予算特別委員会速記録第四号

○増子副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 西岡真一郎委員の発言を許します。

○西岡委員 二〇一六年オリンピック招致について伺います。
 都議会民主党は、平成十八年の都議会でオリンピック招致決議に賛成し、その立場は今も全く変わっておりません。同時に、決議には六項目の意見を表明し、その後の開催計画については適宜、意見を述べてまいりました。
 オリンピックムーブメントを高めるためには、常に都民の理解を得る計画に練り上げていくことこそが重要であります。
 広範な都民の参加により、より多くの都民の思いが反映される計画でなければ、オリンピック招致が実現できないことを考えれば、当然のことと思います。
 私は、世界の方々とトップレベルのスポーツとパラリンピックを通じて、東京から世界平和の重要性や環境先進のこれからの都市のあり方というメッセージを発信し、オリンピックを通じて東京が抱えるさまざまな課題を解決しながら、確かな道しるべを掲げた東京という都市を将来世代に継承していくためにも、二〇一六年東京オリンピックは実現しなければならないと考えます。そのためには、負の遺産は決して残してはならないし、むだのない計画をつくり上げていくために、我々も意見を述べていくことは当然のことであります。
 都議会民主党は、都が二〇一六年のオリンピックを招致すると宣言してから、その理念は世界平和の希求に重点を置くものとし、平和都市である広島、長崎と連携すべきと訴えてまいりました。
 世界平和の希求への主張は、招致委員会が行った都民への世論調査の結果でも一位に位置づけられました。都は、今回初めて立候補ファイルの中で、広島、長崎との連携事業や事前キャンプを実施する考えを示しましたが、開催競技やほかの面でも連携できるのではないかと考えます。
 例えば、以前も指摘がありましたが、オリンピックのサッカー予選は札幌、埼玉、横浜、大阪などの日本各地の会場で行う計画です。ここに広島ビッグアーチを加え、より平和の連携を強めていくことを検討するべきです。
 課題もあるようですが、このスタジアムは大阪オリンピック招致のサッカー会場であり、二〇一八年のワールドカップ招致でも、広島を含め平和都市での開催を招致の目玉にする考えがあるとも聞いております。
 福岡市の開催概要計画書にも記されていることから、福岡とも結ぶ計画にもなります。
 また、太平洋戦争において国内で唯一住民を巻き込んだ悲惨な地上戦の戦場となったのは、沖縄です。沖縄とも、日本の夏の気候に合わせ、事前キャンプに利用するなど連携が可能ではないかと考えます。
 さらに、具体的な提案としては、開会式に向けた聖火リレーでの連携です。反核悲願の象徴である広島市の平和の灯や、オリンピアの丘で採火された長崎市の長崎誓いの火、沖縄戦最初の上陸地から採取した火がともされている沖縄の平和の火と連携し、聖火リレーと平和の火を結び、平和の希求を国内に広げ、世界に発信していく取り組みを行うべきであります。
 広島の平和の灯は、平成六年に広島市で開催されたアジア競技大会の聖火に点火されるなど、各種行事において平和のシンボルとして採火されていると聞いています。
 オリンピックを通じて国内を平和のネットワークで結び、世界との連携をしていく姿勢をアピールすることには意義があります。
 以上、三点について述べたこの平和の希求へ結ぶ取り組みについてご見解を伺います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 平和に関する三つのご提案がございましたが、まず第一点目のサッカーの予選会場については、立候補ファイルでは、ワールドカップでの実績、宿泊施設の状況等を勘案し、国際サッカー連盟とも協議しまして、東京以外では札幌、埼玉、横浜、大阪の四つの会場を選定しました。
 委員ご提案の広島における開催につきましては、施設上の課題などがございますが、ご趣旨を踏まえ、今後の検討課題として受けとめさせていただきます。
 第二点目の事前キャンプにつきましては、昨年の北京大会の際、我が国で世界から三十二カ国のキャンプが二十四の都道府県で行われました。立候補ファイルでも、広島、長崎へのキャンプ招致を例示しておりますが、今後さらに、沖縄などを含めて全国各地で実施することを検討してまいります。
 第三点目の聖火リレーは、まさに平和を象徴するセレモニーでございます。この聖火リレーの実施方法については、招致決定後、大会組織委員会が検討することになりますが、その趣旨を組織委員会に引き継いでまいります。
 以上、三点について申し上げましたが、二〇一六年の東京大会は、平和に貢献する世界を結ぶオリンピック・パラリンピックを大会理念としており、委員のご提案は意義あるものと考えます。

○西岡委員 平和への強い明確な意思表示というものをいただいたと思っております。ぜひ積極的に取り組んでいただけるよう要望します。
 この三年間、オリンピック招致に関しては、私たち都議会民主党は、さまざまな提案や意見を真摯に申し上げてまいりました。具体的には、平和の理念を明確に打ち出すこと、負の遺産を積み残さない、むだ遣いのないオリンピック招致、晴海地区の都営によるメーンスタジアムの見直し、築地市場の移転とは切り離したメディアセンターの設置、アジア外交を重視した招致運動などなど、さまざまな提案を相当数行ってまいりました。
 その結果、大会理念には平和が明確に位置づけられ、メディアセンターが東京ビッグサイトになったことでより利便性が高まり、財政的にも軽減されました。我々も一定の役割を果たしてきたつもりであります。
 いずれにしても、招致に名乗りを上げた以上、十月二日のIOCコペンハーゲンでの総会で、東京が勝利できるよう常に計画を磨き上げていく姿勢が必要であり、さらに招致した後においても、同様であります。
 これからの大会開催に向けた知事のご見解を伺います。

○石原知事 二〇一六年大会の日本への招致を表明して以来、都議会や都民、国民の皆様から、平和への貢献、環境への配慮、子どもたちに夢を与えるなど数多くのご意見、ご提案をいただいてまいりました。それらを立候補ファイルに反映させ、先月十二日、IOCに提出をいたしました。招致レースはこれからが本番でありまして、熾烈な闘いが始まります。東京、日本の魅力をIOC委員に十分理解してもらえるように全力を尽くし、一票でも多くの票を獲得していきたいと思っております。
 そのためにも、民主党からのご提案がありました広島、長崎という、いわば第二次大戦の後、いろんな紛争がありますけれども、平和希求の原点ともいえる、世界で未曾有の原爆の惨禍をこうむった広島、長崎というものを、招致のときに活用することはとても意味があると思いますし、アピールの力にもなると思います。
 何もアテネでともした火だけが聖火ではありませんで、まさにこの戦禍に見舞われた二十世紀の一つの象徴的な存在である広島、長崎でともされた火というものを、ギリシャの火に合わせて、三つの火を合わせて走るということは、これはやっぱり非常に大きな印象的な効果になると思います。これは必ず実現していきたいと思っています。
 そして、みんなの力を合わせて、日本のため、東京のため、そして世界のために、平和のために、このオリンピック・パラリンピックをまさに東京に招致することこそが、私たちの願いの結実であると思っております。

○西岡委員 知事から大変いいご答弁をいただけたと思っております。
 三年間の時間を要しましたけれども、平和の理念で、ここで思いが一致したということで、これからますます我々も頑張っていきたいと思っておりますし、これからも積極的に知事にはさまざまな提案を行っていきたいと思っております。
 続きまして、いよいよ多摩時代の到来であるということの象徴の一つでもあります、東京らしい二〇一三年東京国体の実現について伺います。
 二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックの三年前、二〇一三年には実に五十四年ぶり、三回目となる東京国体が味の素スタジアムをメーン会場として、多摩・島しょを中心に開催されます。
 前回、東京国体は、東京オリンピックの五年前に当たる昭和三十四年ですから、半世紀を経て再び同じようなめぐり合わせを迎えました。オリンピックにつなげていくためにも、そして、いよいよ多摩時代の象徴とするためにも、東京国体を成功させなければなりません。
 昨年、都は開催基本構想を策定し、東京ならではの国体を実現していくとしました。
 私は、東京からの国体は、ジュニアを含めてスポーツのすそ野を広げ、青少年の健全育成に寄与し、障害者スポーツの存在意義を高め、多摩・島しょ地域の振興にもつながる国体を目指し、環境対策や都民参加などによるさまざまな国体改革も必要と考えております。
 都は、具体的にどのような取り組みを進めていくのか、伺います。

○中田総務局長 昨年七月、東京国体準備委員会の総会を開催し、東京国体の理念や取り組み目標を定める開催基本構想を策定いたしました。
 この中で、国内最高のスポーツ大会、スポーツイベントを目指し、国体のあり方を変えるさまざまな改革に取り組み、東京ならではの国体を実現することとしております。
 具体的には、第十三回全国障害者スポーツ大会を同時開催するほか、人と環境に優しい国体を開催するなど、今後、基本構想に掲げましたさまざまな取り組みの実現に向けまして、開催準備を着実に進めてまいります。

○西岡委員 国体は、過去の歴史を振り返りますと、一巡目が戦後復興、二巡目がスポーツ振興という意味合いがありました。東京が三巡目を迎えることから、東京国体は三巡目としての新しいモデル、理念、そして旗印というものにならなければならないと考えております。
 そこで、幾つか具体的に伺ってまいります。
 東京国体と全国障害者スポーツ大会とを同時開催としたことは、障害者スポーツへの理解を深める上でも大変意義深いものであります。今後、どのように両大会の開催準備を進めていくのか、伺います。

○中田総務局長 総務局におきましては、既に二十年度から両大会の開催準備を一元的に担う体制を整えております。二十一年度は、都議会を初め区市町村、経済産業界、スポーツ団体など幅広い方々にご参加をいただきまして、全国障害者スポーツ大会の準備組織を設置する予定でございます。
 今後、両大会が一つの祭典として成功するよう開催準備を進めてまいります。

○西岡委員 この両大会を成功させるためには、施設整備の充実を図ることも極めて重要です。特に、全国障害者スポーツ大会が同時に開催されることもあり、施設整備にはユニバーサルデザインの視点を取り入れていくべきであります。ご所見を伺います。

○中田総務局長 開催基本構想におきまして、競技会場とその周辺のユニバーサルデザイン化を進め、だれもが観戦しやすい環境の整備に努めることといたしました。
 既に都におきましては、ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり事業として、国体競技会場周辺などのユニバーサルデザイン化を進めております。
 二十一年度からは、福祉のまちづくりにつながるような区市町村の競技施設整備につきまして、財政支援の対象に加えてまいります。

○西岡委員 今のご答弁にありましたように、東京国体のために準備されている施設補助に、さらに福祉のまちづくりに貢献する区市町村の競技施設整備への財政支援が加わるというご答弁をいただきました。このことは、大変よい取り組みだと思います。
 このことは、我が会派は平成十八年第三回定例会において、山下太郎幹事長代行からも提案をさせていただいたことでもあり、大きな前進と受けとめさせていただきます。
 区市町村と連携し、東京国体で利用されるスポーツ施設のユニバーサルデザイン化を積極的に進め、後利用も視野に入れ、移動手段におけるバリアフリーも推進するよう、あわせて要望いたします。
 また、環境に優しい国体とのことでありますが、さきに発表されたオリンピック・パラリンピックの立候補ファイルでは、環境優先のオリンピックもアピールポイントです。
 東京国体にもスポーツと環境という新しい理念を構築していくことが重要です。今後の国体やスポーツイベントの日本モデルの集大成というものを、まず東京国体で確立していくべきと考えます。
 都は、具体的にどのような環境対策に取り組む考えなのか伺います。

○中田総務局長 東京国体においては、環境への配慮を重要な柱と位置づけ、人と環境に優しい国体を目指してまいります。
 競技施設整備に当たりまして、省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入を検討するほか、大会期間中の廃棄物の発生を抑制し、リサイクルを推進いたします。
 また、観客の輸送につきましては、公共交通機関を最大限活用するとともに、環境配慮型のシャトルバス等を利用いたします。
 これらの環境対策に取り組むだけではなく、東京国体が環境問題を考えるきっかけとなるようなさまざまな取り組みを検討し、その内容を東京国体環境指針として、二十一年度中に取りまとめる予定でございます。

○西岡委員 環境配慮型の国体として、具体的な幾つかの取り組みが初めて議会に示されたと思います。
 東京国体環境指針の策定に当たっては、温暖化対策への取り組みにもつながる省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入など、スポーツと環境対策という新しい理念を確立されるよう要望いたします。
 東京ならではの国体を実現していくためには、私は、これまで各地域において草の根から東京国体を盛り上げ、都民がさまざまな形で国体に参加する道を開いていくことが最も重要だと提案してまいりました。
 国体の実施競技の中には、トップ選手が出場する正式競技ばかりではなく、都民が気軽に参加できる、また、都民も国体の選手になれるようなデモンストレーションとしてのスポーツ行事があり、現在その準備が進行しています。
 東京の生涯スポーツ振興につながる、また、若い世代の方々にも関心を持たれるものも含め、こうした行事をどのように活用し、国体を盛り上げていくのか、伺います。

○中田総務局長 デモンストレーションとしてのスポーツ行事は、国体開催都県における生涯スポーツ振興の一環として実施するものでございます。
 東京国体におきましては、都民のだれもが参加できること、子どもから高齢者まで世代を超えてスポーツに親しむこと、ストリート系スポーツ種目など幅広いスポーツの普及、振興を推進することなどを目的として行います。
 既に準備委員会におきまして、実施種目の第一次選択を行い、ウオーキングやグラウンドゴルフなど十一種目を十七の区市で実施することを決定いたしました。
 今後は、都民が気軽に参加できるこれらのデモンストレーションとしてのスポーツ行事をすべての区市町村において実施するよう働きかけ、都内全域で国体を盛り上げていきたいと考えております。

○西岡委員 ご答弁ありがとうございました。幾つかのデモンストレーションが既に決定しているということであります。
 平成二十五年の開催まで四年余りとなりました。今後は、地域から国体を盛り上げていくためのプレ大会などのさまざまな取り組みも重要です。既に一部プレ大会の検討も行われていると聞いています。
 都は、こうした区市町村の取り組みに対しても、積極的な支援を行うよう要望いたします。
 これまでの国体とは違った新しい国体をつくり上げていき、東京国体を成功させるため、今後とも大いにご意見を申し上げていきたいと思います。
 次に、スポーツインフラの整備について伺います。
 現在、多世代、多種目、多志向という特徴で、地域住民による自主的、主体的に運営される総合型地域スポーツクラブが各地で設立され,スポーツ振興の大きな役割を担っております。
 設立状況は、全国の市区町村設置率平均が五七・七%であるのに対して、都内の区市町村の設置率は、これは準備中も含めまして、五一・六%となっており、未だ半数程度です。
 そこで、実際に私の地元で熱心に活動している方から、活動のヒヤリングを行わせていただきました。
 総合型地域スポーツクラブの課題としては、活動する拠点がない、財政面での配慮が必要、事業を行う会場の確保が困難、人材の確保が困難などが挙げられます。都は、総合型地域スポーツクラブの育成を行うために、どのように課題や地域事業を把握し、きめ細かな支援策を積極的に構築していくのかを伺わせていただきます。

○秋山生活文化スポーツ局長 地域スポーツクラブの設立育成に当たりましては、地域の特性を的確に把握し、きめ細かな支援を行うことが重要だというふうに考えております。
 都は、これまでクラブ運営の核となる指導者の養成や、スポーツ指導者の派遣を行いますとともに、クラブに参加したことのない都民の皆様のクラブ体験事業に対して、助成を行ってまいりました。
 また、活動場所を確保するため、都立学校の施設開放事業と連携し、クラブのニーズとのマッチングを図るなど、課題解決に向けた多様な支援策を展開しているところでございます。
 今後とも、市区町村と連携しながら、こうした施策を積極的に推進し、地域スポーツクラブの設立、育成の支援に取り組んでまいります。

○西岡委員 ぜひとも積極的な支援策を継続的に行うよう要望いたします。
 「十年後の東京」では、スポーツを通じて次代を担う子どもたちに夢を与えるということが目標の八つ目に掲げられていますが、ハード面も重要です。
 区市町村の人口や財政規模、立地条件などによってスポーツ施設の充足度は、地域によってかなりの格差があります。例えば、広大な河川敷を有する自治体とそうではない自治体とでは、例えば野外のグラウンド規模には相当な差が生じています。施設が不足している地域では、公立学校や民間施設の地域開放を利用したとしても、スポーツ関係者の方々の会場確保の努力は相当なものであります。都はスポーツ施設の地域格差を解消する施策を構築するよう求めておきます。
 次に、障害者スポーツ振興について伺います。
 昨年九月、私はオリンピック・パラリンピック特別委員会にて、会派を代表して一人で、仲間の委員会の方々と一緒に北京パラリンピックを視察しました。特に開会式でのあの感動、世界がオリンピック・パラリンピックを通じて心が一つになるという臨場感は生涯忘れることはないと思います。
 そして、ボッチャというヨーロッパで生まれた重度の障害者のために考案された種目や、車いすバスケットボールの熱闘を、日本代表選手団の熱闘を目の前で観戦し、障害者スポーツの意義と世界の障害者へのメッセージの重要性を痛感しました。
 常に障害者スポーツが都内全域において推進され、東京から障害者スポーツの重要性がさらに発信されることが肝要です。
 そこで私は、国立市にあります東京都多摩障害者スポーツセンターを先日、視察してまいりました。実際に車いすバスケットボールで使用する車いすにも乗せていただきました。
 サウンドテーブルテニスといいまして、視覚障害者の方々が取り組む、音だけを頼りに打ち合う競技を体験させていただきました。実際に目をつぶって音だけを頼りにラケットを振るというのは、非常に困難なものだなと思わせていただきましたし、障害者スポーツに取り組む方々のパワー、そして研ぎ澄まされた感覚、そして何よりも日々の大変な努力というものを痛感いたしました。
 センターには、身体障害者にとってスポーツは障害のない人々以上に重要な役割を持っており、スポーツは単に健康の保持や体力の向上が図れるばかりでなく、機能の回復や社会への適用への糸口になるという理念が掲げられておりました。
 施設面では、障害者スポーツ専用となっている都の施設は、多摩に一カ所で、利用者は年間延べ十六万人、区部も一カ所で、利用者は延べ二十一万人、延べ人数のところでは大変な方々が利用されているんだなと思いました。
 しかし、一方で、利用者の分布は、センター近隣の方々が圧倒的に多くなっていることから、やはりすべての区市町村において障害者のスポーツ施設利用を促進させることが必要です。
 ちょっとした工夫で障害者の方々の利用が進むと聞きました。プールなどで必要となる家族更衣室の設置促進も欠かせません。都内全域の公共的スポーツ施設において、障害者が安心して利用できる施設改善と新しいルールも必要です。
 都は、各自治体での障害者スポーツ振興の取り組みと施設面での現状を把握し、適切な支援を行うことが必要です。
 都の取り組みを伺います。

○安藤福祉保健局長 障害者の方が利用できる地域の公共スポーツ施設につきましては、東京都障害者スポーツ協会が作成したガイドブックを活用し、紹介をしております。
 さらに、東京都の障害者スポーツセンターの指導員がコーディネート役となり、区市町村の職員などと協力いたしまして、地域で障害者がスポーツを楽しむことのできるよう指導、支援を行っております。
 また、これらの支援の様子や障害者の利用に配慮した設備面での工夫を収録いたしましたDVDを区市町村等へ配布し、普及に努めております。
 今後も、障害者スポーツセンターの活動を通じ、地域での障害者スポーツの取り組み状況に応じた支援を行ってまいります。

○西岡委員 私も、そのガイドブックを見ました。取り組みには、自治体によってかなり濃淡があるんだなということもわかりました。東京都の積極的な支援を要望いたします。
 障害者スポーツを地域で推進するためには、自治体がコーディネーターとなって、多様なネットワークを構築し、指導者やボランティアなどの人材の確保が重要です。
 現在、スポーツセンターでは千名の人材バンクを目標に、三年前から講習会を行い、四百名が登録されています。この人材バンクを安定的に区市町村で活用するには、学生も実は相当数含まれていることから、実質的に継続的に活動できる人材をさらに育成することが求められます。
 都には、障害者スポーツを支える人材をふやし、現場で活躍してくれる指導者を育成する取り組みが必要です。人材バンクの活用状況や今後の取り組みについて伺います。

○安藤福祉保健局長 現在、障害者スポーツセンターにおいては、障害者スポーツの指導員やボランティアを養成する講習会を実施しております。この講習を受けた方々を、障害者スポーツボランティアとして人材バンクに登録し、地域のさまざまな場面で障害者スポーツの振興に寄与していただいております。
 今後とも障害者スポーツが、スポーツボランティアの養成を図るとともに、リーダー講習やコーディネーター講習において、地域での活動実践事例を紹介するなど、人材バンクに登録した方が、地域で積極的に活動できるよう取り組んでいきたいと思います。

○西岡委員 人材の確保は、施策推進のかぎであります。地域の現場で実際に活躍していただけるよう、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 ことし九月には東京では初めての開催となる東京二〇〇九アジアユースパラゲームズが一九六四年の東京オリンピックで使用した会場を中心に開催されます。公式サイトでは、日本の障害のある青年たちにアジアの人々との交流などを通じ、スポーツに参加する機会を提供するとともに、日本とアジアにおける障害者スポーツの普及を推進しますとうたっています。私もその開催を楽しみにしていますし、たくさんの方々に応援に行っていただきたいと願っています。
 この大会は、二〇一六年、東京オリンピック・パラリンピックの招致にも重要な場面であります。開催の成果を含め、障害者スポーツの振興に取り組む都の姿勢について伺います。

○安藤福祉保健局長 障害者スポーツの振興は、障害者の自立促進や社会参加、障害への理解促進に大変重要な役割を果たしております。こうしたことから、都は障害者スポーツ大会の開催、障害者スポーツセンターの運営や、指導者、ボランティアの育成など、障害者スポーツの普及啓発に取り組んでおります。ことし九月に開催されます東京二〇〇九アジアユースパラゲームズは、障害者スポーツの機運を高めていくまたとない機会でありまして、その成功に向けて全力で取り組んでまいります。

○西岡委員 私が障害者スポーツを取り上げましたのには、実は、あるきっかけがありまして、トライアスロンというスポーツ、私は、そんなにすごい選手ではもちろんありません、完走するだけが目標の選手ですが、私の親しい方に、二十のころに難病になりまして、片足を切断してしまった方がいます。その方は全く泳げなかったんですね。自分に生きる目標を得ようと思って、トライアスロンに初挑戦して、必死に頑張ったんですね。その結果、最終的には、十数年たちましたけれども、健常者の出る大会にその方は挑みまして、年代別で何と日本で三位、そして日本代表選手としてハワイに行ったという世界的に有名な方がいらっしゃいます。
 その方の話では、義足をつけて百八十キロ、自転車をこぐ。もちろん片足で泳ぎます。そして、最後は義足をつけてフルマラソンをする。足にかかる負担、相当な激痛と傷みがあったようであります。
 実は、障害者のスポーツを振興するということは、障害者の方々が日々使用している義足や義手などのさまざまな器具の開発につながっているんだなということを改めて痛感しましたし、また、そういう方々が私たちに与えてくれる勇気というものは大変なものがありました。東京都もこの視点に立って、そういったさまざまな研究開発も行うように要望しておきたいと思います。
 次に、質問をかえます。
 蛇口をひねれば水が出る。今ではごくごく当たり前のことでありますが、昨今の水道事業が確立するまでには、先人の方々の大変なご努力と試行錯誤の積み重ねの上に今日があり、今では世界有数の水道事業が展開され、国際貢献にもつながっているのが東京水道と認識しています。
 現在、水道事業には、震災対策、環境対策、おいしさの追求、「東京水」ですね。首都東京のライフラインとしての機能の確保、そして、団塊の世代を迎えることによる水道技術者の継承など、さまざまな課題があり、それらの課題を乗り越えていかなければならない状況にあります。
 特に、都民の料金設定とも密接にかかわる財政問題は重要です。平成十九年度決算では、収益的収支が、収入三千四百四十二億円、支出二千七百五十三億円と黒字決算となっておりますが、一方で、資本的収支においては、その収入は三百三十億円の新たな企業債だけでは賄えないために、収益的収支の減価償却費六百七十九億円と純利益の六百八十九億円を資本的収支の不足額に充当させることによって、建設改良費、そして、企業債償還金といった借金の返済に充てられております。
 実は、東京水道のことを少し勉強させていただきましたけれども、大きな課題の一つに、水道施設の更新という問題があるということがわかりました。東京都水道局の浄水場の通水年度別施設能力は、全体の約七割が昭和三十年代後半から四十年代に建設されており、今後必ず更新の時期がやってきます。
 都では財務局から、今定例会で、都庁舎などの都有施設の大規模改修改築方針が示され、十年間で総額八千億円規模の方針が示されたところでありますが、水道局においても、大規模浄水場更新積立金が平成十九年から毎年五十億円ずつ積み立てられ、平成二十一年度では積立金残高百五十億円を計上しています。過去の議会において、この更新の総額が一兆円にも上る更新経費であることがわかりました。
 現在、相当数に上る水道事業関連施設となっている浄水場や配水管施設改築、改修の方針が検討されていると考えます。その概要や、現時点で想定されている概算の予算規模や予算規模の根拠について、伺わせていただきます。

○東岡水道局長 都の大規模浄水場の多くは高度経済成長期に建設されておりまして、これらの施設は、今後、平成三十年代から集中して更新時期を迎えます。更新経費の概算額でありますが、大規模浄水場のうち、比較的建設年次が新しい三郷浄水場の建設費をもとに試算いたしますと、約一兆円の経費が見込まれます。
 このほかに、水道施設には固定資産の約六割を占める膨大な配水管ネットワークがありますが、これについては、これまでも計画的に取りかえ、更新を行ってきておりますので、将来一時的に集中して更新財源が必要になることはありません。

○西岡委員 一兆円の規模の更新の時期がいずれやってくるということは大変な事態だなと思っております。平成三十年以降から十数年の間に一兆円規模の大規模更新が必要となることを考えると、財源をどのように確保していくのかが極めて重要であると思っております。どのように対応していく方針なのか、伺います。

○東岡水道局長 大規模浄水場の更新は、安定給水を継続しながら行っていく必要があるため、先行的に代替施設を整備する必要があります。代替施設の整備には、約一千二百億円が必要であると見込まれますが、その財源の一部に充てるため、平成十九年度から毎年五十億円を積み立てております。
 この先行整備費用とは別に、今後、膨大な更新財源が必要になると思われますが、可能な限り自己財源である料金収入で賄いたいと考えております。

○西岡委員 積立金と料金収入で賄いたい、賄うという考えが示されました。
 先ほどの質疑でもありましたが、水道事業の震災対策というものにも一定の予算が伴いますし、目標の達成までにはまだまだ道半ばであると思われます。
 水道料金の設定に関しては、これだけの大規模改修が予定される状況で、独立採算制となっていることを考えると、どのように推移していくのかが重要な要因となります。人口減少社会という動向も考慮しなければなりません。現状では、現行の料金水準を維持するとされています。都民生活の利便性を追求するためには、料金の引き下げを目指して努力していく観点も必要です。しかし、現状、これだけの施設更新や耐震化などの対応が予定されているということは、水道料金の今後の設定がどのようになるのかは、都民にも大いに関心が持たれるテーマとなります。
 水道料金に関するご見解を伺いたいと思います。

○東岡水道局長 水道事業は、地方公営企業として独立採算の原則に基づき、運営しております。事業に必要な経費は、経営に伴う収入をもって充てることとされており、今後必要な更新や耐震化に要する経費を含め、その財源は、可能な限り自己財源である料金収入で賄いたいと考えております。

○増子副委員長 西岡真一郎委員の発言は終わりました。(拍手)

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