予算特別委員会速記録第四号

○増子副委員長 崎山知尚委員の発言を許します。

○崎山委員 まず初めに、不況時の産業支援について伺います。
 私の地元の経営者の皆さんの声を聞くと、昨年秋以降、受注量はぱったりとなくなったという声をよく耳にします。特にものづくり関連の業界ではそれが顕著となっています。耐震偽装問題に端を発し、原油、原材料価格の高騰の後、マネーゲームの果てのリーマンショックの影響で融資の道も閉ざされ、今ものづくり産業は塗炭の苦しみにあえいでおります。
 ちまたからは、政権選択よりも、迅速で実効性のある景気対策をとの声が日増しに多くなっています。景気対策は国に負うべきところが大きいものでしょうが、都としても、この緊急事態において、ためらうことなくあらゆる手段を講ずべきと考えます。
 そこでまず、実態の把握でありますが、最近は特に雇用の厳しさを指摘する報道が相次いでいますので、雇用の面から景気対策が必要ではないのかということを確認しておきたいと思います。
 先月の日本経済新聞で、雇用調整助成金の申請が急増した都道府県のランクづけが掲載されていましたが、そのトップは愛知県で前月比十二・三倍、次いで、埼玉、岐阜となっていました。雇用調整助成金とは、企業の従業員解雇を防ぐための、休業手当や教育訓練費用の一部を国が助成する制度でありますけれども、自動車関連産業種の集積する県で申請の増加が顕著となっています。
 ところが、東京は急増した自治体にランクされていません。どうも、こうした統計でも、大企業が存在する地域のみが大変だ、大変だと問題にされているようです。しかし、雇用の問題でも中小企業にもっと目を向けるべきではないでしょうか。
 そこで最初に、さまざまな中小企業が集積している東京ならではの雇用情勢についてどう認識しているのか、お伺いをいたします。
   〔増子副委員長退席、委員長着席〕

○佐藤産業労働局長 東京の産業を支える中小企業は、都内従業者数の約七割以上の方々が働いておりまして、雇用の維持、確保においても重要な役割を果たしております。しかし、現在中小企業は、資金繰りや売り上げ減少等に苦しみ、倒産件数がふえるなど、雇用にも影響を与えております。
 お話の雇用調整助成金について、都内中小企業における一月の申請状況を見ますと、全国第四位の五百八事業所に上っております。
 また、一月の求人数を見ますと、従業員二十九人以下の小規模企業において悪化が目立っておりまして、前年に比べまして、率で一六ポイント以上、総数で七千六百人以上も求人数が減少しております。
 産業別では、大企業の生産調整等の影響もございまして、製造業における求人数が前年比で四割以上も減少しているなど、大幅な落ち込みとなっております。
 このように、東京においても、規模別では小規模企業、産業別では製造業における雇用状況は大変厳しいものになっているというふうに認識をしております。

○崎山委員 報道等による大企業中心の派遣の雇いどめの問題ばかりでなく、中小零細企業における雇用こそが大切であると改めて指摘しておきたいと思います。
 昨日も鈴木あきまさ議員も触れておりましたが、我が都議会自民党ものづくり推進議連でも、これまで、三宅議連会長、政調会長を先頭に、都内のものづくり産業の視察や実態調査を行ってきました。ものづくりに携わる中小企業経営者は、景気が回復したときのために、みずからの身を削ってでも、高い技術を持った社員を抱えて踏ん張っていこうという意気込みがうかがえました。
 とはいっても、我が国経済の屋台骨である都内中小企業は、今深刻な状態に陥っています。資金繰りの悪化や受注の急激な減少、企業の倒産に至っては、前年同月比六カ月連続で増加するなど、予断を許さない状況にあります。
 中小企業が安心して操業し、この難局に立ち向かうためには、中小企業経営基盤の安定化が何より欠かせません。今こそ、多くの雇用を支える中小企業を倒産の危機から守るセーフティーネットを拡充していくことが重要と考えますが、所見を伺います。

○佐藤産業労働局長 厳しい経営環境にある中小企業を倒産の危機から守っていくためには、それぞれの中小企業が置かれた状況に応じて、金融支援、連鎖倒産防止、事業再生支援等、さまざまなセーフティーネットを構築していくことがまさに重要であるというふうに考えます。
 都は、まず資金繰りが厳しい中小企業が円滑に資金調達できるよう、本年度、補正予算による緊急中小企業支援対策といたしまして、制度融資に最優遇金利を適用した融資メニューであります経営緊急を設置したところでございます。
 また、都内企業の倒産件数が増加している中、中小企業の連鎖倒産を防止するため、昨年十二月より、国の経営セーフティ共済、この掛金の一部を助成する緊急事業を約一億円の予算規模で実施しております。来年度は、この事業の予算規模を九億円と大幅に拡大いたしまして、平成二十二年三月までに、都内で五千件の新規加入を目指して進めてまいります。
 さらに、業績悪化等による事業の継続が危ぶまれる中小企業に対しまして、事業承継・再生支援事業による経営支援を実施しております。
 今後とも、これらの取り組みを着実に展開することで、中小企業のセーフティーネットを拡充してまいります。

○崎山委員 昨年の九月、そして十二月と二回にわたって、東京都が、金融支援や連鎖倒産防止などの対策、そしてまた、さまざまな観点からセーフティーネットが講じられていることがよくわかりました。
 私の地元荒川区を初め荒川下流域は、その水運も生かして、リサイクルを主な産業の一つとして発展してきた経緯があります。明治時代に創業した王子製紙や千住板紙などの工場や、浅草の伝統として受け継がれていた紙すきの技法などの影響もあり、今でも古紙のリサイクルは、産業として雇用や環境面で大きな役割を果たしています。しかし、現在の状況を業界の方に伺うと、リサイクル業そのものがピンチであると聞いています。
 昨年の北京オリンピックをピークに、古紙を初めとする再生原料相場は暴落状態にあります。業界紙でもある日刊資源新報で、昨年八月十八日とことしの二月二十六日の相場を比較すると、古紙はトン当たり一万八千円が九千円と約半値に、特に下落幅の大きいアルミ缶プレスに至っては、高値で十六万五千円であったものが、今一万五千円と約九割以上も下がっています。このままでは、日本を支える環境産業どころか、資源循環型社会構築の受け皿となるリサイクル業界が壊滅的な打撃を受けかねません。地域、環境への負荷を減らすためにも、その担い手であるリサイクル事業者の社会的な役割は、ふえこそすれ減ることはありません。
 環境関連の中小企業は、新しい技術やアイデアを活用し、新事業や新分野に挑戦しようとしているものも少なくありません。環境産業は今後も重要かつ成長が期待できる産業であるにもかかわらず、現下の極めて厳しい不況によって、こうした地域の課題を解決している中小企業の新しいビジネスの芽が摘まれてしまうのではないかと危惧をいたしております。
 都が今年度創設した東京都地域中小企業応援ファンドは、こうした地域の課題を解決するビジネスを支援するものだと聞いています。
 そこで、本事業の支援実績と今後の展望についてお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 都は本年度、都内のさまざまな地域資源を活用して、地域の魅力向上や課題解決に取り組む中小企業やNPO等を支援いたします地域中小企業応援ファンドを創設いたしました。お話の、新しい技術やアイデアを活用して新事業や新分野に挑戦しようとしている環境関連の中小企業も、当ファンドの活用が可能でございます。
 当ファンドの支援実績でございますが、本年一月に、河川の流水等を効率的に利用する小型の水力発電装置など、十四の助成対象事業を選定したところでございます。
 来年度は助成件数を大幅にふやしまして、より多くの地域密着型ビジネスを支援してまいります。また、助成対象とした事業を成功に導くことが重要であることから、最長二年にわたりまして、事業の立ち上げから販路開拓までを一貫してサポートしてまいります。

○崎山委員 今、世相は、未曾有の不況によって雇用や事業継続の不安感に覆われています。今日の状況の中では、私たちに課せられた課題は、いかに早くこのトンネルを抜け出すかということであります。そして、このトンネルを抜け出すかぎは、産業のすそ野を支える中小零細企業であります。
 中小零細企業は現在厳しい経営環境に直面していますが、こうした企業の下支えなくして将来の東京の展望は描けません。将来の東京の展望を切り開くためには、中小零細企業が将来に明るい希望が持てるよう、今後とも積極的に施策を講じていくことが何よりも重要だと考えておりますが、中小零細企業の支援に向けた知事の決意をお聞かせ願いたいと思います。都民が安心し、自信が持てるメッセージをいただければと思います。お願いいたします。

○石原知事 先ほど申し上げましたが、日本の小零細企業というのは、世界にも例のない存在でありまして、かけがえのない高度な技術と、それを駆使できるすぐれた人材の宝庫でありまして、まさに我が国の産業力の源泉であります。しかし、こうした類例のない、他に例のない産業構造について、国が果たして十全な認識を持っているかというと、先ほど申しましたように、私、非常にそれが足りないと思います。
 私は議員時代、自分の選挙区でありました大田区、品川区というのは、他にもそういう区がありますけれども、技術を持った、高い技術を駆使してすぐれた製品をつくる小零細企業の密集地でありました。例えば、夫婦二人でやっているある小さな工場などは、何を削っているかと思うと、原子炉の軸を削っていたり、今日では新幹線の主要な、非常に精巧な、精度を要する部分を、部品をつくったりしております。しかし、こういう存在がいつも危機にさらされて、例えば、景気がよくなってきて暖かい風が吹いてくるのは、最後は小零細企業、冷たい風がいつも最初に吹いてくるのは小零細企業ということで、これを何とかしようと思って私も議員提案しましたが、全然通用しませんでした。
 いずれにしろ、これが世界的な経済危機の中で今も未曾有の苦境に立たされておりまして、その痛手は極めて深刻であると同時に、実は、これは日本の産業全体にとっての危機でもあります。
 このため、制度融資の拡充や連鎖倒産の防止等、国に先駆けた二度の緊急対策も講じてまいりましたが、さらに来年度予算では、中小企業対策予算を三割増しとして、この危機を乗り越えるために、都独自の金融支援策を創設するとともに、次代を見据えた施策として、小零細企業の経営体質強化を図る取り組み等を展開してまいります。
 今後とも、技術、経営、人材育成などのさまざまな面から現場の実態に即した施策を着実に展開し、懸命に努力をする小零細企業をしっかりと支えていきたいと思っております。

○崎山委員 ありがとうございます。一日も早く地元、地場産業でありますものづくり産業に暖かい風が吹くことを、私たちもしっかりとして取り組んでいきたいと思っております。
 次に、高齢者施策についてお伺いいたします。
 我が党は、本定例会の代表質問で、特別養護老人ホームなどの着実な整備の必要性について言及いたしました。
 現在、都では、この特別養護老人ホームの整備について、十人分程度の個室と共同スペースを一つの単位、つまりユニットとして、家庭的な雰囲気のもとでケアを行うユニット化を進めています。居住環境の改善や高齢者の尊厳を保持するため、ユニット型を優先して整備を進めることは理解できますが、既存の施設で、老朽化し改築の必要が生じているものの、隣地の確保などが困難なため、ユニット型での整備が難しい場合もあります。
 こうした問題に対処するためには、ユニット型個室の整備だけではなく、それ以外の柔軟な補助制度が必要と考えますが、所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 利用者本位のケアを実現するために、特別養護老人ホームにつきましては、現在はユニット型での整備を基本として補助を行っております。しかし、既存施設をユニット型に改築する場合には、現在の敷地以上の敷地が必要となるなど、物理的に対応が困難な場合も考えられるところであります。
 このため、区市町村などの意見を踏まえまして、既存建物の増改築については、プライバシーに配慮するなど一定の条件のもと、ユニット型ではない施設についても補助の対象とすることを検討していきたいと思います。

○崎山委員 柔軟に対応していただけるということです。これは、身近な場所に特別養護老人ホームを確保するという都の方針にも合致するものでありますので、ぜひ区市町村とも密接に連携し、取り組んでいただきたいと思います。
 また、我が党は、特別養護老人ホームの事業者の皆さんから、これまでのたび重なる介護報酬のマイナス改定によって収支が悪化し、施設の修繕や耐震化工事の必要があるものの、修繕費を十分に確保できないという切実な声も聞いております。
 そこで、特別養護老人ホームの修繕や耐震性など、中長期的な視点に立った施設の改修について都のバックアップが必要と考えますが、所見を伺います。いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 都内の特別養護老人ホーム三百八十七施設ありますが、このうち約七割の二百五十四施設は、建築後十年以上経過しておりまして、都が昨年度実施いたしました特別養護老人ホーム等経営実態調査でも、施設長さんの多くが、施設経営の課題として建物、設備を挙げております。
 このため、都は来年度から、給排水など大規模な修繕や居住環境の改善に係る経費に対する補助制度を開始し、施設の計画的な改修を支援してまいります。

○崎山委員 各施設は、地価や物価が高い東京において、現場の第一線で日々努力をされているので、都においては、こうしたきめ細かな支援をお願いいたします。
 次に、介護保険事業者に対する指導検査についてであります。
 平成十二年に介護保険法が施行されてから、在宅サービスを中心に介護サービスの利用が急速に拡大するなど、介護保険制度は、高齢者の生活を支える仕組みとして定着してきました。都内の介護サービス利用者は、制度が発足した平成十二年と、新予防給付や地域密着型サービス等が創設された平成十八年度改正の直前とで比較いたしますと、約十五万五千人から約二十九万五千人へと、二倍近い伸びになっております。その後も引き続き増加しています。
 しかし、介護サービスの利用が拡大する一方で、介護報酬の不正請求や重大な基準違反等の法令違反事例が後を絶たないのが現状であります。都においては、不正請求額が約二億一千九百万円にも上る介護事業所の指定取り消し処分がなされるなど、介護サービスの量だけでなく、質の確保、向上が課題となっております。
 こうした中、平成十八年に施行された改正介護保険法により、指定市町村事務受託法人の制度が創設されました。都では平成二十一年度から、この制度を活用して区市町村が実地指導を委託することができるよう、福祉事業者指導・支援センター補助事業を開始すると聞いています。この事務受託法人制度にはどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 お話の福祉事業者指導・支援センター、仮称でございますが、これは、区市町村とともに介護サービス事業所に赴きまして、サービスの内容や介護報酬の請求等について指導を行うものであります。
 都は、全国で初めて都道府県単位でこれらの事務を行う受託法人として、財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団を予定しております。
 この制度の活用によりまして、区市町村の実地指導体制が整備強化され、事業者の健全育成、不正請求等の未然防止が図られるものと期待しております。また、こうした取り組みは、不適正事例の早期発見にもつながるため、都としても区市町村と連携することにより、一層重点的かつ効果的な指導検査を行うことができると考えております。

○崎山委員 事務受託法人が区市町村に活用されることによって、都と区市町村との指導、監査体制が拡充され、より多くの健全な介護サービス事業者の育成支援につながるとともに、介護サービスの質の確保と向上、さらには介護保険制度の安定した運営が図られることを期待いたします。
 最後に、日暮里・舎人ライナー等についてお伺いをいたします。私の地元であります。
 荒川区の日暮里駅と足立区の見沼代親水公園駅間の九・七キロを結ぶ新交通システム、日暮里・舎人ライナーが開業してから早いもので一年が経過いたします。
 沿道の無電柱化率も今年度には一〇〇%、街路については二十一年度中に一〇〇%整備されることになっています。
 ライナーの開業前まで、沿線住民の方は、JR日暮里駅などへ出るためにはバスを利用するしかありませんでしたが、ライナーの開通によって、道路の混雑から解放されて、移動時間が大幅に短縮しただけでなく、ダイヤどおりの運行を行っていることから、時間が読めるようになったと大変好評であります。
 また、地元の期待を受けて開業した日暮里・舎人ライナーは、開業当初から多くの方にご利用いただいておりますが、さらに利便性を高めるために、昨年七月には、開業からわずか三カ月でありましたが、我が党の強い要望を受け、ダイヤの改正を行い、始発時間の繰り上げ、朝、夕、夜間帯の列車の増発を実現いたしました。
 日暮里・舎人ライナーも、開業後一年を経過し、そろそろ路線の特徴などがはっきり見えてきたころだと思います。
 そこで、乗客の動向など日暮里・舎人ライナーの現状について、まず初めにお伺いをいたします。

○金子交通局長 昨年三月三十日に開業いたしました日暮里・舎人ライナーは、本年一月末の時点でございますが、一日平均約四万九千人のお客様にご利用いただいております。
 路線の特徴といたしましては、平日の朝夕にご利用のお客様が集中するという、いわゆる典型的な通勤通学路線でございまして、その中でも、とりわけ朝の混雑度が高くなっております。

○崎山委員 開業前の需要予測が五万一千人ということでありましたので、乗客数はほぼ予定どおりだというふうに理解をいたしております。
 日暮里・舎人ライナーは、通勤通学路線で、朝のラッシュの混雑が激しいとのことですが、私も、多くの沿線住民の方から、最近ますます混雑が激しくなってきた、何とかならないか、雨天時には乗れなくて一本見送ったなどの声も寄せられております。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの混雑に対して、どのような対策を講じていくつもりなのか、お伺いをいたします。

○金子交通局長 日暮里・舎人ライナーの混雑対策でございますが、現在、輸送力の増強と、これから長期間かかります法定検査が始まりますので、そのための代替車両という意味合いで、新たに車両を二編成発注をしています。
 ことし秋にはこの車両が完成することから、朝のラッシュ時間帯を中心に、輸送力を増強するため必要なダイヤ改正を行って、混雑の緩和を図ってまいります。

○崎山委員 たとえ朝のラッシュとはいえ、電車は快適に利用したいものであります。今の答弁により、朝の混雑緩和を図るとのことでしたので、ぜひ期待をいたしております。よろしくお願いいたします。
 次に、現在走っている既存の車両についての質問をしたいと思います。日暮里・舎人ライナーは車両が小さいため、座席は一般の通勤電車と異なって、進行方向または逆、進行方向とは反対向きの座席、いわゆるクロスシート、ボックス型になっております。それが主体であります。
 この座席配置は、地方の鉄道や他の新交通でも採用しているということでありますけれども、すいているときにはもちろん快適ですけれども、朝夕の混雑時には、逆に、車両中央の通路が狭くなっているために、入り口付近に人が滞留してしまいがちであります。
 通路側の幅、大体六十センチ弱だというふうに聞いておりますけれども、朝夕の通勤で日暮里・舎人ライナーを使っている多くの方から、車両の奥に人が詰められるような構造にしてもらいたい、混雑するので、もう少し手すりなどつかまるところが欲しいとの声が上がっております。
 そこで、こういう利用者の声にこたえ、現行の車両を改善するなど、車内の快適性をより高めるべきではないでしょうか。今後、どのような対策を考えているのか、お伺いをいたします。

○金子交通局長 確かにご指摘のとおり、特に朝のラッシュ時、混雑するときなどに、お客様がなかなか真ん中の方へ入ってくださらないということで、混雑が激しくなっております。
 したがいまして、先ほど申し上げましたが、新たに今後導入する車両につきましては、座席配置の一部をいわゆるクロスシートからロングシートに変更いたしまして、お客様が車内の中ほどまで入りやすいレイアウトといたします。そのほか、手すりの増設など、車内の設備も改善することとしております。
 また、既存の車両につきましても、ことしの秋以降、法定検査の時期に合わせて、順次新車に準じた改修を行ってまいります。

○崎山委員 ことしの秋に導入される新車二編成だけではなく、現在走っている車両についても、座席配置の一部をロングシートに変更するとともに、手すりなどについてもふやしていくとの前向きな答弁をいただきました。ロングシートというのは、わかりやすくいえば山手線のシートのように窓際にベンチシートみたいな配置になりますけれども、そういうシートにかえていただくということであります。ありがとうございます。
 日暮里・舎人ライナーは、利用者の声を十分くみ上げてこそ、さらに地元に根づき、愛される路線になっていくと思います。このため、ライナーの車両については、今後も技術的な検討を重ね、よりよいものにしていただきたいというふうに思います。
 次に、これも私の地元の都電荒川線についてお伺いいたします。
 私の地元荒川区には、日暮里・舎人ライナーと熊野前で接続する都電荒川線が走っております。交通ネットワークが形成され、大変利便性が高まっております。
 区内を縦断する日暮里・舎人ライナー、そして横断するのが、この都電であります。(「山手線もある」と呼ぶ者あり)はい、山手線もあります。荒川線は地元の足として、荒川区民にはなくてはならないものとなっており、通勤、通学に多くの区民の方に利用されております。それに運賃は、早稲田から三ノ輪橋間、一律百六十円と格安であります。
 また、交通局では、荒川線の魅力をさらに向上させ、活性化を図るため、ことし一月には、二両目となる昭和初期の東京市電をイメージしたレトロ調デザインの車両の運行を開始しました。
 きょうはパネルを持ってきましたので、見ていただきたいと思います。上の写真がレトロ車両であります。一昨年の六月に宝くじの益金で購入したレトロ車両であります。そして、この車両は色違いで、青色を基調とした車両でありますけれども、これがことしの一月に二両目としてお目見えをしましたレトロ車両であります。下が新型の車両で後でご紹介をしたいと思います。
 また、レトロ車両とあわせて、停留所も二つばかりレトロ調にしたというふうに聞いております。レトロ車両とあわせて整備することで、ますます観光路線としてのイメージが向上していくことを期待しております。
 また、ことしからいよいよ現行車両の更新が始まります。この下の方の車両であります。新型車両の製作に当たっては、新たな取り組みとして車両デザイン案を公表し、全国の皆さんからの投票によって車両のデザインを決定したと聞いております。
 私の自宅も事務所も、荒川線の沿線にあります。先日、偶然に試運転中の新型車両を目にいたしました。車両は濃いピンクと白色のツートンカラーというこれまでにない斬新なデザインとなっております。車両の更新とともに、荒川線も次の新しい時代に入ったとの感を強くいたしました。
 インパクトのある車両の運行によって、荒川線のイメージも大きく変わっていくのではないかと思っておりますが、交通局長には、この新型車両と先ほどのレトロ車両、どちらがお好みでしょうか。局長はレトロ派ですか、未来派志向でしょうか。

○金子交通局長 先ほど先生からもお話がありましたが、一昨年、宝くじ協会さんのご寄贈をいただきまして、今のタイプの前のレトロ車両の運行をいたしましたけれども、交通局として車両の更新をしたのは、平成の初めが最後でございました。八五〇〇型というのを五両入れましたけれども、それ以来、久々に新しい車両を入れることができるようになったわけでございます。
 今回、昭和の初期のタイプと従来にない新しいデザインのものとあわせて導入することができるようになったわけですが、十五、六年ぶりに導入ができまして、どちらも私たちにとってはかけがえのない大切な宝物のようなものでございまして、甲乙つけがたいというのが実感でございます。

○崎山委員 さすが教科書どおりのご答弁をどうもありがとうございます。
 一昨年の六月ですから、これは実に十六年ぶりになるのかな、こちらが十四年ぶりの新車両ということでございまして、地元でも楽しみにしておます。
 さて、今見ていただいた荒川線の新車については、デザインや外観、性能といった側面も重要ですが、車両の車内について、お年寄りなどだれにでも使いやすいユニバーサルデザインが十分施されていなければなりません。
 荒川線は、多くのお年寄りが利用されています。お年寄りは、ちょっとした車両の揺れでも転倒する危険もありますし、降車する駅などについても、さらにわかりやすいものであっていただきたいものであります。
 そこで伺いますが、今回の新型車両の特徴と今後の導入計画をお伺いいたします。

○金子交通局長 今回導入いたしました新型車両につきましては、荒川線の未来を開く先進性と快適性をコンセプトといたしまして、斬新なデザインのものにしております。車内は手すりを大幅にふやしまして、つかまりやすくするとともに、ドアの開閉のタイミングを光と音で知らせる開閉表示灯の設置、またカラー液晶式の案内表示装置の設置など、ユニバーサルデザインを取り入れた設計としております。
 導入計画につきましては、今年度まず二両の導入を皮切りに、今後、順次ふやしていきまして、平成二十三年の春までに合計で十両を新型車両に置きかえていく予定でございます。

○崎山委員 レトロと合わせて新型も十両ということで、都合十二両計画的に整備をしていただきたいというふうに思っております。
 新型車両の斬新なデザインは、多くの都民に新鮮な刺激を与え、利用客の増加にもつながるものと思います。レトロ調の車両は内装も豪華にして、貸し切り運行などにも対応できる観光路線の車両としての側面を持つのに対して、この新型車両については、これから量産が行われ、荒川線の一翼を担う車両になることが期待されるところであります。
 また、今回の車両が、お年寄りや障害のある方にも配慮した車両となっていることもわかりました。ただ、実際に利用していただくと、使いづらいとか見えづらいなどといった我々が想定もしていなかったいろいろな意見が出てくるものと思われます。そのような意見にも、ぜひ耳を傾け、今後製作する車両に生かしていただきたいと思います。
 いずれにしても、レトロ車両に続き、斬新なピンク色をしたこの新型車両の運行が今から待ち遠しいものであります。
 そこで、最後に伺いますが、この魅力的な荒川線新型車両の運行開始時期はいつごろからになるのか、お伺いいたします。

○金子交通局長 新型車両は、先週、荒川車庫に搬入されまして、試運転を始めたところでございますが、今後は乗務員の訓練など必要な準備を行いまして、五月のゴールデンウイークの前には運行を開始したいと考えております。
 新型車両の導入を契機といたしまして、多くのお客様にご利用いただけるよう、一層PRに努め、荒川線の活性化に取り組んでまいります。

○崎山委員 交通局については、日暮里・舎人ライナーと荒川線について、いろいろと伺ってまいりましたが、今後も、両線を基軸に地元の地域が活性化していきますよう、交通局には、さらなる魅力の向上を図るための施策などにも取り組んでいただきたいと思います。
 荒川線の新車は、ゴールデンウイーク前には運行されるとのことでしたので、一日も早い運行を心待ちにしております。
 昨日もご紹介がありました「るるぶ」、都バスの「るるぶ」の監修がありました。ぜひ日暮里・舎人ライナー、都電も「るるぶ」が発行できることを期待をさせていただきたいというふうに思っております。
 少し時間が余りましたが、密度の濃い質疑をさせていただきましたので、これで質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。(拍手)

○服部委員長 崎山知尚委員の発言は終わりました。

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