予算特別委員会速記録第四号

○増子副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 斉藤あつし委員の発言を許します。

○斉藤委員 それでは、大変時間も限られておりますので、ちょっと最初に予定した順番、そしてまた質問についても、若干変更を加えながら、テンポよく聞きたいと思いますので、ご了解をいただければと思います。
 ではまず最初に、多摩の医療体制について質問いたします。
 ちょっと一問目の予定したものは飛ばしまして--多摩の医療体制について、府中キャンパスを集中、高度化していくことは、大変喜ばしいことではあると思っています。しかしながら、多摩地域の診療所数や医師数が少ないのは事実であり、これはきのう山下議員からの質問でも大変詳細にございました。
 そして、病院経営本部の改革実行プログラム、これは平成十五年のものでも、多摩地域には精神病院や療養型の病院は多いが、急性期を担う大規模な病院は少ない。なお、地域における一次、二次医療を確保するために、二十六市二町一村の中でも、二十の市町村が直接もしくは事務組合によって病院を運営しているとあり、現時点でみずから病院を運営している特別区はないとしています。
 最近では、福生病院も三市の組合病院となりましたが、この当時の認識、今でも病院経営本部は変わらないんでしょうか。

○中井病院経営本部長 多摩地域においては、急性期を担う大規模病院が少ないということにつきましては、現在でも基本的に変わりないという認識におりますが、だからこそ、都といたしましては、多摩総合医療センター、小児総合医療センターを開設して、多摩地域における医療拠点の整備を行い、多摩地域全体の医療水準の向上を図ろうとしているわけでございます。
 なお、特別区においては、平成二十一年四月から、台東区に区立台東病院が開設されていると聞いております。

○斉藤委員 特別区の方では、若干区立病院ができたということで、大体認識は、ほかは一緒ということです。
 では、多摩地域でも、医師不足のほか、診療報酬や医療制度の改定で経営に支障を来して、経営母体や診療科目を大きく変更する病院が少なくありません。公立福生病院でも四月、産科分娩数の制限が予定されておりますし、また私の地元小平の緑成会病院も三月末に小児科を含めた大半の診療科が閉鎖される予定で、住民から不安の電話を何本も受けている状態です。加えて、公社病院の多摩南部地域病院でさえ、今もって小児科医不足で病棟が休止しています。
 そのようなときに、都立や公社病院の大がかりな再編は、時として周辺に動揺を与えるものではないかと思います。そして、清瀬小児病院の閉院について、私の地元の小平にある八市でやっている公立昭和病院、そしてそこを頼みの綱としている地元の小平医師会も、この小児科救急の昭和病院の負担、これがふえるんではないか、今以上に受け入れが難しくなるような混雑が予想されるんじゃないかと大変懸念をしております。このような不安を周辺に与えないように、連絡、説明といった連携は重要です。
 そこで伺いますが、公立昭和病院を例にとって、清瀬小児病院統廃合の影響について、さらには医療資源を補完する公社病院の北部医療センターの病棟改修などについて、理解を得る説明がちゃんとできているんでしょうか、確認します。

○中井病院経営本部長 公立昭和病院に対する説明につきましては、必要に応じていろいろな場面で情報交換や説明を行ってきております。
 具体的には、まず昨年十月に公立昭和病院を直接都の幹部が訪問いたしまして、多摩北部医療センターに小児科病棟の整備を行うこと、また今後の医師の確保の取り組みの方法などについて、委員長ほか病院の幹部の方々に説明をさせていただいているところでございます。
 また、このほかにも、清瀬小児病院と公立昭和病院とは同一の医療圏でございますので、日常的にいろいろな情報交換を行っておりまして、この中でも適時必要な情報を提供させていただいております。
 また、この圏域では、四市五医師会が協力して平日夜間の小児初期救急診療事業を行っておりますが、この協議会には公立昭和病院、それから多摩北部医療センター、さらには東京都も参画しておりまして、協議会の中で多摩北部医療センターの小児科の体制整備について、昨年十一月と本年二月に説明を行っております。
 さらに、公立昭和病院はこの地域の八市で構成している一部事務組合の病院でございますが、その管理者は現在清瀬市長でございまして、こうした関係もあって、清瀬市当局に対しては頻繁に説明を行わせていただいているところでございます。

○斉藤委員 なるほど、そういうことですね。
 ところが、おかしいんですよ。実は、私の方でたまたま別の取材で医師会の方と幹部の方とお会いしたり、昭和病院の事務局の方ともいろいろ話をしているんですが、その中で、大変説明がない、少ないというんですね。東京都の説明が非常に心もとないということをいうんですね。何かの勘違いかな、どっちかがうそをついているのかなと不思議でした。
 それで、ちょっとそのあたりについて詳しくお聞きしたいんですが、公立昭和病院も医師会も不安だといっていたんですね。それでは、公立昭和病院へ、清瀬小児病院廃止後、救急搬送などでどの程度影響があるかということを伺います。

○中井病院経営本部長 清瀬小児病院移転後、公立昭和病院を利用するようになる患者さんは、公立昭和病院が立地する小平市に居住する方が最も多いと考えられますが、清瀬小児病院の時間外救急患者の平成十九年度の実績を見ますと、小平市の利用者は三・五%、人数にいたしまして年間四百八十四人でございます。ということで、それほど多い数字ではございません。
 また、北多摩北部地域では、四市五医師会が行っております小児初期救急診療事業については、現在、多摩北部医療センターと佐々総合病院において、それぞれ週三日行っておりますが、これを週五日に拡大することとしております。
 これに加えて、多摩北部医療センターの小児科では、医師の増員により、五月から二人当直体制をとることとしております。
 こうしたことから、清瀬小児病院移転後も、公立昭和病院の救急医療などに受け入れ能力を超えるような大きな影響はないと考えております。

○斉藤委員 影響は大してないということをいっているんですが、今の中で清瀬小児病院に搬送された小平市の人は三・五%で、約五百人弱だというふうに話をしていましたが、これについては、こういった説明、つまり救急の方の負担のふえ方については、ちゃんと公立昭和病院などには伝えてあるんでしょうか。

○中井病院経営本部長 先ほども申し上げましたとおり、この件に関しましては、公立昭和病院、それから地域の医師会にいろいろな場面でいろいろなレベルでお話をさせていただいています。そういった中で、こういったことについても話はされているのではないかと思いますが、私、今の時点で、それが確かにこういう形で、いつどこでいわれたということについては、ちょっと確認できる状況ではございません。

○斉藤委員 実は、公立昭和病院、小平にあります。清瀬小児病院は東久留米を挟んで北隣にあるんですが、もしも清瀬小児病院がなくなって、自分の近くの、もしくは自分のところの病院の方にどのぐらい急患が清瀬小児に行かずに来るかということを考えたときに、じゃ、もともと清瀬小児病院はどこの市から何人、例えば位置的にいえば、多分公立昭和病院に流れるのは西東京市、そして練馬区、そして清瀬の一部、また東久留米の一部などだと思うんですが、その人たちが今まで清瀬小児病院に何人来ているかというのがわかれば、少し先々どのぐらい負担がふえるかという予測になると思います。
 恐らくそのことがあるから、先ほど小平市の方の利用者は三・五%というふうに答弁をいただいたんだと思います。
 では、こういった市区町村別の救急搬送の清瀬小児病院の実績、リストになっているもの、それがあるんですか、それをお聞きします。はいかいいえでお答えください。

○中井病院経営本部長 清瀬小児病院の院内の統計資料としてございます。

○斉藤委員 院内のというようなことですが、院内にあるものは、それは公表されていないという意味ですか、それとも公表されているという意味ですか。そしてまた、それをこういった周辺の病院に対して伝えているのでしょうか、伝えていないんでしょうか。

○中井病院経営本部長 全く隠し立てをするようなデータではございません。そういう意味では、ここでお話ししても結構ですし、地域においてもお話をこれまでしているかどうかは、先ほど申し上げたとおり、今、確認はできませんが、今後も必要があれば、いつでもどこでもご説明をさせていただきます。

○斉藤委員 そうですね。実は私、三月一日に、三月二日だったかな、清瀬小児病院の事務方とお話しさせていただきまして、そういった資料はないとお電話でいただいて、大変恐縮をされました。また、これも本部長の部下の方ですが、多摩南部地域病院の方も三月三日の日に伺って、そういう資料ありますかと聞いたら、事務方が探してくれたんですが、ないということで、大変恐縮されてしまいました。
 確かにこういった資料、先ほどいいましたようになかなかすぐ出てこないかもしれません。ただ、同時に、これが結局ベースになりまして、自分たちの病院のところにどのくらいの患者さんが、急患の方が来るかというのは、こういったデータの積み重ねでわかっていくことなんじゃないかと思います。
 最初の話に戻りまして、小平の医師会の小児科の先生はこういうふうにいっていました。実際、一万五千人の清瀬小児病院の急患、そのうちの何人がどこへ行くのか全くわからない。そして、そういった部分の説明がなされていない。だから、ちっとも自分たちは説明に納得がいかない、こういった趣旨の話をされていたんです。
 実は、これは似たような話をほかで幾つか聞きました。皆さん、どこの病院でも、どのぐらい負荷がふえるかということに関しては非常に気にしています。その部分についてきちんと説明、もしくは説明ではなくて、こういったデータがあるから一緒に協議をしましょう、どのぐらいふえて対応ができるかというのを協議をしましょう、そういったことは必要だと思いますよね。そして、それをやるべきだと思いますよね。はいかいいえで答えてください。

○中井病院経営本部長 地域の救急医療につきましては、清瀬小児病院が移転した後の体制づくり、先ほども申し上げましたが、多摩北部医療センターの小児病棟の充実、それから地域の医師会の協力のもとにつくる初期救急体制、こういったものを今、総力を挙げて充実を図っているわけでございまして、そういう意味では、その進捗度合いによって、移転後、地域の医療機関の皆様にどういう影響が出るかというのは刻々変わってくるわけでございます。
 そういう意味で、まず先にやるべきは、移転後に備えた体制整備でございます。そういう意味で、我々はまず体制整備について重きを置いて説明してきているというふうに理解をしております。

○斉藤委員 実際、私、今回いろいろなお医者さんに聞きました。結構皆さん、ちゃんとした肩書きがあった、大変ベテランのお医者さんで、大変詳しい話を教えていただきました。
 その中で、東京都に対してこういうことをおっしゃっていた方、これは八王子で勤務されている方ですが、東京都の方のトップダウンは病院現場に対してもトップダウンだけれども、自分たちにとってもトップダウンだということをいっていたんです。
 つまり、実は今、随分聞いてきて、私、今回は保護者の方とか全然会っていないんですが、医療現場の方に聞いたときに、非常に東京都の説明がわかりにくい。つまり、自分たちが一体どういうふうになっていくのか、どういう影響を受けるのかについて、余りにも情報がない。そしてまた、さっきの話に出てきた協議会、初期救急の協議会に出ている方も同様のことをいっていました。
 つまり、先ほどいいましたように、清瀬小児病院の方についても、私が聞いた限りでは、どこの地域からの搬送があるとかというリストをつくっていません。そして、同時にそのことがお医者さんの方にも伝わっている様子が全くありません。
 そういった中で、じゃ、いざ本当に来春、清瀬小児病院がなくなったときに、ほかの病院の方で準備が十分にできていなかったら、救急の方はパンクすると思います。私、実際、最初は病院経営本部の話を基本的には信じて動いていた中で、余りにもはっきり周りのドクターの方がいわれるので、これは何がおかしいんだろうと思っていろいろ調べてみました。
 そうしましたところ、先の予測、どうなっていくのかというのが全く理解ができない趣旨の話を幾つも聞きました。これは、病院経営本部の方で、つまり先ほどの最初の救急搬送の影響などについて、余り話を、私の方で随分聞きましたが、なかなか話をされなかったんですが、実際これについて皆さんはわからないといっているわけです。
 つまり、そういったきちんとした、みんなが一番欲しい情報というのを伝えているのか伝えていないのか、その部分についてどういうふうに伝えているのか、ご説明いただきたいと思います。

○中井病院経営本部長 先ほども申し上げましたが、地域の医療機関の方々にできるだけご負担をかけないという意味でも、まずは私どもが中心となって地域の体制整備をするという必要があるわけでございます。多摩北部医療センター、そして地域の医師会の協力のもとに、一次、二次の救急医療体制を整備しているところでございます。
 しかしながら、ご承知のとおり、小児科医の確保というのはそう簡単にできるわけではございません。我々も全勢力を挙げても、それが一気にというわけにはいきません。ということで、ようやくこの四月に多摩北部医療センターの常勤医が五名になるというのが、やっとこれたところでございまして、この間の過程というのは、まさにその努力の過程であって、今、何かを前提に、この前提で、あとここの部分が足りないのでお願いしますといえるような状態ではまだなかったわけです。これからは、そういった説明も当然させていただくことになろうかと思います。

○斉藤委員 伺ってみると、いろいろなドクターの話を聞くと、基本的に東京都の方で予定されていることについては、いろいろ説明があるらしいんですね。ところが、いざ、この昭和病院の十月の話、十月にあいさつに行った、そのときに、実際自分たちがどういう動きをして府中への移転に協力していいのかという具体的な話をちゃんと詰めていって説明してくれという要望を出しても、その後、昭和病院の方には来ないというふうな話もございました。
 一方、逆に協議会の中で話をしているというんですが、さっきいったみたいに、協議会に出ている方が全くよく理解ができていないとおっしゃっている。もちろん、自分たちはいいと思ってしゃべっていますから、なかなか自覚がないと思うんですが、実際に聞いてみると、さっきいったように、皆さんが一番気にしている救急がどのくらいふえるかということについて、それぞれが全然認識ができていない、認識できる説明をもらっていないというふうなことを聞いているんです。
 同時に、このことがそのままになってしまって、じゃ、仮に自分たちが体制整ったけれども、ごめんなさい、まだ足りませんでしたというふうになったときに、いざ昭和病院の方の体制をつくろうと思ったときに、果たして来春に間に合うかどうかというのが、時期によってはわかりませんよね。
 しかも、せっかく公立昭和病院は、福祉保健局長が頑張って、二月二十七日に周産期連携病院に指定してもらったばかりですが、仮に小児科が埋まってしまうと、産科もハイリスクの出産も受けられないんですね。産科のベッドがあいていても、小児が受けられませんから。
 そういったことを考えてみると、今のこの状況、私の方としてはいろいろ聞いている中で、恐らく病院経営本部の方の話が、自分たちの方の改革の部分での説明はできているかもしれないけれども、まさにひざ詰めで、さっきいった救急の負荷について話し合ってもらっていないという声が多数あって、先ほどいっていた市区町村別の救急搬送については、恐らくこれは本当につくられていないというふうに思っておりますが、そういった中で周辺の病院は非常に心配をしているわけです。
 当然、この後に私、お願いしたいのは、何とか各病院を回って、きちんと予想される救急搬送の負荷についてわかるようなデータを示して、そして同時に、それに対して必要とあらば、その整備に対して支援をしていくということをしっかりと進めていくことだと思っているんですけれども、いかがでございましょうか。

○中井病院経営本部長 清瀬小児病院の救急患者さんの実績というのは、九割以上がいわゆる初期医療のレベルの方々でございます。そういう意味では、清瀬小児病院が移転した後、基本的には現在充実を図っております初期の小児救急医療体制、この中で対応というのがまず第一義的だというふうに考えます。
 これについては、もう何度もお話ししていますとおり、地域の医師会の協力のもと、今、週三日で二つの病院でそれぞれやっているという状況でございまして、これを週五日にしていくということでございます。
 こういう形で体制整備は着々とできているわけでございまして、そういったできた中で、じゃ、どうなっていくかということについては、はっきりいいまして、なくなった後、今、清瀬小児病院に救急で来ている患者さんがどこの病院に行くかというのは、だれも正確にはわからないわけでございます。そこに新たな整備充実が図られていくわけですから、それでまた状況は変わっていくわけでございます。
 そういうことでございますから、我々は地域の方々にご理解、ご協力をいただくためにはどのようなことでもしてまいりますが、中身がないので、じゃ、はっきりさせろといわれても、なかなか推測の域を出ない。それから、また刻々と状況が変わるという中では、はっきりさせるといっても、そう簡単になかなか数字ではっきりあらわせないことも多くあろうかと思います。
 しかし、いずれにしても、我々は誠意をもって今後も対応させていただきます。

○斉藤委員 だったら、最初に大した影響はないなどといわない方がいいんじゃないですか。ちゃんとお医者さんとそれぞれ会って、そしてそれぞれに予測されることを詰めて、そしてきちんと話し合って体制をつくっていく。今のでしたら、大丈夫という言葉ではないですよね。実はわからないでしたよね、今の答えは。つまり、大丈夫ではないということは、大した影響はないということでないならば、それはやはり皆さんとちゃんと理解をしていただく。
 ただ、残念ながら、議会ではわかりませんが、私がいろいろ現場で聞いた中では、協議会に出ている方からも不満が出ているということです。これについて、ここで幾ら美辞麗句を並べてもしようがありません。私、今回いろいろなお医者さんにお会いしまして、電話でも聞きまして、そういった意見を聞いております。
 そして、さっきいったみたいに東京都の事情はあるんだろうけれども、やはり自分たちをおもんぱかってくれないと、現場の方の病院をおもんぱかってくれないという印象を持っている方が大変多いことに気がつきました。この部分については、まさにきちんとした連携、ひざ詰めでの連携というものをしっかりやっていただかなければならないと思います。幾らここで答弁が上手にできても、この事実は恐らく変わらないというふうに私は思っていますので、そこをしっかりやっていただきたいと思います。
 それでは、以上で病院経営本部の質問を終わります。
 続いて、都営住宅について伺います。今ちょっと資料を配らせていただいています。(パネルを示す)ボードの方は、余りカラーで見えませんが、もともとがこのような書類になっているということでご理解いただきたいと思います。
 今、都営住宅に派遣を切られた方が入居できないかということで、いろいろな提案が、過去の議会の、これまでありましたけれども、なかなか芳しい答えがございませんでした。しかしながら、生活保護が非常にふえている中で、都営住宅の方もふえるだろうということが予測されます。
 今回、まず伺いたいのは、基本的には都営住宅というのは、住宅に窮する都民に向けて住宅を提供するというものであります。ところが、最近は見ていると、経済に困窮をしているから、だから都営住宅に申し込むという方が非常に多いのは、多分議員さんの方がむしろ詳しいかもしれません。
 そして、その中で、逆に住宅を提供するわけですから、本来的に住宅に困っている方、経済には窮していないけれども、住宅に困る方というのがいらっしゃるのかどうか、そこを伺いたいと思います。

○只腰都市整備局長 なかなかお答えしにくいご質問でございますが、例えば高齢者や障害者あるいは小さな子どもさんのいる世帯などは、経済的な状況は別にいたしまして、入居中の事故とか、あるいはほかの入居者とのあつれき、そういうことに不安を持つ家主さんなどから入居の制限を受けることなど、適切な住宅の確保が難しい場合がございます。
 都といたしましては、不動産業者や家主への啓発、高齢者円滑入居賃貸住宅制度の普及促進などを通じまして、民間住宅市場におけます高齢者等の入居の円滑化に努めております。

○斉藤委員 それでは、こちらのパネルを示させていただきます。皆さんはお手元の方の資料で見ていただきたいんですが、実際に今、平成九年ぐらいに都営住宅の方の扱いが変わりまして、福祉的な要素をもっと含めるようにということがありました。そして、今の募集では、一般の枠とポイント制の枠があるんですけれども、これはポイント制の枠の中に入っている住宅状況申告書というものです。
 四番目のところには、障害の手帳の程度について示すところがあるんですが、ちょっとほかのところを見ていると、五番目などは、ほかに部屋がないため、夫婦と子どもが一室で就寝していますというのがあります。考えてみれば、これはお金があって転居ができればいい話であって、住宅そのものが困っているというよりは、むしろお金に困っている話ではないかなと思います。
 さらに、ちょっと進めまして、例えば十九番目、工場に隣接し、または隣接したところに住んでいて、工場の騒音や振動がひどいとあります。これは、確かに住宅に困っていますが、むしろ、これはこの申し込みを見て、環境局に電話して、こういった工場を指導してもらう方が先であって、この工場の周り、住宅、何十軒もあるわけですから、この一軒だけどかせばいいという話ではないと思います。
 したがって、これを見て、ポイント制として、これ、公営住宅法の中で、二十五条か何かにある程度の条件というものを示すところがあるんですが、細かいことは条例で決める話なんですね。したがって、今、都営住宅、募集が非常に大変です。そしてまた、こういったポイント制の方でも倍率が非常に高い。
 本来ならば、本当に困っている方を絞り込んで入れてあげるというのが一番いいことだと思うんですが、そういった方の絞り込みのために、この項目に関して、ちょっとお金の面とか、もっと別の解決方法があるものがたくさん並んでいると思うんですが、どのような趣旨でこの項目を設定しているのか、説明を求めます。

○只腰都市整備局長 都営住宅、高齢者や心身障害者等、特に居住の安定に配慮すべき方々の入居を促進するため、ポイント方式を併用してございます。このポイント方式は、今お話ございましたように、住宅困窮度に応じて点数をつけまして、高い方から順に入居を認めるというものでございます。
 この住宅困窮度の判定につきましては、申込者が今住んでいらっしゃる住宅につきまして、国が定めた基準によりまして、居住の人数、面積、騒音、大気汚染等の住環境など具体的な項目を設けて、総合的に行っております。

○斉藤委員 本来の困窮者ならば、ひとり親、多子世帯、心身障害者世帯の申込区分の中で、さらにそれに保育や介護の困難度を詳細に聞いていく方が、むしろ本当に困難者というのを絞り込めるんじゃないかなと私は思っております。しかしながら、今見たとおり、ポイント制であってもこのような、むしろほかの部門からのアプローチが必要なところが幾つかあるんですが、これらは本当の困窮者のあぶり出しに適当というふうなことがいえるんでしょうか。

○只腰都市整備局長 チェックリストの項目でございますが、なかなか困っている状況を点数化するというのは課題が多いわけでございます。現在の仕組みでは、例えば障害者がいらっしゃる場合は障害の程度、寝たきりの病人の方がいる場合はその病名など、個々の状況を具体的に申告いただきまして、実査をさせていただいた上で判定をしております。

○斉藤委員 そうしますと、余りこのチェックリストというのは、何か今聞いていると、そのものをこれで精査しているという感じじゃなくて、むしろそのわきに書いてあるいろんな申告状況とか、そしてまた、別のページに入っているんですけれども、いわゆる区分とかいうものを参考にしていて、これそのものに対して非常に重要度を置いていないというふうな気がします。そして、ポイント制については、このチェックリストは、一番ポイントの高低を、つまり高い低い、そして同時に当落を左右するので、そういう点ではもう少し時代に応じた直しが必要なのではないかというふうに私は思っています。
 では次の質問なんですが、二つ質問を飛ばしまして、六番目、細かいことをいえば、都営住宅内の駐車場には、まだ新しい三ナンバーのワゴン車とか大変立派な車が置いてあるということで、周辺の納税者の方がまゆをひそめた話をよく聞きます。入居者もやはりそれなりの努力がなければなかなか納税者に顔向けができないというのが正直なところかなと思うんですが、最近は、管理委託の公社の現場の職員に聞くと、収入が減ったことで民間マンションから都営住宅に入居したにもかかわらず、内装にクレームをつけたりなど、年々現場職員が理不尽な要求の対応に追われるようになっているというふうに聞いております。
 ならば、いっそのこと、まさにバリアフリー住宅が必要な障害者とか、家主との関係がなかなか難しい知的・精神障害者の方などについては住宅の提供は必要ですけれども、一方で、こういった実際に現物の住宅があるゆえに出てくるトラブルというのを回避する上では、既に住宅政策審議会などで議論がされていますいわゆる家賃補助制度など、そういった新しい局面を考える時期に来ていると思うんですけれども、所見を伺います。

○只腰都市整備局長 家賃補助のご質問でございますが、平成十八年に出されました都の住宅政策審議会の答申におきましても、施策の対象や財政負担を初めまして、整理すべき課題が多いという指摘がなされておりまして、都として実施することは考えておりません。

○斉藤委員 それでは、都市整備局は住宅提供しか弱者救済の方法が多分ないと思います。ですから、そういういい方になるかとは思うんですけれども、仮に今後経済危機が続いた場合に、小平市でさえ平均二十倍、最高で四十四倍ぐらい、区部はもっと高いはずです。そういった倍率の、特に一般募集は倍率がもっと上がってしまうんじゃないですか。そしてまた、都営住宅は、抽せんに一度当たれば一生住宅補助をされる一方で、何度も外れている困窮者がいます。
 そういったことを考えると、それはまるで宝くじみたいなものじゃないか、いつまでこういった宝くじを東京都は続けるのか。東京都宝くじだけで十分ではないかと私は思うんですけれども、そういう意味では、本当に住宅に困る方の多くの失業者を助けられないというのは疑問ですし、同時に、本当に困ったときは必ず助けてくれる、そして危機を脱したらすぐに次の困窮者に譲るというような本来の制度の趣旨に沿ったものに、都市整備局はこの都営住宅についての考え方を追求していくべきだと私は思うんですけれども、それについて所見を最後に伺います。

○只腰都市整備局長 都営住宅につきましては、これまでも、先ほどポイント制度の説明もさせていただきましたが、より困窮度の高い都民への適切な供給に向けてさまざまな努力を行ってございます。また、優遇抽せん制度なども実施しております。入居機会を一層公平なものにするため、今お話がありました高額所得者に対する明け渡しの請求、期限つきの入居制度なども推進しております。
 今後とも、真に住宅に困窮する都民に対しまして、都営住宅を公平かつ的確に供給してまいります。

○斉藤委員 それではもう一つ、療養病床について一点伺います。
 療養病床については、東京都の方は増床の方針で一応頑張っているようですが、残念ながら、それを抱えている医療機関等からは非常に厳しい意見が出ております。そして、療養病床の再編に伴って、介護療養型医療施設からの転換の受け皿として国が設定した介護療養型老人保健施設は、転換条件が厳しいために移行しにくいという話を聞いております。
 都は、その背景、実態についてどのように考えているか、伺います。

○安藤福祉保健局長 療養病床の再編に伴い、その受け皿となる介護療養型老人保健施設には、転換に当たり一定の要件が定められております。具体的には、新規入所者のうち、医療機関から入所した方が家庭から入所した方より三五%以上多いこと、全入所者のうち経管栄養などを実施している方の割合が一五%以上であることなどでありまして、このように要件が厳しいことなどから、転換しにくいという声も聞いております。

○斉藤委員 それでは、何より療養型病床の維持については、むしろ相応の診療報酬が必要でありながら、それが保障できていないという点が非常に大きいということを関係の医療機関などはいっています。二〇〇六年度以前では千二百二十四点の入院基本料一律という報酬体系なんですが、それならばともかく、現行体系のような慢性疾患等でケアの必要が少ない利用者の医療区分一では、最も少ない七百六十四点という報酬の低さになっていますので、その部分では運営が厳しいといわれています。
 今まさに東京都の方はふやそうというふうなことで頑張っているわけなんですが、一方で、残念ながらその目標は達成できないということもありますので、実際に目標達成が可能な報酬のあり方について、ぜひ国にも意見をしていただきたいですし、また東京都の方の所見を最後に伺います。

○安藤福祉保健局長 療養病床に関する診療報酬でございますが、ご発言のように、国においては、高齢者医療の実態を十分に把握し検証した上で、高齢者が状態に応じて適切な医療を受けられるよう、評価の充実を図るべきである、こう考えております。
 このため、都は国に対しまして、医療療養病床を安定的に確保できるように、診療報酬の改善を引き続き提案要求していきたいと思います。

○増子副委員長 斉藤あつし委員の発言は終わりました。(拍手)

ページ先頭に戻る