予算特別委員会速記録第三号

○服部委員長 酒井大史委員の発言を許します。

○酒井委員 それでは私からは、まず初めに、犯罪被害者対策等についてお伺いをいたします。
 本件については、初当選以来、数度にわたって質問してきましたが、この間、国においては犯罪被害者等基本法が施行されるなど、被害者の権利が確立されつつあります。
 一方、都においては、昨年一月に、東京都犯罪被害者等支援推進計画、以後推進計画と呼ばせていただきますが、これが作成され、同年四月より実施に移されていますが、来年度は三年計画の中間年度に当たりますので、一年目の成果と二年目に向けての取り組み方について質問するとともに、広く被害者支援に関する問題についてお伺いをいたします。
 まず初めに、推進計画の中では、重点的に取り組んでいく事項として、支援のための総合窓口の設置、被害直後の居住場所の確保、精神科医等によるカウンセリング等の実施を掲げていますけれども、それぞれの実施状況と成果、今後の課題についてお伺いをいたします。
   〔委員長退席、増子副委員長着席〕

○中田総務局長 犯罪被害者等を支援するための都の総合相談窓口は、昨年四月一日に、社団法人被害者支援都民センターと協働しまして、同センター内に設置いたしました。
 窓口では、専門の相談員が、まず初めに被害者等から電話やファクス等で相談を受けまして、その後、必要に応じまして、面接相談や自宅訪問、裁判所等への付き添いなどのほか、被害直後の一時的な居住場所の提供、精神科医によるカウンセリング等を行っております。
 本年一月までの実施状況は、電話相談が一千六百十九件、面接相談が百七十八件、カウンセリングが百五十六件など、延べ二千三百六十二件となっております。
 今後は、万が一被害に遭った方が被害直後から窓口を利用してもらえるよう、その存在を広く都民に周知していく必要があると考えております。

○酒井委員 ただいまの窓口に関しましては、社団法人被害者支援都民センター内一カ所のみであり、一千二百万都民を抱える東京都としては、先進諸外国と比べても少な過ぎると考えております。
 私は、各市区町村に窓口があることが理想であると考えております。市区町村の窓口の整備状況はどうなっているのか、都として市区町村との連携はどの程度進んでいるのか、支援体制の現状と将来像についてお伺いをいたします。

○中田総務局長 犯罪被害者等が身近な区市町村で相談や問い合わせができることは重要であると認識しております。
 こうした相談等を担当する窓口が整備されていない区市町村は、おおむね半数程度ございますが、これらの区市町村に対しても都の総合相談窓口と連携する体制は整えております。
 今後は、すべての区市町村において、被害者等からの相談等を担当する窓口の設置を含めて、支援の取り組みがさらに進むよう働きかけ、区市町村と連携しながら、被害者等を途切れることなく支援してまいります。

○酒井委員 ただいまの答弁では、都内の自治体の約半数が窓口の整備もされていないということですが、一方、都内でも日野市や杉並区などは条例を制定し、都よりも進んだ施策を展開しております。
 推進計画の中では、全国統一的に同じ水準で実施されるべきとの文言もありますが、せめて都内全域において同水準の支援がなされることが望ましいと思います。都として都内自治体をいかに支援していくのか、お伺いをいたします。

○中田総務局長 これまで都は、昨年一月に東京都犯罪被害者等支援推進計画を策定し、今年度から、総合相談窓口を初め、被害直後の一時的な居住場所の提供、精神科医によるカウンセリング等、新たな支援事業を開始いたしました。
 また、区市町村に対しましては、都内全域で犯罪被害者等への支援の取り組みが進むよう、推進計画や都の取り組みを説明するほか、シンポジウムや講演会等を企画し、参加を呼びかけてまいりました。
 今後はさらに、区市町村職員向けの研修を実施するなどして、より一層、区市町村の取り組みが進展していくよう支援してまいります。

○酒井委員 推進計画の中で、都は、支援を行う機関等の職員向けに、犯罪被害者等支援の手引を作成するとし、現実に活用していると思いますが、都においては、この推進計画作成以前から、医療機関向け犯罪被害者支援マニュアルをつくっていただいたり、また、教員向け人権教育プログラムの中に、被害者とその家族という項目をつくっていただいております。これらの資料といったものは、被害者に対する二次被害や、誤った差別意識を払拭していく上で有効なものでございます。
 福祉保健局においては、このマニュアルを都内医療機関に配布するとともに、研修会等においても活用しているということを以前確認させていただきましたが、推進計画が作成され、よりその活用が求められる中で、特に、被害者やその家族への対応が想定される救急部門や、性犯罪被害者の対応に当たる婦人科医への周知や理解促進について、来年度どのような取り組みを考えているのか、お伺いをいたします。

○安藤福祉保健局長 お話のように、医療機関向け犯罪被害者支援マニュアルにつきましては、平成十五年十一月の段階で、すべての病院、診療所に配布をし、東京都医師会等の関係団体を通じてその趣旨を周知いたしました。
 また、翌年三月には、都が都内の全病院を対象に開催しております病院管理講習会におきまして、犯罪被害者に対する医療的な支援、精神的負担への配慮や言葉のかけ方等、支援マニュアルに沿った内容の説明を行い、医療関係者の基本的理解を図っているところであります。
 今後とも、病院管理講習会を初め、さまざまな機会を活用し、周知を図ってまいります。

○酒井委員 次に、学校において犯罪被害者にかかわる指導がどのように行われているのか、また、犯罪被害者への理解を深めるための研修や人権教育プログラムなど、指導資料の今後の充実について、教育長にお伺いをいたします。

○大原教育長 都教育委員会では、平成十五年度以降、人権教育の手引でございます人権教育プログラムに、中学校、高等学校における指導事例を示しまして、犯罪被害者の置かれている状況や必要な支援について、生徒が必要な理解を深めることができるよう努めてまいりました。
 これに基づきまして、例えば、中学校では、社会科で基本的人権を学ぶ際に、被害者の手記などから直接的被害や二次的被害の状況について知り、被害者支援について自分たちにできることを考えるなどの学習が行われております。
 また、高等学校では、公民科で裁判制度を学ぶ際に、犯罪被害者の人権を尊重するための法整備が進められてきたことを理解するなどの学習が行われております。
 今後は、犯罪被害者の人権問題をより身近なものとして考えられるように、人権教育プログラムに新たに小学校での指導事例を加えるなど、小中高等学校の発達段階を踏まえた適切な指導が行えるよう、内容を充実させてまいります。
 また、都内の公立学校のより多くの管理職や教員に対して、犯罪被害者やその家族を支援する方を講師とした研修会等を引き続き実施いたしまして、犯罪被害者への理解に関する指導の充実に努めてまいります。

○酒井委員 ただいまの二次被害防止については、広く都民の理解を深めていく必要があります。このことはアンケートからも、近所の人からの二次被害が多いという結果からも見てとれます。
 都においては、二月二十五日、講演会を開くとともに、五月には犯罪被害者等支援を進める会議(仮称)を設置し、地域社会全体の理解や配慮、支援への協力等に関する啓発活動を行おうとしておりますけれども、この講演会の評価と会議の目標についてお伺いをいたします。

○中田総務局長 犯罪被害者等への二次被害を防止するためには、広く都民や行政の関係者が被害者等の置かれている状況等を理解し、適切に対応することが大切でございます。
 このため都は、本年二月に犯罪被害者本人と精神科医師を講師としまして、犯罪被害者等支援講演会を開催いたしました。当日は、都民や地域団体の関係者、行政の関係者等、予定した人数を上回る約四百人の方が参加し、参加者からは、犯罪被害者等に対する理解が深まった、支援の必要性を痛感したなどの意見を多くいただき、講演会の目的はほぼ達成できたと考えております。
 また、お話の会議でございますが、推進計画に基づき設置するもので、東京都町会連合会、東京都社会福祉協議会等、日ごろから地域で活動している団体にご協力いただき、地域社会における犯罪被害者等への配慮、支援の実現を目指すものでございます。

○酒井委員 この二次被害の問題については、本日もマスコミの方、いろいろといらっしゃいますけれども、一部、無神経なマスコミによるメディアスクラムの問題もたびたび指摘をされておりますので、ぜひ、こういった会議にマスコミの方にも参加をしていただけるように求めていくことを検討していただきたいと思っております。
 一昨年の十二月に、内閣府が都道府県、政令市に対し、条例及び計画、指針の策定状況の調査がありました。これは、国として地方自治体の現状把握をするとともに、条例等の策定を期待しているものではないかと思いますけれども、都としてはどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。

○中田総務局長 内閣府が行った調査は、国が今後、地方公共団体の取り組みに対する支援を進めていくために、各地方公共団体における犯罪被害者等施策の実施状況等について把握する目的で実施したものと聞いております。

○酒井委員 ただいまの調査結果をまとめた表を見させていただいたんですけれども、昨年三月の時点で、十六の府県で何らかの形で条例を制定しております。被害者支援に特化した条例は宮城県のみであり、他の府県は安心・安全まちづくり条例の中の数項目に規定をしているものですけれども、東京都として、他県をしのぐような基本条例を制定し、都の意気込みを見せるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中田総務局長 犯罪被害者等支援に関して、地方公共団体は、犯罪被害者等基本法に基づき、地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務があるとされております。
 都としては、基本法の趣旨を踏まえて、昨年一月に、全庁を挙げて、犯罪被害者等の多様なニーズにこたえるための取り組みを総合的かつ計画的に推進するとともに、区市町村や民間団体等とも幅広く連携して被害者等への支援体制を構築するため、推進計画を策定いたしました。
 現在、計画に基づきさまざまな事業を実施しており、今後とも、計画を着実に推進していくことにより、犯罪被害者等を支援してまいります。

○酒井委員 残念ながら、ただいまの答弁では従来の域を超えるものではありませんでしたが、ぜひ、計画は計画で着実に実施をしていただきたいと思いますけれども、都の姿勢をさらに強く示すためには条例制定も必要であると思います。
 いい続ければ変わることもあると信じて、今後もこの点については主張させていただき、次の質問に移らせていただきます。
 この節の最後に、被害者の経済的な問題として、交通遺児等の奨学金についてお伺いをいたします。
 連日、交通事故の悲惨さが報道される中、昨年、都内でも二百十八人の方が交通事故で死亡しました。一般的には保険制度が充実をしている交通事故であっても、任意保険に加入していない場合などには、遺族に十分な保障がなされないことが多々あります。まして、一般犯罪になるとその数ははかり知れません。
 遺族にとっては、身内を失った悲しみとともに、生活の不安も抱えることになります。特に遺児にとっては、経済的な問題から高等教育を受けられないという二重の苦難を受けることになり、こうした子どもたちを救う制度としても奨学金があります。
 日本学生支援機構の高校奨学金制度は、平成十七年度高校入学生を対象とする事業から都道府県に移管され、その運用は各自治体に任されるようになりました。そのため、都道府県によって、貸与金額、採用人数、採用条件等が異なる事態が生じております。
 そこで、都における応募件数や採用人数について伺うとともに、都として採用枠があるのか、基準について明らかにしていただきたいと存じます。

○秋山生活文化スポーツ局長 東京都育英資金事業におきます高校生等を対象といたしました貸付金について、平成十九年度でございますけれども、これまでの実績等から十分と推計される千六百人程度に貸付可能な予算を確保したところでございます。
 これに対しまして、千五百四十五人の応募があり、これから、応募資格に該当しなかった方及び辞退者の合計百十人を差し引いた千四百三十五人全員が採用となっております。

○酒井委員 次に、都においては、あしなが育英会など民間の奨学金との併用を認めない運用をしているようですが、その理由と根拠をお伺いいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 東京都育英資金条例第五条では、奨学金の借り受け資格の一つといたしまして、同種の資金を他から借り受けていないことと規定をしております。
 これは、私立高校生につきましては、育英資金貸付額が都内私立高校の平均授業料と同程度の水準であること、育英資金のほかにも、財団法人東京都私学財団が実施する授業料軽減助成や入学支度金貸付事業等によりまして総合的に負担軽減が図られていること、また、より多くの方に育英資金を活用していただくことから、類似の奨学金との併用は想定していないためでございます。
 なお、都立高校生につきましては、育英資金貸付額が授業料を上回っている状況にございます。

○酒井委員 全国の道府県の約六割は奨学金の併用を認めており、実際、一団体からの奨学金では就学できない遺児が三一・七%に上るというあしなが育英会のデータもあります。応募の結果、採用されないということはあり得ることですけれども、就学を望む子どもの可能性を狭める都の対応は改善する必要があると考えますが、見解を求めます。

○秋山生活文化スポーツ局長 経済的理由によりまして修学が困難な私立高校生に対しましては、都と財団法人東京都私学財団が連携し、貸し付けでございます東京都育英資金のほかにも、さまざまな施策を講じているところでございまして、まず、私学財団では、平均的な所得以下の保護者を対象に、所得に応じまして授業料の一部を補助するとともに、入学時に二十万円を貸し付ける入学支度金貸付事業も実施しているところでございます。
 また、都は、私立高校に対して運営費補助を行い、授業料の抑制を図るほかに、家計急変などにより授業料の納付が困難になった保護者に授業料を減免した場合、減免額の三分の二を学校に補助しております。
 なお、私立高校生への育英資金本体につきましても、来年度、月額三万円から三万五千円へと増額し、充実を図る予定でございます。
 これらの施策を総合的に活用することによりまして、修学支援を図ってまいります。

○酒井委員 ただいまの答弁では、都の制度だけでも授業料を賄える、また、私学財団が平均的な所得以下の保護者を対象に補助等を行っている旨の話がありました。
 しかし、子どもを就学させるということは、授業料のみで足りるというわけではなく、勉強する環境や生活基盤を整える必要もあります。
 あしなが奨学金を受けている方たちの中には、生活保護を申し込んだものの断られた方が、平成二十年二月段階で五・五%もいるというデータもあります。また、先ほど就学できないといっていた三一・七%の家庭のうち、実際に就学をあきらめた子どもは、昨年二月の調査で六・八%、十二月の調査では一五%にも上ったというデータもあります。
 都の施策は他県等に比べ充実をしているのかもしれませんけれども、ただ、今紹介したような子どもたちに対して選択の幅を与えることに何の問題があるのでしょうか。都の財政負担が極度に増加をするわけでもありません。学習の機会を失う子どもを一人でも減らすために再考を求め、次の質問に移らせていただきます。
 次に、医療に関して、大きく三点からお伺いをいたします。
 一点目は、さきの質問でも出ましたけれども、看護人材の確保について、改めてお伺いをいたします。
 昨年、都立墨東病院を初め、周産期医療に関する問題が改めて明らかになり、救急医療や産婦人科、小児科の不足がクローズアップされ、都においても、医師確保のためにさまざまな施策を展開あるいは模索をしています。
 この医師不足と並んで看護師不足も大変深刻な問題であります。現在、多摩地区の公立病院でも、数千万円も出して求人広告を打っているにもかかわらず看護師が確保できないという状況で、都内においても明らかに看護師が不足している状況にあると思います。
 都においては、都立看護専門学校の運営や離職防止対策、さらには復職を支援する再就業対策など、さまざまな施策を展開しておりますが、特に少子化の流れの中で、これ以上看護師不足を来さないために、いかに優秀な人材を確保するかという大きな課題を抱えています。
 人材確保に関しては、優秀な人材を求めることとともに、より多くの就学機会を提供することも必要で、そのバランスが大切になると思います。都内においては、新たな看護専門学校の設立がされる一方で、廃止を検討している公立校もあるようです。
 都が平成十九年十一月に発表した看護職員需給見通しでは、平成二十三年時点で約三千五百人程度の不足が見込まれていますが、都としてどのような看護師確保対策を講じていくのか、見解を伺います。

○安藤福祉保健局長 都はこれまでも、看護学校に対する運営費や施設整備の補助を行うとともに、看護師の定着を図るため、宿舎の整備に対する支援や、東京都ナースプラザによる再就業あっせんなどに取り組んでまいりました。
 また、平成十九年度からは、新人看護職員の早期離職を防止するための研修に対して支援を行うとともに、離職した看護職員の再就業を促進する看護職員地域確保支援事業を実施しております。
 さらに来年度は、看護職員が出産などを迎えても働き続けられるよう、中小病院を対象に看護職員の短時間正職員制度導入への支援を開始するなど、安定的な確保に向けて総合的な対策を着実に推進してまいります。

○酒井委員 ただいまの答弁にもありましたが、都においては、平成十九年度から、社団法人東京都看護協会に委託し、看護職員地域確保支援事業を実施し、復職支援に力を入れております。
 私の地元でも、研修病院がチラシを作成し募集を行っているのを目にします。この事業の研修を受講して復職した看護師は十九年度実績で約百五十人いるそうで、よい成果が上がっているのではないかと思います。
 復職する看護師をよりふやしていくため、今後この事業をどのように充実させていくのか、お伺いをいたします。

○安藤福祉保健局長 看護職員地域確保支援事業におきましては、復職研修やきめ細かい再就業相談を実施する地域就業支援病院を、平成十九年度の二十四施設から、今年度は二十九施設に拡大をいたしました。
 平成二十一年度は、これに加えまして、訪問看護ステーションにおける研修コースを設定し、地域医療や在宅医療に従事する看護職員の確保に努めてまいります。

○酒井委員 次に、乳幼児医療に関して、Hibワクチンについてお伺いをいたします。
 このHibワクチンについては、過日、公明党さんの代表質問でその有効性が詳しく述べられ、都も、市区町村に対する包括補助制度を活用して支援を行い、定期接種化についても国に求めていくということですので、その点について改めて述べることはいたしませんが、一点だけ質問をさせていただきます。
 今回の都の方針は、乳幼児の命を守る上で大変心強い判断であると思います。この制度を使い、都内すべての市区町村でワクチン接種費用の補助を行っていただきたいと思うわけですが、そのためには供給体制についても考えていかなくてはなりません。
 このワクチンは、サノフィパスツール第一三共ワクチンが製造販売しているそうですが、定期接種ではないため国内生産での採算がとれず、フランスから輸入しているために供給が調整されてしまい、二〇〇九年二月から、一診療所当たり三人分、病院では十人分までの納品となり、自費接種も制限をされているということです。
 このワクチン接種を普及していくためには、供給についても確保していかなくてはならないと思いますが、都としての対応について確認をさせていただきます。

○安藤福祉保健局長 Hibワクチンは、現在、医療機関からの発注が当初の予想を大幅に超えておりまして、発売間もないこともあって、製薬会社が十分な供給量を確保できない状況にあります。そのため、製薬会社は、製品の供給量が安定するまでの間、医療機関への納品数の調整を行っております。
 現在、生産量の拡大に全力を注いでいると聞いておりますが、こうした事態が生じた背景には、お話のように、Hibワクチンが任意接種であるため、需要予測が非常に困難であるという事情がございます。
 都としては今後、国に対し、ワクチンの供給量の確保を求めるとともに、小児に対する定期予防接種にHibワクチンを加える検討を行うよう、引き続き提案要求してまいります。

○酒井委員 では、医療問題の最後に、がん対策についてお伺いをいたします。
 都においては、昨年、東京都がん対策推進計画を策定し、患者の意見等も取り入れながら施策の推進を図っていることと思います。
 がん対策については、高度医療の提供はもとより、何といっても早期発見をすることが必要であり、がん検診受診率の向上がかぎとなります。
 先日、ある新聞で、自治体のがん検診受診者が、いわゆるメタボ健診の影響で前年同期より一一%減っているとの記事を見ました。旗振り役である厚生労働省の研究チーム自身、例えば、メタボ健診のウエスト回りの基準については因果関係が薄いといっているような、ある意味、私がいうのもなんですけれども、いい加減な基準の健診の影響で、命の危機に直結するがんの早期発見が阻害されるようなことがあってはならないと思います。
 計画の中では、五〇%の数値目標を掲げ、職域での実施促進やマンモグラフィー検診車整備補助を実施するとしていますが、大企業における正社員等のがん検診の機会を拡大するためには、職域での実施促進が有効であると考えますが、パート労働者や派遣社員など、あすにも職を失うのではないかという立場に置かれた人の場合、企業におけるがん検診の機会がほとんどなく、生活のために平日休みをとることができないため、検診を受けに行く時間がないという声も聞いています。
 そこで、これらの人の受診率を向上させるため、土日や夜間における検診の機会をさらにふやしていくことも必要ではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 平成二十年三月に策定をいたしました東京都健康推進プラン21新後期五か年戦略におきましては、区市町村や企業などが、実施場所や時期等を工夫し、がん検診を受診しやすい体制づくりに取り組むこととしております。
 都は、今年度実施をいたしましたがん検診の実態調査結果も踏まえて、受診促進に効果的な取り組みについて関係者に情報提供することなどにより、がん検診の利便性の向上に努めてまいります。

○酒井委員 また、市区町村における受診年齢についても、例えば現在、子宮頸がんは二十歳、乳がんに関しては四十歳からになっています。がんに関しては若い人ほど進行が速いといわれ、私の知り合いでも三十歳前半で亡くなってしまった方もいます。乳がんの検査には超音波検査もあると聞いています。超音波検査も含め、乳がん検診についても対象年齢を若年者に広げる必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 区市町村が実施する乳がん検診につきましては、国の指針では、有効性の観点から、四十歳以上の女性を対象に、問診、視触診及びマンモグラフィー検査を二年に一回実施することとしております。
 若年者につきましては、マンモグラフィー検査では乳がんの発見は困難であり、また超音波検査による検診につきましては、現在国において有効性などの検証が進められており、その結果を踏まえて必要な対応を図ってまいります。

○酒井委員 ただいまの答弁では、マンモグラフィー検診では若年者のがんが見つけにくいとの話でございました。また、超音波エコーの技術が確立された段階においては、ぜひ範囲の拡大を図っていただくことを要望いたします。
 また、若年者の方に対しても、マンモグラフィー検診だけでは発見されにくいことや、それを補完する検診技術等について情報提供をしていく必要があると思いますが、対応方について見解を求めます。

○安藤福祉保健局長 都は、がん検診の必要性を伝えるために、若い世代の方にもよく知られているキャラクターを採用して、メッセージ入りはがきを作成し、ピンクリボン運動等において配布するなど、若年層を含め、広く普及啓発を行ってまいりました。
 また、今年度開設いたしました東京都がん検診支援サイトにおきまして、乳がん検診の重要性とともに、検査の方法や対象年齢などをわかりやすく情報提供しております。
 引き続き、多様な媒体を活用し、がんの予防や検診に関する都民の理解を深め、主体的な受診行動につなげるよう取り組んでまいります。

○酒井委員 それでは最後に、ストリートビューについてお伺いをいたします。
 ストリートビューについては、ご案内のとおり、グーグル社のサイト上で地図上の道路をクリックすると、その地点から撮影された沿道の風景写真を見ることができるサービスでございますけれども、住宅街などで撮影された写真には、ベランダに干してある洗濯物などまで鮮明に写っていることから、プライバシー侵害や個人情報保護あるいは地域の安全という観点から問題があるのではないかといわれています。
 都内においても、町田市議会が国に法規制の検討を求める意見書を採択したほか、杉並区は同社の日本法人に口頭で申し入れも行っています。
 そのような中、東京都においても、個人情報保護の観点から、東京都情報公開・個人情報保護審議会が二月三日に日本法人担当者を招き、委員との意見交換を行い、担当者は、今後、新たな地域でサービスを開始する場合には該当する都道府県への事前通知を検討していく意向を示した旨の報道がされました。
 そこでまず初めに、東京都におけるこれまでの取り組みと同審議会における意見交換の具体的な内容についてお伺いをいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 グーグル社のストリートビューは、現在、日本を初め世界七カ国の画像が提供されておりまして、便利で有益な無料サービスとして世界じゅうで利用される一方で、都には、プライバシー侵害や防犯上の不安などを内容とする意見等が、日本でサービスが開始された昨年八月以降三カ月間で四十件近く寄せられております。
 このような状況を受けまして、東京都情報公開・個人情報保護審議会におきまして、ストリートビューの画像が個人情報保護法における個人情報に該当するか否かや、画像削除の申し出のあり方等について、専門的な見地から議論を行ってまいりました。
 また、本年二月に開催いたしました審議会では、グーグル社を招いて行った意見交換の場におきまして、グーグル社が地方議会等からの意見書を真摯に受けとめ、今後サービスを新たに展開する際は地方自治体と事前協議する旨を表明したところでございます。

○酒井委員 このグーグル社が示している、新たな地域でのサービスを開始する場合には該当する都道府県等々の自治体への事前通知、協議ですか、を検討するということがあるわけですけれども、新たな地域という、この地域の定義をどう考えているのかが問題になると思います。都道府県単位なのか、市区町村単位なのか、それとも市区町村内の○○町といった単位なのか。仮に都道府県単位であれば、全く事前通知がされないということにもなります。この点についてはどのように確認をされているのか、お伺いをいたします。
 まさか都道府県単位ということはないと思いますけれども、現在、都内の市区町村でこのサービスが開始されていない自治体は幾つあるのか、お伺いをいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 都の審議会におきまして、グーグル社は、今後新しくサービスを展開する地方自治体には事前にお知らせしていきたいと表明しておりますけれども、今後の展開計画は明らかにしておりませんで、具体的な協議先や協議方法についても検討中であり、結論は出ていないというふうに聞いております。
 また、現在、都内区市町村でストリートビューのサービスが開始されていない自治体は、島しょ部の九町村でございます。

○酒井委員 ただいまの答弁により、ストリートビューのサービスが島しょ部を除く都内全域で展開をされていることがわかりました。ちなみに私の自宅も、三方向からしっかりとこのストリートビューに載っておりますので、多分、局長のご自宅や知事のご自宅も掲載をされていることと思います。このことは、個人情報保護や地域の安全、プライバシーの侵害などの問題が、都内全域で具現化する可能性が現実のものになっていることを示しています。
 情報公開・個人情報保護審議会では、個人情報保護の観点からグーグル社との意見交換が行われているようですが、地域の安全やプライバシー侵害を所管する部署も含め、行政責任として、ストリートビューのサービスに問題がないのか、十分に調査していく必要があるのではないでしょうか。その上で、都民の不安を和らげるべく、都庁全体で対応していくべきと考えますが、今後の都の対応についてお伺いをいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 グーグル社は、二月の都の審議会の席上で、日本にはプライバシーを所管する政府の機関がないため、国レベルの事前協議は行わなかったというふうに述べております。
 ストリートビューへの対応は、本来国において行うべきものだと考えておりますけれども、国の窓口が明確でないため、都は全国で初めて審議会の場にグーグル社を招いて意見交換を行い、その席上で自治体との事前協議を行うとの回答が初めて示されたということは、一定の成果であるというふうに考えております。
 現在、グーグル社は、地方自治体との事前協議のあり方だけでなく、これまで都の審議会で出された種々の意見や要望を持ち帰っておりまして、米国本社を含めて社内で検討を行っているというふうに聞いております。
 まずはグーグル社の対応と審議会での議論を十分に見定め、今後必要があれば適切に対処してまいりたいと思っております。

○酒井委員 この問題については、例えば個人情報に当たるのであれば、これは法律であるとか、また東京都の条例に従って対応していけるので、比較的簡単であると思いますけれども、しかし、プライバシー等の問題になると、判断基準が難しくなってしまうと思います。
 本日は個人情報保護という立場から生活文化スポーツ局にご答弁をいただきましたが、今後グーグル社との協議や都民からの相談を受けていくに当たり、東京都としての基本的な方針であるとか、また基準を持っておく必要もあると思いますので、その点も含めて対応いただくよう強く求め、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

○増子副委員長 酒井大史委員の発言は終わりました。

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