予算特別委員会速記録第三号

○服部委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 高橋かずみ委員の発言を許します。

○高橋(か)委員 最初に、東京外かく環状道路と都市基盤の整備についてお尋ねいたします。
 東京の最大の弱点は渋滞であります。渋滞の解消に向けては、首都圏三環状道路などの高速道路ネットワークを一刻も早く完成させる必要があり、中でも東京外かく環状道路の関越-東名間は速やかに着工すべきものであります。景気、雇用対策としても、今こそ我が国の発展に必要な国家的なプロジェクトを推進していくことが重要であり、外環はまさにその代表格であります。
 まず、外環整備が景気や雇用に与える効果について、都の所見をお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 外環の事業費でございますが、一兆六千億円とされておりまして、大深度地下方式で計画されておりますことから、その多くが直接建設工事に要する費用になると想定をされます。
 初年度は測量、あるいは調査、設計業務等に係る費用が中心になりますが、その後おおむね十年間にわたりまして継続して建設工事に費用が投入されることとなりまして、有効需要を生み出すものと考えております。
 加えまして、周辺のまちづくり、アクセス道路など、外環整備に付随する事業による効果も期待できるものでございます。

○高橋(か)委員 外環整備が景気、雇用対策にも非常に有効であることがわかりました。
 次に、外環沿線の地元での取り組みについてでありますが、都は、国や関係の区市とともに、大深度地下方式への都市計画変更の後も、八十回を超える話し合いを沿線の各地で精力的に実施し、丁寧な地元対応に努めており、その取り組みを高く評価いたします。
 私の地元の練馬区でも、大泉ジャンクション周辺地域において四回にわたり外環の事業化を前提とした話し合いが開催され、環境対策や地域のまちづくりなどについてさまざまな意見や要望が出されたと聞いております。
 そこで、その地域で出されたこれらの意見を今後どのように事業に反映していくのか、伺います。

○只腰都市整備局長 都は、事業予定者である国とともに、本年一月、地域住民との話し合いなどで出された意見や要望に対する対策の素案を公表いたしました。
 その中で、大泉ジャンクション周辺地域につきましては、大気質の環境基準達成状況などを十分把握するとともに、窒素酸化物や浮遊粒子状物質の除去技術の開発動向等を踏まえて、実施時点における最新の技術を換気所に適用することを明らかにいたしました。また、地域のまちづくりの一環として、住民の意見を聞きながら、道路区域の中に環境施設帯として緑地と区画道路を確保していくことを示してございます。
 今後はこうした取り組みを事業実施段階で確実に実行してまいります。

○高橋(か)委員 私は、用地買収において影響を受ける地域の地権者等へのきめ細かな対応が必要であると考えております。
 外環の早期整備を図る上では、四カ所のインターチェンジ、ジャンクション部において、全体で約四十ヘクタールの土地の取得、約一千棟の家屋移転が必要となり、この用地買収を円滑に進めていくことが重要であります。私が、平成二十年予算特別委員会において、外環の早期整備に向けての知事の所見を伺ったところ、知事は、インターチェンジなどの用地取得に当たり、平成二十年の夏前からチームを編成して準備を進めるとの見解を述べられました。
 そこで、早期整備に向けた都の具体的な取り組みについて伺います。

○道家建設局長 外環は、国がその責任において整備すべき路線でありますが、国幹会議において整備計画が作成された後、速やかに都と国が協力して事業を推進することが重要であります。このため都は、昨年七月、首都高速中央環状線、圏央道とあわせて外環の整備推進を担当する専管組織を設置いたしました。
 現在、早期着工が必要な外環のジャンクション部などについて、都がこれまで道路整備で培ってきた経験を生かし、迅速に測量や用地取得を行うため、国からの業務の一部を受託する調整を進めております。
 今後とも、外環の早期着工に向け、国とともに積極的に取り組んでまいります。

○高橋(か)委員 都としても外環の早期着工に向け着実に準備を進めていることがわかりました。事業を受け入れる地元の環境や都の準備が整いつつあり、いよいよ早期整備に向けて事業に着手する機は熟したといえます。
 石原知事は、四十年間凍結されていた外環の事業着手に向けて、就任以来一貫して全身全霊をかけて取り組んでこられました。先月も金子国土交通大臣を直接訪ね、平成二十一年度の事業着手を確実なものとするよう、国土開発幹線自動車道建設会議の開催を強く迫ってきたとお聞きしております。
 私が事務局長を務める東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟においては、昨年三回にわたり国土交通大臣に対して要請活動を行うとともに、暮れには緊急決議を行い、平成二十一年度の事業着手を強く訴えてまいりました。
 過日、国が外環の整備計画を定める国幹会議の開催準備に入ったとの報道もあり、いよいよこれまでのさまざまな取り組みが実を結ぶときが近づいていると考えております。来年度は外環事業にとって新たな節目の年を迎えると期待しております。
 改めて、平成二十一年度事業着手に向けた石原知事の決意をお伺いいたします。

○石原知事 繰り返して申し上げますが、外環道は費用対効果が全国でもトップレベルにありまして、まさに必要な道路そのものであります。国は国益を考え、進めるべき事業はしっかりと進めるべきであると思います。
 先ごろ、国会で金子国交大臣も、外環道の整備計画格上げが重要な課題であると発言しておりまして、速やかな決断がなされるものと期待しておりますが、このところの経済不況で、景気対策としての社会資本整備ということがいわれておりますので、これに便乗して、外環に比べればコスト・アンド・ベネフィットの指数が非常に低いような道路でも、我も我もと名乗りを上げている傾向もございまして、その調整で国幹会議はちょっとおくれておりますが、当然、これが開かれれば、他に先んじてもこれは最優先の道路になるべきであります。なるはずだと思っております。

○高橋(か)委員 知事の強い決意を改めてお伺いいたしました。
 一方、外環の沿線では、周辺のまちづくりに対する期待も寄せられております。西武新宿線上石神井駅周辺では、外環の計画線が縦断しております。この地区では地元が中心となり、まちづくり構想を取りまとめ、今年度はこの構想に基づきテーマ別の懇談会を立ち上げるなど、具体的な検討を精力的に進めております。
 今後、上石神井駅周辺地域のまちづくりに都としてどのように取り組んでいくのか伺います。

○只腰都市整備局長 上石神井駅周辺では、地元の商店街や町会が主体となり、今お話がございましたように、交通環境の改善や商店街の活性化を目指して、まちづくり構想を取りまとめるなど積極的に取り組んでおられることは承知をしております。
 この地域では、道路と鉄道の立体交差化や、地域の南北の軸となる外環の地上部街路の整備のあり方がまちづくりの重要な要素となると認識しております。都は、今年度、お話のテーマ別懇談会におきまして外環計画等について意見交換を行うなど、地元の取り組みを支援してまいりました。
 今後も、このような場を活用して、地域のまちづくりの推進に向けて地元区と連携をとりながら協力してまいります。

○高橋(か)委員 上石神井駅周辺地域において、外環の地上部街路はまちづくりに欠かせない重要な基盤施設であり、早期に事業化に取り組むよう強く要望いたします。
 さて、外環のような高速道路の整備も急がれますが、渋滞の解消や災害時の避難、救急活動など、安全で快適な生活を営む上で、幹線道路などの一般道路の整備も必要不可欠であることはいうまでもありません。
 とりわけ練馬区内の都市計画道路の整備率は、二十年三月末で四二・〇%であり、区部の五九・五%や多摩の五二・八%に比べ著しく低い水準であります。こうした状況において、副都心の池袋から埼玉県境に至る放射第三五号線及び放射三六号線は、練馬区など区部北西部の骨格を形成し、地域のまちづくりにも寄与する重要な幹線道路であり、その早期整備が望まれております。この路線の練馬区早宮二丁目から板橋区小茂根四丁目に至る延長一・九七キロメートルの未整備区間については、昨年夏に事業説明会が開催され、ようやく事業化に向けて条例に基づく環境影響評価手続に着手したと聞いております。
 そこでまず、この環境影響評価手続の進捗状況について伺います。

○道家建設局長 お話の未整備区間につきましては、昨年九月、東京都環境影響評価条例に基づき環境影響評価調査計画書を提出し、事業化に向けて手続に着手いたしました。
 この調査計画書により、大気や騒音、振動などの現況を把握する現地調査を秋と冬に実施いたしました。引き続き春と夏の調査を実施し、環境保全対策を検討の上、事業が周辺環境に及ぼす影響を予測、評価してまいります。
 これらを取りまとめ、環境影響評価書案を作成し、年内に環境局へ提出する予定でございます。

○高橋(か)委員 ただいまの答弁の環境影響評価書案が予定どおり提出されたとしても、その後、環境影響評価手続に一年から二年程度、さらに測量作業に二年程度かかり、事業化までには相当の期間を要すると聞いております。しかしながら、この区間は昭和四十一年に都市計画決定され、関係地権者の方々は四十年以上も土地利用の制限を受けており、これらの方々の生活再建の観点からも、早期事業着手が必要だと考えております。
 このような状況や路線の重要性を踏まえて、この未整備区間の一刻も早い事業化に向けた都の所見を伺います。

○道家建設局長 放射第三五号線及び放射第三六号線の池袋から埼玉県境までの区間のうち、本区間は唯一未着手となっております。このため、区部北西部の道路ネットワークを形成し、渋滞緩和や交通の円滑化、地域の防災性、安全性の向上を図る上で、本区間は早期整備が必要でございます。また、一日も早い事業着手を望む関係権利者などの声があることも承知をしております。
 今後、環境影響評価手続を進めるとともに、現地の測量作業などを工夫し、事業化までの期間短縮に積極的に取り組んでまいります。

○高橋(か)委員 ただいまの答弁のとおり、少しでも早く未整備区間の事業化を図るよう要望いたします。
 さらに、この道路の沿道には、練馬区立開進第一小学校や開進第四小学校があり、道路によって学区域や通学路が分断されることが懸念されます。このため、昨年十一月の環境・建設委員会でも要望しましたが、事業に当たっては、地域の声に耳を傾け、学童のみならず、高齢者や体が不自由な方にも配慮して、近代的で日本全国に誇れるようなバリアフリー仕様の立体横断施設を設置するなど、手厚い安全対策を実施すべきであることを申し上げておきます。
 今後とも、安全で安心して暮らせるまちづくりの早期実現に向けて、外かく環状道路など三環状道路はもとより、一般道路の整備や連続立体交差事業などに、より一層精力的に取り組んでいただくことを強く要望して、東京外かく環状道路と都市基盤関連の質問を終わらせていただきます。
 次に、低炭素社会に向けた廃棄物対策についてお尋ねいたします。
 私は、安全で安心して暮らせるまちづくりを活動の柱の一つに据え、これまでさまざまな政策提言を行ってまいりました。産業廃棄物の不法投棄につきましても、それが一たび発生すれば、生活環境上深刻な影響を与えかねないことから、その対策の強化が重要であると常々考えております。
 昨年度の全国の産業廃棄物の不法投棄は約十万トンであり、そのうち約八万トンが解体現場などからの建設系廃棄物であります。現在でも、東京が排出源と見られる産業廃棄物が他県の不法投棄現場から多数確認されるなどの事例が見受けられます。
 建設系廃棄物の不法投棄撲滅のためには、まず、広域的な観点での取り組み強化が重要と考えますが、都はこれまでどのような対策を行ってきたのかお伺いいたします。

○有留環境局長 関東、甲信越、福島、静岡の二十八の都県市では、東京都の呼びかけによりまして、産廃スクラム28を組織しまして、不法投棄の撲滅に広域的に取り組んでおります。
 これまで廃棄物運搬車両の一斉路上調査や合同パトロールなどを行ってきましたが、今年度から新たに、各都県市が取り組みを集中的に行う不法投棄撲滅強化月間を設けました。期間中、都では陸海空パトロールを初めて実施したほか、各都県市が協力してさまざまな事業を展開いたしました。
 また、他県の無許可の処理業者に都内の廃棄物が持ち込まれていたケースでは、県と合同で施設に立ち入り、関係事業者を一斉に処分するなど、これまで以上に他県市との連携強化を図っております。

○高橋(か)委員 ぜひ他の地域に迷惑をかけることのないよう、引き続き施策の着実な実施に努めていただきたいと思います。
 不法投棄による被害を最小限にするためには、不法投棄の早期発見が大変重要であります。また、社会全体で不法投棄をしない、させない、許さないといった意識を高めていくことも強く求められます。そのためには、行政によるパトロールなどの取り組みだけではなく、広いネットワークを持ち、日常的にまち中で活動している民間事業者などと連携を図り、不法投棄を撲滅するための新たな枠組みを構築していくことが重要と考えますが、所見を伺います。

○有留環境局長 不法投棄撲滅のためには、行政による取り組みに加えまして、不法投棄を早期に発見して被害を最小限に食いとめることや、不法投棄を許さない社会的な機運を高めていくことが重要でございます。そのため新たに、都の提案によりまして、宅配便事業者などの全国組織である東京路線トラック協会と産廃スクラム28との間で今月末に協定を締結し、ドライバーが不法投棄を発見した場合には自治体に速やかに通報してもらい、早期対応につなげる発見通報の仕組みを構築いたします。
 あわせて、産廃スクラムの区域内をくまなく走行する約二万台の配達車両に、不法投棄撲滅に向けた統一のステッカーを張りまして、不法投棄のない社会の実現を広く訴えてまいります。

○高橋(か)委員 私は、建設廃棄物の処理については別の重要な課題があると考えます。それは地球温暖化防止対策への貢献であります。建物の解体時には、知事の机上にも置かせていただきましたけれども、ウレタンなどの建材用断熱材が廃棄物として発生いたします。これらの断熱材にはフロンが発泡剤として含まれております。フロンは温暖化への影響が二酸化炭素の数千倍から一万倍もあり、少量でも地球温暖化に大きな影響を及ぼす物質でありますが、解体現場で廃棄物として発生する建材用断熱材は、現在多くが埋め立てされております。その際、断熱材に含まれていたフロンのほとんどは大気に放散されて、温暖化を助長することになります。
 都では、この問題を「十年後の東京」実行プログラムに位置づけ、その解決に向け、業界団体などと議論の場を設置し、検討を進めていると聞いております。私は、都が率先して新しいルールづくりを行い、建材用断熱材フロンの分解処理に向けて事業者の取り組みを促すべきと考えますが、どのような方法で対処していくのか伺います。

○有留環境局長 都内で一年間に廃棄される建材用断熱材に含まれるフロンは、CO2換算で年間約十六万トンと推計されておりまして、一般家庭約六万世帯の排出量に相当いたします。このため都は、建材用断熱材フロンの分解処理の推進に向け、昨年一月に、学識経験者や業界団体代表とともに検討を開始いたしました。
 フロンは焼却処理によって確実に分解できることから、熱を回収し発電を行う焼却施設へ誘導する方策や、焼却までの過程でフロンを大気中に放散させない作業方法などについて議論を重ねてまいりました。今月末には、これまでの検討を踏まえまして、業界団体と協力し、建材用断熱材フロンの分解処理を進める独自の東京ルールを策定しまして、公表する予定でございます。

○高橋(か)委員 このように廃棄物の適正処理、リサイクルの推進と地球温暖化対策をうまく組み合わせていくことが、持続可能な社会の実現に必要なことであると私は考えます。廃棄物を資源として再利用すれば、天然資源を利用する場合に比べてエネルギーの消費量が少なくて済み、これらリサイクルによる温室効果ガス削減効果は、全国で六千万トンを超えるともいわれております。
 しかしながら、これまでの都の施策では、循環型社会に向けた取り組みと低炭素社会を目指す取り組みとの統合がまだまだ不十分であるという印象をぬぐえません。先ほどの建材用断熱材フロンのように、より低炭素な廃棄物の処理、資源リサイクルを促進していくための検討を今すぐにでも始めるべきだと思いますが、都の所見を伺います。

○有留環境局長 天然資源から鉄やセメントなどの製品を生産するプロセスからは多量のCO2が排出されますが、リデュース、リユース、リサイクルの3Rにより資源を循環利用すれば、これを削減できるものと考えております。
 これまで都は、最終処分量削減を主な目標に掲げ循環型社会に向けた取り組みを進めてきましたが、低炭素社会を目指す取り組みとの関係は必ずしも明確ではなかったと考えております。
 このため、今月末に新たな専門家会議を設置しまして、3RによるCO2削減効果を定量化する方策や、CO2削減効果の大きいリサイクルの促進策を幅広い視野で検討する予定でございます。
 この会議における検討を踏まえまして、お話のように、低炭素と資源循環という二つの課題に一体的に取り組み、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

○高橋(か)委員 二〇一六年オリンピック・パラリンピックの立候補ファイルで示した、世界で最も環境負荷の少ない持続可能な都市東京を実現するためには、低炭素社会に向けた施策と循環型社会に向けた施策を一体的に展開することが絶対条件であると考えます。ぜひ、二十一世紀にふさわしい循環型社会のモデルとなるような施策を構築するよう要望して、廃棄物関連の質問を終わります。
 次に、地域医療の充実についてお尋ねいたします。
 私の地元の練馬区は、平成十七年に順天堂大附属練馬病院が開院し、日大付属練馬光が丘病院とで、ようやく基幹病院が二つになったところであります。
 しかし、それでもなお、区の西部地域には基幹病院がいまだなく、人口十万人当たりの病床数は約三百床と、二十三区平均の約八百六十床の約三分の一にしかすぎず、区部で最下位の水準でしかありません。
 また、練馬区の属する区西北部二次保健医療圏では、板橋区に二つの大学病院など大規模病院が複数あるため、がん診療や地域リハビリテーション、救命救急などの拠点機能も圏域内で偏在しており、練馬区の医療の環境は厳しい状況にあります。
 このような状況を踏まえ、練馬区は、来年度には、病床確保対策検討委員会を設置し、病院の誘致や既存の病院の増床など、具体的な方策を検討するとしております。
 練馬区ばかりでなく、医療資源の決して豊かではない幾つかの区市町村では、住民の医療確保の具体的かつ精力的な取り組みが始まっております。
 都としても、これら区市町村の切実な取り組みと十分に連携し、支援することにより、都民が安心できる地域医療の充実を図るべきであると、本日は要望ということで申し上げておきます。
 さて、練馬区では、昨年十一月に医療に関する区民アンケートを行ったところ、救急医療の充実を求める声が約八割に上りました。一方、救急医療を支える医師たちは、実に厳しい勤務を強いられております。医師や看護師の確保がまさしく医療の確保といっても過言ではありません。
 そこでまず、救急医療を担う医師の確保についてでありますが、いうまでもなく、突発不測の傷病に対応する救急医療は医療の原点であり、また、都民の安心を支える重要な役割を担っております。
 しかし、高齢化等に伴い、救急搬送患者はこの十年間で三割増となっているのに対し、救急医療機関数は二割減となっており、救急医療をめぐる状況は、東京においても厳しいものとなっております。
 練馬区でも、今年度になってから救急医療機関を撤回した病院が二カ所ありました。大変ショックな出来事であります。救急医療機関の撤回申し出の理由で最も多いのが、体制確保の困難、つまり医師等のスタッフ確保難だと聞いております。
 救急医療の弱体化を防ぐためには、救急診療に携わる医師に対する処遇をきちんと行うことが重要であると考えます。
 都は、救急医療機関に対して、休日、夜間の病床確保料や施設設備に関する補助金、また、小児科等の専門医を確保した場合の加算額の設定など、さまざまな支援を行っております。しかしながら、これらはいずれも病院に対する補助であり、現場に働く医師に直接還元される保証はありません。
 昼夜なく働く救急医の頑張りに報いるため、都としても、病院が勤務環境改善などに取り組めるよう、必要な支援を行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 都は今年度から、医師勤務環境改善事業を実施し、交代制勤務や短時間勤務の導入など、医師の負担軽減と定着を図る病院の取り組みを支援しております。
 これに加えまして来年度は、新規事業として救急医療機関勤務医師確保事業を開始いたします。この事業は、救急医療機関が、休日や夜間に働く救急医に対して、宿日直手当や超過勤務手当とは別に、救急勤務医手当を創設した場合に補助を行うものであります。
 こうした取り組みにより、医師の確保、定着を図ってまいります。

○高橋(か)委員 この事業は、単に勤務医師が手当をもらえるということだけではなく、救急医療の重要性を病院として評価するという姿勢を後押しするものだと考えます。都としては、このような意義を踏まえて、多くの病院が活用できるよう取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、看護師の確保についてであります。
 産科や小児科の医師確保とともに、看護師の確保も大きな課題であります。医療機関からは、看護師の確保に大変苦労しているという話を聞いております。とりわけ中小の病院の状況は非常に厳しいものがあります。
 都では、看護師確保のため、都立看護専門学校の運営などを行っておりますが、若年人口が減少する中で、新人看護師を大幅に増員することは困難であり、離職して潜在化している看護師をどのように現場に復帰させるかが極めて重要であります。
 都は、復帰促進のための研修など、看護師確保対策を強化していますが、さらにこれからは、看護師のワークライフバランスとキャリア継続ができるよう、医療機関の勤務環境を看護師のニーズやライフサイクルに対応したものとしていく必要があると考えます。
 そこで、都において、看護師の勤務環境の改善を行おうとする医療機関を積極的に支援し、看護師が働き続けられる環境を整備することが必要と考えますが、所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 都は、看護職員が働き続けられる環境を確保するため、新人看護職員の早期離職を防止するための研修に対する支援や、看護職員の勤務環境改善に必要な施設整備に対する支援などを実施しております。
 これに加えまして来年度からは、都独自に、看護職員が出産、育児や介護などを迎えましても、離職することなく引き続き働き続けられますよう、三百床未満の中小病院が新たに看護職員の短時間正職員制度を導入した場合、代替職員経費などに対する支援を開始いたします。

○高橋(か)委員 ただいまの答弁をお聞きし、大変心強く思いました。
 現在、民間企業や役所においても、ワークライフバランスのさまざまな取り組みが推進されておりますが、医療機関の現場においては、まだ取り組みが非常におくれているのが現状だと思います。
 安定した人材の確保は、安全・安心な医療を都民に提供するための大前提であります。医師や看護師が離職せず働き続けられるよう、事業の着実な推進をお願いし、地域医療関連の質問を終わります。
 次に、都市農地の保全についてお尋ねいたします。
 我が東京都議会自由民主党都市農政を考える議員連盟は、結成以来、都内の農業者の意見をつぶさに聞いてまいりました。都市農地を保全するためには、農地制度、とりわけ税制度の改善が必要であり、これは農業者にとって大変切実な問題であります。
 これまで我が党は、国会議員を巻き込み、相続税納税猶予制度問題を含め、国に農地制度改善を強く働きかけており、この結果、国もようやく都市農地に係る制度の検討を始めました。
 このように我が党は、全力を挙げて都市農地の保全に取り組んでおります。都も、農地保全策をしっかりと進めていただきたいと思います。
 私は、昨年の第二回定例会で、都が策定した農業・農地を活かしたまちづくりガイドラインを評価する一方、絵にかいたもちで終わらせてはならないと申し上げました。
 そこでまず、今年度都が進めている農業、農地を生かしたまちづくりについて、現在の取り組み状況をお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 都市農地を保全するためには、都民と農業者の相互理解のもとに、防災やレクリエーション機能など、農業、農地が持つ多面的な機能を生かしたまちづくりを行うことが重要である、このように認識をしております。
 このため都では、平成十九年度に、農業・農地を活かしたまちづくりガイドラインを策定したところでございます。このガイドラインを参考に、今年度は、練馬区と国分寺市が、都市と農業が共生するまちづくりモデルプランの策定に取り組んでいるところでございます。
 これらの区市では、地域住民と農業者などが参加をいたします協議会を設置いたしまして、関係者が一体となって農業、農地を生かしたまちづくりに向けた検討を行っております。
 都では、都市づくりや農業の専門家等から成ります事業推進協議会を設置いたしまして、区市への助言を行うなど、その取り組みを支援しております。

○高橋(か)委員 練馬区については、私も地元なのでいろいろと聞いております。区民や農業者、そして区が、モデルプランの策定に熱心に取り組んでおり、農業、農地を生かしたまちづくりというスケールの大きい目標に向かい、さまざまな提案がされているとのことであります。
 まちづくりとなれば、長い年月と多くの費用がかかるため、プランの実現には、都の継続的な支援が不可欠であります。
 そこで、区や市が策定するモデルプランを実現するための都の支援について伺います。

○佐藤産業労働局長 都では、区市が策定をいたしました都市と農業が共生するまちづくりモデルプラン、これを着実に推進し実現するために、来年度から新たに、農業、農地を生かしたまちづくり事業を実施することといたしました。
 この事業は、一区市当たり四年間にわたり支援をするものでありまして、初年度は、事業計画の策定等に対しまして、また次年度以降は、その事業計画に基づく施設整備等に対して支援を行う予定でございます。
 支援対象といたしましては、防災兼用の農業井戸などの防災施設や、農地をめぐる散策路などのレクリエーション施設などの整備を初めといたしまして、農業、農地の多面的な機能を発揮させるための取り組みを想定しているところでございます。
 今後とも都は、本事業を初めとするさまざまな取り組みによりまして、貴重な都市農地の保全を図ってまいります。

○高橋(か)委員 都が新たな事業展開により都市農地の保全に取り組んでいることはよくわかりました。
 区や市の農業、農地を生かしたまちづくりへの取り組みは来年度から本格化することになりますが、都の継続的できめ細かな支援をお願いさせていただきます。
 さらに、都の関係各局が連携協力して貴重な都市農地の保全を図っていくことを強く要望して、都市農地関連の質問を終わらせていただきます。
 最後に、中小河川の治水対策についてお尋ねいたします。
 近年、一時間に五〇ミリを超えるような局地的な集中豪雨の発生がふえる傾向にあります。昨年、全国二十一カ所で一時間雨量の記録を更新し、東京においても、八月末の集中豪雨の際には、町田市で一時間一一五ミリの局地的集中豪雨があり、多摩地区では洪水による浸水被害や土砂災害が発生したと聞いております。
 こうした状況の中、知事も今定例会の所信表明において、局地的集中豪雨対策の重要性を強調されました。
 また、我が党の代表質問においても、水害に対する安全性をより向上させることが重要であり、中小河川における七五ミリ降雨対策に向けた都の基本的な考え方について質問したところであります。
 平成十七年には、石神井川と白子川でも二度の水害が発生し、多くの地域住民が被災いたしました。このため、私はかねてより都議会の場において、治水対策の重要性について繰り返し発言してまいりました。中小河川整備の促進及び石神井川や白子川の整備、特に白子川においては、地下調節池の整備促進を強く望んできたところであります。
 都もこれにこたえていただき、現在、白子川では、川幅を広げる工事について、新たな整備区間の説明会を開催し、測量調査に着手したと聞いております。
 また、今回、白子川調節池整備が十年ぶりに再開するということでありますが、具体的な整備の内容、その整備及び予定について、詳しく、時間をかけて答弁をお願いします。

○道家建設局長 まず、白子川の調節池は、白子川流域における水害の早期軽減を図るため整備するものでございます。
 この調節池は、目白通りの地下空間を利用した調節池でございまして、事例で申し上げれば、環状七号線の地下を使った環七地下調節池というのがございます。五十万トン、五十万立米を超える調節能力を持っている調節池でございまして、神田川流域の水害軽減に大いに役立っているということでございます。この調節池と同じような構造でございまして、内径が十メートル、それから総延長が三・二キロメートルのトンネル式の調節池でございます。シールドトンネルの方式で掘削することになると思います。
 貯留量は、二十一万二千立方メートルでございます。小学校などでよくある二十五メートルプール、ございますけれども、そのプールで換算いたしますと、約七百杯分に相当する貯留能力がある調節池でございます。
 それから、この白子川地下調節池に関しては、シールドマシンを発進する発進立て坑部の立て坑が既に完成しております。それから、シールドトンネルが到達する、これは到達坑といいますけれども、到達坑のところについても用地取得は完了している状況でございます。
 すなわち、シールドトンネルを掘り、そしてポンプ場、排水機場等を設置すれば完成に至るという状況でございますので、まず平成二十一年度から工事に着手をいたしまして、完成する前に、平成二十七年度の途中でございますが、平成二十七年度には、このシールドのトンネルが完成いたしますので、その時点で、もし万が一白子川から水をとる--そういうような豪雨等があって危険性があれば、水をとって整備効果を早期に発現しようということで、平成二十七年度の暫定取水の開始を目指してまいります。
 その後、今申し上げたように、取水しただけでは満杯のままでございますので、また天気がよくなった後に河川にその取水した水を戻してやるというためのポンプ施設が必要でございます。それをその後、整備をして、完成ということになるわけでございます。
 この調節池が完成いたしますと、既設の比丘尼橋下流調節池、それから比丘尼橋の上流にも調節池がございます。この調節池、三つの調節池などを合わせまして、合わせて約四十六万立方メートルの貯留が可能となり、この白子川流域の安全性が格段に向上するということでございます。
 今後、一日も早い完成に向けまして、白子川調節池の整備に全力で取り組むとともに、東京の中小河川の整備にもさまざまな工夫をして積極的に取り組んでまいります。

○高橋(か)委員 積極的で、本当に期待が大であります。丁寧なご答弁ありがとうございました。
 白子川調節池の整備をぜひ、より積極的に進め、一日も早い完成を望んでいるところであります。
 この調節池は、石神井川沿いの用地に到達立て坑を設置すると聞いており、将来的には石神井川からの取水も可能であると考えられます。これにより、白子川だけではなく石神井川流域の水害軽減にもつながることとなります。
 加えて、石神井川や白子川だけではなく、都の中小河川における五〇ミリ降雨対策の早期完成とあわせて七五ミリ降雨を視野に入れた取り組みを進めていくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○服部委員長 高橋かずみ委員の発言は終わりました。

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