予算特別委員会速記録第四号

○服部委員長 高木けい委員の発言を許します。

○高木委員 私からは、まず行政管理、特に監理団体等の問題についてお伺いをいたします。
 これまで我が党は、本会議の代表質問で、都政におけるアウトソーシングの進め方について問題提起を行ってまいりました。いうまでもなく、都政の効率的執行、民間活力の導入という目的自体は正しいものでありまして、今後とも効率的な事業執行がなされるべきだと思っております。
 しかし、アウトソーシングは、当然のことながら外部丸投げではなくて、これは行政の責任というものが厳しく問われてくるんだろうと思いますし、また、アウトソーシングをした施設などは、都政の強みである現場そのものであると思っています。そのため、アウトソーシングすべき事業や受託主体の選定、受託者の監督については十分な検討と検証が必要であると思います。そして、アウトソーシングがサービス向上、コスト削減等に本当に役に立っているのか、また、行政としてのコントロール責任を果たしているのか、政策実現をする上で支障はないのか、こういった観点から、常に実態に応じた検証をすることが重要であると思うわけであります。
 仮に、検証の結果、軌道修正が必要であれば、修正することをちゅうちょする必要はないと思います。すなわち、高島幹事長が代表質問で述べましたように、振り過ぎた振り子を戻すことも必要であると私たちはずっと実は主張をしてきたわけであります。
 こうした我々の主張についてどう考えるのか、確認の意味で総務局長の見解を伺いたいと思います。
   〔委員長退席、三宅副委員長着席〕

○中田総務局長 都はこれまで、いわゆる人、物、金などの社会資源の最適配分の観点から、都民の安全・安心を確保しつつ、民間でできることは民間にゆだねるとの原則のもと、指定管理者制度など民間開放に取り組んでまいりました。
 民間開放に当たりましては、都民サービスの向上や安全管理といった観点から評価の仕組みを構築し、行政のチェック機能を強化してまいりました。
 アウトソーシングの進め方につきましては、固定的なものではなく、委員ご指摘のとおり、政策実現上の視点や市場において業務の担い手が育っているか、こういった点に応じまして不断の見直しを行っていくことが重要であると考えております。

○高木委員 ただいまご答弁をいただきましたように、先日の我が党の代表質問でも、総務局長は、指定管理者制度について、これまでの管理運営状況評価だけにとどまらず、事業者へのヒアリングや現場調査などを行ってあらためて検証に取り組んでいるというように答弁をされております。
 今も同じような趣旨の答弁だったと思うわけでありますが、私たちは、実は今、自由民主党の会派の中で、入札契約制度の改革プロジェクトチームというものを立ち上げて、委託契約のあり方でありますとか、あるいは監理団体の運営の委託についてのあり方でありますとか、そういうことについて検討をしているところでございまして、総務局長の答弁は今までより踏み込んだ検証を行うということを表明されたんだと思いますから、私たちの問題意識と認識を一にするんだろうと思っております。
 ところで、この検証を行っている最中に、先日の本会議や昨日の委員会でも出ておりましたけれども、道路保全公社が行っている駐車場事業に対して、駐車場部門の民営化までが提案をされたわけであります。検証の結果、見直すべきは見直すということは当然だということを申し上げましたけれども、その前提について、どうもそれらの議論というのは私たちと異なる見解があるように私は聞きました。
 アウトソーシングについて検討するには、事業の性質、受託者の性格など、多面的に私はとらえることが必要だろうと思っております。公社は赤字の放漫な経営実態だという指摘もありましたが、全体像を見ていくと、指定管理事業では都に三億円の納入金を納めており、それで収支がとんとんになっているという現状があります。民間であれば三億円の黒字という指摘がありましたが、公社は都の事業を補完しつつ、年間三億円の納入金を納めているということを見落としているんではないかとすら思うわけであります。
 さらにその後に、さらにその三億円プラス三億円の黒字が出るんだという主張が電子日記というんでしょうか、ブログ等に出ている人がいるんですけれども、そういうものをきちっと出していくんでしたら、その積算の根拠をちゃんと示した方がいいですよ。その積算の根拠を--例えば駐車場事業であれば、それはほとんど人件費にかかわってくる話だと私は思いますから、そういうものをきちんと出して議論をすべきだということをいっているんですよ。だから、それを出さずに三億円プラス三億円でさらに収益が出るんだなんという議論は、それはやっぱりこういう公式の場でやるべきではないと思いますし、ましてや議員の発言としてそういうことを推測でやってはいけないと私は思います。
 また、民間では手を出しづらい駐車場の芝生舗装などについても、公益的な自主事業として、保全公社がみずからの収益事業の益金を活用して実験の場を提供し、研究をしているんです。民間では普及の進まないバイクの駐車場の設置や、案内や誘導に人手がかかる病院の駐車場運営なども自主事業として公社は担っている、我々は道路保全公社の事業の現状についてこのように理解をしているんですが、それでよろしいかどうか確認をしたいと思います。

○道家建設局長 東京都道路整備保全公社は、都の指定管理者として東銀座、八重洲など都営駐車場五場の運営を担うほか、公社がみずから設置しました駐車場事業などを行っております。
 この都営駐車場五場の指定管理者の選定に当たりましては、応募のありました民間事業者などの三者の中からこの公社が選定されたものであり、その運営は平成十八年度から五年間行われます。公社は都営駐車場として求められる管理水準を確保した上で、平成十八年度と十九年度それぞれ約三億円の納入金を都に納め、その上で二カ年としてトータルで黒字となっております。
 また、公社は、交通渋滞の解消に寄与する駐車場、自動二輪駐車場など、採算がとれず民間経営になじまない駐車場などを公益的な観点から独自に設置、運営し、違法駐車の抑制、円滑な道路交通の確保に貢献しております。
 さらに、駐車場事業全体から生じる収益を活用して、駐車場の位置やその満空情報がリアルタイムでわかるため、年間百八十万件、一日当たり五千件でございますが、そういうアクセスがあり、広く都民に活用されている駐車場案内サイト、s-parkや、路上での短時間駐車を抑制するため、三十分未満駐車料金の無料化、荷さばき駐車場の設置、カーシェアリング事業への支援など、公益的、先駆的な取り組みも積極的に展開しております。
 加えまして、公社は、都道の無電柱化や用地取得などの業務を都から受託することにより、都の道路行政を補完しており、「十年後の東京」計画を実現するためにも欠かせないパートナーであります。公社に対する評価を、個々の駐車場運営の経済的な側面だけで考えるのではなく、政策目的や公益目的などの視点から事業内容を総合的にとらえることが重要であると考えております。
 公社は、道路交通の円滑化や環境改善に貢献する駐車場の運営を行っていると考えておりますが、必要な検証を行い、改善すべきところは改善しながら改革に取り組み、さらに効率的、効果的な事業執行が図られるよう指導監督してまいります。
 今後とも、都の事業を着実に推進するため、道路整備保全公社をパートナーとしてより一層活用してまいります。

○高木委員 今答弁をいただきましたけれども、公社は公益法人としての責任をこうやって果たしているんだということはよくわかりましたし、都の監理団体として行政を補完、支援をしているんだろうと思います。一般の指定管理者のように任された施設を運営するだけではなくて、公社の事業全体で行政を補完し、支援をしている。行政の根本的な役割として、不採算だからといって切り離せない部分があるのは、これは当然だろうと思います。これらについて、採算のとれるところと組み合わせてトータルとしてその事業を運営し、行政を支えるというのは、私は、これは理にかなった方法だと思うわけであります。
 こうした全体像を見ないで、個別の駐車場運営のみを見て駐車場事業を民間にゆだねるべきとか、公社を民間にすればいいとかという結論を、仮にですよ、仮に導くとすれば、これはかなり短絡的な議論だといわざるを得ないと私は思います。取り上げた個々の事象と、導かれた駐車場部門の民営化という提案の間には、余りにも大きな論理の飛躍があって、木を見て森を見ない議論といわざるを得ないと思います。
 ちょっとここで思い出したんですけれど、そういえば先日、「都議会情報」というこの雑誌を見ていましたら、この道路保全公社についての一般質問の話題が載っておりまして、そこに昨年六月議会で東京しごと財団のことでも質問をして、むだを指摘したというような記事が載っていたんですね。これ、きょうは都政情報の方、来ていらっしゃるのかどうかわからないけれども、私は、やっぱりこれ、こういう記事を書かれたら困ると思いますね。
 つまりですね、実際は五百部印刷をして二百部しか世に出ていないそのパンフレットに、八十万円の経費をかけていて、そういうむだを指摘したという記事が書いてあるんですよ、ここに。これ、全然事実と違うじゃないですか、話が。全部私調べましたよ、これ。実物、これですよ。これね。皆さん見たことあると思いますけれども。これはシルバー人材センターの方々が仕事をする前に、けがをしないように少し準備運動してくださいよというために、気軽にストレス体操という、これで出した。
 これは有償で頒布されておりまして、既に三万部以上売れているんです。既に百五十万円以上の収益を上げている。今出版不況だといわれている中でですよ、三万部売れるというのは、簡単なこの冊子ですけれども、これはなかなかやっぱりこの三万部の販売というのは、私はかなり多くの販売をしているんだと思いますので、こういう全体がむだであるような、そういう議論というのはもうやめた方がいいと私は思います。ちょっと話が横道にそれましたけれども。
 常々知事や建設局長が答弁をされているように、見直すべきは見直すことは当然だというふうに思います。検討の結果、駐車場事業を仮に民間にゆだねるという結論が導かれることがあったとしても、しっかりと全体像を理解した上でやらなければいけない。そのためにも徹底した検証が必要なんだということを、先日来、建設局長がご答弁されているんだと私は理解しております。
 そこでまず、都において指定管理事業を初めとするアウトソーシングのあり方を見直していくに当たっては、都政は、知事がいつもいっている現場を持っているんだということが強みだという認識のもとで、事業の性格、委託した団体等の果たす役割、そして人材の育成あるいは技術力の継承など多面的な視点から、私は検証を行っていくべきだと考えますけれども、所見を伺います。

○中田総務局長 都は、効率的、効果的な事業執行を図るため、官民の役割分担を見直し、指定管理者制度など多様な民間開放手法の導入を進めてきているわけでございますが、都と監理団体、民間事業者との役割分担につきましては、都民の安全・安心の確保など、都が直接責任を持って担う業務と監理団体等を活用していく業務、これらの業務の明確化を図るとともに、今後とも行政としての責任を果たしていくために必要な人材の確保、育成や、技術、ノウハウの継承への取り組みなどの視点をもって検証、整理を行っていくことが必要かと考えております。
 いずれにしても、都は現場を持っているという強みを生かしまして、コストや効率性だけではなくて、例えば今述べましたような視点で多面的な検証を行ってまいります。
 具体的には、都の施策との連動性が相当程度高い施設につきましては、市場の成熟度や手続の透明性、公平性にも十分留意しつつ、行政支援、補完機能を担う監理団体の活用を初め、指定期間の弾力的な設定なども、今後、前向きに検討してまいります。

○高木委員 まず、その見直しに当たっての立ち位置というものをきっちりしておいていただきたいと思うんです。つまり、現状をどう掌握するかということなんだろうと思います。
 議論の順序としては、まずアウトソーシングの範囲の検討というのが、この際、必要なんだろうなと思っています。
 例えば、指定管理でいえば、公の施設として大くくりされている多様な施設をどう分類をまずしていくのか、どのような主体にゆだねるのが最も効率的かという議論に収れんするんだろうと思います。
 公共性を重視する施設と、あるいは経済合理性を重視する施設というのも一つの切り口であろうと思いますし、公共性が大きい場合には経済合理性を貫徹することには限界があるというような考え方もあると思います。当然、制約を受けてくるんだろうと思います。
 実は、私たちは、先ほどPTをつくって検討していると申し上げましたけれども、既に、これは近々発表しますけれども、ほぼ私たち検証を終えました。これは都議会自民党の中で、これからもう一度議論をし直して発表していきますけれども、入札契約制度検討委員会の第二回報告書として、ぜひ参考にしていただきたいと思っております。
 私たちは、政策との連動性が強くて公共性を重視すべき施設としては、具体的にいいますと、公営住宅あるいは防災公園、東京の顔となる文化財庭園や文化施設などを想定しています。一方で、競争にゆだねる経済合理性を重視すべき施設としては、貸し館ホールや一般開放公園などということが、大くくりですけれども、想定されるんだろうと思います。
 そこで、それぞれの担い手として直営がいいのか、監理団体がいいのか、あるいは全く民間にゆだねてしまう方がいいのか、そういうところをぜひ議会とも協議をしながら検証していただきたいというふうに思っています。
 具体的にどの施設がどのように分類されるかというのは、これからのことなんだろうと思いますけれども、分類が決まれば、それに対するふさわしい受け皿というものが決まってくるんだろうと思いますので、このように公の施設の性格や目的に応じて指定管理者の選定手続や運営手法を適切に使い分けていくという発想についてどのように考えるか、所見を伺います。

○中田総務局長 指定管理者制度は、もともと公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、一つとして住民サービスの向上、公共性と、二つ目として経費などの経済性の効率、こういったことを図ることを目的としております。
 この公共性と経済性をどう発揮させていくべきかは、個々の公の施設に内在する性質やそこで実施される事業の効果等に応じて異なるものでございまして、それによりまして、最もふさわしい管理主体もまた変わってくるものと考えております。
 したがいまして、ご指摘のとおり、それぞれの公の施設の性質に応じた最も効果的な主体に管理をゆだねていくことが適切と考えております。

○高木委員 先ほど来申し上げておりますように、監理団体の問題は特にただすべきところはただしていくんだという姿勢を持ちながらも、監理団体の業務運営のごく一部を取り上げて、指定管理者としてはふさわしくない主体であると即断をしたり、行政のサービスは民間によって一律に向上していくのだというような、こういった乱暴な議論にくみすることがないように、ぜひしていただきたいということをいいたいんですよ。このことをきちっと押さえておかないと、行政の責任や役割というのは私は果たせないんだと思いますよ。
 ですから、この間ずっとこの議論をしてきましたけれども、そういうことをきちっと行政の内部でも検討していただいて、やっぱりどういう主体に行政のやるべき仕事をどうゆだねていくのか。直営もあり、監理団体もあり、指定管理もあり、そして民間もある。さまざまなその主体を使い分けしながら、ぜひすばらしい東京都政を実現していただきたいという気持ちは、みんなが持っていることですから、そのことをぜひお願いしたいと思うわけであります。
 私たちは、よく外郭団体というものが第三セクターというふうにいわれますけれども、第三セクターといういい方はふさわしくないというふうに思っています。つまり、行政と民間の間を埋めるべき一・五セクターという考え方を実はこれから打ち出そうと思っています。
 つまり、これはどういうことかというと、行政でやるにはコストがかかり過ぎたり、あるいは非効率になってしまう、あるいは民間ではなかなか手が出しづらい、そういうところを、実はこの一・五セクターに埋めていただくんだという意味で、監理団体の活用の方針ですとか方策というものが、まだまだ私はたくさんあるんだと思うわけであります。ですから、その知恵をぜひ絞っていただいて、監理団体はやっぱり私たちのパートナーでもあり、有効な行政の補完機能、行政を支援する機能なんだと。そのことを、ぜひ私は検討の中で一つの結論を導き出していただきたいと思うわけであります。
 そこで、これまでの議論を踏まえて総務局長に、まずそのアウトソーシングと監理団体の今後のあり方についての所見をお願いしたいと思います。

○中田総務局長 職員の大量退職や少子高齢化が進み、行政のみが公を担うことが困難となる一方で、公共サービスの提供や公共的課題の解決に、多様な主体が連携し都民生活の質的向上を図っていくことが求められております。
 今後とも、都民の安全・安心の確保など確実に行政責任を果たすためには、官民の役割分担を再整理した上で、都が担うべき業務、役割の明確化や、監理団体、民間事業者の活用を進めていくことが必要であると考えております。その際、監理団体や民間事業者が担う事業につきましては、都民サービスの向上につながる適切な事業執行がなされるよう、引き続き必要なチェックを実施してまいります。
 監理団体につきましては、ただすべきことは徹底的にただすなど時代に即応した改革を行いながら、都政の現場を担うパートナーとして一層有効に活用してまいります。
 また、平成二十二年度末に、公の施設の多くが指定更新時期を迎える中、現在実施しております検証の結果や関係局との調整を踏まえまして、次の指定更新時期に間に合うよう指定管理者の選定等に関する指針を改定するなど検討を進めてまいります。

○高木委員 さて、ここまで監理団体の議論をしてまいりました。ここからが大事なところでありますが、この間の議論をずっと聞いてまいりますと、監理団体改革というのは、何か民主党の専売特許のような、そんなイメージを受けているんですけれども、決してそんなことではありません。私たちは、この骨太の監理団体改革というものをきちんとやっていかなきゃいけないというふうに思っているんですよ。ですからPTを立ち上げて、私たちは近々その報告書を出しますけれども、この間、監理団体改革の議論をずっと続けてまいりましたが、今までの議論を聞かれて、ぜひ知事のご所見をお伺いしたいと思っています。

○石原知事 私も、議員の皆さんもともに、国民、都民の選挙で選ばれた者であります。その限りにおいて、行政というある意味で一方的な絶対性を持つ、その方法を駆使している官僚とは、立場が本質的に違うと思います。その意味において、私もこの問題については重大な関心を持ちますが、監理団体なるものがつくられたいきさつがあり、かつその後の時代的な変化というものにさらされる中で、監理団体の持つ意味合いというものはいささか変わってきている節もないではない。
 いずれにしろ、そういう変化の中でこの問題をとらえなくちゃいけないと思いますが、先日の一般質問で答弁しましたように、個別の監理団体に関しては問題があるようでは、事実関係を徹底的に調査し、見直すべきところは見直していかなくちゃいけないと思います。
 さらに、その監理団体のみならず、関係する、何ていうんでしょう、孫企業というんでしょうか、関連している法人との関連性においても、契約関係を含めて外部の視点を活用するなどして、これはやっぱり外部監査という方法も一つの有効な手段だと思いますが、もちろん議員の皆さんの調査というものは有効だと思います。その外部の視点を活用するなどして、あくまでも公正なものとなるように見直すべきところは徹底して見直していかなくちゃならぬと思っています。
 監理団体全体の改革については、これまでも私も主張し、積極的に取り組み、外部監査の実施によって団体の存在意義まで踏み込んだ抜本的な改革を進めてきたつもりですし、着実に成果も上げておりますが、しかし、これはすべてに及んでいるとは必ずしもいえません。
 今後とも、行政を支援し補完する監理団体が都民に一層貢献し得る団体となるように、不断の改革に取り組んでいきたいと思います。

○高木委員 ぜひ、その方向でお願いしたいと思います。
 今までずっと総務局長に答弁を求めてまいりましたけれども、この監理団体の改革というのは、基本的に総務局の所管に置かれるところが大きいんだと思います。ですから総務局を中心に、総務局を所管する山口副知事も一緒になって、ぜひこの問題は取り組んでいただきたい。精力的に取り組んでいただきたい。お願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 一昨日の我が党の代表質問において、新たな取り組みとして提案をされております地域の金融機関と連携した新たな金融支援策の趣旨や制度設計に当たってのポイントについて、質問したいと思うわけであります。一昨日、そのポイントの質疑は行われたわけであります。
 その際の答弁から、今回の取り組みにおいて都が支援をしようとしているのは、東京の産業を支えている都内中小企業であることが改めて明確になったと思います。一部の政党には、本支援策の内容に極端な誤解や曲解があるように感じているんですが、ここで改めて知事にお伺いしたいんですけれども、東京都と地域の金融機関が連携して実施する金融支援に関する条例の制定の趣旨について確認させていただきたいと思います。

○石原知事 昨年秋以降の百年に一度といわれておりますこの厳しい経済状況の中で、都内の小零細企業を取り巻く環境は、倒産件数の増加などを見ても極めて厳しい状況にありまして、とりわけ小零細企業は資金調達に苦しんでおります。先ほど申しましたが、黒字倒産する会社も随分ふえております。
 そうした中で、高い技術力やすぐれたビジネスプランなどを持った企業を支援することは、東京の産業活力の維持向上にとって極めて重要であります。
 このため、都独自の新たな融資制度を創設し、都内小零細企業の資金繰りを支援することとします。日ごろの取引を通じ、企業の顔が見えている地域の金融機関と連携して取り組む考えでございます。
 こうした本支援策の位置づけを明確にするために、制度の大枠を規定する条例案を予算案とともに提出しているところでありまして、幅広く金融機関の協力を得て実施していくつもりでございます。

○高木委員 今の知事のご答弁にもございましたように、今回のこの条例というのは、東京全体の中小企業をきちんとつくっていくための東京都の枠組みをつくっていくという、そういうことだろうというふうに思っております。
 そういう観点から、実は昨年、四定の代表質問においても、現下の厳しい経済情勢のもと、中小企業の資金繰りの円滑化のためには地域の金融機関との連携を図ることが必要であることを私たちが提言をし、そして今回の条例提案になったというふうに私は理解をいたしております。
 そこでお伺いするんですが、これまで都の中小企業金融政策において、信金あるいは信用組合など地域の金融機関はいかなる役割を果たしてきたのか、また、現在果たしているのか、お伺いしたいと思います。

○佐藤産業労働局長 東京都の制度融資における取扱指定金融機関は、現在、全部で八十機関ありますが、そのうちお話のありました信用金庫は二十九金庫、信用組合は十六組合となっております。
 東京信用保証協会の平成十九年度の保証承諾額は一兆九千五百二十六億円でありますが、そのうち、信用金庫と信用組合の取り扱い分は九千二百四億円と、約半分を占めておりまして、都の中小企業金融施策において大きな役割を果たしております。
 また、信用金庫や信用組合等は中小企業の重要な取引金融機関となっておりまして、都は、常日ごろから中小企業向け融資全般に関して情報や意見を交換しておりまして、その中で現場の実情を把握し、その内容を金融施策に適切に反映しているところでございます。

○高木委員 現在、都が行っている制度融資においても、信金、信組などの地域の金融機関は非常に大きな役割を果たしている。そうした地域の金融機関の力を最大限に活用して将来性のある企業を見出し支援をしていくのが、今回の支援策の柱だと思います。
 それでは、その地域の金融機関にとって、今回つくられる本支援策に参加する意義というのは、どんな点にあるんでしょうか。

○佐藤産業労働局長 地域の金融機関は、ふだんから企業を訪問し、日ごろから中小企業の経営の実情の把握に努めております。また、融資審査に当たりましては、担保に過度に依存せず事業計画等で将来性を判断するなど、リレーションの取り組みを強化しているところでございます。
 地域の金融機関にとって、今回の支援策は、これまで培ってきたそうした目ききの力や融資のノウハウを発揮するチャンスであります。これにより、これまで取引関係を築いてきた中小企業への継続的な融資が促進され、現下の厳しい環境の中で経営努力を続けている中小企業の経営の安定化が図られることによりまして、地域経済の活性化に寄与することが期待できるものであります。

○高木委員 加えてですね、私は今回の支援策の一つのポイントというのは、損失をできるだけ抑制していくということが一つ大きなテーマだというふうに思っています。
 一昨日の我が党の質問に対しても、保証機関の活用ということがございましたが、この保証機関の活用なんですけれども、制度融資と同様に保証機関を活用することを検討してているということなんですけれども、それは都はどういうメリットを期待しているのか。あるいはまた、その保証機関を活用するに当たって、どんな課題があるのかを教えていただきたいと思います。

○佐藤産業労働局長 保証機関を活用することの効果といたしまして、金融機関と保証機関が車の両輪のごとく審査を行うことによりまして、精度の高い審査が行われるとともに、保証基準の設定を通じて、各参加金融機関において本制度の趣旨に沿った審査が行われることなどが期待できます。
 一方、保証機関を活用するに当たりましては、一般的に金利のほかに保証料が加わることになるために、中小零細企業が負担するオールインコストをどの程度の水準とするかといったような課題が想定されます。引き続き金融機関と調整を図りながら、こういった課題についても取り組んでまいります。

○高木委員 ぜひですね、都内の中小企業を助けていただく、そして東京の地域産業を活性化していただくという大きな目標に向かって努力をしていただきたい。このことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 介護予防事業についてお伺いいたします。
 高齢者の介護予防については、一人一人がみずからの健康に留意して生活をしていくこととあわせて、生活機能の低下をできるだけ早期に掌握し、状況の改善や重度化の予防を図っていくというのが、介護事業の趣旨だと思うわけであります。
 東京都は、全国に先駆けて、東京都老人総合研究所とともに基本チェックリストなどのノウハウの開発や人材育成など、積極的にこの介護予防について取り組んでまいりました。平成十八年四月の介護保険法改正において、介護予防が制度化されるに至ったのは、こうした東京都の努力が私は大きかったというふうに思っています。
 現在、制度発足から丸三年を経過いたしましたが、都は、こうした介護予防の効果についてどのように認識されているんでしょうか。

○安藤福祉保健局長 都内における要支援及び要介護一の軽度要介護認定者につきましては、介護保険制度開始以降、増加し続けてきましたが、平成十八年四月に介護予防の取り組みが本格化してからは減少しております。したがって、予防重視型システムへの転換は、所期の効果を上げているものと考えられます。

○高木委員 介護予防が効果を上げているということに対して、非常に意を強くするわけでございますが、もう一つ、独自に東京都は二カ年にわたって介護予防事業の効果の検証をする東京都介護予防評価支援事業を行ったと聞いております。このうち、要支援の一歩手前とされる特定高齢者の介護予防について、その検証結果を都としてどのように受けとめているのかお伺いします。

○安藤福祉保健局長 東京都介護予防評価支援事業では、介護予防の実施前後でお話の特定高齢者、すなわち生活機能が低下し、将来要支援、要介護となるおそれのある虚弱な高齢者の方の心身の状況等がどのように変化したか調査をいたしました。
 その結果、改善または維持した方が、平成十八年度は約八六%、平成十九年度は約八五%でありまして、二カ年とも改善維持した方の合計が八割を上回ることから、介護予防の効果があらわれたものと認識しております。

○高木委員 特定高齢者に対する介護予防事業が効果があるということが非常によくわかりました。しかし、その一方で課題も出てきているというふうに聞いております。例えば、市区町村から、まだまだ介護予防の参加者が少ないというような声も聞いているんです。
 そこで、介護予防事業は地域支援事業交付金という財源によって措置をされている、この交付金でカバーできないさまざまなニーズが現場にはあると私たちは掌握をしています。
 例えば、柔道整復師が一対一の個別指導によって介護予防事業を行う場合は、この交付金の対象としてなじまないというふうにされているんですが、しかしながら、実施主体である市区町村が、こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいという、そういう要望には私は都はこたえていくべきではないのかなと。つまり、介護予防全体をもっと大きなパイにしていくためには、いろいろなメニューがあっていいんだろうと思いますが、そうした支援が必要と思いますけれども、ご所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 都はこれまでも、介護予防事業に従事する人材の育成や介護予防の普及啓発などにより、区市町村や事業者を支援してまいりました。さらに、来年度からは、高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用し、お話のような区市町村独自の取り組みを支援することといたしております。本事業によりまして、高齢者にとって参加しやすく、より魅力的なプログラムの提供などを促進し、介護予防事業の参加率の向上に取り組んでまいります。

○高木委員 ぜひ力強い取り組みをお願いしたいと思います。
 続きまして、福祉的な防災対策についてお伺いを二点させていただきます。
 一点は、福祉避難所についてであります。
 いわゆる二次避難所といわれている福祉避難所、これは区市町村が指定をすることになっておりますが、まだ指定をしていない区市町村もあるやに聞いております。さまざまな理由があるんだろうと思いますが、しかし、この福祉避難所、二次避難所というものはどうしても必要だろうと思いますし、二次避難所としての指定と、そしてその機能を充実させるということは、私は防災対策にとってはどうしても必要だろうと思っています。
 そこで、こうした二次避難所の機能を充実させるための整備を区市町村が行う場合には都として支援をすべきと考えますけれども、ご所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 高齢者や障害者等の要援護者が避難所で適切かつ十分な援助が受けられますよう、二次避難所の機能を充実させることは重要でございまして、今後、設備整備を行う区市町村に対し、包括補助制度を活用した支援を検討してまいります。

○高木委員 防災対策についてもう一点伺います。
 災害時の医療救護対策についてお伺いします。
 首都直下地震が仮に起こった場合には、膨大な数の傷病者が発生をされることは予想されております。対応する医師が少しでも多くの医療従事者等の助けを必要としているんだろうと私は思っています。こうした状況で、医師を中心とした医療救護班を補完するさまざまな、いわゆるコメディカルといわれる部分の方々、この活用が必要と考えますが、東京都の取り組みについて伺います。

○安藤福祉保健局長 災害時の医療救護所や後方医療施設におきまして、医師の指示のもと、さまざまな医療従事者が医療救護活動を行うことが必要でございます。現在、都では、医療救護活動等に関する災害時の応援協定を、東京都医師会など五つの団体と締結しております。
 今後は、協定者が活動しやすい環境の整備に努めるとともに、医療救護活動に必要な団体がありますれば、新たに協定を締結するなど、災害医療救護体制の強化に努めてまいります。

○高木委員 これは要望でございますけれども、そういう災害が起こったときに、多分圧倒的に多いのは、捻挫とか打撲とか、いわゆる医療として、軽度といっては申しわけないのかもしれませんが、必ずしもお医者さんでなければ治せないというものだけではないような気がしています。そういう意味では、東京都柔道接骨師会は、平成三年に東京都と災害時の救護活動に関する協定を締結し、積極的に防災訓練にも参画をしてきました。こうした公益的な取り組みを強化する意向も示していると聞いています。都として、こうした意欲のある団体と災害時の連携体制を一層強化して、災害対策基本法に基づく指定地方公共機関の指定についても検討していただきたい、私は要望をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 東京都の観光振興施策の一環として、ホテルのバリアフリールームのことについてお伺いをしたいと思います。
 オリンピックの評価の中で、東京のホテルというのはIOCで大変高い評価をいただいたと聞いております。私たちがオリンピック・パラリンピックといっておりますように、オリンピックの後には必ずパラリンピックがある。パラリンピックに来られる方、あるいは見に来られる方も含めてですけれども、そういう方にはホテルのバリアフリールームというものが必要なんだろうと思っておりまして、このバリアフリールームをつくるための補助制度も今あると聞いているんですが、なかなか進まないという一面もあるということでございます。
 そこで、オリンピック・パラリンピックを展望したときに、今以上に宿泊施設のバリアフリー化を進めていくべきなんだろうと思っているんですが、このことについて所見を伺いたいと思います。

○佐藤産業労働局長 だれもが不自由を感じることなく快適に過ごせる、宿泊施設のバリアフリー化の取り組みは重要であるというふうに認識をしております。都はこれまでも、百件を超える施設改修への助成を行いますとともに、宿泊事業者の団体と連携をいたしましてセミナーや相談会を開催するなど、宿泊施設のバリアフリー化の推進に努めてまいりました。
 しかしながら、さまざまな障害にきめ細かく対応できているかという点を含め、いまだ十分な状況にあるとはいえないというふうに認識をしております。
 今後は、宿泊施設のバリアフリー化をより一層推進するため、施設改修に対する支援の充実などについて検討してまいります。

○高木委員 宿泊施設の安全・安心という意味では、もう一点、宿泊事業者が進めるAEDの普及について、ぜひ取り組みの支援をお願いしたいと思っております。
 この宿泊事業者が進めているAEDの支援についてご所見を伺いたいと思います。

○佐藤産業労働局長 都はこれまでも、旅行者の受け入れ体制整備の観点から、宿泊施設のPRガイドの作成や接遇の向上に関する講習会など、宿泊事業者の団体が行う取り組みを支援してまいりました。
 お尋ねの宿泊施設に設置されるAEDにつきましては、緊急時に正しく使用されることが肝要であることから、宿泊事業者の団体によりますAEDの取り扱いに関する研修などを支援してまいります。
 さらに、来年度、事故や災害など緊急時の対応や、連絡先に関する情報などを掲載いたしましたリーフレットを多言語で新たに作成いたしまして、宿泊施設を中心に配布するなど、旅行者が安心して東京に滞在できる環境整備を一層充実させてまいります。

○高木委員 ぜひ補助を充実していただくなど、お願いしたいと思います。
 最後に、羽田空港の国際化と中小型ジェット旅客機の開発促進について、二点まとめて質問をいたします。
 現在、航空交渉がどうなっているのか、つまり、羽田の国際化がどのように行われて、そして航空交渉どうなるのか、そして、そのことが知事が常々主張している中小型ジェット機の開発にどのように影響するのか、まとめて二つお願いしたいと思います。

○只腰都市整備局長 国は、新滑走路供用開始時点におきまして、国際定期便就航回数を昼間に年間三万回としておりましたが、都の強い要請などを受けまして、昼夜合わせて約六万回就航させることといたしました。また、従来、昼間の就航都市に千九百四十七キロメートル以内という距離制限を設けておりましたが、再拡張後は制限を撤廃し、ソウル、上海に加えまして、北京、台北、香港まで就航させる方針を決定いたしました。こうした方針を踏まえまして、国は順次各国と航空交渉を行いまして、既に、昼間はソウルと、夜はパリ、ロンドンなどとの定期便の就航について合意をしてございます。
 都としては、アジアなどとの結びつきを一層強化する観点から、年間四十万七千回とされる昼間の空港容量の増加と、アジアの主要都市へのさらなる就航拡大を国に強く求めてまいります。

○石原知事 率直に申しまして、事態は今の局長の答弁のとおり進んでおりまして、国交省の内々の交渉で、やがては羽田発の飛行機がマキシマム、いってみますと、満タンでニューヨーク、ワシントンまでは飛べませんが、ヨーロッパの入り口に近い大都市までは飛ぶ予定であります。そういったことが充実していきますと、当然、東南アジアという大事な経済圏にも頻繁に飛行機が飛ぶようになりまして、そういう意味で、羽田というものは国際化によって非常に大事な日本の経済の発展の要因になり得ると思っております。
 ご質問の中小型のジェット機であります。これは、むしろ日本のような南北に長い国土の中で、YS11にかわる需要というのがあるわけですから、それを賄える機材として開発されつつありますが、同時に、日本の技術力もあわせて、東南アジアなどの航空技術を持っている国等の協力によってこれが造成されていきますと、例えばインドのような亜大陸の中で、経済発展に伴って人の移動が頻繁になるようになりましたが、決してまだジャンボというような大きな飛行機の需要にまで行っておりません。
 そういう点で、東南アジア同士で飛び回る、インド亜大陸の中で飛び回る、そういう需要にかなう飛行機として、百人前後の飛行機がこれから非常に需要の対象になっていくということは十分予測されまして、日本の政府も、それを考えた上で、最初の機体を変えて、三菱の飛行機のように百人というキャパシティーにしたんだと思います。

○三宅副委員長 高木けい委員の発言は終わりました。(拍手)

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