて要望しておきます。
 次に、都立和田堀公園の整備について伺います。
 善福寺川沿いに位置する和田堀公園は、多くの都民の憩いとスポーツの場として親しまれています。緑と水のネットワークの拠点となる公園であります。私は、この公園の整備促進の観点から、昨年の第一回定例会におきまして、企業が所有する運動場の早期公園化につきまして質問いたしました。平成二十一年度から、都はこの運動場の用地取得に着手するとのことでありまして、地元杉並区の皆様も大変期待をしております。
 そこで、今後の和田堀公園における、企業が所有する済美山運動場の整備予定についてお伺いいたします。

○道家建設局長 和田堀公園は、善福寺川緑地と連担し、河川に沿って豊かな緑を形成し、散策やスポーツの場として親しまれている公園であり、災害時には避難場所や救出救助活動拠点としての役割を担っております。
 お尋ねの企業が所有する土地は五ヘクタールありまして、公園の整備計画で、みどりのレクリエーションエリアに位置づけております。このため当該地では、スポーツやレクリエーションを楽しむことができる多目的広場や、外周部には緑豊かな樹林地等の整備を計画しております。平成二十一年度にはまず一・六ヘクタールの用地の取得と設計に着手し、引き続き用地の取得を進め、二十三年度に一部開園を目指してまいります。

○松葉委員 和田堀公園の整備に当たりましては、地元杉並区の意見を聞く機会を設けていただくなど、より地域に親しまれる公園づくりに取り組んでいただくことを要望させていただきます。
 次に、善福寺川の河川整備について伺います。
 平成十七年九月四日、一時間一〇〇ミリを超えるすさまじい豪雨で、私の地元杉並区でも甚大な浸水被害がございました。当日は、私もすぐに現地に赴かせていただきまして、そして、翌日からも被災された皆様のお宅のお見舞いに上がらせていただきました。どこにぶつけていいかわからないような怒りを、私も全身にいただきながら、何としてもこの善福寺川河川整備をしていただいて、このような水害がない川にしていただきたい、そのことを強く思いました。
 そこで、これまで三度にわたり一般質問で善福寺川の河川整備につきまして取り上げさせていただいてまいりました。
 まず初めに、現在の激特事業の進捗状況と今後の見通しにつきまして、これで四回目になりますが、改めてお伺いいたします。

○道家建設局長 善福寺川におきましては、杉並区内の環七から和田堀第六調節池までの二キロメートルの区間で、橋梁のかけかえや護岸整備など、激特事業を進めております。このうち和田堀第六調節池につきましては、貯留能力の倍増を図り、既に供用を開始しております。現在、本村橋及び済美橋のかけかえと三百九十メートルの護岸整備を行っており、増水時に水の流れを阻害しておりましたこれら二つの橋梁を既に撤去し、流下能力を拡大するなど、順調に工事を進めております。
 本激特事業は、予定どおり平成二十年度に完成させ、これにより、大規模な水害を発生させました十七年九月の豪雨と同規模の豪雨に対応できることとなります。

○松葉委員 善福寺川の川沿いには、和田堀公園や善福寺川緑地などがあり、激特事業を進める上で、河川環境にも配慮して整備を行ってくださっております。その状況についてお伺いいたします。

○道家建設局長 申しわけございません。先ほど、激特事業は二十一年度に完成させてまいります。訂正させていただきます。
 それから、善福寺川は、周辺の環境と調和した石積み護岸や緑豊かな遊歩道があり、都市における水と緑の貴重なオープンスペースとなっております。このため、現在進めている激特事業におきましては、治水機能を確保しつつ、さまざまな工夫により、地域の特性や周辺環境に配慮した整備を行っております。具体的には、既存の護岸の石積みを再利用して新しい護岸を整備するなど、良好な景観を可能な限り復元してまいります。
 また、済美公園と隣接した区間につきましては、地域住民が参加したワークショップの意見を反映し、人々が水辺に親しめるよう、公園の敷地を活用した緩い傾斜の親水護岸を整備してまいります。

○松葉委員 激特事業区間より上流域の整備についても、ぜひとも進めていただきたいと思います。現在の進捗状況をお伺いいたします。

○道家建設局長 善福寺川の激特事業区間より上流域の整備は、従来の護岸整備のみでは完成までに長期間を要することから、さまざまな工夫が必要であります。このため、川沿いの公共空間を活用した調節池の設置の可能性について検討を進めております。さらに、公園区域内を流れる区間については、周辺環境に配慮するとともに、早期に治水効果を発揮できるような護岸の整備手法についても検討してまいります。
 今後とも、地域住民や関係機関などの協力を得ながら、善福寺川の整備に取り組み、上流域の水害の早期解消を目指してまいります。

○松葉委員 今後とも善福寺川の整備に積極的に取り組んでいただきますよう強く要望いたしておきます。
 最後に、水道事業について伺います。
 水道局では、これまで高度浄水処理の整備など、安全でおいしい水のためにさまざまな取り組みをされております。そこで、こうしたPR活動はしっかり行われているのかどうか、また、科学館のリニューアルの内容、そして、水道局に寄せられているお声などに対する取り組みについて、三点まとめてお伺いして、私の質問を終わります。

○東岡水道局長 水道局では、従来から、信頼され親しまれる水道を目指して、安全でおいしい水プロジェクトの推進を初め、局事業について、「水道ニュース」やパンフレット、ポスター、局ホームページ等のさまざまな手段によりPRを行ってまいりました。
 平成二十年度からはこうした施策紹介型の広報に加えて、水と健康といった、お客様に興味と関心を持っていただけるような事柄を通じてPRを行うことにより、飲み水としての水道水のよさを改めて発見、理解していただくことをねらいとした共感型の広報を実施しております。
 今後とも効果的な広報に工夫を凝らし、より多くのお客様に水道局の取り組みや水道水のおいしさを知っていただけるよう、取り組んでまいります。
 次に、水の科学館は、水の不思議と大切さを科学の視点で紹介し、水への興味を深めていただく体験型の展示施設であります。これまでに百五十万人を超えるお客様をお迎えしてまいりましたが、平成九年の開館から十年以上が経過し、展示物の入れかえが必要な時期に来ております。このため、平成二十一年度中に展示物の改修、更新を行うことを予定しております。
 今回のリニューアルでは、毎年数多く訪れる子どもたちが楽しみながら水に関する科学について学ぶことができるよう、水の性質を利用した実験装置や水をきれいにする仕組みをゲーム化したコーナーを設置するなど、参加体験型の展示をさらに充実してまいります。
 また、水道水源林のコーナーを新設し、水源林が水源涵養機能に加えて、生態系の維持や二酸化炭素の吸収等、環境負荷の低減にも大きく貢献していることを紹介するなど、今日的な課題となっている環境の視点も加えた展示内容として充実を図ってまいります。
 今後とも水の科学館が、驚きや発見を通して水への興味や親しみを深めてもらえるような魅力的な展示施設となるよう努めてまいります。
 最後に、水道局は、七百万件に及ぶ給水契約を結び、一千二百万人を超えるお客様に水道サービスを提供しております。こうした多くのお客様からのさまざまな声に耳を傾け、これを真摯に受けとめて、日常の業務や施策へ反映していくことが大切であると考えております。
 これまでにも、生活のサイクルに合わせて料金の支払い時期を選択したいというお客様からの声にこたえて口座振替日の指定サービスを導入したほか、工事に伴う断水を極力避けてほしいという多くの苦情、要望等を考慮し、断水時間の大幅な短縮を可能とする仮配管方式を導入するなど、お客様の声を踏まえた業務の改善、サービスの向上を図ってまいりました。
 現在、お客様センターや局ホームページ等に寄せられるお客様の声を把握し、体系的に蓄積して、局全体で共有する仕組みを構築しており、日々のお客様対応に役立てております。
 さらに、平成二十一年度からは、こうしたお客様の声を組織全体でしっかりと受けとめ、事業に適切に反映させていくことを目的として、局内に、お客様の声活用委員会といったような組織を設置し、取り組みのさらなる充実を図ってまいります。

○石川副委員長 松葉多美子委員の発言は終わりました。(拍手)

ページ先頭に戻る