東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○川井副委員長 大沢昇副委員長の発言を許します。

○大沢委員 まず初めに、新銀行についてお伺いをいたします。
 初めに、知事に確認をさせていただきますが、今回の四百億円の追加出資の議案提出は、経営危機に直面をしている新銀行を再生するために行うものととらえてよいのか。そのことは、破綻処理や事業清算を選択するよりも税金の投入の額が少なくて済み、なおかつ現在融資をしている千三百社の保全ができるとの考えで(「一けた違うよ」と呼ぶ者あり)政治的、政策的決断をしたのか、まず伺います。

○石原知事 まさに、そのとおりでございます。

○大沢委員 済みません、一万三千社でございました。
 多くの都民は、新銀行は知事の選挙公約の目玉であり、知事の強い意向で誕生させた銀行であるから、意地でも存続をさせなければならないと力学が働き、今回、新銀行への出資という道を選んだという認識を持っているのではないでしょうか。だから、今マスコミ等のアンケート調査や報道でも、大半が追加出資に反対なのではないでしょうか。もし違うのであれば、知事自身が積極的に説明責任を果たし、間違った認識を打ち消すべきと考えますが、答弁を求めます。

○石原知事 新銀行東京への追加出資については、さまざまな意見があることは十分承知しております。そして、再三申してきたように、三つの選択肢しかないということもご理解いただいていると思います。
 先ほど答弁したとおり、日々必死で努力している中小企業への影響や都民への負担を考え、今回追加融資をお願いしたわけであります。例えていいますと、倒れて瀕死の病人に、今その場で心臓マッサージをするとか人工呼吸をしないと亡くなってしまう、そういう土壇場の選択というものをお願いしているわけでありまして、それを放置すれば死ぬわけです、その方は。私は、銀行も同じ例だと思います。
 ということで、皆さんに、苦渋のうちでありますけれども、この選択をしていただきたいということで、この案を提出しているわけでありまして、この予算審議を通じて、経営悪化の原因、他の選択肢との比較などを踏まえて、この方法しかないことを説明しておりますけれども、都民の皆様にこれを繰り返し説明いたしますが、ぜひご理解いただきたいと思っております。

○大沢委員 これまでの都の説明を聞いていますと、新銀行の再建は、一万三千社の既存貸出先の保全、中小企業の資金の供給に対応する必要がある云々ということでございます。
 何度も知事や局長からの答弁で、いまだ中小企業は資金調達に苦しんでおり、中小企業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあるといわれておりますが、私も同じ認識を持つものでございますが、では、なぜ資金繰りに苦しんでいる中小零細、ベンチャー企業の経営者は、無担保・無保証、スピード融資が売りの新銀行に、列をなして融資の申し込みに来ないのでしょうか。なぜ千客万来の銀行でなく、一千億円以上の累積赤字が発生してしまうのでしょうか。
 また、新銀行東京の再建計画書を読むというより見てみますと、素朴な疑問を抱くのは私だけではないはずです。ベンチャーキャピタルの評価力、目ききを活用し、ベンチャーキャピタル出身の新しい人材を雇用して、審査力の強化とか成長が期待できるニュービジネスへの重点的支援等が記されておりますが、一店舗だけで細々と営業している金融機関に、本当にすぐれた人材が集まるのでしょうか。
 また、成長が期待される分野、業種と記されておりますが、そこにも営業能力がはるかにすぐれる金融機関が食い込んでくるのではないでしょうか。計画で期待された成果が本当に得られるのでしょうか。再建計画への都の見解をお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京では、再建計画において、成長が期待されるニュービジネス支援といたしまして、ベンチャーキャピタル等と連携をいたしました成長企業支援型融資やファンド投資を行うこととしております。
 新銀行東京は、開業直後から中小企業再生ファンドなどに投資をいたしまして利益を上げておりますし、ノウハウの蓄積や人材育成を行ってまいりました。加えまして、中小企業振興公社や産業技術研究センター、これらが持つ情報、また審査力、これらを有効に活用することで、中小企業にとっても利便性が極めて高く、新銀行東京にとってもメリットの大きい手法がとれると考えております。
 都といたしましては、こうした新銀行東京が持つ実績と都との連携の強みを十分に発揮すれば、収益を上げていくことが可能であるというふうに考えております。

○大沢委員 再建計画では、至るところに、東京都との連携の強化との文字が目立ちます。昨日の我が党の斉藤あつし議員の答弁でも、都においては、新銀行東京が今回の追加出資の重みを十分に踏まえて、今回策定した再建計画によって、中小企業支援の継続という都の施策に沿った取り組みが確実に実施されるよう積極的に働きかけるとありましたが、一方で、都は経営により深く踏み込んでいくかとの質問には、あいまいな答えしか返ってきていないのが事実であります。都は、今後新銀行に対してどのような対応をしていくのか、都の見解を伺います。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京は、これまでに都のベンチャー技術大賞受賞企業への融資優遇制度でありますとか、都が発注をいたします公共工事を受注した業者が工事完了前に資金を調達できる公共工事代金債権信託の実施など、さまざまな手法で都の施策に協力をしてきております。
 再建計画では、都の中小企業施策の実現に取り組む中小企業振興公社や産業技術研究センターとの協力、連携による都内中小企業の活性化や公共工事代金債権信託の充実など、都や都の施策との連携を深めていくこととしております。都といたしましては、新銀行東京が真に都内の中小企業、都民にとってさらに役立てる銀行となるよう、また再建計画が着実に達成できるよう、今後一層支援をしてまいります。

○大沢委員 局長、今、一層支援をしていくと答弁がありました。
 それでは、三度目に追加出資を求められたり、破綻処理の協力を要請されたとしたら、これらも一層支援の中に組み込まれるものなのでしょうか。

○佐藤産業労働局長 不退転の決意で再建を実現させていきます。

○大沢委員 それでは、また再建計画を見ますと、それはそれでさまざまな努力はあるとしても、簡単に単年度黒字になり、銀行経営はだれでもできるような錯覚に陥ってしまいます。
 加えて、現在発生をしている一千億円以上の累積赤字の解消の道筋は見えてきておりません。都の見解を伺いますとともに、再生だけが目的で、累積赤字の解消はどう考えているのか、あわせて見解を伺います。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京の再建計画は、今までの事業実績の中で着実に利益が見込める事業に重点を置きまして、店舗の集約、人員体制の大幅な見直し、徹底した執行体制の見直し、これらを行うこととしておりまして、平成二十二年度の収支均衡、二十三年度の単年度黒字化を目指してまいります。
 追加出資について認めていただきまして、新銀行東京が、この計画に基づき新たなビジネスモデルを一刻も早く軌道に乗せまして、財務体質の強化を図ることによりまして、まずは再生することが必要であると、そういうふうに考えております。

○大沢委員 視点を変えて、それでは質問させていただきます。
 これまで新銀行は、マスタープラン、中期経営目標、新中期経営計画、それで今回の再建計画を発表してまいりました。しかし、過去どれも計画どおりに事が進んできたとはいえません。これまで警鐘を鳴らし続けたにもかかわらず、赤字が拡大してきた事実があり、すんなりと理解、納得することは到底できません。加えて、万が一これらの計画書が、同じ人物やコンサル会社がつくっていたとしたら、それはそれで大きな問題であります。
 そこで伺いますが、これまで発表されたおのおのの計画は、一体だれがかかわったのか。新銀行でつくったという大ざっぱなくくりではなくて、新銀行が発表するまでの過程でどのようなコンサル会社がかかわってきたのか、明確にお示しください。

○佐藤産業労働局長 マスタープランは、都が平成十五年六月から翌年二月にかけまして、代表執行役候補を含めました七名の執行役候補者が、都の幹部とともに、融資業務、システム及び銀行事務等の複数のコンサルタントを活用しながら、都や提携企業からの派遣職員、最大百名程度のプロジェクトチームを組成いたしまして作成をしたものでございます。
 また、銀行がつくりました中期経営目標、これはマスタープランの経営理念を踏襲しつつ、その後の外部環境の変化を踏まえた業務戦略並びに財務計画等を立案するため、マスタープランと同じコンサルタントを活用しながら作成した計画でございます。
 平成十九年六月発表の新中期経営計画につきましては、新銀行東京が大幅な経営悪化に対する改善を目的といたしまして、平成十八年十二月から、特にコンサルタント等を活用せず、独自に作成をしたものでございます。
 今回の再生計画につきましては、新銀行東京が新中期経営計画では再建が困難と判断をいたしまして、コンサルタントなどの助言を受けながら作成したものでございます。

○大沢委員 よく今までの議論を聞きますと、知事は、専門家、専門家、専門家、そしてまた先ほどの共産党さんの答弁では、いつ、だれが、どこでいったんだ、そのようなことを答弁されるわけでございます。
 これまで発表されたものは、ことごとく、期待をされたこの計画、知事がよく、だれがいったんだ、名前を教えてみろというのは、私たちが本当にこの場を通じて皆様方にいいたい、そのように思います。明確にそのコンサル会社の名前の提出を求めます。

○佐藤産業労働局長 民民の契約ですので、申し上げられません。

○大沢委員 より一層銀行経営に踏み込んでいくといいながら、民民の契約でお答えすることができない。都民に一千億円、そして四百億円の追加出資を求める姿勢だとは到底考えられませんが、答弁を求めます。

○佐藤産業労働局長 守秘義務契約を結んでおります。

○大沢委員 では、済みません、視点を変えて質問をさせていただきます。
 昔の話になりますが、私は都議会において、銀行に税金を投入する議論は、今回で実は三度目であります。
 一回目は平成六年の二信組への三百億円の投入、二度目は平成七年のコスモ信組への二百億円の投入をする議案でございます。当時は、金融ビッグバンと呼ばれていた金融改革の真っただ中で、その当時、国政には、知事のご子息が政策新人類と呼ばれ、金融改革の議論の先頭を走っていたことを思い出すわけであります。
 当時と銀行を取り巻く社会経済状況には違いがありますけれども、どれも経営の行き詰まりは乱脈経営であり、粉飾であり、私物化でありました。二信組のときの議論を思い起こしますと、他党の先輩の質問ではございますが、大変すばらしい質問だとそう覚えておりますから、ここでご紹介をさせていただきます。
 自民党の佐藤先輩でございます。
 まさに青天のへきれきのような救済策が発表されたわけで、今日に至る時点までは、もう反対をするという意味ではないですが、幾つかの疑問がございますので、質問をさせていただきたいと思います、これまでの説明を聞いていて、預金者保護あるいは金融秩序の維持ということを大義名分にして新しい銀行が設立したわけですね、今回救済される二つの信用組合については、一番経営体質が悪い、すなわち高金利で預金をかき集め、その上で理事長が代表を兼任する会社に貸し付けて、それが焦げついたために経営の悪化を招いた、一番悪質な経営陣による経営破綻だと、すなわち、税金を使って救済をするということは一番そぐわないものであるという議論があるわけです、という質問をしております。
 そして、私が子どものころから存じ上げております公明党の、今は副議長をされておりますが、石井先輩のこの質問でございます。
 二つの信用組合を支援する場合、筋論として、その道義的な責任をまず明確にする、また、刑事的なり民事的なり、そうした責任を明確にした上で、初めて、じゃ支援ということになるんじゃないでしょうか、その辺が不明確なまま東京が三百億円の膨大な都民の皆様方の税金を貸すということは、これはなかなか理解が得られないのですよね--私もこの議論を聞いて、そのとおり、そう思ったわけでございます。
 時は流れて、立ち位置が変われば変わるものだなとつくづく感じている一つの質問を皆様方にご紹介をさせていただきます。
 当時は、知事は青島知事でございましたが、仁木先輩が、今回の信用組合の問題というのは、高村労働経済局長を中心といたしまして、局員が一丸となって全力で頑張っている、この姿は見るに忍びない--まさしく佐藤局長のようなものでございます。特に高村局長など、顔につやがだんだんなくなってきて、本当に痛ましいほどに気を使って頑張っているじゃないでしょうか、前の監査事務局長のときにはまだつやが物すごくあったんですけれども、最近は本当に痛ましく思えてならないのでありますが、その元凶は、やっぱり知事の姿勢にあるんじゃないだろうかと思うんですと。
 立ち位置が変われば変わるものだなと、今つくづくそのように実感をしているものでございます。今回は、なぜ乱脈経営、粉飾ということに追及が及ばないのでしょうか。
 また、二信組、コスモ信組のときは、経営者に私財の提供を都も議会も求めていましたが、今回はどのような対応をするのか、見解を求めます。

○佐藤産業労働局長 このような経営結果を招いた責任というものについては、ご案内のとおり、新銀行東京が調査報告書を出したところでございます。新銀行東京がこれから法的措置を含めた検討を、専門家により調査を含めて引き続きやっていきますので、都といたしましては、新銀行東京の現経営陣による旧経営陣の責任追及について、当然のこと、今後の推移を注視してまいります。
   〔川井副委員長退席、委員長着席〕

○大沢委員 局長、旧経営陣の責任追及については、今後の推移を注視していくとの答弁で、だれが納得をするのでありましょうか。都民には、先ほども申し上げましたように、既に一千億円の出資をさせ、追加出資四百億円の負担を求めておいて、都が資金を注入する方には、民間だから都の権限が及びませんみたいな答えでは、まさに無責任きわまりないと私は思います。
 民間では、このような責任の所在があいまいなところには、到底許されるものではありません。新銀行より多大な支援要請がされているのであれば、都は支配株主として、よりしっかりとした対応をすべきということをまず指摘をさせていただきます。
 新銀行の大きな役割は、中小企業の支援であります。乱脈、粉飾、私物化の銀行経営の過去の事例を見てみても明らかなように、趣旨と違った方向にどんどん、どんどんと進み、結果、破綻への道を進んでいます。
 これまでの質疑の中では、新銀行は大企業にも融資をしていたことが明らかになっております。では、これまでの取引の中で、東京都以外の地域、海外も含めて、それらの取引の実態を明らかにしていただきたい。
 あわせて、もし東京都以外の地域及び海外との取引があったのであれば、その案件には旧経営陣の関与があったのかなかったのか、答弁を求めます。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京における平成十九年十二月末現在の融資・保証取引は一万一千六百十一件、二千五百四十五億円でございます。このうち、都外企業取引が占める割合は、件数ベースで二一・二%、残高ベースで一二・五%でございます。
 また、融資・保証別の内訳で見ますと、融資における都外企業取引の割合は、件数ベースで四・六%、残高ベースで四・〇%、また保証における都外企業取引の割合は、件数ベースで三八・三%、残高ベースで四〇・六%でございます。
 融資に比べ、保証における都外企業取引の割合が高いのは、ある都外信金との提携によりまして、デフォルトが保証料の八〇%を超えた場合に、その一定割合を当該信金が負担するという新たなデフォルト抑制商品が開発をされましたことによりまして、都外企業分の保証残高が積み上がったことなどの事情によるものでございます。

○大沢委員 先ほども申し上げましたように、この新銀行の再生に力をかしてくれといいながら、新銀行の趣旨と違った経営が大きくなされていたのではないか、そのように思います。私は、そのことを強く申し上げ、そしてまたしっかりと、より明確な数字を出していただきたい、そのように思います。
 また、過去破綻した銀行は、経営者が銀行を私物化し、その中でやりたい放題のことを行っていたことが、二信組、コスモのときの質疑で明らかになったことを覚えております。
 そこでお伺いをいたしますが、新銀行において、これまで旧経営陣は、都外や海外に出張した実績があるのかないのか、あるとすればその詳細を明らかにしていただきたい。もし海外への出張があるとしたら、その必要性は何か。さらに、それらの出張が会社にどのような利益や不利益をもたらしたのか。加えて、銀行内部で出張の是非について議論がなされたのか、答弁を求めます。

○佐藤産業労働局長 質問項目、ちょっと多かったものですから、お答えできない部分もありますが、新銀行東京における役員の海外出張は、平成十八年一月から同年十二月にかけまして計三回、延べ四人の実績がありまして、その経費の総額は百二十万円でございます。出張の目的は、都内の中小企業等の海外進出を支援するなどの業務提携等に関するものであると聞いております。

○大沢委員 その場所というのがつかめているんですか、いないんですか。

○佐藤産業労働局長 出張先は、タイ、それから台湾、それから米国でございます。

○大沢委員 本当にそれだけなのでありましょうか。また詳しく調査をし、後ほど詳細な資料を出していただきたいと思います。
 都は、過去の事例では、乱脈をきわめた信用組合の救済では決してなく、信用秩序の維持、金融不安の防止、さらに信用金融システムの防御と預金者の保護のためという最も大きな観点から、過去二回、税金の投入の話をしたものでございます。そして、何度もそのような答弁をしているわけでございます。今回は、過去のような答弁が聞こえてきませんが、都としての方向、そしてまた方針を変えたのか。
 また、過去二回は都に指導監督責任がありました。今回は、株主としての有限責任だから、信用不安の回避という視点が最前列に出てこないのか、所見をお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 たびたび申し上げておりますが、追加出資は、中小企業支援を引き続き実施していく上で、都の負担、また中小企業等既存顧客に与える影響、それから預金者保護の問題を勘案して最善の策と、そういう意味で多方面から検討した上での最善の策というふうに判断をしたところでございます。
 先日、既にご答弁いたしましたけれども、新銀行東京が撤退した場合、預金者や融資先などのほか、保証などで提携している信用金庫への影響が心配をされるところでございます。
 また、国における法整備は進んでおりますけれども、我が国で最初のペイオフ、この実施となれば、預金者にとっては、何度も申し上げますが、一千万円までの元本とその利息、決済用預金以外は保護されない。そのほか、貸し出し先にとりましては、これは一番大きな問題だと思いますが、整理回収機構への債権売却など、その影響ははかり知れないものがあります。連鎖倒産、取りつけ騒ぎの可能性もあり、国民経済上、多大な損失が発生することは疑いないと思っております。
 過去の二信組やコスモ信組の事例も含めまして、どのケースもそれぞれの状況に応じて最も最善の方法を講じてきたものであり、今回は追加出資が最も最善の方法であるというふうに考えております。

○大沢委員 今の答弁で、我が国で初のペイオフ実施となれば、預金者にとっては一千万円までの元本とその利息が云々といっておりました。そのようなペイオフだ、そしてまた一千万円までしか戻ってこないよ、まさに不安をあおるものでございます。先ほども申し上げましたように、護送船団方式、旧態依然の考え方でございます。
 そしてまさに、新銀行に預金をしている方は、一千万円以上の預金をしている方は、ある程度のリスク管理、リスクヘッジをしているわけでございます。全財産を、一千万円以上、新銀行に預けているということは到底考えられません。
 そしてまた、連鎖倒産や取りつけ騒ぎの可能性もあると、そのような、このまた強迫観念を押しつけるわけでございますが、それでは二信組のときの三百億円の出資計画のときには、都は全体で凍結をしたわけでございます。そのときに、取りつけ騒ぎや信用不安が起こったのでしょうか。局長の答弁を求めます。

○佐藤産業労働局長 信用組合と銀行には、当然、違いがあるというふうに思います。

○大沢委員 違いがある、違いがない、そしてまた責任は民間企業だからわからない、そのようなあいまいな答弁、そしてまた木で鼻をくくった答弁で、本当に四百億円を出資をして都民が納得するのでありましょうか。私は、大変疑問に思うわけでございます。
 次の質問に移らせていただきます。
 二信組問題では、都は大蔵省と二回特別検査を実施をしております。また、コスモ信組の場合においては、大蔵省に特別検査を要請いたしました。
 しかし、今回の件では、都は都民の大切な一千億円を新銀行に出資をしながら、銀行の経営悪化、経営不振を知りながら、なぜ金融庁に検査を要請をしなかったのか、答弁をお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 二信組、コスモ信組問題のときは、協同組合の金融事業に関する法律によりまして、東京都が信用組合に対する指導監督権を有しておりました。都がみずから検査を実施する、こういう立場にありまして、その実施するに際しまして、あわせて大蔵省に検査を要請したものでございます。
 しかしながら、今回の件に対する指導監督権は、銀行法によりまして内閣総理大臣の権限とされている、全く違う状況にあります。その権限の委任を受けた金融庁の判断により行われるのが当然のことであります。
 また、先ほどの答弁で漏れましたが、二信組のときの金融破綻といいますか、連鎖の問題でございますが、二信組のときには、ペイオフ発動回避のために、東京共同銀行という新たな受け皿金融機関が設立をされまして、そこに債権が譲渡をされて処理をされたと。これは、まさにその受け皿金融機関となりました共同銀行があったということが全く違う状況だと思います。

○大沢委員 局長、何度も申し上げますけれども、二信組のときは指導監督責任があったから、その検査を実施したんだと。今回はないから、ほかのところに任せるんだと。
 一方で、製造物責任の観点から見てみますと、この一千億円を出資をしたにもかかわらず、その一千億円の出資金がなくなってしまうというところで検査、監督責任がない、そしてまた民間だからしようがない、そしてまた、こうやって銀行が危なくなったら四百億円の出資をお願いをします、そんな危ないところに本当に四百億円を--それは中小企業、そしてまた赤字で苦しんでおります中小企業の資金繰りのために、この再生をさせるんだ、そのような理念を高々に掲げられても、それは何かむなしさだけが残るこの再建計画であり、そしてまた四百億円の出資の議案じゃないのかな、そのように思うわけでございますが、どのようにお考えですか。

○佐藤産業労働局長 再建計画は必ずできますし、中小企業の資金繰りのために有効に役立つというふうに考えております。
 それから、先ほど金融庁への検査の要請という話がございましたけれども、金融庁には何もいっていないわけではありませんで、ちゃんとした状況については報告をしておりますし、その上で金融庁が独自に判断をされると、そういう意味で申し上げております。

○大沢委員 先日、我々都議会民主党は、この件について国会を交えて、金融庁、日銀、そしてまたその議論は、マスコミフルオープンの中で議論を行わさせていただきました。その中で、金融庁の新銀行東京に対するとらえ方は、東京都の政策投資銀行、東京都の政策目的を遂行するための銀行というとらえ方でございました。
 いわゆるこのような状況の中においては、本当に、民間の銀行だから我々の責任がない、そしてまた危なくなっているような状況の中で検査をしてみてくれ、そのようなことを本当に思わなかったのか、局長の答弁を求めます。

○佐藤産業労働局長 ちょっとご質問の意味がよくわかりませんが、私たちには権限がありませんので……。

○大沢委員 権限がない、権限がないといっておいて、再生計画に都民の皆様方の大切なお金四百億円出資をしてくれと。局長だったらするんですか。

○佐藤産業労働局長 この議会でるる説明を申し上げたことが、これまで理解されていないというのは、ちょっと私も残念でなりませんけれども、この四百億円の出資がなければ、どれだけ多くの影響が出るかということは、るる説明してまいったとおりでございます。ぜひともこの出資についてお認めをいただきまして、新銀行東京を必ず再生をさせて、中小企業の資金調達の円滑化に向けて、新銀行東京の役割が実際に果たされるような、そんな形にしていきたいと思っております。

○大沢委員 これまで説明をした中で、るるご理解を得られなかったというような答弁がありました。
 私どももこれまでさんざん、新銀行危ないよ、危ないよ、危ないよといってきたじゃないですか。それをご理解いただけなかったということは、私ども大変悲しい思いをしているものでございます。
 以上で質問を終わります。(拍手)

○三宅委員長 大沢昇副委員長の発言は終わりました。

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