予算特別委員会速記録第三号

○三宅副委員長 野上純子委員の発言を許します。

○野上委員 初めに、食育について質問いたします。
 食育につきましては、もう何度も質疑をしてまいりました。これは国家戦略ともなる大事な施策だと思っております。栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病、食の安全等、さまざまな問題が生じております。
 このため、食に関する知識、食に関する選択する力をはぐくむことによって、例えば、今最も大きな課題になっておりますのは過剰な医療費でございますが、これを削減できるともされております。もちろん、第一義的には子どもへの健康投資であることは申し上げておかなければなりません。
 私はこれまでも、食育リーダーの配置を提案させていただきました。その結果、現在では、すべての学校に食育リーダー、食育推進チームを設置してきました経緯がございます。これは、石原知事の英断もあり、東京都の食育が大きく進んだと思っております。
 今後は、区市において栄養教諭の配置拡大を着実に行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
   〔三宅副委員長退席、石川副委員長着席〕

○大原教育長 栄養教諭制度でございますが、これは、学校教育法の一部を改正する法律の施行によりまして、平成十七年度から導入された制度でございます。法で定める栄養教諭は、配置校において、食に関する指導と学校給食の管理を行うこととされております。
 都における栄養教諭は、これらの職務に加えまして、今ご指摘のありました、各学校において選任されております都独自の制度である食育リーダーに対しまして、食育を効果的に進めるための教材や指導方法の開発、提供などを通じまして、地区内公立学校全体における食育の推進を図る重要な役割を担っております。
 都教育委員会は、平成二十年度、四区市を食育推進モデル地区として、各地区に一人ずつ栄養教諭を配置したところでありますが、平成二十一年度は新たに十区市に栄養教諭を配置いたしまして、合計で十四区市で、健康づくりの視点を重視した食育を進めてまいります。

○野上委員 二十一年度からは、十四区市で栄養教諭を十四名配置できるということで、さらに拡充して、一日も早く、すべての区市に栄養教諭の早期配置を実現していただきたいと思っております。
 次に、特別支援教育についてですが、平成十九年十一月に策定されました東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画の中でも、特別支援学校の教師が小学校や中学校を巡回指導する場合、特別支援学校の先生の加配が必要となってまいります。思い切って人的配置をするべきだと思いますが、所見を伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、特別支援学校を、地域において特別支援教育のセンター的機能を発揮するものと位置づけておりまして、特別支援教育コーディネーターである教員が区市町村の就学相談の助言等を行う取り組みを進めてまいりました。
 さらに現在、お話のように、コーディネーターが小中学校を巡回し、特別支援教育を担当している教員等に対する校内研修の支援や、児童生徒への指導に関する助言、援助を行うための体制の整備に努めております。
 平成二十一年度は、このための教員の加配を六人から九人に増員しますとともに、非常勤講師の配置校についても、今年度の二十五校から三十六校に拡大をする予定でございます。

○野上委員 政策を充実していくためには、やはり人的配置が大事だと思っております。二十一年度の様子をしっかりと検討して、不足ならば、さらなる加配も検討していただきたいと思っております。
 次に、教員の大量退職、大量採用の問題についてであります。
 今後十年間で教員の三分の一が入れかわります。新規採用教員も含めた若手教員をいかに効率的に育成していくかが大きな課題となっております。
 現在、団塊世代の五十代の大量退職に伴って、大量の教員採用が続いているために、若手教員が大半を占める学校も出てきております。新規採用教員を含めた若手教員をどう育成していくのかが大きな課題です。
 教育長、若手教員をどう育成していくんですか。

○大原教育長 都教育委員会は、昨年十月に教員人材育成基本方針を策定いたしまして、その中で、教員に求められる基本的な力として四つ、第一に学習指導力、第二に生活指導力、進路指導力、第三に外部との連携、折衝力、第四に学校運営力、組織貢献力を示したところでございます。この四つの力は、初任の段階から着実に教員が身につけていくべきものと考えております。
 人材育成は、職場外での研修であるOff-JT、職場内研修OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、そして自己啓発の三つが基本となるところでございますが、特に、日常の職務遂行を通して育成をするOJTが重要であることから、教員の職務に即した具体的な育成事例を多数盛り込みましたOJTガイドラインを作成いたしました。
 このガイドラインでは、若手教員がみずからの能力開発の目標を立てやすく、また、育成する側もOJTに取り組みやすくするために、一人一人の経験や能力に応じて身につけるべき能力を段階的に示しております。
 今後、来年度から新たに任用いたします主任教諭が、このガイドラインを活用いたしまして、若手教員に対し、四つの力を身につけさせるとともに、直面する課題や悩みをみずから乗り越える手助けをするなど、学校が一体になって若手教員を育成してまいります。

○野上委員 魯迅の言葉に、生きていく途中で血の一滴一滴を垂らしてほかの人を育てるのは、自分がやせ衰えるのが自覚されても楽しいことであるとあります。多くの人々を教育し、後輩を優秀な人材に育て上げることは、教育者としてこれほどうれしいことはありません。
 しかし、その一方で、教育現場で早急に手を打っていかなければならない課題もあります。それが教職員のメンタルヘルスです。
 現在、東京都の教職員の休職者は何人で、そのうち精神疾患で休職している人は何人でしょうか。

○大原教育長 平成十九年度の数字でございますが、平成十九年度における東京都公立学校教員の病気休職者数は六百二人、そのうち精神疾患によるものが四百十六人で、全体の六九・一%を占めております。

○野上委員 これだけ多くの人が心を病んでいる現状があります。希望に燃えて教職についたのに、大変残念な実態です。また、頑張り過ぎるまじめな人がバーンアウト、燃え尽きてしまうという現状もあります。
 精神疾患の人が年々ふえてきているという現状をしっかりと認識をしていただき、教育庁としても、これからは一人も休職者を出さないという決意でメンタルヘルスに取り組む必要があるのではないでしょうか。
 東京都は、メンタルヘルスのために数多くの取り組みをしてきていることはよく存じ上げております。さらにもう一歩踏み込んだ施策をする必要がありますが、いかがでしょうか。

○大原教育長 都教育委員会ではこれまでも、教職員への啓発資料の配布、管理職研修の充実、精神科医や臨床心理士による個別相談、精神保健講習会などの予防対策、また、医療機関や所属学校における職場復帰訓練など、メンタルヘルス対策の充実に努めてきたところでございます。
 精神疾患につきましては、さまざまなストレスの要因が重なって引き起こされるものと考えられておりますが、精神疾患により休職する教員は依然として増加しておりまして、抜本的な施策を講じるべき段階に来ていると思います。
 このため、都教育委員会は、精神科医や臨床心理士、学校長や区市町村教育委員会の代表などで構成いたします、メンタルヘルスに関する検討会を設置いたしまして、精神疾患による休職者の増加傾向の分析、原因の解明などを行い、現状に即したメンタルヘルス対策の見直しや、専門家、学校管理職OB等による学校への訪問相談の充実など、さまざまな施策を講じてまいります。

○野上委員 メンタルヘルスに関する検討会を設置する、これは初めてですね。早期発見、早期治療を行えば、職場復帰することができます。原因をしっかりと分析して、心を病んでいる先生がいなくなるように、前向きに取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、ネット対策について質問いたします。
 これは、ネットいじめが高じて自殺をしてしまった子どもや、心ない大人からの誘惑から犯罪に巻き込まれてしまった子など、さまざまなネットトラブルがございます。
 また、学校裏サイトにつきましても、学校のパソコンにはフィルタリングがかかっているために、検索がなかなかできない。家に帰ってから自分のパソコンで教職員が裏サイトを検索しているということがございます。
 都教育委員会は、全国に先駆けて、学校裏サイトなどのネット監視を実施していくということですが、その実施内容について伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、平成二十一年度から、ネット監視を専門とする事業者に委託をいたしまして、学校非公式サイト等のインターネット掲示板を常時監視し、子どもたちをネット被害から守っていくこととしております。
 本事業は、都内公立学校約二千二百校を対象といたしましてネット監視を行い、学校非公式サイト等の存在の有無を調査し、サイト上にある特定個人に対する誹謗中傷、いじめや犯罪につながるおそれのある有害情報などの不適切な書き込みについては、即時、当該学校や区市町村教育委員会へ通報いたしますとともに、受託事業者を通じまして、当該のプロバイダーに通報して削除依頼を行うものでございます。
 さらに、この事業を通して得られました情報や対応事例などは、随時取りまとめまして各学校に提供するなど、注意を喚起してまいる予定でございます。

○野上委員 個々の学校にかわって都教育委員会が専門業者と連携してネット監視をするという、そして子どもたちのトラブルを未然に防止するという、すばらしい取り組みが始まるものと思っております。
 ネットの最後の質問ですが、昨年の六月に成立した、いわゆる青少年インターネット環境整備法がこの四月一日から施行されます。自治体の役割も重要となってくる中で、青少年・治安対策本部では、ネットトラブルなどに対応する相談窓口を新たに設置していくということですが、その概要について簡単に伺います。

○久我青少年・治安対策本部長 ネットトラブルに対応するための相談窓口といたしまして、仮称でございますが、ネット・ケータイヘルプデスクを平成二十一年度新たに開設することとしております。
 この事業では、ネット上のトラブルに巻き込まれた都内の青少年やその保護者、先生などからインターネットまたは電話で相談を受け付け、相談者に対して助言を行います。
 また、教育委員会、警視庁等の関係部局や民間団体と広く連携して、削除要請を初め必要な措置を行います。
 さらに、民間団体や事業者に対して、青少年に対する啓発やフィルタリングの推進に資する情報提供などの支援を行ってまいります。
 こうした取り組みを通して、青少年インターネット環境整備法に規定されている地方公共団体の役割を率先して果たしてまいります。

○野上委員 新たな取り組みとして、今後の成果に期待します。
 最も大切なことは、発達したネット社会にあって、子どもたちが被害者にも加害者にもならないよう、各家庭はもとより、関係者が主体的に取り組むことが大事だと思っております。
 次に、地球温暖化問題について伺います。
 私ごとですが、CO2削減に少しでも貢献したいという気持ちから、我が家は、この冬はエアコンを使わないで生活をすることに挑戦しています。ちょっとした工夫で地球に優しいエコ生活を過ごしておりますが、知事は何か努力されていますか。
 昨年秋にC40気候変動東京会議が開催されましたが、私はこのシンポジウムに参加し、石原知事やC40議長、国内外の専門家のお話をお聞きいたしました。その中で、マーティン・パリー氏の基調講演は、地球温暖化の厳しい現実についての指摘がございました。このままCO2削減努力をしない場合は、今世紀末までに最大で平均四度の気温上昇が見込まれる、地球温暖化は早急に手を打たなければ、人類にとって破局的な事態を招きかねないということで、世界の人口の約半分が都市に居住し、二酸化炭素の七五%が都市から排出しているということがありますので、二〇三〇年までには世界人口の六割が都市に住むといわれております。
 東京のような大都市が温暖化対策に果たす役割、責任は極めて大きいと思っております。そうした意味で、一人一人の微々たる努力がやがて大きな力となって、二酸化炭素削減を進める上では重要であると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 CO2削減のためにあなたは何をしているかということでございますが、私も私なりに努力しておりまして、家でむだと思っている電気のスイッチは自分で消すことにしています。これは一日に正という字で勘定してみますと、多いときは十五、六回ぐらい、一月でかなりの数になりますが、やっぱり昔も、灯火管制で、自分の家に爆弾が落ちてこないためにみんな光を消したわけですけれども、結局それと同じ原理だと思いますね。
 昨年のC40の会議にもご出席いただいたようですけれども、あそこで申し上げたとおり、地球温暖化のもたらす危機の深刻さというのはだんだん明確なものになっておりまして、これを防止するためには、とにかくCO2を大幅に削減する以外にございません。
 そうした認識に立ちまして、都は、CO2削減義務制度を初め、新築ビルに対する省エネ基準の義務づけといった先駆的な施策に取り組んでおります。
 あわせて、都民、事業者が温暖化の問題を真正面からとらえまして、おっしゃるとおり、ちょっとした工夫、ちょっとした努力というものを集積することが必要だと思います。やはり、ちりも積もれば山となるわけでありまして、そうした結果、C40気候変動東京会議の成果を広く都民にも発信するとともに、環境学習の強化を図り、家庭での節電やエコドライブといった身近な省エネを働きかけるなどの取り組みを進めていきたいと思っております。
 今後とも、都市の未来が地球の未来を決定するという認識のもとに、東京の総力を挙げてCO2の大幅な削減に取り組み、この地球を我々の子孫に残せるように、我々の義務として努めていきたいと思っております。

○野上委員 子どもたちに美しい地球を残していきたいと思っております。
 次に、同じようにC40気候変動東京会議で取り上げられていたのは水の問題なんです。ロサンゼルスでは下水再生水を地下水涵養として活用し、シンガポールでは下水を精製、ろ過して貯水池へ補強していると。いずれ下水を処理して飲み水にという、こういう、他の都市は将来の水の確保の取り組みをいよいよ始めているということです。
 葛飾区でもこの前、子どもわんぱく祭りというのがあったんですけれども、魚沼市からトラック七台で雪を運んできて、この前そこでやっていたスノースタイル・イン東京の超々ミニ版の雪祭りをやったんですけれども、本当に雪が少ないということでございました。
 水源の多くを利根川水系のダムに依存しているこの東京でございますけれども、気候変動により利根川上流域の雪が減少した場合に、水道事業に与える影響について伺います。

○東岡水道局長 利根川上流八ダムの貯水量は、例年、年明けから三月中旬にかけて五〇%程度まで低下し、その後、雪解け水を貯留することにより、本格的な水需要期を迎える五月下旬には九〇%以上に回復するというパターンになっております。
 このように、春先からの融雪等による貯水量の回復は、その後の水需要期に安定した水を供給する上で非常に重要な役割を果たしており、積雪は自然のダムともいわれております。
 将来の積雪の状況についてでありますが、国土交通省では、気候変動の影響により、利根川上流の積雪量は現在の三分の一程度になると予測しております。こうした積雪量の減少は、渇水の頻発など、将来の水道事業に深刻な影響を及ぼすことになると考えております。

○野上委員 これからの世界を制するのは水でございます。ぜひとも長期的な視野に立って取り組みを期待しております。
 次に、住宅の太陽光発電について伺います。
 従来から都議会公明党は、太陽光発電などの再生可能エネルギーを大量に普及させ、電力の買い取り制度の実施を強く主張してまいりました。そして、まさに先月の二十四日に、国は、太陽光発電に関する固定価格買い取り制度の実施を発表いたしました。
 まだその詳細は国から発表していないということですけれども、報道によれば、家庭で発電したのに使い切れなかった電気を、今の二倍の一キロワット約五十円で電力会社が買い取ってくれる、義務づけるという内容でございました。
 東京都は、「十年後の東京」で、百万キロワットの太陽エネルギー利用と高い目標を掲げ、この間、日本の太陽光発電普及を牽引してきました。
 そこで、固定価格買い取り制度の実施に対する都の評価と、都の取り組みに対する影響について伺います。

○有留環境局長 固定価格買い取り制度は、欧州各国でその効果が実証済みの施策でありまして、都は以前より、国に対し早期導入を求めてまいりました。
 今回の国の方針は、欧州の制度と違い、風力発電を含む再生可能エネルギー全体を対象としていないなど、なお不十分なものでありますが、導入に否定的であった従来の方針を転換したことは意義あることと考えております。
 制度の詳細が明らかになっていないことから、現時点で確定的な評価は難しいですが、都の掲げる百万キロワット相当の太陽エネルギーの普及の実現可能性を高め得るものであると考えております。
 今後も、国に対し、実効性の高い制度となるよう、必要な働きかけを行ってまいります。

○野上委員 東京都は、太陽光発電の投資回収期間を十年程度に短縮すると目指して、来年度から一キロワット当たり十万円の補助を実施いたします。これとあわせて、国は七万円、そして葛飾区の場合は三万円の補助で、これらすべてを合わせると、一キロワット当たり二十万円の補助となります。標準的な三キロワットの太陽光発電を例にとると、その価格は大体上限二百十万円程度ということなので、都と国と葛飾区の補助金を合計すると六十万円、そして二百十万円から六十万円を引くと、初期費用は大体百五十万円ぐらいになるだろうと。そして、これを電気代に換算すると、十年間で約七十万円分を発電すると。そして、国に買い取ってもらうと、これが大体五十円とした場合、十年間で四十万円の収入増ということで、この結果、初期費用の百五十万円から引き算をすると、十年間で回収できないのは四十万円ということになるんですね。
 そこで、目標とする十年間での回収が早期に実現するよう、都としてさらなる対策を講ずるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○有留環境局長 昨年夏、都が来年度からの補助制度導入の方針を打ち出したことを皮切りに、都内の区市での補助制度の拡大、国の支援策の具体化が進み、その中で、太陽光発電事業には新規参入が相次ぐなど、市場が活性化しつつあります。
 都は、こうした状況を最大限に活用することにより、太陽光発電装置メーカーや販売施工事業者によるコスト低減及び金融機関による優遇商品の開発などを推進しまして、目標とする十年間での回収が早期に実現するよう、引き続き努力してまいります。

○野上委員 今の説明で、太陽光発電の大量普及につながる投資回収期間十年間のボーダーラインまであともう一歩なんですね。東京都は引き続き、大量普及に向けた事業者の取り組みをリードして、ぜひ残る四十万円の価格低下につなげるよう努力することを求めます。
 次に、東部低地帯河川の整備について何点かお伺いいたします。
 先日、中央防災会議から、大洪水の際に荒川の堤防が決壊したシミュレーションに基づく被害想定が公表されました。最悪の場合には四千五百人が亡くなるという恐ろしい内容でございました。パネルをちょっと……。こちらは、荒川が決壊したときの図なんですね。葛飾区全体ほとんどが浸水をしております。しかも、四メートルから五メートルのところに消防署がある。警察もあるんですね。大変なことになっている。私の事務所も、大体二メートルから三メートルで水没をするという--こちらも同じような形で、こちらも大体水没する。こちらは、江戸川が決壊した場合、これだけの水域で影響を及ぼすということなんですね。こうしたハザードマップが全区民に配られておりまして、私たちはさまざまな恐怖の中で暮らしております。
 私の住んでいるところは、いわゆるゼロメートルというところなんですね。過去何度もいろいろな災害が起きております。
 もう一つ心配なものがあります。それは高潮なんです。過去何度も高潮などで川があふれて水害が発生し、甚大な被害が生まれております。改めて河川整備が急務なんです。東部低地帯河川の高潮対策について質問いたします。

○道家建設局長 地盤が低い東部低地帯におきましては、過去に高潮による水害がたびたび発生したことから、都はこれまで、防潮堤や水門、排水機場等の整備を重点的に進めてまいりました。
 整備に当たりましては、日本最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風を想定いたしまして、東京湾の満潮面より三メートル高い高潮に対応した高さを確保することとし、これに対する防潮堤等の整備はおおむね完了しております。
 この結果、高潮に対する安全性を既に確保しており、例えば、東京に戦後最大の高潮被害をもたらしたキティ台風と同等の高潮が平成十三年に発生いたしましたが、高潮被害は生じておりません。

○野上委員 今の答弁で、低地帯の河川は高潮に対しては安全かもしれないと。一方では、大地震に対してはどうでしょうか。堤防や護岸をより強固なものにする耐震事業はまだ道半ばであると聞いております。万が一地震が起きて堤防や護岸が壊れてしまったら、河川の水位よりも地盤の低い地域は、高潮が起こらなくても、それだけで浸水してしまうことになります。これは整備を急がなければなりません。
 低地河川の堤防の耐震事業の取り組みについてお伺いいたします。

○道家建設局長 東部低地帯の河川におきましては、周辺地盤が低いことから、防潮堤などが地震により損壊いたしますと、浸水被害が発生するおそれがあるため、耐震対策が必要でございます。
 このため、江東内部河川では、耐震化を図るため護岸の整備を進めるとともに、特に地盤の低い東側については、水門等で締め切り、水位を下げるなど、安全性を向上させております。
 また、隅田川におきましては、地震に強いスーパー堤防やテラスの整備を進めております。
 加えて、阪神・淡路大震災を契機として、中川など、地盤の高さが満潮面以下で、かつ高潮の影響を受ける外郭堤防の耐震対策を重点的に実施してきており、平成二十年度末に完了いたします。

○野上委員 今お話がありましたけれども、外郭堤防に守られている箇所以外でも、地盤が低いゼロメートル地帯を抱える地域が多く存在しております。これから耐震対策を必要とする河川、特に葛飾区の中川の七曲がりといわれる区間(パネルを示す)これなんです。ここにぐにゅぐにゅぐにゅっと曲がっている、これですね。七つ曲がっているところ、ここ。実はここのところに我が家もあるんですけど。
 例えば、この中川の七曲がりといわれる区間の下流部分は、護岸の上にある通路が大変に狭くて、自転車で途中で通れなくなってしまっております。それを補完する意味でも、川沿いの下の通路を整備すれば、これが憩いの空間として地域の方々にも喜んでいただけると思っております。現在は絶壁で、川沿いに行くことはできない状況なんです。護岸前面のスペースを、水辺に親しみ、散策できるような道に整備していただきたいと思っております。
 中川や綾瀬川における今後の耐震対策について伺います。

○道家建設局長 中川や綾瀬川など、周辺の地盤が低いことなどから耐震対策が急がれる四河川、十・九キロメートルの区間について、平成二十一年度から計画的に整備を実施してまいります。
 具体的には、周辺地盤高が東京湾の平均潮位より低い区間である、お話にございました中川の七曲がりの四・三キロメートル及び綾瀬川の四・八キロメートルについて、鋼管ぐいや地盤改良による護岸の耐震化工事を進めてまいります。
 また、整備に当たりましては、可能な箇所において、耐震化工事で生じます護岸前面のスペースをテラスとして活用するなど、地域の方々が散策でき、水辺に親しめるよう努めてまいります。
 今後とも、中川を初め東部低地帯の河川について、安全で潤いのある整備を着実に進めてまいります。

○野上委員 七曲がりとか綾瀬川を散策でき、憩いのスペースとして都民の交流の場となるよう、早急に整備していただきたいことを望みます。
 次に、都立水元公園の整備について伺います。
 私の地元葛飾区にある水元公園は、都内で唯一の水郷景観を持つ、ヨーロッパに来たのかと見間違うくらいすばらしい公園です。二十三区で一番の広さを誇るこの公園は、春の桜、六月のショウブ、メタセコイアなど、詩情豊かな公園です。
 この三月一日から、土曜、日曜、祝日に限り、金町駅と水元公園を結ぶ巡回バスの運行が始まりました。以前にも増して多くの来園者が水元公園に訪れることになります。
 この水元公園について、今後の整備の予定について伺います。

○道家建設局長 水元公園は、メタセコイアの森や小合溜など、地域の自然の特徴を生かすとともに、スポーツやレクリエーションの場としても親しまれる公園として計画されており、八十六ヘクタールを開園し、二十三区内で最大規模の公園でございます。
 現在、二カ所で整備を進めており、このうち、江戸川に隣接する十一ヘクタールの東金町八丁目地区におきましては、これまでに芝生広場や池などの八ヘクタールを整備し、さらに二十一年度には、樹林地や多目的スポーツ広場など、二・四ヘクタールの整備を完了させます。
 また、公園の西側に位置する一ヘクタールの釣り堀跡地につきましては、二十二年度完成を目指し、池を中心とした園地の整備を進めてまいります。

○野上委員 新たに開園面積がふえるということですね。
 特に、社会がますます高齢化していく中で、中高年の方々が公園で緑に親しみながら健康の維持増進を図ることは、活力ある社会づくりに重要なことではないでしょうか。
 そこで提案ですが、水元公園の東金町八丁目地区の整備に当たっても、高齢者を初めさまざまな人々の健康、体力維持に役立つような、いわゆる健康遊具を設置すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○道家建設局長 公園は、ジョギングやラジオ体操など、都民が気軽に体を動かし、健康を維持増進するための場でもございます。
 都立公園におきましては、これまでも都民の健康増進や体力維持等の観点から、腹筋運動やぶら下がり運動などができる遊具を設置してきており、三十カ所の公園で二百基設置しております。
 平成二十一年度に整備を予定しております東金町八丁目地区は、整備計画において、樹林地のゾーンとスポーツゾーンが位置づけられており、高齢者を初め多様な年齢層の方々が緑に親しみながら健康の増進を図れるよう、遊具を設置してまいります。

○野上委員 健康増進を図ることができる遊具を楽しみにしております。
 釣り堀の跡地の整備ですが、そこには大きな池があり、たくさんの生き物が生息していたところです。また、周辺にはカワセミの営巣場所があり、良好な環境が残されている場所です。
 整備に当たっては、水面を埋め立てたりするのではなく、生き物の生息環境を大切にすべきと考えますが、整備の内容について伺います。

○道家建設局長 お話の釣り堀跡地を含む地区は、豊かな自然環境を有しており、小合溜や大場川と一体的な水郷景観を形成するとともに、水辺の多様な生き物の生息にも配慮して整備することを基本方針としております。
 このため、釣り堀跡地につきましては、水郷景観を形成するハンノキなどの湿地林やヨシ原などを整備するとともに、カワセミなどの生息環境を保全する池や野鳥観察施設を整備することとし、平成二十年度に基本設計を行い、二十一年度から工事に着手いたします。
 今後も、豊かな自然環境を有する立地特性を生かした整備を進め、早期開園に取り組んでまいります。

○野上委員 水郷空間を来園者が楽しめるようにするとともに、生き物の生息環境を大切にすべきであります。
 かつては、関東平野の至るところでヘイケボタルが生息しておりました。水元という名のとおり、水元公園が、この東京にあっても蛍の里として名をとどろかせていくようになれば、子どもたちの情感を育成し、新しいタイプの都立公園となることでしょう。
 蛍といっても、ゲンジボタルは、カワニナなども含めて維持管理費がかかり大変ですが、タニシをえさにするヘイケボタルであれば、お金をかけず、一度環境が整えば不可能ではありません。
 先日、葛飾区議会の平成二十一年度第一回定例会において、小合溜の水環境の再生についての質疑がありました。ヘイケボタルの復活につきましても、生物指標の目標の一つとして検討していくとの答弁がありました。
 都も、今後の区の取り組みに協力していただき、蛍の飛び交う、ロマンあふれる水元公園となるよう、整備をお願いいたします。
 最後に、喫煙について伺います。
 たばこは、がんの原因の三〇%を占めております。最強の発がん物質といえるでしょう。さすがに私は、この議場で、自席でたばこを吸っている議員がいないことに感心いたしました。
 男性のがんの二九%に当たる年間約八万人、女性のがんの四%に当たる年間約八千人--九万人のがんは、喫煙が原因で発生しているとされております。喉頭がんの九五・八%は、やはり喫煙です。肺がんの七一・五%も喫煙が原因とされております。
 また、肺がんだけでなく、COPD、本当に息ができなくて、苦しみながら苦しみながら亡くなっていく。なかなか全身麻酔がかけられないで、手術ができない。せっかく早期発見で、がんが見つかっても、たんとかが絡まってなかなか手術ができないということもございます。
 がん予防のために、若いうちから、たばこによる健康被害についての周知徹底が必要と考えますが、都の取り組みを伺うとともに、もう一つ、受動喫煙なんですが、都は現在、受動喫煙による健康被害を減らすために、飲食店における受動喫煙防止の検討会を開催しておりますが、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて所見をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 二点についてお答えを申し上げます。
 まず、たばこによる健康被害についての周知徹底でありますが、都は、昨年三月に策定いたしました東京都健康推進プラン21新後期五か年戦略におきまして、がんの予防のため、喫煙や受動喫煙の健康影響についての普及啓発を目標に掲げ、取り組みを推進しております。
 喫煙による健康影響が大きい未成年者については、今年度新たに都内の全中学生にリーフレットを配布するとともに、小中高校生を対象とするポスターの募集を実施いたしました。
 今後とも、年少時からの喫煙防止の取り組みを進めるとともに、広く都民に喫煙や受動喫煙の健康影響について普及啓発を行ってまいります。
 そして、飲食店における受動喫煙防止の件でございますが、都は、飲食店の受動喫煙防止対策検討会において、多様な業種、業態の飲食店の実情を踏まえた取り組みなどについて検討しております。あわせて、都内の飲食店等を対象として、禁煙や分煙の状況や表示の有無など、受動喫煙防止対策に関する調査を実施し、現在、取りまとめを行っているところであります。
 今後、この調査結果も踏まえて検討会での議論を進め、区市町村や関係団体と連携し、より効果的な受動喫煙防止対策に取り組んでまいります。

○野上委員 ありがとうございました。(拍手)

○石川副委員長 野上純子委員の発言は終わりました。

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