予算特別委員会速記録第三号

○三宅副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 石森たかゆき委員の発言を許します。

○石森委員 それでは、私から総括質疑をさせていただきます。
 先日、多摩の総合的な振興策としての多摩振興プロジェクトが策定されました。自立と連携の多摩づくりを基本理念として平成十三年につくられた多摩の将来像二〇〇一の実現に向け、より東京都の取り組みを明確化した多摩リーディングプロジェクトをさらに進化拡充する内容となっておりまして、多摩選出の議員としても高く評価するところであります。
 平成十八年末に策定された「十年後の東京」を初めに見たときに、施策の中心は二十三区との印象が強かったところでありますが、その後のリーディングプロジェクトの改定、そして今回の総合振興策の策定によって、より東京都の多摩地域に対する姿勢が明確に打ち出されたものと思います。今後、この振興策で示されたさまざまな事業が着実に実行されるよう、関係各局のご努力、そして各市町村とのさらなる連携強化を期待したいと思います。
 そもそも多摩地域は、東京オリンピック前後の高度経済成長期に、爆発的な人口増加と急速な都市化の影響で行政サービスが追いつかず、二十三区と比較して多くの点でおくれをとってきた歴史がありまして、いかに区部との格差、我々が常に口にする三多摩格差を是正することができるかが、多摩自治体にとっては共通の大きな政策目標でありました。当時と比較すれば、その差はかなり縮まりつつありますが、いまだ地域間格差は存在いたしますし、社会経済環境が大きく変化する中で、新たな時代の要請に伴う課題も浮上してきているところであります。
 そのような多摩特有の課題を中心に、何点かお尋ねをしたいと思います。
 東京の都市戦略「十年後の東京」で第一の柱に示されているのが、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるであります。緑あふれる東京の再生を目指してさまざまな施策展開を進める中で、緑を守るのと同時に、都民に安らぎや潤いを与える公園の整備促進は重要な要素となります。
 多摩地域においては、豊かな自然を生かした丘陵地の公園が数カ所ありますが、この丘陵地に残る雑木林や里山の緑は、多様な生物の生息生育空間であるとともに、都市住民の身近な自然との触れ合いの場として、将来にわたり保全していくべき大切な自然であります。この丘陵地の自然を開発の圧力から守り、良好な姿のまま後世に伝えていくことは、快適な都市づくりを進める上で重要な課題となりますが、緑を守るためには都立公園化が最も有効な手段でありまして、今後とも計画的に整備することは極めて重要であろうと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、丘陵地の公園については、平成十九年、この一定で私の一般質問での答弁で、十年間で百二十五ヘクタールを計画的に整備すると伺っておりますが、平成十八年度から二十年度までの三カ年の整備実績と、今後どのように用地を取得し、整備に取り組んでいくのか、まずお尋ねしたいと思います。

○道家建設局長 多摩地域の丘陵地の都立公園は、里山の自然環境を保全するとともに、都民の自然体験の場として重要であります。
 平成二十七年度までに整備を行う百二十五ヘクタールのうち、平成十八年度からの三カ年で、平山城址公園など五公園において、合わせて四十ヘクタールを整備いたしました。また、一定程度の広がりのある公園整備を行うためにこれまで先行して取得してきた五十ヘクタールに加えて、一体的に整備できるよう、新たに三十五ヘクタールの用地の取得を進め、十一の公園で早期開園につなげてまいります。
 今後とも、関係権利者の理解と協力を得ながら用地取得に取り組むとともに、順次整備を進め、平成二十七年度までに残る八十五ヘクタールの整備を完了させてまいります。

○石森委員 丘陵地の緑を開発から守るためには公有化が欠かせないところでありますから、今後ともしっかり予算を確保して、緑の保全に努めていただきたいと思います。
 平成二十一年度予算については、たびたび触れられているように、景気悪化に伴う都税収入の過去最大の落ち込みの中での予算編成となりましたが、基金の取り崩し、都債の発行によって、厳しい経済環境の中にあっても、しっかりと都民の生活を守るための積極型予算となったところであります。
 しかしながら、現在の経済状況では、すぐに好転するとは考えにくく、当面は税収減が続くと予想されております。基金に多少の余裕があるとはいえ、これから先、極めて厳しい予算編成を強いられるのではないかと思いますが、そのような中にあって、「十年後の東京」の実行プログラムで示された具体的な施策をつまずかせないためにも、大きな柱の一つである環境面における財源確保は重要といえます。
 この経済危機で、企業の雇いどめや解雇で職を失う非正規社員の問題が大きくクローズアップされておりますが、一方では、団塊の世代を中心に、かなりの貯蓄をされて、この不況を物ともせずに生活されている都民も大勢いらっしゃると思います。財源確保のために都民の財産を利用するのも一つの方法で、例えば他の自治体でも環境施策向けの地方債活用の事例はありまして、横浜市では、直径八十メートルの風力発電をみなとみらい地区に設置するためのハマ債風車を発行して、発行額は三億円と規模は小さかったものの、三日間で完売したそうであります。また、川崎市でも、公園緑地や自然保護のための緑化推進債を発行した事例もあります。
 都民の貴重な財産を都債として安全に運用していただくことを通じて、都民の緑施策への参加に対する機運の醸成にもつながると考えられます。都には住民参加型の都債として、知事がネーミングされたという東京再生都債がありますが、これまでの充当事業は道路や鉄道の整備が中心でありますから、これとは別に、緑の都民債のように個人向け都債を活用することが緑を守る上で重要かと思いますが、都のご見解をお示しいただきたいと思います。

○村山財務局長 個人向け都債でございます東京再生都債の発行は、その購入を通じまして、都民の皆様一人一人に都財政を支えていただく、同時に、都政への参画意識を高めていただくことを目的としております。
 発行から償還までの期間が三年ということで、個人の方にも購入していただきやすい長さでございまして、都が発行しているというご指摘いただいたような安心感にも支えられまして、これまで約二千九百億円を購入いただいております。これから一層多くの都民の方に購入していただきたいと考えておりますが、そのためには、お預かりした貴重な財産を都民により親しまれる事業に活用することが大切だと考えております。
 ご提案の緑の施策の推進は、そうした意味で都民に身近でわかりやすい施策分野でありまして、都にとって大変重要な事業でもございます。また、個人向け都債を実際に購入していただいた方へのアンケート調査の結果でも、緑の創出や街路樹の整備などの施策には高い関心が寄せられております。
 今後、市場の動向などにも留意しながら、緑施策推進のための個人向け都債の発行に向けまして、鋭意準備を進めてまいります。

○石森委員 個人向け都債の発行準備を進めていくというような、そんなご答弁でございました。それぞれの自治体においても、市街地内に残された貴重な緑の保全についてはさまざまな取り組みをしておりますが、どうしても相続等によって開発がされて、緑の減少に歯どめがかからない状況にありますから、市町村での公有化の際の補助制度についてもこのような都債が活用できるような取り組みも今後ぜひ検討していただきたいと思います。
 続きまして、先ほども質疑がございましたけれども、小児医療体制についてお尋ねをしたいと思います。
 小児総合医療センター開設まで残り一年となりまして、八王子小児病院や清瀬小児病院など三病院が移転統合される形となりますが、昨日の我が党代表の総括質疑におきまして、移転後のそれぞれの地域の小児医療体制の確保についてただしたところであります。
 これまで都立小児病院が対応してきた二次医療については、北多摩北部地域では多摩北部医療センターが、八王子地域では市内の二つの大学病院が中核病院として担っていくこととなり、それぞれ小児科病棟の改修工事や都立病院からの専門医師の派遣など、中核病院を中心とした医療体制の充実強化を進めるとのことでありました。
 また、これらの取り組みに加えて、地元市が中心となって担う初期救急と小児総合医療センターが担う三次医療とが重層的に連携していくことにより、都立小児病院の移転後も地域の住民が安心して医療を受けられる体制を構築していくということがよくわかりました。
 しかしながら、これらのことは、最も不安を感じているそれぞれの地域の皆さんにこそ理解していただかなければならないと思います。
 そこで、まず北多摩北部地域についてでありますが、地元の関係者に対して理解していただくために、これまでどのように説明し、どう取り組んできたのか、お伺いをいたします。

○中井病院経営本部長 平成十三年に都立病院改革マスタープランを発表して以来、計画の考え方をご理解いただくため、地元自治体や医師会などの関係者に対し、幾度となく説明、調整を行ってまいりました。
 また、地元清瀬市とは、清瀬市の小児医療に関する検討会を設置して検討、論議を重ね、平成十九年に検討会のまとめを作成いたしました。このまとめでは、医師会が先導役となって、各市と協力して発足した平日夜間の初期救急医療体制の拡充や、移転後の二次救急確保のために多摩北部医療センター小児科の充実を進めていくこととしたところです。
 清瀬市を初めとする地元自治体にとって、圏域の二次救急医療の確保は最も切実な問題であり、多摩北部医療センターが移転後の地域の中核的役割をしっかりと担っていけるよう充実させることこそ、地元にご理解をいただくためのかぎであると認識しております。
 そこで、都は、乳幼児や小児重症患者などを受け入れるための病棟改修工事や、医師体制強化のための常勤医の新規採用、都立病院からのチームによる医師派遣など、ハード、ソフト両面の充実策を実施してまいります。このような都の取り組みについて、圏域の各市や医師会との協議の場などを通じてご説明をさせていただき、一定のご理解と評価をいただいているところでございます。
 今後とも、センターの充実強化に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。

○石森委員 地域の住民に安心していただくためにも、さらなる努力をしていただきたいと思います。
 次に、私の地元八王子市についてでありますが、移転後は市内の二つの大学病院が担っていく形となりますから、都の一層の支援が求められることになります。このことについては、八王子市と都の間で平成十四年から長年にわたって協議が行われ、その結果、ようやく昨年の九月に八王子地域における今後の小児医療体制の確保充実に向けた基本的方向性がまとめられ、その概要は八王子市広報でも紹介されておりますから、私も理解しているところであります。
 そこで、改めてお聞きいたしますが、八王子市との協議の結果として、移転後の小児医療体制がどうなるのか、また、それに対する都の具体的な支援をどのように行うのか、お伺いをいたします。

○中井病院経営本部長 八王子小児病院移転についても、都は、平成十四年の地元八王子市との検討会設置以来、八王子地域の小児医療に関して六年の歳月をかけて検討、協議を重ねてまいりました。その結果、昨年の九月に協議会のまとめを策定し、基本的方向性を示したところでございます。
 その中で、外来医療は市内の診療所がかかりつけ医として担い、入院医療については市内の中核病院である東京医科大学八王子医療センターと東海大学八王子病院が、また、高度専門医療については小児総合医療センターが、それぞれの役割分担のもとで相互に連携し、新たな小児医療体制を構築することとしております。
 都は、この体制を実現するため、まず二つの中核病院の小児科を拡充するに当たっては、施設整備等について、市とともに必要な支援を検討してまいります。また、八王子小児病院の患者の円滑な受け入れが行えるよう、二つの中核病院に専門医師を派遣することとし、昨年十二月より、まず東海大学八王子病院に対して、小児神経を専門とする医師の派遣を先行的に開始したところでございます。さらに、現在ある新生児ドクターカー一台に加えて、新たに新生児も搬送できる小児用ドクターカーを一台、合わせて二台のドクターカーを小児総合医療センターに配備していくこととしております。

○石森委員 一次、二次、三次医療でそれぞれの役割分担のもと相互に連携して、移転後の新たな小児医療体制が構築されていくということが確認できました。
 このほかにも八王子市は、小児病院移転後の跡地を活用し、小児準夜救急診療事業を市の保健センターから移転して行うとともに、小児の外来診療及び重症心身障害児通所事業などを実施することとしております。このような八王子市の努力に報いるためにも、都は市の負担をできる限り軽減して、移転後も市民が安心して医療が受けられるよう、最大限の誠意を持って市と対応していくことを要望しておきたいと思います。
 さて、このように地域の自治体や関係者がそれぞれの役割分担のもとで一生懸命地域の小児医療を支えていく意義はどこにあるのかといいますと、それは、周産期医療、小児救命救急など高度で専門的な小児医療に対するニーズが増大している中、多摩地域は区部と比較しても提供する施設が不足しておりまして、八王子市民や多摩住民にとって、これらの充実が喫緊の課題となっているからであります。全国的な医師や看護師などの医療スタッフの不足が深刻化しているといった極めて厳しい条件の中にありましても、今まさに子ども、母親の生命を守るための高度で専門的な医療を拡充していくことが切に求められているところだと思います。
 この切実な思いをしっかり受けとめる大きな役割を果たすのが小児総合医療センターでありますが、これまで進められた都立病院改革によって不安を抱く地域住民、そして多摩の住民の方々に安心してもらえるよう十分な説明が必要でありますが、そこで、小児総合医療センターではその役割を果たすためにどのような医療が提供されるのか、改めてお伺いをいたします。

○中井病院経営本部長 まず、周産期医療については、多摩総合医療センターと一体となって、M - FICU九床、NICU二十四床、GCU四十八床を備えた都内最大の総合周産期母子医療センターを運営してまいります。
 次に、小児救急医療については、日本で最初の小児専門のERを開設し、国内でも数少ない小児救急専門医を国内外から招聘して配置するとともに、小児専用のICUを十床設置することで、高度で専門的な小児三次救急も行ってまいります。そして、多摩総合医療センターの救命救急センターと連携することにより、多発外傷など重篤な外傷にも対応できることとなります。
 また、小児三病院のこれまでの診療科に加え、数少ない小児の専門医を招いて、脳神経外科、臓器移植科などを新設するとともに、小児がん医療、小児腎不全医療、アレルギー医療など、高度で専門的な医療を提供してまいります。
 さらに、病気の子どもや家族に対して多くの専門職種のスタッフが共同で支援を行う子ども・家族支援部門を新設し、診療部門と連携することにより、現在社会的問題にもなっている児童虐待等にも対応してまいります。
 こうした広範な高度専門医療の提供を通じて、都における小児医療の拠点として、多摩地域の方々に、これまでにない充実した小児及び周産期の医療サービスを提供してまいります。

○石森委員 地元の自治体、医師会、医療機関、そして都がそれぞれの立場で懸命の努力を傾けて小児医療を支え、都民の安心を確保していかなければなりませんが、その中心、中核として高度で専門的な小児医療を提供することのできる小児総合医療センターは、多摩四百万住民の期待を一身に背負っているといっても過言ではないと思います。
 知事は、東京発医療改革の核である都立病院改革を推進してきたわけでありますが、小児総合医療センターは、まさにその大きな成果の一つではないかと思います。多摩の小児医療の体制整備に大きな役割を果たしていく、小児病院の移転統合による小児総合医療センター整備の意義について、知事の見解をお伺いいたします。

○石原知事 私は、就任以来、都立病院改革を進め、恐らく日本で初めてのERの東京の開設など、都民の健康と生命を守るさまざまな取り組みを行ってきたつもりでございます。
 国の医療政策の失敗がもたらした医師等の不足は極めて深刻な状況にありますが、こうした中にあっても、限られた医療資源を最大限有効に活用し、東京の医療水準の向上を図らなくてはならないと思っています。
 今回、小児病院を移転統合し、小児総合医療センターを多摩総合医療センターと一体的に整備することは、まさにこの考え方を具現したものでございまして、このことは、高度な小児医療や周産期医療などが不足する多摩地域にとって、極めて大きな意義を持つものであると同時に、危機的ともいえる我が国の医療状況の中で、新たなあり方を示すものであるとも思っております。
 今後とも、この開設に向け、着実に準備を進めてまいります。

○石森委員 知事のご答弁をいただきましたが、移転統合に伴う三多摩都民の地域医療の不安解消に向けて、今後とも都として十分説明責任を果たしていただきたいと思います。
 続きまして、河川事業についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年の夏は、全国各地で集中豪雨があって、とうとい人命が奪われるなどの被害が発生いたしましたが、昨年の平成二十年八月末豪雨では、私の地元八王子市でも、至るところで土砂崩れと同時に河川の護岸が損壊するなど、甚大な被害が発生をいたしました。
 八王子市内においては、谷地川、川口川、そして南浅川で合計百七メートルに及ぶ護岸の損壊が確認されましたが、即座に応急対策が実施され、その後復旧作業が行われまして、事なきを得ましたが、現在整備の進められている谷地川の進捗状況、並びに浸水被害の発生した鶴前橋上流の今後の整備予定について、お聞かせをいただきたいと思います。

○道家建設局長 谷地川につきましては、現在、黄金橋から鶴前橋付近までの二・三キロメートルの区間で事業を進めております。
 平成二十年度は、新谷開橋付近など三カ所で二百八十メートルの護岸整備及び橋梁のかけかえを行っており、これにより、全体の計画延長十・七キロメートルのうち七・六キロメートルが完了し、護岸整備率は七一%になります。本年四月には、平成二十年八月末豪雨により浸水被害が発生しました箇所を含む、鶴前橋付近から上流の落合橋までの六百三十メートルの区間の事業認可を取得する予定であり、速やかに事業に着手してまいります。
 今後とも、水害の早期解消に向け、地元の理解と協力を得ながら、谷地川の整備を積極的に進めてまいります。

○石森委員 この事業未着手の周辺で川があふれ、床下浸水が発生しておりますから、一刻も早く工事に着手できるよう、要望しておきたいと思います。
 また、こうしたハード対策にあわせて、防災情報の提供などのソフト対策にも取り組んでいくことが重要であります。
 我が党の代表質問に対して、建設局長から、わかりやすくきめ細やかな雨量、水位情報を都民に提供できるよう、具体的な検討を開始していくとの答弁がありましたが、雨量、水位情報の提供について、具体的には今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。

○道家建設局長 都はこれまでも、水防災総合情報システムのホームページにより、インターネットや携帯電話を通じて、都民に雨量、水位のリアルタイム情報を提供しております。
 平成二十一年の出水期を目途に、河川名から雨量や水位の情報を検索できる機能を追加するとともに、区の観測地点のデータをホームページから見られるようにするなど、より見やすく、わかりやすい情報提供に取り組んでまいります。
 さらに、二十一年度の水防災総合情報システムの再構築にあわせまして、情報提供する観測地点数をふやすとともに、現在十分ごとに行っているデータの更新間隔を短縮するなど、よりきめ細やかな情報の提供に努めてまいります。

○石森委員 水害対策について、ハード、ソフトの両面から積極的に取り組んでいく姿勢がよく理解できましたが、今後とも、都民の生命と財産を守る水害対策を着実に進めていただきたいと思います。
 次に、水難事故防止についてお尋ねをいたします。
 昨年七月に発生した神戸の都賀川の親水施設での痛ましい事故を受けまして、過日の一月六日に、国土交通省は、中小河川における水難事故防止策検討ワーキンググループ報告書を公表いたしました。
 これによると、昔と比べると、河川と人とのかかわりが薄れてきている社会的な変化や、市街化が進んでいることに加え、予測できない局地的な豪雨が多発している近年の傾向から、河川利用者も河川管理者も新たな認識を持って水難事故防止に取り組まなくてはならないという趣旨の提言がなされております。
 そこで、水難事故防止について、河川利用者に対する都の基本的な考えについてお伺いいたします。

○道家建設局長 河川は、人々が水や自然と触れ合える貴重な空間である一方、集中豪雨等により急激に増水し、流れが急になるなど、川に親しむ利用者にとって、時として危険な存在になることもございます。
 河川利用時の水難事故を防止するためには、利用者が、ひざ下程度の水深でも流されるおそれがあることを知り、みずから判断し行動してもらうことが重要であり、都は河川管理者として、利用者の安全意識を高めていく必要がございます。
 このため、河川を利用する際の注意事項などをホームページやパンフレットにより広く周知していくとともに、地元自治体やNPOと連携し、河川愛護月間にキャンペーンを行うなど、あらゆる機会をとらえて、水難事故防止に向けた啓発活動に努めてまいります。

○石森委員 河川利用者に対する基本的な姿勢についてご答弁をいただきましたが、私の地元の谷地川や湯殿川でも、潤いのある水辺環境を目指して親水施設が整備されていて、多くの子どもたちが川に入って、自然観察をしたり、魚などをとったりしています。
 河川は時として危険な場所となることを利用者へ啓発していくことが最も重要だと思いますが、親水施設そのものへの対策も必要となります。
 そこで、親水施設での事故防止に向けた具体的な対策についてお尋ねいたします。

○道家建設局長 都は、多摩地域の河川において、水辺までおりることができる階段やスロープを備えた、水辺に親しめる百五十カ所の親水施設を整備しております。これらの施設には、水難事故を防止するため、利用者に増水に対する注意を喚起する看板を設置しております。
 今後は、河川利用者が携帯電話で気象や水位の情報を入手するためのQRコードを記載した看板を設置したり、増水や急な流れの危険性を子どもでも理解できるよう、イラストで表示するなどの対策を進めてまいります。
 また、これらの親水施設では、避難のため、階段や固定のはしごを設置し、複数の避難経路を確保するなど、安全性を高めてまいります。特に、利用者が多い箇所におきましては、平成二十一年度から、気象情報等を表示する警報装置を設置してまいります。
 今後とも、地域の方々が親しめる水辺環境の創出を図るとともに、地元自治体などと連携し、水難事故の防止に努めてまいります。

○石森委員 昨年のような悲惨な事故が発生しないよう、地元自治体や学校関係者とも連携して、効果的な水難事故防止対策に取り組んでいただきますよう要望しておきます。
 次に、地元の道路整備についてお伺いいたします。
 私の地元である八王子市では、平成十九年六月に、圏央道のあきる野インターチェンジから八王子ジャンクション間が開通し、平成二十年十二月には、圏央道アクセス道路である新滝山街道のかすみ学園通りから谷野街道間が開通するなど、道路の整備が着実に進められておりまして、地域のポテンシャルが確実に高まっているところであります。
 一方、新滝山街道から東側につながる道路を見ますと、地域の産業拠点である石川工業団地付近から国道一六号バイパスまでの区間において、八王子の東西の軸となる八王子三・四・二八号線が未整備であることから、狭い市道を利用せざるを得ず、地域住民の安全性や利便性が損なわれている状況にあります。
 こうしたことから、一日も早く八王子三・四・二八号線を整備する必要があると考えますが、現在の状況と今後の取り組みについてお尋ねいたします。

○道家建設局長 八王子三・四・二八号線は、日野市境の八王子市石川町から宇津木町に至る延長二キロメートルの地域幹線道路で、新滝山街道を経由して圏央道あきる野インターチェンジにつながる、お話のとおり、八王子の東西の軸となる重要な路線でございます。
 現在、日野市境から石川工業団地までの〇・四キロメートルが完成しておりまして、国道一六号バイパスまでの一・六キロメートルが未整備となっております。この未整備区間のうち、石川工業団地から八王子村山線までの〇・五キロメートルについて、本年一月に事業認可を取得いたしました。平成二十一年度には、用地取得に着手するとともに、JR八高線との立体交差部の詳細設計を実施いたします。残る一・一キロメートルの区間についても、早期事業化に向けて、順次、概略設計、現況測量等を行ってまいります。
 引き続き、本路線の早期整備に向けて積極的に取り組んでまいります。

○石森委員 この都市計画道路は、古くから計画されていたにもかかわらず、中央自動車道と八高線が交差している部分をアンダーで通すといった難工事であるがために、遅々として進まなかった路線でありますが、完成すれば、あきる野インターから八王子市内を通ってJR豊田駅に直接結ばれる道路となって、利便性が格段に向上しますから、早期に供用開始となるよう、今後の取り組みをお願いしたいと思います。
 道路に関連して、もう一点お尋ねいたしますが、ことしの一月二十九日に、圏央道八王子西インターチェンジのフルインターチェンジ化に関する勉強会が開催されました。この後お尋ねする西南部物流拠点整備にも大きく影響するであろうこのフル化でありますが、現在はハーフインターでありますから、関越方面からはおりられない、そして関越方面へは乗れないという極めて使い勝手の悪いインターでありますから、地元あるいは利用者から、早期のフル化が求められているところであります。
 この勉強会での構成は、八王子市、国土交通省相武国道事務所、中日本高速道路そして東京都の四者となりますが、この勉強会ではどのようなことが話し合われたのか、また、都はどう対応していくのか、お聞かせいただきたいと思います。

○只腰都市整備局長 圏央道は、関越道と中央道が結ばれたことによりまして、交通量は一・五倍に増加しまして、並行する国道の渋滞が緩和されるなど、環状道路としての整備効果があらわれております。
 お話の八王子西インターチェンジでございますが、地元などからフルインター化の要望があることは承知をしております。
 お話にもございましたが、本年一月、国土交通省、八王子市などによりまして、フルインター化に関する勉強会が開催されましたが、都もこれに参画いたしまして、圏央道の利用実態、利用者や地元の意向、また、今後の検討の進め方などにつきまして意見交換を行ったところでございます。
 引き続き、この勉強会を活用し、広域的な道路ネットワーク形成の観点などを踏まえて、適切に対応してまいります。

○石森委員 このような勉強会が開催されたということは、大きな前進といえると思います。
 地元八王子市では、本インターチェンジのアクセス道路の整備に向けた準備に着手するなど、期待が高まっています。長年の懸案であったフルインターチェンジ化の早期実現に向けて、都の支援を強く要望して、次の質問に移ります。
 続いて、西南部物流拠点についてお尋ねいたします。
 都民の暮らしや産業活動は物流によって支えられておりますが、経済活動が激しく変化していることや、都民サービスの向上、環境負荷低減など広範な視点から、物流の効率化が求められているところであります。
 物流活動については主に民間が担っておりますが、都としても、物流基盤の整備や民間の取り組みに対する支援などを行って、民間と連携して、この物流の効率化を進めていくことが必要であると思います。
 しかしながら、多摩地域には、区部の大田区や江戸川区にあるような流通業務団地がないため、区部、神奈川県や埼玉県などの他県の流通業務団地などに依存している状況にあります。
 このため都では、平成十八年二月に総合物流ビジョンを発表して、多摩地域における物流機能強化など、物流拠点整備の推進とともに拠点立地を支援するとしております。
 そこで、都は物流ビジョン発表後に西南部物流拠点整備に対してどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

○只腰都市整備局長 都は、総合物流ビジョンを公表した後、平成十九年三月から、西南部物流拠点の候補地となっている八王子市及び青梅市との三者で設置した協議会で、物流拠点の整備手法や民間活力の活用方策などについて検討を行ってきております。
 昨年五月には、流通業務地区の立地、機能や規模に関する事項などを取りまとめました東京都西南部の流通業務施設に関する整備方針を公表いたしました。現在、この方針に基づき、関係市とともに、物流施設を整備するために必要な課題の整理などを行っております。

○石森委員 八王子市では、川口地区を物流拠点として整備するため、市の住宅・整備公社が一部土地を取得して検討をしております。この川口地区の検討に当たっては、流通業務施設の整備だけではなく、拠点内に地域の生活の利便に供する商業施設や住宅などを整備していく意向であると聞いております。
 そこで、都の整備方針に照らしてみて、こういった商業施設や住宅などの配置は可能なのかどうか、お伺いいたします。

○只腰都市整備局長 昨年策定しました整備方針では、物流拠点の整備に当たりまして、流通機能の向上に加え、流通業務の変化などに柔軟に対応するため、制約の多い流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区の指定は行わないことといたしました。また、関係各市が計画するまちづくりに必要な施設についても整備できることといたしました。
 このため、従来、区部の流通業務地区で整備してきたトラックターミナルや倉庫などの施設に加えまして、八王子市が計画している商業施設や住宅などの整備も可能になっております。

○石森委員 八王子市は、中央自動車道、圏央道、国道一六号や二〇号などが結ばれている道路交通の結節点でありまして、交通の広域的な利便性にすぐれた地域であります。また、市内にはさまざまな分野の製造業や物流系企業が集積していることもあって、西南部物流拠点として良好な立地条件を備えているものと思います。
 八王子市では現在、整備方針を受け、西南部物流拠点の整備計画の策定に向け検討を進めておりますが、都としては今後どのようにかかわっていくのか、お伺いいたします。

○只腰都市整備局長 現在、八王子市における西南部物流拠点の候補地は市街化調整区域でございまして、物流拠点整備を計画的に行うための事業手法や地域内道路などの基盤整備について検討する必要がございます。また、丘陵地の開発になるため、自然保護の観点から、緑地の確保などの課題もございます。八王子市では、こうした課題に取り組みつつ、物流拠点の整備計画の策定の検討を行っております。
 都としては、こうした市の取り組みを支援しながら、関係部局と連携を図り、引き続き多摩地域の物流の効率化を進めてまいります。

○石森委員 東京都の物流の効率化を図る一環での整備が進められている川口地区の西南部物流拠点の整備に対して、早い段階で事業着手できるよう、今後とも、都として八王子市に対して全面的な支援を要望して、若干時間が残っておりますけれども、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○三宅副委員長 石森たかゆき委員の発言は終わりました。

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