予算特別委員会速記録第二号

   午後一時一分開議

○服部委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。

○大沢委員 この際、仁司氏、丹治氏の経営責任を含む新銀行東京の関連予算審査、また、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援条例の関連予算審査、さらに、築地市場の豊洲移転問題の関連予算審査に関して、本委員会への参考人招致を求める動議を提出いたします。

○服部委員長 ただいま大沢理事から、新銀行、市場移転及び金融支援の新条例の予算審査に関し参考人招致を求める動議が提出されました。
 これより採決を行います。
 ただいまの動議は一括して起立により採決いたします。
 本動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○服部委員長 起立少数と認めます。よって、本動議はいずれも否決されました。

○服部委員長 これより総括質疑を行います。
 これより順次発言を許します。
 鈴木一光理事の発言を許します。

○鈴木(一)委員 私は、都議会自由民主党を代表して質問をさせていただきます。
 皆様ご承知のとおり、国政は大混乱を来しております。国民に目を向けずに、権力の亡者のごとく政権奪取、政権奪取とお題目を唱えている政党もあります。今、最も国民、都民が求めているのは景気回復であります。政争に明け暮れているときではありません。私たち都議会自由民主党は、責任ある都議会第一党として、都民の目線に立ち、東京の明るい未来を切り開くために、石原知事とともに都政の多くの課題解決のために真摯な姿勢で取り組んでまいりますことをお約束し、質問に入りたいと存じます。
 さて、二十一年度予算は、厳しい経済状況のもと、国民生活が直面する課題に正面から挑み、その施策の質、量両面において都民の期待に十分にこたえられる予算となっております。我が国経済の先行きは依然として予断を許さない状況ですが、こういうときだからこそ、都政は歩みを緩めることなく、東京ひいては日本の発展のため、持てる力を発揮しなければなりません。そこで、二十一年度予算を通して、今後の積極的な都政の展開を支え得る都財政のありようを議論していきたいと思います。
 まず、都財政が置かれた状況を明らかにしたいと思います。
 現在は、景気の大幅な悪化により、どの自治体も税収減に直面しています。とりわけ、法人二税への依存度が高い都市部の自治体は大きな影響を受けており、地方交付税の不交付団体である都は、交付税による補てんもなく、景気悪化の直撃を受けています。
 そこでまず、二十一年度予算において東京都と地方全体を比較した場合、税収、地方交付税など一般財源ベースで見た状況がどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○村山財務局長 東京都の二十一年度予算の一般財源収入額でございますが、一一・七%の減少となっております。これは、都税収入が一三・六%という大幅な減少になったことに伴うものでございます。
 これに対しまして、地方財政計画上の一般財源収入額の方は、地方交付税の交付団体全体で見ますと、逆に〇・六%の増となっております。これは、地方税収の方は一〇・六%の減となっているわけですが、その分、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた、総務省のいうところの実質的な地方交付税が前年度比で一五・〇%と大幅な増加になっていることによるものでございます。
 このように、委員ご指摘のとおり、税収の減自体は地方全体の共通の状況ではありますが、地方交付税の交付団体では、税収の減少分が交付税などによって補てんされ、結果として前年度並み以上の一般財源収入額が確保されているのに対しまして、東京都の方は、税収の減がそのまま収入全体の減少となってあらわれている。その点で置かれている状況は大きく異なっております。

○鈴木(一)委員 地方財政計画上、地方は税収が落ちても地方交付税によって守られており、安定した財政運営ができるようになっているということであります。
 しかし、ここで問題になるのは安定の中身であります。地方交付税に守られている地方の実態とは、いかなるものでございましょうか。他の道府県の予算では、具体的にどのような形で財源確保が図られているのでしょうか。また、都としてそれをどう考えているのでしょうか。あわせてお伺いをしたいと思います。

○村山財務局長 ほかの道府県の二十一年度予算案について集計しましたところ、税収減を補うために歳入計上された、先ほど申し上げたいわゆる実質的な交付税の額でございますが、道府県全体で十一兆円ございます。このうち、実際の地方交付税は八兆円のみでございまして、残りの三兆円は、地方自身の借金でございます、いわゆる赤字債でございます臨時財政対策債が計上されております。
 総務省の主張によれば、この臨時財政対策債の元利償還金は、将来、交付税により全額補てんされるのだ、そういうルールになっているということをもって、これを実質的な交付税だといっているわけでございます。
 しかしながら、実際に将来の交付税総額がその分増額されるかといえば、それは保証の限りではないわけでございますので、結局は定められた交付税額の中から償還財源が捻出されて、その分ほかの経費を圧迫するという可能性が極めて高い。その意味で、この臨時財政対策債は、自治体にとって負担を先送りするものにしかすぎず、将来の道府県財政を著しく硬直化させる懸念があるといわざるを得ないと考えております。
 他の道府県は、多くの団体がこの臨時財政対策債という実質的赤字債の計上を前年度に比べ二倍以上にふやしているというのが二十一年度の実態でございます。都といたしましては、こうした赤字債的起債の発行は可能な限り避けなければならないという立場で、また、不交付団体である都にとっては、交付税による補てんも、実際には受けられる可能性がほぼゼロでございますので、予算には計上しておりません。

○鈴木(一)委員 交付税の補てんを受けている多くの団体は、将来に負担を先送りし、ツケを増幅させているということであります。地方財政は相当深刻な状況にあるといわざるを得ません。
 一方、都は、交付税による補てんもなく、負担の先送りとなる赤字地方債も発行していないということであります。では、都の二十一年度予算ではどのような工夫がなされているのでしょうか、お示しをいただきたいと思います。

○村山財務局長 二十一年度予算編成において、七千五百億円という過去最大の税収減があったわけでございますが、これに対処する基本的な考え方は、第一に、都民生活が危機に直面している中にあって、実施すべき施策に要する財源については確実にこれを計上して、都民サービスに影響を来さない。第二に、今後大きな経済変動があり得る中にあって、都は、先ほど来のお話にありますとおり、国に頼ることができないわけでございますので、将来にわたり自力での財政運営が必要であることから、将来に備えて財政の対応力の維持確保に努力しなきゃいけない。この二点でございます。
 そのため、まず歳入歳出の両面で徹底した洗い直しを行った上で、それを前提といたしまして、基金の取り崩しについては、国が強行した法人事業税の国税化への対策として十九年度に設けました特別基金二千二百十五億円を全額取り崩す。それから、環境施策あるいは福祉施策の集中的取り組みのためとして積み立てた三基金の一部五百六十三億円については、これを事業に充てる。この二つの方策に、基金の活用は限ることといたしました。これにより、財政調整基金など財源として今後活用可能な基金につきましては、一兆三千億円余りの残高を維持することができたわけでございます。
 また、都債の方につきましては、先ほど申し上げたように、臨時財政対策債など特別な起債は計上しないということとともに、これまでの発行抑制に努めてきたことによる発行余力を活用いたしまして、前年度に比べて一千七十七億円多い三千七百四十三億円を計上いたしております。
 このような手だてにより、二十一年度予算においては、将来への財政負担をできる限り最小限に抑えながら、税収減に対処できたと考えております。

○鈴木(一)委員 都では、これまでの財政再建の中で蓄えてきた財政の力をこういうときにこそ活用し、将来に負担を先送りしない財政運営を行っているということであります。
 国全体が沈下し、元気を失っている今だからこそ、日本の牽引役として東京が持てる力を発揮し、新たな活力を生み出していくことが求められています。都財政にはそうした都政の展開を支える役割と責任があり、しかも、それをみずからの力だけでなし遂げなければなりません。
 さきの我が党の高島幹事長の代表質問において、強靱な財政体質の確立に取り組むとの答弁がありました。
 そこで、強靱な財政体質の確立に向けて、都みずからの力でどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○村山財務局長 都政がなすべき役割を将来にわたって自力で確実に果たしていくためには、二十一年度予算で確保した財源として活用可能な基金一兆三千億円余りや、現在有しております都債の発行余力、これらをいかに有効に、効率的に、丁寧に活用していくかがまず大きな課題だと認識しております。
 同時に、今後経済がどのように変動するのかは予断を許さないものでございますので、必要な行政サービスの展開を支えるという財政としての機能を引き続きしっかり果たしていく上では、もう一段の強靱な財政体質確立に向けての努力が必要だと思っております。
 このため、事業目標の達成度やあるいは費用対効果をつぶさに分析いたしまして、最小のコストで施策の目的を達成できるように、事務事業評価などを通じて施策の実効性を高めていくという取り組みを一層定着、充実させていくということが重要でございます。
 こうした努力を積み重ねることによりまして、財政環境が厳しさを増すことが想定される中にあっても、都政の積極的な展開を支えられる財政を実現できますよう、私どもとして全力で取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 我が国が直面している危機を克服し、発展を遂げていくため、今後都政が果たす役割はますます重要になります。これまで石原知事は、常に将来を見据え、財政運営においても先手を打つ取り組みを進めてこられました。
 そこで、これまで常に先々を見据え、先手を打ってきた知事に、今後の財政運営に向けた考えをお伺いいたします。

○石原知事 東京は、我が国が厳しい状況にあるときこそ、日本の牽引役として、危機克服の先駆けとなり、新たな活力を創出する役割を果たさなければならないと自覚しております。
 これまでも、都政に課せられたこうした使命を確実に果たすため、都財政の健全化という大きなテーマに真正面から取り組み、議会の協力のもとにそれをなし遂げてまいりました。
 今後とも、堅実な財政運営により、いかなる荒波にも揺るがない都政の力を蓄えまして、それを活用しながら、都議会の皆様と手を携え、都政がなすべき施策を果断に行っていきたいと思っております。

○鈴木(一)委員 次に、景気対策について伺います。
 まず、新たな金融支援策について伺います。
 東京の産業を支えてきた中小企業は、未曾有の経済危機の中で苦しんでおり、企業の血液ともいうべき資金を円滑に供給していくことは喫緊の課題となっております。しかし、昨年秋から実施している緊急保証制度をもってしても十分に資金調達ができない中小企業があります。そうした中小企業の中でも、今の難局さえ乗り越えれば、将来的に成長できる企業はたくさんあるはずであります。
 こうした状況に対処するため、本定例会に、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例が提案されています。この新条例に関して、一部の政党からエコノミストを参考人として招致すべきとの声がありましたが、大切なのは現場の声ではないでしょうか。そもそもこの条例に定める金融支援策について、金融機関などの当事者はどう考えているのか、お伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 現下の厳しい経済情勢のもとで、都内の中小零細企業の資金繰りは極めて厳しい状況に陥っておりまして、地域の金融機関の間でも危機感が高まっております。
 今回条例提案をいたしました支援策について、現在、金融機関等と調整を進めているところでありますが、例えば信用金庫業界等からは、今回の都のねらいは時宜にかなったものであり、この支援策により現下の厳しい局面を乗り越えることができれば、既往の取引先の中小企業への継続支援の可能性が高まるということを期待するなどのご意見をちょうだいしておりまして、その必要性が強く求められていると考えております。

○鈴木(一)委員 我が党は、現下の厳しい状況のもと、中小企業への資金供給の円滑化を図るためには、地域の金融機関との連携を強化していくことが不可欠であると認識しており、さきの第四回定例会代表質問でも取り上げました。今回、都は新たな金融支援策に取り組むこととしていますが、ここで改めて確認します。
 本支援策では、どのような企業に対して融資を行おうと考えているのか。また、そうした企業に対してどのような性格の資金を供給しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。

○佐藤産業労働局長 景気後退の影響を受けまして、緊急保証制度によりましても資金調達が十分にできずに苦しんでいる中小零細企業がおりますが、そうした中でも、高い技術力やすぐれたビジネスプランなどによりまして、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などがあります。本支援策では、地域の金融機関と連携することによりまして、そうした企業をしっかりと見出し、支援をしていきたい、かように考えております。
 現在、制度設計を進めているところでありますが、融資限度額また資金使途について、小口の運転資金を想定しておりまして、比較的長期の融資期間を設定したい、このように考えております。また、預託金によりまして金利の低減を図り、中小零細企業の負担を軽減してまいりたいと考えております。

○鈴木(一)委員 本支援策では地域の金融機関を活用するとしていますが、具体的にどのような金融機関と連携を図ることを考えているのか。また、地域の金融機関のいかなる能力を活用しようとしているのか、お伺いをします。

○佐藤産業労働局長 本支援策では、地域に密着した金融機関の目ききの力や融資のノウハウの活用がポイントであるというふうに考えておりまして、地方銀行、信用金庫、信用組合等との連携を考えております。
 こうした金融機関では、営業担当者がふだんから企業を訪問いたしまして声かけをするなど、日ごろから中小企業の経営の実情の把握に努めておりまして、いわば取引先の顔が見える関係にあるというふうに認識をしております。また、融資審査に当たりましては、担保に過度に依存をせず、事業計画等で将来性を判断するなど、リレーションの強化を重視した経営を行っているところであります。
 都といたしましては、都内中小零細企業の苦しい資金繰りを緊急的に支援するという本制度の趣旨を十分に踏まえて、地域の金融機関が持つこうした目ききの力などの機能を幅広く活用していきたいというふうに考えております。

○鈴木(一)委員 一部の政党は、本支援策が倒産寸前の企業にまで融資を行うものだとか、新銀行東京に対する資本注入を目的としているものなどと吹聴しています。残念なことです。本支援策の中身を見れば、この主張が中小企業の現下の厳しい状況を全く理解していない暴論であり、中小企業を見捨てることになります。
 本支援策の目的から見て、小規模な事業者を顧客に多く持つ民間金融機関は幅広く対象にすべきであります。新銀行東京に限らず、特定の金融機関を意図的に排除すれば、その顧客は本支援策の対象外となりますが、それでよいのでありましょうか。制度の目的を履き違えた議論をすべきではありません。
 現在、具体的な制度設計を進めているとのことですが、制度の安定的な運営を確保するためには、融資実行に伴う損失をいかに低く抑えていくかが重要なポイントになると考えています。まだ検討の途中であろうかと思いますが、損失を抑制するためにどのような工夫を考えているか、お伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 現在、金融機関等と調整を進めているところでありますが、本制度の安定的な運営を確保するには、債務不履行の過度な発生を抑制することが重要であるというふうに認識をしております。そうした観点から、融資の対象を参加金融機関と一定期間取引を継続している中小企業とすることによりまして、支援対象をしっかりと見きわめる工夫を講じているところでございます。
 加えて、例えば制度融資と同様に、保証機関を活用することも一つの効果的な措置と考えております。金融機関と保証機関が車の両輪のごとく審査を行うことによりまして、精度の高い審査が行われることや、保証基準の設定を通じて、各参加金融機関において本制度の趣旨に沿った審査を期待することができると思っております。

○鈴木(一)委員 現在の中小企業の状況を考えれば、いっときも早い制度のスタートに取り組んでいただきたいと存じます。そこで、現在の調整状況についてお伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 現在、金融機関等と調整を進めておりまして、融資対象の要件や金利、融資期間等の融資条件など、制度構築に当たっての課題を整理しているところでございます。
 引き続き金融機関等との調整を進めながら、今後は保証機関についても調整を行い、本年夏ごろの制度開始に向けて取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 次に、雇用対策についてお伺いをいたします。
 百年に一度といわれる世界同時不況は、都民の生活や雇用にも深刻な影響を与えております。都は緊急対策の一環として、二十一年度予算で雇用創出に向けた区市町村補助金を計上し、また二十年度最終補正予算では、緊急雇用創出事業とふるさと雇用再生特別基金事業、総計百三十五億円の基金を造成しています。
 来年度、雇用創出に係る三つの事業が実施されますが、単に事業が併存するのではなく、三事業あわせて、より一層の効果を上げていく必要があります。
 そこで、都はこれら雇用創出事業について具体的にどのように実施していくのか、お伺いをしたいと思います。

○佐藤産業労働局長 三つの雇用創出事業のうち、都独自の区市町村補助事業と緊急雇用創出事業につきましては、当面の雇用確保策として実施をするものでありまして、また、ふるさと雇用再生特別基金事業は、正社員など安定雇用化に向けて実施する事業であります。
 まず、都独自の区市町村補助事業は、迅速な事業実施に向け、人件費比率五割など比較的取り組みやすい要件といたしまして、区市町村には四月早々から、地域振興等の幅広い分野で新たな事業を実施していただくこととしております。
 さらに、緊急雇用創出事業につきましては、都と区市町村を合わせて雇用創出目標を三カ年で八千人とし、多くの失業者を雇用できるよう、人件費比率七割以上、雇用期間六カ月未満等を要件としております。既に公園美化や放置自転車対策、通学路の見守り等五百件を超す事業が計画をされております。
 一方、ふるさと雇用再生特別基金事業では、雇用創出目標を二千人といたしまして、失業者等の新規雇用割合が五割以上、雇用期間一年以上を要件としてございます。現在の事業計画数は約二百件でありまして、今後、継続実施していく事業として、情報教育の推進、森林整備、地産地消の促進などを予定しております。
 都と区市町村が都内各地においてこれらの雇用創出事業を展開していくことによりまして、現下の雇用情勢に迅速かつ的確に対応してまいります。

○鈴木(一)委員 三事業のうち、ふるさと雇用再生特別基金事業は、正社員を目指す方々の期待にこたえる事業でありますが、将来の不安なく働ける職場は、将来性ある産業や事業の中でしか生まれないと考えます。
 そこで、ふるさと雇用再生特別基金事業の実施に当たっては、これからの産業の種をまくという観点からも、民間の意見や提案も取り入れ、地域で多種多様な事業をつくり出し、正社員など安定雇用につなげる必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 ご指摘のとおり、安定した雇用は、将来にわたり継続可能な事業から生まれるものであり、ふるさと雇用再生特別基金事業では、都や区市町村がそれぞれ、今後の発展や需要が見込める事業を民間企業等に委託してまいります。
 都や区市町村が策定する各事業計画につきましては、東京商工会議所を初めとする経済団体等の代表の方々から広くご意見、ご提言をいただく仕組みも設けておりまして、今後の継続が見込まれる事業を数多く実施してまいります。
 また、委託企業等は、この事業で採用した労働者を事業実施中、継続して雇用するものとして、さらに、正社員に登用した場合は奨励金三十万円を支給することなどによりまして、失業者等の安定雇用化を図ってまいります。

○鈴木(一)委員 一方、最近の急激な雇用情勢の悪化により、都はもちろんですが、国や区市町村もさまざまな離職者支援策を打ち出しています。
 国や自治体のさまざまな取り組みが個別に情報発信されている中、先日、都が設置した電話による総合案内、離職者サポート案内ダイヤルは、懸命に努力している離職者を最適な支援策に誘導する取り組みであります。
 こうした離職者をどのようにして真に必要な支援に結びつけていくのか、その対応方法をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 離職者サポート案内ダイヤルでは、フリーダイヤルを設置し、案内員が離職者等からの電話に対応し、生活状況や再就職への意向などを聞き取りまして、都、国、区市町村等が実施する支援策に誘導をしております。
 また、雇用、生活問題でさまざまな事情を抱える方についても、適切な支援策に結びつけることができるように、社会保険労務士、社会福祉士など、専門的な知識を有し、相談経験の豊富な案内員も配置をしております。
 今後とも、国や区市町村等が実施する施策との連携を図りながら、離職者等の生活の安定を図ってまいります。

○鈴木(一)委員 景気、雇用対策の最後に、公共事業について伺います。
 経済の低迷が続く中、需要喚起や雇用創出につながる公共工事は、有効な景気刺激策となります。都は、我が党の強い要望を受け、九月補正に続き十二月補正予算や二十一年度予算において、年度末から年度初めにかけての途切れのない公共工事の発注など、中小企業向けの支援策を講じたところであります。
 これらの予算を着実に執行し、苦しい状況にある中小企業に対して、いっときも早く仕事が行き渡るよう、しっかりと取り組んでもらう必要があります。ご見解をお伺いしたいと思います。

○村山財務局長 日本経済が危機に直面する中、東京都は、昨年夏以降、二度の補正予算と二十一年度予算の編成を同時並行で進めてまいりました。これにより、両年度にわたる一体的な予算として編成をしてまいりました。公共工事につきましても、これにより切れ目のない発注が可能となり、東京の都市インフラの整備において、継続的に中小企業の参画が得られる体制を構築してきております。
 十二月補正予算においては、都単独の中小企業向け工事を追加するとともに、それらを切れ目なく執行するための予算上の措置、いわゆるゼロ都債を活用いたしまして、二十年度末から二十一年度初めにかけての、いわゆる端境期への発注量の増加を図ってまいりました。
 また、二十一年度予算では、投資的経費につきまして、前年度比で六・二%の増額を確保することにより、都市インフラの整備などをさらに推進するとともに、その中には、小中高等学校や福祉施設の耐震化など、中小企業の参画の得られやすい施策を多数盛り込んでおります。契約面におきましても、分離分割発注や中小企業を構成員とする共同企業体などを活用し、中小企業の受注機会の確保に取り組んでおります。
 東京の経済的活力の源泉である中小企業を支える上で、こうして編成した予算を円滑かつ着実に執行していくことが極めて重要であると考えております。四月一日付で発することを予定しております予算執行に関する通達におきましては、その点を改めて徹底いたしまして、各局と連携しながら、契約手続の面でも施工の面でも迅速な対応を図りまして、中小企業の懸命な取り組みをしっかりと支えてまいります。

○鈴木(一)委員 次に、周産期医療について伺います。
 さきの我が党の代表質問で、都は、今月中にも、救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れる、いわゆるスーパー総合周産期センターをスタートさせることを明らかにしました。
 他方、周産期医療を担う医師が不足している中で、患者さんの受け入れ要請が殺到したならば、センターに指定された病院も、医師が疲弊し、制度は長続きしないでしょう。スーパー総合周産期センターがその役割を適切に果たすためには、真に救命処置が必要な患者さんを迅速に受け入れる仕組みと診療体制の確立が不可欠であります。こうしたことへの都の取り組みについてお伺いをします。

○安藤福祉保健局長 母体救命の救急対応を行います、いわゆるスーパー総合周産期センターにおきましては、いつでも患者さんを受け入れられるように、麻酔科医などの医師の確保や、産科、新生児科の病床確保など、診療体制を整備してまいります。
 このセンターは、脳卒中などの重症合併症や意識障害、けいれん発作などの重症疾患の妊産婦を対象とするものでありまして、その機能を発揮していくためには、真に必要な患者を適切に受け入れることが極めて重要であります。
 このため、都は、意識レベルや呼吸状態などから重症度、緊急度を客観的に判断できる基準を定め、かかりつけ医療機関が的確に判断できるよう周知するとともに、患者の状態に関する情報伝達が確実に行われるようにしてまいります。こうした仕組みを基本に、東京消防庁の機動力を活用しながら、重症疾患の妊産婦を一刻も早くセンターに搬送できる体制をスタートさせたいと思っております。

○鈴木(一)委員 また、妊産婦や新生児の搬送先選定を円滑に行うため、都全域を対象として搬送調整を行うコーディネーターを設置するとのことでありました。円滑な搬送先決定や総合周産期母子医療センターの医師の負担軽減に直結するものであり、我が党としても、早期の業務開始を望むものであります。
 ところで、既にコーディネーターを設置し、一定の効果を上げている都市もありますが、年間約十万人の子どもが生まれている東京都において、他都市の事例を参考にしつつも、大都市の特性を踏まえた対応が必要であります。
 コーディネーターが本来の機能を発揮できるよう制度設計を行うことが必要でありますが、都としてどのように取り組むのか、お伺いをいたします。

○安藤福祉保健局長 周産期の緊急患者の搬送調整につきましては、総合周産期母子医療センターがそれぞれのブロック内の搬送先確保を行っておりますが、都は、この業務を行う医師の負担軽減を図るために、看護師や事務補助者の増配置について取り組んでおります。
 今後新たに配置するコーディネーターは、総合周産期母子医療センターがみずからのブロック内では受け入れが難しい場合に、ブロックを超えた全都的な調整を行うものであります。
 現在、東京都周産期医療協議会におきまして、具体的な搬送調整の方法、受け入れ先決定のルールなど、実施に向けた検討を行っております。この検討を踏まえまして、要員の確保、習熟訓練などを行い、できる限り早期にコーディネーターの運用を開始してまいります。

○鈴木(一)委員 墨東病院における痛ましい事態が発生してから、都は、わずか数カ月の間でさまざまな対策を打ち出しました。高く評価したいと思います。
 今後は具体的な施策を実行していく段階となりますが、周産期医療体制の充実強化に向けた知事の決意をお伺いしたいと思います。

○石原知事 昨年の妊産婦搬送事案を受けまして、都は、直ちに独自の緊急対策を講じるとともに、平成二十一年度は予算を倍増させるなど、周産期医療対策の格段の充実を図っております。
 今月初めには、ミドルリスクの妊産婦に緊急診療を行う周産期連携病院を指定いたしました。また、母体救命を行う、いわゆるスーパー総合周産期センターを今月中に設置する予定であります。
 さらに、東京都医師会においては、地域の医師の当直や休日診療等への協力方法について、具体的な検討をいただいております。
 産科医師確保など、国が抜本的に改善を図るべき問題も多いのでありますが、都は、さまざまな施策を重層的に進めまして、周産期医療体制の強化に全力で取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 知事の強い決意を伺いました。大いに期待をしております。
 ところで、今般、国の懇談会において、当面のNICUの目標を出生一万人対二十五から三十床として、地域の実情に応じた整備を進めると報告されました。都においても、これを踏まえ、積極的に取り組むよう強く要望いたします。
 さて、人類は地球温暖化の重大な危機に直面しています。それは気候変動の問題です。気候変動は、ハリケーンや大洪水、干ばつ、海面上昇など、水の危機としてあらわれています。東京においても、降雪の減少や局所的な豪雨など、既にその影響が出ており、このままでは近い将来、都民生活に深刻な影響が生じることが危惧されます。
 気候変動の影響として、私がまず心配するのは、飲み水の問題であります。水道は、都民生活にとって欠くことのできないライフラインであり、将来にわたって安定給水が確保されなくてはなりません。
 既に利根川上流のダムの供給能力は二割低下したとも聞きますが、水道事業について、気候変動が水資源にどのような影響を及ぼすのか、お伺いをしたいと思います。

○東岡水道局長 利根川・荒川水系のダムの供給能力は、国土交通省がフルプラン改定の際に実施した評価では、計画された当時と比べて、利根川で二一・四%、荒川で二八・二%減少しているとされており、既に都の水源には少雨化による影響が生じております。
 将来につきましては、気象庁が地域気候モデルを用いて気候予測を行っておりますが、それによりますと、年ごとの降水量の変動幅が大きくなり、極端な多雨の年と極端な少雨の年が出現するため、大雨に対する警戒とともに、渇水に対する備えが必要になるとしております。
 また、国土交通省の予測では、利根川上流の積雪量は現在の三分の一に減少し、雪解けの時期が早まることなどから、渇水の発生が懸念されるとしております。
 さらに、利根川上流の八ダムでは、将来の河川流出量の変化に伴い、ダムの枯渇、すなわちダムが空になる状態が二十年当たり五回もの頻度で起き、その期間は延べ七十六日に達すると試算されております。
 気候変動は、降水量や積雪量の変化という形で水源に深刻な影響を及ぼすことから、首都東京の安定給水を確保する上で大きなリスクになると認識しております。

○鈴木(一)委員 一方、水害対策も重要な課題であります。私の地元の葛飾区を含む区部の東部低地帯は、地形上、出水に脆弱であり、水害のリスクの大きな地域であります。過去には、利根川流域を襲ったカスリーン台風の猛威により、壊滅的な洪水被害に見舞われております。
 カスリーン台風というのは昭和二十二年のことでありますから、知事を除いてほとんどの方々はご存じないかもしれませんが、葛飾区や江戸川区においては、ほとんど全域が水没した。我々が子どものころ聞いたのは、この軒下まで、この辺まで水が来たんだよというふうな水害に襲われたのがカスリーン台風であります。
 住民の人命や財産を守るという観点からも、あらゆる面で治水に対する備えが必要であると考えます。現在、利根川の治水計画に基づき建設されている八ッ場ダムも、このような観点から計画されたとのことでありますが、改めて八ッ場ダムの効果についてお伺いをします。

○只腰都市整備局長 利根川水系の治水計画でございますが、ダム、堤防、調節池等の整備により、二百年に一度とされる、お話しのカスリーン台風級の洪水にも耐えられるよう、区部東部低地帯を含む流域の治水安全度を高めるものでございます。
 八ッ場ダムは、この計画の一翼を担う重要な施設であり、利根川上流ダム群の中でも最大の洪水調節能力を持つものでございます。これまで治水ダムのない支流の吾妻川に建設されることによりまして、流域全体の治水効果を大きく高めることが期待されております。

○鈴木(一)委員 今お話にありましたように、八ッ場ダムが利根川流域、さらには東京都にとって重要な役割を持つ施設であるということであります。事業期間は平成二十七年度までとなっておりますが、早期完成を願うものであります。
 ちなみに、私は都議会自民党の八ッ場ダム促進議員連盟の会長を務めておりますので、特段のお力添えを賜りたく、心からお願いを申し上げる次第でございます。
 また、水没する地域では、ダムを前提とした新たなまちづくりに邁進されており、一部の政党からの八ッ場ダム建設事業中止の声には、地元の方々も不安と怒りの念を抱かれているとのことであります。
 そこで、現時点での事業の進捗について、ダム本体工事の見通しも含めてお伺いをいたします。

○只腰都市整備局長 八ッ場ダムでは、現在、河川を迂回させるため、仮排水トンネルの工事が進められております。また、ダムの本体工事につきましては、本年一月に入札公告を行い、年内には施工者と契約を締結する予定と聞いております。
 平成二十年度末における事業全体の進捗率は、事業費ベースで七〇%となる見込みでございまして、一方、つけかえ工事につきましては、昨年末で鉄道は八三%、道路は五九%まで整備されております。また、全用地の約八割が取得済みでございまして、代替地の整備も進みまして、各地区で家屋の移転が始まっております。
 都といたしましても、関係県との連携を深めながら、一刻も早く完成させるよう、国に対し強く求めてまいります。

○鈴木(一)委員 お互いに力を合わせて、いっときも早いダムの完成に頑張ってまいりたいと思います。
 次に、産業振興について伺います。
 都内中小企業、とりわけ製造業は、昨年の原油、原材料の高騰の影響から脱却できないままに、大企業の業績悪化による受注の激減など、厳しい経営状況に直面しています。
 このような状況を受け、東京都は、緊急融資制度の拡大や公共事業の前倒しなどの東京緊急対策を実施しています。これらの支援により資金面では何とか息をつけたが、日ごとに仕事が減って、先が見えないという中小企業経営者の不安の声も聞かれます。
 一方で、この厳しい現状の中でも、少しでも仕事を確保できればこの難局を乗り切れる企業も数多くあります。根本的な景気対策は国が講ずるものであり、また、親企業も厳しい状況にあることも十分に承知していますが、都としても、現況にかんがみ、中小企業の受注の確保に向け積極的に支援すべきと考えますが、どのように取り組むのか、所見をお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 都では、これまでも、東京都中小企業振興公社におきまして、都内中小企業の受発注開拓を実施してまいりました。今年度は、一月末までに約七千件の企業巡回訪問を行いまして、約千四百件の取引あっせんを行ったところでございます。また、産業交流展におきまして八都県市合同商談会を実施するなど、中小企業の受注機会の確保、拡大に努めてきたところであります。
 加えまして、不況緊急対策として、中小企業振興公社に登録をしていただいております発注企業を既に重点的に訪問をして、発注を依頼しておりますが、また早急に約二千社に対して、発注を書面により依頼をしていきたいと考えております。
 さらに、受注機会の拡大を図るためには、中小企業が共同で幅広い受注に対応していくことが重要であると考えておりまして、中小企業グループによる共同受注体制の構築等についても積極的に支援をしてまいります。
 今後とも、中小企業の受注機会の確保に向けまして、これらの取り組みを着実に展開してまいります。

○鈴木(一)委員 こうした取り組みに加え、将来的な展望を開く観点から、新事業の創出を後押ししていくことも重要であります。
 新事業創出をより促進するためには、こうした、地域に密着したネットワークを持つ地域金融機関を活用することが有効です。都は、大学の研究機能を活用し、産学公連携を支援していますが、この産学公に金融機関を加えた産学公金のネットワークを構築し、新事業創出活動を促進すべきと考えますが、今後の取り組みをお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 都は、これまでも、産業技術研究センターに産学公連携コーディネーターを配置いたしまして、産学公連携のネットワークづくりを進めてきたところでございます。地域金融機関がこうしたネットワークに加わることは、中小企業にとって、円滑な製品開発資金の調達や当該機関の広範な情報を活用した販路開拓など、大きなメリットがあるというふうに認識をしております。
 このため、都は、平成二十一年度、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業を創設いたしまして、今後重点的に育成すべき産業であります電子デバイス、計測・分析器、ロボットの三分野において、企業、大学、公的機関及び金融機関による、いわゆる産学公金のネットワークを形成いたします。さらに、このネットワークによる新事業創出に向けた共同研究開発や共同販路開拓等の活動を、三年間にわたり継続的に支援をしてまいります。

○鈴木(一)委員 さて一方、多くの商店街も、空き店舗の増加や後継者不足などの課題を抱え、厳しい状況にさらされています。このような中、都内では複数商店街の連携による広域的な取り組みが模索されています。
 これまでの新・元気出せ商店街事業により、区市町村域内での複数の商店街連携による取り組みは促進されてきました。しかし、商店街が行政区域を超え連携した取り組みを展開する場合に、現在の制度では十分な支援がなされないのが実情であります。
 都は、来年度予算に商店街の広域的な取り組みを支援する新たな事業を盛り込みましたが、その具体的な内容についてお伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 商店街の活性化には、新たな顧客の獲得に向けまして、従来の区域にとどまらず、より広範な区域を対象にした取り組みが重要であるというふうに考えております。
 そこで都は、区市町村の行政区域を超えて複数の商店街が連携して行う取り組みを支援いたします広域支援型商店街事業を来年度から実施いたします。具体的には、商店街の連合組織の企画のもとで、都内各地域の商店街が連携して行うイベントや、メディアを活用した商店街の広域PR事業などを支援してまいりたいと考えております。
 新たに本事業を加えまして、新・元気を出せ商店街事業を着実に展開していくことで、都内商店街の一層の振興を図ってまいります。

○鈴木(一)委員 商店街は、地域の安全・安心の確保や高齢者福祉、育児支援など、さまざまな重要な役割を担っております。地域からの大きな期待があります。こうした期待にこたえるとともに、空き店舗の増加や後継者不足など、みずから抱える課題に果敢に立ち向かっていくには、商店街の財政基盤の強化が何より重要であります。
 さきの第四回定例会において、我が党の主張を受け、都は、屋外広告物規制の弾力的な運用を検討していくとのことでありました。
 そこで、今後どのような取り組みを進めていくのか、お伺いをいたします。

○只腰都市整備局長 都は、関係局の連携のもと、新たに街路灯に掲出する広告物を活用した商店街活性化の仕組みを検討してまいりました。
 その中で、屋外広告物規制につきましては、広告物に関するデザインや自主審査体制などのガイドラインを整備することで、広告物ごとの特例許可手続を簡素化するなど、商店街が機動的に広告を掲出できる仕組みを取りまとめた後、速やかに広告物審議会へ付議する予定でございます。
 その上で、来年度早期に、都内数カ所の商店街でモデル事業として実施できるよう、取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 次に、アジア大都市ネットワーク21の中小型ジェット旅客機の開発促進事業についてお伺いをいたします。
 昨年三月、国内ではYS11以来約四十年ぶりの国産旅客機開発となるMRJが、三菱重工によって事業化決定されました。また、MRJと同じリージョナルジェット機については、中国やロシアも積極的に開発を進めていると聞いています。
 このように、中小型ジェット旅客機の開発をめぐる動きが活発化している中で、知事はこの事業をどのように進めようとしているのか、お伺いをいたします。

○石原知事 この問題を考えるために、一つ認識をしていただきたいことは、アメリカの国際戦略の一つは、非常に優秀な技術を持つ日本の技術が発揮されて、日本が、かつて太平洋戦争のとき使いました、ああいう優秀な戦闘機などの優秀な航空機をつくることを絶対に許さないことであります。YS11も、そういう形で一回つぶされました。現にアメリカが日本に売り渋っている、見えない戦闘機のF22の、あの見えない素因であります、外側にコーティングをしているようですけど、この素材は日本でしかできません。
 こういったものを踏まえて、アメリカは、YSも結局マーケットを封じることでつぶしたわけでありますけれども、しかし今日、そういったものがまかり通る時代でもございませんし、特に民間が必要としている中小型のジェット機というものは、これは世界的にニーズが高まっておりますから、日本が主導して、台湾、インド、インドネシア、そういった優秀な技術を持っている国々が協力することでアジア製のジェット機を飛ばしたいなというのはみんなの悲願でございました。
 この事業は、アジアの航空需要が増大する中で、アジアの技術と能力を生かしたジェット旅客機の実現を目指すものであります。すなわち、アジアの技術力を高め、みずから開発、製造した旅客機で都市間を結ぶことで、欧米と並ぶ第三の極としてのアジアのアイデンティティーをより強固なものにするとともに、アジアの航空機産業の発展に寄与することがねらいであります。
 先般事業化が決定されました国産初のジェット旅客機MRJも、アジアの旅客機実現の第一歩となるものでありまして、ぜひとも成功させる必要があると思います。
 そのために、アジア大都市ネットワーク21の活動を通じて、技術と能力のあるアジアの航空機メーカー、パーツメーカーなどの生産参画とアジアにおける広域な活用を促進していきたいと思っております。

○鈴木(一)委員 中小型ジェット旅客機の開発促進事業を通じて、アジアの連携によるジェット旅客機を実現しようとする知事の熱い思いに大いに期待をしたいと思います。
 そのような知事の思いが、我が国初のジェット旅客機開発となるMRJの事業推進に強く影響を与えたと思いますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 国が後押ししてきました国産ジェット旅客機開発は、当初、五十席未満のかなり規模の小さいもので計画されておりましたけれども、都は、アジアでの地勢学的にも高い需要が見込まれる百席前後の旅客機を開発しようということを一貫して主張、提唱してまいりました。
 その後、国は軌道修正し、MRJは百席近い座席数で事業化決定され、結果的に都の考えに近いものとなりました。
 また、今般、台湾の航空機メーカー、これはAIDC社ですか、主要なパートナーとして、MRJの機体の一部の設計、製造を担当することが決まるとともに、インドの、インドは非常にすぐれたIT技術を持っておりますけれども、IT関係の企業も既に航空機に関する設計作業に参画していると聞いております。これは、アジアの航空機メーカー、エアラインなどが一堂に会する国際会議などを通じて、親密な関係を培ってきたこれまでの都の取り組みが実を結んだ結果ではないかとも考えております。
 都は、引き続きこうした取り組みを進めていきたいと思っております。

○鈴木(一)委員 ぜひアジア連携の航空機が世界の空を羽ばたくことを期待をしたいと思います。
 続いて、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について伺います。
 豊洲新市場については、先月、技術会議の提言に基づく土壌汚染対策や開場までのスケジュールを定めた整備方針が公表されました。土壌汚染対策については、公正、客観的な立場から審議するため、専門家会議、技術会議という二つの会議体を設け、食の安全を最優先に専門家が一年九カ月かけて検討し、取りまとめたものであります。
 我が党は、この二つの会議のコメントから、土壌汚染対策については安全宣言を出していただいたと考えており、事実、ある科学者からは、今回の対策は安全性の面でオーバースペックともいえる手厚い内容であると聞いております。
 今後必要なことは、この対策がきちんと実施されるかを議会としてチェックしていくことであり、さらには新しい市場の機能や将来像について建設的に議論していくことであります。
 首都圏三千万人を支える生活インフラである築地市場の将来を政争の具にすることは許されず、また、いたずらに都民の不安をあおることは厳に慎むべきであると考えます。我が党は、こうした観点から、参考人招致については受け入れるわけにはいかないことを改めて強く明確に申し上げておきます。
 そこで、安全性を含め、今回の土壌汚染対策に関する評価とその実施についての知事の考えをお伺いいたします。

○石原知事 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、専門家会議、技術会議という二つの会議体が科学的見地から重層的に検討を行ったものでありまして、二重、三重のチェックにより、食の安全・安心を高いレベルで確保する万全な対策と考えております。
 従来、予定地にいろんな新規の発見がありまして、みんな心理的にも動揺したと思いますが、そういった事態も含めて、高度の専門性のある学者の先生方に合議願って今日の結論になったわけでありますが、この技術会議の原島座長から、今回採用した技術、工法は広い許容性を持っておりまして、想定していない事態にも十分今後も対応が可能なものであると聞いております。
 技術というものは日々進歩しているものでありまして、人間というのは専門性以外の問題については大体本質的に保守的でありますし、退嬰的でありますから、新しい情報が届きますと、みんな首をかしげてしり込みしますけれども、やはり日本が世界に誇る技術というものを持っている、その事実というものを踏まえて、自分の同胞が考えつき開発している技術を同胞として信頼し、新たな発想で検討を行ったことでありまして、非常に合理的かつレベルの高い結論を出すことができました。また、こういう形での合議体制というものは今まで未曾有でありましたが、参加された学者の方々も、自分たちは専門家としての非常にいい体験をしたという形で喜んでもおられました。
 今後、この土壌汚染対策を確実に実施することによりまして、安全を揺るぎないものとしていくので、都民や市場関係者の方々はぜひ安心をしていただきたいと思います。

○鈴木(一)委員 次に、移転に反対する団体などは、いまだ安全性を声高に問題にしている現状を踏まえ、土壌汚染対策の信頼性をどのようにわかりやすく説明していくのか。絶対安全なんだというふうなPRを、市場長、しっかり頑張ってやっていただきたいと思いますが、お考えをお伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 専門家会議及び技術会議は、我が国を代表する学識経験者により構成され、調査データ等を踏まえた科学的見地から検討を行うとともに、会議内容について専門家会議は審議を公開で行い、技術会議につきましても、保護しなければならない情報を除き、会議録、会議資料をすべて公表したところでございます。
 土壌汚染対策の内容につきましては、専門家会議から、環境基準を超える汚染物質をすべて除去し、施設開場後も地下水管理を行うなど、極めて安全性の高い対策が提言をされました。
 技術会議は、この専門家会議の提言を確実に実現するとともに、地下水を敷地全面にわたり早期に環境基準以下にすることや、阪神・淡路大震災などにおいて有効性が確認されている液状化対策を採用するなど、より高いレベルで安全性、信頼性を確保し、あわせて経済性にもすぐれた対策を取りまとめたところでございます。
 この対策の内容につきましては、ホームページやパンフレット等を活用し、積極的に情報提供や説明を行うとともに、現在実施しております調査の結果や、今後実施いたします工事内容等につきましても一般に公開していくことなどにより、都民、市場業界の信頼と安心が得られるよう努めてまいります。

○鈴木(一)委員 比留間市場長の双肩にかかっていると思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 さきの本会議における我が党の代表質問において、新銀行東京の直近の決算状況についてただしたところ、今年度の後半から中小零細企業向け融資が増加するなど、業績が上向いているとの答弁がありました。
 巨額のデフォルト発生や詐欺の疑いのある融資案件など、旧経営陣時代のずさんな経営実態が外部調査報告書でも明らかになる中、新銀行東京が都民の真の理解を得るためには、現経営陣のもとで経営改善に取り組んできた効果を示すことも重要であります。
 そこでお伺いしますが、この銀行の設立目的である中小企業向け融資の四半期ごとの実績はどのようになっているのでしょうか。
 また、他の金融機関では支援が難しい赤字や債務超過先なども含めた既存融資先への折り返し融資の実績についても、あわせてお伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京では、今年度の前半につきましては、店舗の統廃合など体制整備に注力をしてまいりましたが、後半からは中小零細企業向け融資に積極的に取り組んできております。
 実績でございますが、中小企業向け融資等、四半期ごとに申し上げますと、第一・四半期が七十件で十八億円、第二・四半期が七十三件で二十億円であるのに対しまして、第三・四半期は二百八十三件で八十二億円と大きく伸びておりまして、累計では四百二十六件、百二十億円となってございます。このうち、既存顧客への折り返し融資は二百六件、三十八億円でありまして、その割合は、件数で約五割、金額で約三割となっております。
 これらを含めまして、平成二十年十二月末現在で、新銀行東京は約一万社の中小零細企業と取引をしておりまして、他行からの支援が難しい赤字または債務超過先は四千九百二十三社との取引を継続をしております。
 厳しい経営環境のもとで、日々、額に汗して努力をしていらっしゃるこうした中小零細企業への支援が継続できるのも、四百億円の追加出資があればこそ可能となったものであるというふうに考えております。

○鈴木(一)委員 再建途上という厳しい局面において、新銀行東京が赤字や債務超過先を含む既存取引先への継続融資にできる限り取り組んでいることを理解します。
 一方で、昨年の追加出資を機に、新銀行東京はけしからぬという批判が横行していますが、こうした批判には利用者の声がどれだけ反映されているのでありましょうか。銀行にとって最も大切なのはお客様であり、その声に十分耳を傾け、真摯に受けとめることが必要だと考えます。
 そこで、利用者からは新銀行東京にどのような声が寄せられているのか、お伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 お客様からの新銀行東京に対する声について、この一年間の主なものをご紹介させていただきますと、預金者からは、預金が全額保護されるか心配であるというような意見が寄せられております。
 また、融資を受けた事業者からは、従来と比べて審査が厳しくなり時間がかかるようになったことや、店舗が少なくなり不便であるといった厳しい意見があるのも事実でありますが、一方で、町田市の空調工事業者からは、一時的に資金がショートしたときに、他行はどこも面倒を見てくれなかったが、つなぎ資金を支援してくれたと、こういうような声や、中央区の輸入販売業者からは、創業赤字及び債務超過でありましたが、成長性を見込んでくれて新銀行が支援をしてくれたというような声、さらには江戸川区の野菜卸業者からは、業種柄、資金の出入りが頻繁であり、ある程度手持ち資金を確保する必要があるが、新銀行は恒常的な運転資金に対応してくれたという声など、銀行の取り組みを評価する声も数多く寄せられております。

○鈴木(一)委員 現在の新銀行東京の営業実態についてはほとんど報じられていませんが、旧経営陣の負の遺産を背負う中で努力されていることがわかりました。ただいまのような利用者の声をしっかり受けとめ、引き続き中小企業への支援に頑張っていただきたいと思います。
 現下の厳しい経済状況を踏まえると、新銀行東京の再建に向けては、さらなる経営努力が必要であります。直近の四半期決算では計画を上回っていますが、それでも七十三億円もの純損失、いわゆる赤字を計上しているのが現状であります。
 平成二十三年度の黒字化を目指し、あらゆる批判にこたえるためにも、再建計画の達成に向けてなお一層の経営改善を求めて、次の環境対策に移ります。
 地球温暖化は、もはやいっときの猶予も許されない危機的な状況にあります。本年は、京都議定書後の枠組みを決める重要な年であり、世界を見渡せば、既にEU諸国を初め、多くの国や都市が高い削減目標のもと、対策に取り組み始めています。一方、国内に目を転じると、いまだ削減の中期目標すら立てられていない状態です。
 このような中、都がCO2排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を立て、大規模事業所に対する削減義務の制度を導入しました。地球温暖化対策は社会全体で取り組むべき課題ですが、この削減義務化の取り組みは、東京都の先導性を示すものであります。
 そこで、改めて、今回の大規模事業所の削減義務率について設定の基本的な考え方と意義を伺います。

○有留環境局長 今回設定する二〇一〇年度からの五年間の義務率の検討に当たりましては、二〇二〇年のCO2削減目標の達成と事業所の削減余地という二つの観点を考慮いたしました。
 目標達成の観点からは、二〇二〇年までの必要削減量を算出した上で、最初の五年間はその後の大幅削減に向けた始動期と位置づけまして、これに基づく義務率を算定いたしました。
 削減余地につきましては、現行の地球温暖化対策計画書制度で蓄積してきたデータなどに基づく検討を行いまして、運用対策の徹底に加え、照明や空調の高効率化など、現在利用可能な技術を十二分に活用することで、必要な削減量がおおむね達成できるものと試算いたしました。
 このような観点を踏まえまして、今回提起した削減義務率は、東京の企業と行政とが率先してCO2削減を進めていく意志を内外に示す意義があるものと考えております。

○鈴木(一)委員 削減目標は実現されてこそ意味を持つものであります。今般、都は制度の開始に向けパブリックコメントを実施しましたが、この制度を実効性のあるものとするためには、対象事業者や都民から寄せられた意見等を踏まえ、きめ細かく事業者の対策を促す取り組みを行うべきであると考えますが、ご所見をお伺いします。

○有留環境局長 CO2の大幅削減を進めるには、経営責任者が削減の必要性を明確に認識するとともに、各事業所の状況に即した効果的な削減方法が検討されることが必要でございます。
 このため、今回の制度では、建物や設備等の運用改善など、具体的なCO2削減手法の知識を有し、経営層にも助言を行う技術管理者の設置を義務づけるなど、効果的な削減が進む仕組みを導入しております。
 都内には、定期的な省エネ会議の開催やエネルギー管理システムの導入などにより、十数%という高い削減を実現した事業所が少なからず存在しております。
 今後、こうした取り組みの事例集を講習会などで広く周知するとともに、対象事業所からの省エネ相談にこたえる体制を整備するなど、きめ細かな取り組みによりまして、削減目標の達成を一層確実なものにしてまいります。

○鈴木(一)委員 ぜひ、世界の範たる低炭素型都市の実現に向け、取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、都庁の中でも最大のCO2を排出する下水道事業について伺います。
 アースプラン二〇〇四の六%に対し、二五%の削減目標ははるかに大きく、達成は容易ではないと思います。これまでの取り組みを踏まえると、この二五%という大幅な削減には、課題はないのでしょうか、状況をお伺いいたします。

○今里下水道局長 平成二十一年度までに六%以上の温室効果ガスを削減いたしますアースプランの目標につきましては、老朽化した汚泥焼却炉の更新に合わせた高温焼却化などによりまして達成できる見通しでございます。
 しかしながら、二〇二〇年までの限られた期間に二五%の大幅削減を実現するには、従来のように老朽化した施設の更新に合わせて削減効果の高い施設を導入するペースでは不可能でありまして、汚泥焼却炉等の更新時期の前倒しが必要になってくるものと考えております。
 また、より効果的な削減対策を行っていくには、新たな着想による技術の開発や導入を検討していくことも大きな課題となっております。

○鈴木(一)委員 温室効果ガス削減対策を強化するために、答弁にもありましたように、汚泥焼却炉等の施設更新の前倒しを行うとなると、それによって費用の増大が見込まれるなど、非常に困難を伴うものと思われます。
 しかし、温暖化の進行は既に待ったなしの状況であり、アースプラン以降の取り組みを早急に具体化し、一層計画的、効率的に低炭素型都市実現に向け取り組んでいくべきでありますが、ご所見を伺います。

○今里下水道局長 先ほどお答えしましたように、従来の焼却炉に比べまして大幅に温室効果ガスを削減できる汚泥炭化炉や汚泥ガス化炉につきまして、単なる老朽化対策ではなく、更新時期を前倒しして導入拡大を検討しております。
 また、新たに省エネ型の汚泥濃縮・脱水機の導入も予定しております。さらに、これまで着目されてこなかった水処理工程で発生する温室効果ガスを削減する技術開発についても、現在行っております。
 これらの検討結果や技術開発の成果などを新たなアースプランとして取りまとめまして、施設更新の前倒しによる費用増大への対応にも努めながら、二五%の目標達成に向けまして、一層計画的、効率的に温室効果ガス削減に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 次に、臨海地域における環境施策について伺います。
 実行プログラム二〇〇九において、臨海地域は、低炭素型都市の実現に向けたモデル地区として位置づけられています。そこで伺いますが、臨海地域には、多くの倉庫や「ゆりかもめ」の駅舎、車庫等、まとまった規模のスペースがあるかと思いますが、こうした施設を活用し、都みずからが率先して太陽光発電設備の設置を行うべきと考えますが、いかがでございましょうか。

○斉藤港湾局長 臨海地域の約五千ヘクタールにも及びます広大な港湾エリアには、大規模な物流倉庫等が数多く立地しておりまして、この地域を低炭素型都市東京の実現に向けましたモデルとしていくためには、さまざまなスペースを活用いたしまして、太陽光発電を普及させていくことが必要でございます。
 このため、都の先導的取り組みといたしまして、まず、おおむね年間発電量六十万キロワットを目標に、平成二十三年度までに品川、辰巳ふ頭の都営倉庫に太陽光発電設備を設置し、「ゆりかもめ」の施設には、列車走行によります振動の影響等、所要の調査を行った上で、順次設置を進めてまいります。
 また、民間施設への普及拡大につきましては、その手法等の調査検討を平成二十一年度に実施いたしまして、これをもとにいたしまして、企業等と連携して取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 次に、都営バスの取り組みについて伺います。
 CO2削減を進めるためには、公共交通機関である路線バスのハイブリッド化を早急に促進すべきであります。交通局では、環境局の緊急支援策を活用して、予定数を大幅に拡大し、ハイブリッドバスを導入しました。
 今後の交通局における低公害車の普及に向けた来年度の取り組みについて所見を伺います。

○金子交通局長 交通局では、これまで最新の低公害バスを導入するなど、環境対策に率先して取り組んでまいりましたが、今年度は環境局の導入促進補助等を活用し、当初予定の十台を上回る四十三台の最新型ハイブリッドバスを導入いたしました。平成二十一年度におきましても、関係機関等と連携し、今年度と同様に導入拡大に努めてまいります。
 あわせて、国土交通省が中心となって開発したIPTハイブリッドバス、これは電気プラグを使用せずに、地上の給電装置から急速充電を行うことができるハイブリッドバスでございますが、このバスの実証運行など、新たな低公害車両の実用化に向けた取り組みにも積極的に協力してまいります。

○鈴木(一)委員 次に、緑あふれる東京の実現のために必要な取り組みについて伺います。
 東京を緑あふれる都市へ変えていくためには、緑のネットワークの拠点となる都市公園の整備を促進することや、緑の拠点を結ぶ街路樹の充実を図る必要があります。
 そこで、まず都市公園についてお伺いをいたします。
 例えば、私の地元の葛飾区にある水元公園、知事が一度視察に来てくださいましたが、そして、こんなすばらしい公園があるのを多くの都民が知らないのは都の役人が云々といわれましたけれども、その水元公園は、面積約八十六ヘクタールと、二十三区内で最大の規模を誇り、江戸川と一体になり、緑の拠点となっている重要な公園であります。
 現在、公園では、江戸川区に隣接する区域において整備が進められており、区部東部から東京を包み込む緑のネットワークの拠点としての整備が急がれるところであります。水元公園のような都市公園を充実することは、緑あふれる都市東京の実現には欠かせません。
 そこで、緑の拠点となる都立公園の整備を推進すべきと考えますが、ご所見を伺います。

○道家建設局長 都立公園は、道路や河川の緑と一体となり、ネットワークを形成する広域的な緑の拠点であり、緑あふれる東京を実現するためには、その整備が重要であります。このため、都は、実行プログラム二〇〇九において、平成二十三年度末までの三年間で、都立公園を新たに七十ヘクタール開園することとし、整備効果を早期に発現するよう、平成二十一年度の開園予定を、既定計画に対し十ヘクタール前倒しして三十ヘクタールといたしました。
 具体的には、水元公園においては、江戸川の緑と連担する樹林地の造成、石神井公園で桜に包まれた草地広場の整備、武蔵野の森公園では、地元市による運動施設の整備とあわせて樹林や芝生広場などを整備し、緑の充実を図ってまいります。
 今後とも、広域的な緑のネットワークの拠点となる都立公園の整備に積極的に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 また、身近な緑である区市町村の公園も緑のネットワークの拠点として重要です。そのため、区市町村が公園整備により積極的に取り組むことができるように、事業に関する技術面や財政面などの適切な支援が必要であります。
 そこで、都市公園を整備する区市町村に対する都の支援の取り組みについて伺います。

○道家建設局長 身近な緑の拠点となります区市町村公園は、実行プログラム二〇〇九におきまして、広域的な緑の拠点である都立公園と合わせて百五十ヘクタールを開園することを目標にしております。
 その実現のためには区市町村の積極的な取り組みが必要であり、都は公園整備の促進に向けて技術や財政面の支援を行っております。
 まず、技術面につきましては、緑地保全や緑化推進の目標などを定める緑の基本計画策定への助言、植栽などに関する公園設計マニュアルの提供などの支援を行っております。
 また、財政面につきましては、国庫補助金を区市町村が受けられるよう、国に対して強く働きかけるとともに、都が行う市町村土木補助を平成二十一年度は前年度に比べ約四億五千万円に倍増し、支援を強化いたします。
 今後とも、緑の拠点づくりのために、積極的に区市町村の公園整備を支援してまいります。

○鈴木(一)委員 一層の区市町村への支援強化を要望したいと思います。
 次に、街路樹の取り組みについて伺います。
 公園など、緑の拠点を緑豊かで美しい道路空間で結ぶためには、街路樹を着実にふやしていくとともに、その質を高めていくための適切な維持管理が不可欠であります。
 街路樹を寄附によりふやすマイ・ツリー事業には、約千本の申し込みがありました。その植樹開始式では、出席された応募者から、樹木が孫たちと一緒に成長していくのを楽しみにしているとのあいさつがありました。このような形による都民の参加は大変すばらしいことです。
 そこで、今後の街路樹の整備と管理にどう取り組むのか、所見を伺います。

○道家建設局長 都市公園など緑の拠点をつなぎ、ネットワークを形成するためにも、街路樹の整備と管理が重要でございます。
 このため、整備におきましては、道路の新設、拡幅に当たって街路樹を一層充実させることはもとより、既存都道では季節感あふれる中低木の植栽を精力的に進めております。
 実行プログラム二〇〇九では、区部において東京駅周辺など五地区、多摩部において東八道路など九路線をモデルとして、都民が実感できる緑豊かな街路樹による連続した美しい道路空間を整備することとし、平成二十一年度は道路建設における植栽や既存都道三十路線、延長八十一キロメートルにおける植栽により、着実に街路樹を整備してまいります。
 また、管理につきましては、路線ごとに目標とする樹形を設定し、樹種や季節に応じて計画的に剪定するなど、緑豊かで美しい街路樹を育成してまいります。
 今後も、お話の、多くの方々に参加いただいたマイ・ツリー事業を継続するとともに、維持管理においても都民参加を促す取り組みを進め、都民や企業とともに緑をつくり上げる緑のムーブメントを展開し、緑あふれる東京の実現に積極的に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 そして、さらにまた地域の人々や子どもたちが楽しめる緑も重要であります。
 私の地元の金町小学校では、十九年度に芝生化を行いました。子どもたちがはだしで駆け回る笑顔の絶えないすばらしい学校であります。維持管理についても、地元の自治会やPTAが委員会を組織し、芝刈りを行うなど、地域がバックアップして円滑に行い、学校と地域の良好なコミュニケーションにも功を奏しています。
 校庭の芝生化では、維持管理の大変さがいわれがちでありますが、都はこうした成功事例を具体的に関係者に紹介し、芝生化を検討している学校や維持管理の改善を図ろうとしている学校をしっかり後押ししていくべきと考えますが、ご所見を伺います。

○有留環境局長 都はこれまで、学校現場を支援するため、専門的な維持管理費用の補助、芝生化を支える企業等で構成する東京芝生応援団の結成、専門的なアドバイスを行う校庭グリーンキーパーの派遣、地域で維持管理の取りまとめ役となる芝生リーダーの養成など、幅広い支援に努めてまいりました。
 今後は、これらに加えまして、良好に維持管理されている学校における地域との連携や、運営上の創意工夫について、具体的事例を広く紹介するとともに、希望に応じてこうした経験を直接伝える場も設けてまいります。
 さらに、専門的維持管理に対する補助対象の拡充や、芝生化していない学校に芝生を貸し出し、そのよさなどを体験していただく芝生出前講座を実施するなど、それぞれの学校の状況を踏まえまして、ニーズに応じたきめ細かな支援を行い、芝生化の一層の推進に努めてまいります。

○鈴木(一)委員 次に、保育所制度について伺います。
 国が大都市特有の保育ニーズに十分にこたえていない実態を踏まえ、平成十三年度に認証保育所制度を創設しました。
 こうした中で、今般、国の社会保障審議会少子化対策特別部会が、次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた第一次報告をまとめました。報告では、これまで都が国に提案要求してきた、保育に欠けるという要件の見直しや直接契約制度の導入などが盛り込まれたと聞いております。
 そこで、まず、今回の社会保障審議会の第一次報告に対する都の認識について伺います。

○安藤福祉保健局長 全国画一的な制度であります現行の認可保育所制度について、東京都は、保育に欠けるという入所要件の見直しや直接契約の導入など、制度を抜本的に改革するよう、これまで繰り返し国に提案要求してまいりました。
 ご指摘のように、今回の第一次報告には、新たな保育の仕組みについて、これまで都が強く主張してまいりました内容が盛り込まれたところであります。これは、保育所制度の改革が実現に向けて動き出したものと評価するものであります。
 国は、本報告を踏まえまして、新たな制度体系について検討を進めていくとしておりますが、保育を必要とするすべての人が利用できる制度となるよう、引き続き国へ働きかけてまいります。

○鈴木(一)委員 昨今の不況の影響を受けて、働きに出ざるを得ない母親が急増し、保育所への入所申し込みが殺到しているとの新聞報道もあります。待機児童を解消し、働きながら安心して子育てしていくためには、保育サービスの拡充が不可欠であります。
 都は、二十年度から三カ年で保育定員を一万五千人分整備する事業に取り組んでいますが、この三カ年事業の初年度である二十年度はどのような整備状況になっているのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 保育サービス拡充緊急三カ年事業の一年目であります今年度は、マンション等併設型保育所設置促進事業を初めとしたさまざまな施策によりまして、目標値である四千四百六十二人分の定員増をおおむね達成できる見込みであります。

○鈴木(一)委員 初年度はおおむね目標を達成しているとのことでありますが、引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、三カ年事業の柱の一つである認証保育所については、昨年、補助金の虚偽申請や経営難による突然の閉園などの事態が発生しました。
 このことだけをとらえて、あたかも認証保育所全体の問題であるかのように批判されることは極めて遺憾でありますが、今後とも、認証保育所に対する都民の広範な支持にこたえていくためには、サービスの質の確保、向上に向けた取り組みも不可欠だと考えます。ご所見をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 昨年、一部の事業者による不正が生じたことを受け、都は、職員の雇用関係を確認できる書類の提出や、公認会計士を活用した財務内容の審査の強化など、認証審査の厳格化を図るとともに、開設後早期の段階での実地検査などを実施しております。
 来年度はさらに、事業者の財務状況の確認、保育士等による専門職の視点からの運営指導、機動的で効果的な指導検査などを行うとともに、区市町村に対しては、巡回指導や事業者連絡会の設置を促し、運営状況の的確な把握に努めてまいります。
 また、事業者に対しては、施設長研修を実施するとともに、自己点検や研修の充実などの自主的な取り組みを働きかけてまいります。
 こうした都、区市町村、事業者の三者の取り組みにより、認証保育所の質の確保、向上を図ってまいります。

○鈴木(一)委員 認証保育所について、もう一つ伺います。
 国は、子育て支援サービスの緊急整備のため、安心こども基金の創設を第二次補正予算で措置したところでありますが、この基金の対象施設は、認可保育所など国庫補助対象施設に限定されています。
 都は、これを認証保育所にも充当可能とするよう、国に緊急要望を行いましたが、我が党としても全力を挙げて応援してきたところであります。これについては具体的な成果があったのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 国は、安心こども基金の対象事業を、当初は、認可保育所など既定の国庫補助対象施設の整備等に限定をしておりました。
 このため、都は、お話のように、都市型保育ニーズにも対応しております認証保育所など、地方単独施策にもこの基金を充当できるよう、国に対しまして緊急に申し入れを行いました。
 申し入れに当たりましては、先生方の多大なご支援をいただきましたが、こうした粘り強い働きかけによりまして、認可外保育施設に対する開設準備経費の補助が盛り込まれ、認証保育所についても、保育所の認可基準を満たす施設については補助対象とされることとなりました。
 都としては、この基金を有効に活用し、認可保育所、認証保育所、家庭福祉員など多様な保育サービスを拡充し、待機児童解消に向け積極的に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 ぜひ短期集中的に拡充して、待機児童の解消に努めていただきたいと存じます。
 次に、療養病床の再編成に伴う課題と都の対応について伺います。
 国が医療構造改革の一環として進めている療養病床の再編成により、平成二十三年度には介護療養病床は全廃されることが予定されています。
 都の調査によれば、介護療養病床に入院している患者さんのうち、約四割は医療の必要度が低いとされている方であります。このような方々については、平成二十四年度以降、介護保険施設などに移り、そこで適切なサービスを受けることを国は想定しています。
 そこで、まず、各医療機関の転換意向についてどのように把握されているのか、お伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 本年三月一日現在、都内の介護療養病床は七千五百九十三床ありまして、都が昨年実施いたしました、療養病床を有する医療機関に対する意向調査では、転換先としまして、介護老人保健施設が約三〇%、医療療養病床が約三五%、転換先が未定が約三〇%となっております。
 都は、介護療養病床から老人保健施設等への転換について、国の交付金に加え、独自の整備費補助を行うこととしております。

○鈴木(一)委員 老人保健施設と医療療養病床に転換するものが約三割ずつあるものの、未定というのも三割あるということであります。
 医療療養病床は、急性期を脱した後も医学的管理を必要とする方の受け入れ先として重要であり、都は、平成二十四年度末までに病床を二万八千七十七床までふやす目標を掲げています。
 医療療養病床の充実に向け、現在実施している施設整備費の補助による量の確保に加えて、さらに質の向上に向けた支援策が必要であると考えますが、ご所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 医療療養病床は、急性期を脱した後も医学的管理を必要とする患者の療養の場としての役割を果たすとともに、在宅療養患者の症状急変時におきます一時入院先としての機能も担うなど、その確保は今後ますます重要となっております。
 このため、都は来年度から、都民の多様なニーズにこたえられますよう、療養病床を有する医療機関に対して、末期がん患者の疼痛管理や認知症患者の一時受け入れなどについての研修を実施いたします。
 今年度から実施しております、一般病床から療養病床への転換などに対する施設整備費補助にあわせまして、こうした医療機能強化への取り組みを進めることにより、療養病床の質と量の確保を図ってまいります。

○鈴木(一)委員 療養病床を退院した方が地域で安心して暮らしていくためには、医療と介護の連携強化が必要であります。
 そこで、都は、医療と介護の連携強化についてどのような取り組みを実施しているのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 都は、在宅医療にかかわる関係者間での連携体制の構築を目指します在宅医療ネットワーク推進事業のモデル実施など、医療と介護の連携促進に努めてまいりました。
 また、来年度から、地域包括支援センターに医療職を配置し、医療機関から退院する高齢者を個別に支援するための事業について、試行的に実施することとしております。
 さらに、介護支援専門員を対象に医療的知識を習得するための研修を実施し、医療サービスを含めた適切なケアプランの作成や医療職との情報の共有化を促進するなど、医療と介護の連携強化を図ってまいります。

○鈴木(一)委員 要介護高齢者の在宅生活を適切に支援できるよう、施策の一層の充実を要望しておきたいと思います。
 次に、障害者施策について伺います。
 いわゆる中途失聴、難聴者のための要約筆記者派遣事業は、障害者自立支援法の施行に伴い、平成十八年十月から区市町村事業になりましたが、利用者が複数の区市町村にまたがるグループ利用については、平成二十年度末まで経過的に都が実施してきました。
 経過期間の終了を控え、我が党はこれまで都に対して、円滑な区市町村事業への移行を求めてまいりました。都もそれを受け、区市町村等との調整を図っていると伺っています。その調整状況についてお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 要約筆記者派遣事業の個人の利用については、既に区市町村で実施しておりますが、グループとしての利用については、経過的取り扱いとして、今年度末まで都が派遣を行っております。
 これまで、本事業におけるグループへの派遣は、要約筆記者の派遣センターに利用者の代表が申し込む方式としておりまして、実施主体が東京都から区市町村にかわっても同様に利用できるよう、区市町村及び派遣センターとの調整はほぼ整っております。また、利用者の団体にもご説明し、おおむねご理解をいただいております。
 したがいまして、本年四月から区市町村が実施いたしますが、利用に支障のないものと考えております。

○鈴木(一)委員 次に、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターについて伺います。
 来年三月の開設を目指して整備が行われている両センターは、これまで我が党も支援をしてきた、都立病院改革の一環として進めてきた再編整備のかなめともいうべき施設であり、合わせて千三百五十床という、我が国で最大級規模の病院となります。
 子どもから大人まで、小児に関しては心から体まで一貫した医療を提供する、全国でも例のない病院となり、これまでの個別の病院では対応できなかった医療の提供が可能になるなど、多摩地域の医療水準の向上を実現する一大拠点として、都民の期待も非常に大きなものがあります。
 両センターの開設までいよいよあと一年となりましたが、整備の進捗状況と、両センターの整備により具体的にどのような医療機能の提供が可能になるのか、伺います。

○中井病院経営本部長 多摩総合医療センターと小児総合医療センターは、緑あふれる恵まれた自然の中にあり、地下一階、地上十一階の、延べ床面積約十三万平方メートルの免震構造を備えた施設であり、我が国屈指の大規模医療機関となるものであります。
 現在、最上階の躯体部分を施工中であり、本年九月竣工、来年三月開設に向け、順調に工事が進んでおります。
 両センターが開設されますと、二十四床のNICUと九床のM - FICUを有する都内最大の総合周産期母子医療センターが稼働し、多摩地域における周産期医療体制が飛躍的に充実することになります。
 また、小児総合医療センターには最新鋭の小児集中治療・救命救急部門を整備し、日本で初めての小児専門のERを設置いたします。
 加えて、多摩総合医療センターと一体となって運営することにより、これまでの小児病院では受けられなかった多発外傷などの外傷系小児三次救急にも対応してまいります。
 さらに、がんや心臓病、小児精神などの専門医療分野においては、両センターの医師が相互に交流し、医療の質の向上や優秀な医師の育成を行い、全国的な医師不足の中にあっても、最高水準の医療サービスを提供できるものと考えております。

○鈴木(一)委員 両センターは、都の医療水準の向上に資するものであると存じます。
 一方で、現在、小児病院のある地域においては、小児病院移転後も地域の方々が引き続き安心して医療を受けられることが必要であり、都と地元自治体、医師会などが精力的に協議を重ね、実を結びつつあると聞いています。
 移転後のそれぞれの地域の小児医療体制の確保について、具体的な取り組み状況を伺います。

○中井病院経営本部長 まず、入院を必要としない初期救急については、地域で各医師会の協力のもと、地元自治体が中心となって体制の強化が図られておりますが、都は、これらの取り組みに積極的に支援、協力を行っているところであります。
 次に、今まで都立小児病院が対応してきた入院治療を必要とする二次医療については、北多摩北部地域では公社病院である多摩北部医療センターが、八王子地域では市内にある二つの大学病院が、それぞれ中核病院としてその役割を担っていくこととなります。
 都は、これらの中核病院の充実策として、多摩北部医療センターにおいては、小児科病棟改修工事を行うとともに、五名の常勤医師を軸とした医師体制の充実強化などを進めております。
 八王子地域においては、二つの大学病院に対して、患者の円滑な受け入れのための専門医師の派遣や、病床拡充に必要な施設整備等への支援の検討など、八王子市との協議に基づき必要な支援を行ってまいります。
 また、梅ケ丘病院移転後の区部における小児精神医療の確保のため、大塚病院で本年秋に外来診療を開始することとしております。
 さらに、周産期医療や小児救命救急など高度で専門的な医療については、ドクターカーの配置や人的交流など、小児総合医療センターとの密接な連携体制を構築してまいります。
 今後とも、小児病院移転後の各地域の小児医療体制の充実に全力で取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 引き続き努力をしていただきたいと思います。
 次に、東京大気汚染訴訟の和解に伴う拠出金について伺います。
 一昨年八月に成立した東京大気汚染訴訟の和解を踏まえて、都全域を対象とした気管支ぜんそく患者の医療費を助成する医療費助成制度が昨年八月に創設されました。この制度を利用した患者さんは、現在三万人に及ぶと聞いております。
 ところで、この和解条項では、都が医療費助成制度を創設するに当たり、国、首都高及びメーカーが都に対して拠出金を支払うこととされていますが、現在の拠出状況はどのようになっているのか、交渉を担当している知事本局長にお伺いいたします。

○吉川知事本局長 お話の大気汚染に係る医療費助成制度のスキームは、五年間で二百億円と見込まれる経費を、被告の社会的責任の観点から、国が三分の一、都が三分の一、民間が、自動車メーカーと首都高速道路株式会社とで折半して六分の一ずつ負担するというものでございます。
 拠出の状況は、国が六十億円、自動車メーカー七社が連帯して三十三億円、そして首都高速道路株式会社は五億円を昨年それぞれ支出しております。
 首都高速道路株式会社に対しましては、その後、和解条項に従いまして、制度のスキームに沿った応分の負担として、残額の拠出を求めて繰り返し交渉を重ねてまいりました。その結果、ガソリン価格の高騰や景気後退に加え、首都高速道路五号池袋線におけるタンクローリー火災事故など、通行台数の減少に伴います厳しい経営状況にはございますが、今年度一億円を拠出するとの申し入れが、先月、同社からあった状況にございます。

○鈴木(一)委員 都の定めたスキームによりますと、首都高の応分の負担額はメーカーと同じ三十三億円ということですから、あと二十七億円の拠出が必要です。制度は既にスタートしていることから、早く拠出することが必要であると思いますが、都として今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○吉川知事本局長 先ほども答弁いたしましたが、首都高速道路株式会社の今回の申し入れは、社会的責任に応じて負担することに理解を示しつつも、経営状況から、今年度は一億円しか拠出できないというものでございました。
 都といたしましては、和解の意義を損なわないためにも、同社は、その社会的責任に応じた負担をすべきであると考えておりまして、今後とも、粘り強く早期の拠出を強く求めてまいります。

○鈴木(一)委員 経営状況等の事情があるとしても、首都高が、この歴史的な和解の当事者としての社会的責任を確実に果たすよう、粘り強く交渉していただきたいと思います。
 次に、都市機能の拡充について、まず外かく環状道路について伺います。
 政府・与党は、景気、雇用の状況を踏まえ、さらなる追加の経済対策について検討を始めています。外環は経済対策としても有効であり、国はいっときも早く事業化に踏み切るべきであります。
 先日、石原知事は定例記者会見で、外環事業にかかわる都の負担について触れました。そこで、都の負担など事業の枠組みについて現在どのようになっているか、伺います。

○只腰都市整備局長 外環でございますが、ご承知のとおり高速自動車国道でございまして、国がその責任において整備すべき路線でございます。外環の総事業費は一兆六千億円とされておりますが、国は、現時点でその事業スキームについて未定としてございます。
 高速道路整備の事業手法につきましては、料金収入で事業費を償還する有料道路方式のほか、高速国道として国費を投入して事業を行う新直轄方式がございます。仮に新直轄方式による場合、現行ルールでは、事業費の四分の一が都負担ということになります。
 都といたしましては、できるだけ都の負担が少なくて済むよう、コスト縮減などを含めて国に働きかけてまいります。

○鈴木(一)委員 都議会自由民主党としても、平成二十一年度の事業着手に向けて全力で支援を行ってまいります。
 次に、羽田空港の再拡張事業について伺います。
 羽田再拡張事業は、我が国の国際競争力を強化し、首都圏に新たな活力をもたらす事業であり、我が党の港湾空港振興議員連盟も昨年二度にわたって視察を行いました。
 そうした中、一昨年から昨年にかけて原油や鋼材等が大幅に高騰したのに伴い、工事請負業者は国に対してスライド条項適用の申請をしました。羽田再拡張事業は、都を初めとする地方自治体からの無利子貸付により迅速な事業の推進を図ってきた経緯から、国は、今回の増額分についても都に協力を要請してきたものであります。
 昨年度までの状況と異なり、税収も大幅に減る中で、大変難しい判断を求められたかと思いますが、知事は、この要請に協力することを表明されました。無利子貸付の増額要請への協力を決断するに至った知事の所見を伺います。

○石原知事 今回の国からの無利子貸付の増額要請には、都が応じる義務が直ちに生じるわけではございませんが、都が協力を拒否しますと、工事がたちまち滞り、新滑走路の供用開始がおくれかねません。
 経済が危機に直面する中で、空港容量の拡大や国際線の就航のおくれは、国際競争力の強化に重大な影響を与えるだけではなくて、膨大な経済波及効果を先送りさせまして、我が国全体の大きな損失を招くと思われます。
 世界じゅう、特にアメリカが、オープンスカイ、オープンスカイと日本に要求しているのも、これはあくまでも首都圏に限ったことでありまして、ゆえにも、仮にも工事の完成がおくれるようなことがあってはならず、都としては、大局的な見地に立って、今回の国の新たな要請に対して協力を行うことにいたしました。
 これにより、来年十月の供用開始を確実に実現するとともに、昼間の国際線の増加や就航都市のさらなる拡大を国に強く求めてまいります。

○鈴木(一)委員 無利子貸付の増額要請に応じた知事の判断は、まさに大局的見地に立つものであります。
 他方で、国は、こうした都の協力を生かし、羽田のさらなる国際化の推進や空港アクセスの充実など、再拡張事業の効果を最大限発揮できるよう努力するべきであります。
 このうち国道三五七号の東京港トンネルについては、知事から、平成二十一年度着工を国から引き出したとの発言がありました。我が党もかねてより、この路線が羽田空港の持つ潜在力を大きく発現させることから、整備促進を主張してきました。
 改めて、国道三五七号の整備に対する現在の都の取り組み状況について伺います。

○只腰都市整備局長 国道三五七号でございますが、お話にもございました羽田空港へのアクセスの充実のみならず、都市間の連携強化、物流の円滑化にも資する重要な路線でございます。
 このうち東京港トンネル部につきましては、現在は詳細設計などが進められておりますが、来年度にはいよいよ海底トンネルの取りつけ部の工事に着工することとなりました。先月、IOCに提出されました立候補ファイルの中で、事業主体である国は、本トンネル部を平成二十七年に完成することとしております。
 羽田空港へのアクセス機能のさらなる強化に向けましては、多摩川トンネル部や主要交差点の立体化などにつきまして整備を推進することが必要でございます。
 都といたしましては、今後とも関係自治体と連携を図り、本路線の整備促進に積極的に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 次に、オリンピック招致について伺います。
 さきの我が党の代表質問において、オリンピック・パラリンピックの開催が我が国の社会経済に及ぼす効果について質問しました。その際、知事からは、大会開催が世界平和に貢献し、日本が誇る最先端技術を駆使して感動をもたらすという、我々と同じ認識をお示しになるとともに、三兆円もの大きな経済効果があることも答弁をされました。今の時代の閉塞感を打破するためにも、まことにすばらしいことであると考えます。
 そこでお伺いしますが、東京大会の開催の経済効果とは具体的にどのようなものなのか、お伺いをいたします。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 オリンピックの経済波及効果とは、大会までの準備期間及び大会期間中における経済の需要増によって発生する生産誘発効果をいいます。
 具体的に申し上げますと、今回の立候補ファイルに基づく需要増は、第一に、競技施設や選手村の建設などに伴う資本投資で三千三百億円、第二に、競技運営に必要なスタッフの雇用及び情報設備、輸送設備などの運営経費で三千百億円、第三に、観客による旅費、飲食、宿泊、記念品購入などの消費支出で六千六百億円、合計して一兆三千億円でございます。これらを前提に東京都産業連関表により試算を行いましたところ、最低でも、都内で一兆五千五百億円、全国で二兆九千四百億円の経済波及効果が見込まれます。
 この経済波及効果は、二〇一六年を待たずに、本年十月の開催都市決定後に行う施設の設計や工事の発注、プレイベントの実施などを通じて順次発生するものであり、日本経済の活性に大いに貢献するものと考えます。

○鈴木(一)委員 今後、招致を成功に導くためには、大会の意義や東京の計画のすばらしさのみならず、大会開催がもたらす経済効果などをさらに強くアピールするべきだと考えます。
 本年一月に実施した招致委員会による世論調査では、全国で七〇・二%と、これまでより一割近く支持層をふやしました。しかしながら、立候補ファイル提出後の記者会見で、知事が招致レースはこれからが本番といわれたとおり、熾烈な招致レースを勝ち抜くためには、世論を一層盛り上げていくことが必要であります。
 来月にはIOC評価委員会が来日します。その際、各評価委員に立候補ファイルの優位性を訴えることはもちろんですが、東京、日本で招致機運が非常に盛り上がっていることを印象づけるのも重要と考えます。特に、地域や経済界など民間との連携がさらに重要であり、今後どのように招致機運を盛り上げていくのか、伺います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 招致機運を盛り上げ、IOC評価委員に東京招致への熱い思いを伝えるために、まず、来日する空港では、ロゴマークをあしらいました電光掲示板やフラッグ、ポスターなどを集中的に掲出し、歓迎の意を表します。また、評価委員が滞在中通行する道路にはフラッグを約四千枚、都内各所の商店街でも約四万五千枚を掲げますとともに、宿泊ホテルなどの周辺地域を装飾してまいります。視察で訪れる競技会場では、アスリートをデザインした看板や、都民も参加したイベントなどで評価委員を迎えるとともに、競技会場が集まる臨海部と都心を結ぶ晴海通りなどを季節の花で飾るなど、地元自治体や各局とも連携してまいります。さらに、多くの都民が利用するJR等の鉄道やタクシー、バス、東京じゅうを走る宅配便などのトラックにPR広告やステッカーを掲出してまいります。
 このように、東京を招致一色に染めていくことを目指しまして、地域や経済界と協力し、招致機運を一層高めてまいります。

○鈴木(一)委員 二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致に対する、評価委員会の来日などスケジュールが山積している中、先頭に立って招致を進めていく知事の決意を伺います。

○石原知事 去る二月十二日に立候補ファイルをIOCに提出いたしましたが、ようやくここまで来たなというのが実感でございます。今では世界は非常に時間的、空間的に狭くなりまして、オリンピックの招致が、その折々、時々の国際情勢の影響も受け、国に対する評価など、非常に重層的かつ複合的な要因がIOC総会での投票に帰趨すると思います。
 今後の経済リセッションをアメリカがどういう責任とってリバイブさせるか、あるいは、また中東で紛争の火が再発するかしないか、その他この他でいろいろな問題が絡んでくると思いますが、招致活動はまさに外交そのものでありまして、最後は一人一人の人間関係の積み上げが結果につながっていくと思います。誠意を尽くし、東京の持っている可能性をIOC委員に余すところなく披瀝していくことが何よりも肝要だと思います。
 私自身、先頭に立ちまして、平和を希求する大会理念や環境最優先の東京大会を強く訴えていきたいと思っております。都民、国民の支持をさらに強め、国を挙げての招致活動を展開し、オリンピック・パラリンピックの日本招致を必ずかち取る決意でおります。都議会の皆様のさらなるご支援とご協力をお願いいたします。

○鈴木(一)委員 東京国体やオリンピックで東京のアスリートの活躍を期待するには、ジュニア選手の育成強化が不可欠であります。こうした我が党の主張を受け、都は、身近な地域でジュニアスポーツの普及拡大を図り、才能あるジュニア選手を発掘育成するジュニア育成地域推進事業を実施してきました。本事業が着実に拡充されてきた結果、各地域においてジュニア選手の競技力向上に効果を上げていると認識をしています。
 来年度も本事業をさらに拡充すべきと考えますが、今後、地域におけるジュニア選手の育成強化に具体的にどのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。

○秋山生活文化スポーツ局長 東京国体やオリンピックでの活躍が期待されるアスリートを育成していくためには、ただいま理事ご指摘のとおりでございまして、地域におけるジュニア選手の計画的、継続的な育成を進めていくことが重要でございます。
 このため来年度は、地区体育協会等と連携して実施するジュニア育成地域推進事業の予算を大幅に増額し、対象競技にトライアスロン等六競技を加え四十六競技とするとともに、対象経費を医師、看護師によるメディカルサポートにも広げることといたしております。また、各地区の児童生徒数や地区体育協会に加盟する競技団体の数等も大きく異なりますことから、地域の実情に応じて事業費を加算し、効果的な配分を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、参加者や事業数の着実な拡大を図り、地域におけるジュニア選手層の競技力の底上げに積極的に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 ところで、先ごろ全国体力テストの調査結果が公表されました。昭和六十年ごろをピークに、この二十五年間というもの、子どもたちの体力は長期的に低下傾向を示しています。人間の健全な成長を支え、豊かな生活を送る上で基本となるべき体力が長期にわたって低下してきていることはゆゆしき問題です。
 そこで、このたびの全国体力テストの結果を受け、今後どのように具体的施策を展開していくのか、お伺いをいたします。

○大原教育長 このたびの全国体力テストの結果を踏まえまして、都教育委員会は来年度、スポーツ教育推進校を二百校に拡大いたしまして、うち約五十校の小中学校には体育専門の非常勤講師を配置いたしまして、体力向上の基本となる体育授業の充実に努めてまいりますとともに、新たに外部指導員を導入いたしまして、中学校の部活動の活性化に努めてまいります。
 また、アスリートの学校派遣事業を一層拡充いたしまして、児童生徒に夢や希望を与えますとともに、中学生の東京駅伝を新たに開催いたしまして、多くの児童生徒がより高い記録や大きな目標に挑戦する機会をつくってまいります。
 さらに、子どもの体力向上に向けた専門家会議を設置いたしまして、子どもの発達段階に応じた指標を新設するなど、都教育委員会が「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九にお示しをいたしました、三年後に児童生徒の体力を全国平均程度に向上させるという目標を達成するための実効性のある対策を講じてまいります。

○鈴木(一)委員 ぜひ、教育委員会としてスポーツ教育を一層推進し、長期的な視野で実効性のある対策を講じていただきたいと存じます。
 さて、中学生による東京駅伝を新たに開催するという答弁がありましたが、この十日後に開催される東京マラソンは、三回目を迎え、今や全国の市民ランナーの目標となり、東京のまちの新たな風物詩となってきました。中学生による東京駅伝というものが、東京マラソンと同様に、小学生や中学生の新たな目標となり、現在行われている区市町村の駅伝大会やマラソン大会にも影響を及ぼすような、広がりを持った取り組みとなることを期待しています。
 そこで、中学生による東京駅伝の具体的な実施内容を伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、平成二十二年三月、中央区の晴海ふ頭のオリンピックスタジアム予定地におきまして、中学生による駅伝大会を行う予定でございます。この東京駅伝は、学校や部活動の垣根を超えて、区市町村単位で男女それぞれ十数人の選抜チームを結成し、四十二・一九五キロメートルをたすきでつなぐ、初の区市町村対抗の駅伝競争として毎年実施をする計画でございます。
 各中学校や区市町村の予選会を初めといたしました東京駅伝へのさまざまな取り組みによりまして、多くの中学生がより高い目標に向かって切磋琢磨し、持久力や頑張り通す忍耐力をはぐくむことを通して、中学生全体の体力と精神力の向上を図ってまいります。

○鈴木(一)委員 ぜひ、すべての区市町村や中学校に対してこの大会の趣旨を徹底し、子どもの体力向上や東京国体に向け取り組みを強化し、意義深い大会となることを期待しております。
 次に、市街地整備について伺います。
 都はこれまで、市街地整備事業により、交通渋滞の解消、防災機能の向上などを目指したまちづくりを精力的に進めてきました。そして現在、社会経済情勢の変化を踏まえて都市づくりビジョンの改定を進めていますが、地域の将来像を具体化するためには、都が東京の市街地整備をこれまで牽引してきた豊富な経験を生かして積極的に取り組んでいくことが大事であります。
 一方、まちづくりには長期間を要することから、住民との円滑な合意形成や、事業期間の短縮を図るような創意工夫も不可欠であります。例えば、都は今後十年間で、都営住宅の建てかえにあわせた敷地の有効活用により約六十ヘクタールの用地を生み出すこととしており、こうした公有地を活用し、市街地整備を効果的に進めることも必要であると考えます。
 そこで、公有地を活用した今後の市街地整備に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。

○只腰都市整備局長 今後の市街地の整備におきましては、環境負荷の少ない、災害に強い都市づくりなどの視点を重視することにより、東京を活力と魅力に満ちた都市としていくことが重要でございます。
 このため都は、重点的に取り組む市街地を明確にし、地元自治体などと適切な役割分担のもと、地域の将来像の実現に取り組んでまいります。特に、稠密な土地利用が進んでいる市街地におきましては、道路、公園などの都市基盤や木造住宅密集地域の整備などに向け、地域内の公有地を周辺も含めて一体的に活用するなど、地域の特性を踏まえた効果的な市街地の整備を推進してまいります。

○鈴木(一)委員 さて、私の地元の葛飾区の京成高砂駅周辺は、寅さんで有名な柴又地区に隣接し、地域密着型の商店街が形成された、下町文化あふれるまちであります。また、成田、羽田両空港へのアクセス性が高く、二十二年度の成田新高速鉄道の開業を契機に、区内でも有数の拠点として整備されることが期待されています。
 こうした中、道路と鉄道の立体化の検討や都営高砂団地の建てかえなど、個々の取り組みが進められていますが、これらを包括し、地域全体のまちづくりを進めることが重要であります。
 そこで、本地区のまちづくりの推進に向けた今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。

○只腰都市整備局長 京成高砂駅周辺地区のまちづくりに当たりましては、道路と鉄道の立体化や駅前広場などの整備とともに、駅周辺にふさわしい土地利用の誘導、防災機能の向上などを図ることが必要でございます。こうした課題の解決に向けましては、都営住宅の建てかえにあわせて生み出される用地なども活用し、さまざまな事業を連鎖的に展開することが有効でございます。
 そのため都は、地元区が設置したまちづくりに関する研究会に参画し、都有地などを含めた駅周辺のまちづくり計画策定に対して技術的支援を行っております。
 今後は、関係者と連携を図りながら、面的整備などによる事業方策について都みずからも調査を行うなど、積極的に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 都は多摩振興プロジェクトを策定しました。この中には、さきの第三回定例会における我が党の高島幹事長の質問にこたえて、多摩地域の重要な課題である医療、福祉などの事業も取り入れられ、現行の二十五事業から六十事業へと大きく拡充されました。
 一方で、今回ソフト系事業が充実したことから、逆に基盤整備の優先順位が低下しているのではないかとの不安の声もあります。依然として多摩の基盤整備は都の重要課題と考えますが、所見を伺います。

○中田総務局長 今回の多摩振興プロジェクトは、昨年の第三回定例会でのご指摘のあった医療、福祉などのソフト系事業を新たに盛り込むことなどにより、多摩地域の総合的な振興策として策定したものでございます。
 多摩の基盤整備の優先順位が低下しているのではないかとのお尋ねでございますが、都市基盤整備は、都市機能はもとより、すべての都民生活の基本となるものでございまして、依然として多摩地域にとっても最も重要な課題と考えております。
 都はこれまでも、多摩南北道路主要五路線の整備や連続立体交差事業など、着実に事業を推進しており、また、今回の策定に当たりましても、新みちづくり・まちづくりパートナー事業や無電柱化の推進などを新たに加え、拡充を図っております。
 今後とも、市町村と連携して、多摩地域の発展の根幹となる都市基盤整備に着実に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 四百万人を超える都民が生活する多摩地域において、自立と連携の都市づくりを進めるには、道路などの基盤整備を進めていく必要があります。今年度、多摩南北道路として初めて八王子村山線が全線開通し、また、JR中央線三鷹-立川間では下り線の高架化が完了するなど、多摩地域での基盤整備が着実に進展しています。
 都はこれまで、市や町と連携し、地域と密接に関連した都道を整備するみちづくり・まちづくりパートナー事業を実施してきました。この事業は今年度で終了することになっていますが、これまでにどのような効果をもたらしたのか、お伺いをしたいと思います。

○道家建設局長 現在実施中のみちづくり・まちづくりパートナー事業は、都や市や町が役割分担し、互いに協力して都道を整備するものであります。平成十一年度から十一市一町において十六路線の都道を整備してきており、これまでに武蔵野市内の通称吉祥寺通りなどの六路線が完了し、今年度末には清瀬駅前の一路線が完了いたします。平成十五年度に完成した三鷹市内の通称連雀通りでは、歩道を一メーターから三・五メーターに拡幅したことにより、歩行者等の安全性や利便性が確保されました。また、車道部を六メーターから九メーターに拡幅するとともに、バスベイやJR三鷹駅方面への左折専用レーンを設置したことにより、バスの運行の定時性が確保され、三鷹駅へのアクセス性が向上するなど、大きな効果があらわれております。

○鈴木(一)委員 さらに、来年度から始まる新みちづくり・まちづくりパートナー事業の内容をお聞きするとともに、今後の多摩地域の道路整備に向けた決意をお伺いいたします。

○道家建設局長 これまで実施してきましたみちづくり・まちづくりパートナー事業は、先ほど申し上げたように効果が大きいことから、関係市の強い要望も踏まえまして、新みちづくり・まちづくりパートナー事業を来年度から実施いたします。
 この事業は、十一市において地域のまちづくりに密接に関連する十八路線の都道を地元市と連携して、協力して整備するものであり、事業期間は七カ年、総事業費は約二百九十億円の予定でございます。
 また、今後の多摩地域の道路整備につきましては、多摩振興プロジェクトが目指す首都圏の中核をなす多摩を実現するためには、道路整備を推進することにより、交通の円滑化とともに、都市間の連携の強化を図ることが不可欠であります。
 都はこれまで、「十年後の東京」への実行プログラムなどに基づき、南北主要五路線の整備やJR中央線などの連続立体交差事業を重点的に実施してまいりました。さらに、多摩地域の魅力と活力を高め、区部との連携を強化するため、新青梅街道など東西主要四路線の整備を推進してまいります。
 四百万都民が生活する多摩地域の発展に向け、引き続き財源の確保に努めながら、市町村と一層連携し、多摩地域の道路ネットワークの整備に積極的に取り組んでまいります。

○鈴木(一)委員 最後に、芸術文化についてお伺いいたします。
 とりわけ日本古来の伝統文化は、歴史の中ではぐくまれた、我が国独自の世界に誇るべき文化であり、東京の文化発信に当たって、より一層着目していくことが重要であります。伝統文化がきちんと位置づけられ、事業の充実が図られますようにお願いをする次第でございます。
 世界への文化発信においては、多彩かつ質の高い活動を行っている民間の芸術文化団体の果たす役割も大きいと思います。今後は伝統文化の分野についても支援すべきと考えますが、ご見解を伺います。

○秋山生活文化スポーツ局長 伝統文化の分野における多角的なご質問を賜りまして、一点目が、伝統文化の実績と今後の事業展開というような流れだったと思いますが、ご指摘のとおり、日本の伝統文化は世界からも大変高い評価を得ておりまして、今年度から取り組んでおります東京文化発信プロジェクトにおきましても、伝統文化を重視した事業を実施しているところでございます。
 昨年十月には、浜離宮恩賜庭園で東京大茶会を開催いたしまして、外国人観光客を含む一万人を超す来場者の方々に対しまして、日本古来の伝統文化でございます茶の湯に親しむ場を提供させていただきました。また、プロの伝統芸能家が能楽や日本舞踊などを子どもに直接指導いたしますキッズ伝統芸能体験には三百名近い参加がございまして、能楽堂などでその成果の発表を行っているところでございます。
 来年度は、これらの事業の拡充を図るとともに、伝統芸能の第一線で活躍している演奏家、舞踊家などによる上質な邦楽や舞踊等の舞台芸術を紹介する伝統芸能フェスティバルを新たに立ち上げる計画としております。
 また、伝統文化に対する支援につきましてもご質問がございましたが、都は平成十六年度から、東京の芸術文化の魅力を内外に発信する創造活動を支援するため、民間の芸術文化団体に対しまして東京都芸術文化発信事業助成を行っておりまして、今年度は、東京からの文化発信の強化を目的に、海外公演や国際的な共同制作に係る助成枠を設けまして、助成総額を二千万円から六千万円に増額したところでございます。
 来年度につきましては、我が国の伝統文化をさらに世界へ発信するため、演劇、音楽、舞踊等の分野の中でこれまで助成してきました伝統芸能を、事業の中の一つの独立した分野として明確に位置づけますとともに、助成総額をさらに二千万円増額して八千万円とし、民間の芸術文化団体の活動を積極的に支援してまいります。

○服部委員長 鈴木一光理事の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

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