予算特別委員会速記録第四号

○三宅副委員長 伊藤興一委員の発言を許します。

○伊藤(興)委員 初めに、青年施策について質問いたします。
 社会の閉塞感を打開し、若い情熱と力で次代を切り開く先頭に立つのは青年であり、首都東京のあらゆる原動力になっていくのも青年であります。
 公明党はこれまで、多くの青年の声を聞きながら、東京しごとセンターによる若年者就業支援を初め、法テラスの開設、若者が取り組みやすい環境対策として、携帯電話のリサイクルによるレアメタルの有効活用など、青年世代への政策を都に提案し、推進してまいりました。
 また、都は、青少年に対して、不登校やいじめ、非行などに関するさまざまな相談支援機関を充実したり、都内に二万五千人いるとされるひきこもりやニート対策として、若年者自立支援などを行ってきました。さらに、チャレンジ精神を持つ青年への創業支援などにも取り組んできました。
 しかし、それでも青年への施策は、十八歳を過ぎると、家庭を持ち、子どもができるまでの間、行政の支援体制が狭まっている現状があります。ますます深刻化する経済状況の中、非正規労働者の急激な雇用環境の悪化が若者を直撃しているなど、若者を取り巻く環境が大きく変化をしている状況のもと、多くの青年がこれまで以上に、自分の将来や仕事、人間関係、また結婚などに対し、不安や悩みを大きく抱えております。
 こうした青年たちが、夢や希望、また自分自身を見失うことなく、社会発展の原動力となっていくためには、すべての若者のさまざまな不安や悩みを受けとめ、支えていく仕組みが必要であります。そのためには、まず、総合的な青年相談窓口を一刻も早く設置していくべきと考えますが、所見を伺います。
   〔三宅副委員長退席、石川副委員長着席〕

○久我青少年・治安対策本部長 悩みや不安を抱える若者の問題は、ひきこもりやニートといったさまざまな現象としてあらわれており、重要な社会問題となっております。ご指摘のとおり、十八歳未満や未成年を対象としてきた従来の青少年行政の枠組みを超えた相談窓口を早急に設置することは大変重要でございます。
 そこで、都内の十八歳以上の若者の悩みに対応できる相談窓口を新たに設置し、就労や就学など目的が明確となっていない相談なども継続的に受けとめてまいります。具体的には、平成二十一年度の早期に電話による相談窓口を開設し、さらに、その実施状況を踏まえてメール相談も開始したいと考えております。

○伊藤(興)委員 すべての若者のさまざまな不安や悩みに対応する、電話、メールによる相談窓口をまず設置するということでございますけれども、直接、面談による相談体制も早期に開設するべきと思います。また、その際には、若者が気軽に立ち寄れるような名称や地域にするなど、配慮をしていただきたいとあわせて要望いたします。
 さて、こうしたすべての若者を対象とした相談窓口が創設されれば、多くの若者がさまざまな悩みを抱えて利用することになると思います。若者からのさまざまな相談に適切に対応していくためには、幅広い見識と豊富な経験など、質の高い相談員の確保と養成が必要になると考えます。見解を伺いたいと思います。
 また、若者のさまざまな相談を相談員が受けとめた次に、問題解決へ向けて適切に専門的な支援機関につなげていく場合、仕事から生活から心のケアなどなど、多岐にわたる支援機関のネットワークが重要なかぎとなってまいります。
 そこで、実効性のあるネットワークを構築していくべきと考えますが、あわせて所見を伺いたいと思います。

○久我青少年・治安対策本部長 若者の抱える悩みを丁寧に受けとめ、相談の背景にある事情などを理解した上で対応するためには、相談員の資質が大変重要であり、適切な能力等が求められます。この相談事業は委託を予定していることから、委託の条件として、相談員の要件及び研修の実施を示し、質の高い相談員の確保と養成に努めてまいります。
 また、若者のさまざまな悩みに適切に対応していくためには、労働、教育、保健福祉等との連携が重要であります。そこで、広く若者支援に関係する相談機関を構成員とした連絡会議を設置し、支援に関する情報の共有等を通じて連携強化を図ってまいります。

○伊藤(興)委員 さきにも述べましたように、都は、石原知事就任以来、青年に対する必要な施策が拡充されてまいりましたけれども、ここで、人生の大先輩である石原知事に、「十年後の東京」を実現するための原動力となる青年への応援も含めて、知事の青年に対する認識と熱いメッセージを伺いたいと思います。

○石原知事 率直に申しまして、私、このごろの青年を眺めていると、ちっともうらやましいと思いません。むしろ哀れな感じがいたします。私たちの青春時代は、もっと貧しく、物に対する渇望もありましたが、しかし、総じて、もっと何か本当の豊かさというのがあったと思います。現在の若者は、生まれながらに便利な機械文明に囲まれて、物質的にも恵まれ過ぎることから、自分で苦労して物事をなし遂げる機会そのものを奪われていると思います。
 首都大学東京の宮台君という、非常に若者の風俗に詳しい教授がおられますけれども、彼の分析によると、いかにもと思いますが、情報がはんらんして、情報の摂取が多過ぎて、その情報の整理、評価まで情報に頼るという、結局、自分で物事を判断し考えるという、そういう能力が非常に欠如してきたということで、何が起こっているかというと、このごろの若者というのは勘違いしない、思い違いをしない。実はこれは大事でありまして、その失敗というものが本当の想像力というものを培っていくわけでありますけれども、早い話が、このごろの若者は失恋しないそうですな。相手が自分にほどほどかどうかということを考えてつき合うから、昔のように、片思いで非常に思い詰めて、振られて自殺もしかねない、そういう青春にありがちな現象というのは非常に淘汰されてしまったという気がいたします。
 そういう意味で、私は、残念ながら今の若者に余り期待できないでいるんですが、しかし、やはり中には、希有な存在として、本当の想像力というものを追っかけて、駆使して新しいことに心がけている青年もおりますけれども、つまり、それは本当に青年全体の中で希少なパーセンテージになってきてしまった。
 いずれにしろ、現代の若者には、こういった文明の便宜さにのみ込まれずに、やはり自分で物を判断し考えていく、進むという、自分の感性というものによった生き方というものを心がけてもらいたいと熱願いたしております。

○伊藤(興)委員 大変にありがとうございました。
 次に、安全防火対策として、住宅用火災警報器の設置促進について質問したいと思います。
 昨年も火災により痛ましい事故が多発いたしました。特に、火災発生に気づかず、逃げおくれての犠牲者は六十五歳以上の高齢者に最も多く、また、幼い子どもも犠牲となっております。
 東京消防庁はこれまで住宅用火災警報器の設置促進に取り組んでまいりましたけれども、都が昨年秋に行ったアンケートによれば、設置状況は三三・八%にとどまっており、未設置の方にその理由を聞いた設問には、義務化までにまだ時間があるという答えが最も高く、次いで値段が高いからというふうになっております。火災から人命を守る効果が高い住宅用火災警報器の設置義務化まであと一年と迫った今、東京消防庁はこれまで以上に都民への周知と意識改革に取り組まなければならないと思います。
 そこで、今後は、一方通行の情報発信ではなく、情報を受け取った都民側がみずから家屋内をチェックするなどの能動的にアクションを起こせるような工夫を加え、全世帯へ向けて実効性のある広報に取り組むべきと考えますけれども、所見を伺います。

○小林消防総監 住宅用火災警報器の早期普及を図るためには、すべての都民がその有効性を実感でき、設置につなげていただけるような広報が重要であると認識しております。
 このため、テレビコマーシャル、ラッピング車両の活用や各種イベントを通じた効果的な広報活動を初め、全住戸に対しては、住宅用火災警報器の効果及び奏功事例などを紹介したお知らせの配布や、ガス事業者の協力により、各住戸に届けられます検針票に設置の呼びかけを記載していただくなど、新たな取り組みを展開してまいります。
 さらに、消防職員が戸別訪問を実施し、直接設置を呼びかけますとともに、都民みずからが必要性を理解して、早期設置へ動機づけとなるチェックリストや設置呼びかけのシールを配布するなど、実効性のある広報を推進してまいります。

○伊藤(興)委員 未設置の方から声を伺うと、ひとり暮らしの高齢者の方などは、住宅用火災警報器は天井につけなければいけないからという誤解や、買っても取りつけられないという方が多くおりました。こうした声を受けて、個々の相談にこたえたり、取りつける支援を行うなどの都民をサポートする体制を早急に構築すべきと考えますけれども、所見を伺います。

○小林消防総監 お話の、高齢者などから、設置場所がわからない、あるいは自分で取りつけることが難しいという声があることは承知しております。このような相談や依頼に対しましては、これまでも各消防署に相談窓口を設けて対処しているところであります。
 また、四月からはOB職員を住宅防火アドバイザーとして新たに配置いたしまして、取りつけの支援を行いますとともに、天井や壁など、部屋の状況に応じた設置方法の指導や、より安価で安心して購入していただける集団購入への助言をするなど、これまで以上にきめ細かく対応してまいります。
 さらに、町会、自治会や災害時支援ボランティアなど、地域の方々に設置推進員としてご協力いただき、取りつけを含めた地域ぐるみの支援体制づくりを進め、さまざまな相談や問い合わせに速やかに対応しながら、住宅用火災警報器の早期普及に向け、庁を挙げ全力で取り組んでまいります。

○伊藤(興)委員 ありがとうございます。
 続いて、防災対策について質問いたします。
 私は、平成七年の阪神・淡路大震災の際、ニュース報道による上空から映し出された都市の壊滅的な被害を脳裏に焼きつけながら、どこがどうなっているのか全くわからない状態のまま、現地へ救助活動に向かいました。この経験から、私は、いつか必ず来る首都直下型地震による都市の甚大な被害に対し、都民生活と生命、財産を迅速に守るためには、いち早く現場の被災状況を陸地と上空から立体的に情報収集し、的確に対策を実行する必要があると考えます。
 そのためには、陸地での活動とともに、ヘリコプターの活用は不可欠であります。都は、「十年後の東京」実行プログラムの中に、他県や海外の救助隊との連携を深め、応援救助部隊の援助を効果的に受けられる体制を整備するとしていますけれども、支援を受ける体制を充実させていくためには、道府県からの応援航空部隊のヘリコプターにより、正確にその建物、場所を特定し、迅速に対策につなげていくことが重要と考えます。
 都は、平成十六年度の重点事業として、都立高校や都立病院の屋上に建物名を大きく表示するヘリサインの設置に取り組みました。また、私の住む品川区や隣の大田区、また昭島市では、独自に全公立小中学校の屋上に、学校名などを大きく表示したヘリサインを設置したと聞いております。(パネルを示す)これがヘリサインだそうでございます。学校名、建物名を大きく屋上に表示する。こうしたことによって、他県から飛んでくるヘリコプターあるいは自衛隊、東京の上空を飛んだことのない方であっても、どこがどこなのかがはっきりとわかる。また、上空と陸地から立体的にどこがどうなっているのかを情報収集することができる。これがヘリサインでございます。
 そこで、こうしたヘリサインについての都の認識と、現在までの都や区市町村の設置状況について伺いたいと思います。

○中田総務局長 高速で飛行するヘリコプターの搭乗員が、みずからの飛行位置を正確に把握することは、迅速かつ的確な応急活動を実施する上で必要不可欠なことであり、ヘリサインはその手段として極めて有効な標識の一つであると認識しております。
 このため、都は現在、災害時の重要施設である都立病院に五カ所、都内に広く分布する都立高校に七十七カ所の計八十二カ所にヘリサインを表示しております。
 一方、区市町村におきましては、現在、品川区など、委員お話がありましたように、三区市が全小中学校において、また十四区市が一部の小中学校などに表示しており、ヘリサインの設置は合わせて十七区市で二百五十六カ所となっております。

○伊藤(興)委員 震災時に、区市町村の公立の学校は、都民の身近な第一次避難と救護の場所として、大事な拠点となるわけであります。さらには、情報収集、救助活動、支援物資の供給、また重傷者の搬送のためなどの大事な目印になるのが、このヘリサインでございます。
 そこで都は、都立施設や一部の区市にとどまらず、全東京の区市町村、公立学校などにもこのヘリサインの表示を拡充していくべきと考えますけれども、所見を伺います。

○中田総務局長 昨年九月に、東京消防庁ヘリコプターに区市町村長などが搭乗し、上空からヘリサインの有効性を確認する機会を設けるなど、都は、ヘリサインへの理解促進を図っております。
 その結果、新たに十八区市町村が二十一年度以降に表示することを検討しております。
 今後とも、区市町村立の小中学校などにおけるヘリサインの表示を一層推進するため、区市町村に対して積極的に働きかけてまいります。

○伊藤(興)委員 今後は、公共施設のほか、民間企業などへもヘリサインの表示を積極的に拡充していただきたいと要望したいと思います。
 次に、中小企業支援について伺います。
 現在の経済状況は、受注の落ち込みによる企業業績の悪化が設備投資の落ち込みを招き、またそれが受注の落ち込みにつながっていくという悪循環に陥りつつあります。このような環境の中で、生産性向上に向けた設備投資に踏み出せない中小企業が多いのが現状であります。
 こうした状況を踏まえ、都は、さきの補正予算において、中小企業の設備投資を支援する中小企業設備リース事業を創設いたしました。この事業は、中小企業にとっては大変心強い制度であると思います。
 そこでまず、改めて本リース事業の仕組みを伺うのとともに、早期にこの事業を開始すべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○佐藤産業労働局長 中小企業設備リース事業は、リース実施機関となります中小企業振興公社に基金を造成いたしまして、それを原資として同公社が中小企業にかわって設備を購入いたしまして、中小企業に低廉な料金でリースを行う事業でございます。
 中小企業は、本事業による設備導入後、毎月決まったリース料を三から七年間にわたり支払うことによりまして、初期コストを抑え、設備を利用し続けることができるというものでございます。
 また、本事業では、都が指定しました保証機関が保証を行うこととしておりますが、この保証に必要な信用保証料について、従業員百人以下の中小企業に対してはその全額を、またそれ以外の中小企業に対してはその半額を、都が補助するものでございます。
 本事業を早期に実施することで、厳しい経済環境のもとで、将来の発展を見据えて努力をしております中小企業の設備の導入を促してまいります。

○伊藤(興)委員 生産性の向上だけでなく、設備投資によって、CO2の排出削減を促していくことも、都が目指す低炭素都市の実現、ひいては地球規模での地球温暖化防止対策をリードする上でも、大変に重要なことだと思います。
 都は、都議会公明党の提案にこたえて、中小企業設備リース事業は省エネ機器も対象にするということでありますけれども、それでは、どのような省エネ機器が本リース事業の対象になるのか、また省エネ機器導入の場合、信用保証料の補助はどうなるのかについて伺いたいと思います。

○佐藤産業労働局長 中小企業に対し、省エネ設備への更新を促進することは、実効性のある地球温暖化防止対策として有効であるというふうに考えております。こうした認識のもと、平成二十一年度から、新たに省エネ設備を中小企業設備リース事業の対象に加えてまいります。
 具体的には、東京都地球温暖化防止活動推進センターが無料で行っております省エネ診断、これに基づき導入する省エネ設備等を本事業の対象といたします。
 また、中小企業の規模にかかわらず、リース実行に必要な信用保証料の全額を補助してまいります。

○伊藤(興)委員 中小企業にとりましては、このような支援策があれば、前向きな設備投資に向けた、非常に大きなインセンティブになると考えます。
 環境対応の設備ということで具体的に申し上げれば、私は先日、あるクリーニング店を取材してまいりました。このお店が導入した機器は、地球温暖化対策に対応したものでありまして、クリーニングの際の熱を店舗の外に排気する必要がないと。また、石油系溶剤の八割から九割をクリーニング機器の中で自動的にリサイクルする、そして繰り返し使用することができるというすぐれものでございました。
 クリーニング店は、シーズンによりますと、一斗缶当たり約二千円ぐらいする溶剤であるそうでありますけれども、この石油系溶剤、これを二十本ほど使うわけでありますけれども、この機器にかえることで、一斗缶二、三缶で済むというお話でございました。営業ランニングコストもかなり低減を図ることができるということでございました。
 こうした業種や、また車の整備工場や飲食店などにおいても、最新設備への買いかえの促進によって、生産性向上にとどまらず、環境対策にもつながる設備もあると思います。
 そこで、本リース事業は、このようなさまざまな業種の中小企業に幅広く活用すべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○佐藤産業労働局長 中小企業設備リース事業は、中小企業振興公社及び保証機関による審査を経まして、リースの実行先となる中小企業を決定することとしておりますが、中小企業の設備投資の促進という観点から、幅広い業種や設備を対象としております。
 まず、対象業種でありますが、製造業を初め、クリーニング業や飲食業等、幅広い業種の中小企業が対象となります。
 また、対象設備につきましても、生産性の向上や地球温暖化防止に資する工作機械、業務用洗濯機、厨房設備等、広く対象としてまいります。

○伊藤(興)委員 幅広い中小企業が活用できる本リース事業を、ぜひ着実に進めていただきたいと思います。
 一方、経営体力が弱い小規模な企業におきましては、単独ではなかなか本リース事業の活用に踏み出せないところもあるのではないかと思います。こうした企業に対しては、業種別の組合などの役割が期待されるところでございます。例えば、組合によって本リース事業のあっせんや共同導入あるいは組合が企業に連帯保証を行うということによって、本リース事業を活用できるようにすることなどが考えられます。
 設備リース事業の対象に、こうした組合や団体、また法人なども設備導入が可能となるよう、制度の運用をより一層工夫し、活用の幅をさらに広げていただくことを要望したいと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 続きまして、教育について質問したいと思います。
 今日、戦後最大の危機といわれる経済不況が深刻化し、子育て世帯の家計にも大きな影響が生じている中、家計所得に占める子どもの塾代などの教育費は大きな負担となっております。
 こうした中、子どもたちの学力向上や基礎学力の定着のためにも、公立学校に対する都民の期待はこれまで以上に高まっております。
 一方、都内の公立学校においては、いわゆる団塊の世代と、それに続く世代に当たるベテランの教職員が、大量退職の時期を迎えております。こうしたベテランの教員はこれまで、授業や部活動、学校行事などで力量を発揮し、大きな役割を担ってこられました。
 退職者のうち、再任用あるいは非常勤教員などで学校に残るという教員は、退職者の半数、つまり、二人に一人程度いると聞いておりますけれども、退職後、再任用などにならない教職員の中には、何らかの形で学校や児童生徒の役に立ちたいという希望を持っている方も多くいるはずでございます。そのような人たちをボランティアなどで活用することが、学校の教育力を維持向上させる上で有効な方策であると考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○大原教育長 都内の公立学校においては、今後数年間にわたり、二千五百人程度の教職員が毎年大量に退職いたします。
 都教育委員会が調査いたしましたところ、お話のように、教職員の中には、退職後に、家族の介護などを理由といたしまして、週四日以上の勤務が原則となる再任用や非常勤教員ではなく、週三日以内のボランティアを希望する者、あるいは再雇用を六十五歳で終了することを機会にボランティアを希望する者が、少なからず存在することが明らかになりました。
 こうしたニーズを踏まえまして、都教育委員会は、平成二十一年度から、退職教職員をボランティアとして活用する事業を実施する予定でございます。
 お話のように、この事業において希望者をボランティアとして活用することにより、学校の教育力を維持向上させることができる、このように考えております。

○伊藤(興)委員 退職教員の中には、例えば高校における補習や大学受験などに向けての進学指導のベテランの教員、また特別支援学校の校外学習などで豊富な経験を生かせる教員も数多くいると考えます。
 退職教員のボランティアには、学校や児童生徒、保護者のニーズに的確にこたえた活動内容を用意したり、また、ある程度の実費弁償も考えなければならないと思います。
 そこで都は、二十一年度には退職教職員のボランティアによるこのような取り組みを具体的に進めていくべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○大原教育長 平成二十一年度の退職教職員ボランティア活用事業の取り組みといたしまして、都立学校については、モデル校を二十校選定し、試行実施する予定でございます。例えば、学校や生徒のニーズを踏まえまして、戸山高校では放課後における補習や進学指導、武蔵台特別支援学校では校外学習などの活動に、退職教職員によるボランティア活用等を予定しております。
 小中学校については、区市町村教育委員会や各校種の校長会などと連携協力をいたしまして、若手教員の指導育成や英検取得のための講習会などにおいて、退職教職員によるボランティアの活用を予定しております。
 また、こうした活動を支えるために、ボランティアには交通費等の実費弁償相当額を支払い、都の負担で活動保険にも加入をいたす予定でございます。
 また、補習や進学指導などへの児童生徒の参加については、原則として無料とするということを考えております。

○伊藤(興)委員 補習、進学指導無料ということで、保護者の方は大変に喜ばれると思います。
 一方、教育現場においては、学校外部の人材を活用する試みも進んでおります。例えば、ある公立中学校においては、社会保険労務士の資格を持つ地域の方が、労働や年金に関する知識について講演を行って、大変に好評であったと聞きました。
 こうした外部人材活用の窓口は、現在、都や区市町村のさまざまな窓口に分散しており、学校や地域から見た場合、非常にわかりにくくなっております。
 そこで、都教委が計画している人材バンク設置に当たっては、退職教員ボランティア活用事業の窓口と外部人材活用の窓口を一本化に集約するとともに、その窓口の機能は、先行して実施するボランティア活用事業で得られるノウハウを生かしたものにすべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○大原教育長 ご指摘のように、現在、外部人材活用の窓口は、都や区市町村など事業を所管する組織ごとに分散しておりまして、学校や都民から見て利便性に欠け、人材確保の観点から見ても効率的とは申せません。
 このため、都教育委員会が計画しております外部人材活用のための人材バンクの設置に当たりましては、退職教職員ボランティア活用事業の窓口も含めて、これらの窓口の一本化を図る必要があると考えております。
 さらに、この窓口は、学校のニーズや人材情報を具体的に把握し、適切なマッチングを行う機能を備える必要がございまして、事業の実施においても極めて重要なポイントでございます。
 したがいまして、人材バンクにおいては、先行実施する退職教職員ボランティア活用事業で得られますノウハウを最大限活用して、より効果的な窓口の構築を図ってまいります。

○伊藤(興)委員 ぜひ、こうした人材バンクは、地域のさまざまな教育活動などにも教育人材を輩出していただくことができるように進めていただきたいと要望したいと思います。
 次に、都市基盤整備について質問いたします。
 私の出身校である品川区立浜川小学校の校歌の歌い出しの歌詞には、「世界に続く東京港」とあります。子ども心に、私は、我が国日本は品川区の大井ふ頭から世界につながっているのだというイメージを膨らませながら小学校に通いました。
 この校歌のとおり、我が国にとって東京港は、国内外の消費者と生産者を結ぶ物流機能を担う重要な社会資本であり、都市基盤としても重要な役割を果たしております。
 近年、より迅速で低廉な物流の確保が求められており、ふ頭の整備や荷役の効率化が求められておりますけれども、一方、ふ頭と背後地を結ぶ道路で発生する渋滞が課題となっております。私の地元にある大井コンテナふ頭の背後でも、慢性的な渋滞が大きな問題となっております。
 そこで、効率的な物流の確保の観点から、臨海部における道路ネットワークの充実強化が重要と考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○斉藤港湾局長 港湾物流を効率化するためには、ふ頭施設と道路ネットワークの表裏一体の充実強化が重要でございます。
 現在、中央防波堤地区では、東京港がアジア諸港に伍していく生命線となる大水深の大型ふ頭を整備してございます。この新たなふ頭地区から、羽田空港や千葉方面への東西方向の交通の円滑化のため、平成二十二年度の完成に向けまして、臨海道路Ⅱ期事業や新木場若洲線の道路整備を進めてございます。
 また、南北方向につきましては、第二航路海底トンネルの将来的な物流量増加に伴いますボトルネックを解消するため、南北路線の強化を、この夏を目途に港湾計画に位置づけてまいります。
 今後も、都は、大井ふ頭背後の渋滞対策を初め臨海部全体の交通機能の向上に取り組むとともに、京浜三港の広域連携のもと、世界につながる東京港の使命をしっかりと果たしてまいります。

○伊藤(興)委員 校歌のとおり、「世界につながる」という言葉を入れていただきまして、大変にありがとうございました。
 臨海部における道路ネットワークの充実強化とともに、京浜三港の連携を強化することも重要な施策であると考えます。そのためには、それぞれの港湾機能の拡充はもとより、三港を連絡する道路の整備も不可欠であります。
 東京臨海部には、京浜三港や羽田空港を連絡する形で計画されている首都高速湾岸線と、これに並行する国道三五七号がありますけれども、未整備の区間が残されており、特に東京港トンネル部につきましては、トンネル部分だけが三十年以上にわたって未整備のままとなっております。
 このため、品川区民は、区内の八潮地域から首都高速のトンネルに入って、同じ品川区である対岸のトンネル出口に抜けて、都立潮風公園や船の科学館などに行くのに、つまり、品川区のトンネルから入って同じ品川区に出てくるのに、首都高速代往復千四百円を支払わなくてはならない。一方、別ルートとして、レインボーブリッジなどを利用して大きく迂回すると、数倍の距離と時間がかかってしまう不便な状況であり、エネルギーの損失も大きいという不満の声が上がっております。
 地域の利便性を向上させるだけでなく、東京臨海部の交通の円滑化を図り、京浜三港の連携を強化するためにも、国道三五七号東京港トンネルを、具体的に、早急に整備していくべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○只腰都市整備局長 国道三五七号は、東京臨海部における都市間の連携強化、物流の円滑化、羽田空港へのアクセスの充実などに寄与する重要な路線でございます。
 このうち、品川区側の八潮と臨海副都心を連絡する東京港トンネル部につきましては、お話にもございましたように、長年にわたり未整備となっておりましたが、いよいよ来年度に、首都高速湾岸線の両側に建設される海底トンネルの取りつけ部の工事に着工することとなりました。
 先月、IOCに提出されました立候補ファイルの中で、国は、本トンネル部を平成二十七年に完成することとしております。
 都といたしましては、今後も、関係機関と連携を図り、本トンネル部の整備促進に積極的に取り組んでまいります。

○伊藤(興)委員 ぜひ早急に整備を促進していただきたいと思います。
 次に、中央環状品川線五反田換気所について質問いたします。
 私は、四年前の初当選以来、この換気所問題について、地元住民の方々とともに考え、取り組んでまいりました。
 五反田地区では、環状六号線山手通りの中央分離帯のど真ん中に高さ四十五メートルの換気塔が建設されるということから、近隣三十町会九団体で構成する高速道路品川線問題近隣町会合同連絡会という連絡会が、品川線を世界に誇れる無公害道路にしてほしい、また、子や孫に大気汚染を残さないでほしいとの主張のもと、熱意あふれるさまざまな行動を展開してこられました。
 これを受けて、都は先般、五反田換気所の計画変更、つまり脱硝装置を設置する、また換気所地下部の規模を縮小する、そして換気塔自体をスリム化することについて、連絡会に回答いたしました。
 そこで、都は今後、これらの変更内容などについて、地元地域の方々へ手順を追って丁寧に説明をしていく必要があると考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○道家建設局長 中央環状品川線は、沿道環境への影響が最も小さい地下構造を採用しているため、換気所の設置が不可欠であります。これまで、換気所の規模縮小や沿道への影響の軽減について、さまざまな検討を重ねてまいりました。
 このたび都は、五反田換気所の規模縮小などの計画変更について、二月二十三日に、お話の連絡会の代表の方々へ説明いたしました。三月二十一日には、連絡会の会員への説明会を開催いたします。さらに、四月中旬には、換気所の工事説明会を開催し、周辺住民に対し、換気所の変更内容や施工方法、工期などについて説明してまいります。
 また、工事を進める中で、換気所の計画や工事内容等について、広報誌やホームページなどを活用し、周辺住民に対し、きめ細やかな情報提供を行ってまいります。

○伊藤(興)委員 地元住民の方々は、今後、工事がどのように行われていくのか、大変に注目しておりますし、また大変に心配をしております。今回の換気所の計画変更に伴って、工事の規模は具体的にどのように変わるのか、伺いたいと思います。

○道家建設局長 昨年十月に国が道路トンネルの換気基準を改定したことに伴いまして、換気所設備の見直しを行いました。その結果、地下部分の規模が約三分の二に縮小いたします。具体的には、長さ百七十メートルから百四十五メートルに、幅二十九メートルから二十一メートルに縮小いたします。これにより、掘削土量は、十二万立方メートルから八万立方メートルに四万立方メートル減少し、搬出するダンプの台数は、二万四千台から一万六千台に八千台減少いたします。
 さらに、工事中はおおむね現在の歩道や街路樹が存置できるなど、沿道への影響を大幅に軽減できると考えております。

○伊藤(興)委員 工事影響は軽減できるということでございましたけれども、換気所の準備工事として昨年から始まっているライフラインの移設工事によって、騒音、振動、またパーキングメーターの撤去など、地元ではさまざまな問題が既に生じております。
 先日、私は現地で直接地元の方々に取材する中、特に沿道で商売を営んでいる方々の問題は深刻でありました。そこで、喫緊の課題である荷さばきスペースを確保したり、騒音、振動など、こうした問題を一つ一つ解決するためにも、例えば住民相談コーナーを設置するなど、早急に対策を講じるべきであります。
 今後、平成二十五年度まで換気所の工事が続くということは、長きにわたって地元の方々に大変な負担を強いることになります。都は、工事を進めていく中で、地元住民の声にしっかりと耳を傾け、真摯に対応していただくことを強く求めたいと思います。
 最後に、局長の決意を伺い、質問を終わります。

○道家建設局長 都はこれまでも、品川線の整備に当たりましては、測量や用地取得、工事などの節目節目に事業の説明を行い、関係権利者からの個別相談を受けるとともに、地元住民からの計画や工事に対する要望、相談に迅速に対応してまいりました。
 今後、五反田換気所工事を進めていく中で、情報提供や相談機能を拡充するなど、周辺住民の皆様の声に対し、よりきめ細やかな対応に努めてまいります。
 中央環状線は、渋滞緩和や環境改善を図る上で極めて効果が高い路線であり、その機能を十全に発揮させるために、品川線の早期完成が求められております。
 今後とも、住民の理解と協力を得ながら、平成二十五年度開通に向け、品川線の整備を着実に推進してまいります。

○石川副委員長 伊藤興一委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十八分休憩

   午後三時三十七分開議

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