予算特別委員会速記録第二号

   午後三時三十二分開議

○増子副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 大沢昇理事の発言を許します。

○大沢委員 まず、新銀行東京についてお伺いをいたします。
 なお、新銀行東京の失敗に対する責任論については、後ほど関連質問をさせていただきます。
 私からは、昨年大変議論になりました追加出資に関連して、新銀行の経営が再建計画どおりに進んでいるかについて、新銀行東京が二月十二日に発表した第三・四半期決算と比較しながら質問をしたいと思います。
 第三・四半期の決算のポイントを見ますと、厳しい経済環境の中、中小零細企業を支援するため、積極的な経営活動を展開しているとしています。しかし、経営活動の実績は再建計画に及ばず、新たに打ち出したニュービジネスへの重点的な支援や、東京都と連携した支援などで成果が上がっていません。
 一方で、事業意欲が高い既存顧客などへの継続的な支援が二百二十二億円と、再建計画の百六十五億円を五十七億円上回り好調のようですが、予特の資料の134号を見ますと、一般融資の実績は、昨年十二月に突然通常月の十倍以上に膨れ上がったことが大きく、新銀行の経営努力の結果とはいいがたいようにも思います。
 また、再建計画では、一般融資の内訳として、既存健全先を中心に支援する一般融資、ノンバンクとの連携による小口融資、信金への保証で新たな上限を設定した新型保証といったメニューが示されていました。
 ちなみに、それぞれの規模は、平年度残高ベースで、一般融資百五十億円、小口融資が五十億円、新型保証二百億円の計四百億円となっていましたが、これらメニューごとの実績はどのようになっているのか、まずお伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京が先月発表いたしました第三・四半期決算では、一般融資など既存顧客等への継続的な支援が二百二十二億円となっております。その内訳につきましては、新銀行東京は、他の金融機関と同様に、営業戦略上明らかにしておりません。
 なお、一般融資が十二月に通常月の十倍以上となったのは、新銀行東京の営業努力の結果とはいいがたいとのご指摘がございましたけれども、現下の厳しい経営環境の中で、懸命に努力している中小零細企業への折り返し融資ですとか、赤字、債務超過先への支援を実施することは極めて重要でありまして、そういう中で融資実績が上がってきたのは、新銀行東京の営業努力の成果であると考えております。

○大沢委員 局長、想定していた言葉が何度もこの新銀行の答弁では使われるんですが、その内訳について新銀行東京は経営戦略上明らかにしていない、この言葉は何度も新銀行の質疑をする中で聞いているわけでございますが、都民、そしてまた都の税金が多額につぎ込まれた新銀行東京については、東京都は金融監理室という部門を設けて、そしてこの金融監理室に求められているのは、都民の血税を大量につぎ込み、多大な損失を出した新銀行に対して、例えば金融庁ですとか日銀のような役割を、支配株主である都に期待をしているのではないか、私は多くの都民がそのような期待を寄せているのではないかと思いますし、また傷口をこれ以上広げないことを期待しているのではないか、そのように思います。
 新銀行からもらった資料をただただ報告するだけのことを、私は、この都に、多くの都民、そしてまた議会は望んでいないと思いますので、誠意ある答弁、そしてまたさまざまな内訳がわからないのであれば、先ほど局長が営業努力ではない、断定するのはいかがなものかというような答弁でありましたが、内訳がわからないなら、こちらとしても、営業努力でそのような結果が出たのじゃない、そのように私どもも思わざるを得ません。
 次の質問に移らせていただきます。
 私は、昨年三月十四日の予算特別委員会においても、成長が期待されるニュービジネス支援などは、新銀行よりも営業能力がはるかにすぐれる金融機関が食い込んでくるのではないかと述べ、再建計画の実効性について質問をした覚えがございます。
 これに対して、佐藤産労局長は、新銀行には中小企業再生ファンドを通じたノウハウの蓄積などがあることを理由に挙げて、新銀行東京が持つ実績と都との連携の強みを十分に発揮すれば、収益を上げていくことが可能であるとの答弁があったわけであります。しかし、結果として、第三・四半期決算では、成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援は、再建計画の百億円に対して、実績わずか十六億円でしかないのが実情でございます。
 収益を上げていくということが可能としていた昨年三月の答弁は何だったのか、見解を伺うものと、また、ニュービジネス支援は、ベンチャーキャピタルと連携した成長企業支援型融資とファンド投資とに分けられていると思いますが、その内訳についてもあわせてお伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京は、その事業運営に当たりまして、再建計画に基づきながらも、当然のこととして、現実の経済金融環境に柔軟に対応していく必要があるということは、いうまでもないところでございます。
 経済産業省の外郭団体の調査によれば、株式相場の低迷から新興企業の上場が激減したために、ベンチャーキャピタルの投資回収見込みが立ちにくくなって、平成二十年度の新規投資額、投資社数が、前年比で半減する見込みとなっております。
 このように、ベンチャー企業を取り巻く市場環境はとりわけ厳しいものとなっているのが実態であります。
 新銀行東京の第三・四半期決算において、成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援の実績が十六億円となったのは、そうした状況の中のことでありまして、環境の変化を踏まえないでのご批判は適切ではないのではないかと考えます。
 なお、事業の内訳については、新銀行東京は、他の金融機関と同様に明らかにしておりません。

○大沢委員 今、環境の変化を踏まえないご批判は適切ではない、そういうご批判があったわけでございますが、この再建計画をつくっている当時も、この金融派生商品、金融商品の危うさ、いわゆるデリバティブや、また、今、大変大きな問題を引き起こした、その元凶でありますサブプライムローンなどの危うさがいわれていたわけでございます。
 そもそもこの計画を立てる点で、さまざまな状況変化を織り込んで計画をするものではないかと私は思うわけでございます。環境の変化を踏まえないご批判は適切ではないとの答弁でありますが、私からしてみれば、環境の変化に対応できない再建計画というのは適切ではない、そのように申し上げておきます。
 次の質問に移らせていただきます。
 東京都は、新銀行の融資が伸びなかったのは、景気回復でメガが無担保融資を始めるなど、環境の変化があったからだとして、結果として都民の税金でしりぬぐいをすることになったわけですから、謙虚に、先ほど指摘をしたように、私は耳を傾けるべきだと思っております。
 公共工事代金債権信託について、新銀行は、東京都以外の団体への適用拡大に取り組んでいますが、東京都の監理団体は、大塚俊郎氏が理事長を務める東京都新都市建設公社を初め四団体、そして一月十五日には、私の地元の江東区が都内自治体で初めて対象になったわけでございます。
 話はちょっとそれますが、この大塚俊郎さんは、新都市建設公社、新銀行東京と東京都退職後も東京都にこき使われて、財布は別としましても、体力的に大変ご苦労なさっているんだなと心配をするわけでございますが、また話は戻りますが、このような、何とか属人的に対象をふやしているようですが、その実績は三十七億円と、その目標の五六%、半分程度にとどまっているのが事実でございます。
 昨年三月二十五日の締めくくり総括質疑でも申し上げましたが、公共工事代金債権信託は、新銀行以外でも可能な事業であり、再建計画どおりにいかなくなることを指摘してまいりました。
 そこで、公共工事代金債権信託における東京都や各団体ごとの実績の内訳と今後の取り組みについて、お示しをいただきたいと思います。

○佐藤産業労働局長 公共工事代金債権信託は、公共工事受注者に対して、新たな資金調達の道を開くということで、円滑な資金繰りを実現していくという、中小企業支援策の一環として実施をしている仕組みでありまして、多くの事業者から評価をされております。
 こうしたメリットがあることから、都の各局や監理団体の発注する公共工事において取扱対象の拡大が図られてきましたが、今般、江東区にもご採用をいただいたところであります。
 新銀行東京では、引き続き、区市町村など他の団体に対して、取り扱いを拡大していく考えでおります。
 なお、各団体ごとの実績についてのお尋ねでありますけれども、金融機関が取扱商品について顧客ごとの実績を明らかにすることはあり得ませんで、お示しすることはできません。

○大沢委員 さて、第三・四半期決算の損益状況に目を移してみますと、信用コストが六十八億円と、再建計画四十八億円の一・四倍となっているわけであります。信用コストは貸し倒れに備えるための引き当てや不良債権処理のための費用ですが、第三・四半期決算での不良債権比率は一八・二八%と高水準であり、前年同期比の約三倍、中間決算と比べても一・二ポイント悪化している事実があるわけであります。さらに、不良債権額も三百五十四億円と、今年度に入ってからも一向に減る気配がありません。
 再建計画に比べて信用コストが大幅にふえていることに対して、東京都はどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。

○佐藤産業労働局長 今回の第三・四半期決算では、信用コストが計画の四十八億円に対して六十八億円と、二十億円上回っております。これは金融庁の検査結果を反映するとともに、現下の中小零細企業の経営環境の悪化を踏まえ、多くの金融機関と同様に、引き当ての積み増しを行った結果でございます。
 先ほど来、実績について下回っているというお話もるるされておりましたけれども、銀行経営の中では、最終的に損益の問題が重要になるわけでありまして、そういう積み増しを行った結果を踏まえた上でも、第三・四半期決算の純損失は、計画の百一億円に対して七十三億円と、二十八億円改善をしているところであります。
 なお、新銀行東京が抱える不良債権は、まさに旧経営陣時代の極めて大きい負の遺産でありまして、現経営陣のもとではその改善に努めているところであります。
 融資実行後、短期間ではありますけれども、今年度に実行した中小企業向け融資については、デフォルトの発生は大幅に抑制されていると、かように聞いております。

○大沢委員 昨年の予算議会では、追加出資の四百億円が可決されれば、石原知事は、第二ステージという新たな展開があるような発言を繰り返していたと思います。覚えていらっしゃると思います。
 石原知事は、事業連携がアメリカ発の金融危機の影響でだめになったというような話をしておりますが、そもそもそのような話があったのかさえ私は疑問に思うわけでございます。石原知事がいった事業連携はどのような内容のものだったのか、今後の見通しも含めて都の見解をお示しください。

○佐藤産業労働局長 事業連携というのは相手のある話でありまして、非常に微妙な問題なわけで、それをご理解いただけると思いますけれども、そういう意味では、事業連携について明らかにできる段階になれば、ご報告を申し上げます。
 何よりも今大事なことは、新銀行東京の再建に向けた経営改善の取り組みを着実に進めることであると、かように考えております。

○大沢委員 今、第三・四半期決算と比較しながら、再建計画の進捗状況、実効性についてただしてきましたが、再建計画では示されていたメニューごとの融資実行額など、明らかにされない項目も多々ありました。また、追加出資の四百億円を受ければ、新たな展開があるかのように答弁をしていましたが、その内容も、今の答弁のように明らかにできる段階じゃないということでございます。
 再建計画の進捗状況、実効性についても、十分に検証できず、将来的な展望も見出せない中にあって、新銀行東京からの早期の撤退を私どもは改めて求めるものでございます。
 今、答弁があったような、今大事なことは、新銀行の再建に向けた経営環境の取り組みを着実に進めることだという答弁もございましたが、私は、これ以上傷口を広げていかない、そのことも大事なことだと思っております。
 次の質問に移らせていただきます。金融支援条例について何点か伺わせていただきます。
 予算案に三百億円と債務負担行為四百五十億円が計上されている金融支援条例についてお伺いをいたします。
 今回の制度は、保証枠いっぱい、あるいは条件変更などで制度融資では融資を受けられないような中小企業への支援を想定しているということですが、そもそもこのような状況にある中小企業に対する支援は、先ほど質問した新銀行東京の役割だったのではないかと私は認識しております。
 追加出資の四百億円は何だったのか、大変むなしさを覚えるものでございますが、四百億円を投入された新銀行東京が、機能不全だったからといって、同じような政策目的に新たに三百億円を計上することについては、少々私は疑問を感じるものでございます。
 今回の三百億円は、新銀行東京の意義、政策目的とどこが違うのか、まず認識をお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 ただいまのご質問にお答えする前に、先ほど、新銀行は撤退すべきだというような話がございましたけれども、きょうの別の質問に対するお答えでも申し上げましたけれども、現に一万社の中小企業に対する支援を新銀行は今、行っておりますし、中でも、その約五割が債務超過、赤字の企業、これはなかなかほかの金融機関からの資金調達は難しい企業だということはおわかりいただけると思いますが、そういうところを現に新銀行は担っているわけですね。そういう実態を踏まえてお話をいただければというふうに思います。
 ただいまの、今回、条例提案いたしました支援策と新銀行東京との関係でございますけれども、そもそも今回の支援策も新銀行東京も、都内中小零細企業の資金繰りを支援する点、これにおいては目的は同じであります。
 しかしながら、昨年秋以降の百年に一度といわれる厳しい経済状況の中で、緊急保証制度をもってしても十分な資金調達ができない中小零細企業が現に存在しているわけですね。本支援策は、そうした企業を取り巻く厳しい経営環境を十分に踏まえながら、預託金と損失補助といった財政措置を講じることによりまして、中小零細企業の資金調達をより一層促進しよう、そういうものであります。
 特に、地域の金融機関との連携を強化することによりまして、各金融機関と一定期間取引を継続している顧客を幅広く対象としていく考えであるわけです。
 したがいまして、一金融機関として、みずからの経営判断に基づいてリスクテイクを行う新銀行東京とは、全くそういう意味では次元が異なるものだというふうに考えます。
 現在の危機的な金融情勢のもとでは、本支援策、それから制度融資における緊急保証制度、また新銀行による赤字または債務超過先への継続支援など、そういう意味では、ありとあらゆるさまざまな取り組みを通じて、この現下の中で苦しんでいる中小零細企業への金融支援策の充実を図っていく、これが目的であります。

○大沢委員 一万社の支援という言葉もありましたが、新たに出た条例案でも、一万社の資金繰りやそのようなことは可能なんじゃないんですか。そしてまた、そのような受け皿として大きくこのような制度を広げていくこともできて、そうすれば、新銀行東京のようなむだな銀行というものは、私は要らなくなる、そのように思っております。
 今回の制度を初め、あらかじめ東京都による損失補償が規定をされ、債務負担行為として四百五十億円が計上されているわけであります。つまりは、東京都の損失補てんがあるがゆえに、東京都に条件の悪い融資先だけ回されることにもなりかねないわけであります。
 融資制度の場合、仮に中小企業が債務不履行に陥ると、信用保証協会が請求に応じて金融機関に代位弁済を行い、その後、保証協会債権回収に回収の一部を委託して、信用保証協会と一体となって回収を行っているわけでございます。
 今回の制度において、東京都みずからが、直接金融機関に債務を保証し、東京都みずからが債権を回収することになるとは思えませんが、どこがどのように保証、回収をすることになるのか、都の見解をお示しください。

○佐藤産業労働局長 お話のありました保証、回収につきましては、現在、金融機関等と調整を進めているところであります。本制度の安定的な運営を確保するには、債務不履行の発生を抑制することが当然重要でありまして、そのためには、例えば制度融資と同様に、保証機関を活用することも一つの効果的な措置というふうに考えております。
 また、そうした場合には、一般的には、個別企業の債務不履行に対しまして、保証機関が金融機関に代位弁済を行いますとともに、それに伴う求償権を取得して、回収に当たるということになります。
 引き続き、制度の構築に向けて、金融機関等と調整を進めてまいります。

○大沢委員 金融機関への保証は、民間の保証機関に委託することが想定されますが、その保証機関に新銀行東京がなることが懸念をされるわけでございます。
 例えば、平成十九年にスタートした東京都のNPO法人向け保証つき融資制度では、公募の結果、申し込んだのは新銀行東京一社であり、結果として新銀行東京が保証機関になっているわけでございます。また、今年度開始予定の中小企業設備リース事業では、昨年十一月に保証機関が決まったばかりでありますが、やはり、公募の結果、申し込んだのは新銀行東京一社であり、新銀行東京が保証機関となっているのが事実でございます。
 どのような経過でNPO法人向け保証つき融資制度や中小企業設備リース事業の保証機関が決まったのか、お示しをいただきたい。

○佐藤産業労働局長 お尋ねのNPO法人向け保証つき融資制度の保証機関の決定の経過でありますけれども、平成十九年一月十五日に保証機関公募のプレス発表を行いまして、翌日から募集を開始して、同月三十一日までの応募期間を設けまして、その後、外部委員を含みますNPO法人向け保証つき融資スキームの企画提案審査委員会の公正な審査を経て、三月三十日、新銀行東京を保証機関として選定したものであります。
 もう一点の、中小企業設備リース事業の保証機関の決定の経過については、平成二十年十月九日に保証機関公募のプレス発表を行いまして、翌日から募集を開始して、翌十一月七日まで応募期間を設けたところであります。その後、外部委員によります中小企業設備リース事業企画提案審査委員会の公正な審査を経て、十一月二十七日、新銀行東京を保証機関として選定したものであります。
 いずれにつきましても、適正な手続を経て決定したところでございます。

○大沢委員 しかし、結果として応募してきたのは新銀行一社なわけでございますから、出来レースだと疑われても仕方がないんじゃないか、そのように思いますし、乱暴ないい方をすれば、新銀行のための随意契約じゃないか、そのような悪い言葉を使う方もいるわけでございます。
 既に、新銀行東京は、似たような仕組みとして、信金協調保証というものを行っていました。これは顧客の顔が見える信金の目きき力を活用して、信金が融資するものに対して、新銀行が八割、信金が二割のリスクをとるというものでございました。
 この制度に対して、私たちは、信金からすれば、優良なお客さんを新銀行に紹介するはずもなく、本当にリスクの高いところだけを紹介するのではないかということを指摘させていただいたわけでございます。結局、この信金協調保証は、信金ごとのデフォルト率がばらばらだったことの反省から、制度の枠組みを見直しているのが事実でございます。
 また、昨年三月十七日の経済・港湾委員会における我が党の山口拓議員への答弁や委員会要求資料から推察すると、新銀行の信金協調保証は、平成十七年度から平成十九年度までの三カ年で七千二百二十一件、九百七十三億六千八百万円の実績金額に対して、デフォルトしたものは、平成二十年一月末現在で五百六十件、六十五億円で、七%程度だと想定をされております。
 そこで、今回の制度は、新銀行東京での信金協調保証とどう違うのか、デフォルト率をどの程度見込んでいるのか、見解を伺います。

○佐藤産業労働局長 お話の信金協調保証、これは新銀行東京の一金融商品でありまして、信用金庫が融資を行う際に、新銀行がみずからの信用力に基づいて保証を行う、そういうものです。
 一方で、今回の支援策は、地域の金融機関が中小零細企業に融資を行う際に、東京都が貸付原資を預託して、債務不履行が発生した場合には損失を補助する、財政措置を伴った公的な枠組みによる制度ということであります。
 特に、貸付原資の預託、これによりまして、金利を低減して、融資を受ける企業の負担の軽減を図るとともに、損失補助の実施によりまして、中小零細企業への本制度による融資が促進される、そういうことを期待した、こういう制度なわけです。したがいまして、おのずとその位置づけとか効果は異なるものであります。

○大沢委員 また、信金協調保証の反省で述べるのであれば、例えば百万円を借りようとして銀行の窓口に訪れたお客さんに、銀行は、今回の制度を使って五百万円を融資したことにして、本人には銀行負担相当分の二百万円を定期で預金をさせたりして、残り三百万円を融資するような事態も想定をされるわけでございます。
 銀行は、自分のとったリスク以上のお金を預金として確保できるわけですから、東京都は損失補てんをするだけしか手だてがないのが現状であります。
 私たちの代表質問に対して、東京都は、損失額を抑制していく必要があり、適正な審査を確保できる体制を構築していく旨答弁がありましたが、東京都は、損失額の抑制に向けて、具体的にどのような体制を構築していこうとしているのか、お示しください。

○佐藤産業労働局長 現在、金融機関等と調整を進めているところでありますが、繰り返しになりますけれども、この制度の安定的な運営を確保するには、当然のことながら債務不履行の発生を抑制するということが最も重要であります。そのための策として、例えば制度融資と同様に保証機関を活用することも一つの効果的な措置と考えるということは、先ほどお答えしたとおりであります。
 ただ、今、理事申された、事例を挙げて主張された件ですけれども、これは、金融庁の検査項目にも位置づけられている行為で、金融機関において行ってはならない行為なわけですね。この支援策においてそういうことが想定されるという主張、これは都内の金融機関の融資行為に疑念を抱かせかねない極めて不適切な、適正を欠くといいますか、そういうものだというふうに私は思います。

○大沢委員 そのようなこともあるかもしれませんけれども、実際には新銀行--そのようなことも私は存じ上げておりますけれども、実際には新銀行でも詐欺事件に当たっているさまざまな事例があるわけでございますから、あらゆる想定を私はしていくべきだと思います。
 また、新銀行の信金協調保証では、金融機関ごとにデフォルト率がばらばらであったことが反省材料として挙げられています。また、今後、この損失補てんを可能な限り抑制し、預託金を有効に活用していこうとするのであれば、私は、どこの金融機関にどれほどの預託金を積んで、どれほどの融資実績が上がり、どれほどのデフォルトが発生したかなどの実績について、それぞれの提携金融機関ごとに、かつ四半期ごとの数字を情報公開することを前提に制度構築に当たるべきと考えます。
 金融機関ごとの情報公開についての見解を伺います。

○佐藤産業労働局長 本支援策におきます各参加金融機関への預託金、融資実績、それからデフォルトなどの情報は、東京都が制度の運営者として厳正に管理していくべきものだというふうに考えております。
 これらの情報は、現行の制度融資と同様でありますけれども、各金融機関の経営情報にまさに当たるため、競争上や事業運営上の影響などを考慮して、開示する考えはございません。

○大沢委員 制度融資でも、都市銀行、そしてまた地銀、第二地銀、信金、信組その他など、金融機関別の保証承諾状況を公開しているわけであります。私は、新たな制度でも、積極的に情報公開に取り組んでいくべきだと思います。
 今回の制度は、東京都と連携をすることになる金融機関に新銀行東京を含んでいることから、新銀行支援条例ともいわれており、私たちも、新銀行を加えることについては多くの疑念を持っております。
 そこでまず、連携先金融機関について伺いますが、今回の制度では、制度融資では取扱指定金融機関となっている商工中金などの政府系金融機関が連携対象とされていない。この一方で、三菱東京UFJや三井住友などのメガバンクが連携対象となっているように思われますが、なぜ政府系金融機関は対象になっていないのか、見解をお示しください。

○佐藤産業労働局長 本条例においての地域の金融機関とは、主として都内において営業活動を行う金融機関というふうに規定をしておりまして、全国的に事業を展開している政府系金融機関、それと都市銀行については対象としないものと考えております。

○大沢委員 それでは、メガバンク、都市銀行は対象外ということがわかりました。政府系金融機関や都市銀行など特定の銀行を排除するのであれば、新銀行も対象から外すべきではないのでしょうか。私はそのように思うわけであります。
 今回の制度設計案では、東京都が債務不履行額の八〇から九〇%程度の損失補助を実施するとしております。金融機関側の負担を仮に二〇%としても、この金融機関が、東京都が支配株主となっている金融機関であった場合、その損失は最終的にすべてが東京都の税金で負担することになるのではないでしょうか。
 制度融資では、少なくとも信用保証協会が審査をしておりますが、今回の制度ではそれさえもないのが現状でございます。となると、金融機関の目きき力が問われることになりますが、新銀行の目きき力は、他行に比べても相当高くないと都民の理解が得られないと考えますが、東京都は新銀行の目きき力をどのように評価しているのか、お伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 新銀行についてですが、旧経営陣の時代には想定を上回る大幅なデフォルトが発生をしたわけでありますけれども、現在、新銀行東京は、融資における営業部門の決裁権限、これを適切な額に縮小をしますとともに、新規の融資に当たっては、経営者との面談を含む取引先の実態確認を義務づけるなどいたしまして、適切な審査体制の確保に努め、融資を実行しているところでございます。
 なお、融資実行後、短期間ではありますけれども、今年度実行した中小企業向け融資については、デフォルトの発生は大幅に抑制されているというふうに聞いております。

○大沢委員 しかし、新銀行東京の目ききに対する社会的な信用があるとは、私は到底思えないわけでございますし、また、この目きき力というのは、やはりその銀行の積み重ねたいわゆる経営資産であろうと思っております。開業後わずか数年で、そのような力が新銀行には備わっているとは、私は思えないわけであります。
 新銀行東京は金融庁から業務改善命令が出されるなど、そもそも与信体制に問題があります。加えて、スコアリングモデルに依存していたからこそ、目きき力があるとも思えないわけであります。さらに、本格開業から三年程度しか経過していないこともあり、一定期間取引を継続している中小企業があるとも到底思えません。
 したがって、私は、新銀行東京は今回の制度に加わる資格がないと考えますが、最大株主として、石原知事は、新銀行東京がこの制度に加わることが適当か否か、どのようにお考えか見解を伺います。

○石原知事 この支援策は、あくまで都内の小零細企業を取り巻く現下の厳しい状況を直視し、その資金繰りを緊急的に支援するために、都独自の新たな融資制度を創設するものでありまして、日ごろの取引を通じ、企業の顔が見えている地域の金融機関と連携して取り組む考えでありまして、幅広く金融機関の協力を得たいと考えています。特定の金融機関を排除するものではございません。
 本支援策の対象はあくまでも小零細企業でありまして、地域の金融機関の幅広い顧客であります。新銀行東京の顧客一万社を初め、信用金庫、信用組合の顧客のほとんどは小零細企業でありまして、都としてはこうした企業を支援していきたいと思っております。

○大沢委員 特定の金融機関を排除するものではないと答弁しつつも、企業の顔が見えている地域の金融機関と連携をするという発言でございました。新銀行東京を連携対象にすることの是非については、引き続き、委員会においてもただしていきたいと思います。
 しかしながら、やはり損失が出たときに、八〇%、二〇%、どちらの損失補助をするにも都の税金が使われるというような、新銀行に対してその指定をするべきではないと改めて申し上げる次第であります。
 そしてまた一方で、私も毎日、地域を回っておりまして、中小企業の置かれている現状というのは目の当たりにしております。大変厳しい状況になっているのも肌で感じております。このような支援策というのも、一方では、私は、必要なものである、どうかなと思うわけでございますが、もう一方で、車の両輪として、やはり仕事をふやしていくという努力も必要だと思っております。
 車の両輪でこの厳しい現下の不況を乗り切っていく中小企業に対する支援策を行っていかなければならないと思いますが、まだまだこの条例においては不透明なところがあるわけでございますから、細部にわたり、これからこの委員会を通じて明らかにし、そしてまた賛否については十分に考慮していきたい、そのように思います。
 次に、先ほどいった仕事をふやす、景気対策についてお伺いをいたします。
 世界同時不況の波が、国内中小零細企業などの実体経済や都民生活に大きな影響を及ぼし、拡大している事実があります。現在の景気後退局面における都の重要な役割は、将来の不安を解消することにもあります。私は、公共投資についても、都民の不安感の解消に少しでも役立つ事業、安心・安全を呼び起こす事業が必要であると考えております。
 東京都においては、緊急対策Ⅱなどにより公共工事の年度内発注を増大させましたが、来年度以降もますます厳しい景気状況が予想される中、雇用の維持や創出につながる質の高い公共投資を、二十一年度における執行を前倒しすることでその経済波及効果を広めていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○村山財務局長 都は、昨年の二度の補正予算、それから二十一年度予算、これを一体のものとして編成作業に取り組んでまいりました。公共工事につきましても、東京の都市インフラの整備において継続的に中小企業の参画が得られる体制を構築しております。
 十二月補正予算では、都単の中小企業向け公共工事を追加するとともに、いわゆるゼロ都債を活用いたしまして、年度末から年度初めにかけて切れ目のない発注量の増加を図ってまいりました。
 また、二十一年度予算では、都市インフラ整備などをさらに推進することといたしまして、その中には、小中高等学校や福祉施設の耐震化など中小企業の参画が得られやすい施策を多数盛り込んでおります。
 したがいまして、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、こうして編成した予算を円滑かつ着実に執行していくことこそが、東京の経済的活力の源泉である中小企業を支える上で重要であると考えております。
 こうした観点に立って、今後とも各局と連携しながら中小企業の懸命な取り組みを支えてまいります。

○大沢委員 執行の話が今ありましたが、計画の前倒しの検討も必要であると私は思います。
 具体的には、例えば小中学校や救急医療機関、避難場所に指定されている都営住宅などの耐震化を平成二十三年度までに終了する、あるいは平成二十四年度にピークを迎える主要施設十カ年維持更新計画の第二期計画の前倒しや、そして都営住宅へのエレベーターの設置や、地下鉄のバリアフリー化などの前倒しが考えられます。
 そこで、以下は、個別具体的事業について伺いたいと思います。
 二十一年度予算案では、耐震改修促進事業に百六十一億円が計上されており、二十年度予算の三十九億円から百二十二億円の増、約四倍と大幅に引き上げられております。私たちがこれまで何度も求めてきた内容がある程度反映されており、一定の評価はできるものであります。
 しかし問題は、周知のとおり、耐震化のための助成制度を使ってもらえるかどうかであります。耐震改修促進事業は、都市整備局、生活文化スポーツ局、福祉保健局、教育庁にまたがる事業であります。予算の執行率を上げるため、具体的にどのように取り組むのか、各所管局ごとに確認したいと思います。
 まず、木造住宅、マンション、緊急輸送道路沿道建築物について都市整備局にお伺いをいたします。

○只腰都市整備局長 都はこれまで、耐震化普及啓発用のDVDの活用や、都内全域におけるキャンペーンの展開、本日も新宿西口で開催中でございますが、そうした展開などによりまして、耐震化に向けた意識啓発と機運の醸成に努めてまいりました。
 来年度は、改修事例などの情報を紹介するポータルサイトの設置や耐震化にかかわる総合相談窓口を設置いたしまして、都民の利便性の一層の向上を図ってまいります。
 こうした民間建築物全般を対象とした新たな取り組みに加えまして、まず、ご質問の木造住宅につきましては、今年度実施されました戸別訪問、いわゆるローラー作戦が効果的でありましたことから、来年度以降も区市などの取り組みを支援してまいります。
 次に、マンションにつきましては、管理組合における合意形成等を支援する耐震アドバイザー派遣事業を新設いたします。
 また、緊急輸送道路沿道建築物につきましては、診断にかかわる補助率を引き上げるとともに、改修に向けましては、自己負担分にかかわる低利融資制度を創設いたします。都みずからも関連関係団体と連携し、優先度の高い路線、区間を選定した上で重点的かつ積極的に施策を展開してまいります。
 これらの取り組みを通じまして、地震が怖くない東京の実現を目指し、耐震化を強力に推進してまいります。

○大沢委員 それでは次に、私立学校について、助成制度を幅広く活用していただくため、具体的にどのように取り組むのか、生活文化スポーツ局にお伺いをいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 私立学校の耐震化をさらに促進するため、今年度の補正予算におきまして、耐震診断の補助率を従来の三分の二から五分の四へと引き上げますとともに、財団法人東京都私学財団と連携いたしまして、補助制度の積極的な活用を働きかけてまいりました。
 その結果、工事を含む私立学校耐震化関係の今年度予算の執行率を、前年度より二〇%向上した約八四%と見込んでいるところでございます。
 来年度は、倒壊の危険性が高いと判定された校舎等の耐震補強工事などに対する補助率を耐震診断と同様に五分の四に引き上げますとともに、補助の実効性を高めるため、引き続き私学財団と連携いたしまして、説明会や専門家による建築相談などを行いまして、制度の積極的な活用を働きかけていく予定でございます。
 今後とも、このような取り組みを通じまして、私立学校における耐震化の一層の推進を図ってまいります。

○大沢委員 それでは、社会福祉施設と民間病院についてどのように取り組むのか、福祉保健局にお伺いをいたします。

○安藤福祉保健局長 都は、耐震診断及び耐震補強への補助につきまして、民間救急病院に対する既存制度の補助率を引き上げるとともに、社会福祉施設等についても補助を開始することといたしました。
 この取り組みにつきましては、救急病院の代表者連絡会や社会福祉施設等に対する説明会を実施するほか、区市町村や東京都社会福祉協議会等を通じ、広く周知を図っております。
 また、昨年六月に実施をしました耐震化に関する調査結果に基づきまして、耐震診断や耐震補強が必要な施設に対しましては、個別の働きかけを行っております。
 こうした取り組みを通じて、引き続き耐震化の促進を図ってまいります。

○大沢委員 最後に、公立学校については、予算の執行率を上げるためどのように取り組むのか、教育長に伺います。

○大原教育長 公立学校の耐震化に係る予算につきましては、執行率が低いから事業がはかどっていないということではございません。平成二十年度九月補正予算成立後、都が強く要望しておりました国庫補助単価や起債充当率の引き上げが行われましたことから、いわば国の肩がわりによりまして都の予算執行率は低くなっておりますものの、本来の目的である耐震化については着実に進んでおります。
 学校設置者である区市町村は、国庫補助金と都独自の補助金を有効に活用いたしまして、平成二十年四月一日現在、七六・七%でございました耐震化率は、今年度末には八二・二%程度まで上昇する見込みでございます。
 平成二十一年度につきましても、都教育委員会は、国に対して国庫補助の充実を要望いたしますとともに、区市町村との連携をさらに深めまして、公立学校施設の耐震化率の向上を目指しまして、予算の的確な執行に努めてまいります。

○大沢委員 次に、発注時期の平準化についてお伺いをいたします。
 公共投資の前倒しに当たっては、中小の事業者が競争に参加する機会を公平に与えるという観点から、工事の発注時期の平準化が必要だと私は考えます。実際に、中小の事業者が入札に参加する機会の多い小口の公共工事は、主に道路の維持管理や補修、橋梁の塗装、上下水道などの工事ではないかと思います。
 それぞれの工事の種類によって特徴もあるのだろうと思いますので、工事の発注時期の平準化について、具体的な取り組みを各所管局がどのように行っていくのか、伺いたいと思います。
 まず、道路工事及び橋梁工事についてはどのようにお考えでしょうか、建設局のお考えをお示しください。

○道家建設局長 道路の路面補修工事については、年度をまたいで工事が実施できるよう、平成二十年度当初予算において二十七億円の債務負担行為を設定しており、二十年度末に向けて順次発注を行っております。加えて、十二月補正予算においても、道路、橋梁、河川、公園の維持工事について七十八億円の債務負担行為を設定いたしました。
 これら債務負担行為を活用し、工事の発注を前倒しして行い、年度末から年度初めにかけて切れ目のない工事量の確保に取り組み、地域と都民のニーズに的確にこたえてまいります。

○大沢委員 それでは、一緒くたにして大変恐縮ではございますが、水道工事、下水道工事については、工事の発注時期の平準化について具体的にどのように取り組むのか、水道局、下水道局の見解を伺います。

○東岡水道局長 水道局ではこれまで、維持補修工事や小規模改良工事におきましても、債務負担行為の活用や工事設計の迅速化を図るなど、工事発注の早期化に努めてまいりました。平成二十年度予算について、昨年十二月、浄水場の維持補修工事や配水管の敷設がえ工事等の債務負担行為限度額などを約三十億円増額補正いたしました。
 こうした債務負担行為を活用し、年度末から年度当初の工事量確保に努めております。

○今里下水道局長 下水道局では、下水道サービスを安定的に提供するために、下水道施設の建設改良工事を計画的に実施しておりますが、工事の発注に際しましては、契約手続が迅速に行えるよう、設計、起工をできる限り前倒しするなどして年度当初からの工事量の確保に努めております。
 さらに、昨年十二月の補正予算では、比較的小規模な維持補修工事や建設改良工事におきまして、事業の前倒しや債務負担行為を活用することにより、金額で三十億円、件数で二百件近い工事を新たに発注いたしまして、年度末から年度初めにかけての中小企業向けの工事量の増大を図ったところでございます。

○大沢委員 ところで、先ほど公共投資の前倒しの具体例の中で都営住宅へのエレベーターの設置を挙げましたが、二十一年度予算案では、既存の都営住宅へのエレベーター設置のための予算が六十五基分ついております。ここ数年の予算の推移を見ますと、十八年度が百九基、十九年度が百十基、二十年度が七十二基で、やや縮小傾向にあるわけでありますが、私は、既存の都営住宅にエレベーターを早くつけてほしいというニーズは、もっともっと高いのではないかと思っております。
 雇用創出のためにも、既存の都営住宅へのエレベーター設置のための予算枠を拡大するとともに、あわせて工事の発注時期を平準化することなどが必要と考えますが、都市整備局の見解を伺います。

○只腰都市整備局長 都営住宅におきましては、バリアフリー化を図るため、建てかえや既存住棟への設置工事などによりまして、現在、約十六万戸、全体の約六割にエレベーターが設置されている状況になります。
 今後とも、設置スペースの有無や費用対効果の検証、居住者の同意状況などを総合的に勘案しながら、着実に実施してまいります。
 また、エレベーター設置工事の発注に当たりましては、既存の住宅につけることになりますので、自治会との調整あるいは居住者の同意、必要な法手続などさまざまな課題がございまして、引き続き適切に対応してまいります。

○大沢委員 次に、雇用、就労の分野についてお伺いをいたします。
 住居を失った不安定就労、失業者への対策についてお伺いをいたします。
 私、地元で朝、街頭活動をしていますと、駅周辺に非正規労働者と思われる方が大勢集まって、バスやバンに乗って現場へ行く姿を見ておりました。それが、昨年十一月以降ぱったりと姿を見なくなりました。製造業、建設業の厳しい現状を実感する一こまでございます。
 先日伺った支援施設では、住所なしでは仕事も探せず、生活保護も受けられない、まず住むところが必要との話を伺ってまいりました。職を失い、住居を失った方々は、就労への意欲は高く、今までの家賃は負担できないとしても、かわりとなる住居を確保できれば、すぐにホームレスになるわけではありません。
 しかし実際には、定職がなければ賃貸住宅は借りられない。住居がなければ再就労が困難になって、さらに低所得になる。敷金、礼金が必要となる住居の確保の可能性がさらに低くなるわけでございます。というのが、この賃貸住宅市場の現状から導かれる経済モデルであるという説があるわけでありますが、そして、その結果として、自立生活、就労への意欲を失ってしまう。この貧困のわなによく似た状況に陥る前に、都としてできる支援をしっかりと行っていくことが必要と考えます。
 そこで、仕事を失い、住居を失った人に対して、まず住居と仕事が確保できるようにし、自立、再就労支援を行っていくことを求め、何点か伺います。
 先日の代表質問で、建てかえ前の都営住宅などを提供することなどについてお伺いをいたしましたが、建てかえ前の都営住宅は大規模な修繕なしに活用できるものはほとんどない、また、都営住宅などの公的住宅については、都の就労支援事業の対象者に対し、本来の入居者に影響を及ぼさないことを条件に適切に対応するとの答弁でありましたが、建てかえ前の都営住宅などを住めるようにすることは、時間とお金がかかるということは理解いたします。
 では、それ以外で提供できる都営住宅などはどれくらいと見込まれるのか、いつごろ提供できるのか、現在の状況をお願いいたします。

○只腰都市整備局長 離職者への都営住宅の活用につきましては、入居を希望する住宅困窮者が大変多いということなどから、介護職などへの就労支援事業の対象者に限りまして、一時住宅として、本来入居対象者の入居や建てかえ事業に支障を及ぼさないことなどを条件に、適切に対応していく考えでございます。
 現在、就労支援事業の進捗による民間住宅の活用状況などを踏まえ、都営住宅を活用する戸数や具体的なスケジュールについて検討を進めているところでありまして、四月以降、早期の実施に向け努めてまいります。

○大沢委員 今、局長の答弁で四月以降早期の実施に努めるということでありますが、この経済の激変で雇いどめなどが顕在化していますから、既に三カ月以上が経過をしているのが現状ではないか、そのように思います。
 そしてまた、時はもう三月の半ばでございます。私はちょっと時間がかかり過ぎているのではないかなと思っております。早急な取り組みを求めておきます。
 次に、生活安定化総合対策事業など、低所得者対策についてお伺いをいたします。
 先日の代表質問で、民主党が求めた生活安定化総合対策事業などの対象に、都内で働いていた人も含めることについては、受益と負担の関係から都内の住所要件は当然との答弁がありました。しかし、路上生活者やネットカフェ難民には、そうした住所要件は求めずに、就労支援、技能講習、生活資金の貸し付けなどを行っていると思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 都が行います行政サービスの提供に当たりましては、受益と負担の観点から、都民を対象とすることが大原則であると考えております。生活安定化総合対策事業は、都民の税金を投入して実施するものであります。住所要件を除いて、ほかの県に生活の本拠を置く方の利用を可能とするような制度設計は、都民の理解を得られないというふうに考えております。
 なお、お尋ねの住居を失い、インターネットカフェ等で寝泊まりする方を対象とした事業につきましては、住所要件にかえまして、六カ月以上の都内での生活実態があることを要件としております。
 また、路上生活者についてでありますが、生活保護法におきましては、居住地がない方については、その方の現在地を所管する福祉事務所が保護を決定し実施するとされておりますことなどから、お尋ねの路上生活者対策では住所を要件としておりません。

○大沢委員 低所得者、失業、即生活保護ではなく、就労支援、自立支援を行う施策は私たちが求めたものであり、この都の施策自体は評価をしております。だからこそ、昨年の第四回定例会では、所得要件の引き上げについて検討を求めてまいりました。
 そしてさらに、より早い段階で危機に介入し、自立へのステップを支え、同時に職業訓練などを実施して、都内で人手が不足している分野に対し人材が供給されるよう、住所要件にかえても、もともとこの都内事業所で一定期間働いていて解雇された人、住居を失った人を対象として、早期に支援を開始すべきではないかと申し上げているのであります。
 寝起きの場所がネットカフェや公園になれば、住所要件を設けず、都独自にでも支援するということであれば、結局本人の自立を困難にし、都民の負担する経費も膨らませることにつながるのではないでしょうか。
 改めて対象の拡大を求めますが、福祉保健局のお考えをお聞かせください。

○安藤福祉保健局長 生活安定化総合対策事業は、都の独自事業として都税を財源に生活相談や職業訓練、貸し付けなどの支援を行うものでありまして、当然のことながら、都内の住所要件が求められるべきものと考えております。
 また、解雇、雇いどめ等により住居を喪失した離職者については、地元の自治体が実施をしております生活、雇用に関する緊急支援、さらには国が実施をしております全国のハローワークにおける就職相談や住宅入居に必要な費用の貸し付け等を利用することが可能でございます。
 したがいまして、ご指摘のような事業の対象拡大は考えておりません。

○大沢委員 ここまでの答弁では、公園に定住していたホームレスなどには住所要件がなく、他方、ついこの間まで働いていて、住居を失ったばかりの方々への離職者支援では、都営住宅の提供もいまだに検討中、そして住所要件を求めるということであります。
 しかし、例えば、都が独自に実施してきたホームレスへのアパート借り上げとの比較で考えてみても、ちょっと受益と負担の関係だけではこの説明に説得力がないように私は感じます。
 都が独自に実施した地域生活移行支援事業では、四年間で千九百四十五人に対し、都が借り上げアパートを提供いたしました。都独自で実施した四年間の総経費と、十九年度の経費をお答えいただきたいと思います。

○安藤福祉保健局長 地域生活移行支援事業の実施にかかわります平成十六年度から平成十九年度までの四年間の総経費は約三十五億円であります。そして、平成十九年度の経費は約十億円でございます。

○大沢委員 この都独自の事業によって就労された方も多くいると思います。こうした事業の対象になっているホームレスの方の多くは、直前まで住んでいた地域が東京都外の方も多いと聞きますが、どれくらいか、さらに、東京都外で多いのはどの地域か、お示しをいただきたい。

○安藤福祉保健局長 平成十九年一月に国が実施をしましたホームレスの実態に関する全国調査によりますと、都内のホームレスのうち、直前まで住んでいた地域が都外の割合は約四割であります。また、都外で多い地域は、千葉県、神奈川県、埼玉県などの近県や大阪府などとなっております。
 なお、ホームレスに対する支援を行っておりますのは、先ほど生活保護の関連で居住地がない方については、その方の現在地を所管する福祉事務所が保護を決定するという趣旨を申し上げましたけれども、そういう趣旨から、ホームレス対策については、路上生活者対策として住所を要件としていないことを重ねて申し上げさせていただきます。

○大沢委員 もちろん、この一連の低所得者の自立支援対策は、本来であれば、国が生活保護以前のセーフティーネットとして施策化すべきというのが正論であるわけであります。
 しかし、私の手元の資料で、都外で多いのは千葉県二九・四%、神奈川県一八・六%、埼玉県一七・五%と、近隣県が約七割、大阪府は五・八%であります。
 都は、千九百四十五人のうち、四割が都外の人、その七割が近隣の県に住んでいたというホームレス対策には、都単独で三十億円以上を使っております。さきの受益と負担という説明では、ちょっと合点がいかない感じが私はいたします。
 都が独自の支援を行ったのには、当時長引く不況のため増加していたホームレス数、ホームレス生活が長引くと自立が困難になるなど、国が支援するのを待てないさまざまな理由として、都の政策目的があったと思います。
 それと比較して現場仕事が減っている今、都内で人手が不足をしている分野に人材が供給されるよう取り組んでいくことを、そう強く否定する必要が果たしてどれだけあるのか、私は疑問に思います。
 その方たちが、冒頭申し上げたように、低所得から住居を失っていくという不可逆的な過程をたどり始める前に、もともと都内事業所に一定期間就労していた方をも対象として取り組むべきと私は考えます。
 都独自のホームレス対策を国に先駆けて実施してきた石原知事の見解を伺います。

○石原知事 今直面しております、かくも広範囲に及ぶ雇用問題は、国やそれぞれの地方自治体、そして各企業がそれぞれの役割と責任において問題解決に向けた対策を講じることが急務であると思います。
 国は、住居の確保と就労支援を一体とした取り組みをさらに進めるとともに、経済対策や雇用保険制度の見直しなどを早急に実施すべきだと思います。また、企業も、解雇を行う前に、企業としてもあらゆる手だてを講じるべきであると思います。
 一自治体であります東京都が、東京で働いていたことのみをもって離職者のすべてを救済することは、東京としても決してオールマイティーではございません。地方自治における原則にかんがみたときに、都民の理解が果たして得られるとは思えません。

○大沢委員 次に、豊洲地区における土壌汚染についてお伺いをいたします。
 豊洲地区での絞り込み調査をした結果、四百四十一地点のうち、二地点において不透水層が確認できなかったことは問題であります。東京都は、これまで不透水層は連続しているから、不透水層の下に汚染が拡大しているとは考えられない旨答弁をしてきましたが、不透水層に穴があいているというのであれば、その穴を通じて不透水層の下にまで汚染が拡大していることが懸念をされます。
 今回の穴は、過去に存在した構築物によって地層が削られたか、あるいは周囲の地形の関係で、たまたま層が形成されなかったかという声も聞きますが、なぜ二地点から不透水層が検出されなかったか、その理由についてお伺いをいたします。

○比留間中央卸売市場長 今回、不透水層が、限られた二カ所ではありますけれども、確認されなかったことについては、例えば、地層が形成される過程で、海流により運ばれた砂が部分的に堆積した可能性、また何らかの理由で人工的に掘削した可能性も考えられるが、いずれにしろ、周辺の調査をしてみなければ、実態を把握できないというのが技術会議から見解として示されてございます。

○大沢委員 今回の十メートルメッシュでのボーリング調査でしたが、今答弁にあったような理由で、二地点から不透水層が検出されなかったということは、他の場所でも穴があいている可能性はあるのではないでしょうか。
 その他の場所で穴があいている可能性は全くないといい切れるのか、見解を伺います。

○比留間中央卸売市場長 豊洲新市場予定地の不透水層は、数千年の長い年月をかけて、河川で運ばれた粘性土が自然に堆積して形成されたものでございます。
 また、これまで実施した敷地全域にわたる七十地点の地質調査、四百四十一地点の絞り込み調査の結果などでは、この二地点を除くすべての地点で不透水層が確認をされております。これらのことから、敷地全域として見た場合、不透水層は連続していると考えております。
 なお、現在実施している環境確保条例第百十七条に基づく調査でも、不透水層を確認することとしております。

○大沢委員 可能性のあるなしを聞いているわけでございます。この不透水層が、連続していたとしても、底にぽつぽつ穴があいていれば、その穴を通じて汚染は拡大するのではないでしょうか。
 今質問した、なぜ二地点から不透水層が検出されなかったのか、あるいはその他の場所で穴があいている可能性があるのかないのか、それについては専門家会議あるいは技術会議で議論されたのか、その内容を議事録で確認できるのか、伺います。

○比留間中央卸売市場長 不透水層が確認されていない地点は、絞り込み調査を実施した箇所のうち二地点に限られておりまして、また、この二地点に隣接する調査地点では、すべて不透水層が確認されていることから、技術会議では特異な地点であるとしております。
 このことにつきましては、報告書とあわせて公表したベンゾ(a)ピレン及び不透水層の対策についてという技術会議の見解を述べた文書に記載をされております。

○大沢委員 今の答弁も、技術会議の見解を述べた文書というものであり、この二地点は特異な地点としているだけで、この不透水層が検出されなかった原因や他の場所での穴の可能性については、全く議論がなされていないのが実情ではないかと私は思います。
 既に、汚染地下水は、今回見つかった穴あるいはいまだ見つからない穴を通じて不透水層下に拡散している可能性はないのか、私は心配をするものでございます。
 市場長のこの見解を伺います。

○比留間中央卸売市場長 穴という表現を先ほど来使われておりますけれども、不透水層が確認されなかった地点につきましては、周辺の調査はこれから実施をするため、現時点ではその状況は明らかではございません。不透水層が欠落しているのか、あるいは単に粘性土層が薄いだけなのか、また仮に不透水層が欠落していたとして、その範囲はどの程度なのか、定かではございません。
 技術会議及び専門家会議は、周辺の調査を行い、対策時に底面管理を実施すれば状況が明らかになるとし、汚染があれば、不透水層下であっても、深さにかかわりなく、土壌、地下水中の汚染物質をすべて確認、除去した後、人工的に不透水層を形成することで、対策は十分であるとしております。
 そもそも、不透水層が欠落しているかどうか定かでない中にあって、不透水層下への汚染の拡大の可能性を判断することは困難であり、いずれにしろ今後周辺調査や底面管理を行う中で、状況は明らかになってくるというふうに考えております。

○大沢委員 いろいろと定かでないという状況のようですが、であるならば、私は不透水層の下についても、汚染状況を調査すべきだと考えております。
 代表質問の繰り返しになりますが、私はボーリング調査を行った後、その穴をセメントミルクで固めれば、汚染は拡大しないと考えております。
 なぜ、不透水層の下について汚染状況を調査しないのか伺います。

○比留間中央卸売市場長 不透水層下の調査は、底面管理とは異なり、汚染土壌、汚染地下水を除去する前にボーリングを行い、不透水層を貫通することから、不透水層より上部にある汚染を不透水層下に拡散させる可能性が否定できないため、実施すべきではないと専門家会議は指摘しており、技術会議も同様の見解でございます。

○大沢委員 今、ボーリング調査で不透水層を貫通すると汚染を拡散させる可能性が否定できないとの答弁でありますが、既に東京都は不透水層の下までボーリング調査を実施しているわけであります。
 東京都の行ったボーリング調査によって、既に汚染は拡大しているのではないでしょうか、見解を伺います。

○比留間中央卸売市場長 平成十八年度に豊洲新市場予定地の地層や土質を把握するために行った土壌ボーリング調査は、専門家会議発足前に、八カ所という極めて限られた場所で実施したものでございまして、その穴はセメント固化材で補修していることから、汚染の可能性は低いというふうに考えております。
 不透水層下の調査は、さきにご説明申し上げましたように、不透水層より上部にある汚染を不透水層下に拡散させる可能性が否定できないため、今後実施すべきではないと専門家会議は指摘しており、技術会議も同様の見解でございます。
 このため、専門家会議開催後は、不透水層下の調査は行ってございません。

○大沢委員 それでは、技術会議の報告書についてお伺いをいたします。
 汚染の可能性は低いとの答弁でありましたが、全くないといい切れないところに不安もあるわけであります。ぜひとも、この不透水層の下まで調査をして、汚染が拡大していないかどうかを確認してもらいたいと私は思うわけでございます。
 仮に、不透水層の下に汚染が拡大していなかったと仮定して、豊洲地区は私の選挙区でありますので、市場が来る、来ないにかかわらず、万全の土壌汚染対策がなされるべきだと願っております。
 都議会民主党も、平成十九年十二月十一日の代表質問において、土壌汚染対策法附則三条の見直しを民主党本部に働きかけたことなどが、この豊洲予定地は、少なくとも汚染土壌の全面的な除去や地下水の管理徹底など、土壌汚染対策法の指定区域に指定されることのないレベルにまで対策を講じなければ都民の理解は到底得られないと主張をしてまいりました。
 そこで、豊洲地区が仮にこの土壌汚染対策法の指定区域に指定されていたとして、今回の技術会議の対策を講じれば建物の内外を問わず、豊洲地区の指定区域は解除されることになるのか。特に地下水については、二年間のモニタリングを経て、地下水汚染が生じていない状況が連続して確認されることが前提となりますが、この今回の対策でその水準を満たせるのか、伺います。

○比留間中央卸売市場長 豊洲新市場予定地の土壌汚染につきましては、操業が原因の汚染物質は、深さにかかわらずすべて除去するとともに、地下水につきましても、敷地全面にわたって市場施設の着工までに環境基準以下に浄化することとしております。
 こうした対策に加えまして、地下水につきましては、技術会議の提言を踏まえまして、指定区域解除の要件である二年間のモニタリングの実施を検討してまいります。
 なお、土壌汚染対策法の改正につきましては、具体的内容が政令等にゆだねられている部分も多いことから、今後国の動向を見据えて適切に対応をしてまいります。

○大沢委員 一部の気の早い人の中には、今回の技術会議の報告書をもって安全宣言だという人がいますが、二年間のモニタリングで問題がないことが確認されない限り、私は安全宣言とは到底いえないと思っております。
 そこで、地下水のモニタリングについて伺いますが、土壌汚染対策法の施行規則によれば、地下水の採取は一年に四回以上と定められ、環境大臣が定める方法で測定することになっております。しかし、私は、地下水採取の回数を最低でも毎月実施するとともに、測定をする際には、前にも申し上げましたが、クロスチェックを実施するなど、より公正で安心のできる方法を採用すべきと考えます。地下水のモニタリングの方法についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○比留間中央卸売市場長 地下水のモニタリングにつきましては、これも技術会議の報告書に触れられておりますけれども、この報告書に述べられておりますように、観測井戸を設置し、安全・安心の観点から、毎月実施していくというふうに考えております。
 クロスチェックにつきましては、地下水の採取地点、採取・分析方法、分析機関、分析結果等のすべての内容を公表していきますことから、必要はないと考えております。

○大沢委員 今回のベンゾ(a)ピレンでの情報隠し疑惑などもありましたので、ぜひともクロスチェックは行っていただきたいと思います。
 また、汚染土壌の処理に際しては、周辺の環境負荷を最低限に抑えるべきだと私は思います。私は、昨年六月十七日の代表質問において、汚染土壌をトラックに積んで、どこかへ運んで処理することは、受け入れ先だけでなく、積みかえや運搬の際の飛散などを心配する周辺住民からの理解を得られないと主張をしてまいりました。
 技術会議の報告書では、環境に配慮した対策として、当該地区内に処理プラントを設置するとされ、かつ、船舶を積極的に活用することで、トラックの使用台数を約八割削減するとしております。
 しかし、一方で、当該地域から比較的近い距離にある既設プラント、イコールこれは私は中防のことだと思いますが、この活用も含め、環境負荷の抑制に努めるとしております。
 私は、汚染土壌の積みかえや運搬などで地元区の人たちが不安にならないよう、周辺住民に対する十分な説明を果たすとともに、飛散防止策なども含めて、より一層の環境負荷の低減に努めるべきと考えますが、見解を伺います。

○比留間中央卸売市場長 土壌汚染対策工事につきましては、工事の内容、手順などに加え、環境面の対策につきましても十分な説明を行い、地元住民の理解が得られるよう努めてまいります。
 工事の実施に当たりましては、土壌の搬出は防水シートで密封して飛散防止措置を講じるほか、特に、揮発性物質、油臭が確認された土壌については、掘削範囲をテント等で覆うとともに、運搬時にも、密閉容器を使用し、揮発、拡散を確実に防止いたします。
 また、トラックが市街地を通過することによる騒音、振動、交通渋滞などを防止するため、土壌や資材の運搬には船舶による輸送を積極的に活用してまいります。
 こうした対策を採用することにより、環境負荷の低減に万全を期してまいります。

○大沢委員 次に、オリンピックについて伺います。
 立候補ファイルでは、東京ベイゾーンと位置づけた臨海地域の結びクラスターなどのイメージ図と会場配置図が作成されております。申請ファイルと比較して、例えば、オリンピックメーンスタジアムへ向かう観客が渡る晴海-豊海町間の橋梁も計画されているなど、改めて関連事業計画費が拡大しているのではないかと私は考えます。
 立候補ファイルにおいて施設整備の追加計画費は発生しないのか、お伺いをいたします。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 立候補ファイルに記載いたしました競技会場の整備費につきましては、全体的な競技計画の見直しの結果、申請ファイルに比べまして、総額で三百三十一億円の減額となっております。
 その主な内訳は、夢の島ユース・プラザにおいてバスケットボールの決勝のみを行う予定を、予選から決勝まで全日程を行うことへ変更したことに伴います施設規模の拡大などによる増額がありましたものの、一方で、メーンスタジアムの建物形状の見直しによりまして床面積の縮小を図ったことなどによりまして、増額を上回る減額があったことから、全体では減額となっております。

○大沢委員 それでは、輸送インフラの追加計画費についてもお伺いをいたします。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 立候補ファイルの輸送インフラについてですが、申請ファイルに比べまして、国道三五七の新木場区間の立体化工事と東京港トンネルの整備、勝どき駅の改良、補助三一四の整備の四つの事業を追加しております。
 追加いたしました四つの事業は、昨年、申請ファイルを提出後、事業の責任組織や建設日程などIOCが求める記載項目について関係機関との調整が進みましたため、記載したものでございます。
 一方、地下鉄副都心線の整備については、事業の完了に伴い、ファイルから削除をしております。
 その結果、輸送インフラ全体の整備費用は、二千十四億円増加しております。
 いずれにしましても、これらの輸送インフラは、既に「十年後の東京」計画などに定められた事業でございまして、オリンピックの開催の有無にかかわらず、東京の機能をさらに向上させるため、必要不可欠なものでございます。

○大沢委員 ちょっと話はずれるので恐縮ですが、今、本部長からのご答弁で、国道三五七の新木場区間の立体化工事というのが新たに追加されたということでありますから、これは港湾局長、その部分というのは立体化工事が行われるという認識でよろしいんですか。

○斉藤港湾局長 今ご質問のお話は、臨海道路Ⅱ期が、中防の外から若洲側に渡りまして、荒川の西詰交差点のぶつかるところのお話かと存じますが、そこの事業につきましては、国において立体交差ということで事業を進めることで着手してございます。

○大沢委員 どうもありがとうございました。そこはボトルネックになって、この道路が完成したときに大変大きな渋滞が予想されるわけでございますので、ぜひとも立体交差について、都も一生懸命取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、この立候補ファイルでありますが、メーンスタジアムの敷地を大きくふやすとともに、現在、民間の倉庫が立ち並ぶ晴海四丁目の一部をスポンサーバス駐車場や最寄りバスターミナルとして活用するなどのプランを描いているわけであります。
 東京都は、平成十四年の豊洲・晴海開発整備計画の改定の際にも、地元の中央区から、みずからの都合だけで事を強引に進めるような東京都の姿勢には疑問と怒りを禁じ得ないとして抗議を受けているなど、地元、自治体や町会連合会との話がついているのか、疑問でございます。
 これらメーンスタジアム周辺の計画について、地元、自治体などとの間で合意がなされているのか、お伺いをいたします。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 立候補ファイルにおきましては、メーンスタジアムの敷地外に、バスターミナルなど一時的な利用を行うスペースを新たに計画しております。これらを含めたスタジアム周辺計画については、中央区に対し説明を行い、理解を得てきております。
 本年二月には、中央区長からオリンピック・パラリンピックの東京招致に支援、協力する旨の声明が出され、また、中央区議会に設置されましたオリンピック・パラリンピック招致議員連盟からも、同様の招致決議がなされております。
 今後とも、具体的な整備に当たっては、地元区や地域住民に十分説明し、理解を得るなど、適切に対応してまいります。

○大沢委員 それでは、この後は、田中理事から関連質疑の通告がなされておりますので、田中理事より関連質疑をさせていただきます。(拍手)

増子副委員長 計測をとめてください。
 ただいま、田中良理事より関連質疑の申し出がありました。
 本件は、予算特別委員会実施要領第七の規定に基づき、質疑委員の持ち時間の範囲内で認めることになっております。
 田中良理事の関連質疑を認めます。
 なお、田中良理事に申し上げます。
 発言は、大沢理事の質疑の持ち時間の範囲内となっておりますので、あらかじめご了承願います。
 計測を始めてください。

○田中委員 私からは、まず、外環道に関連して、ご質問させていただきたいと思います。
 石原知事のこの都政で、私は、最大の前進した事業というのは、この外環道の地下化の都市計画決定というふうに思っています。これを早期に事業化していくということは、地元選出の議員としても望むわけでございますけれども、地域で、この事業に伴って、さまざまな懸念があるのも事実なんですね。
 その中の一つ大きな問題として、地下水の問題がある。この地域は、都立の公園として善福寺公園があります。この地域を、この外環の事業化によって善福寺川の池がかれてしまうんじゃないかとか、大きな変化が起こるんじゃないか、そういう懸念があるということであります。
 私は、もちろん今まで環境影響評価もやってきた、その中でも影響がないということも示されてはきておりますけれども、事業化に伴って、継続して調査や、何かあれば対策といったものを講じていくということは必要なことだろうというふうに思います。
 この地域の地下水の心配の問題についての、まず所見を伺います。

○只腰都市整備局長 今お話ございました環境影響評価書、外環の計画決定に伴いまして実施したわけでございますが、善福寺池周辺におきましては、外環が地下四十メートル以深の深いトンネル区間であることから、水環境は保全されるということで予測、評価がされてございます。
 国は、地域での今お話ありましたような心配があるというお話ございましたけれども、そういうような話し合いを踏まえまして、万一事業実施によりまして、現段階で予測し得ないような影響が生じた場合、迅速な情報提供を行うとともに、必要な調査を行いまして、適切な対応、対策を検討、実施することを地元に表明してございます。
 都といたしましては、これらの対策を事業実施段階で確実に行うよう、国に求めてまいります。

○田中委員 どんなに土木技術、科学技術が進歩しても、予期しない、予測できない事態というものが起こることは十分あるというふうに思います。そのときにちゃんと対応してくれるんだ、対応するんだということをお約束をしていただいたということでご理解をしてよろしいのかどうか。

○只腰都市整備局長 繰り返しになりますが、事業実施によりまして、万一善福寺池に著しい影響が生じた場合につきましては、都としても、国とともに適切な対応を確実に実施してまいります。

○田中委員 もう一つ、ここには水道局の施設も隣接しております。水道局の施設としては善福寺浄水所があって、地下水から水をとって、それを飲料水として配水しているということですけれども、大体どういう実態なのかというのを、水道局長さんにちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。

○東岡水道局長 善福寺の近くには水道局の杉並浄水所がございまして、現在、日量二千七百立方メートル程度、水道水源としてくみ上げて利用しております。これは、地下約十五メートル付近にある帯水層から水をくみ上げておりまして、この帯水層は西から東へと流れておりまして、そういう状況でございます。

○田中委員 私が聞いている話では、外環道は相当深い今の計画になっています。したがって、水を吸い上げている地下水の水源のさらに深く地下に道路が通る計画になっているということで、それから、地下水の流れる方向が、今おっしゃったような状況なので、これにも影響はないだろうというふうには伺っておりますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○東岡水道局長 外かく環状道路は、杉並浄水所の北東およそ七百メートルの付近に青梅街道のインターチェンジ出入り口が建設されると聞いております。それから、地下約四十メートル付近をシールド工法で道路が整備されると聞いております。
 杉並浄水所の原水となる帯水層との間には粘土層などの不透水層が存在しておりまして、帯水層の流れを考慮いたしましても、外環道の建設による杉並浄水所の原水への影響はないと考えております。

○田中委員 万が一ということもあり得るとは思いますけれども、そういう不測の事態が起こったときには、両局が連携、調整して、国とも調整をして、万全の対策をとっていただきたいということを要望させていただきます。
 さて、先般、本会議代表質問で、外環道についてご質問させていただきました。私どもの質問に対して、今後の大きなもう一つの計画としての残された課題は、その2、地上部の扱いということであります。
 そのことについては、外環道本線と切り離して進めていくということでご答弁をいただきましたけれども、同時に、これまではっきりと東京都からは示されてこなかったというふうに記憶をしていますけれども、今後のその2の扱いについて、廃止も含めて地元の自治体と話し合いをしていくということが表明をされたわけです。
 どちらにしても、地元の合意というものが大前提になるということでありまして、これからの取り組みにかかってきているわけでありますけれども、改めて、今後の取り組みについてのお考えをお聞かせください。

○只腰都市整備局長 外環の地上部街路でございます外環ノ2の取り組みにつきましては、今、委員もお話ございましたように、代表質問でもお答えしたとおりでございまして、早期整備が必要な外環本線とは切り離して進めるべきと私ども考えてございます。
 外環ノ2につきましては、四つの区市にまたがっておる平面街路、平面の都市計画道路でございまして、地域によりまして、今お話ございました廃止を含めまして地元住民にいろいろの意見があることにつきましては、よく承知をしてございます。
 今後、この道路の必要性やあり方につきまして、早期に地元との話し合いが実現できますよう努めてまいります。

○田中委員 ぜひ、じっくりと意見交換をして、方向を出していっていただきたいというふうに思います。
 さて、もう一つ、この外環道で私が課題というふうに位置づけている問題は、インターチェンジの問題であります。私が住んでいる杉並区は、首都高四号線と中央高速が連結してあるわけですけれども、環八の高井戸インターというのは、実は過去にいろんな事情があったようですけれども、ハーフインターになっている。つまり、中央高速に乗るということは環八からはできないんですね。中央高速からおりるということしかできない。
 ですから、杉並の住民からすると、あるいは近隣区の住民からすると、永福に回っていくか、あるいは調布まで行くか、どっちかしか方法がないということでございます。いろんな過去の事情があったので、今ここでそれについてとやかくいうつもりはないんです。
 ないんですが、実は外環道は、青梅街道のインターチェンジについて、現段階の計画は、これがハーフインターになっているんですね。ですから、青梅街道から関越方向には乗りおりができる。しかし、中央高速、東名に向かっては乗りおりができない、こういうことになってしまっている。
 これは、インターチェンジの必要性について、杉並、練馬、意見照会をした。で、それについて、杉並はつくる必要はない、練馬はつくってくれ、こういうことであったんですね。結果、足して二で割るような答えでハーフインターというふうになったというのが、かいつまんでいうと経過ですね。
 私は、本来なら、基礎的自治体間の意見の調整というのは、広域行政たる東京都が担うべき問題だというふうに思っています。ましてや、この問題については、インターチェンジの必要性について、両区にボールを確かに投げたけれども、そのボールというのはフルインターを想定して投げているわけですね。フルインターを想定して投げていて、違うボールが返ってきた。そしたら今度、ハーフだという結論を出した。
 まあ三十年、五十年たてば、恐らく車の性能というものも相当変わってくるだろう。排気ガスの問題も、大分これは変わってくるだろうし、もしかしたら電気自動車とか、ほかのエネルギーの自動車が主流になってくるかもしれないというふうに思います。
 こういうことを考えていると、私は、将来、今のハーフインターという計画のままでいいのかどうなのかというのは、一度どこかできちんと再検討するという必要があるんじゃないか。インターをつくらないということは、高速道路のネットワークというこの道路の趣旨からすれば、スピーディーに速くつなごうということであれば、工費も工期も恐らく短くできる。インターをつくれば、工期も工費も恐らくかさむだろうというふうに思います。
 どちらも私は一理あるとは思います。が、ハーフインターという形で、もしあした開通式だったときに、そのときを想像したときに、なぜこういう形にしたんだろうかというふうに必ず意見が出ると思うし、その当時、東京都は何を考えていたんだろう、あるいは、当時の政治家たちはどんなことを考えていたんだろうという、私はそういう意見が必ず出るだろうというふうに思います。それを最初に私は高井戸の問題を引き合いに出してお話をしたんですね。
 ですから、今後、いろんな計画の問題が確かにこれからあるだろうと思いますけれども、どこかで一度、要望として申し上げたいわけですけれども、検討する必要を私は感じておりますので、それをぜひ受けとめて、今後に生かしていただきたいというように思います。
 次の質問に参ります。
 銀行の問題を取り上げたいと思いますけれども、昨年も長時間にわたり議論をさせていただきました。今般、調査報告書というものが出されたということですよね。私たちが納得できないのは、知事にも私、お話を申し上げましたけれども、一千億円という都民の血税が毀損された。今回、この報告書によって示されている内容は、その中のデフォルトの関係だけなんですよね。つまり、どうしてああいう状態になったのかという事実、真実が解明されてないんだという思いなんです。つまり、責任論を論じるときに、一体本当はどうだったんだろうかという、そういう事実に基づいて初めて、つかさ、つかさの責任というものが、私は導き出されるというものだろうというふうに思います。
 そういう意味で、この報告書によって明らかにされてない部分について、ぜひ明らかにしていただきたいんですが、いかがですか。

○佐藤産業労働局長 今回、外部弁護士らによります調査報告書は、銀行のいわば設立前の状態から直近の状態まで、法的な手段を講じるのは一定の期間でございますけれども、調査そのものが、全体に及んで調査をした上での結論を出したものというふうに理解をしております。

○田中委員 質問になかなかお答えできないのもわからないわけではないですがね。ただ、事実が明らかになっていないということは、これは事実なんですよ。
 例えば、この報告書の中で、旧経営陣についてはヒアリングできなかったということをはっきりいっていますよね。実は、銀行が最初に去年やった調査というのがありました。その最終報告書というのは、私たちは見ることはできないわけです、非開示なわけですね。一応、東京都にもないということになっているわけですよね。覚えていらっしゃるかどうかわかりませんけど、ないという答弁だったんですよね。
 その後、この銀行が委託した法律事務所でも、旧経営陣については、これはヒアリングができなかったということになっている。
 さらには、国会の招致も、これは出てこなかったということでありますし、先ほど都議会で参考人招致の動議を私どもが出させていただきましたけれども、都議会としても、これは何も、この旧経営陣から直接話を聞く機会というのは、私どもの意思ではありませんが、都議会としての決定としては、その道も今回閉ざしてしまったということで、本当に一体事実はどういうことだったんだろうということは、全くわからないわけです。
 私は昨年、知事とも局長ともさんざん議論をさせていただきましたけれど、なぜ三年間で一千億円が毀損されてしまったのか。この異常な問題については解明する必要性は深く感じていますというふうに私は承ったわけですが、その気持ちは、知事もあるいは局長も変わりはありませんか。

○佐藤産業労働局長 昨年の予算特別委員会でもさんざん議論になりましたけれども、まずもって銀行が主体的にこの状態に至った原因について調査をするというのが内部調査で明らかにされたわけであります。その内部調査に基づいて、またこれを客観的に事実を明らかにするために、外部の専門委員に委託をして調査をしたということでありまして、まずは銀行においてその辺の事情等々を明らかにするのが第一歩であるという認識を、昨年も申し上げたというふうに記憶しております。

○田中委員 ですが、銀行が委託をして調査をしても、明らかにされなかったじゃないですか。これをこのまま放置しておくということは、私はよくないと、あるべきでないというふうに思います。多くの都民も、その点については、私は同じ思いではないかというふうに思っています。
 具体的に少しお話を伺いますけれども、例えばスコアリングモデルを活用してこれが失敗したということ、あるいは債権回収、管理、こういうものもうまくいかなかった。こういう問題について、結局、法的責任は問えないというふうに、これではいっているんです。なぜかといえば、税務協会で専門家、あるいは監査法人、そういう人たちと協議をして、詰めていってつくったものだ。だから、必ずしもその旧経営陣だけを法的責任を追及するというふうにはいかない、困難だというふうにいっているんですね。
 でも、どうなんでしょうか。そこで、私は聞きたいんですけど、スコアリングモデルのシステムについても、監査法人やコンサルタントが関与して、専門家も関与してつくったということなんですよね。債権管理、回収もそうだというんですけど、そういうつくった人たちね、監査法人とかコンサルと一体どういう契約を結んでいったのか、東京都は。どういう契約を結んでいたのか、あるいは銀行がどういう契約を結んでいたのか。
 それも恐らく、聞きますけど、民民の契約で守秘義務があるのでお答えできませんというようなお答えになるのかなと思うんですが、一応お尋ねします。どうなんですか。

○佐藤産業労働局長 お尋ねの趣旨がどこまでのお話なのか、ちょっとわかりにくいんですが、当然、都庁の中に銀行経営に関する専門的なスタッフがいたわけではありませんから、これは税務協会に委託をして、そこで銀行に関する知見を有する専門家たちに委託をし、顧問として雇うなり委託をして、銀行経営に関するマスタープランを策定する内容についての議論をしていただいて、報告をいただくという形の委託をしたわけでありまして、その委託契約の書類の中身がどうこうということについてのものを、我々は民民の契約ですから、明らかにはできませんけど。

○田中委員 ちょっと聞き方が悪かったかもしれません。もう少しわかりやすくお話ししますけれども、知事はモデルカーをつくったと。運転したのは旧経営陣だということを繰り返しおっしゃっていますよね。確かにマスタープランでモデルカーをつくったけど、運転したのは旧経営陣なんだと。(石原知事「旧経営陣もモデルカーをつくったんだ」と呼ぶ)わかりました。
 実は、そのモデルカーに欠陥があるということが、動かしてみたら、徐々に明らかになっていったわけですね。その経過については、この報告書でも私は示されていると思いますよね。例えば、想定デフォルト率と相当乖離した形でデフォルトが発生する。しかも、格付の高いところが高いデフォルトを発生させているとか、そういうことはこの報告書の中に書いてありますよね。要は、例えば、車に例えたからいうんですけれども、車をつくったら必ず定期点検というのがあるじゃないですか。車検というのもありますよね。どこか壊れたら、これは修理をするということがありますよね。明らかな欠陥があれば、リコールというものがあって、変えていきますよね。そういう関係というのは、このマスタープランをつくった、特に、例えばスコアリングモデルなり、債権の管理、回収という、このシステムをつくった当事者と、その後のいわゆる車で例えればメンテですよね、こういうことについて何も契約がないんですか。つくりっ放しなんですか。どういう関係だったんですか。

○佐藤産業労働局長 念のため、まず申し上げておきますけれども、このスコアリングモデルが欠陥車というようなお話、表現で使われましたけれども、まずマスタープランが作成された当時は、これは今回の調査報告書にありますけれども、公的機関等によりその活用が推奨されるというような、融資審査における有力なツールとして認識がされていたと、そういう状況がまずあるということですね。
 スコアリングシステム自体には、幾つかのシステムが検討素材にのって、その中のどれを採用するか、これについては、後に新銀行の役員等に就任する七名の方がそのメンバーとして入って、専門的な見地からいろいろ検討して、ある一つのスコアリングシステムを採用しようと、こういう結論を得て、その後、銀行で正式に代表の決裁によって、そのスコアリングシステムを採用するということを決めたわけですね。
 それで、これはスコアリングシステムのみならず、一般的に会社の中のいろんなシステムは、当然使う過程においてメンテナンスをしながら、またふぐあいがあれば修正をしながら使っていくというのが、その会社において当然やられるべきことでありまして、そのときに元の開発業者との間での再契約なり、メンテの当時の契約があれば、それにのっとった形での処理がされるということが常識であろうというふうに思います。
 もう一点申し上げさせていただければ、この調査報告書にもありますけれども、そのときに採用いたしましたスコアリングシステムによって、理事から先ほどお話がありましたけれども、いわゆる想定デフォルト率と実績が乖離をしてきたということについても、ほかのシステムについて同様な検査をしましたけれども、全く同じような状況が出ているというようなことでありますので、当時いろいろ対象となったスコアリングシステムについては、それぞれ同様な、ただ入れるだけでのアウトプットされる結果だけでは実績との乖離が生じる、そういうようなシステムだったということが、この報告書からも十分に想定をされるところであるというふうに認識をしております。
 そういう意味では、出てきた結果に対してどれだけの定性的なチェックをかけるか。また、その定性的なチェックをかけた上で融資判断をどういうふうにしていくか、そういうところが、あわせてちゃんとしていないと、こういう当時あったスコアリングシステム自体は有効に機能しなかったんではないかというふうに十分理解できる調査報告書の結果になっていたと私は理解しております。

○田中委員 そういうふうにどうしてご理解できるのか、ご認識できるのか、私はむしろわからないんですけど。要するにスコアリングモデルを動かしてみたと。実際に運用してみたら、相当乖離が、実態と出てきたということがずっと書かれているわけですよね。そういう状況をずっと放置してきた、放置されてきたわけですよね。それの答えは書いてないんですよね。なぜそういうふうに放置してきたのか。
 単にもし修正をするとすれば、二、三千万の契約料が必要であって、二、三カ月かかる。で、事実上困難だと。二、三千万、毎月ですよ、十億デフォルトが出て、こんなに乖離しているのを、修正するのに二、三千万出さないでですよ、二、三カ月かかる、事実上困難だったと、たった一行か二行で結論づけているのですよね。これで理解しろといったって、これはもう我々には理解できないですよね。
 だから、例えばこのスコアリングモデルをつくる、あるいは幾つかあるモデルを選定するときにかかわった人たちが、このときの、このデフォルトの発生状況というのを当然知っていたんだろうというふうに私は思うんですけど、そうじゃなかったんですか、知らなかったんですか。このモデルを採用するときにかかわった監査法人とか、執行役の人たちは、当然このデフォルトが乖離している、想定と実績が乖離しているという状況をリアルタイムで知り得たんじゃないですか。知っていたんじゃないですか。

○佐藤産業労働局長 まさに銀行経営の根幹の部分の情報でありますので、我々東京都として今のご質問に対して、知っているだの、知っていないのお答えのしようがないんですけれども、今回の調査報告書の中でも、十八年の一月ないし二月の段階で、収益とそれからデフォルトの損失額が、デフォルトの方が大きいということが内部で議論になったということがあったわけですから、その統合リスク委員会には当然、代表執行役も入っているリスク委員会ですから、会社のトップとして、そういう状況を知り得たというふうに想定することはできると思います。
 問題は、なぜそれを修正しなかったということは、その時点からして九カ月後になりますが、十八年の九月にはそのシステムを回収して、別のシステムに取りかえているということがあるわけで、実際にやったわけでありますけれども、そのやった時期が、いわゆるデフォルトの発生が経営上極めて重要な問題であるというふうに認識をしてから、対策として打つには遅かったというのが、今回の調査報告書の中にもあります。
 そういう意味では、わかった十八年八月の段階以降については、善管注意義務違反が、当然代表なり補佐の執行役にあるということを明らかにしたわけでありますから、なぜ修正をしなかったかということのご質問については、以上のとおりしか、ちょっと私からは申し上げられません。

○田中委員 別に責めているわけじゃないんですよ。要するに開業して、もうこれに書いてあるわけですよ、開業して一年たった時点で、相当状況がおかしいと。十七年の四月に開業して、十八年の二月でしたか、統合リスク管理委員会で相当のことが指摘をされているわけですよね。一番山は十八年の夏、もう決定的に状況がおかしくなっているということで、そこから以降の責任を法的に問おうということになっているでしょう。
 だけど、少なくともリアルタイムで知り得た人たちが、その状況をただ単に放置していたとしたら、私は信じがたいわけですよ。このスコアリングモデルの作成にかかわった人たちが、当然、想定デフォルトと実績とが乖離してくれば、修正を加えなければならぬという話があったはずだろうと思うんですね。
 最初にお聞きしたのは、だから、かかわった--例えば監査法人がかかわっているというふうにお話ししましたけれども、その後の運用のメンテについては、そういう最初につくった人たちは何ら責任を負っていないんですかね。あるいはコンサルタントの会社、こういうところとは運用については、つくるときにはかかわったかもしれないけれども、つくったものを運用していく、その運用についての責任というのは、契約というのはないんですかね。それを私はお尋ねをしたんです。
 もしそこに関与しているということがあるならば、当然、私はずっと放置してきたことに対して、法的な責任を問うという根拠はあるんじゃないかというふうに思うんですね。だから、先ほど冒頭でお尋ねをしたんです。

○佐藤産業労働局長 私が思うに、経営者の責任として、自分たちがどういうシステムを使って、それによって営業していると。そのシステムのアウトプットについて常時分析をして、経営上どういう問題があるのか、これを、分析を把握するのは経営者の最大の責任だと思うんですね。
 事実、デフォルトが大きくなったとき、それが年度末の収支にどういう影響を及ぼすかといったところの推計までをした、当該年度の末、十九年の三月末には一千一億円の損失が出るだろうというようなことがわかった、その内容さえ取締役会に上げなかったという経営者というふうに、この調査報告書でもされているわけですね。そこにも重大な善管注意義務違反があるというようなことを報告書はいっているんで、まさにそういうことを、取締役会に重要な案件も上げなかったという経営者、その人たちは、まずその前段階でも、当然そういうシステムから出てくる結果によってなされた経営結果をどうやって分析するか、その責任も果たしていなかったんではないかなというふうには推察をします。

○田中委員 時間が迫っているので、もっといろいろお尋ねしたいんですけど、十八年の六月に執行役員が一部入れかわりますよね。状況としては、まさにどんどんどんどん悪くなっているときですよね。かつて私たちが、人事についてもお尋ねをしたことがありますけど、それはもう個々の理由によってやめていったんだ、こういうことですよね。
 しかし、そういう中の意見の相違、対立、考え方の違いというものが、こういう人事に反映されているということはなかったんですか。そういう見方は全くしていなかったんですか、当時、東京都は。
 それを一つお尋ねをしたいというのと、ちょっと時間がないので、これはちょっと今の話と別な話です。今の新銀行東京の先ほどからのご答弁で、今年度、中小企業百二十億ですか、融資を実行してきたと、ふやしてきたと。百二十でしたっけ。というお話を……(発言する者あり)二百二十ですか、その中の無担保無保証、本来の新銀行東京が目的にしていたその内訳というのは、どの程度あるんですか。
 また、ちょっと続きは後日。--正確な数字がわからなければ、後でお答えいただくんでもいいですよ。

○佐藤産業労働局長 それでは、無担保無保証の実績については後ほどご説明させていただきますが、人事がどういう理由でなったかについては、推察する以外にありませんので、こういう場ではちょっとお答えを控えさせていただきます。

○増子副委員長 大沢昇理事及び田中良理事の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時四十八分休憩

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